解説書 - HATOプロジェクト

放射線教育プロジェクト
ビデオコンテンツ(解説)
放射線教育プロジェクト ビデオコンテンツ 解説
タイトル
「コレクションボックス型霧箱」
視聴対象
理系科目(高校「物理Ⅱ」相当を履修済み等)既習の大学生、
理科教員研修者
ビデオ概要
放射線を学び始めた学生にとって、霧箱は放射線を直感的に理解するのに適した教材である。
霧箱は、通常、寒剤にドライアイスや液体窒素などを用いるが、この教材は冷凍庫で凍る「フロ
ーズンシート-18」という保冷剤や、塩と水(凍結食塩水)という入手しやすい寒剤を用いている
ため、より簡易に霧箱実験を行うことができる。
また、四角形であるコレクションボックスを利用することで、平面から霧箱内部を観察できるた
め、飛跡の観察・写真撮影も容易である。
この霧箱の作製方法を紹介する。
ビデオの使い方例
・コレクションボックス型簡易霧箱の作り方の説明に利用する。
・霧箱で観察できる放射線(α線)の飛跡の見え方の説明に利用する。
その他
詳細については、以下の「解説補足資料」にて説明する。
<参考文献>
Kyouhei Yoshinaga, Miki Kubota, and Masahiro Kamata
“Simple cloud chambers using a freezing mixture of ice and cooking salt”
Physics Education 50(1) pp.23-27, 2015
Masahiro Kamata, and Miki Kubota
“Simple cloud chambers using gel ice packs”
Physics Education 47(4), pp.429-433, 2012
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解説補足資料
<コレクションボックス型霧箱の作成>
1.霧箱作成のために必要な材料
1.コレクションボックス型霧箱 材料一覧(①)
①
①コレクションボックスを用いた霧箱の作成を行う。
この一覧にあるものの他に、放射線源が必要。
ここではキャンプ用ガスランタンの芯(マントル)を用いた。
2.霧箱のつくり方(手順)
②コレクションボックスの底面に穴を開ける。本実験では、
半田ごての先端をカッターの刃と付け替え、熱を与えなが
2.霧箱本体のつくり方
ら図②のように穴を開けている。この穴をふさぐようにアル
ミテープを貼る。
②
③ ②を逆さにし、4枚重ねたフェルトをボックスの内側から、
アルミテープに貼り付ける。
③
④ボックスを逆さから元の状態に戻し、上面にステンレス容
器を載せて、アルミテープで側面から固定する。
⑧(左最下段)冷却部の作製。「フローズンシート-18」を、
④
発泡スチロールのスペーサを入れて、アルミ板に挟んで
冷凍庫で冷却する。冷凍庫の性能によって、完全に凍るま
で2日ほどかかることもあるので注意する。
⑤
3.実験・観察
⑤ ④のボックス内部のフェルトにエタノールをしみ込ませ
る。完全に凍った「フローズンシート-18」を冷凍庫から取り
⑥
出し、中央に線源を置き、エタノールをしみ込ませたコレク
ションボックスを載せる。ステンレスカップに80℃のお湯を
⑦
注ぐ。
部屋を少し暗くして、ボックス側面から LED ライトをあて
る。ボックス内が十分に冷えてくれば、放射線(α 線)の飛
跡が見えるようになる。見えにくい場合には、塩化ビニル製
⑧
のパイプをティッシュペーパーでこすって静電気を起こし、
ボックスに近づけると、飛跡が見えやすくなる。(静電気内
部の雑イオンを除去し、放射線の飛跡を見やすくする働き
があるとされている。)
⑥霧箱で見ることのできる放射線(α 線)の飛跡。
⑦「フローズンシート-18」が入手できない場合には、飽和
食塩水で代用することができる(冷凍庫の性能によって、
完全に凍らないこともあるので注意する)。