8. 社会連携・社会貢献 8 社会連携・社会貢献 — 255 — 8. 社会連携・社会貢献 8.社会連携・社会貢献 1.現状の説明 (1)社会との連携・協力に関する方針を定めているか。 平成 年度の学園「事業計画」では、中期的に取り組む目標の一つとして「社会貢献の推進 (地域との共生、地域への教育成果の還元) 」を定めている。 これに基づき、 平成 年度地域連携等事業計画を策定し、 「本学園及び連携先の有する知的、 人的、物的資源を相互に活用し、地域社会との連携・交流を推進すること」を理念に掲げ、地 域社会の発展に寄与する取り組みを実施することを方針として定めている。 具体的項目としては、①地域社会(自治体等)との連携の推進〔周辺自治体等との連携:主 に専門的知識及び技術を活用した取り組み<講演会等の開催及び講師派遣、各種研究・専門委 員会等への教員派遣、産業振興支援等>、地元住民及び教育機関等との連携:主に学生の若い 力を活用した取り組み<地域との交流会、防犯・防災・美化等ボランティア活動、サークル学 生の発表を通した地域活性化、積極的な施設開放等>〕 、②公開講座の開催〔学内講座、地域に 出向いた公開講座〕 、③大学間連携の推進〔東部地域大学連携による大学間連携活動、学生によ る地域連携活動等〕である。 これ等の項目を具現化するため、全学的な支援体制のもと、地域連携活動等の推進及び公開 講座の円滑な運営を図ることを目的として、九州産業大学地域連携等委員会(副学長、各学部 及び、健康・スポーツ科学センターで選出された専任教員各1人、その他委員会が必要と認め た者で構成)を設置しており、学園の事業計画に基づいた地域連携に関する具体的計画につい て、前年度活動の検証及び次年度計画の策定を行っている。 また、大学間連携では、本学、福岡工業大学、福岡女子大学との間で、教育・研究活動全般 における交流及び連携を推進し、相互の教育・研究の一層の進展と地域社会の発展に寄与する ことを目的として「東部地域大学連携」に関する協定を締結しており、単位互換、警察・地域 住民との協働による防犯啓発活動、清掃活動等を行っている。連携の取り組みについては、3 大学による推進委員会を経て、学長懇話会で連携方針を決定している。 国際交流センターでは、 「国際交流の基本的な考え方」において、地域に根ざす国際化への貢 献を重点事項の一つとして方針を定めている。外国人留学生の地域活動への参加促進を図るた め、学外連携課と協働しながら、東部地域大学連携事業の推進に参画するとともに、年々高ま るニーズに対応するため、外国人留学生の地域交流行事への参加の促進を図っている。 (2)教育研究の成果を適切に社会に還元しているか。 本学が有する教育研究成果の社会還元については、事業計画に基づいた地域連携活動を通じ て、以下のとおり行っている。 自治体等との連携では、それぞれの地域課題解決に向け、各種研究・専門委員会への教員派 遣、地域集客促進、専門分野技術提供及びワークショップ等、各学部の専門性を活かした取り 組みを行っている。また、本学と福岡市東区との連携事業「ヒューマンライツアカデミー:東 区人権セミナー」では本学教員を講座の講師として派遣し、教育研究の成果を還元している。 公開講座では、本学の持つ知的資源を活かした特色ある講座を基本スタンスとして、小学生 から高齢者までの幅広い年齢層を対象に開催している。 また、 総合大学としての特性を活かし、 一つのテーマに複数の学部を超えた教員等が講師を担当する多彩なジャンルの講座を行い、実 236 — 257 — 8. 社会連携・社会貢献 際の地域や現場を見学する現地学習も実施している。更に、平成 年度は新たに「地域に出向 いた公開講座」を企画し、小学生・女性等を対象にテーマの設定を行い、6地区で開催した。 また、小・中学校等教育機関からの大学施設見学、総合的学習等の要望にも積極的に対応し ている。 東部地域大学連携事業では、福岡市の協力を得て、3大学の学生による「 “アイランドシティ の環境・景観・歴史との調和を探して」をテーマに地域の調査を行い、その成果発表会を対象 の住民向けに開催した。その他、商店街活性化事業「香椎まちなか美術館」 (小学生絵画コンク ール審査、芸術作品展示、イベント)等への参画を行った。 本学の留学生は、アジア諸国を中心に平成 年5月1日現在 カ国・地域、 人を数え、 県内でも有数の留学生数を誇り、国際交流協定校は6カ国 大学に及んでいる。 国際交流センターでは、 地域貢献・ボランティア活動の一環として、 本学留学生会の 人が、 立花山ハイキング・コース周辺(福岡県糟屋郡新宮町)の清掃を実施した。 更に、地域に根ざした交流を図るため、毎年留学生日本語弁論大会を開催し、日本人学生や 教職員に加え、地域の住民にも公開している。全体では地域住民 人を含む、 人の参加が あった。 地域に定着した大学祭「香椎祭」においては、ネパールの留学生による模擬店を出店し、お 国自慢のカレー料理を日本人学生や来場する地域住民にも提供した。 また、本学が国際交流協定を締結している海外の大学から招聘した教員による学術講演会や 学生の芸術作品を集めた学生交流芸術作品展などを開催し、地域にも公開している。 東部地域大学連携事業を通じて、地域・社会に貢献できるよう近隣3大学間の留学生交流に 関して情報交換及び連携を推進している。こうした中、平成 年度に続き、平成 年度にお いても、東部地域大学が中心となって開催した「東区いきいきまちづくり採択事業」の「千早 並木グローカルフェスティバル」では、実行委員会委員として本学留学生も運営に尽力するな ど、音楽やダンス、雑貨、各国料理紹介を通じて、各大学から カ国の留学生、日本人学生と 地域住民など約2千人の来場者が交流し、地域活性化に弾みをつけた。 近隣の小学校や自治体の施設等からの要請に基づき、留学生の派遣交流事業を行っており、 日頃外国人留学生とのなじみの少ない子どもたちにとって、異文化と出会い、触れ合うことの できる絶好の機会を創出している。 産学連携支援室では、教員の研究成果を広く社会に還元するため、官公庁・企業等主催の展 示会に積極的に参加し、教員の研究・技術シーズ紹介を行っており、その結果、企業から本学 が保有している特許技術の提供依頼、技術相談及び複数の地方自治体から協力依頼を受けるな どの社会貢献に繋がっている。 また、平成 年度から、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業として「せき損患者の機能回 復支援を中核とする介護現場革新のための機器実用化」が採択された。平成 年度には実用化 の中核となるロボット4体のプロトタイプが完成しており、これらの研究成果は教育にも反映 させている。また、一般向けにシンポジウム及び市民講座を開催し、研究成果の周知活動を行 っている。 2.点検・評価 ①効果が上がっている事項 周辺自治体等との連携推進を目的とした定期的な訪問( 「情報交換」 、 「連携推進懇話会」の実 237 — 258 — 8. 社会連携・社会貢献 施)及び、近隣5校区の地域を対象とした交流会開催により、良好な人的ネットワークが構築 でき、連携事業の推進及び実績につながっている。 特に、協定等を締結している自治体(福岡市、古賀市、宗像市、柳川市※柳川市は平成 年6月に連携協定を締結)との連携・交流の推進が図れ、自治体における学生インターンシッ プ体験が継続できたこと及び地域に出向いた公開講座を新規に実施した。 その他、 「九産大紙風船(地域連携ニュースチラシ) 」 、 「公開講座チラシ」の発行等により、 学内公開講座の受講生が増加した。 国際交流センターは、地域・社会貢献の一環として、小学校や公民館等への留学生の派遣交 流事業を通じた交流機会を提供している。平成 年度は実現しなかったが、平成 年度に向 け、地域からの要請に基づき、具体的な派遣事業計画が進捗している。 子どもたちは、多様な国からの留学生との相互交流により、これまで未知であった諸外国の 言語や文化、遊び等を通して外国に対する興味と探究心を抱くようになるなど、幼年期のグロ ーバル体験に一定の効果が表れている。 学生・教職員及び地域住民の双方にとって、異文化理解教育、留学生日本語弁論大会、学生 交流作品展、学術講演会等は、グローバルな課題への気づきや異文化理解の促進に資するとと もに、多文化共生の理念や価値観を再認識する良い機会となっている。 また、平成 年度は、大学間交流に基づき、中国、韓国、イギリスから、年間を通じて計7 人の交換留学生を受入れた。一方、学部間の交流として、短期学生・教員交流を韓国、中国、 アメリカの大学から、 人の学生と 人の教員を受入れた。 これらの留学生の受入れは、地域や学生にとって、グローバルな視野と知識を修得し、国際 的な感覚を醸成するうえで著しい教育効果が表れている。 産学連携支援室では、広報活動に積極的に取り組んだ結果、平成 年度に1件の特許実施許 諾契約が成立し、平成 年度には2件の特許実施許諾契約が手続き中である。 また、本学が権利を有している特許「相関顕微鏡」の研究が進み、平成 年度には、 倍の倍率でカラー画像が得られる世界初の顕微鏡の開発に成功しており、今後、産業界への貢 献が期待できる。 ②改善すべき事項 周辺の各自治体等の事情が異なり、一部の自治体等では連携推進が進まなく、バランスよく 事業を実施することである。 公開講座では、受講生のリピーターが多く大変好評である半面、 歳以上の高齢者が全体の 約 %を占め、若い受講生を増やし幅広い年齢層を受け入れることである。また、平成 年 度、新規に実施した「地域に出向いた公開講座」では定員を確保できない講座があり、開催に 際しては、定員を充足するための工夫に努める。 その他、地域連携推進に繋がる有効的な「広報のあり方」の検討も重要な要素である。 国際交流センターが行う小学校等への留学生派遣は、地域から派遣要請を受けたものが主で あるが、今後の課題としては、本学が企画立案したプログラム内容を地域に対し提案する必要 がある。そのためには、地域のニーズの把握や情報収集を東部地域大学連携及び学外連携課等 と協働し、行政をはじめ、自治体や近隣の小・中学校等とより一層の連携を図っていく。 また、留学生日本語弁論大会については、来場者を増やすため地域に出向いて開催するとと もに、留学生が日本文化理解のために地域のイベント等に積極的に参加しやすいよう学外連携 課と協働し、より実効性のある情報発信に努めることが課題である。 238 — 259 — 8. 社会連携・社会貢献 産学連携支援室では、幅広く社会に貢献するために、より多くの教員の研究・技術シーズを 発掘する。 3.将来に向けた発展方策 ①効果が上がっている事項 地域連携等委員会を中心に事業の検証及び次年度事業計画の策定を行い、方向性を見据えた 事業の推進を図っており、今後も地域貢献等につなげていく。 国際交流センターは、地域の要請を受け、留学生による地域交流の機会を増やすとともに、 住民の参加協力を得て、持続可能な地域の国際化の推進と発展を目指す。 小学校等への留学生派遣のニーズがすでに定着した中、今後とも、学外連携課等と協働しな がら、より実効性のある社会的貢献が図られるよう推進する。 「留学生日本語弁論大会」は、 月の恒例行事として好評を得ており、近隣大学や住民への 浸透化が図られ、相応の成果が上がっている。広報の手段として、ホームページ、近隣の公民 館等に情報発信を努めたことにより、一定の参加者数を確保できている。 産学連携支援室が企業等と継続的に研究連携を図ってきた成果として、本学が保有する特許 を利用した製品化に繋がっている。今後とも産学連携の活動を積極的に行い、より多くの製品 化に向けて貢献していく。 ②改善すべき事項 周辺自治体等への定期的な訪問及び地域との交流会を今後も継続する。 また、次年度に向けた目標〔地域の課題解決(提案)型事業の推進、学園及び連携先相互の 人材交流を通じた「まちづくり」 、 「教育支援」等への寄与〕達成に向け、スムーズな取り組み が遂行できるシステムとして学内協力体制を整備する。なお、 「地域連携ビジョン・戦略」を 検討するとともに広域連携の推進、 連携自治体等と学部教育のマッチング調整の体制づくり (地 域連携等委員会構成員を追加する等)の検討等、地域連携等委員会を充実させる。 国際交流センターによる地域への留学生派遣や留学生日本語弁論大会などの交流行事は、留 学生の更なる参加の促進が課題である。 カ国・地域の 人の積極的活用に加え、イベント 類の企画運営の質的向上や地域のニーズの把握に努める。 より多くの留学生の参加を通じた地域交流の活性化を促すため、イベント類の実施時期や時 間帯を考慮したうえで、ホームページや地域の中枢である公民館の活用により、地域住民に広 く周知案内することも改善方策のひとつである。 産学連携支援室では、教員の研究成果が更に幅広く社会に認知されるよう、展示会などでの 広報内容・活動・情報収集の方法を随時見直していく。 4.根拠資料 ・平成 年度地域連携等事業計画について ・平成 年度地域連携等事業(最終報告) ・平成 年度地域連携等事業計画について ・九州産業大学公開講座 (チラシ) ・九州産業大学 公開講座 LQ 粕屋(チラシ) 239 — 260 — 8. 社会連携・社会貢献 ・九産大紙風船 9RO ・協定書(写) ・国際交流センター報 -81&7,2112 ・平成 年度産学連携関連展示会等出展結果 240 — 261 —
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