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担保不動産競売及び強制競売事件のあらまし
執行 裁 判所 が扱 う 競売 事 件に は ,主 に担 保 不動 産 競売 事件 と 強制 競売 事件 の 2種 類が あ
り ます 。ま た, この ほか にご くま れで すが 形式 競 売事 件が あり ます 。
担保 不 動産 競売 事 件は , 不動 産 に設 定さ れ た担 保 権( 主に 抵 当権 )を 実行 す るた めの 手
続 で, 事 件番 号の 符 号が ( ケ) と 表示 され ま す。 強 制競 売事 件 は, 判決 や裁 判 所で の和 解
又 は調 停 で決 まっ た 内容 を 実現 し たり ,公 証 人が 作 成し た公 正 証書 の内 容を 実 現す るた め
の 手続 で, 事件 番号 の符 号が (ヌ )と 表示 され ま す。
どち ら の競 売 手続 も ,債 務者 が 債務 を 返済 する こ とが でき な くな った ため , 不動 産を 民
事 執行 法 の規 定に よ り売 却 して , それ で得 た 代金 を 債権 者に 配 当し て債 務の 返 済に 充て る
強 制手 続 であ り, 不 動産 の 所有 者 の意 思に 沿 うも の では ない 点 が通 常取 引に お ける 売買 と
大 きく 異な ると ころ です 。
形式 競 売事 件 は, 債 務の 清算 と して で はな く, 遺 産分 割, 共 有物 分割 ,破 産 手続 上の 換
価 など 不 動産 を売 却 して お 金に 換 える 必要 が ある と きに ,競 売 手続 をそ の手 段 とし て利 用
す るも ので す。 事件 番号 の符 号は その 性質 に応 じ (ヌ )又 は( ケ) と表 示さ れま す。
以上 いず れの 競売 事件 も, 売却 に関 する 手続 は 同じ です 。
執行裁判所で扱う競売物件について
基本 的に ,管 轄区 域内 の不 動産 は, どん なも の でも 対象 とな りま す。 例え ば,
①
一般 の人 にと って ほと んど 利用 価値 のな い 土地 や建 物
②
建物 が建 てら れな い土 地
③
買受 け後 直ち に取 壊し て敷 地を 明け 渡さ な けれ ばな らな い建 物
④
買 受け 後も 他 人に 長 期間 貸 し続 けな け れば な らず ,賃 料 を受 ける 利益 し かな い土 地
や 建物
⑤
金融 機関 の融 資を 受け られ ない 土地 や建 物
な ども , 申立 てが あ ると , 法律 上 ,売 却に 支 障が な い限 り, 競 売の 対象 とな り ます 。競 売
は ,国 家 機関 であ る 執行 裁 判所 が 物件 の品 質 等を 保 証す るも の では あり ませ ん 。ま た, 競
売 の性 質 上, 物件 の 所有 者 や占 有 者は ,自 己 の所 有 し又 は占 有 して いる 物件 を 強制 的に 売
却 され た 人た ちで す から , 買受 け 後の 引渡 し 等に お いて 協力 が 得ら れな い場 合 がま れで は
あ りま せ ん。 その こ とか ら 引渡 命 令, 訴訟 , 調停 等 の法 的手 段 が必 要な 場合 も 少な くあ り
ま せん 。
一般 に競 売物 件は 通常 の不 動産 取引 と比 べて , 次の よう な違 いが あり ます 。
①
買 受け を希 望 され る 方に お いて ,申 立 債権 者 の申 立て に よる 内覧 によ る 場合 のほ か
は ,建 物内 部の 確認 をす るこ とが むず かし い 。
②
ス ムー ズ な物 件 の引 渡し が 保障 さ れて いな い 。場 合に よ って は, 何ら か の利 益を 意
図 した 人々 が占 拠し てい るケ ース もあ る。
③
鍵の 受渡 し等 につ いて 裁判 所が 仲介 する わ けで はな い。
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④
売却 残代 金を 早期 に納 付し なけ れば なら な い。
⑤
買 い受 け た物 件 に何 らか の 欠陥 が あっ ても , 売却 の取 消 しや 損害 賠償 請 求が でき な
い ケー スが 多く ,仮 にで きる ケー スで も訴 訟 等が 必要 とな るな ど困 難を 伴う 。
これらは,総合して競売市場修正(減価)として,売却基準価額の決定にあたり考慮
し て お り ま す ( そ の 前 提 と し て 評 価 書 上 も 考 慮 さ れ て い ま す 。)。
競売 の 入札 に参 加 する に つい て は, ファ イ ルに 綴 られ てい る 資料 をよ く読 み ,現 地を 調
査 する な どし て, 十 分に 納 得し て から 参加 し てく だ さい 。買 受 け後 のト ラブ ル は, 民法 そ
の 他の 法 律に 基づ き 当事 者 間で 解 決す るし か あり ま せん (基 本 的に 執行 裁判 所 が仲 介責 任
を 負 う こ と は あ り ま せ ん 。)。 当 事 者 間 で 解 決 で き な い と き は , 訴 訟 ・ 調 停 等 の 法 的 手 段
が 必要 な 場合 もあ り ます 。 競売 市 場は ,通 常 の不 動 産取 引以 上 に強 い自 己責 任 とリ スク 管
理 を求 め られ る市 場 でも あ りま す 。自 分で 判 断し か ねる とき は ,専 門家 (弁 護 士等 )の 助
言 を得 るな どし て参 加す ると よい でし ょう 。
入札方法・その後の手続について
競売 物 件の 売 却方 法 には ,期 間 入札 と 特別 売却 の 2つ の方 法 があ りま す。 期 間入 札は ,
一 定期 間 中に 入札 を 受け 付 け, 開 札期 日に お ける 開 札の 結果 , 買受 可能 価額 ( 売却 基準 価
額 から そ の1 0分 の 2に 相 当す る 額を 控除 し た価 額 )以 上で 最 も高 い金 額で 入 札し た人 を
最 高価 買 受申 出人 に 指定 し ,売 却 許可 決定 を 受け る 資格 を付 与 する 方法 です 。 入札 の際 は
買 受申 出 保証 金( 通 常, 売 却基 準 価額 の2 割 相当 ) を納 める 必 要が あり ます が ,最 高価 買
受 申出 人 及び 次順 位 買受 申 出人 以 外の 人が 納 めた 買 受申 出保 証 金は 開札 後速 や かに 返還 さ
れ ま す 。こ れ に 対 し ,特 別 売 却 は ,原 則 と し て ,同 一 の 買 受 可 能 価 額 で の 期 間 入 札 の 結 果 ,
適 法な 入 札者 がい な かっ た 事件 が 対象 で, 特 別売 却 期間 内に 最 も早 く買 受可 能 価額 以上 の
額 で適 法 な買 受け の 申出 を した 人 に売 却許 可 決定 を 受け る資 格 を付 与す る方 法 です 。買 受
け の申 出 の際 は買 受 申出 保 証金 を 納め る必 要 があ り ます 。ど ち らの 手続 で実 施 され てい る
か につ いて は公 告書 等で 確認 して くだ さい 。
その 後 の手 続は 期 間入 札 も特 別 売却 も同 じ です 。 まず ,売 却 決定 期日 に売 却 許可 決定 が
さ れる と ,こ れに 対 し不 服 の申 立 て( 執行 抗 告) が なけ れば 1 週間 経過 後に 売 却許 可決 定
が 確定 し ます 。次 に 代金 を 納付 す ると ,買 受 人名 義 に所 有権 移 転登 記が され , その 登記 済
権 利 証 ( 登 記 嘱 託 書 写 し に 登 記 官 の 登 記 済 印 が 押 さ れ た も の 。) 又 は オ ン ラ イ ン 指 定 庁 に
あ って は 買受 人が 希 望し な い場 合 を除 き登 記 識別 情 報通 知書 ( アラ ビア 数字 と 英字 を組 み
合 わせ た1 2桁 の符 号) が執 行裁 判所 から 買受 人 に郵 送さ れま す。
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ファイルの説明
ファ イ ルに は ,① 期 間入 札公 告 書, ② 物件 明細 書 ,③ 現況 調 査報 告書 ,④ 評 価書 の各 写
し が綴 られ てい ます 。こ れか らそ の見 方に つい て 説明 しま す。
なお , 本説 明 書及 び 上記 書面 の 随所 に 出て くる 用 語に つい て の解 説が 用語 集 (※ )に あ
り ま す の で 参 考 に し て く だ さ い 。 本 説 明 書 ( 別 紙 の 詳 細 説 明 を 含 む 。) に 出 て く る 用 語 で
用 語集 にあ るも のに つい ては アン ダー ライ ン( 細 実線 )を 付し てあ りま す。
詳 細 は ,「 用 語 集 」 を ご 覧 く だ さ い 。
( ※ ) 用 語 集 は , イ ン タ ー ネ ッ ト 「 http://bit.sikkou.jp/ 」 で 公 開 さ れ て い ま す 。
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期間 入札 公 告書
物件 の 表示 , 一括 売 却の 表示 , 売却 基 準価 額, 買 受可 能価 額 ,買 受申 出の 保 証額 ,固 定
資 産税 ・ 都市 計画 税 の年 額 ,期 間 入札 の期 間 など が 記載 して あ りま す。 これ ら は手 続, 売
却 条件 に つい ての 重 要な 情 報で す 。特 に売 却 基準 価 額は 評価 書 の額 を修 正し て 定め てい る
こ とも あり ます ので ,こ の公 告書 の記 載を 必ず 見 てく ださ い。
詳 細 は ,「 期 間 入 札 公 告 書 の 詳 細 説 明 」 を ご 覧 く だ さ い 。
2
物件 明細 書
執行 裁 判所 の 裁判 所 書記 官が , 現況 調 査報 告書 , 評価 書そ の 他の 資料 を検 討 し, 買受 人
が 負担 す るこ とと な る他 人 の権 利 (主 とし て 賃借 権 ), 法定 地 上権 の概 要, そ の他 物件 の
占 有関 係な ど買 受け の参 考と なる 事項 を記 載し た もの です 。
な お ,物 件 明 細 書 作 成 後 に 強 制 管 理 事 件 又 は 担 保 不 動 産 収 益 執 行 事 件 の 開 始 決 定 が さ れ ,
同 事件 の 管理 人が 賃 貸借 契 約を 結 んだ 場合 , その 賃 借人 には 明 渡猶 予が 認め ら れま すが ,
こ の 場 合 は 物 件 明 細 書 に 何 の 記 載 も な い こ と に な り ま す の で ,そ の 点 を 留 意 し て く だ さ い 。
物 件明 細 書に は, こ れら の 競売 を めぐ る複 雑 な権 利 関係 に対 す る裁 判所 書記 官 の一 応の 認
識 が記 載 され てお り ,買 受 けを 希 望さ れる 方 は内 容 を認 識し て おく 必要 があ る 重要 な書 面
で す。 物 件明 細書 は 単独 で は分 か りづ らい 面 もあ り ます が, 現 況調 査報 告書 , 評価 書及 び
こ の説 明書 と併 せて 見て いた だく とよ り分 かり や すい と思 いま す。
詳 細 は ,「 期 間 入 札 公 告 書 の 詳 細 説 明 」 を ご 覧 く だ さ い 。
3
現況 調査 報 告書
差押 え に近 接 した 時 点で 執行 官 が売 却 物件 につ い ての 現地 調 査を した 結果 を 記載 した 報
告 書で す。
現況 調 査報 告 書に は ,建 物に つ いて は ,公 簿と の 相違 点, 占 有者 及び 占有 状 況( 賃借 権
の 内 容 等 ), 敷 地 の 内 容 な ど が , 土 地 に つ い て は , 公 簿 と の 相 違 点 , 占 有 者 及 び 占 有 状 況 ,
売 却対 象 建物 以外 の 地上 建 物な ど が記 載さ れ てい ま す。 その 他 ,借 地権 の内 容 ,地 代や 管
理 費の 額や 滞納 の状 況な どが 記載 され てい ます 。
現況 調 査報 告書 に は, 占 有状 況 は現 況調 査 を行 っ た時 の現 実 の状 況が その ま ま記 載さ れ
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ま す。 そ の状 況に つ いて の 裁判 所 書記 官の 認 識は 物 件明 細書 に 記載 され てい ま すの で, 双
方 を見 比べ て占 有状 況及 びそ れに 対す る判 断を 把 握す るよ うに して くだ さい 。
また ,評 価書 と同 様に ,先 行事 件の もの が綴 ら れて いる 場合 もあ りま す。
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評
価
書
評価 人 によ る 物件 の 評価 額( 売 却基 準 価額 の根 拠 ), その 算 出の 過程 等が 記 載さ れて い
ま す。 ま た, 評価 書 には そ の物 件 の公 法上 の 規制 の 内容 ,物 件 の所 在す る場 所 の環 境, 物
件 の詳 細 内容 ,ラ イ フラ イ ン供 給 処理 施設 の 整備 状 況な どが 記 載さ れて いま す から 参考 に
し てく ださ い 。
詳 細 は ,「 評 価 書 の 詳 細 説 明 )」 を ご 覧 く だ さ い 。
まれ に 異な る事 件 番号 の 評価 書 がフ ァイ ル に綴 ら れて いる こ とも あり ます が ,こ れは ,
同 一 物 件 の ( 又 は 同 一 物 件 を 含 む 。) 先 行 事 件 ( 先 に 申 し 立 て ら れ た 競 売 事 件 ) の 評 価 書
を 綴っ て ある もの で ,先 行 事件 が 取下 げ, 取 消し な どで 終了 し ,後 行事 件( 本 件) で売 却
手 続 が進 行 し てい る た めで す 。
物件に対する公法上の規制について
不動 産 には , 一般 に ,防 災や 周 辺環 境 保持 など の 行政 目的 の ため に, 国の 法 律, 政令 ,
都 道府 県 や市 町村 の 条例 等 によ り ,そ の利 用 に一 定 の制 約が 定 めら れて いま す 。な かで も
特 に注 意 すべ き規 制 は, 建 築基 準 法に よる 建 物建 築 に関 する 規 制で す。 土地 に よっ ては 建
築 確認 が 取れ ず, 建 物の 新 築や 増 改築 がで き ない 場 合も あり ま す。 建ぺ い率 , 容積 率の 規
制 に よ り 思 い ど お り の 建 物 が 建 て ら れ な い こ と も あ り ま す 。ま た ,規 制 の 内 容 に よ っ て は ,
金 融機 関の 融資 が制 約さ れる 場合 もあ るか もし れ ませ ん。
これ ら 公法 上 の規 制 に関 する 事 項は , 評価 書に 記 載さ れて い ます 。よ く読 ん でご 自分 の
買 受け の 動機 や目 的 に沿 う 物件 で ある か否 か を確 認 して くだ さ い。 規制 の内 容 に疑 問が あ
る とき は, 市区 町村 役場 に確 認さ れる のも よい で しょ う。
詳 細 は ,「 公 法 上 の 規 制 の 詳 細 説 明 」 を ご 覧 く だ さ い 。
引渡命令について
引渡 命 令と は ,売 却 され た不 動 産( 通 常は 建物 ) の所 有者 又 は占 有者 に対 し ,そ の不 動
産を買受人に引き渡すよう命ずる裁判です。買受人は代金を納付した日から6か月以内
( 代金 納 付時 に6 か 月間 の 明渡 猶 予が 認め ら れる 占 有者 がい た 場合 は, 代金 を 納付 した 日
か ら9 か 月以 内) に ,執 行 裁判 所 に対 し, 引 渡命 令 の申 立て を する こと がで き ます 。そ の
引 渡命 令 が確 定す れ ば, そ れに 基 づき 執行 官 に不 動 産引 渡し の 強制 執行 の申 立 てを する こ
と がで き ます 。た だ し, 引 渡命 令 はす べて の 占有 者 に対 して 発 令さ れる もの で はあ りま せ
ん 。原 則 とし て, 物 件明 細 書の 「 買受 人が 負 担す る こと とな る 他人 の権 利」 欄 に記 載の な
い 占有 者 に対 して は ,引 渡 命令 が 発令 され る こと に なり ます 。 もっ とも ,例 外 もあ りま す
の で, 注意 して くだ さい 。
引 渡 命 令 の 対 象 , 手 続 な ど の 詳 細 は ,「 引 渡 命 令 の 詳 細 説 明 」 を ご 覧 く だ さ い 。
(おわり)
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