上海外国语大学 2015 届硕士学位论文 世界離れの日本ゲーム産業とその対策 ―据え置き型ゲーム市場において 专 业:日语语言文学 研究方向:日本经济 姓 名:胡晨远 指导老师:张建华 副教授 2014 年 12 月 謝 辞 本研究を遂行し、修士論文にまとめるあたり、テーマの選定から論文に仕上げるまでの 全過程において、多くのご支援とご指導を賜りました指導教官である張建華先生に厚くお 礼を申し上げます。 また、ご多忙中、論文審査のために、貴重なご指導とご助言をくださった馬利中先生、 張健先生、焦毓芳先生に感謝の意を申し上げます。 最後に、今まで一緒に頑張ってきた同級生の皆様には、感謝の気持ちを表したいと思い ます。 摘 要 游戏市场可分为游戏硬件市场与游戏软件市场两部分,硬件主要指承载游戏程序的物理 载体。主要包括游戏主机、掌机、PC 以及近年来开始逐渐的智能手机等设备;游戏软件则指 游戏程序主体。游戏硬件与软件相互依存、不可分割。在主机游戏机市场格局日趋稳固的今天, 游戏硬件设备制造商对游戏软件企业的影响不可估量,而一款好的游戏也可能左右一台游戏 主机的销量。 日本游戏市场被业界指出与世界游戏市场“逐渐脱轨”。其指的主要是其游戏软件市场, 单看游戏硬件市场(尤其是主机),索尼与任天堂仍然占据世界市场的大部分份额,其地位短 期内无法动摇。 在世界游戏市场上,日本曾有过“最终幻想”、 “勇者斗恶龙”等受到全世界玩家喜爱的代 表作;但与此同时,以 GALGAME 为代表的日本本土游戏市场也不断发展,规模有增无减。 此类游戏只在日本本土发售,并不面向海外市场。这样,本国内本土游戏却长期存在并不断发 展,与从事世界游戏市场游戏开发与销售的国内游戏厂商争夺游戏开发资源。这成为了日本游 戏市场的一大“怪象”,被业界称为日本游戏市场的“二分化”。 造成日本游戏市场“二分化”的原因是多种多样的,其中最主要的原因有三点,一是日本 各大游戏厂商的守旧观念、二是软件市场改革缺乏硬件市场支持,最后,日本本土游戏消费者 长期形成的消费习惯也是一个重要因素。 笔者认为,要改变日本游戏市场的这一现状,必须从日本各大游戏厂商入手,辅以硬件企 业的大力支持,率先革新观念,引导日本游戏消费者改变消费习惯,更多地适应及接受不同的 海外游戏风格,这样才能为日本游戏市场注入新的空气。 关键词:日本游戏产业;二分化;日本本土游戏;变革 要旨 ゲーム市場はハードウェア市場とソフトウェア市場に分かれることができる。ハードと はゲームソフトを起動させるための機器であり、主に据え置き型ゲーム機、携帯型ゲーム機、 PC 及び近年流行り始めたスマートフォンなどである。ハードとソフトは切っても切れない 関係であり、お互い依存しあう関係でもある。据え置き型ゲーム機市場が日々定着してくる 今日、ハードウェアメーカーがゲームソフト開発企業に大きな影響をもたせるをいえるだ ろう、しかしそれと同時に、ゲーム機の売り上げは一つのゲームによって左右されることも 多くある。 日本のゲーム市場は業界に“世界離れ”とよく言われているが、それは主にゲームソフト 市場を指すのである。ゲーム機(据え置き型ゲーム機)市場だけを見てみると、ソニーと任 天堂が依然として世界市場の大半を支配しているといっても過言ではない。その地 位は 短期間では揺るぎがたいのであろう。 日本にはかつて、「ファイナルファンタジー」シリーズや「ドラゴンクエスト」など、世 界を席巻したゲームもあったが、それと同時に、GALGAME を代表とする日本国内専用ゲーム ソフト市場も日々規模を大きくしている。こうして、日本国内専用ゲーム市場は長期的に存 在し、発展しつつ、世界市場向けの日本国内ゲームメーカーとのゲーム開発資源の争奪も繰 り返されている。これは日本ゲーム市場における“おかしな現象”であり、業界では「二分 化」と呼ばわれている。 日本ゲーム市場の二分化の原因は多くあるが、主に以下の三つにあると筆者は思うので ある:ゲームソフト企業の変わろうとしない態度、ハード企業側の支持の欠如及び日本ゲー ム消費者が長い間形成してきた消費習慣にあると思う。 この状況を打開するには、ソニー、任天堂などのゲーム機メーカーの支えによって、日本 各大手ゲームソフト開発企業から変わらなければならないと私は思うのである。こうして 消費者の消費習慣を徐々に変え、海外の多種多様のジャンルのゲームを受け入れることで、 日本のゲーム市場にも積極的な変化をもたらせると私は思うのである。 キーワード:日本ゲーム産業、世界離れ、日本国内専用ゲーム、変革 目次 1 はじめに ................................................................................................................................ 1 1.2 研究対象..................................................................................................................... 1 1.3 研究方法..................................................................................................................... 2 1.4 先行研究..................................................................................................................... 2 2 ハードとソフト..................................................................................................................... 4 2.1 ゲーム機市場............................................................................................................. 4 2.2 ハードとソフトの関係について ............................................................................. 6 2.3 衰退している日本製ゲームソフト ......................................................................... 8 2.4 日本ゲーム市場の世界離れ ................................................................................... 10 2.5 ゲームのジャンル...................................................................................................12 2.6 日本ゲーム市場世界離れの原因分析 ...................................................................17 3 日本ゲーム市場での二分化 ............................................................................................... 17 3.1 世界で通用するタイトル:ファイナルファンタジーシリーズ ......................... 18 3.2 「ファイナルファンタジーシリーズ」が世界で成功した原因 ....................... 18 3.3 日本国内専用ゲーム:ギャルゲー ....................................................................... 21 3.4 ギャルゲーの特徴...................................................................................................21 3.5 ギャルゲーの市場規模及びその関連産業 ........................................................... 22 4 日本国内ゲームメーカーと消費者 ................................................................................... 24 4.1 変わろうとしない日本国内ゲーム消費者 ........................................................... 24 4.2 動き出さない日本国内ゲームメーカー及びその原因 ....................................... 25 4.3 提案 .......................................................................................................................... 26 おわりに .................................................................................................................................... 28 参考文献: ................................................................................................................................ 29 1 はじめに 1.1 研究の目的、意義 周知のように、ゲームは日本を代表するコンテンツであり、日本が世界に誇るエンターテ インメントの一つである。また、ゲーム産業は日本発の産業として経済発展に貢献している。 海外において日本コンテンツの「ソフトパワー」如何なく発揮し、新しい「日本文化」や「日 本ブランド」の発信にも貢献するなど大きな役割を果たしてきている。日本ゲーム産業は 1970 年代に発足し、約 40 年間の発展を経て、今では全世界に強い影響力を持ち、日本にと って極めて重要な産業となった。しかし、そのゲーム産業も今や市場規模の縮小や世界から 離れつつあるなどの問題に直面している。世界中も絶好調に入りつつあるゲーム産業であ るが、なぜ日本だけが取り残されているのか、日本のゲーム産業はこれからどう動くのか。 それらについて考察していきたいと思うのである。 本論文は二つの面から研究を進めていきたいと思うのである。一つはハードウエアとソ フトウエアの比較、もう一つは日本ゲーム市場における二分化現象。日本産ゲーム機は今で も世界市場の大半を占めているのに対して、肝心なソフトウエアはむしろ世界市場を失い つつある。ゲーム市場での二分化現象とは、世界中で通用するタイトルと国内市場専用のタ イトルが対立することである。これは日本だけの現象であり、日本だけの問題でもある。そ して、日本のゲーム市場では、ゲームメーカーと消費者の間におかしな現象が存在する。消 費者は”消費習慣”に縛り付けられて海外の新ジャンルのゲームを受け入れようとしないた め、新ジャンルのゲームが日本人に向いていないように見えている。国内メーカーが国内消 費者のニーズに合わないと思い込んでしまい、新ジャンルのゲームを開発しようとしない。 本論はこれらの問題を分析し、日本ゲーム産業これからの変革について対策と提案を出す つもりである。 1.2 研究対象 本論文の研究対象は日本ゲーム産業であるが、その中にはまたたくさんの子対象が含ま れている。まずはゲームの構成からソフトとハードを分け、それぞれを一つの独立の研究対 象として研究を進めたいと思う。また、両者はお互いに依存しあっている関係であるため、 横の比較とお互いへの影響も重要だと思う。また、ゲーム消費者も研究対象の中に入れる。 日本のゲーム産業の二分化現象から見ると、ゲーム消費者を日本国内の消費者と海外の消 費者を分けて分析する必要があると思うからである。また、ゲームソフトにおいて、いろい ろなジャンルがあるため、本論はいくつか世界と日本で流行っているジャンルのゲームを 比較しながら分析していきたいと思う。最後に、ゲームメーカーと消費者の関係についても 本論の重要な研究対象である、ゲーム市場を構成する最も重要な二つのグループとして、お 互いの関係と動向は日本ゲーム市場未来の成り行きを決定するといっても過言ではないだ ろう。 1 1.3 研究方法 本論文は主に今までの資料やデーターに基づいて、分析を通じて日本ゲーム産業世界離 れの原因を見つけ出し、対策を提案するつもりである。また、ゲーム産業を分析するには、 ゲームそのものをよく調べなければならないが、すべてのゲームをプレーするのは不可能 なので、各ジャンルの代表作を体験することでその主な特徴とプレーの仕方の違いを見つ け出し、各市場(地域別)での売り上げやシェアをあわせて分析していきたいと思う。特に、 日本国内専用のタイトルと世界で通用するタイトルの違いや特徴を見つけ出し、分析して いきたいと思う。また、できれば日本のゲームサイトでアンケット調査も行いたいと思いま す。アンケート調査のデザインは主に日本ゲーム産業の二分化現象をどう思うのかを中心 に展開していきたいと思いうのである。 1.4 先行研究 ファミ通が年に一度「ゲーム産業白書」(1998-2013)を発刊する。日本ゲーム産業の年 鑑として年ごとに一冊刊行してきたが、「ゲーム産業白書」は全体から日本ゲーム市場を 把握し、その成り行きを分析するのが特徴である。大量の最新で権威的なデータとグラフ が載っているため、ゲーム産業全体を分析するには必要不可欠なものだと思う。また、ゲ ーム産業は常に変化しつつあるため1、これまでの研究やデータが時代遅れになる可能性が 高い、ゆえに、「ゲーム産業白書」のような常に業界の最新動向を注目している年鑑は非 常に大切な資料だといえよう。 しかし、「ゲーム産業白書」はあくまでデータベースに類似するものであるため、日本 ゲーム産業と市場の現状を把握するには十分であるが、そのデーターをもとに分析するこ とが少ない。なお、当白書は日本のゲーム産業を中心としているため、他の国や地域との 比較が少ないように見える。最後、当白書は家庭用ゲーム機市場を重点的に研究する傾向 があり、特にゲーム機企業間の対立を注目しているらしい、しかし、ハードとソフトは依 存しつつありながら、対立しあう存在でもある。たとえば、セガとソニー、カプコンと任 天堂など、ハード企業の背後には必ず複数のゲームソフト企業が存在する。そして、この 連結関係が両方にも大きな影響をもたらすに違いない。ゲーム産業の分析はハードとソフ トに分けて見る必要があると思うが、当白書はこの点についてまだ不完全だといわざるを 得ない。 この点については JETRO の「日本のテレビゲーム産業の動向」がより全面的な分析を行 っていると私は思うのである。当論文はテレビゲーム(機)の始まりから現在テレビゲーム (機)の市場分布状況を詳しく説明してくれたのである。また、当論文は主に企業単位でテ レビゲーム(機)市場の推移を再現しながら、ソフトウエアとハードウエアの両方から入 り、より全面的な比較と分析も行っていると見える。しかし、ソフトウェアについて、当 1 たとえば、近年流行りだしたスマートフォンゲームがゲーム市場の地図を一気に変えたとの説もある。 2 論文は主に海外に通用するタイトルを取り上げて分析したため、日本国内専用のタイトル についてはあまり触れていない。そのため、日本ゲーム産業の二分化についてもほとんど 言及されていない。作者は日本ゲーム産業の問題を認めてはいるが、その原因はゲーム市 場の激しい変化にあると結論を出している。もちろんそれも一つの大きな原因だと思う が、その根本的な原因はやはり日本ゲーム産業自身にあると思う。本論はハードとソフト の関係に入り、日本ゲーム産業で起こっている二分化現象を分析し、その根本的な原因を 見つけ出す所存である。 ハードとソフトはもともと依存しあう関係であるが、それぞれの市場状況はまるで別と も言えよう。岡本基の「家庭用ゲームの集中について」はゲーム産業の市場集中という新 しい角度からゲームソフトとハードの関係をテーマとしている論文である。当論文は主に 日本の家庭用ゲーム産業の集中分布状況、ゲーム産業における独占とその原因いついての 分析を行っている。 確かに、家庭用ゲーム市場における独占は昔から存在している現象といえよう。特にハ ード市場では現在、主にソニー、任天堂及びマイクロソフトに占められている。しかし、 ゲームソフト市場ではまさにその逆とも言えよう、セガ、エニックスのような大手ゲーム ソフト企業も存在するとともに、名も知られていないたくさんの小さなゲーム会社も存在 している。しかし、その原因について当論文は答えを出していない。 これまでの研究は主に日本国内のゲーム産業に注目しているが、ゲーム産業はグローバ ル産業であるため、国内だけではなく、海外市場との比較も非常に大切だと思う。むし ろ、日本にとっては、国内より、海外市場のほうがずっと大きいとも言えよう。ゆえに、 グローバルゲーム産業の研究も大きな意味を持っていると私は思うのである。 白神浩志の「ゲーム市場の動向に関する研究」は主に家庭用ゲーム市場の動向と構造及 び日米欧の市場規模の比較を研究テーマとしている。当論文は企業別だけではなく、機種 別、地域別、種類別などさまざまな角度からゲーム市場の構造と動向を分析しているとこ ろがキラーポイントと私は思うのである。 しかし、当論文はデータと結論だけを出し、その原因及び以後に対する影響の分析がな い。また、ゲームソフトの種類別の分析もない。ゲームジャンルは日本ゲーム市場にとっ て取り上げなくてはならない問題である、昔は日本主導のゲーム市場であるため、世界中 のゲームほぼすべて日本製といっても過言ではない、ゆえに、この問題も存在しなかっ た。しかし、欧米や中国などでのゲーム産業の発展とともに、日本製以外のゲームジャン ルもたくさん出始めた、たとえば欧米では大歓迎の FPS、中国独特の武侠ゲームなど、こ れらの衝撃を受け、日本ゲーム市場では二分化現象が起こり始めた、本論の一つの大きな 課題はまさにこの二分化現象である。 以上で分かるように、今までの研究はそれぞれ注目しているところが違うものの、かな りいい成果を出していると私は思うのである。しかし、近年ますます顕著になった日本ゲ ーム産業の“世界離れ”の問題について、気づいた研究者もいるが、深く研究している方 はいないようである。本論はこの“世界離れ”問題を重点的に研究していくつもりである ため、この空白を少しでも埋めることができれば幸いだと思う所存である。 3 2 ハードとソフト 2.1 ゲーム機市場 まず、ハードを見てみよう。ハードとはつまり、ゲーム機である。ゲーム機市場は長い歴 史を持っていると言える。世界初のテレビゲーム機オデッセイから見ると、ゲーム業界はす でに 40 年以上存在し、発展してきたのである。この中で日本のゲーム業界は抜きでは話に ならないほど大活躍したといえるだろう。特に任天堂が 1983 年に開発した「ファミリーコ ンピュータ」 (以下ファミコン)以来、日本のゲーム業界は世界制覇を完成したとも言える だろう。このファミコンが出る前にも様々な会社からゲーム機が開発されていたが、任天堂 はファミコンにあわせて人気ゲームソフト(マリオブラザーズ、ドラゴンクエストなど)の 開発と販売で一気に市場に切り出し、大成功を収めていた。ここからの約十年間、任天堂と 互角できるゲーム会社が出ておらず、任天堂の独占が成り立っていた。 1996 年、日本経済新聞がゲーム機のシァエに対する調査によりますと、SCE(SONY COMPUTER ENTERTAINMENT)、任天堂、セガの大手三社が市場の 98.1%を占めていた。この時 点で、任天堂の独占はすでに終わり、売り上げも SCE を下回っていた。 1994 年、SCE が 32bit 機である PlayStation を発売し、任天堂との競争を始めたのであ る。当時、PS は 3D に特化したハード構成で、大容量と 3D 性能の高さを誇り、業界から高 く評価されていた。ハードにあわせ、「鉄拳」 、 「バイオハザード」などのヒット作が続々 とリリースされ、1996 年スクウェアが FF(ファイナルファンタジー)シリーズ初の 3DRPG (ファイナルファンタジー7)を PS 専用ソフトとして発売することで販売台数が飛躍的に 伸びていき、セガや任天堂と大差をつけ始めた。 1998 年、セガがドリームキャストを発売したが、2001 年に販売終了を宣言し、ゲーム のハードウェアから撤退した。以後、セガはゲームソフトの開発と販売に専念してきた。 セガの撤退後、日本のゲーム機市場ではソニーと任天堂だけが残っており、両社が激し い競争を繰り返してきたが、この状況が今でも続いており、日本のゲーム産業に多大な影 響をもたらしている。 2000 年、PS の後継機として、SCE が PS2 を発売し、2003 年頃には日本国内外ともにト ップシェアとなったのである。2011 年 2 月 14 日、PS2 の世界累計出産台数が1億 5000 万 台に達しており、世界でもっとも売れているゲーム機となっていた。 PS と PS2 の成功は、ハード自身の優れた性能や数多くの専用タイトルの支えのほか、競 争相手の欠如も大きな原因のひとつである。当時はソニーと任天堂のほか、世界で両社と 匹敵できるほどのゲーム企業がおらず、世界市場が両社だけに支配されているといっても いいのであろう。 そして、この局面を打破したのはマイクロソフトであった。2002 年、マイクロソフトが 日本で Xbox を発売し、日本のゲーム業界への参入を始めたのである。 しかし、結果から言うと、失敗した。Xbox の販売台数は全世界で約 2400 万台に達して いたが、その中で日本市場でのシェアはただ約 50 万台にとどまっていたのである。その 原因はいくつも挙げられる。 1、 経験不足:マイクロソフト以前に、日本のゲーム市場に本格参入した外国企業はほ 4 とんどなく、参照できる前例ゼロともいえよう。 2、 洋ゲーだらけ:発売当初のラインナップは海外のタイトルだらけで、日本ソフトメ ーカーのタイトルほとんどなし。ハードが売れずキラーコンテンツも出せない悪循 環に陥ってしまったのである。 3、 バリエーションなし:PS2 は発売されて以来、SCPH-10000 系から始まり、SCPH30000 系、SCPH-5000 系、SCPH-70000 系、SCPH-9000 系2に至るまで、約一年ごとに新 バージョンの本体が開発、販売されていった。それに対して、Xbox は発売日から販 売終了までバリエーションなし、ユーザーに常に新しい体験をもたらす方面で PS2 に完敗したともいえよう。 日本市場では苦戦し続けているものの、マイクロソフトの参入により、ゲーム業界の世 界地図に大きな変化が起きたのである。特に北米市場では Xbox が圧倒的な優位性を保 ち、世界各地域で SCE、任天堂と激しい競争を繰り返してきたのである。 この競争は今でも続いているが、ソニー、任天堂、マイクロソフトという三分天下の構 図は定着しつつあり、今ではお互い互角という状態になっている。 販売台数から見ると、グローバルでは任天堂とソニーがほぼ同じで、マイクロソフトと はすでに大差をつけていたが、近年では、次世代機種の発売とともに、任天堂の WiiU が 売り上げが伸び悩んでいるため、すでにマイクロソフトの Xbox One に抜かれている状態 である。一方、ソニーの PS4 は勢いよく伸び続け、発売以来すでに千万台を突破したとい う。 表1 Pos Platform 1 Playstation 2 2 プラットフォームトータル(単位:百万本) North Rest of Europe Japan 53.65 55.28 23.18 25.57 157.68 Nintendo DS 57.37 52.07 33.01 12.43 154.88 3 Game Boy 43.18 40.05 32.47 2.99 118.69 4 Playstation 38.94 36.91 19.36 9.04 104.25 5 Wii 45.20 33.75 12.76 9.28 100.99 6 Playstation 3 28.45 32.98 9.96 11.36 82.75 7 Game Boy Advance 40.39 21.31 16.96 2.85 81.51 8 Xbox 360 46.51 25.23 1.66 7.87 81.27 9 Playstaion Portable 21.40 24.14 19.98 15.26 80.78 10 Nintendo Entertainment System 33.49 8.30 19.35 0.77 61.97 America World Global (データソース:http://www.vgchartz.com/) 10000 系から 30000 系までは主にシステム上のアップデートだったが、5000 系からはハードウェア自身 の改造を始めた。たとえば、5000 系はハードディスク容量の拡張、9000 系はハードディスク自主置き換 え可能など、大きな改修を行っていた。 2 5 表 1 に表されているのは各プラットフォーム(ゲーム機)が世界各地域での累計販売台 数(ミリオン単位)トップ 10。この表を見て Xbox360 以外、全部 SCE と任天堂のプラット フォームであることが分かった。そして地域別で見ると、世界のゲーム機市場は大体以下 の四つに分かれている、北米、ヨーロッパ、日本およびその他。そして各プラットフォー ムの販売台数から推測すれば、各地域のゲーム機市場規模も比較できると思う:北米とヨ ーロッパはほぼ同じで、各約 30%を占めているのに対して、日本のシェアはやや小さく (25%くらい)、残りの 15%は他の世界各地に分散している。 次は機種別で見てみよう、Xbox はトータルトップ 10 に入ったものの、販売台数から見 ると、一位と二位の PS2 や NDS にくらべてみたら、全然比べ物にならないことが一目瞭然 である。もちろん、Xbox360 と PS2 は同世代のものではないため、比べる意味がないとい う意見もあるかもしれないが、同世代の PS3 や Wii と比べてみたらどうであろう。PS3 と はほぼ同じであるものの、Wii とは依然として 2000 万台ほどの大差がついているのであ る。比例から見れば、同世代の三大機種のシェアは Wii が 38.1%、PS3 が 31.2%及び Xbox360 の 30.7%という構図になっている。 2010 年以降、三大機種の次世代機種3(Wii U、PS4、Xbox One)が次々と発表され、発売 されていった。今回も全世界でゲーム機戦争を巻き起こすに違いないであろうが、Xbox One が一気にトップに君臨し、他の両社を打ち破るとはとても考えにくいのである。そし て、今まで公表された数字から見ると、PS4 の販売台数はすでに Xbox One を超え(700 万 台対 500 万台)、今にも好調を続けている模様。Wii U は 2013 年に入ってから新作ソフト がほとんど発売されていないためか、苦戦に陥ってしまったが、ゲーム機発売から 2 年後 こそが山場ということもあって、今後の成り行きを推測しかねる。 つまり、ゲーム機市場では、マイクロソフトの参入にもかかわらず、日本のゲーム機メ ーカーは依然として圧倒的な優位性を持っていると言えよう。SCE、任天堂、マイクロソ フトという三大ゲーム機メーカー三分天下の状態が定着しつつあるにつれ、新しいゲーム 機メーカーの参入も難しいと容易に推測できるのである。こういう膠着状態が続く限り、 日本のゲーム機市場での覇権は動じがたいと思うのであるが、なぜ、日本のゲーム産業が 衰退し続けるといえるのであろう。 2.2 ハードとソフトの関係について 前述のように、ゲーム機市場では、日本は依然として世界の半分以上のシェアを占めて いる。そして、これからも大きな変化が起こるとは考えにくいのである。しかし、日本の ゲーム産業の衰退もゲーム業界の共通認識であり、その証拠はソフトにあるのである。 ゲーム産業はパーツから分解すれば、二つの相対的に独立した産業に分かれることがで きるのである。一つはハード、もうひとつはソフトである。消費者から見れば、最終的に 消費するのはソフトであり、ハードではないのである。つまり、ハードはあくまで媒体で あり、ゲーム(ソフト)をプレイする道具である。前に言ったように、PS と PS2 の成功の 一つの大きな原因は専用タイトルにあり、ソフトこそが消費者にハードを買わせる原動力 WiiU、Xbox One、PS4 が次世代機種と呼ばれているのに対して、Wii、Xbox 360 及び PS3 が当世代機種 と呼ばわれている、その主な違いは CPU 性能やグラフィックスにあるとされている。 3 6 であると言えよう。 では、ゲーム産業のハードとソフトは一体どんな関係を持っているのだろうか4。これは 少し難しい問題であり、標準な答えもないと思うのであるが、以下の三つの方面から説明 してみたいと思うのである。 1、 順番から言えば、ハードありのソフトとも言えると思うのである。つまり、市場で はまずハード(ゲーム機)が開発され、発売されてから、ゲームソフトがどんどん出 てくるのが普通のパターンである。なぜなら、ハードなしのソフトはありえないか らである。前述のように、ハードは媒体であり、ゲームソフトをプレイする道具で ある。ゆえに、ハードが存在しない場合、ソフトを開発しようとも、それを実現す る手段がないため、開発できないのである。 2、 競争を勝ち抜くためには、ソフトありのハードである。ここで「サードパーティ ー」というコンセプトを導入したいと思うのである。ゲーム業界のサードパーティ ーというのは、簡単に言うと、ゲームソフト発売会社である。ハードメーカーがゲ ーム機を発売後、まず考えなくてはならないことはサードバーティーの囲い込みで ある。多くのサードパーティーに支持され、よりよいコンテンツを提供できるハー ドは市場で大きなシェアを獲得できることは容易に想像できるのであろう。消費者 から見れば、ゲーム機を買う前に、まず考えるのはこのプラットフォームで自分の 好きなゲームをプレイできるかどうかである。もし自分の好きなゲームをこのゲー ム機でプレイできない場合、自然に他のプラットフォームに目を移し、最終的には 市場シェアをどのくらい獲得できるのかに影響するのである。 3、 お互いに依存し合い、影響し合う関係にある。以上の二つから見れば、ソフトがハ ードにもたらす影響のほうが大きいように見えるかもしれないが、実はそうでもな く、むしろサードパーティーのほうがずっと生存しにくいとも言えよう。なぜな ら、ゲームソフト業界の競争はハードよりずっと激しいからである。ハード業界で もかつてゲーム機会社が林立し、お互い激しく争いあった時期もあるが、それが 20 年近く経ていまや SCE、任天堂、マイクロソフト三分天下の構図になっている。ゲー ム機市場への参入は莫大なコストがかかる上に、リスクも相当高いゆえ、相当な実 力や成功な経営戦略なしではほぼ不可能である。それに対して、いったん市場での 地位を確立した場合、市場が飽和し、衰退するまでずっと優位性を保てるから(今の 三大大手会社のように)誘惑甚大とも言えよう。では、ソフト業界でもハードとは同 じ状況なのかといえば、そうではなく、むしろその逆ともいえると思うのである。 ゲーム機とは違い、ソフト市場への参入はとても簡単なことである。今のサードパ ーティーは形式上ハードメーカーからライセンス許諾を受ける形でソフトを開発、 販売することになっているため、ライセンスを取るだけですぐにゲーム開発を開始 できるのである。それにいまやハードメーカーは市場でのシェアを獲得するため、 サードパーティーの囲い込みに必死であるため、ライセンスの取得は難しいことで はない。参入のハードルが低いゆえ、参入者の増大も必至であり、結局、激しい競 争を招いてしまうのである。それに、ハードとは違い、いったん定着したらしばら く構図が変わらないことはなく、ソフト業界はいつも変動中にあると言えよう。現 JETRO の「日本のテレビゲーム産業の動向」の中ではハードがソフトに対する影響のほうが大きいと主 張しているが、それは当時の状況(独立したソフトウェアメーカーが数少ない)によるものだと思う。今 ではむしろその逆だと私は思うのである。 4 7 にあるスクウェア・エニックス、バンダイナムコゲームス、セガ、アクティビジョ ン・ブリザードなど大手サードパーティーのほかにも無数の小さなゲーム会社が存 在し、お互い激しい競争を繰り返しているのである。 2.3 衰退している日本製ゲームソフト 前述のように、ハードとソフトは実にお互い依存し合い、切っても切れない関係にあ るが、ゲーム業界ではソフトをハードから独立して見る傾向がある。ゲームソフトを開 発する会社によってゲームにそれぞれの特徴もあるが、要するにどの会社も“売れる” ことを目標としてゲームを開発しているに違いないのであろう。これで一つの問題が表 れたのである。“売れる”とはもちろんユーザー、言い換えれば消費者をターゲットに目 指す目標であるが、この消費者もまたいろいろなタイプに分けられているのである。な ぜかというと、消費者とはつまり、人であり、一人ごとにもそれぞれ異なる考え方や好 みを持っているかもしれない。 しかし、ゲームソフトメーカーにとって、一つのゲームを開発する際に、消費者一人 ひとりの異なる好みや好きなジャンルをまとめて考えるのは明らかに不可能であり、現 実的でもない。それで、どうやって“売れる”を実現できるのであろう。グローバル市 場は主に北米、ヨーロッパ、日本およびそのほかの地域に分けられているが、ここは日 本と北米及びヨーロッパとの比較を重点として分析していきたいと思う。なお、その他 の地域の販売本数は非常に少ないため、図には入っていないが、知りたい場合はグロー バルから北米、ヨーロッパ及び日本の総販売本数をマイナス計算で結果が出てくる。 表 2 もっとも売れたゲームタイトルトップ 10(単位:百万本) Pos Game Platform Year Genre Publisher 1 Wii Sports Wii 2006 Sports Nintendo 2 Super Mario Bros NES 1985 Platform 3 Mario Kart Wii Wii 2008 4 Wii Sports Resort Wii 5 Pokemon Red/Green/Blue 6 North Europe Japan Global 41.08 28.71 3.77 81.96 Nintendo 29.08 3.58 6.81 40.24 Racing Nintendo 15.13 12.41 3.73 34.46 2009 Sports Nintendo 15.42 10.75 3.25 32.32 GB 1996 Role-Play Nintendo 11.27 8.89 10.22 31.37 Tetris GB 1989 Puzzle Nintendo 23.20 2.26 4.22 30.26 7 New Super Mario Bros DS 2006 Platform Nintendo 11.13 8.96 6.49 29.44 8 Wii Play Wii 2006 Misc Nintendo 13.89 9.14 2.93 28.80 9 Duck Hunt NES 1984 Shooter Nintendo 26.93 0.63 0.28 28.31 10 New Super Mario Bros. Wii Wii 2009 Platform Nintendo 13.91 6.61 4.69 27.37 (データソース:http://www.vgchartz.com/gamedb/) 8 America これはグローバルトータルトップ 10(シングルプラットフォーム5)のゲームソフトのリ ストである。一見しては全部任天堂のゲームであり、もはや世界制覇といっても過言では ないような気がするが、ここは年代にも注意してほしいのである。このトップ 10 の中 で、一番近いのは四番と十番の Wii Sports Resort と New Super Mario Bros. Wii であ り、2009 年発売。そして中に 1985-2000 年のゲームは四割も占めている。この時期はマイ クロソフトがまだゲーム産業に参入していない時期のため、市場では任天堂、SCE 及びセ ガが独占していた時期とも言えよう。加えて SCE は発足してから長く経っていないため、 ハードではすさまじい勢いを呈していたものの、ソフトでは任天堂の伝統的な優位性にま だ対抗できなかったのである。セガはすでに退勢を現し、2001 年にハードから撤退したの である。つまりここは任天堂の伝統的な優位性の延長であり、実際、WiiU(Wii の次世代機 種)が発売されて以来伸び悩む状態に陥り、新作もほとんど発売されていないのは現状で ある。 次ぎは、グローバルトータルランキング 30-40 にも注目してみたいのであるが、これは 特に年代に注意してほしいのである。中に同じタイトル名のゲームも存在するが、その区 別は図の後に説明させてもらう。 表 3 もっとも売れたゲームタイトルランキング 30-40(単位:百万本) Pos Game Platform Year Genre Publisher 30 Call of Duty 8 X360 2011 Shooter Activision 31 Call of Duty 7 X360 2010 Shooter 32 Grand Theft Auto 5 X360 2013 33 Call of Duty 6 X360 34 Grand Theft Auto 3 35 North Europe Japan Global 8.70 4.11 0.13 14.21 Activision 9.29 3.55 0.11 14.03 Action Take-Two 8.02 4.53 0.05 13.74 2009 Shooter Activision 8.37 3.50 0.08 13.21 PS2 2001 Action Take-Two 6.99 4.51 0.30 13.10 Call of Duty 8 PS3 2011 Shooter Activision 5.37 5.50 0.49 12.83 36 Call of Duty 9 X360 2012 Shooter Activision 7.75 4.00 0.05 12.67 37 Call of Duty 7 PS3 2010 Shooter Activision 5.78 4.18 0.48 12.13 38 Super Smash Bros. Brawl Wii 2008 Fighting Nintendo 6.24 2.37 2.58 12.13 39 Animal Crossing: Wild World DS 2005 Simulatio Nintendo 2.46 3.34 5.33 11.98 Microsoft 7.80 2.77 0.13 11.90 America n 40 Halo 3 X360 2007 Shooter (データソース:http://www.vgchartz.com/gamedb/) 一つのプラットフォームのみに発売されるゲームを指す、また独占ゲームとも呼ばわれている。任天堂 の独占ゲームが非常に多いため、業界からもよく批判されている。 5 9 トータルでは前のトップ 10 とは全然比べ物にならないように見えるが、実はそうでも ないのである。たとえば 30 番の「Call of Duty: Modern Warfare 3」は 35 番にも現れて いる。この二つは同じゲームであるが、少し違うところもある。この違いはプラットフォ ームにある。30 番の「Call of Duty: Modern Warfare 3」に対応するプラットフォームは Xbox360 であるが、35 番の「Call of Duty: Modern Warfare 3」はプラットフォーム PS3 に対応しているのである。このように二つ以上のプラットフォームに対応するゲームはマ ルチプラットフォームタイトルと呼ばわれ、発売される時はプラットフォームによって分 かれて発売されるのである。ちなみに、「Call of Duty: Modern Warfare 3」は Xbox360 と PS3 のほか、Wii と PC にも対応しているため、トータルを計算するとき、全プラットフ ォームの本数を計算に入れなければならないのである、つまり、「Call of Duty: Modern Warfare 3」のグローバルトータルは 14.21+0.72+12.83+1.62=29.38(ミリオン単 位)本である。こうして計算して見ると、前八位にも入ったのである。しかもこのゲーム は 2011 年発売で、まだ三年しか経っていないため、これからもどんどん伸びていく可能 性もあると言えよう。 もう一つの例は 22 番目の「Grand Theft Auto V」である。当タイトルは 2013 年 9 月発 売、PS3、Xbox360、Xbox One(未発売)、PS4(未発売)、PC(暫定)に対応するマルチプラッ トフォームタイトルである。2014 年 5 月 3 日まで、当タイトルのグローバルトータルは 13.76(Xbox360)+17.33(PS3)=31.09(ミリオン単位)に達しており、ただ八ヶ月の時間でグ ローバルトップ 10 に入り、七つのギネス記録まで樹立した、24 時間で最も売れたアクシ ョンアドベンチャービデオゲーム、24 時間で最も売れたビデオゲーム、十億 US ドルを最 速で売り上げたエンターテイメント資産、十億 US ドルを最速で売り上げたビデオゲー ム、24 時間で最も収益を上げたビデオゲーム、24 時間で一つのエンターテイメント資産 から得られた最も高い収益、最もトレイラーが見られたアクションアドベチャーゲーム6。 まさにすさまじい勢いで世界を席巻しているといえよう。しかも、今までは二つのプラッ トフォームでしか発売されていないため、将来の次世代ゲーム機(PS4、Xbox One)での発 売に加えて、また大きなセールスの伸びをもたらすに違いないのであろう。 2.4 日本ゲーム市場の世界離れ 「Call of Duty: Modern Warfare 3」と「Grand Theft Auto V」、いずれも世界市場で大 きな成功を収めたゲームであるが、両方も同じ問題を抱いているといえよう。それは、日 本市場での失敗である。なぜかというと、二つのゲームは同じく日本市場でのシェアは非 常に低いからである。 まずは「Call of Duty: Modern Warfare 3」のほうを見てみよう。ここは日本市場に注 目したいため、「Call of Duty: Modern Warfare 3」のトータルを機種と地域別に分けて 比べて見る方法をとることにしたのである、以下「Grand Theft Auto V」も同じである。 前にも言ったように、ゲーム市場では大体北米、欧州、日本及びその他の四つに分かれ ているのである。そして市場規模から見ると、北米とヨーロッパはほぼ同じで、各約 30% を占めているのに対して、日本のシェアはやや小さく(25%くらい)、残りの 15%は他の世 6 Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/。「Grand Theft Auto V」の七つのギネス記録 10 界各地に分散しているという構図になっているのである。しかし、「Call of Duty: Modern Warfare 3」と「Grand Theft Auto V」という二つの大ヒット作が日本市場でのシ ェアは驚くべきくらい低いのである。 表4 「Call of Duty: Modern Warfare 3」各地域での販売本数及びシェア PS3 Xbox 360 Wii PC 北米 5.37m 41.8% 8.70m 61.2% 0.48m 66.0% 0.38m 23.5% 欧州 5.50m 42.9% 4.11m 28.9% 0.18m 24.9% 0.92m 56.9% 日本 0.49m 3.8% 0.13m 0.9% その他 1.47m 11.5% 1.27m 9.0% 0.07m 9.1% 0.32m 19.6% (データソース:http://www.gamelook.com.cn/、http://www.xbox.com/、 http://www.scei.co.jp/、http://www.nintendo.co.jp/、http://www.activision.com/) 表5 「Grand Theft Auto V」各地域での販売本数及びシェア PS3 Xbox 360 北米 5.87m 33.9% 8.04m 61.2% 欧州 7.47m 43.1% 4.54m 33.0% 日本 0.75m 4.10% 0.05m 0.40% その他 3.24m 18.70% 1.14m 8.30% (データソース:http://www.gamelook.com.cn/、http://www.rockstargames.com/、 http://www.scei.co.jp/、http://www.xbox.com/) ご覧の通り、「Call of Duty: Modern Warfare 3」も「Grand Theft Auto V」もグローバ ルでは大きな成功を収めたものの、日本市場だけではほとんど売れなかった状態に陥って しまったのである。市場規模から言っても、日本は決して小さくなく、北米や欧州と比べ ても劣らないといえよう。ではなぜ、この大ヒット作は日本でのシェアはここまで低かっ 11 たのであろう。私はゲームのジャンルにあると思うのであるが、まずゲームジャンルから 説明してみたいと思うのである。 2.5 ゲームのジャンル7 ゲームソフトと一言いっても、本当はいろいろなジャンルに分けられているのである。 よく見かけるジャンは FPS、RPG、ACT、AVG などがあるが、いちいち例を挙げるときりが ないため、ここで現に最も流行っているゲームのジャンルをいくつか紹介してみたいので ある。FPS とはファーストパーソンシューティングゲームの略称で、日本語では第一人称 射撃ゲームとも呼ばわれているのである。「Call of Duty: Modern Warfare 3」は当ジャ ンルの典型的な代表といえよう。当ジャンルのゲームの中では、プレーヤーは第一人称視 点でゲーム世界で自由に移動し、武器(主に銃)を手にいろいろな敵と戦うことができる のである。また、第一人称であるため、基本的に画面に映されるのはプレーヤーキャラク ターの腕と武器だけであり、それ以外は全部ゲーム世界の画面である。こういう設定によ り、プレーヤーに“自分はゲームキャラクターそのものだ”という感覚を与え、ゲームに 集中しやすい効果やクリアした後の達成感の増大をもたらすことができるのである。FPS と違って、RPG とはロールプレーイングゲームの略称で、プレーヤーが自分に割り当てら れたゲームキャラクターを操作し、ゲームの中の任務を成し遂げることで目的の達成を目 指すゲームをである。文字通り、ロールプレイの重点は役割を演じるというところにあ り、プレーヤーは自分に割り当てられたキャラクターを演じることでゲームを楽しむのが 当ジャンルの一番大きな特徴である。ファイナルファンタジーシリーズは日本の RPG の代 表であり、日本で最も流行っているゲームのジャンルでもある。最後に ACT も紹介してみ たいが、これはアクションの略称で、文字通り、アクションゲームを指すのである。アク ションゲームを分解すれば、さらに多くのジャンルに分けられるため、ここは「Grand Theft Auto V」に代表されるクライムアクションゲームだけを見てみよう。クライムアク ションゲームとは名のとおり、主に現代都市での犯罪行為が可能なゲーム世界で、プレー ヤーがその“犯罪者”を演じて、いろいろな犯罪行為(殺人、強盗、乱暴)によって任務 を成し遂げるゲームである。しかし、クライムアクションゲームがユーザーを引き付ける 一番大きな原因は犯罪行為それ自身にあると言えよう。プレーヤーがゲーム世界での犯罪 行為を行うことで達成感を得、犯罪行為それ自身を楽しんでいるといわざるをえないので あろう。 以上の三種類の中で、日本で最も流行っているのは RPG で、他の二種類はほとんど流行 っていないのは事実である。それはなぜであろう、違うジャンルのゲームの違いは一体ど こにあるのであろう。全世界で大流行しているゲームはなぜ日本だけで売れないのであろ う。 これは日本ゲーム産業の歴史や日本人独特の考え方に関係していると思うのである。こ れは今日本市場が世界から隔離されている原因でもあり、日本のゲーム産業はこれから再 び世界と融合できるかどうかの一大要素でもある。 7 ゲームのジャンルは特徴によって分類方法も違うので、標準的な分類方法は存在しないとされている。 12
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