Title Author(s) Citation Issue Date 山地の茶色のざらめ雪と白いしまり雪の融雪速度の比較 小島, 賢治 低温科學. 物理篇 = Low temperature science. Series A, Physical sciences, 25: 221-224 1967-12-25 DOI Doc URL http://hdl.handle.net/2115/18072 Right Type bulletin Additional Information File Information 25_p221-224.pdf Instructions for use Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP K e n j iKOJIMA 1 9 6 7 Comparisonbetweent h eMeltingR e t e so fBrownSnowandWhite Snow. LowTem ρe r a t u何 S c i e n c e,S e r .A 2. 5 . , 山地の茶色のざらめ雪と白いしまり雪 の融雪速度の比較* 小 島 賢 治 (低温科学研究所気象学部門) (昭和 42年 7月受理) 厳冬期に山地の積雪に鉛直の断面を作ると,白い雪の聞に薄く褐色に色づいた層がし、くつ もみられる。 これは雪の無い地方(大陸?)の砂嵐の際に細かい土粒子が上空に浮遊し,風で 積雪地方に遥ばれて降雪と共に地上に降り積るためにできる茶色の雪である。融雪期になって 或る茶色の雪の層がとけても,このような土の粒子の多くは融雪水と共に流下せずに雪面に残 され,次の茶色層が融けた時には 2層分の土粒子が一緒になる。このようにして,融雪が進 むにつれて雪の表面の汚れは次第に濃くなって行く。(降って間もない茶色の雪に含まれる土 0 μ より小さく, 5 μ以 粒子の直径は 2 Fのものが非常に多い)。 1967年 4月 23日-27日に筆者等が雨竜郡母子里で行なった融雪観測 1), 2) の際も, 深さ約 1 mの積雪の表面層は茶色く汚れたざらめ雪であった。そして,雪面下約 15cmより下には,比 較的粒の小さい汚れのないしまり雪の厚い層があった。茶色のざらめ雪は白いしまり雪に比べ では勿論,汚れのないざらめ雪に比較しでも日射の反射率が小さく,融雪速度が大きい筈であ る。そこで,自然、雪面での融雪速度を測定した際,雪面が白いしまり雪である場合の融雪速度 も同時に測定して前者と比較した。 融雪速度を測るには, }!IJ の報告1), 2) に述べたように,雪国の沈 F 速度と雪の密度を誤~って 求める方法 ( 1 ) と,直径 14cm, 深さ 5cmで底に金網を張った円形の容器 M1 と M2 とに茶色 のざらめ雪と白いしまり雪の試料を入れて雪面に作った穴に埋めておき(第 1 1 き) 1,時々これを 2 ) とを用いた。 とり出して秤量する方法 ( 第 2図は 4月 25日 9 時 30分 -14時の間に方法 ( 2 )で測定した融雪速度 Jm/Jtg.cm-2・hc1 トーー一-t /0cm 第 1図 表面のざらめ雪層と積雪内部のしまり雪層から採った試料を, 融雪測定用の容器 M 1と門 zとに夫々入れて, 雪 面 に 作 っ た 穴 におさめたところの断聞図。 *北 海 道 大 学 低 温 科 学 研 究 所 業 績 3 3号 第8 低温科学物理篇第2 5輯 昭 和 4 2年 2 2 2 小島賢治 l l m / 包 . tt い ト.crñ~h 0 . 7 品 杭虫 掌 0 . 6 速 G2 度 0.5 セ‘、らめ宮 0 . 4ト J 0 . 3 「 一 一 一 一 一 一 , G1 s Lま 号 室 0 . 2 0 . 1 APR.25, 1967 (MOSHIRI) 0.09 第 2図 茶色のさ守らめ竺了と白いしまり蛋の融雪速度の比較。第 1図 に 示 し 5日に測定。 Sと G1は 直 径 1 4cm,Gzt 土1 直径 た方法により 4月 2 20cmの容器を使用。グラフの水平な破線部分は推定値を表わす。 を示すもので, グラブ Sは白いしまり雪層からとった試料について, 然雪国層の茶色のざらめ雪試料についての融雪速度である。 グラブ G1と c ?zとは自 Sと G1 とは何れも同じ型の容器 (上記の寸法で側面は細い亜鉛引鉄板の枠に和紙を張りパラフィンで防水したもの)により ,Gz は直径 20cm,深さ 6cmで側面は透明なビニール板ーの容器によって測定した結果である。 第 3図の曲線 G1及び Gzは夫々 4月 26日及び 27日の 7時以降の自然、雪面の沈下量をあ らわし, S 1は 4月 26日 1 2時 40分から測った白いしまり雪の表面の沈下量をあらわす。 これ は積雪表面のざらめ雪を 1x3mの面積だけ削りとって下のしまり雪の水平断面を露出し,そ こに方法 ( 1 ) を適用した結果である。 1と比較し易いように曲線 G1の 12時 4 0分 曲線 G;は S 以後の分を上方に平行移動したものである。曲線 5 2は 4月'27日 7時以降の白い雪の面の沈ド 量 ( S 1のつづき)をあらわす。 第 1表には第 1図と第 2図に示した測定結果にもとづき,表に示したような 4期間につき, 自然雪面と白いしまり雪の融雪量を比較した。始めの 2期間については前者は後者の 2倍であ る。このような著しい融雪速度の違いは,ざらめ雪の粒度が大きいことと土の粒子による日射 ご¥ ¥¥ 守, AH 一量法一・一 一回促一尚一同川仲川 一向間相関一一 α F5 一率ベ差﹁一一 一の一 一一 一 〆 一 ] 一 i l i -E - 7 刀 一射パ)一× 較一 7 一 一 げ 一 一 比一反トトドつ一一 酔県一量、刊一 H 一 ﹄ J )F - E - Y 一 1 !i: ( 雪一一一射ハ I 口 一 引 口 7 M l7-ヒ一-一一 h2 一 一 い一川一ー一 ll 円一明一差 一 一 料 一 !13 一一 一 一 一 一 brbJ 引一一時一則町一 J1た 一 昨 一 一mn59 一 τい 臥 比 一 肱 一 仏 α一 一 と劃一 明 時 一 一 差 山 m一 明 日 川 川 十 11r 、 、 f 、 一 吊出 J ' h z υ g 丸値一量一 ι r 一 ‘ ,一 一 雪 促 一 寸 引l │ ﹂││Illi--一 積抽出一一ま一 S J一6 0 8 2 一 (のに一し一川 m - D 3 J A 一 1000 一 雪ら一さ一色一A 一 円 めれ白一五一一 α 、 F ハu n u ハU 9 3 Fコ O 一 一 一 一 一 一 万 二 ↑ │ 削 !J1Illi--│ 一 J ;に一融一ら?↓一 i 3 S 4 丘公予 のひ一 l iz-- 川m 一 泡 円一一一 t h 川 2 0 0 0 , 一 i 主主一茶一 itHH z r 企画日刊 'A AY ハ 一 U ハ U ハ U -4A ハU ハU ハU 一 一 7tqL l J qノ コ m一 川 叶 川 川 一 LH 一 、 日一 J eFf 、一ヌ 0 0 0 L いいい一 HWFW 一2 2 2 什一 ll 月一 (1) δQJ f= 8 0o L 1 m= I o r ( 1 )式で計算されたアルベドー ならびにこれらの値を用いて 計で測定された水子面日射量よ RH 茶色のぎらめ雪の表面(自然雪国)としまり雪)留の水平露出国の沈下。 第 3図 MU¥、 穿 1 、 ¥'l (MOSHIRI) 5 ペ 飴 h L ¥ す τ3 18h 7 ヘ l ' ι 2 一 ⋮ ¥ 時 金) 1 1 7 1 6 1 5 1 4 1 3 1 2 1 1 1 0 9 8 O 223 茶色の雪と白い雪の融雪 4 6 7~h 8ト cm G はざらめ雪, 5はしまり雪をあらわし, 5 1とGiは 12時 40分から, 他 は 7時から測った沈下量。 の吸収との両方によるものであるが,しまり雷の表面も,融雪が進むにつれて次第にざらめ雪 Iったので,雪面の粒度は大きいが汚れが多少減じ,白い雪 を削って平らにした場所の沈ドを渋J 化したために,自然雪面との差が幾分小さくなったものと思われる o 27日には自然雪面の凹凸 との融雪速度の差が-層小さくなった。 2 Tで ,L 1t時間内の融雪量 L 1 m の差を o L 1 m g・cm茶色の雪と白い雪の反射率 r(<l)の差を δ 1t時間内の H射量の積算値を 1cal・cm "とすると, であらわし ,L である。ただし ,QM=80L 1m はこの時間内の融雪熱量をあらわし,蒸発熱量も気温融雪熱量も 2種の雪についての差が小さいとする。第 1表には各期間毎の δL 1m,δQJfの値,ロピッチ日射 224 小島賢治 差。Tを示した。 積雪内部のしまり雪を表 I 削に1:1:¥してから 2時間半くらいまでは,茶色のざら め雪よりアルベドーの値が 20-25%大きいと云う結果になったわけ-である。 なお第 1期間の 約 4時間の聞に一度試料を新しいものにとりかえた。 今回の観測では雪面のアルベドーの正確な測定を行なわなかったが, ロピッチ日射計で測 定された入射日射量 Iと示差放射計による全波長政射収支量 QRとから平均の T を計ー算してみ た。日J Iち,ロピッチ日射計で. m l J定されない長波長の放射収支量を R とすると, QR= 1(1-r)十 R となるが ,QRと Iの隣り合う 1時間(例えば 8-9時と 9-10時)におけ』る差を犬々 . dQR及 び . d Iとし ,Rが変らないと仮定して, . dQR=(1-r). d1 (2) から Tの1 立を求めた。別の報告 1) の第 2表にある毎正時間の Iと Q "の値を利用して, ( 2 )の形 6' 1 1 及び 2 7日につき夫々 10及 び 5組作り, の式を 4月 2 それから得られる Tの値を平均する と,両日とも Y=0. 41を得た。従って,実験に用し、た白いしまり雪の反射率は約 0 . 6 5というこ 5日に示差放射計の示度が 3 6c a l . c m-2.h r -Iでほぼ一定のとき,下方から とになる。一方 4月 2 5及 び -29cal.cm 2 の放射と上方からの放射を別々に遮断したところ,放射計の示度は夫々 6 h r 1を示した。このことは,自然、雪面の反射率が少しそ 45%であることを意味する ο 以上の測定結果からは,汚れのないざらめ雪の融雪速度の測定を行なわなかったので,純 粋に雪の汚れだけによる融雪量増加は正確には解らないが,ざらめ雪の日射融雪速度が茶色の 汚れのために増した割合は 10-20%程度であったと推定される。 文 献 ¥ ) 大浦浩文,小島賢治,小林大二,小林俊一 ¥ 9 6 7 金 ¥ l Ji ,胡及ひ朱鞠内湖附近における日虫色・の研究. 低温科 ,9 9 1¥ 7 学,物理篇, 25 9 6 7 積雪の蒸発の倣当に及ぼす杉響についての一実験‘ 2 ) 小島賢治 ¥ 低{品科学,物理篇, 25 ,¥ ¥ 9 ー1 2 6
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