第55次(平成21年度)海外電設視察団報告書

第55次(平成21年度)海外電設視察団報告書
目
次
ページ
はじめに ······························································ 1
Ⅰ.行程・団編成・訪問国の概要
1.行
程······················································ 2
2.団編成······················································ 3
3.訪問国の概要 ················································· 4
Ⅱ.現場視察
1.リニアモーターカー ···································· 5
2.上海環球金融中心(SWFC) ························ 7
3.三峡ダム················································ 15
Ⅲ.協会訪問
1.中国電器工業協会(CEEIA) ···················· 24
2.亜細亜太平洋電気工事協會(FAPECA) ····· 30
3.韓国電機産業振興會(KOEMA) ··············· 34
IEEE T&D ASIA-SIEF2009(展示会) ······ 35
[参考] (社)日本電設工業協会(JECA) について ········ 37
まとめ ······························································ 38
2009 年 12 月 9 日経営企画委員会
はじめに
(社)日本電設工業協会は、平成 21 年 10 月 26 日から平成 21 年 10 月 31 日までの 6
日間、中国(上海・宜昌)及び韓国(ソウル)の 2 ヶ国 3 都市を現場見学及び業界団
体との交流を目的として、第 55 次海外電設視察団を派遣した。
海外の窓口である経営企画委員会の国際交流専門委員会において、実施計画等準備
が進められ、本年 5 月から参加者の募集を開始し、7 月 31 日に募集を締め切った。最
終的には、当協会の西山勉理事(経営企画委員会副委員長、国際交流専門委員会主査)
を団長とする総勢 18 名の視察団となった。また今年の募集対象は、従来の経営層か
ら主に実務者(執行層)を対象にしており、内容もそれに準じている。今後は経営層
と執行層を隔年で実施していく予定である。
行程は、10 月 26 日成田国際空港において結団式の後、歴訪の旅に出発した。上海
では到着早々、最高速度 431km のリニアモーターカーを体験乗車し、その後、世界
で 3 番目の高さを誇る上海環球金融中心(SWFC)の見学を行った。翌日、上海から
西へ約 1,000km の宜昌市へ移動し、世界一の発電出力である三峡ダムを見学した。見
学を終え午後には武漢経由で再び上海へ戻り、翌日の朝から中国電器工業協会
(CEEIA)と意見交換会を行った。ソウルでは亜細亜太平洋の電気工事協会を集合団
体である FAPECA と韓国電気工事協会(KECA)を訪問し、その後、電気機器展の
見学、それを主催者する韓国電機産業振興会(KOEMA)へ表敬訪問した。以下は、
その詳細報告である。
1
Ⅰ. 行程・団編成・訪問国の概要
1. 行程
月
日
10 月 26 日
滞在、移動
業
東京(成田) → 上海(浦東)
(月)
10 月 27 日
(水)
察
先
・リニアモーターカー乗車
上海(虹橋) → 宜昌
・葛洲堤(カシュウハ)ダム
・三峡ダム
宜昌 → 武漢(バス)
武漢 → 上海(浦東)
10 月 29 日
(木)
視
・上海環球金融中心(SWFC)
(火)
10 月 28 日
務
・中国電器工業協会(CEEIA)
上海(虹橋) → ソウル(金浦)
・亜州太平洋電気工事協会(FAPECA)
10 月 30 日
・韓国電気工事協会(KECA)
(金)
・国際見本市 SIEF 視察
・韓国電機産業振興会(KOEMA)
10 月 31 日
ソウル(金浦) →東京(羽田)
(土)
[ルートマップ]
2
2. 団編成
氏
団
名
所属会社
会社役職
長
西山
勉
西山電気㈱
社
長
副団長
西村
弘
東光電気工事㈱
副社長
協会役職
理事、経営企画委員会副委員
長、出版委員長
〔取材・報告書作成班〕
(☆は班長)
◎第1班(リニアモーターカー、上海環球金融中心(SWFC)、三峡ダム)
☆
北山
信一郎
㈱関電工
電力本部原子力部長
上野
和男
㈱協和エクシオ
CE 事業本部電気設備部電気設備部長
日本電設工業㈱
営業統括本部東京支店副支店長
木佐貫
弘昭
成田
和夫
㈱弘電社
顧問(技術本部)
伏木
忠了
北電力設備工事㈱
会長
◎第2班(中国電器工業協会(CEEIA)との意見交換会)
☆
臼倉
伸浩
㈱八洲電業社
工務部工務第二課課長
一瓢
秀次
三栄電気工業㈱
社長
大平
政道
㈱雄電社
人事部長
工藤
和成
川北電気工業㈱
電設中部本店副本店長
日昭電気㈱
営業部次長
長谷川
勉
◎第3班(FAPECA 及び KECA との意見交換会、展示会の視察と主催者の KOEMA の表敬訪問)
☆
輪湖
葆子
アヅサ電気工業㈱
代表取締役会長
東
裕之
浅海電気㈱
工事第一部部長
笹原
正寿
イワブチ㈱
営業第一部課長
田形
雄治
㈱弘電社
顧問(コスト企画部)
俵谷
美秀
因幡電機産業㈱
電設東日本事業部第 2 営業部部長
(社)日本電設工業協会
調査・技術課主任
◎事務局
髙張
健太郎
3
3. 訪問国の概要
中
国
国
韓
国
(参考)日
本
別
959.7 万 km2
(日本の約 25 倍、
世界第 3 位)
134,575 万人
(第 1 位、2009 年)
9.8 万 km2
(日本の約 1/4
世界第 107 位)
4,833 万人
(第 26 位、2008 年)
12,729 万人
(第 10 位、2008 年)
140 人/km2
493 人/km2
337 人/km2
北京
ソウル
東 京
主要言語
漢語(中国語)
韓国語
日本語
政体・議会
人民民主共和制・
全国人民代表大会
民主共和国・一院制
立憲君主制・二院制
仏教、プロテスタント、
カトリックほか
仏教、神道ほか
面
積
人
口
人口密度
首
宗
歴
都
教
史
月別平均気温
仏教、イスラム教、
キリスト教など
1948 年 大韓民国成
1911 年 辛亥革命
立。
1912 年 中 華 民 国 成
立、清朝崩壊
1949 年 中華人民共
和国成立
上海 (1 月)4.3℃~
ソウル (1 月)-2.5℃~
(7 月)27.9℃
(8 月)25.5℃
1868 年 明治維新
1947 年 日本国憲法施
行
東京
(1 月)5.8℃~
(8 月)27.1℃
電
圧
220V
50Hz
ソウル 1,343mm
220V
50Hz・60 Hz
通
貨
人民元
ウォン
円
4 兆 9,088 億ドル
(511.6 兆円)
9,291 億ドル
(96.8 兆円)
4 兆 9,106 億ドル
(511.8 兆円)
13.0→9.0
5.1→2.2
2.3→▲0.7
年間降水量
G
D
P
(2008 年)
GDP 成長率
(2007→2008)
上海
1,155mm
37.8 万 km2
(世界 60 位)
1,467mm
100V
50 Hz・60 Hz
東京
(注) 1 ドル=104.23 円(税関調べによる 2008 年の平均レート)とした。以下、本報告書ではこのレートによる。
都 市 別
上
海
ソウル
(参考)東
京
面
積
6,341km2
605km2
2,188km2
人
口
1,858 万人
1,042 万人
1,298 万人
2,930 人/km2
17,219 人/km2
5,940 人/km2
人口密度
4
Ⅱ.現場視察
1.リニアモーターカー
日
時
区
間
10 月 26 日(月)
13:00~13:10
上海浦東国際空港~龍陽路駅間
(1)概要
上海(浦東)空港到着後、龍陽路駅までの約 30km をリニアモーターカー
で移動した。乗車に当たっては、セキュリティの関係上、手荷物 X 線検査を
受けて乗車をした。
正式名称:上海磁浮列車
開 通 日:2002 年 12 月 31 日
全
長:29.863km
最高速度:431km(乗車後、約 3 分で最高速度 431km に達した。)
時
間:7 分 20 秒
運営会社:上海磁浮交通発展有限公司
料
金:50 元(664 円)
。
上海市内と浦東空港間がタクシーで 150~200 元ほどするのを考え
ると格安感がある。
(注) 1 元=13.286 円(2009 年 10 月の平均レート)とした。以下、本報告書ではこのレー
トによる。
備
考:ドイツの技術により造られた。
現在のところの始発駅・龍陽路駅は、浦東新区の郊外に位置し、上
海の中心から離れている。しかし将来的にはこれを上海万博の会場
5
を経由して上海南駅へ延伸し、さらに西南の嘉興市を経て杭州市ま
で延伸する計画がある。
(2)一般的所感
このリニアモーターカーは、現在「世界で最も速い陸上交通機関」とギネス世界
記録に認定されており、そのスピードを体感出来たことは大変貴重であった。車窓
から見る景色は見たことのない速さ。時々車両が揺れる感はあったが、スピードの
割に振動は少なかったように思う。
車内には現在速度が表示されており、最高速度の「431km」には約 3 分で達し
た(約 1 分継続)。この世界最高速度を撮影すべく多くの乗客がスタンバイしてい
たが、撮影に気を取られるあまり、窓からの景色を見ていない乗客も多くいた。
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2.上海環球金融中心(SWFC)
日
時
10 月 26 日(月)
場
所
上海市浦東新区
対応者
15:00~17:00
(森大厦(上海)有限公司)
進藤
寿一郎(副社長)
福山
寿幸(タウンマネジメント事業部部長)
電気担当者他数名
(1)概要
①上海浦東新区について
1990 年代の上海市浦東新区の改革開放
宣言後は、政府主導の元に開発が進み外国
資本が流入して目覚しい発展を遂げた。
現在は、上海証券取引所をはじめ各国金
融機関やホテル、国際会議場などが集積する国際的な金融拠点となっており、
2010 年の上海万博の開催地としても決定している。
②森ビルの上海への事業展開
森ビルはこの浦東地区の開発計画に当初から注目し、1993 年に初めて事業展
開の検討に着手した。そして、この地にふさわしい新しい金融センターとなるオ
フィスビルの建設を計画した。
翌々年の 1995 年に上海で初めてのプロジェクトとなる上海森茂国際大厦(現
HSBC タワー)の建設を開始し 1998 年に竣工している。テナントとしては、日
本の金融機関・商社を中心に欧米系金融機関も多数入居し、特に上海の外資系金
融機関としてトップの地位にある HSBC(香港上海銀行グループ)がここに中
国本部を構えたことで、日本企業だけでなく欧米企業にも広くその名が知られる
こととなった。
③上海環球金融中心(Shanghai World Financial Center(以下、SWFC という。)
の歴史
1997 年 10 月に着工を迎えたが、基礎工事完了後、アジア通貨危機や SARS、
日中関係悪化の影響を受け計画が頓挫した。この中断期間の間に大幅な設計変更
を行っている。アジア経済に兆しが見え始めた 5 年後の 2003 年に再始動、2007
年 9 月上棟、2008 年竣工した。
7
④SWFC の概要
SWFC は、森ビルにとって中国で 3 棟目のビル開発となる。前 2 棟が日本の
ゼネコンによる施工であったのに対し、SWFC は中国の建設会社への分離発注
であり、それに際し、海外におけるコンストラクション・マネジメントという新
たな取り組みを導入した。森ビル等が出資する上海環球金融中心有限公司は、プ
ロジェクトの事業主体であり CM の担い手ともなっている。
また、SWFC は浦東地区の中でもアジアの国際金融センターと目されている
陸家嘴金融貿易中心区に位置し、世界有数の高さを誇る金茂大厦に隣接する。敷
地は上海市浦東新区の街区 30,000m2、同地区の中心を走る幅 100m の基幹通路
世紀大道に面し、100,000m2 の中央緑地公園を望むという立地。地上 101 階、
高さ 492m(世界第 3 位)の「垂直の複合都市」
。世界最高水準の国際金融セン
ター機能を中心に、世界一の高さとなる展望台、世界中から人々が集う商業施設
やフォーラム、最高級ホテルなどを擁し、万全のセキュリティとホスピタリティ
を誇る、人と情報の交流拠点となっている。各階の用途は次の通り。
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⑤コンセプト
SWFC の頭文字をとり下記のようなコンセプトがある。
Sincere Service
Warm Welcome
Formally Friendly
Customized Care
おもてなし
心からの歓迎
やさしく品格のあるサービス
多様なニーズに合わせる
(2)建物概要
建物名称
上海環球金融中心
敷地面積
30,000m2
延床面積
381,600m2(六本木ヒルズとほぼ同じ)
階数
地上101階/地下3階
建物高さ
492m
構造
SRC造・S造
総事業費
1,250億円
用途
事務所・ホテル・店舗・他
受電電圧
35Kv
非常用発電機
2,500kVA×4台
事業主
上海環球金融中心有限会社
設計・監修
森ビル株式会社・一級建築士事務所
建築設計
構造設計
施工
竣工
コーン・ペダーセン・フォックス・アソシエイツP.C(KPF)
入江三宅設計事務所
レスリー・イー・ロバートソン.アソシエイツR・L・L・.P(LERA)
中国建築工程総公司
上海建工(集団)総公司
2008年
(3)現場視察
「熱烈歓迎」の看板によるお出迎えを頂き、まず、一般非公開の特別ルームプレ
ゼンテーションギャラリーにて SWFC の模型やシアタールームによる SWFC の
概要説明、上海市の 1/1000 の 模型による市内の位置関係等の説明があった。そ
の後、電気設備担当者による一般非公開の中央監視システムや防災センター、発
9
電機の見学を行い、最後に世界で最も高い 474m の場所にある展望台から上海市
内の街並みを見下ろした。
【上海市内の模型による説明】
【100 階の展望台】
(4)建築技術
①ビルの高さ
ビルの高さは世界高層ビル協会(CTBUH )によって認定され、
「高層ビルラン
キング」として発表される。これには 4 つのカテゴリーがあり、その内容は下記の
通りである。
①尖塔を含んだ頂点までの高さ。
(躯体の高さ)
(尖塔を含むが、アンテナや旗・ポールは含まず。)
②フロア(使用階層)の高さ
(住居やオフィスとして使用可能なフロア(メンテナンスエリア等は含まない)
)
③屋根までの高さ(軒高)
(アンテナや尖塔は含まず)
④建築物の高さ(尖塔~アンテナまで全て含む)
躯体として見た場合、SWFC は世界で 3 番目の高さの 492.3m・階数 101 階とな
る。また、2008 年度の高層ビルランキングでは「軒高」と「最高フロア高さ」の
2 部門で世界一の称号を手にしている
ちなみに、アンテナを含めすべてのカテゴリーで世界一のビルは、ドバイにある
「ブルジュ・ドバイ」である。高さ 818m・階数 162 階。外装工事は全て終了して
おり 2009 年末に竣工予定。(建設中でも世界一となる。)第二位は台北の 101
(508m)
。
1960 年代までの超高層ビル建設は主にアメリカの独擅場であったが、アジア地
域の経済的発展と共にアジアでも次第に超高層ビルが増えてきた。SWFC のすぐ
横にも 632m 予定のビルを建設中であった。今後は、中東を中心に 1,000m 級の高
10
層ビルが計画されているようである。
【世界の高層ビル(左から躯体の高い順)】
②風圧のための制振構造
上海では地震はほとんど無いが、風圧による振動の方が遥かに考慮すべき問題で
ある。その理由として、高層であること、柔構造であることが挙げられる。これら
を解決するため(強風時の建物揺れに対する居住性向上を目的として)、風を逃が
す空間のデザイン(風穴)にしているのが特徴である。また、90 階に重さ 150 ト
ンの振動体から構成される制振装置(三菱重工製)を 2 基設置することで建物の揺
れを軽減させている。地震の制振装置というよりは風の制振装置である。これらは
横浜ランドマークタワーの技術を応用している。
【ビル上層部の模型】
【制振装置】
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③エレベーター設備
建物のテナントスペースを増やすためダブル
デッキエレベーターを使用している。台数は 91
基である。ダブルデッキエレベーターでなければ、
約 140 基は必要であり、またシャフトの面積だけ
でほとんど貸せるスペースがなくなっていただろ
うとのこと。
ダブルデッキはアメリカを始め世界中にあるが、
移動している間に自動的に階高を調整するのが
このエレベーターの特徴であり、これはエレベー
ター会社の特許となっている。この技術は六本木
ヒルズの時に初めて開発された。
SWFC のエレベーターは、東芝、日立、OTIS、
ThyssenKrupp(ドイツ)の 4 社であるが、細かい制御は日系企業がやはり優秀なよ
うだ。
④複層ガラス採用による消費電力の削減
省エネ、地球温暖化防止のため複層ガラスのカーテンウォールを採用。これによ
り、外部からの熱・冷気を効果的に遮断、また、必要な内部の熱が外部に逃げるの
を効果的に防ぐことを実現。冷暖房効果が飛躍的に高まり、空調消費電力を極力低
いレベルに抑えることを可能にしている。
⑤受変電設備・中央監視システム・防災センターの設備
ビルへの受電電圧は 35kV で特別高圧変圧器 125,000kVA×3 回線で受電してい
る。同期をとっていないため保守点検での作業では 1 回線ずつ停電しながら行わざ
るを得ない。そのためか非常用発電機(2,500kVA×4 台)の他にテナント独自で
設置した非常用発電機(1,500kVA×1 台)も併置されていた。
防災センターは、監視盤に対する職員の業務机の配置が日本式で運用も日本方式
を導入されている。監視カメラは全部で 900 台あり、全画面が即座に監視可能で
ある。監視盤、自動火災報知設備、ITV 設備等で日本製品が採用されている。セキ
ュリティの関係上、写真撮影は禁止であった。
・防災設備の自火報設備のメーカーはニッタン。
・ITV 設備は監視カメラが約 900 台あり、メーカーは松下(現パナソニック)。
・中央監視は横河ジョンソン。
12
⑥セキュリティ
オフィスエリアは、最新鋭の IC カードキーシステムで外部からのアクセスを制
御。防災センターにはビル集中管理システムを導入し、人と機械の両方から万全な
セキュリティ体制を実現している。
(6)超高層ビルの比較
(塔やアンテナなどは除く「躯体」とした区分で比較。2009 年 10 月現在)
ビル名
高
さ
階
数
ブルジュ・ドバイ
上海環球金融中心
横浜ランド
(SWFC)
マークタワー
「世界第 53 位、
「世界一」
「世界第三、中国一」
818m
492.3m
295.8 m
地上 162 階
地上 101 階
地上 70 階
地下 3 階
地下 5 階
23,208m2
地下
未
日本一」
建築面積
(データなし)
14,400m2
延べ床面積
(データなし)
381,600m2
392,885m2
竣工年月
2009 年末予定
2008 年 8 月
1993 年 7 月
エレベーター
設備
総工事費
施
工
秒速 18m(世界最速) 計 44 台のダブルデッ 最大分速約 750m
分速 1,080m
キエレベーターを配 74 基
置。91 基
(データなし)
約 1,250 億円
約 2,700 億円
サムスン物産、
中国建築工程総公司、 大成建設ほか
BESIX、
上海建工総公司
アラブテック
13
25 社 JV
(7)一般的所感
今や日本をはるかに凌ぐ高度成長の途にある中国で、その発展ぶりを象徴して
いるのが上海市の中心街である。その中でも一際目立つのが東方明珠電視塔(上
海テレビ塔)と今回訪問視察した上海環球金融中心(SWFC)である。
都市再開発の計画段階から“大きなビジョンで”と言うポリシーを持ち参画さ
れ、歴史の一頁を作った森ビルにはその実績に敬意の念を抱かざるを得ない。
特に市街地の構成で SWFC を中心として 400m 高のビル群とその周りに 200m
高のビル群を擁して、さらに旧市街地には 100m 高のビル群を配した正にしっか
りとした街づくりには感銘させられたところである。
一般見学者とは異なり公式な訪問ということもあり、懇切丁寧かつ中身の濃いご
案内をして頂いた森ビル関係者に紙面をお借りして感謝の意を表したい。
14
3.三峡ダム
日
時
10 月 28 日(水)
場
所
湖北省宣昌市三斗坪
対応者
8:30~11:00
中国長江三峡工程開発総公司
藩 嶄慧
国際合作部エンジニア
氏
(1)概要
三峡ダムは上海から上流へ直線で約 1,000km の所に位置し、中国長江(揚子
江)流域の重慶市から湖北省宜昌市までの一帯約 570km を貯水湖とするダムで
ある。1993 年に着工し 2009 年完成予定(17 年間の計画)で、世界最大規模の
重力式コンクリートダムである。
建設目的は「洪水抑制・発電・水運改善」の 3 つで、26 台の水車発電機
(1 台 70 万 kW で合計 1,820 万 kW の発電出力)が既に設置されており、2009
年中にフル稼働する予定。地下の発電所には 6 台の発電機を建設中である(2010
年完成予定)
。最終的な合計発電出力は 2,240 万 kW で世界最大発電出力の水力
発電所になる。建設費用は電力の売り上げにより 15 年で回収する計画だそうだ。
その一方で建設過程における住民 110 万人の強制移転、山峡各地に残る名勝旧跡
の水没、更には水質汚染や生態系への悪影響等ダム建設に伴う問題も多く発生し
ている。
中国の水力発電所は年間消費電力量約 1 兆 kWh(日本とほぼ同じ)の 10%弱
の約 847 億 kWh の発電能力を有し、重要な地方電力供給源となっている。ダム
の概要は次頁のとおり。比較のため日本の黒部ダムと南相木ダムの概要も記す。
【三峡ダムは上海から 1,000km 上流に位置する。
】
15
三峡ダム
黒部ダム
南相木ダム
(堤高:日本一)
(認可出力:日本一)
ダム形式
重力式コンクリートダム
アーチ式コンクリートダム
ロックフィルダム
堤高
185m(通常水位 175m)
186.0 m
136.0 m
堤頂長
2,309.47m
492.0 m
444.0 m
堤体積
16,000,000m3
1,582,000 m³
7,300,000 m³
流域面積
1,000,000km2
188.5 km²
6.2 km²
総貯水容量
39,300,000,000m3
199,285,000 m³
19,170,000 m³
148,843,000 m³
12,670,000 m³
有効貯水容量
22,150,000,000m3
(洪水調節容量)
ダム湖長
約 570km
(データなし)
(データなし)
利用目的
洪水抑制・発電・水運改善
発電
発電(揚水発電型)
事業主体
長江三峡工程開発総公司
関西電力
東京電力
電気事業者
長江三峡工程開発総公司
関西電力
東京電力
発電所名
三峡ダム発電所
黒部川第四発電所
神流川発電所
(認可出力)
(18,200,000kW)
(335,000kW)
(2,820,000kW 予定)
年間発電量
846 億 8,000 万 kWh
約 10 億 kWh
約 5 億 kWh(2007 年度)
水車種類
Francis(Vertical shaft)
Pelton
Francis
発電機数
26 基(6 基増設計画あり)
4基
1 基(最終 6 基)
1 基の発電能力
70 万 kW
9.5 万 kVA(確認数値)
47 万 kW
定格電圧
20kV
13.2kV
18kV
着工年/竣工年
1993 年/2009 年(17 年間)
1956 年/1963 年(8 年間)
1995 年/2005 年(11 年間)
16
【三峡ダム全景(水蒸気により見通しが悪かった。】
(2)現場視察
宜昌市内から三峡ダムへ向かう専用道路(高速)をバスで 1 時間強(60km)
走り、三峡ダムの建設現場へ到着した。まず、ダムサイト近くの三峡工程展覧館
でダムの紹介ビデオを視聴した後、三峡ダム全体の模型やパネルによる説明を受
けた。その後、発電所所員の誘導によりバスで発電所(左岸)へ移動し(その後
の見学も全てバスで移動)、発電所建屋の発電機室及び中央制御室で説明を受け
た。
次にダムの展望台でダムの全容を把握した後、ダムの堤頂を中央放水ブロック
まで行き、貯水池側と下流側の水位を確認した。なお、中央制御室はセキュリテ
ィゲートでの検査を経て入室し、また写真撮影禁止であった。
発電所建屋及び発電機室、ダム中央ブロック上部は、一般客は当然立ち入り厳
禁であり、当協会が公式視察団として特別許可されたものであることが実感でき
た。
【三峡工程展覧館前】
【展覧館内で、三峡ダムの説明】
17
(3)設備の詳細内容
①ダム建設の目的
ア)洪水抑制
1954 年に発生した大洪水の再発防止を図る。建設後、流域の洪水発生なし。
大雨予報時には、貯水池の水を一部放水し水位を 145m まで下げる。
イ)発電
2009 年中に 26 台全ての発電機が稼働すれば、
合計発電出力 1,820 万 kW と
なる。来年完成予定の地下発電機 6 台を合わせると合計 32 台の発電機で 2,240
万 kW となる。
(26 台の発電機は既に設置済みであるが、水位が足りていない
ため一部の稼働となっている。現在 171m。目標まであと 4m。
)
中国の年間消費電力量の約 1 割弱を供給する重要な設備である。なお、送電
線網(半径 1,000km の円内)は完成済である。
ウ)水運改善
長江の水量の少ない時期にも支障なく船が運行できるよう対策したもの。
ダム建設前に比べ、輸送能力が約 5 倍向上し、運行するコストも約 30%下げ
ることが出来た。
現在は、2 つの通船水門(2006 年に完成)があり、貯水池水面と下流水面
を 5 つの門(5 段階)で水位調整している。水門通過に現状は 3~4 時間を要
しているが、客船専用昇降機を水門に設置工事中で 2015 年までに竣工予定。
(水門通過に 30~40 分/最大船体重量 3,000 トン)
②ダム堤の発電・放水ブロックの長さ
:1,710.8m
ア)左岸ブロック(発電機 14 台を設置)
: 643.6m
イ)右岸ブロック(発電機 12 台を設置)
: 584.2m
ウ)中央部の放水ブロック
: 483.0m
18
③発電所の補足内容
ア)発電機の台数:26 台、ただし、地下に 6 台建設予定(2010 年竣工予定)
認可出力 :1,820 万 kW(26 台竣工時)
認可出力 :2,240 万 kW(32 台竣工時)
イ)発電機単体の仕様
水車発電機:水頭 80.6m、出力 710MW
発電能力 :70 万 kW(水車発電機)
発電電圧/周波数:20kV/50Hz
ウ)発電設備の調達状況
左岸の 14 台は国際入札で欧州メーカー4 社(ABB・シーメンス・GE・ア
ルストン)が受注・納入。
右岸の 12 台の内、8 台は国産(ハルピン電機と東方電機各 4 台)で残り
は欧州製。
発電設備の 30%の部品は国内生産。
エ)中央制御室の概要
左岸の監視制御システムは欧州メーカー製(ABB)
右岸の監視制御システムは国内メーカー製(北京にある会社)
発電電圧 20kV を送電電圧 500kV に昇圧して上海等都市部に送電。
2 名で監視可能。
累積発電量:3,578 億 kWh(稼働して 6 年目)
15 年で回収予定。
オ)その他
・工事総額:1,800 億人民元(2.4 兆円)このうち 40%は、この周辺に住ん
でいる住民を他の所へ移転させるための費用。
・事業主体:三峡ダム建設の事業主体となる「長江三峡工程開発総公司」は、
1993 年に設立され、同年に第一期準備工事が開始された。建設
から管理まで全てを同会社が行っている。
【発電所内部】
【発電所付近の送電鉄塔】
19
(4)その他
①葛洲堤(カシュウハ)ダム
長江で三峡ダムの 38km 下流に最初に建設されたダム(三峡ダムが出来るま
で中国一)
通常水位:70m
堤 頂 長:約 1,300m
認可出力:270 万 kW
建設工期:1972 年~1984 年(13 年間)
②今後の建設計画
中国の電力需要は旺盛で、長江では更に三峡ダムの上流 4 ヶ所にダムの建設
計画があり(長江三峡工程開発総公司とは別の会社)
、最終的に三峡ダムを含め
てその 2 倍の発電量を計画中である。
20
(5)一般的所感
三峡ダムの構想は、1919 年「建国方策」の中で孫文により言及され着工が決ま
ったというかなり歴史あるダムと発電所で、工事期間は 17 年を費やしている。こ
こに至るまでは多くの問題が指摘されたことと思われるが、やはり国家規模で行
わなければ必然的に難しかったであろうと思う。
またこの発電所の発電量(約 847 億 kWh)は、最新の原子力発電所や大型火力
発電所の 13 基分に相当する。中国の電気エネルギー消費量が年間約 1 兆 kWh で
あることを考えると、三峡ダムの発電量で中国の 1 割弱の電気を賄えることにな
る。この電力を、石油を燃やして作る火力発電に換算すると 1 年間に石油 1,750
万トン、CO2 排出では 5,450 万トンという数値になり、このダムの発電が CO2
削減に大きく貢献していることになる。ただ、中国の国土及び人口等の規模から
考えると、まだまだ少ないようにも思える。
日本では、このクラスの水力発電所の建設は地理的に不可能であり、やはり原
子力・風力・太陽光発電等に“力”を入れ、取り組んでいく必要があると感じた。
【三峡ダムの堤頂にて】
21
(6)参考
①ダムの歴史
水力発電の歴史はとても古く、現存するダムの中で最も古いものとしてはシリ
アのホムス付近に建設された「ナー・エル・アシダム」と考えられている。この
ダムは堤高 2.0m、堤頂長 2,000m のダムであるが、推定で紀元前 1,300 年頃に
建設されたとしている。
現在でも上水道目的で使用されており、建設以来約 3,000
年もの間、修繕を重ねながら稼働している貴重な遺産でもある。
日本最古のダムは大阪にある狭山池ダムで 616 年頃に竣工されている。
また、
江戸以前(1867 年以前)に竣工されたダムの数は 359 地点ある。2006 年度末
現在、日本の一般水力発電所は、既開発のものが計 1,868 地点、工事中のもの
が 28 地点に上る。また、日本の全水力発電の設備容量は 2007 年度末で 4,764
万 kW に達しており、年間発電電力量は 842 億 kWh である。
②世界のダムの発電出力ランキング
順位
国名
ダム名
認可出力
(万 kW)
型式
堤高
(m)
完成年
備考
1位
中国
三峡ダム
1,820
重力式
185.0
2009 年
建設中
2位
ブラジル
パラグアイ
イタイプダム
1,260
複合型
196.0
1991 年
既設
世界一
3位
ベネズエラ
グリダム
1,000
複合型
162.0
1986 年
4位
ブラジル
トゥクルイダム
837
95.0
1984 年
5位
ロシア
サヤノシュシェ
ンスカヤダム
640
242.0
1990 年
参考
長野県
群馬県
南相木ダム
上野ダム
282
136.0
120.0
2005 年
ロック
フィル
重力ア
ーチ
ロック
フィル
重力式
揚水
発電
③日本のエネルギー自給率
生活や経済活動に必要な一次エネルギーのうち、自国内で確保できる比率をエ
ネルギー自給率と言う。1960 年代には 57%あったが、それ以降大幅に低下して
いる。
60
70
80
90
00
05
06
(年)
57%
14%
6%
5%
4%
4%
4%
エネルギー自給率
(57%)
(14%)
(12%)
(16%)
(19%)
(18%)
(19%)
資料:IEA「Energy Balances of OECD Countries 2004-2005」
(注)( )内は供給安定性に優れた原子力を含んだ値。総供給とは国内エネルギー生産量
と輸入量の和。
22
④総発電設備に対する水力発電設備のシェア(2006 年)
水力による発電設備が多い国は、中国、カナダ、アメリカ、日本、ロシア等。
豊な水資源に恵まれたノルウェーでは発電設備容量の 98%を占める。
(☆印は最大値を示す)
水力発電設備
総発電設備
構成比
(MW)
(MW)
(%)
28,920
29,510
ノルウェー
☆ 98.0
72,661
1223,792
58.7
カナダ
16,477
33,765
48.8
スウェーデン
30,506
84,051
36.3
スペイン
21,072
89,449
23.6
イタリア
32,326
143,772
22.5
インド
25,681
116,066
22.1
フランス
623,698
20.9
中国
☆ 130,292
46,100
221,400
20.8
ロシア
47,375
275,529
17.2
日本
7,475
44,912
16.6
オーストリア
96,996
9.0
アメリカ
☆ 1,076,024
10,140
113,869
8.9
ドイツ
5,485
70,384
7.8
韓国
4,150
83,045
5.0
イギリス
291,190
1,078,500
27.0
その他
866,846
4,207,766
20.6
合計
※(社)海外電力調査会「海外電気事業統計 2008 年版」、IEA, Electricity
Information 2008 をもとに作成。
23
Ⅲ.協会訪問
1. 中国電器工業協会
(CHINA ELECTRICAL EQUIPMENT INDUSTRIAL ASSOCIATION (CEEIA))
日
時
場
所
対応者
2009 年 10 月 29 日(木)
9:00~11:30
「上海電器科学研究所(集団)有限公司」上海市武宁路 505 号
中国電器工業協会
白
文波
氏
CEEIA 事務次長
郢
其文
氏
CEEIA 展示会社副社長
張
玉青
氏
SEARI(上海電器科学研究所 低圧電気関係)
張
生徳
氏
SEARI (上海電器科学研究所
中小関係)
(1)当日の進行
中国電器工業協会(以下、CEEIA という。)の白事務次長の挨拶のあと出席者
の紹介と CEEIA の簡単な紹介があり、その後 JECA 西山団長からお礼の挨拶と
電設協の紹介があった。
CEEIA には事前に質問事項を送っており、それに対する回答と説明があり、
最後に質疑応答を行った。
【意見交換会の様子】
(2)中国電器工業協会の概要
本部を北京に置く電器関連メーカー(家電は除く)の団体。当協会が訪問した
のは上海支部で、場所を上海電器科学研究所(SEARI)内に置く。この研究所
24
からは、中国共産党の前総書記【江澤民氏】、前副総理である【曾培炎氏】を輩
出している実力のある電器専門の研究所である。
①CEEAI の設立の動機、趣旨、設立年
中国は 1987 年の行政改革で企業の管理体制の見直しを行い、それまでの各省
庁の管理から各地方の自治体や独立行政法人、業界団体に移管することになった。
その時に電気の専門団体が必要との声があり 1988 年に CEEIA が発足された。
CEEIA の元々の所管は機械工業省で、同省が機会工業総会という独立行政法
人に変わり、その中に電気工業に関する業界団体が 6 つ設けられた。そのうちの
1 つが CEEIA である。その後、分散されていた 6 つの協会は業界全体の管理の
ために 1997 年に合併された。今後、経済の発展や新たに出来た分野で協会を作
ろうという時は全てこの CEEIA の一部になるという規定がある。
②会員数
5,400 社。
(数年前は 4,000 社であった(26%増加)。)毎年少しずつ増加傾向
にある。
(経営状況の悪い企業は会費を滞納したり、協会活動に参加しなかった
りして退会していく例もある。
)
会員企業の構成:電気関連の研究所、電気系大学、電器関連メーカー企業。
(家電、電力会社・設備工事会社は除く)
③組織
39 の支部がある。
全ての決定機関は全国大会(総会)で、その下に理事会がある。スタッフは、
政府(省庁)のスタッフと業界エンジニアから構成されている。
④事業内容
CEEIA は、政府と企業間の橋渡しと、
「会員のためのサービス、業界のための
サービス、政府のためのサービス」を行っている。詳細の業務内容は 18 項目あ
るが、その中でも主なものを紹介頂いた。
ア)会員企業の要望をまとめて政府に提言する。
イ)政府の法令・法規等を会員企業へ周知する。
ウ)政府に対して業界の今後の発展のための企画・計画を提出する。
エ)政府に協力して、市場の秩序を守る(知的財産権、偽造品の取締、会員企
業の利益を守る)業務を行う。
オ)中央政府の国家標準委員会の依頼を受けて、業界全体の基準を作成及び修
正する。
カ)会員企業の研修、展示会も行っている。
また、会員企業の事業概略は大きく下記の 5 つに分類できる。
a.発電事業、b.送電事業、c.配電事業、d. 利用事業、e.材料・附属品事業
25
⑤労務単価
会員企業の数が多く、また様々な性質があり統計データがない。また、地域の
格差があり首都と地方では倍ぐらいの差があるとのこと。
発電設備業界は 6~7 年前までは受注が少なく最低価格給与だったが、その後、
7~8 倍になっていると言う。
⑥協会運営の収支
収入
支出
①会員の会費
①会報の出版
②関連団体及び個人からの寄付
②WEB サイトの運営
③政府からの補助金
③事務局員の給与
④各支部への予算の配分
⑤この他、業界の様々な活動のた
めに充当している。
⑦GDP 等
中国の第 3 四半期の GDP 経済成長率は 8.9%に達した。これは、昨年の世界
同時金融危機の対応策として中国政府が第 1 四半期の時に臨時予算を組んだこ
とが大きな要因。臨時予算の総額は 7 兆元(93 兆円)
。内訳はインフラの整備が
中心。特に、鉄道や高速等の建設関係が大きなシェアを占めていると言う。今は
供給が間に合っていないようだ。
・GDP に対する建設投資の比率は約 1%。
・CEEIA 全会員企業の生産総額(年間)は 2 兆人民元(26.6 兆円)。昨年
までの 3 年間連続で 20%の増加をしている。今年もそれに近い額になる
との予想。理由としては、電力の需要が毎年増加していることが挙げられ
る。
発電設備は、昨年までの 4 年間で毎年 1 億 kW※ずつ増加している。今
年は少し減少して 9,700 万 kW という予想。中国全体の成長率が 8%であ
るのに対し、20%というのは大変な成長産業である。インフラの整備(電
力はインフラの重要な部分)を急速に行っているので、他の業界と比べる
と早いスピードのようだ。
昨年までの発電設備と違うところは、火力発電が多かったのに対し、今
年は原子力発電と風力発電の製造が増えている。太陽光発電はまだシェア
が小さく第 2 世代の製品。シリコンから薄膜発電製品がメインになりつつ
ある。発電コストが 1kwh 当り 1 元以下にならないと普及は難しい。
発電所から電力を供給される場合に、その中の 85%は電力の配分と制
御である。
26
低圧電気の定義は 1,150V 以下の電力を使用する設備。分類は 13 種類に
分かれ数百シリーズの製品、1,000 以上の規格がある。(家電は除く。住
宅のスイッチまでの電気が低圧。電力の配分と制御は低圧に入る。
)
※中国の発電設備について:CEEIA によると毎年 1 億 kW ずつ増加してい
るとの説明。その後、インターネット等でも調査したが同様の結果であっ
た。
【中国と日本の GDP 経済成長率】
出典:IMF(International Monetary Fund:国際通貨基金)
2009・2010 は見通し。
⑧協会会員の加入の意義
主に下記の 3 つ。
ア)協会から会員企業へ様々な情報を提供している。
イ)会員企業間の情報交換。会員企業がまとめて発信している。
ウ)業界を振興するために、会員企業の自覚を持って、社会的責任を果たす様々
な活動を行っている。
27
(3)質疑内容
■日本側から
①中国のこれからの発電方式は?
(答)この業界はこれから新たなチャンスである。注目は、「新エネルギー」と
「スマートグリッド」である。中国政府の目標として、2020 年までに新エ
ネルギーによる発電の割合を 5%にするとのこと。新エネの内訳は、主に風
力と太陽光、原子力、波力である。火力・水力は既にやっているので新エネ
に入らない。
現在の中国の発電構成比は、原子力は 1%程度、水力は 9~10%(三峡ダ
ムは入っていない)
、火力は 89~90%(石炭がほとんど)である。
■中国側からの質問
①日本の最大需要電力はどのくらいか?
(答)今年 8 月の最大需要電力は約 1 億 kW である。
②JECA の組織の中に「人材委員会」とあるが、これから人材の競争が増してい
き、育成をしていくことが重要になってくる。JECA としては会員企業の育成
をどのように行っていくのか?
(答)日本では、団塊の世代の退職、技術者の高齢化、技術・技能の継承の問
題、若者の技術者離れ等が深刻になっており、電設業界へ就職を希望する人
数が年々減少している。電設業界は労働集約型の産業であり人材の確保が急
務。そこで JECA では今年の 7 月に人材委員会を発足し、具体策の検討を推
進中。
③「出版委員会」とあるが、JECA の出版物を教えて欲しい。
(答)毎月機関誌「電設技術」を発行しているほか、現場に役立つ現場代理人や
施工図の書き方等の単行本を 20~30 冊ぐらい発行している。幅広くご利用頂
いているが、各県にある電業協会が主催する講習会等のテキストとしても利用
している。
④電設工業展の出展者数・来場者数は?海外からの出展は?
(答)出展者 200 社、小間 600 小間弱、来場者数約 8 万人(平均で)
。東京と大
阪隔年で開催。開催期間は 3 日間。
海外からの出展は 10~20 社ぐらい(韓国 8 割、他 2 割)
。
来年の 2010 電設工業展に CEEIA と会員企業の出展要請をした。
⑤日本で電気工事を受注するシステムはどのような方式か?
(答)主に入札方式。
(中国)入札を決定する一番の要素は何か?
(答)現状、価格である。国の総合評価方式では価格 8 割、技術 2 割。
28
⑥日本が海外で事業を行うに当り、問題点・難しさはどのようなものがあるか?
(答)第一に、コストである。
第二に、日本で言う「請負い」は難しく、東南アジア(ベトナム・タイ・カン
ボジア・シンガポール)では国の政策でやっている仕事が多く、単独で行って
も電気工事は難しい。現地法人を作るか、スーパーバイザーを送りこまないと
いけない。
(中国)中国で電気工事をやる場合は市場経済なのでコストが重要になってくる。
可能性としては日本政府の ODA、あるいは、日本の企業が中国企業に投資し
て行うプロジェクトではないか。
中国では、電力施工プロジェクトは電力設計院がコスト査定する。(例えば
上海電力設計院)
(4)一般的所感
政府からの急速なインフラ整備を要求される中で、諸外国からの技術を吸収し、
更に技術開発を進めていくスピードには驚かされる。
今回の意見交換会の中でも、”少しでも日本の技術、情報を吸収しよう”という
姿勢が垣間見え、中国のパワーを感じた。
また、CEEIA の会員構成は一般企業のほかに大学や研究所も加入しており、電
気の関係機関が一体となっているのが分かった。
時間の関係で、PFI の実情や ISO の取得状況、人材の確保・育成の実態等の実
務的な話には触れられなかった。なお、来年(2010 年 5 月)大阪で開催する JECA
主催 ”電設工業展”への当協会からの参加要請に対し、CEEIA 側より『是非とも
参加させて戴きたい』との意志表示がされ、また次回は北京の本部にも訪問して欲
しいと要望があった。
今回の視察を機に、今後、実務的な意見交換会をして交流を深めていきたい。
【CEEIA と JECA の集合写真】
【左から西山団長、白事務次長、西村副団長】
29
2.亜細亜太平洋電気工事協会
(THE FEDERATION OF ASIAN AND PACIFIC ELECTRICAL CONTRACTORS
ASSOCIATION (FAPECA))
韓国電気工事協会
(Korea Electrical Contractors Association(KECA)
)
日
時
2009 年 10 月 30 日(金)
場
所
韓国電気工事協会会議室
対応者
9:00~10:30
崔
吉洵(韓国電気工事協会
会長)
朴
永漢(韓国電気工事協会
専務理事)
申
文湜(韓国電気工事協会
管理理事)
許
南七(韓国電気工事協会
常任監査)他数名
(1)当日の進行
韓国電機工事協会(以下、KECA という。
)の Kang 海外部長の司会により、KECA
の崔会長による出席者の紹介、西山団長による JECA の団員の紹介があり、その
後西山団長からお礼の挨拶があった。
Kang 部長から KECA の概要と亜細亜太平洋電気工事協会(以下、FAPECA と
いう)の概要が説明されたあと、最後に崔会長から訪問に対するお礼の挨拶があり
終了した。
【意見交換会風景】
(2)FAPECA
①概況
FAPECA は、亜細亜太平洋地域の各国の電気工事関係協会の交流を促進す
べく、1986 年に KECA の創立者 Shim Sang Woo 氏の主導で発足された。
30
②目的および活動
FAPECA の主な事業目的は、電気産業の進歩と会員企業の関心をさらに高
め、会員企業の相互理解を深めることと、会員が業界に対して団結した意見を
述べられる場を作り出し、会員間の相互理解、相互協力、相互利益を目的とし
ている。
③活動状況
毎年 1 回、3 日間の会議を開催する。会議の内容は理事会の開催や開催国に
よる主体発表のほか、親睦及び交流、情報交換を図るレセプションを開催して
いる。2010 年はタイで、2011 年は韓国で開催する予定。
会長の任期は 2 年で現在はタイの会長が就任している。副会長は香港の会長。
各国の協会長は理事となる。
④会員数
現在は、11 ヶ国の協会(台湾、タイ、韓国、香港、ハワイ、オーストラリ
ア、ニュージーランド、インドネシア、シンガポール、マレーシア、フィリピ
ン)が参加し、日本からは国光施設工業㈱が一般会員として加入している。
⑤会費は正会員 300 ドル、一般会員は 200 ドル。会員の加入は、申込用紙の提
出と会費を支払うことにより承認される。
⑥今後のビジョン
インドを含んだ会員の増加、ヨーロッパやアメリカ等の協会との関係強化、
会員間の友好関係を図る。
⑦主な質疑内容
・今後中国が加盟する予定はあるか(日本から)
(答)現在、中国では国を代表しての組織がないので、組織が出来た時点で
コンタクトを取る予定。
31
(3)KECA
①概況及び目的
KECA は、電気設備業界の発展と、会員企業の健全なる利益を促進するため、
1960 年に設立された工事会社の団体である。
②沿革
1960 年 4 月
韓国電気工事業協会設立許可
1964 年
電気新聞の刊行
1992 年
職業訓練機関の設立許可
1998 年
電気工事技術経営研究所を設立
1999 年
電気工事業経営分析機関として指定
電気設備業界の分析管理における団体に指定
2000 年
電気工事の実績工事費の管理機関に指定
2008 年
韓国電気業界調査機構
2010 年
来年 50 周年
設立
③会員数
約 12,000 社の電気工事会社が加入しており、加入率は 99%になる。会員に
なっていないと入札等の際に不利になる場合があり、また、情報入手のために
協会の会員になっているようだ。
また、国内だけでなく、東南アジアや中東、アフリカなど 30 を越える海外
へと進出している。
④主な活動状況
・法律と電気構造の方針に関し、調査、研究し提案を行う。
・電気事業の統計等を分析し政府への提案を実施する。
・国際協力と海外プロジェクトに対してサポートを行う。
・電気技術者の技術コンテストを開く。
・社会的な貢献(地域ボランティア、煉炭を届けるボランティア等)
・提携された機関(電気建設人材育成センター、事故防止技術学会、電気設
備診断センター、職業訓練センター、韓国電気工業研究所)を活用。
・協会として教育を実施し、就職等の斡旋を行う。
⑤質疑内容
・JECA の会員数は?(韓国から)
(答)全会員で約 1,000 社。
・業界紙(新聞、雑誌)は有料か?(韓国から)
(答)新聞は別組織で有料。雑誌は当組織が有料で発刊している。
(韓国の電気新聞は KECA が発行している。
)
32
(4)一般的所感
FAPECA の具体的な活動は年 1 回の会議となっており、
具体的な技術協力等、
不明な部分があるが、今後は、中国やインド等の加入、またヨーロッパやアメリ
カとの協会との関係強化も視野に入れているとの話もあり、国際化に向けた取り
組みがさらに進むものと思われる。日本は、国際的な情報交換の場で各国の状況
を把握する手段として会員になるのは有効であるように思う。
また、KECA においては、同協会の役割が職業訓練ひいては、就職等の斡旋
まで担うといった多肢に渡る活動を行っており、社会貢献の一躍を担っていると
の意思が強く感じられ大変勉強になった。韓国の電設業界の従業員数等の推移は
不明であるが、人材確保・育成の具体的方法を今後さらに聞いてみたい。
【訓練風景】
【KECA 崔会長と西山団長】
33
3.韓国電機産業振興会及び国際見本市 SIEF の視察
(KOREA ELECTICAL MANUFACTURES ASSOCIATION (KOEMA))
日
時
2009 年 10 月 30 日(金)
場
所
国際見本市会議室
対応者
13:30~15:00
金
俊哲(韓国電機産業振興会
張
世昌(副会長)
会長)
(1)韓国電気産業振興会(以下、KOEMA という。)
①概況
KOEMA は韓国の電気産業を発展させるため、1990 年に設立された。
②会員会社の取扱製品群
・発電機、電気モーター
・トランス、インバーター、UPS、原子炉
・回路、スイッチ
・コントロールシステム
・ケーブル、ワイヤー
・再生可能エネルギーシステム
・スマートグリッド
・その他(絶縁体等)
③主な活動
・輸送取引と海外への販売
・海外の展示会への参加
・アジアの電気メーカー協会への参加
・関係する海外組織との協力
・標準化・管理を目的とした専門家で組織された委員会の運営
【KOEMA へ表敬訪問】
【金会長、西山団長】
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(2)国際見本市 SIEF
KOEMA が主催する SIEF は 1994 年に第 1 回目が開催され、韓国最大の電気機
器フェアであり、韓国政府の公認となったことで、国内の会社が国際市場に参入す
る大きな支えとしての役割を担っている。
①国際見本市 SIEF の状況
出展社数は 210 社(内、韓国企業が 190 社)となっており、重電関連がメイ
ンで出展していた。電気自動車の充電システムの展示、風力発電システムの展示
等次世代の環境対応製品の展示があり、スマートグリッドにも注目していると言
う。
②JECA ブースの出展
JECA が主催する電設工業展と SIEF は 2004 年から交換ブースを行っている。
ブースでは資材委員会メンバーが JECA の PR、電設工業展の PR を行っていた。
【会場風景】
【JECA ブース】
【電気自動車】
【風力発電】
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(3)主な質疑応答
①入場者数は?
(答)昨年より 30%程度増の約 20,000 人となる見込み。ただし、学生はカウン
トしていない。
②来年の会場は?
(答)昨年同様 KINTEX で開催。
③韓国企業が他国へ進出した場合、フォローはどうしているのか?
(答)現地企業とメンテナンス契約を結び対応している。
(4)一般的所感
今年の展示会は IT 関連の展示会と同時開催ということもあり、昨年と比べて入
場者数が増加しているようであった。また、最先端の技術の研究や製品により国際
市場を意識しているようにも感じられた。展示品の技術力・品質も高いレベルにあ
るように感じられた。日本の製品に比べてコスト安であるが、メンテの問題や規格
の違い等クリアしなければならない様々な問題があり、購入には色々な検証が必要
と思われる。
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[参考]
(社)日本電設工業協会(JECA)
(JECA の商標)
①設立年
1948(昭和 23)年
②正会員数(平成 21 年 9 月現在)
620(うち企業会員の本社数 335 社、団体会員 45
協会)
[参考]電設協加盟の各都道府県協会会員数
4,226 社
③総会員数(賛助会員、特別会員
949 社
(過去 10 年間で約 416 社減少)
を含む。)
(平成 20 年 9 月現在)
④正会員の年間総完成工事高
正会員の年間電気工事完成工事高
約 5 兆 4 千億円(同一社当たり約 180 億円)
約 3 兆 1 千億円(同一社当たり約 103 億円)
(※平成 21 年実施会員調査結果:302 社)
⑤正会員の職員数
約 104 千人(同一社当たり 3346 人)
⑥地方組織
9 支部
⑦事務局役職員数(常勤)
本部 14 人、支部合計 16 人
⑧年間収入
約 5 億円
⑨主な業務
陳情提言、情報提供、人材育成、講習会、調査研
究
出版、広報、電設工業展、電設資材電子カタログ
など
⑩主要課題
・
公正かつ適正な事業活動の推進
・
更なる分離発注の推進
・
人材の確保と育成
・ 省エネ・新エネルギー、リニュ-アル等の事
業分野の確立
・
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新公益法人制度への対応など
まとめ
1949 年 10 月 1 日に天安門広場で中華人民共和国の建国式典(国慶節)が行われ、毛
沢東により中華人民共和国の成立が宣言されてから今年で 60 年。近年では驚異的な成
長を遂げている中国であるが、2009 年の GDP 成長率(見通し)は、世界全体がマイ
ナス成長に陥ると予想されているなか 8.5%という成長率。BRICs 諸国の中でも飛びぬ
けて高い成長率である。この数値は日本の高度成長期に匹敵すると言われており、その
発展ぶりを肌で感じることが出来た。街中では道路建設等のインフラ整備を始め、至る
所でクレーンが立つ建設ラッシュ。来年の上海万博の開催もこれらに大きく拍車をかけ
ているのであろうが、どこにいても活気、力強さ、発展の速度を感じる中国での視察と
なった。
韓国はというと、日本から一番の隣国で、政治・経済・文化などあらゆる分野で緊密
な関係にある。韓国 TV ドラマ『冬のソナタ』が NHK で放送され、「韓流ブーム」が
起きたことはまだ記憶に新しい。また、これまでは低価格の中国と高品質の日本に挟ま
れた「サンドイッチ構造」が問題となってきたが、昨今のウォン安による低価格と技術
の向上で“逆サンドイッチ現象”が発生しており、品質と価格競争力を同時に備えた韓
国企業に目が向けられている。
今回の第 55 次海外電設視察団は、上記に記述した中国と韓国というアジアの主要国
を視察したわけだが、偶然にも日本では政権が変わり、東アジア共同体構想でアジア重
視を発言しており時宜にあった訪問国の選択となった。特に、日中韓の 3 か国でアジア
の 7 割という GDP を占めているだけに、この 3 か国がこれまで以上により積極的に協
力を進めていくことは、東アジア、ひいては世界の経済のために、また平和のために不
可欠である。
6 日間の日程の中で、2 ヶ国、3 施設、3 協会、1 見本市を訪問・視察する大変盛り沢
山な内容であったが、西山団長を中心として、有意義に所期の目的を達成することがで
きた。今回の訪問・視察において、我々を受け入れて頂いた協会・企業の方々、並びに
事前の準備にご尽力頂いた通訳の方々に対し心より感謝申し上げる。
以上
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