Untitled - 上海外国语大学论文管理系统

謝 辞
本論文の作成にあたり、多くの方々にご協力いただきまして、誠に
ありがとうございました。特に論文のテーマの選定や内容、構造の修
正などについて、指導してくださった指導教官の顧偉坤先生に厚くお
礼を申し上げます。本論文の内容に当たり、季林根先生より貴重な資
料をいただき、いろいろ助けてくださって、本当にありがとうござい
ました。また丁寧にご貴重な修正意見をくださった親切な窦心浩先生、
謝秦先生にも心から御礼を申し上げたい。そして、励ましてくださる
劉暁紅さん、張楠さんなどのクラスメートに感謝の意を表したい。最
後に、この場を借りて、院生入学以来、各方面でお世話になりました
日本文化経済学院の先生方に、心から厚く御礼を申し上げます。
1
摘 要
今天的日本,很多人想结婚,却无奈不能结。换而言之,日本进入了不依靠“婚活”(月老计
划)便不能结婚的时代。因为经济的发展,日本过去的结婚系统已不复存在,加之,男性和女性
的交际能力倒退。“结婚难”这个现实问题,必须引起重视。
现在的日本,面临着少子高龄化、人口减少、晚婚化、结婚难等社会现状。这些已逐渐演变成
严重的社会问题。为了改善“想结婚又不能结婚的人在增加”这个社会现状,
“婚活”应运而生。
本论文首先对“婚活”的出现,“婚活”中男女的特征,日本的“婚活”热及其原因等进行分
析,再参考相关人士对“婚活”进行的批判,探讨“婚活”的优缺点。最后,结合“结婚难”这
一现状,研究国家和社会各界应采取怎样的对策。
【关键词】 婚活(月老计划) 草食系男子 少子化 未婚化 结婚难
2
目次
1 はじめに........................................................................................................... .. ....... ... .. .. . ............. 1
2 これまでの研究........................................................................................ ............... ..... ... .. .. ............2
3 「婚活」ブームの出現と種類................................................................. .... ................ .........................3
3.1 「婚活」ブームの出現....................................................................... .... .................... .. .......... ...3
3.2 「就活」とよく似ている「婚活」................................................................................ .. ..... .........4
3.3 「婚活」イペントの種類............................................................... ................................... .. ........4
4 「婚活」の現状と男女の特徴.......................................................... ............................... .. .. ..........5
4.1 「婚活」現状.................................................................................... .................... ..... .. .. .............5
4.2 若い男女の特徴............................................................................ ................................... .. ...........7
4.2.1 「婚活」している女性の特徴.................................................. .............................. .. ..............7
4.2.2 若い男性の特徴...................................................................... .... ...............................................9
5 「婚活」によるメリットとデメリット............................................ .............................. .............11
5.1 「婚活」のメリット.......................................................................... .................................... .....11
5.1.1 「婚活」と幸福度の関係............................. ......... ......... ......... ..... .... ........ ......... .................11
5.1.2 恋愛結婚との比較............................................................................... .... ................................12
5.2 「婚活」のデメリット――「婚活」による批判の声................................................. .... ..........13
5.2.1 批判一 ――個人を数値化した「愛」.......................................... ....... .... ...... ...................14
5.2.2 批判二――高収入の男性争奪戦になってしまう「婚活」.................. .... ........ ............. .....15
6 「婚活」流行の社会背景とサポートする原因............................................. .... ...........................15
6.1 「婚活」流行の社会背景............................................................................. .... .............................15
6.1.1 崩壊した過去の婚姻システム.................................................................. .... ... .....................16
6.1.2 金融危機の影響............................................................................................. .... ......................17
6.1.3 高い未婚率........................................................................................................ .... .... . ............17
6.1.4 少子化社会............................................................................................................ .... .. . .........19
6.1.5 結婚難の時代に入った日本............................................................................... ........... .... ....20
6.2 「婚活」イベントをサポートする原因.................................................................. ......... ........21
6.2.1 主流である「結婚したい」という観念....................................................................... .........21
6.2.2 若者恋愛パワー減退............................................................................................ .... ...............22
6.2.3 子供の我ままを放任する親....................................................... .......................... .... .............23
6.2.4 政府の今までの少子化政策.................................................................................. .... .............24
7 社会の対応............................................................................................................. ........ .... .............25
7.1 政府と各自治体の対応........................... ....................................................................... .... ........25
7.2 企業と結婚相談所の態度............................................................................... .. .. .. .. .. .... .........26
7.3 教育機関の対応................................................................................................. ........... .... ..........26
8.おわりに.................................................................................................................. .. .. .. .. .... ..........27
参考文献............................................................................................................ .. .. .. .. .. .. ........ .... ......29
3
要
旨
今の日本では、多くの人が結婚したいのに、なかなか結婚できない。つまり、「婚活」しな
いと結婚できない時代に入った。経済発展のために、昔の結婚システムが崩壊した。また、男
女のコミュニケーション能力が減退しつつ、結婚は難しくなる現実に注意しなければならない。
現在の日本は、少子高齢化・人口減少・晩婚化・結婚難とますます社会状況は厳しくなり、
深刻な問題になっている。「結婚したいのに結婚できない人たちが増えた」という深刻な現状
を少しでも改善するために、「婚活」は生まれた。
本稿では、まず、
「婚活」の出現、
「婚活」男女の特徴、日本の「婚活」ブームとその原因を
把握した上で、
「婚活」に対する批判意見を参考して、
「婚活」のメリットとデメリットを検討
したい。そして、この現状に対する国の態度や社会各界の対策などがどこまで進んでいるかを
明らかにしたい。
【キーワード】婚活
草食系男子
少子化
未婚化
結婚難
1. はじめに
「婚活」という言葉は2007年11月に初出して、2008年3月に話題になり、その後雑誌やテレ
ビでも取り上げられるようになり、2009年の流行語大賞にトップ1になった。また、2009年、
「婚活」をテーマとしての作品は二本であった。さらに、家族社会学者である山田昌弘による
と、日本は「婚活」時代を迎えたという。
結婚できない男女が増え、日本の人口が減少している現状が日本社会の大きな問題になり、
「婚活」はその問題を解決するための活動と見られる。このような問題を改善できる「婚活」
が社会にどんな影響を与えるか、今流行している原因は何だろうか。また、日本政府や日本社
会が「婚活」に対してどう取り組んでいくか。これらの問題を分析することは、「婚活」現状
を知る上で重要である。
以上が、筆者がこの問題を研究のテーマとして取り上げた理由である。
この研究ではまず、「婚活」の定義を明らかしたい。次に、若い男女の特徴と性差から見る
原因、
「婚活」の現状、その背景と影響などを論じたい。最後に、
「婚活」に対して社会各界は
どんな対応策がとられているのか。政府、結婚相談所、教育機関の対応策などを見ていく。
2. これまでの研究
「婚活」を考察対象としている先行研究には、山田昌弘(2008)白河桃子(2008)などがあ
1
る。草食系男子についての先行研究は深澤真紀(2006)森岡正博(2009)などがある。「婚活」に
ついての批判は橋爪大三郎などがある。
山田(2008)によると、「結婚適齢期の独身男性の年収は、どうしても相対的に低くなる。
39.2%の女性は、
「年収 600 万円以上」の男性を希望しているのに、
「年収 600 万円以上」の男
性は 3.5%しかいないのだ」(p.17)
。未婚化の進展について、「日本では、欧米のように感情
だけで熱烈な恋に落ちる、恋愛完全自由主義は育ってない。それでも以前は、お見合い制度や
適齢期、それに結婚している方が会社で認められるなどの、外部からの圧力があって、結婚に
駆り立てられた。いまは恋愛自由度が低いまま、圧力はなくなりつつある。これは未婚率が高
い原因だ」、
「職業パフォーマンスの低い低い男性は結婚できない、恋愛相手としても排除され
る」
(p.361)などと指摘している。少子化について、
「少子化の実態、北西ヨーロッパは、意
識、特に女性の意識が変化していることによって生じている。しかし、日本では、逆に、社会
が変化しているのに対して、意識、特に女性の意識が根本的には変化していないことによって
いる」
(p.1)と述べている。若い者について、
「現代の感情の基本構造の変化がないという前
提で男らしさや女らしさを捨てると、確実に、恋愛・結婚で不利になる(自分が好きな人から
好かれる確率の減少)」(p.360)と指摘している。草食系について、「発達途上の青少年によ
って、モテルか、もてないかは重要。恋愛自由状況によって、モテルともてないの格差が拡大。」
(p.360)と述べている。雇用状況について、「現代の経済は雇用状況が二極化になり、男性
労働者も二極化になる」。(p.361)結婚状況について「モテル、もてないの階層分化の進展、
「男性が生活を支える」意識が強く残存、できない男性は魅力を感じない」(p.361)と記述
している。本稿では、山田の主張を主軸としていると思う。
白河は「『婚活』が必要な時代になった主な理由は、今まで日本人を結婚させていたシステ
ム、即ち「お見合い」とか「社内結婚」などが崩壊してしまい、マッチングの場・機能の喪失
が大きい(男は仕事・長い残業、非正社員の増加等)。日本人はもともと恋愛下手で、自分の
力で恋愛市場を勝抜けるのは一握りしかいない」(p.1)と述べている。「恋愛下手」だけでな
く、今の若者のコミュニケーション能力も減退しつつある。この点については、あとでコメン
トすることにしたい。
深澤(2006)は「「恋愛やセックスに「縁がない」わけではないのに「積極的」ではない、
「肉」
欲に淡々とした「草食男子」」が若い世代に増えてきている」(p.1)と指摘している。さらに、
森岡(2011)は、その後、「草食系男子とは、心が優しく、男らしさに縛られておらず、恋愛
にガツガツせず、傷ついたり傷つけたりすることが苦手な男子のこと」 (p.18)と定義して
いる。「草食系男子の出現が、日本の戦後の平和の副産物だとしたら、それは歓迎すべきこと
2
であると私は思う」(p.24)と述べている。森岡の観点はほとんど同意しているが、
「草食系男
子の出現が歓迎すべき」という観点だけは、賛成していない。本稿では、具体的に説明してみ
たい。
「婚活」の批判について、橋爪大三郎は「婚活」に深い疑問を持っている。例えば、
「婚活」
している連中が「恋愛の 2 文字はみじんも感じない。あるのは「計算」だけ」と語った。そし
て、
「「草食系」などとチヤホヤするな。もっとガツガツ「肉」を食え、もっと恋をしようでは
ないか」、
「結婚する、しないは個人の自由。その意思は尊重されるべき」などと指摘している。
このような批判に基づき、「婚活」のメリットとデメリットを論じしたい。
3. 「婚活」ブームの出現と種類
3.1
「婚活」ブームの出現
自由化になる結婚市場は結婚したいと思う人はなかなか結婚できないのは現実である。この
状況の中、「婚活」が生まれた。
「婚活」という言葉は、家族社会学者である山田昌弘中央大学教授と少子化ジャーナリスト
の白川桃子さんが AERA の取材をする中で産まれた言葉であり、初出は 2007 年 11 月 5 日号と
のことであり、しかしその時点ではまったく人々の意識を捉えなかった。この言葉に対する社
会的反響はほとんどなかったのである。
「婚活」に一躍注目が集まったのは、2008 年のことだ。
2008 年 3 月に『婚活時代』が発売されて話題になり、「婚活」という言葉は一気に知名度を上
げることとなった。新聞、テレビ、雑誌、インターネットなどでさかんに取り上げられ、人々
の日常会話にもたびたび登場した。2009 年結婚活動がテーマの作品は二つであった。ひとつは
テレビドラマ、コンカツ・リカツ(NHK、2009 年)書籍『婚活時代』を原案としたドラマ作品
であり、アラフォー女性の結婚活動を描いていた。もうひとつは、婚カツ!(フジテレビ、2009
年)こちらは草食系と呼ばれる男性の結婚活動を描いたドラマ作品であった。2009 年 12 月に、
「新語流行語大賞」(ユーキャン主催)のトップ1として「婚活」が選ばれた。流行語の生命
は短いから、時間にともなって廃れていく可能性も高いかもしれない。しかし、この言葉の登
場によって、結婚についての考え方が変わったことは事実である。日本社会におけるエポック
メイキング(epoch-making)な出来事であったと言えるだろう。
3.2
「就活」とよく似ている「婚活」
「婚活」とは「結婚活動」のこと。就職活動を「就活」と略していうのに倣ったもののよう
である。
3
戦後から 1980 年代まで、「終身雇用制」が根強く、就職が比較的に簡単だ。しかし、1999
年以降、男女雇用機会均等法が大幅改正されたため、就職市場の競争が激化し、就職か難しく
なる。そうすると、大学生としては、3 年生の春から初夏にかけて就職活動をしなければなら
ない。要するに、就活をしないと、就職もできない時代が始まった。
就職するために就職活動が必要なように、結婚するためには結「婚活」動が必要なことであ
る。1これは社会学者、山田昌弘が考案、提唱した造語である。
前近代の日本では、働く女性も少なく、20 代の前半には若者がほとんど結婚した。その時の
婚姻はだいたい親に決められた。だから、若者は結婚相手を選択自由があまりないというわけ
である。言い換えれば、自分が婚姻に努力をしなくても結婚できると言えるだろう。
そして、社会の変化に伴って若者の考え方も変わった。そこで、恋愛結婚が流れになってい
た。その時、特に女性の意識が変わってきた。女性が社会への進出や、仕事や趣味などをはじ
めとして人生を自分らしく楽しめるようになった。結果としては、結婚適齢期という概念もな
くなり、30 代を過ぎて結婚もしない人が増えてきた。そのため、結婚率が低くなっていく。要
するに、結婚がある程度むずかしくなるのが現実である。
しかし、2008 年の金融危機と 2011 年の東日本大震災の影響が大きかった。経済の不況で、
生命の不定で、人々の不安感が増加してきた。それに伴って、家庭に戻りたい、結婚したい、
絆意識を持っている人が多くなった。その時、「結婚難」に直面しても、どうしても結婚した
い人々は「婚活」を重視していく。
3.3
「婚活」イペントの種類
就活はいろいろあるように、「婚活」もいろいろある。今のところは結婚のためにおこなう
行動全般が「婚活」になる。お見合いパーティー、結婚相談所、職場、友達の紹介、合コン、
ネットなど出会いの場が、自分から積極的に結婚相手を探すのだから、これらが全部「婚活」
の内容である。
「婚活」イベントとして、コミュニケーションのトレーニングや、料理教室や、
ゴルフなどのスポーツ、バーなど様々な活動がある。また、エステなどに通って自分をきれい
にしたり結婚資金を貯めるために貯金をしたりのも「婚活」の一部とも言える。
例えば、2011 年 2 月 2 日「朝日新聞(朝刊)」は「ねこんかつ」についての記事があった。記
事によると、猫を飼う会社は「ねこんかつ」を毎月 1~3 回開催する。毎回 1~2 組のカップル
が成立するという2。一般の見合いに疲れた人は動物の「婚活」のほうがいいと思う。猫がいる
1
2
山田昌弘、白河桃子
「婚活」時代
ディスカヴァー21
2008年
p.1
原文は:同社は昨年 2 月から「ねこんかつ」を毎月 1~3 回開催。最多で男女 10 人ずつを募集し、毎回 1~2
組のカップルが成立するという。
4
と、会話に困ることもないし、たとえうまくいかなかったとしても、猫の存在で癒される。
「お
見合いパーティーだと頑張らなければならない気がして腰が引けていたけど、猫と一緒なら間
が持つ。」と神奈川県に住む会社員女性(41)は言った。3
まず、猫好きな男女を集めて、猫カフェに行く。そしてグループごとに分かれて、自己紹介
する。次は、ネコ写真の撮影レッスンを受けて、男女のペアを決めて猫と一緒に写真を撮る。
最後のフリータイムには猫トークが繰り広げられる。
もう一つの例は九州大学の「婚学講座」である。旧帝国大学が結婚を教えることに、ネット
上では賛否両論だが、確かに、今の日本社会はもう「婚活」時代に入った。この授業の目的と
しては、恋愛、結婚、出産、子育てにフォーカスし、そこから生き方を学ぶということ。恋人
の条件、結婚相手の条件、健康な結婚などたくさんの内容を含めている。受講前は結婚するた
めに役立つノウハウを教えてくれると思う人が少なくないが、授業した後、「人生の先輩の意
見がたくさん聞けて、思考の幅が広がった」4、「恋愛や結婚に万人共通の答えなんてない、こ
こで教わったのは、模索を続けて自分なりの答えにたどり着く、その方法とプロセスだった」
5
。などと評価した。
「婚活」現状と男女の特徴
4
4.1
「婚活」現状
山田(2010)は調査結果の分析によると、恋人のいない人のうち、「婚活」の実施率は 12.1%
である。そして、男性に比べると、女性の実施率が高い。また、30 代前半女性の実施率は 29.8%
に対して、30 代後半女性の実施率は 26.1%になっている。20 代女性は、魅力を高めるなどが
比較的多いが、30 代女性は、紹介を依頼する形が増える。男性の場合は 30 歳になると、紹介
所に登録したり、見合いを依頼したり、受身的な内容が多くなる。というのは、「恋人が現在
いない男性は、積極的に結婚相手を探そうという意欲が乏しいのが現状である」6。(P10)
以下は、明治安田生活福祉研究所が 2009 年行われた「婚活」の実施率についての調査結果
である。調査は 20 歳から 39 歳の人を対象として、総計 7965 人(既婚者 3875 人、独身者 4090
人)の回答を得た。でも、ネットの調査であるため、多少の偏りがあることが避けられない。
3
朝日新聞(朝刊) 2011 年 2 月 2 日 29 面
直木詩帆 「26 歳絶賛婚活中」のAERA記者が体験受講 九大が始めた「婚学講座」『AERA』2012
年 7 月 9 日号
5
直木詩帆 「26 歳絶賛婚活中」のAERA記者が体験受講 九大が始めた「婚学講座」『AERA』2012 年
7 月 9 日号
6
山田昌弘 日本の未婚者の実情と、「婚活」による少子化対策の可能性 クォータリー生活福祉研究 通巻
74 号 2010 年 p.10
5
4
その時、「婚活」という言葉を直接使用して、質問している。新しい言葉なので、定義と範囲
が不明確なので、回答者によって、意味付けも違う。この結果について、「日本の未婚者の特
徴として、交際が不活発である」7と山田が指摘した。
(2009年 第5回「結婚・出産についての調査」明治安田生活福祉研究所から)
おもしろいのは、同じ時期、以上の分析と少し違うデータもある。例えば、2009年6月30日
読売新聞が「新入社の三割『婚活』しないと結婚できない」という記事があった。日本生産性
本部が2009年度新入社員を対象に「働くことの意識調査」を実施した。その結果(有効回答数
3172人)によると、全体の31.1%が「積極的に『婚活』をしないと結婚できない」と回答。男
女別にみると、男性35.2%、女性25.6%と「婚活」の必要性を強く感じている。そして、20~
40代の日本サラリーマンのなか、36.1%の人が「婚活」をしている。2009年1月~3月、ある結
婚相談所の新入会員は20~30代の人が50%を増加し、35~45代の増加率が25%に達する。その
時、『婚活時代』や『聖書の婚活』など「婚活」についての本はベストセラーになるばかりで
なく、
『婚活ブラ』など不思議な製品も製作した。2008年~2009年、
「婚活」がブームになる記
事もところどころで見える。ここの資料から見ると、「婚活」に熱心な人が少なくないことが
わかる。
ここまで、単にデータからいえば、明治安田生活福祉研究所と日本生産性本部の調査結果は
矛盾になると思う人がいるかもしれないが。実は両方でも日本当時の社会現状を反映している。
山田教授を言うとおり、交際の不活発は確かに日本の未婚者の特徴である。一方、「婚活」は
ブームになれるのは、未婚者自身の意識が覚めるほか、メディア・結婚相談所・各商社は「婚
活」を利用して、わざわざ「婚活」の雰囲気を作る可能性も高いと思っている。たぶん自分の
利益が主要な原因の一つだが。もしこの雰囲気は未婚者の交際能力を上昇できればいいではな
いかと考えている。
7
山田昌弘 日本の未婚者の実情と、「婚活」による少子化対策の可能性
74 号 2010 年 p.10
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クォータリー生活福祉研究
通巻
それから、第二次「婚活」ブームになったのは 2011 年であり、具体的には、3・11 東日本大
震災後のことだ。東日本大震災後、
「震災婚」が増え、
「震災入籍」が増え、結婚情報サービス
の入会が増え……という現象は東日本では確認されていたという。「震災後、もっと結婚した
くなった」人も増えてきた。震災後に結婚したカップルの多くは「震災前から付き合っていた
人」だが、震災後に「恋人ができた」「震災後に出会った人と結婚した」という人もたくさん
いる。それはなぜかというと、当たり前だと思っていた日常が、実は壊れやすい脆いものだっ
たということに、多くの日本人が気づいた。そんな中、
「日常の再構築」、または「新たな日常
の構築」として、結婚を求める人が増えているのだ。自分勝手に生きるのではなく、「大切な
人と共に生きていかなければならない」と感じた人が増える。震災後に結婚願望が高まってい
ることは、データでも読み取ることができる。
結婚相談所「オーネット」が2011年6月3日に発表した調査結果によると、震災後に「友人・
知人の大切さを感じた」と回答した人は79.2%に達する。男女共に結婚への意欲は増している。
その中、女性の傾向が強く、
「結婚を意識するようになった」と回答した人は54.2%になる。
「改
めて人の優しさに触れる機会が増えたことにより、彼女らの結婚意識が高まっているのかもし
れない」8と分析している。
そして、2012年現在、日本では商店街を舞台にした「街コン」などの「婚活」イベントが各
地で行われている。「婚活」ブームは続いて行く。
4.2
4.2.1
若い男女の特徴
「婚活」している女性の特徴
「婚活」をしている女性の特徴はまとめてみれば、以下のようである。
第一、女性は男性より積極的だと見られる。
第二、結婚の条件がたくさんある。相手の職業、身長、学歴、容姿、将来性などいろいろなこ
とを気にしている。
第三、単にいろいろな気にするだけでなく、1 つでも欠けると失望してしまう。
この主な原因は何だろうか。
まずは、女性は単に独身男性を探すのではなくて、「高スペック男」を求めるのが目標であ
ると山田教授が指摘した。調査によると、女性が男性を結婚相手として選ぶ場合、相手の年収
を重視する傾向がある。
前言ったように、39.2%の女性は年収「600 万円以上」の男性が理想だ、26.8%の女性は年
収「400 万円以上」の男性を希望している。この 2 つを合わせて、
「400 万円以上」希望するの
8
ロス婚の“生ぬるい結婚観”は大震災で消え去った? DIAMOND ONLINE 2011 年 6 月 27 日
7
は 7 割近くになってしまう。女性は既に結婚している男性の年収をベースにしているので、ど
うしても高くなってしまう。
一方、東京で働く 25 歳から 35 歳の独身男性は、600 万円以上稼いでいる人が 3.5%。400
万円以上稼いでいるのも 23.0%しかいない。ほとんどの男性が、200 万円~400 万円で、全体
の 43.2%を占めている。結婚適齢期の独身男性の年収は、どうしても相対的に低くなる。9
39.2%の女性は、
「年収 600 万円以上」の男性を希望しているのに、
「年収 600 万円以上」の
男性は 3.5%しかいない。つまり、競争率は 10 倍以上にもなる。
では、女性たちが高スペック(若者の間で、人の身体的特徴、趣味、学歴、仕事などの階級
を表す言葉として使われている)男を求める心理はなんだか。精神科医の香山リカさんは次の
ように述べている。
「女性たちが決して結婚して経済的に楽な生活をすることだけが主な理由でない、結婚はい
わば一瞬の自己確認。面倒な結婚生活が送りたいわけではなくて、プロポーズされて選ばれた
という勝利の感覚を味わうことが大事、ハイレベルな男性に選ばれなければ満足感はない、そ
の勝利を他人に見せられない『結婚指輪禁止令』なんて出したら、みんなもっと結婚しなくな
る」10。
つまり、女性は勝利の感覚とか、虚栄心の満足など追求している。筆者は女性なので、この
結論に大変興味深い。どうして女性はこの心理を持ってるのか、青木やよひの『性差の文化』
に次のようなことが書かれている。
「一般的には、男の欲望は本能に根ざした直截的かつ陽性ものであり、女の欲望は屈折し、か
つ陰性であると信じられている。したがって、男の欲望は、たとえば性などに向けて直接に示
され、女の欲望は、たとえば嫉妬や虚栄心のような形で間接的に現れる。」11
次は草食系男子の存在である。パートナーエージェントが 30 歳未婚男女 400 人を対象にお
こなった調査によると、
「どちらかといえば草食男子」(61%)、
「完全に草食男子」(13%)と、
「自
分は草食男子」と思う男性は 75%にのぼった。12男性は消極的だったら、女性は積極的になる
のも自然だろう。
もちろん、女性が家庭を守り、自分の子供を守るという社会性が強いなども原因であると思
ったが、以上は主として、女性の心理と性差の違いを通じて、「婚活」をしている男女の特徴
と原因を検討している。
9
山田昌弘 若者の将来設計における「子育てリスク」意識の研究 総括研究報告書 2002 年
加木村恵子 独身男女 1200 人に徹底調査―結婚難 男女の本音 2005 年 p.5
11
青木やよひ 性差の文化 金子書房 1982 年 p.43
12
中堀内彰宏 30 代未婚男性、4 人に 3 人が「自分は草食男子」――草食男子と肉食女子に関する意識調査
Business Media 誠. ITmedia 2009 年 3 月 6 日
8
10
4.2.2
若い男性の特徴
男性の場合も二つの特徴を持っている。第一、被動的、「婚活」そのものを恥ずかしく思っ
ている。 第二、結婚相手についての要求は少ない。
日本未婚男性の現状は、07 年の人口動態統計によると、現在の 30 代後半男性の 4 人に 1 人
が、20 代後半の男性にいたっては 3 人に 1 人が、一生独身となることが予測されている。
なぜ、男性は被動的、「婚活」そのものを恥ずかしく思っているのか。経済不況や非正規雇
用のため男性の経済力の低下が一つの原因かもしれないが。最も重要なのは、日本では、「草
食系男子」が増えていることからだと思う。
M1F1総研が2009年2 月に首都圏の20~34歳の男性1000 人を対象にして、インター
ネットで行なった調査がある。まず、20~34歳の男性のうち、60.5%が自分のことを草食系男
子であると答えている。また、62.8%が「恋愛に積極的ではない」と答え、46.7%が「異性と仲
良くなるために多くのお金を使うのは馬鹿げている」と答えているのである。つまり、すでに
若い男性の半数以上が恋愛に積極的ではなく、半分が恋愛にお金を使うことを馬鹿げていると
考えているのである。
森岡正博から見れば、「草食系男子とは、心が優しく、男らしさに縛られておらず、恋愛に
ガツガツせず、傷ついたり傷つけたりすることが苦手な男子のこと」13。定義から分析すると、
「草食系男子」は五つの特徴を持つ。第一は、心が優しいこと;第二は、男らしさに縛られて
いないこと;第三は、恋愛にガツガツしないこと;第四は、対等な女性観こと、第五は、傷つ
きが嫌いなこと。
筆者はここに注目したいのは第二、第三、第五の特徴。「草食系男子」は「男らしさに縛ら
れていない」は、戦うことができ、頼もしく、女性を守ってあげたい意欲が強いという原始の
男らしさと違うと言えるだろう。「恋愛にガツガツしない」は女とのいい仲間関係は、性的欲
望があっても、容易に崩さないではないだろうか。「傷つきが嫌い」という特徴は自分や相手
を傷つけたくないため、主動的な恋愛になれない嫌いがあると思っている。
客観的にいえば、「草食系」がメリットもある。森岡正博教授の考えによると、男性の草食
化は男性の凶暴性の減少と深い関係がある。さらに、「草食系男子の出現が、日本の戦後の平
和の副産物だとしたら、それは歓迎すべきことであると私は思う」14と述べている。
しかし、筆者はここに言いたいのは、草食系男子の存在は日本未婚率が高いの元凶の一つと
思う。04 年にべストセラーになった『負け犬の遠吠え』の著者である酒井順子は、「晩婚化・
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森岡正博「草食系男子」の現象学的考察 The Review of Life Studies Vol.1 2011 年 p.7
森岡正博「草食系男子」の現象学的考察 The Review of Life Studies Vol.1 2011 年 p.23
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少子化の原因の半分以上は男性のせい」15と分析した。筆者から見れば「草食男子」とは、恋
愛やセックスに消極的な若い男性である。例えば、女性へのアンケート調査をすると、9割以
上の女性がプロポーズは男性からしてほしいと答える。これは男性にとっては大きな抑圧とな
る。プレッシャーを男性だけが引き受けなければならないのなら、恋愛などしないほうがまし
だと男性が思うようになる。なぜ男性のほうだけが、プロポーズをするという重責を担わなけ
ればならないのか、という鬱屈した気持ちを持つ者も少なくないだろう。プロポーズというの
は、結婚の約束を口に出すことだから、どちらから言ったとしても問題ないはずだし、ふたり
で話し合って結婚を決めても問題ないはずである。そのほうが、男女対等であると考える人が
少ないだろう。
だが、昔から、完全な男女対等ができないと思っている。
『性差の文化』の中、このような例が出ている。完全な男女同権を目指したイスラエルの共
同体・キブツの悲劇的な例である。はじめは女性も畑で働きトラクターを運転し、男性も炊事
場や洗濯場で働きていた。何年後には、炊事場や洗濯場で働くのは女性ばかりになっていた。
妊娠や授乳のために、女性は男性と同じ労働を継続できなかったからである。
近代主義の観点は「人間が平等である。だから平等な機会さえ与えれば平等な社会が来る。
でも、男と女の性差が重んじられねばならない。差があることが差別になるとしたら、そうい
う社会組織を作り出す社会全体の思想=価値観こそが問題なのではないか」16と指摘した。
青木やよひ(1982)から見れば、性ホルモンについては、霊長類の実験でみんなよくわかるよ
うにもともと男性ホルモンが攻撃性や積極性を促すことが実証されているが、もし男性が女の
子として育てられれば、
「女らしい」心理や行動が身についてしまうということである。これ
は「草食系男子」の存在の原因だろう。「草食系」が増えるとなると、社会全体の思想や価値
観も問題になるではないだろうか。
未婚化という社会問題を解決するために、「草食系」の考え方を重視しなければならない。
男性自分も反省すべきだと思っている。もっと勇気とか、責任感とか、積極性などが必要だろ
う。
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「婚活」によるメリットとデメリット
5.1
5.1.1
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「婚活」のメリット
「婚活」と幸福度の関係
2004 年酒井順子所著『負け犬の遠吠え』の紹介文により
青木やよひ 性差の文化 金子書房 1982 年 p.28
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「婚活」は科学性があり、はじめる時「愛」がなくとも、幸福ができると思っている。理由
としては、心理学の中、ひとつ有名な研究は「期待が低いのは満足度(幸福度)が高い」である。
この心理が実際、顧客に過大な期待をもたせない営業戦略として、コンサルティング会社など
がこの方法を採用している。具体的な内容は次のようである。「期待が大であれば、それに対
するサービス対応はよりきびしい評価を受けるというわけだ。満足度というのは心理的には、
次の式が成り立つ。満足度=現在価値/初期期待」17
マーケティングと心理学の専門家、デジタルハリウッド大学教授である匠英一によると、
「こ
れは熱烈な恋愛結婚とお見合い結婚を比べた時にも同じことが言える。お見合いはお互いにあ
る程度妥協した形で結婚するため、それほど期待もしていない。一方、恋愛派はお互いの夢一
杯の結婚生活に期待も大きく、結果としては不満足度がアップすることになるわけだ。」18ここ
のお見合い婚も「婚活」の一つ形と見られる。心理学の研究結果によると、現代のお見合い結
婚や一目ぼれの幸福度は恋愛結婚より高い。この理由は初めての期待があまりないので、結婚
の後幸福度が高いわけである。
ここに、もう一つ付け加えたいのは一目ぼれである。初めて会う二人が必ずしもお互いに好
感を持っているわけではない。というのは、初めて会ったばかりの二人ではお互いに「愛」を
生まれないかもしれない、勝手に一目ぼれして、もう一人が特別な感情を持たないケースも
多々ある。だが、心理学の研究結果では、一目ぼれの幸福度が高いとある。言い換えれば、一
目惚れで結婚した夫婦の離婚率は低いことが事実である。例えば、アメリカの離婚率は通常
50%だが、夫から一目惚れした場合、離婚率は 20%であり、妻から一目惚れした場合、離婚率
は 10%以下しかない。これはなぜだろうか。
2012 年 4 月、匠教授が上海で講演を行った。その時、筆者はこの問題を聞いた。匠教授の答
えはこのようである。「理由は『好きの返報性』で、相手を熱烈に好きということで、お返し
の行動が大きくなるからである。」
ネットで「好きの返報性」を打ち込むと、「返報性の原理」という用語が出た。つまり、人
はなにかを与えられると、お返しをすることによって、相手との関係性のバランスを取ろうと
する心理が働くということである。
だから、「婚活」して、高く期待をしない、すなわち「好きの返報性」のよくわかる人が幸
福できる可能性が高いと思っている。もちろん、初めて会った時、お互いに非常に嫌いな気持
ちがないことも大きな前提としている
17
匠英一
匠英一
18
心理マーケティング 日本能率協会マネジメントセンター
心理マーケティング 日本能率協会マネジメントセンター
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2005 年 p.136
2005 年 p.136