家畜ふん堆肥の簡易分析はZA-Ⅱで可能(グリーンレポートNo.379)

グリーンレポートNo.379(2002.4.15号)
インフォメーション
家畜ふん堆肥の簡易分析はZA−Ⅱで可能
分析手順は図−1のようになる。
堆肥現物試料
作物体分析では、ZA−Ⅱの読み取
試 料
調製法
り値が元素表示となるので、堆肥分析
風乾または通風下60℃以下の温度で乾燥
裁断・粉砕し、2㎜の篩を通してよく混合
の際には表−1に示した係数を乗じ、
酸化物としての値に換算する必要があ
分解・
抽出法
硫酸・過酸化
水素分解
る。
0.5M 塩酸
抽出
ZA−Ⅱは簡易分析法として適用可
能であるが、利用にあたっては以下の
点に留意する。
測定成分
T−N
T−P
K
Mç
Ca
・全窒素の分析は、アンモニア態窒素、
有機態窒素を対象にしているため、硝
測定範囲
図−1
0∼5.00%
0∼1.05%
0∼10.0%
0∼5.00%
0∼1.72%
酸態窒素を含有する場合には、別途測
定する必要がある。
家畜ふん堆肥分析のフローチャート
・鶏ふん堆肥のリン酸、牛ふん堆肥・
注)T-N,T-Pを分析する場合,分解操作をするにはドラフト設備と分解装置が必要
環境問題への関心が高まるなかで、
表−1
鶏ふん堆肥の苦土を分析する場合、塩
元素から酸化物への換算係数
一昨年に環境3法が施行された。持続
肥料成分
P205
K2O
CaO
MçO
酸抽出では十分抽出されない堆肥が一
的農業の促進や家畜排泄物の有効活用
係 数
2.291
1.205
1.399
1.658
部ある。
が求められており、耕種分野での家畜
6
環境保全型持続的農業への取り組み
窒素
ふん堆肥の活用は避けて通れない課題
といえる。
家畜ふん堆肥の製造・販売では、肥
料取締法により含有成分の表示の義務
付けなど、品質管理が求められており、
JAで製造・販売する場合、分析をど
うするかが課題になる。届出にあたっ
ては精密分析をする必要があるが、日
常的な品質管理の面では簡易分析で十
分と考えられる。
中央農業総合研究センターの磯部ら
は、ZA−Ⅱにより堆肥分析が可能で
あることを報告している。平成12年8
月には、農水省農産園芸局農産課の指
導のもとにœ日本土壌協会がとりまと
T−P、T−K、T−Ca、T−Mg
の分析が取り上げられている。
全農でもZA−Ⅱの製造元である富
士平工業㈱の協力を得て、家畜ふん堆
肥分析への適応性を確認したところ、
断・施肥診断に加えて、家畜ふん堆肥
の品質把握にもZA−Ⅱをぜひ活用し
ていただきたい。
y=0.9767x−0.0323
R2=0.991
部まで。
0
2
4
ZA−À法
(乾物%)
【全農 肥料農薬部 肥料技術普及課】
15
リン酸
カリ
従 6
来
法
︵ 4
乾
物
%
︶ 2
従
来 10
法
︵
乾
物
% 5
︶
y=0.9063x+0.2301
R2=0.9434
y=0.975x−0.048
R2=0.9942
0
0
0
2
4
6
ZA−À法
(乾物%)
0
8
5
5
10
ZA−À法
(乾物%)
15
40
苦土
石灰
4
従
来
3
法
︵
乾
物 2
%
︶ 1
従 30
来
法
︵ 20
乾
物
%
︶ 10
y=0.8516x+0.3437
R2=0.6758
0
y=0.9399x−0.0369
R2=0.9932
0
0
家畜ふん堆肥の分析操作は作物体の
場合と同様であり、試料調製を含めた
6
8
簡易分析法として利用できるとの結論
を得た。
問い合わせは全農の各支所肥料農薬
0
めた「堆肥等有機物分析法」にも簡易
分析法としてZA−ⅡによるT−N、
はますます重要となっており、土壌診
従
来 4
法
︵
乾
物
% 2
︶
図−2
1
2
3
4
ZA−À法
(乾物%)
ZA−Ⅱによる堆肥の分析結果
11
5
0
10
20
30
ZA−À法
(乾物%)
40