GWR Castle GWR King George Ⅴ Castle King George V 実物で

実物で、キャッスルとキングの大きな差といえば、全長が短い事になります(エンジン部分)そこで・・・
①その結果、摺動部分の全部品に要求される加工精度(公差)が非常に厳しくなりました。
GWR Castle
Castle
②批判の多かった蒸気パイプはよりリアルな形状に改めました。
勿論このカバーの中に実際の蒸気管が挿入されています
GWR King George Ⅴ
King George V
③今回の改良でお客様に最も訴求したい部品の変更点は車輪(動輪)になります。
キングでは電動化を視野に入れダイキャストの車輪にステンレスのリムを圧入する構造でした。
その為、オーバーフローなどで車輪全体を暖めてしまった後、車輪にトルクが掛かると『リムが車輪から
外れる。』と言う欠陥がありました。
★また、ステンレス車輪は『滑りやすい』欠点がありましたので、今回は全車輪を一体の鋳鉄製に改めま
した。
★最後に、ダッチェスで、好評だったリアルな、実物と同じ方式のカウンターウエイト取付を、キャッスル
でも取り入れました
④テンダーの基本サイズは、実物同様、キャッスルもキングも変わりはありません。
ただライブ運転で、最近皆様に好評の、燃料タンクを脱着式にして欲しい。と言う要望をディティールを省
略せずに実現しております。
★又、ささやかな変更点ですが、欧州大陸と、英国では、フックカプラーと言っても若干構造が異なり、大
きな違いは、カップリングするリング部分が『横にスイング出来る』のが、英国型の特徴でしたので、それ
も実現しております(赤い矢印は、わざとカップリング部を最大限横に振った位置です)
⑤キャブ。ベルペアボイラー周辺部のディティールとルックスにも配慮しました。
実物を取材調査し、よりリアルなルックスに腐心したのがウォッシュアウトプラグです。それ以外に実物で
は磨き出しが可能な真鍮モールも実物と同じように磨き出しが可能です。キングの場合、この部分はバ
イクなどの燃料タンクに使う強化ステッカーで代用しています。
⑥給水・排水管の接続部とバイパスバルブの位置
も、10年の革新をモデル内に実現する為腐心しまし
た。
具体的には、バルブハンドルの形状を検討すること
で、操作性を犠牲にすることなく、キャブの後端梁に
バイパスバルブと、ダッチェスと同形式のオイルタン
ク用バルブを設置し接続管もキャブ下部の左右に
あったものを後端梁下の配置しています。
そして忘れてはいけないのは、スインドン及びヨーク
での現地調査により、ボディー外観色は、実物と同
じグリーンを再現する事が出来ました。
⑦写真で見る限り、前方の見た目は変化が無いかもしれません。しかし10数年前弊社が、英国で子供
に言われた言葉『パパ、本物には、こんな所にはネジはついていないよ!』この言葉で深く傷付いた設
計陣は今回、キャッスルではその謗り受けない為に前面のディティールには十二分に配慮しました。た
だ、正直に申し上げれば、ここにオイルタンクをつけた方が、機械としての効率は全然良いのです。
⑧先台車の基本構造は両方とも実物の基本構造を踏襲しており違いは無いですが、各ロッド、機械加
工部品の細さ(精度向上と強度アップの両立)が成されております。そして、些細な点ですがフレームの
インサイドは、英国の汽車の特徴であり、実物同様赤くペイントされております。
Castleのボイラー構造
Kingのボイラー構造
⑨この部分だけは写真より付属のイラストで説明した方が、解り易いと思います。右のキャッスルの図面
に記載した2本の矢印が、今回採用したダブル(2本の)水管になります。どうしてもボイラーサイズが小さ
くなるキャッスル。そして必ず性能をキングと比較されると言う、想定の基、同等のパフォーマンスをたた
き出すため、ダッチェス以降で成功した、変形Cタイプボイラーに水管の組み合わせをよりパワーアップさ
せるため、水管の数を増やし、車輪を滑り難い鋳鉄製に変更する事で対応しました。ちなみに価格的に
もシンプルな構造のキングのCタイプより高価なボイラーになっていますし、この方法でバックヘッド周辺
の操作形の取り回しと、組み立て調整が楽になっております。
⑩上記写真で見ると一目瞭然と存じます。実物の設計者の思想をそのまま受け継ぎ模型化する要求に
応えるため、実物と全く同じ構造をより狭い空間に詰め込む作業が必要でした。
その結果、左右の各ロッド類やクランク類が微細、且つ、より精密に加工されていることが解ります。これ
は精密機械加工を得意とする国内の弊社外注の努力が生み出した賜物と言えます。
又インサイドシリンダーの『幅』、『高さ』は写真では解りませんが、この空間が、キングに比べ非常に狭
い為、 インサイドシリンダーの加工精度と、この狭い主台枠に挿入する設計は非常にシビアなものに
なっております。
価格を下げる為だけに『安直』に中国に部品を依頼できない理由は、このようなセクションにある事をご
理解賜れればと存じます。
ただ、その為、本モデルは、やや組み立ての上手い、構造を理解している上級者向けモデルになったか
もしれません。日本製のライブ模型が、精密機械である理由はこの辺にあると考えます。電動模型の場
合この辺は格好と『それらしい動き』だけ再現すれば良い点、機械とは言いにくいのかもしれません。