神戸市内中小企業におけるISO9001の活用状況調査報告書 ∼経営の

神戸市内中小企業におけるISO9001の活用状況調査報告書
∼経営の向上につなげるために∼ 〔概要〕
Ⅰ 調査の概要
1
調査の目的
神戸市内の中小企業におけるISO9001の活用状況について調査し、分析の結果を幅広く提供
することにより、中小企業の経営者や従業員の方々がISO9001に基づくマネジメントシステム
を経営の向上につなげるために活用していただくことを目的とした。
特に、ISOを有効に活用して効果を出している企業では、関係者がどのように関わり、どのよう
にシステムを構築・運用し、どのように取り組んでいるか、という点を明らかにするために調査した。
2
アンケート調査
(1) 調査対象
神戸市内のISO9001を認証取得した中小企業200社の経営者
・ISO適用対象事業所が神戸市内にあり、認証取得から約1年以上経過している中小企業
・経営者が回答することが難しい場合はISO9001の管理責任者
(2) 調査期間
平成16年7月23日(調査票郵送)∼8月23日(調査票返信)
(3) 調査方法
アンケート調査票を郵送し、回答者が記入した後に郵送で返信する郵送調査法
(4) 回答企業数(回収率)
111社(回収率:55.5%)
(5) 回答企業の内訳
業種/従業員数
20 人以下
21∼50 人
51∼100 人
101 人以上
建 設 業
14(12.6%)
15(13.5%)
6 (5.4%)
4 (3.6%)
1 (0.9%)
40 (36.0%)
製 造 業
3 (2.7%)
16(14.4%)
16(14.4%)
11 (9.9%)
1 (0.9%)
47 (42.3%)
運 輸 業
0 (0.0%)
2 (1.8%)
0 (0.0%)
3 (2.7%)
0 (0.0%)
5 (4.5%)
卸売・小売業
0 (0.0%)
1 (0.9%)
0 (0.0%)
3 (2.7%)
0 (0.0%)
4 (3.6%)
サービス業
3 (2.7%)
2 (1.8%)
3 (2.7%)
7 (6.3%)
0 (0.0%)
15 (13.5%)
20(18.0%)
36(32.4%)
25(22.5%)
28(25.2%)
2 (1.8%)
111(100.0%)
合
3
計
無 回 答
合
計
ヒアリング調査
(1) 調査対象
アンケート調査の結果から抽出した20社のアンケート調査回答者
(2) 調査期間
平成16年10月6日∼11月26日
(3) 調査方法
企業に訪問して、アンケート調査回答者にヒアリングする訪問面接法
(4) 回答企業の内訳
建設業6社(30.0%)、製造業10社(50.0%)、サービス業4社(20.0%)
Ⅱ
1
調査の結果と分析の内容
認証取得に向けて推進した時の状況
(1) ISOのシステムを導入しようとした理由(目的)【→別紙1 図1参照】
ISOのシステムを導入しようとした理由(目的)として最も重視した1位の回答では、将来的な
取引に関する「取引面・長期的な目的」が 38.7%で、建設業を中心に最も多くなっている。次に、社
内体質の改善に関する「経営面・間接的な目的」が 31.5%で、製造業を中心に多くなっている。直近
の取引に関する「取引面・短期的な目的」(18.0%)や品質パフォーマンスの改善に関する「経営面
・直接的な目的」(11.7%)は比較的少なくなっている。
詳細をみると、「取引(入札)条件を確保するため」が 26.1%で最も多く、次いで「業務の標準化
・マニュアル化を進めるため」が 12.6%、「企業のイメージを向上させて将来の取引先や顧客を開拓
するため」が 11.7%で続いている。
(2) 経営者(トップ)の関わり方【→別紙1 図2参照】
推進に対する経営者(トップ)の関わり方については、「経営者は推進責任者(管理責任者を含む)
と一緒になって推進した」が 34.2%と最も多くなっている。次いで「経営者は方針を決めて指示し、
あとは推進責任者に任せた」が 33.3%、「経営者が率先垂範して推進した」が 27.9%で続いている。
(3) 管理責任者の配置の仕方【→別紙1 図3参照】
推進する際の管理責任者の配置については、知識や能力の保有に関係なく、管理責任者については
「兼任で配置した」が8割近く(76.6%)になっている。また、専任や兼任に関係なく、ISOにつ
いて「知識や能力をある程度持っている者」を配置した割合は7割近く(69.4%)になっている。
2
認証取得後の現在の運用状況
(1) 構築したシステムと業務の実態との関係【→別紙1 図4・図5参照】
構築したシステムが業務の実態に合っているかということについては、「ある程度実態に合ってい
ると思う」が 58.6%で最も多くなっている。次に「実態に合っていると思う」が 32.4%で多くなっ
ている。また、構築したシステムが業務実態に合っている企業では、管理責任者にISOに関する知
識や能力を持っている者を配置している割合が高い。
(2) 内部監査の価値認識及び価値があると思う理由【→別紙1 図6・7参照】
実施している内部監査については、「ある程度価値があると思う」が 44.1%で最も多くなっている。
次に「価値があると思う」が 38.7%で続いている。
「価値があると思う」「ある程度価値があると思う」(合わせて 82.8%)企業がそのように思う理
由としては、「業務活動における問題点を発見することができるため」が 26.1%と最も多くなってい
る。以下「システムの運用状況を確認・検証することができるため」が 23.9%、「システムや文書類
を改善することができるため」が 14.1%、「品質の向上や経営の向上につながるため」が 13.0%で
続いている。
(3) 運用における従業員の参加度【→別紙1 図8・9参照】
運用における従業員の参加度については、「推進時から全員が参加している」(42.3%)、「推進
時はそうでもなかったが、現在は全員が参加している」(32.4%)を合わせると、現在全員が運用に
参加している割合は 74.7%となり、従業員の参加度は比較的高くなっている。また、構築したシステ
ムが業務実態に合っている企業では、従業員の参加度が高いことが多い。
3
ISO導入による効果や負担になっていること
(1) 取引面に関する目的と効果【→別紙2 表1参照】
直近の取引に関する「取引面・短期的な目的」を重視した企業では、取引の「効果があった」が 75.0
%と多くなっている。一方、将来的な取引に関する「取引面・長期的な目的」を重視した企業では、
取引の「効果はなかった」が 58.1%と半数以上となっている。
効果の内容は、目的が短期的・長期的のいずれの場合でも、「新たな取引先との取引関係が生まれ
た」や「従来の取引先からの受注が増えた」という積極的評価は少なく、「従来の取引先との取引関
係を維持することができた」という消極的評価が最も多い。特に、短期的な目的で「取引先や顧客か
らの受注を増やすため」と設定した場合でも、大半は取引関係の維持に留まっている。
(2) 経営面に関する目的と効果【→別紙2 表1及び別紙1 図10参照】
品質パフォーマンスの改善に関する「経営面・直接的な目的」を重視した企業では、経営に直接プ
ラスになる「効果があった」が 76.9%と多くなっている。
効果の内容は、「製品やサービスの不良・不具合が減った」が最も多く、次に「製品やサービスに
関するクレームが減った」が続いている。
社内体質の改善に関する「経営面・間接的な目的」を重視した企業では、社内的な「効果は出てい
る」(34.3%)、「ある程度効果は出ている」(57.1%)を合わせると 91.4%となり、他の目的を重
視した場合と比べて、社内的な効果が出ている割合は最も高くなっている。
効果の内容は、「組織あるいは従業員一人ひとりの権限・責任・役割が明確になった」が 49.0%と
最も多くなっている。以下「経営方針や目標などが明確になり、業務が計画的に展開されるようにな
った」が 45.8%、「業務の標準化が進み、個人の知識やノウハウに依存した対応から組織的な対応に
なった」が 39.6%で続いている。
(3) 負担に感じていること【→別紙1 図11参照】
ISO導入により負担に感じていることについては、「サーベイランス(維持審査)や登録更新審
査に費用がかかること」が 73.9%で最も多くなっている。以下「文書類の作成や改正に時間をとられ
ること」が 47.7%、「内部監査に人員や時間をとられること」が 40.5%、「記録に時間をとられる
こと」が 27.9%で続いている。
4
今後の予定
(1) 現在のシステムを今後どのようにしたいか【→別紙1 図12参照】
現在のシステムを今後どのようにしたいかということについては、「見直してレベルアップさせた
い」が 64.9%で最も多くなっている。次に「現在のままで維持したい」が 17.1%で続いている。な
お、「現在のシステムを見直したい」と考えている企業は合わせて8割近く(77.5%)あり、認証取
得による効果の有無にかかわらず、システムの改善を考えている企業は多い。
(2) 現在のシステムをどのように見直したいか【→別紙1 図13参照】
「現在のシステムを見直したい」企業が見直したい内容は、「内部監査や是正処置などについて、
改善につながるように効果的に運用する」が 50.0%で最も多くなっている。以下「文書類や記録など
の帳票類を整理して、運用にかかる負担を軽減させる」が 45.3%、「ISOのシステムを別立てにせ
ず、実際の業務(実態)に合ったシステムにする」が 43.0%で続いている。
5
ISOを効果的に活用するために重要なこと
(1) 効果的な運用を行っていくために重要なこと【→別紙1 図14参照】
「継続的な改善」という意義に基づいてシステムを効果的に運用するために重要なことについては、
「形式的ではなく実質的な改善活動の実施とそのための工夫」が 23.4%で最も多くなっている。以下
「業務の実態に合ったシンプルなシステムづくりと運用」が 14.4%、「内部監査やマネジメントレビ
ューなどの効果的な実施」が 13.5%、「品質方針・品質目標の展開と確実な実施」が 12.6%で続い
ている。
(2) 今後、認証取得を目指す企業へのアドバイス【→別紙1 図15参照】
今後、認証取得を目指す企業へのアドバイスとしては、「自社の業務実態に合ったマネジメントシ
ステムを構築すること」が 18.0%で最も多くなっている。以下「推進する際の取り組み姿勢と考え方
について」が 17.1%、「マニュアル等の文書類をシンプルでわかりやすいものにすること」が 14.4
%、「ISOの本質や導入の目的・効果をよく認識して取り組むこと」が 13.5%で続いている。
6
効果が出ている企業と出ていない企業の取り組み方の違い【→別紙2 表2参照】
経営の間接効果の表れ方により企業を4つのグループに分類し、効果が出ている企業と効果が出て
いない企業を比較すると、下記の4つの点で取り組み方に大きな違いがある。
(1) 「導入時の目的」
効果が出ている企業 →社内体質の改善に関する「経営面・間接的な目的」が 70.6%と極めて多い。
効果が出ていない企業→将来的な取引に関する「取引面・長期的な目的」が 46.7%で最も多い。
(2) 「経営者(トップ)の関与の仕方」
効果が出ている企業 →経営者が「率先垂範して推進」が 58.8%で最も多い。
「方針を決め、推進責任者に委任」は 11.8%に過ぎない。
効果が出ていない企業→「率先垂範して推進」は全くない。
「方針を決め、推進責任者に委任」が 73.3%と極めて多い。
(3) 「システムの構築と実態との関係」
効果が出ている企業 →構築したシステムは「実態に合っている」が 70.6%と極めて多い。
「実態に合っていない」は全くない。
効果が出ていない企業→「実態に合っている」が全くない。
「あまり実態に合っていない」と「実態に合っていない」が合わせて
40.0%と多い。
(4) 「内部監査に対する価値認識」
効果が出ている企業 →内部監査について「価値がある」が 82.4%と大半を占めている。
「価値がない」は全くない。
効果が出ていない企業→「価値がある」が全くない。
「あまり価値がない」が 53.3%で最も多い。
このように、効果が出ている企業では、社内体質の改善など、経営の間接効果をねらってISOを
導入していることが多い。また、経営者は推進に積極的に関与し、業務の実態に合ったシステムを
構築して、運用面でも内部監査に価値があると認識している。これら4つの要因がすべて揃っ
ている。
7
取り組み方が優れている企業の特徴【→別紙2 表3及び別紙3参照】
事例における取り組み方の内容により企業を4つのグループに分類し、取り組み方がかなり優れて
いる企業と不足している企業を比較すると、かなり優れている企業には下記の4つの特徴がある。
(1) 「取り組みのねらい(導入の目的)」
取り組み方がかなり優れている企業は、ISOを導入する際の目的を社内体質の改善や経営体質の
改革と明確に設定している。その結果、経営の改善につながる品質方針・品質目標を設定している。
《具体的な取り組み事例》
・社内体制を見直して効率良い仕組みを構築するとともに、従業員教育のツールとして活用するこ
とを目的に導入した。
・町工場的な経営から近代的な経営に変革することを目的に導入した。また、経営者を今後引き継
ぐ必要もあり、ISOの精神を活かした経営を行っていくべきであると考えた。
(2)
「推進力と従業員の参加度(トップの関与)」
かなり優れている企業では、経営者がISOの本質をよく理解し、ISOのシステムを経営の柱と
捉え、率先して活動に取り組んでいる。管理責任者も経営者の意向を受けて積極的に推進している。
また、当初から従業員全員が取り組みに参加している。
《具体的な取り組み事例》
・経営者がISOによるシステムを経営の柱にするよう考え、従業員の声を聞くことに才覚のある
従業員を管理責任者にして一緒に推進した。
・導入から4∼5年間は、管理責任者が「鬼、悪魔」と言われるほど、従業員を熱心に指導・育成
して推進した。
(3) 「システムの構築(実態への適合)」
かなり優れている企業は、自社の業務実態に合わせてシステムを構築している。また、自社のシス
テムになるように品質マニュアル・規定類・手順書等も工夫して作成しているため、従業員が使いや
すいシンプルなシステムとなり、従業員の負担は軽減されている。さらに、経営方針と品質方針が一
致しており、経営の仕組みと一体のシステムとなっている。
《具体的な取り組み事例》
・従業員が理解しやすいように、絵や写真も入れ、読みやすいマニュアル、すなわち従業員の教科
書になるようにした。
・帳票類にも具体的な手順を記載して、担当者が実際に記入する時にも業務の流れを理解すること
ができるようにした。
(4) 「システムの運用(内部監査等)」
かなり優れている企業では、日々の業務がISOのシステムに基づいて実施されている。その結果、
システムや業務の改善につながるように、業務実態に沿った価値のある内部監査を実施している。ま
た、マネジメントレビューを経営の改善につながるように工夫して行っている。
《具体的な取り組み事例》
・内部監査を従来からの社内検査や安全パトロールなどを取り込んで実際の現場で行うようにし、
作業状態を随時チェックするなど意義ある仕組みにしている。
・内部監査は経営者にすべての部門を見てもらう絶好の機会であるため、社長にも監査員になって
もらって実施している。
Ⅲ 分析のまとめ及び今後の取り組みへの提言
1
調査結果の分析からわかったこと
アンケート調査及びヒアリング調査の結果を分析すると、優れた取り組みにより効果を出している
企業には下記の4つの要因が揃っており、これらがISOを有効に活用して経営の向上につなげるた
めの重要な成功要因であることがわかった。
(1) ISOを導入するねらいを社内体質の改善と明確にしている
ISOを導入する際には、社内体質の改善や経営改革をねらうことを明確にしている。その結果、
品質方針を、経営方針と一致した形で自社の改善あるいは改革する方向に明確に定めている。
(2) 経営者が取り組みに積極的に関与している
認証取得に向けて推進する際には、経営者がリーダーシップを発揮して積極的に関与し、認証取得
後も取り組みに関与している。運用には当初から全員が参加して取り組んでいる。
(3) 自社の業務の実態に合ったシステムを構築している
ISOの要求事項をそのままシステムにするのではなく、自社独自の経営に対する考え方を反映さ
せながら、日常業務の実態に合ったシンプルなシステムを構築している。
(4) 経営の改善につながる効果的な内部監査などの運用を続けている
構築したシステムを運用する際には、改善につながるように業務の実態に合った形で効果的に実施
している。また、P・D・C・Aのサイクルをうまく回し続けており、継続的な運用を実践している。
2
経営の向上につなげるために
経営の向上につなげるためにISOを活用するには、どのように取り組んでいけば良いかというこ
とについて、4つの重要な成功要因ごとに、下記のことを提言する。
(1) ISOを導入するねらいを「社内体質の改善」と明確にすること
ア 「品質保証」から「経営のツール」に変わっていることをよく認識する
2000 年版への改定により、ISO9001は「製品やサービスの品質保証に加え、顧客満足の向上
を目指す」という考えにレベルアップされている。要求事項にも目標管理や継続的改善が入れられ、
以前よりも「経営のツール」として使いこなせるようになったと前向きに捉えるべきである。
イ 「経営のシステム」と「ISOのシステム」との関係を明確に捉える
ISOを経営のツールとして活用し、経営体質を改善して売上や利益の増加につなげるには、「経
営のシステム」と「ISOのシステム」の関係を明確に捉えることが重要である。ISOの要求事項
に定められていなくても、自社の経営の向上にとって欠かせない管理すべき重要事項を、できる限り
ISOのシステムに採り入れていくべきである。
ウ
顧客志向の経営体質に変革することを目的にする
認証取得してもすぐに効果を享受することは難しく、いきなり取引の拡大を目指すことは望ましく
ない。自社を顧客にいかに満足してもらえるかを常に考える組織に変貌させ、継続的な「顧客満足の
向上」を目指して、まずは経営体質を改善することをISO導入の目的として明確にすべきである。
(2) 経営者が取り組みに積極的に関与すること
ア
経営者が「経営方針」と「品質方針」を一致させる
ISOを導入したから経営方針以外に品質方針も立てなければならないなど、経営とISOを別も
のと捉えるのではなく、経営の仕組みとISOのシステムは一体であると考えて、ISOの品質方針
と経営方針は一致させるべきである。
イ
経営者が認証取得後も運用に関与し続ける
経営者の関与の仕方によって、認証取得だけではなく認証取得後の成果も決まる。ISOのシステ
ムに乗って自社をさらに発展させるために、経営者は運用段階に入っても引き続き取り組みに積極的
に関わり、様々な施策を打っていくべきである。
ウ
経営者が推進力を持つ管理責任者を選任する
ISOはトップダウンの考えがベースにあるが、社内のキーマンが経営者の方針を実現するため
に、いかにリーダーシップを発揮していくかに懸かっている。そのため、経営者が推進力のある管理
責任者を選任するということも大切な要素である。
(3) 自社の業務の実態に合ったシステムを構築すること
ア
システムは日常の業務と一体にする
日常業務ありきで考え、業務をISOの要求事項に沿って整理していくことが重要である。その結
果、身の丈に合ったシステムを構築することができ、従来からの仕組みとISOのシステムが二本立
てにならずに済む。そのため、社内の者だけでマニュアルの骨組みを作るようにするべきである。
イ
従業員の意見を反映して、わかりやすく使いやすいシステムを作る
事前に現場の従業員から多くの意見を聞き出し、その内容をできるだけ反映させながらシステムを
構築することが重要である。文書類はできるだけシンプルな体系にして、薄いものを作る必要がある。
これにより、ISOが従業員にとって、わかりやすく使いやすい、負担を感じないシステムになる。
ウ
自社の活動として独自の工夫を加える
ISOの要求事項をどのように採り入れるかは企業の裁量で決めれば良く、自社が活動しやすいシ
ステムを構築することが望ましい。業務実態に合わせたシステムにするということだけに留まらず、
自社独自の工夫を加えて、より経営に役立つようにシステムを構築することも考える必要がある。
(4) 経営の改善につながる効果的な内部監査などの運用を続けること
ア
全員が参加して改善に取り組む
当初から経営者以下全従業員が参加し、改善に向けてISOに取り組んでいくことが重要である。
そのため、管理責任者や事務局が定期的に全従業員対象の説明会や部門別の勉強会を開催し、従業員
個人にもメリットがあるような事例を紹介しながら説明すべきである。認証取得後も推進責任者を部
門ごとに配置し、推進責任者を中心にシステムの活動状況を監視する体制を構築する必要がある。
イ
改善につながるように内部監査を有効に活用する
経営の向上につながる成果を生み出すには、内部監査の有効な活用が重要である。そのため、単に
質問に答える監査ではなく、参加者が改善を考える監査にして、経営者や管理責任者は全従業員を改
善の方向に導いていくべきである。また、内部監査では、現状のシステムは本当に業務実態に合って
いるか、現状のシステムで効果をもたらすことができるのか、というところまで検証する必要がある。
ウ
経営の観点からマネジメントレビューを実践する
一般的に、経営者は売上や利益などの経営数値を重視するので、ISOのシステムを経営の仕組み
と一体にしたうえで、マネジメントレビューにおいて、経営数値とともに経営の仕組みも見直すよう
にするべきである。経営者には、目先の経営数値を追いかけることと同時に、マネジメントシステム
を見直すという自社の体質改善への気構えが求められる。
ISOの導入により経営の仕組みが整備されるが、自社が発展するかどうかは、経営者がこの仕組
みを活用するかどうかで決まる。もし、経営者がISOは生き残りのための経営ツールになると確信
してISOの活用に踏み切れば、その企業には必ず効果が表れ、経営は向上するはずである。