第 6 週 三角関数 1 今週の目標 2 定義と記号 3 計算のための重要事項

Basic Calculus 1 (06-j.tex)
第 6週
1
Tuesday, February 24, 2015, 7:16 a.m.
三角関数
今週の目標
弧度法で表された一般角に対する三角比を考えることにより三角関数を定義する。これ
らの関数に対して、
• 定義域、値域、増減、増減率の変化などの基本的性質を把握すること
• 周期性に着目すること
に重点をおく。そのために、関数のグラフをできるだけ正確にえがくことを心がける。
2
定義と記号
数全体を定義域とする関数
y = sin x, y = cos x
をそれぞれ正弦関数、余弦関数という。正弦関数、余弦関数の値域は、絶対値 1 以下の数
の全体である。数全体から π/2 の奇数倍を除いた残りを定義域とする関数
y = tan x
を正接関数という。正接関数の値域は数全体である。
3
計算のための重要事項
周期性に関する公式
sin(x + 2nπ) = sin x, cos(x + 2nπ) = cos x, tan(x + nπ) = tan x (n は整数)
が成り立つ。さらに、任意の x に対して
sin(x + α) = sin x, cos(x + β) = cos x, tan(x + γ) = tan x
が成り立つような最小の正の数 α, β, γ はそれぞれ
α = 2π, β = 2π, γ = π
である。すなわち、正弦関数、余弦関数、正接関数はそれぞれ周期 2π, 2π, π をもつ。
1
Basic Calculus 1 (06-j.tex)
4
Tuesday, February 24, 2015, 7:16 a.m.
今週の例題
【 1 】 関数
y = sin x
に対して、その増減や凹凸を調べよ。
【 2 】 関数
y = sin x
のグラフがどのような形状であるかをできるだけ正確に述べよ。
2
Basic Calculus 1 (06-j.tex)
5
Tuesday, February 24, 2015, 7:16 a.m.
練習問題
【 1 】 次の関数に対して、その増減や凹凸を調べよ。
(1) y = cos x
(2) y = tan x
(3) y = sin(x + π/3)
(4) y = cos(x − π/6)
(5) y = tan(x − π/2)
【 2 】 次の関数のグラフがどのような形状であるかをできるだけ正確に述べよ。
(1) y = cos x
(2) y = tan x
(3) y = sin(x + π/3)
(4) y = cos(x − π/6)
(5) y = tan(x − π/2)
3
Basic Calculus 1 (06-j.tex)
6
Tuesday, February 24, 2015, 7:16 a.m.
演習問題
関数
y = sin x −
√
3 cos x
のグラフをできるだけ正確にえがけ。このグラフを x 軸に関して対称移動して得られる曲
線をグラフとする関数と、 y 軸に関して対称移動して得られる曲線をグラフとする関数を
それぞれ求めよ。
7
今週のまとめ
拡張された三角比を使って、三角関数(正弦関数、余弦関数、正接関数)を定義した。
正弦関数は周期 2π の周期関数である。増減に関しては、区間 −π ≤ x ≤ −π/2 におい
て減少関数、区間 −π/2 ≤ x ≤ π/2 において増加関数、区間 π/2 ≤ x ≤ π において減少
関数であり、凹凸に関しては、区間 −π ≤ x ≤ 0 において凸関数、区間 0 ≤ x ≤ π におい
て凹関数である。
余弦関数も周期 2π の周期関数である。増減に関しては、区間 −π ≤ x ≤ 0 において
増加関数、区間 0 ≤ x ≤ π において減少関数であり、凹凸に関しては、区間 −π ≤ x ≤
−π/2 において凸関数、区間 −π/2 ≤ x ≤ π/2 において凹関数、区間 π/2 ≤ x ≤ π にお
いて凸関数である。
正接関数は周期 π の周期関数である。増減に関しては、区間 −π/2 < x < π/2 におい
て増加関数であり、凹凸に関しては、区間 −π/2 < x ≤ 0 において凹関数、区間 0 ≤ x <
π/2 において凸関数である。
8
補足
数全体を定義域とする関数
sinh x =
ex + e−x
ex − e−x
ex − e−x
, cosh x =
, tanh x = x
2
2
e + e−x
を考える。これらは、双曲線関数(それぞれ、双曲正弦関数、双曲余弦関数、双曲正接関
数)と呼ばれる。これらの関数は、三角関数と類似の性質をもつことが知られている。例
えば、次の等式が成り立つ。
• cosh2 x − sinh2 x = 1
• sinh(x + y) = sinh x cosh y + cosh x sinh y
• cosh(x + y) = cosh x cosh y + sinh x sinh y
はじめの等式が双曲線関数の名前の由来である。これを真似て、三角関数を円関数という
こともある。次の二つは加法定理と呼ばれる。三角関数の加法定理からさまざまな公式が
得られているように、双曲線関数に対してもいろいろな公式をつくることができる。
4