農業生態系と文化 4 地力の維持と家畜 - TOP= of 駒沢女子大学文化

農業環境の指標
栽培作物
農 業 生 態 系 と 文 化
地力の維持と家畜
生物環境
雑草・鳥・昆虫
微生物
土 壌
駒沢女子大学
亘
文化人類学研究室
純
気 候
無機物・有機物・水
微生物・土壌生物
放射・温度・風
CO2 ・雨
吉
Ver.06-1
ウビ農耕文化
カリフ農耕文化
ラビ農耕文化
根栽農耕文化
サバンナ農耕文化
地中海農耕文化
起源地
マレー半島付近
ニゼル川付近
オリエント
分 布
オセアニア
マレーシア
インド
中部アフリカ
サハラ
エチオピア
西インド
地中海地域
オリエント
ヨーロッパ
人 種
モンゴロイド
ネグロイド
コーカソイド
環 境
熱帯雨林
夏雨性サバンナ
冬雨性地中海気候
作物生態
多年生
カリフ
ラビ
主要作物
ヤム
タロ
バナナ
サトウキビ
ミレット
イネ
マメ類
ゴマ
ムギ類
エンドウ
ソラマメ
ビート
成立年代
B.C.15,000 ?
B.C.5,000 ?
B.C.5,000 ?
耕地利用
焼畑
ブッシュ・ファロー
連作園耕
輪作
グラス・ファロー
播種形式
点 播
条 播
散 播
生食
石焼き
タテギネ精白
α-澱粉加工
キルン(粉食)
貯蔵輸送困難
余剰貧弱
余剰豊富
貯蔵輸送容易
文化名
気 候
乾燥
湿潤
<乾湿度>
0
ツンドラ(寒帯)
15
亜寒帯針葉樹林
45
冷温帯落葉広葉樹林
砂
漠
サバンナ
ステップ
85
暖温帯広葉樹林
硬葉樹林(冬雨) 照葉樹林(夏雨)
暖
か
さ
の
指
数
180
熱帯・亜熱帯林
加
工
食糧経済
農業技術上の特色
自然環境と起源地
麦 作 混 合
農 耕 文 化
(地中海農耕文化)
地中海式気候の地域
オリエントの温帯多雨
熱帯降雨林の地域
旧
大
陸
根栽農耕文化
東南アジア
雑 穀 栽 培
農 耕 文 化
(サバンナ農耕文化)
サバンナの地域
アフリカ/インド
主 要 作 物
ダイコン
カラシ
冬作物
・散播
・草地休閑
・犂耕と灌漑農耕が発達
・播種と収穫期は明確
・冬作型
・家畜飼育と農耕が有機的に結合
ヤムイモ
タロイモ
バナナ
サトウキビ
栄養繁殖作物
油脂作物なし
・森林を伐採する焼畑
・点播(点植)
・複雑な間作
・植付、収穫期は一定しない
・通年連作型
・園耕に発展
シコクビエ
トウジンビエ
モロコシ
アワ
キビ
イネ
ウリ類
マメ類
夏作物
油脂作物
ゴマ,etc
オオムギ
コムギ
エンドウマメ
ソラマメ
・原型→焼畑
・苗林休閑
・散播、混播が一般的
・複雑な輪作
・播種と収穫期は明確
・夏作型
・発展型→常田耕作
経済的特色
・余剰豊富
・輸送容易
・乳製品の役割大
アメリカ農耕文化
カリブ海
トウモロコシ
カボチャ
ジャガイモ
牧畜・狩猟・漁労
との関係
・大型家畜の飼育が盛ん
・ヒツジ、ヤギ、ウシ、ロバ
・人口支持力大
・貯蔵輸送困難
・必要に応じて収穫/
調理
・漁労との結びつき大
・ブタ、ニワトリ、イヌ
人口支持力小
・余剰貧困
・狩猟との結びつき大
・人口支持力小
(発展型では余剰が多
くなる)
・固有家畜なし
・後にウシ、ヒツジ、ヤギ、
ロバを受容
1
コムギ<オオムギ 古代
コムギ>オオムギ 小麦革命(18C)
パン食/製粉技術の向上
コムギ起源
ゲノム分析
栽培化
AA
DD
野生1粒コムギ
×
栽培1粒系コムギ
タルホコムギ
×
AABBDD
栽培化
AABB
BB
クサビコムギ
野生2粒コムギ
栽培2粒系コムギ
栽培普通系コムギ
(パンコムギ)
地中海農耕文化の特色
1 一年草の利用
2 家畜の利用
3 ムギ類集団を大面積で栽培
→若干の技術的進歩で余剰を生じる
4 ムギ類・禾本科植物・広葉草本からなる生態的対応
→ムギ作特有の雑草群
・雑草 ① アブラナ類 欧:キャベツ 中国:ハクサイ
② ヒナゲシ(アヘン)
③ ムギセンノウ(中国・日本では除草の対象)
④ ライムギ・エンバクは雑草群から独立
ヨーロッパ的思考の原点
・ 全体としてものを考える。
・ 今日の工業生産方式とつながる部分。
粉食の文化
ムギ作の農業技術
① 畜力の利用 牛2頭
② 散播 →家畜(ヒツジ)の蹄で覆土
③ 穂刈り
④ 蹄で脱粒
⑤ 風選
⑥ 製粉
粉食 臼
インド
チャパティ
トルコ
ユフカ
アラブ
フブス
タンドール
インド
ナン
オーブン
ヨーロッパ
フランスパン
無発酵
単位労働当りの生産性が高い
発 酵
食糧生産と社会
社会を支えた奴隷制と小作制
2
5
マスリン
安定的な生産への対応
栽培作物の作付け面積を変化させる
コムギ・ライムギ・オオムギ・エンバクの混作
ライ麦
エン麦
1500m
1000m
ライ麦
大麦の比率
エン麦と大麦
ライムギ、エンバク→ 乾燥・耐寒性強い
6 マメ類
エンドウ、ソラマメ
地中海農耕文化ではタンパク質はおもに動物性
7 油料作物
オリーブ、アーモンド、ダイコン
→サバンナ農耕文化より
ゴマ、ベニバナ、ヒマ
8 蔬菜
カブ、ビート、タマネギ、
ダイコン、ニンジン
→サバンナ農耕文化
アフリカ:オクラ
インド:キュウリ
キャベツ
ハボタン
カリフラワー
メキャベツ
ブロッコリー
コールラビ
ケール
オリーブ畑
二圃式農業
連作と農業環境
連作
地力をどのようにして維持するか
秋
南ヨーロッパ(地中海)
1
二圃式農業 (現在はおこなわれていない)
ギリシャ・ローマ時代 ∼ 一部地域19世紀
西ヨーロッパ
(二圃式農業の伝播後)
2
3
三圃式農業
改良三圃式農業
4 輪栽式
休閑→地力回復 深耕→除草
集約化→土地生産性×
開墾→農地拡大
農作業→畜力利用
収量増加→施肥(家畜頭数増加)
生産力の増加
冬
春
夏
秋
冬
春
夏
秋
冬
春
夏
雨
冬コムギ
A
B
冬コムギ
冬の雨で生育する
コムギ/ビート
休
閑
放置
雨を吸う
冬コムギ
表土を浅く鋤く
雑草を鋤こみ鎮圧
水分蒸発の遮断・地力の回復
3
西ヨーロッパ
夏にも降雨がある→夏作の麦栽培
三圃式農業
13世紀
夏コムギ
16世紀
1年目
休閑
冬コムギ
3年目
2年目
3月 犂耕
休閑地→牧草
7月 収穫・羊の毛刈
森林
畜産→厩肥の投入
放牧地
マメ科牧草→地力回復
中世ヨーロッパの農業
10月
冬コムギ播種
エンクロージャ
輪 栽 式
カブ
飼料用根菜類
4年目
村落共同体
土地の集中化・私有化
夏コムギ
1年目
クローバー
牧草
3年目
冬コムギ
2年目
18世紀・イギリス
ノーフォーク式
① 2条夏オオムギ
② オオムギ
条間クローバー
③ 冬コムギ
④ 飼料用カブ
・厩肥の投入
・食糧の供給量増加
→仏・独に伝播
19世紀北米へ
農業労働者
工業労働者
村落共同体崩壊
品種改良、農業技術の向上
農業生産性がアップ
栽培作物と肥料
地中海農耕文化
特色
穀類
豆類
蔬菜
冬作物
イネと野菜栽培の施肥
夏作物
コムギ、
オームギ
ライムギ
エンバク
エンドウ ソラマメ
ハクサイ
サバンナ農耕文化
雑穀 (イネを含む)
野菜類
イネ
インゲン ササゲ
ダイコン
(平均)
N
P2O5
K2 O
CaO
MgO
19
6
33
14
3
10
4
10
2
1
X2
X1.5
X3
X7
X3
ホーレンソウ
感温
冬の低温
夏の高温
日長
長日
短日
4
有機栽培と堆肥
有機野菜と農業
東海・近畿地域県農業試験場成績から基準収量と施肥量を算出
家畜糞の肥料成分
作物の養分吸収と施肥成分量
基準収量
(Kg/10a)
養分吸収量
現物%
N
施肥成分量
窒素
燐酸
カリ
窒素
燐酸
カリ
トマト
9,320
26
7
47
33
30
35
ナス
5,040
17
4
26
23
14
28
ピーマン
2,990
18
3
22
25
17
24
メロン
3,000
19
8
51
30
15
35
レタス
4,910
22
4
21
30
14
27
タマネギ
4,620
9
4
12
18
15
17
イネ
4,500
10
4
10
9.0
7.3
7.3
ムギ
3,000
9
4
6
8.2
6.5
7.1
牛糞
P2O5
K2 O
CaO
MgO
生
0.4
0.4
0.4
0.3
0.2
乾燥
1.7
1.8
1.7
1.6
0.8
稲わら入り厩肥
0.5
0.5
0.5
0.5
0.2
有効成分中肥料として有効利用できる%
窒素30% 燐酸60% カリ90%
施肥料 普通の畑で 2∼4t/10a
<課題>
有機栽培の作物の普及と消費者の価格意識に
ついて考えなさい。
植 物
農業生産
的 対応
植 物学
多収穫・安定に係る技術の確立
多収穫・安定に係る技術の確立
耕 地
耕地
基盤
の整
備
5