ヒベンズ酸チペピジンによりアナフィラキシーショックを 来した一例

第16回 日本咳嗽研究会
一般演題 第4群
ヒベンズ酸チペピジンによりアナフィラキシーショックを
来した一例
望月 栄佑1),林 一郎1),野口 理絵1),櫻井 章吾1),三枝 美香1),山本 輝人1)
宍戸雄一郎1),秋田 剛史1),森田 悟1),朝田 和博1),藤井 雅人1),白井 敏博1)
谷口 正実2)
静岡県立総合病院 呼吸器内科1),国立病院機構相模原病院 アレルギー科2)
【目的】汎用される鎮咳薬により生じたアナフィラキシーショックの1例について報告する。
【症例】
43歳,女性。8年前から近医で処方された感冒薬セット処方(アセトアミノフェン,
カルボシステイン,ヒベンズ酸チペピジン)を内服するたびに皮膚掻痒感を自覚しており,
5年前からは呼吸困難感も伴うようになった。本年,感冒により某院を受診し処方された
アセトアミノフェン,カルボシステイン,ヒベンズ酸チペピジン,レボフロキサシン,フェ
キソフェナジン,ベタメタゾンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩を内服したところ呼吸
困難と全身の掻痒感が出現,救急外来を受診し処置が施された。
その後某院を受診し,処方されたヒベンズ酸チペピジンと麦門冬湯のみ内服した際にも
同様の症状を起こし,薬剤性アナフィラキシーの疑いで当院に紹介入院となった。当院で
は二重盲検経口負荷試験,尿中LTE4濃度の測定が行われた。二重盲検経口負荷試験はヒベ
ンズ酸チペピジン,麦門冬湯,生理食塩水を用い,各濃度に薄めて
(10000倍,3000倍,1000
倍,300倍,100倍,30倍,10倍,3倍,1倍)1ml
をオレンジジュース20ml
に混ぜ内用さ
せた。
【結果】ヒベンズ酸チペピジンの内服時に発作が誘発された。また尿中LTE4濃度の上昇を認
め,診断が確定した。
【結語】本剤は外来で頻用される中枢性鎮咳薬であるが安易な処方を慎む必要がある。
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