海外安全対策情報(第1四半期:コロンビア) 1 社会・治安情勢 5月16日,FARC及びELNは,大統領選挙期間中の5月20日午前0 時から28日24時までの間,一方的に停戦する旨発表した。FARCのパブ ロ・カタトゥンボ西部師団長が読み上げたFARC及びELNの双方により署 名された声明文は,大統領選挙期間中の平穏を保障するための新たな停戦宣言 を求める大きな世論を考慮した旨述べていた。 なお,本件一方的停戦発表の前日(15日),13歳及び14歳の少年が太 平洋沿岸のナリーニョ県トゥマコ市の警察施設襲撃に利用された事件(14日) が,FARCによるものであるとされ,FARCに対する非難が高まっていた。 6月7日,FARCは6月9日0時から6月30日24時までの間,大統領 決選投票を円滑に実施するために,FARCが一方的に停戦することを再度宣 言するとともに,政府との間で和平交渉の次の交渉課題「犠牲者」に関して1 0点の原則につき合意した。 当国において大統領選挙決選投票が平穏に実施され,現職サントス大統領が 再選された。 2 一般犯罪の傾向 (1)犯罪別発生件数 第1四半期(4月~6月)のコロンビア全国における罪種別犯罪発生件数 は以下のとおり(出典:コロンビア国防省統計)。 ・殺人 ・強窃盗(対人被害) 3,205件 12,299件 ・強窃盗(邸宅,商業施設被害) 4,794件 ・強窃盗(乗物被害) 7,443件 ・性犯罪 2,333件 (2)邦人被害事案 6月21日午後2時50分頃,ボゴタ市内において在留邦人が強盗被害に遭う事 件が発生した。被害者は,自宅より約1キロの距離にある公共福利厚生施設を利 用するため,徒歩にて事件発生場所付近を1人で移動中であった。前方より被疑 者である男性二人組が徒歩にて被害者に接近し,カッターナイフをちらつかせな がら,「全て出せ」とスペイン語で脅迫してきた。被害者が指示に従い,鞄,財布, 携帯電話等を差し出したところ,被疑者2名はそれらを受け取り東方へ徒歩にて 逃走した。幸い被害者に怪我はなかった。 3 テロ・爆弾事件発生状況 (1)発生件数(4月~6月)(出典:コロンビア国防省統計) 140件 (2)発生事案 国内において,以下のテロ・爆弾事案が発生した。 ○4月22日,メタ県マピリパン市において,FARC第44戦線が陸橋を 爆破した。 ○4月23日,ノルテ・デ・サンタンデール県カタトゥンボ地方において, FARCの襲撃を受けた国軍兵士2名が死亡,1名が負傷した。 ○5月21日,ナリーニョ県南部において,FARCが石油パイプラインを 爆破し,近隣を流れる河川が汚染されたことで,生活用水が一時的に使用不 可になった。 ○5月29日,アマソナス県チョレラ地区において,FARCの襲撃を受け た国軍兵士4名が死亡した。 ○6月2日,アラウカ県サラベナ地区郊外において,FARCの襲撃を受け た警察官4名が死亡した。 ○6月5日,ナリーニョ県レイバ市において,FARCが爆発物を用いて, 同市司法関連施設を襲撃し,市民1名が死亡,1名が負傷した。 4 誘拐・恐喝事件発生状況 (1)発生件数(4月~6月)(出典:コロンビア国防省統計) ア 誘拐 70件 イ 恐喝 803件 (2)発生事案 本年4月~6月期間中の外国人被害に係る誘拐事案の報道発表なし。 5 日本企業の安全に関する諸問題 ウリベ前政権及びサントス政権の治安対策により,ボゴタを始めとする都市 部では殺人及び誘拐の発生は減少し,都市部での治安状況はそれまでと比べ著 しく改善された。 しかしながら,山間部や鉱山のあるジャングル地帯等は国軍・警察の影響力 も低く,特に治安機関及び石油・電力施設を狙ったテロが頻発している。 また,2012年末から外国人が被害に遭う誘拐事案が散見されるなど治安 情勢は予断を許さない状況にある。 従って,特に地方への訪問については,その可否を決定する上でも,外務省, 大使館,現地治安当局より最新の治安情報を入手するよう努めていただきたい。 以上
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