拝啓 牛乳販売店様 コンピュータの営業マンの目で見た 牛乳販売店の現状と問題点 はじめに 弊社は、牛乳販売業向けのシステムを販売いたしております。 おかげさまで、鹿児島県内では、コンピュータをご利用の販売店様の 90%以上に弊社のシステムが採用されています。 皆様、一様に売り上げを仲ばされて、導入時の2倍、3倍の顧客数と なり、メーカーによる販売店ランクの上位に名を連ね、中には導入時 の5倍もの件数になり、地域の一番店として盤石の地位を築いておら れるお店もあります。 しかしながら、同じシステムを使い、同じように商売をしておられ るのに、一向に売り上げが伸びずに、そればかりか顧客数を減らした 販売店様が、数店あることを残念に思っております。 様々な理由で、コンピュータをお使いでないお店になると、顧客数の 減少、もしくは、現状維持がやっと、という状況です。 弊社のシステムは、単なる請求書書きの便利な道具に止まらず、必 ずや、皆様の次なるステップヘの力強いパートナーとなるものと信じ、 また、そうなるべく成長を続けてまいりました。 それゆえに、弊社のシステムを使いながら、売り上げが仲び悩む販売 店様に対して、伍梶たる思いがいたします。 これらのお店に共通する問題点について、私の視点で気づいた点を まとめてみました。 コンピュータを現在お使いの方も、そうでない方も、業績をさらに 伸ばそうとか、なんとかして現状を打破したいとお考えの方にも、問 題の提起になれば幸いです。 中に、たいへん失礼な表現や、見当違いな意見があるかもしれませ んが、牛乳販売店の皆様の業績の向上を望む気持ちをお酌みとり下さ いまして、お許し願いたいと存じます。 【業績の伸びていないお店】 この様な方の共通点として、伸びない理由をいくつも用意されている ことが上げられます。 売上が伸びない言い訳が、いくら上手になっても、少しも良いことは ありません。次のようなことを口に出していませんか? ①跡継ぎがいないから、これ以上売上を増やしてもしかたがない。 ②メーカーの手助けが足りない。 ③営業の協力をもらって、一時的に顧客の件数が増えるのだが、どれ も長続きしない。 ④営業に出かけても、20軒に1軒ぐらいしか、話を聞いてもらえな い。ほとんど、門前払いでいやになる。 ⑤コンビニやスーパーで、安売りの牛乳があるので、いくら配達しま すと言っても、取ってくれない。 ⑥冬場は、顧客が減るのが当然なので、ほとんど営業活動はしない。 ⑦これ以上顧客が増えたら、配達できなくなるから困っている。 今でも、3時ぐらいに起きていて大変なのに、寝る時間がほとんど 無くなってしまう。 ⑧人を使えばいいのだが、経費がかかる。 今の経営状態では、とても 人を雇う余裕はない。 ⑨他人を雇うのは、管理がたいへんだ。 今の若い人は根性がないから雇ってもすぐに辞めてしまう。 中には、売上を持ち逃げされた販売店もある。 ⑩現状で、充分食べていけるから無理はしない。 (副業をしたり、奥さんがパートに出たりしているのは、なぜ?) ⑪売上が伸びているお店の経営者は、自分とはできが違う。 (どこが違うか、教えてもらおうとは、考えない) ⑫この業界は、もうだめだ。将来が非常に不安だ。 (だからと言って、何も手を打ってはいない) 一度はこんな愚痴をこぼした経験をお持ちではありませんか 現状に不満を持つことは、大切です。 ただ、そのまま放置したのでは、なんにもなりません。 改善できることは、直ちに改善に着手するべきです。 【時代が変わって、人も昔の様ではない】 時代が変わった、昔とは違う・・・ 昔は良かった 裏を返せば、今は良くないということを、自分のせいではなく、時の 流れ、不可抗力だと言いたいのでしょうが、残念ながら全てとは言い ませんが、ほとんど自分のせいです。 その証拠に、売上を仲ばしているお店では、ほとんど聞くことがない 言葉だからです。 「時代も変化している。だから、自分の経営のやり方も変わって当た り前だ。」と思っておられるお店が伸びているのです。 車のディーラーのコマーシヤルではありませんが、 牛乳屋さんも、変わらなきや! 昔は、奥さんが車で買い物に行くなどということは、考えもしなかっ たし、スーパーもコンビニも在りませんでした。 昔は健康食品=精力剤というイメージが強かったのですが、今では栄 養素の不足を錠剤や、飲料で補うという意識に変わっています。 20年前から同じ方法で経営をして、今でも順調な経営を続けている 会社や商店はありません。 今まで、取り立てて工夫をしなくても、やってこれたから、これから も同じ様にやっていけると思ったら大間違いです。 【跡継ぎがいない】 お宅は、跡を継ぎたくなる様なお店ですか? 朝は人の寝ている時間に起き、昼も働いて、学校から帰ってみると、 ぐったり疲れてコタツで仮眠をとっている。 これだけ働くのだから、数年に一度くらいは、家族で海外旅行に行く ぐらいのことは、あっておかしくないと思うのだが、国内旅行も満足に したことがない。 まさに、命を削って働いているような両親を見て、立派な大人には育 つでしょうが、とても跡を継ぐ気にはならないでしょう。 他に仕事がない時代ならまだしも、現代においてこんな状況では、跡 を継がないという、子供の感党の方が正常だと思います。 但し、ここで誤解しないでいただきたいことがあります。 私は、牛乳販売業が、跡を継ぐに値しない職業だとは決して言ってい ないということです。 さらに言うなら、いまどき毎月の売上が正確に予測できる商売は、そ うたくさんはありません。がんばれば、すぐ結果が出る商売もそう多く はありません。 そのどちらも満足する商売が牛乳販売業です。 跡を継ぎたくないようにしているのは、自分自信だということに、早 く気づくべきです。 長い間苦労して築き上げてきた財産を、子供に残してあげられない寂 しさ、むざむざ他人に渡す悔しさを味わいたくなければ、今すぐ、跡を 継ぎたくなる店へと変身しなければなりません。 跡を継ぎたくなる様なお店は、たとえ跡継ぎがいなくて、他人に売り 渡さなければならない様な場合でも、今よりずっと高く売れるはずです。 そうは、思いませんか? 【メーカーは、本当に味方なのか】 お店にとって、メーカーは、強い味方だと思っている方が多いと思い ますが、みなさんの今後の経営によっては、敵になるということを、知 って下さい。 メーカーとて、みなさんと同じ様に強力なライバルが有り、日々生き 残りの為に、努力しているのです。 ライバルに勝ち抜いて行くためには、顧客拡大の足を引っ張る店は、 切り捨てて、売上を伸ばしている店を助けるという戦略を取らなければ ならない時代なのです。 やる気のない店に、多くの営業マンを派遣して、なんとかやる気を出 して頑張ってもらうよりは、やる気のある店を支援する方が、何倍も営 業効果が上がり、最善の方法であることを、戦略を勉強しているメーカ− の経営陣は知っています。 ただ、昔からの付き合いがあるから控えていただけなのです。 もはやそんな浪花節が通用しなくなってきているのです。 直営店を出して、宅配業務を伸ばして、将来どこかの販売店に経営を 引き継いでいくという方法をとっているメーカーがあります。 これは、メーカーとしての営業戦略としては、正解です。 しかし、既存の販売店にとっては、ほとんどメリットがありません。 「あなた方が、頼りにならないから、私たちでやります。そこで指を くわえて見ていてください。」と言うメーカーの声が聞こえて来るよう な気がするのは、私だけでしょうか? 【人を使うということ】 「人を使うは、苦を使う」と言うくらいに、他人を自分の下で働かせ るというのは、大変なことです。 配達員や営業マンがなかなか見つからないとか、見つかっても長続き しないとか、牛乳販売店様にとっても例外ではないようです。 ここでも、時代や人の考え方が変わったことを原因として上げる方が、 多数いらっしやいます。 確かにそういった要因もあるのですが、牛乳販売店様の場合は、他に も問題点があるようです。 前にも述べましたが、経費という考え方が、まるで解ってないところ が、大間題なのです。 元凶は、奥様です。お金をかけることを極端にいやがります。 特に私どもは、コンピュータという、牛乳販売店様にとって、未知で高 価なものを売りに行きますから、拒否反応は顕著です。 営業で、奥様に面会すると「請求書は、自分で書くから只。そんなも のにお金を使わなくていい。」という答えが返ってきます。 この、「自分たちでするから只」という部分が問題なのです。 こういった考えを持ったお店では、コンピュータの導入目的も、非常 に消極的です。「手書きが大変だから、少しでも楽をしたい。高い買い 物だけれど、仕方がない。」と言って契約書にサインします。 本来、経費であるはずのコンピュータ導入費用を、テレビやビデオを 買うときと同じ様な、消費と混同してしまっているのです。 「利益を生み出す道具」を、「単なる永久消費財の一つ」としてしか 意識できていない販売店が、伸びていない販売店の実体なのです。 人件費も然りです。 一番高価なはずの、経営者の人件費が「只」なのですから、 「他人に払うお金もできるだけやすい方がいい。」とか 「家族だけで、やることが出来れば、お金がでていかないから、理想 的なのだけれど、仕方がない。」とかいう具合に、考えます。 ここでも、人件費は、経費ではなくて消費としてとらえられています。 人件費が、もったいないお金、余分な出費にしか見えない経営者の下で、 まともに仕事をする気になるでしょうか。 跡継ぎの問題もまた、同じです。だれだって、只働きは、いやです。 「自分や家族でやれば只」それが、大問違いなのです。 【自分たちでやる仕事は、只】 自分でやるから只。特に奥様の口から、この言葉がでてきます。 経営者の人件費が、最も高いことを理解していない経営者は、いつまで たっても、伸びるお店を作ることはできません。 店のご主人や奥様の経費を、ご理解いただく為に、どちらかが病気に なった場合を考えてみて下さい。 ご主人が病気になった場合 奥様が病気になった場合 配達、集金の応援を頼む 営業を手伝ってもらう等 家政婦を雇う 請求書を書く人を雇う 配達の手伝いを頼む 等 いかがですか。これだけお金がかかる仕事をしているのです。 ご主人がいくら頑張っても、奥様がただ働きでは、決して状況は良く ならないということを、理解して下さい。 お金を使わない工夫は大切ですが、同じくらい使い方も大事だという ことを、考えてほしいのです。 経費とは、商品を仕入れるお金のことばかりではなく、利益をあげる ために使う費用の事だということを、理解して下さい。 【本業だけでは食べていけない】 だから、アルバイトやパートをやっている。 拡販の話をすると、「拡販したいのはやまやまだけど、昼間は忙しく て、とてもそんな時間が無い。」という答えが返ってきます。 これを「本末転倒」といいます。 時代の流れで、衰退していく業種や商品があります。牛乳販売店も、 一時は、約21、000店あったものが、約11、000店と減少し購 入者の70%以上がスーパーやコンビニという現実が、将来への不安要 素となり、「拡販しても仲びない」と思わせているのでしょうが ここ5年くらいの間に、状況は、かなり変化してきています。 愚痴や、不安を口にする人は、かなり前から、改革する気持ちを無くし た人たちです。 惰性で仕事をしているから、時代の追い風に気がつかないのです。 10年前のやり方を、現在も変えようとしないで、順調な経営を続けて いる業種は、そう多くありません。本業不振の原因が、自分の経営方針 に有るということに気づかない経営者が、アルバイトに精を出している のです。 【テリトリーについて】 売上の伸びている販売店どおしが、その営業区域をめぐって衝突する 場合があります。 しかし、それとは少し事情の異なる場合のお話です。 やる気の無い販売店の特徴として、自分の区域にライバルメーカーが 営業することは、あまり気にしないのに、同じメーカーの販売店が、営 業にはいると、そのお店とメーカーの営業マンに対して、文句を言う場 合があります。 まるで、自分の客が減るのは、入り込んできた販売店のせいだと言わ んばかりです。 お客が減るのは、自分が怠けているせいで、決して他の販売店のせい ではないのだと言うことを、メーカーも強く言ってあげるべきです。 現実は、ほとんどの場合、そのような区域は、回りの販売店が嫌がっ て営業に行かない為に、ライバルメーカーに取られていきます。 しかし、その様にして、ライバルメーカーに拠点を取られてしまうと、 次にその周辺を攻めてくるのは確実です。 やる気のないお店を、放置することは、自分の店の危機にもつながる のだと言うことも、考えなければなりません。 営業圏という意味で、考えてみた場合はどうでしょう。 まず、ご自分の営業圏内に何世帯有り、何人の住民がいるか。 その世代別の構成はどうなっているか、解っていますか? そんなもの、調べている時間がない? 何年そこで商売しているのですか。ゼンリンの地図を広げて数えれば、 件数ぐらいわかります。 1日1軒調べても、10年で 3650 軒のデータは調べられるはです。 などと馬鹿な事は、言いません。 役所の住民課に行けば、5分で済みます。 その気になれば、時間も手間もかけずに済むことを、やっていないこ とが問題です。 少なくとも、自店の半径1km以内は、どんな人が住んでいるか、つ かんでおくべきだと思います。 そこで、それぞれの世代に合わせた営業方法を工夫して、営業活動を くりかえして、それでも売上が伸びないというのであれば、その区域 に早く見切りを付けて、営業圏を他へ移すべきでしょう。 【顧客管理】 顧客管理という面を考えるとき、牛乳販売業ほどずさんな業種は他に ありません。 何軒の家庭に配達しているかさえ、正確につかんでいないお店がほと んどです。 顧客名簿に至っては、顧客名、それも姓の方だけで、名前が判らない というのがほとんどで、住所、電話番号になると、全体の一割も無いの ではないでしょうか。 名前も正確に知らない人に対して、掛け売りをしているという、世間 の商売の常識では、考えられもしない様なことが行われている業種だと いうことに、早く気づくことが第一です。 顧客こそが、利益の源なのです。その部分をなおざりにして、商売の 発展は望めないでしょう。 【宅配目標1000軒】 二次店にまかせて、全体の把握が出来ていないような販売店は、いく ら軒数をかせいでいても、伸びないお店であることにかわりはありま せん。 まず、自店の正確な顧客軒数を把握することです。 あと何軒で、1000軒になるのか、引き算が出来ないお店は、永久 に1000軒にたどりつくことは出来ません。 次に、1000軒達成した自分の店の姿を、イメージすることです。 想像もっかないようでは、到底達成出来ません。 そして、宅配目標1000軒への、タイムスケジュールを完成させる ことです。 そうすると、冬場は、営業しないなんてことは、言っておれなくなっ てきます。 ここで、ひとつ注意していただきたいことがあります。 目標を、1000本としないことです。 宅配も1軒1本と考えればメーカーの配送は、1日1000本でたい した違いは無い様に思えます。 ところが、大口のお客様に大半を納入して、宅配が3∼4割というの では、なんの価値もありません。 あくまで軒数にこだわってこそ、伸びる販売店といえるのです。 1000軒を達成し、維持できる販売店は、地域の事情次第では、 1∼2年で、2000軒、3000軒となる可能性と潜在能力を持っ ているということを、知っておいて下さい。 【宅配の将来性】 「この業界は、もうだめだ。」と口に出す販売店は、確実に顧客数を 減らして、廃業への道を突き進んでいます。 やる気のある販売店にとっては、まさに「棚からぼた餅」です。 苦労せずに、数百軒のお客が、転がり込んでくるのですから、笑いが 止まりません。 その事だけでも、十分に将来性のある仕事と言えるでしょう。 というのは、冗談ですが、 輸入牛乳などによる価格破壊や、コンビニの自社ブランド牛乳などヘ の対応についての心配は、メーカーに任せるとして、ここでは宅配とい う仕事の将来性について、考えてみましょう。 カタログショッピングが昨今大流行ですが、これも宅配の一種だと言 うことに気がついていますか。 配達手段が、郵便や宅急便で、集金手段が、カードや銀行振込になっ ただけです。 カタログショッピングは、不特定多数を相手にしているだけに、各社 とも顧客の固定化に躍起になっています。 固定客を確保することの重要性については、だれもが認めているので すが、大多数の牛乳販売店の経営者は、そうは思っておられない様です。 他のだれもが、喉から手が出るほど欲しがっている宝物を、手にして いる本人だけが、価値に気がついていない、というのは、誠に皮肉なこ とです。 今後の市場につて、各メーカー共、さらに需要が高まるという予想か ら、健康志向に対応した新製品の開発に力を入れ、高齢化の進展に伴う 宅配の重要性を、再認識しています。 最近では、脱サラして販売店を始める人もでています。 後から参入した人のほうが、もうかる店作りに成功している例が、多 いようです。 はっきり申し上げて、将来性は、充分あります。ここ数年で、やる気 の無い店は、かなりつぶれて行くでしょう。 経営者本人が、だめだと言うのですから、どうしようもありません。 ただ、やる気のない店がなくなることで、業界が活性化していくこと は間違いありません。 あとがき この冊子は、20年前に、私が牛乳販売業システムの営業ツールとして作 成したものです。12ページの小冊子です。 最近テレビコマーシャルにも、登場するようになっていますので、お分か りの方も多いと思いますが、牛乳販売店の主な仕事は、ビン入りの牛乳を 各家庭に毎朝(隔日も増えています)とどける仕事です。 お店の形態は、家族経営がほとんどで、朝4時ごろから7時ごろまで配達 します。 夏場は、特にいそがしく、営業に行っても、なかなか面会できないので、 顔を合わせなくても、営業できるように考えた末、作ったものです。 ご希望の方には、冊子の現物を差し上げます。 メールでお申し込み下さい。 [email protected]
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