物語中の行動の印象から推測される 体格に基づくキャラクタ描写 Character’s Body Drawing Based on Impressions of Character Actions in a Story ○小幡 祥平 ○Syouhei Obata 筑波大学 Tsukuba University Abstract: This research proposes the method of character drawing based on impressions of character actions in a story. A user inputs a story text and a name of character wants to describe to the system. The system extracts all actions in the story of the character. The system infers the impressions of the character from the extracted actions, and calculates parameters to drawing the character. The character is drawn by using the calculated parameter. 1. はじめに 2. システム概要 近年日本の漫画は海外でも非常に人気があり,世界的に 図 1 にキャラクタ生成までの流れを示す.ユーザはシス 高い注目を集めている[1].また,pixiv[2]のように,WEB テムに物語テキストと,描写したい登場人物の名前を入力 漫画などの自分の作品を簡単に公開できるインターネッ する.システムは入力された物語テキストから,登場人物 トサイトが台頭してきていることから,漫画を描きたいと の体格と顔を推論し,出力する. 思っている人は増えている.しかし,漫画を描くためには 様々な技術や知識が必要となることから,漫画は誰もが簡 単に書けるものではない.そのため,コンピュータによっ て漫画を自動生成する研究や,漫画の執筆を支援する研究 が行われている [3][4].また 2010 年には,漫画作成を支 援するソフトとしてコミ Po! [5]が発売されている.これま での研究で提案されたシステムやコミ Po!では,データベ ースにあらかじめ用意されたキャラクタやパーツ,背景な どを配置することで漫画が描かれている.しかし,あらか じめ用意されたキャラクタやパーツを組み合わせるだけ では,既存の物語のイメージに合ったキャラクタを表現す 図1 システムの流れ ることは難しい.また,漫画を自作する際には,その題材 となる物語の登場人物を,物語中の印象通りに描く必要が 2.1. 登場人物の行動抽出 ある.漫画には多くの要素があるが,その中でも特にキャ システムは入力された物語テキストから,描写する登場 ラクタの描写は漫画の面白さを決定するうえで重要なも 人物の行動を抽出する.行動の抽出には日本語係り受け解 のであり,またそれゆえに難しい部分でもある.そこで本 析器 Cabocha[6]を用いる. 研究では,物語中の登場人物が行った行動からその登場人 2.2. 行動のイメージ推論 物の体格と顔を推定し,キャラクタモデルの描写を行う方 抽出された行動の一つ一つに,それぞれの行動から推測 法を提案する.物語中に具体的な身体描写がなくても,登 される登場人物のイメージを印象パラメータとして与え 場人物の行動から得られる印象を身体モデルに反映させ る.印象パラメータは複数の形容詞対で表現される.登場 ることで,その登場人物を適切に表現するキャラクタを描 人物が行った全ての行動の印象パラメータを合計し,合計 写することができる. した値を登場人物の印象パラメータとする. 2.3. 身体,顔モデル作成部 得られた登場人物の印象パラメータから,身体モデルと 顔モデルを描写するための身体パラメータと顔パラメー して,システムで提示される身体モデルが物語中の登場人 タを算出し,キャラクタモデルを描写する. 物の身体モデルとして適切かどうかを評価してもらう. 3. これまでの研究 これまでの研究では顔モデルを省き,身体モデルのみを 実験 2 の結果,評価は悪くなかったが,被験者ごとに イメージの違いがあり,評価が分かれた.特に,ユーザの 提示するシステムを構築した.実際に提示される身体モデ キャラクタモデルに対するイメージが固まっている場合, ルの例を図 2 に示す. 身体モデルを描写するための身体パ 適切であるという評価を得ることはできなかった. ラメータを算出するためにニューラルネットワークを用 4. おわりに いた. 物語中の登場人物が行った行動から,その登場人物の印 象を推定しキャラクタモデルを描写する方法を提案した. 4.1. 今後の展望 物語中の行動から適切に登場人物の印象を推論できる ようにし,物語テキストから自動でキャラクタモデルを生 成できるようにする.また,顔モデル作成部を作り,より 豊かに物語中の登場人物の印象を表現できるようにする. 参考文献 [1] 熊野七絵,廣利正代 : 「アニメ・マンガ」 調査研究 ―地域事情と日本語教材―,国際交流基金日本語教育 紀要 4, pp.55-69, 2008 [2] イラストコミニュケーションサイト 図 2 身体モデルの例 pixiv, http://www.pixiv.net/ [3] 木島沙弥子,曳野京子,平川正人 : 物語からの絵の自 3.1. 実験及び考察 提案手法の有効性を検証するために,実験 1 を行った. 実験 1 被験者に物語を読んでもらい,読んだ物語をシステム に入力してもらう.そして,システムで提示される身体モ デルが物語中の登場人物の身体モデルとして適切かどう かを評価してもらう. 動生成,人口知能学会研究,SIG-SLUD-A603-10,2003 [4] 真部雄介 : 物語を自動で映像化する方法―行為表現 オントロジーの構築―,ことば工学研究会 29, 87-96, 2008-07-11,2008 [5] コミ Po!(コミポ)~絵を描かなくてもポッと漫画が作れ ちゃう~ http://www.comipo.com/ [6] Cabocha/南瓜,Yet Another Japanese Dependency Structure Analyzer, 実験 1 を行ったところ,有効な結果は得られなかった. http://chasen.org/~taku/software/cabocha/ 理由としては,印象パラメータの算出がうまくいっていな かったことが挙げられる.そこで,行動のイメージ推論部 連絡先 を省き,登場人物の印象パラメータをユーザが直接入力す 筑波大学 理工学群 工学システム学類 4 年次 ることにした.この手法で実験 2 を行った. 小幡 祥平 実験 2 [email protected] 被験者に物語を読んでもらい,物語中の登場人物の印象 パラメータを 6 つの形容詞対を用いて入力してもらう. そ
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