浪川大輔、宮野真守という声優さんが

札幌東商業高校進路通信
平成 27 年 12 月 9 日
札東商進路指導部発行
以前TV番組で、浪川大輔、宮野真守という声優さんが、
声優業界の実態について語っていました。浪川大輔さんと
いうと私の場合、映画「スターウォーズ」アナキンスカイ
ウォーカーとか、「ロードオブザリング」のイライジャウ
ッドの吹き替えの人という認識はあるのですが、みんなは
アニメの声優として、いろいろ知っているんでしょうね
(そういえば宮野さんはジョニーデップの吹き替えをやっていましたね。イマイチ、声があっていない気がしましたけど…)。
二人とも子どものころから劇団に所属していたんですね。浪川さんは、映画で子役の吹き替えな
どをやっていたそうです。変声期を迎えて、しばらくの間この業界から離れたようで、高校卒業後
は、大学の福祉心理学科に進学しました。大学卒業後は、声優の仕事だけでは食べていけない(実
体験ですからね)こともあって、10 年間くらいアパレル関連の会社に勤務していました。その後 30 歳
を過ぎて、やっと声優として活躍できるようになったそうです(なかなか苦労しています)。
彼の話では、声優を目指している人(養成所などでレッスンをしている人)は常時 30 万人以上いるそう
です(厚別区と白石区の人口の合計とほぼ同じです。夢見ている高校生を入れるとさらに増えますね)。そのうち、一度で
........
も声優の仕事をしたことがある人は 1 万人(チョイ役、エキストラ、CMやゲームのキャラクターボイスなど含む)。
............
そして、肝心の声優だけで食べていける人は、自分を含めて 300 人(東商一学年分の人数です)いるか
なぁということでした。その数、確率にして 0.1%です。夢を追いかけさせてあげたい気持ちもあ
りますが、借金(奨学金を含む)までして、応援したい確率ではないですね。
先日来校した声優・タレント・音楽・アニメなどのコースがある専門学校の方から聞いた話では、
入学生の3分の1が、卒業後に養成所(有料です。100 万円くらい入所金を納めるそうです)へ行くそうです。
ただし、養成所に入っても確実に声優になれるわけではありません。そして3分の1が専門学校と
は関係のない職(学生時代のアルバイトを続けるフリーターが多数。中には養成所の入所料を稼ぐ人もいるようですが)に
就き、残りの3分の1が途中で退学するそうです。
......
こういう厳しい現実があることを、専門学校としてはきちんと突き詰めて説明し、理解してもら
.....
ったうえで入学してくれていると思っているそうです。
でもですよ、「奨学金を借りれば、学費は月払いでいいですよ」とも説明しているんです。おか
しくないですか?いずれの『3分の1』に当てはまっても、奨学金を返すことができる人は存在し
ませんよ!
先述した浪川さんに限らず、私の知っている限り、声優さんは大学卒の人が多いです。日本大学
とか早稲田大学とか…。高学歴な人が多いですね。要は教養が必要というコトでしょう。
他にも劇団出身の人も多いですね。北海学園大学出身の大泉洋さんは、ジブリ作品ではすっかり
声優です。要は演技ができないとダメというコトですね(大泉さんの所属するチームNACSは、大学の演劇サ
ークルが始まりです。学生時代に、面白い奴がいると評判になってTVに出るようになりました)。
ネットで調べると、他の声優さんの経歴が色々出てきます。みんなが知っ
ているかは分かりませんが、例えば、山寺宏一さん(東北学院大学経済学部)、
平野綾さん(玉川大学芸術学部)、花澤香菜さん(武蔵野大学)、植田佳奈さ
ん(神戸女学院大学文学部)…などなど。
もちろん専門学校や各種学校出身者もいます。ただこの場合、とてもリス
クが大きいと思います。
大学生の場合、声優や俳優をあきらめた時点で、別の道を選択することができるのですが、専門
学校や各種学校の場合はそれができないんですね。まして、先述したように、学校を卒業しただけ
では夢をかなえることはできず、さらに多額のお金を支払って『養成所』に入らなければなりませ
ん。そこまでのお金と思いがありますか?親にお金を払わせますか?
メジャー級から地元密着型や地下アイドルまで、数多くのアイド
ルが存在する昨今です。“読者モデル”というモデルから芸能人に
なる時代です。誰でもアイドルやモデルになれる時代です。
“なることだけが夢”ならば、夢を叶えることがたやすい時代かもしれませんが…。
さてここでは、国民的アイドルになることができる可能性を考えてみたいと思います。国民的ア
イドルの代表と言えばAKB48でしょうか?(国民的の定義がよくわかりませんが、おじさんやおばさんも知っ
ているレベルかな?)
AKB48グループは、現在総勢 383 名在籍しているそうです。卒業や脱退した人が 187 名い
るそうです(最近はネットでググると何でも教えてくれます)。
そのうち、選抜メンバーとして数多くテレビに出られるのが 16~20 名程度です。AKBグルー
プの中で顔と名前が知られる存在になる確率は3%程度となります。AKB48に入るだけでもか
なりの倍率なので、実際の可能性は・・・。彼女たちはそれなりに選ばれし者なのですね。
彼女たちの中には、高校生だったり大学生だったりする子もいて、人生の節目で様々な進路選択
をしているようです。頻繁に卒業や引退が多くあるのはそのせいでしょう。いつまでもアイドルを
続けられるわけではありませんから、懸命な決断だと思います。芸能界で女優とかタレントとして
生き延びていけるのは、選抜メンバーの中のさらに数人でしょう。厳しい世界ですね。
ミュージシャンやアーティストはそれ以上の可能性でしょうか。歌が上手い人や、演奏が上手い
人はいくらでも存在しますからね。
私の古い友人は、地元では名の知れたギターの名手でした。音楽で身を立てるといって故郷を出
て行きました。その後キャバレーのバンドマンをやっていましたが、今はBARのマスターです。
在学中、凄く歌が上手いと評判だった東商の出身のアーティストは、デビュー曲がヒットしてT
Vにもよく出ていましたが、結局ヒットしたのはその1曲だけ…今は何をやっているのでしょうか。
彼らがもし大学に進んで音楽活動をしていたとしたら、その後はどうなっていたかなぁって思い
ます。在学中にオーディションに合格して、夢を叶えていたかもしれません。あるいは、音楽は趣
味程度にして、会社勤めをしていたかもしれません。夢をあきらめた時に、進路変更ができるのが
大学です。「学生のうちだけは・・・」といって、夢を追いかけられるのも大学です。