信用金庫取引約定書解説ハンドブック

信 用 金 庫 取 引 約 定 書
解 説 ハ ン ド ブ ッ ク
- 改定に伴う変更箇所を中心として -
平成 15 年 10 月
東京東信用金庫
目
1
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□
次
はじめに ·····································································1
信用金庫取引約定書改定の概要··················································2
信用金庫取引約定書とは?······················································3
表題 ·········································································4
署名・捺印欄 ·································································5
前文 ·········································································6
信用金庫取引約定書で使われている記号の説明····································7
債務者の受領印欄······························································8
第1条 ·······································································9
第2条 ······································································11
第3条 ······································································13
第4条 ······································································15
第5条 ······································································16
第6条 ······································································19
第7条 ······································································21
第8条 ······································································23
第9条 ······································································25
第 10 条 ·····································································26
第 11 条 ·····································································28
第 12 条 ·····································································30
第 13 条 ·····································································32
第 14 条 ·····································································34
第 15 条 ·····································································37
第 16 条 ·····································································39
第 17 条 ·····································································40
第 18 条 ·····································································42
第 19 条 ·····································································43
第 20 条 ·····································································44
第 21 条 ·····································································45
保証条項 ····································································46
付則 ········································································47
(参考)保証とは?·····························································48
※改廃追録加除
・平成 17 年4月1日
P48∼P50 加除(差替)
1
□
はじめに
この信用金庫取引約定書解説ハンドブックは、お客様に信用金庫取引約定書をご理解いただくた
めに、作成したものです。
本書では、まず、信用金庫取引約定書について、平成 15 年 10 月からの改定の概要や契約締結の
必要性,目的等をご説明させていただいております。
次に、信用金庫取引約定書の『表題』をはじめ『各条項』について、『改定前のもの』と対比し
ながら、ご説明させていただいております。なお、その中で、条項を引用する場合には「
言を強調する場合には『
」、文
』と、鉤括弧を使い分けております。
そして、最後に、信用金庫取引約定書をご契約いただくお客様と密接な関係にある保証人の契約
について、ご参考に触れさせていただきました。
-1-
2
□
信用金庫取引約定書改定の概要
改定の経緯
当金庫は、平成 15 年 10 月1日より、お客様との融資取引の基本契約書である『信用金庫取引
約定書』を改定することとしました。
信用金庫取引約定書は、全国信用金庫協会により、昭和 40 年3月にひな型が制定され、昭和
52 年 12 月の一部改定を経て現在に至っておりますが、当金庫におきましても、このひな型をも
とにした信用金庫取引約定書を永年使用して参りました。この間、金融環境が変化し、信用金庫
業務が多様化したことに加え、関連法令が改廃され、金融の自由化・消費者保護の機運が高まっ
たことなどから、従来の信用金庫取引約定書の内容等をこれらに対応させることが必要となりま
した。
そこで、当金庫は、従来の信用金庫取引約定書を新しい時代に則したものに改定したものです。
主な改定内容
(1) 契約方法の改定
① 契約方法について、お客様が署名・捺印した信用金庫取引約定書を1部作成して当金庫へ
差し入れる従来の『差入方式』を廃止し、これからは、お客様と当金庫が対等な契約当事
者であることを明確にするとともに、お客様がいつでも契約内容を確認できるように、お
客様と当金庫がお互いに署名・捺印した信用金庫取引約定書を2部作成して双方で同じも
のを所持する『双方署名・双方所持方式』を採用しました。
② お客様を『私』,当金庫を『貴金庫』とする当金庫が優位であるかのような印象を与えか
ねない従来の表現を廃止し、お客様を『債務者』,当金庫を『債権者』とする表現を採用
しました。
③ 信用金庫取引約定書に、根保証人として保証人の署名・捺印をいただく方式を廃止しまし
た。
(2) 条項の改定
① 契約の対等性に配慮し、当金庫が一方的に有利であるかのような印象を与えかねない表現
を改めました。
② 理解しにくい表現や解釈の分かれる表現について、できる限り例示や補足を行い、約定内
容を明確にしました。
③ 関連法令の改廃や現在の実務のあり方などに対応するため、不要な条項を削除し、必要な
条項を新設しました。
-2-
3
□
信用金庫取引約定書とは?
信用金庫取引約定書とは、お客様と当金庫の融資取引を継続して円滑に行うため、融資取引に関
する権利や義務などについて、一般的・基本的な事項を定めた契約書のことをいいます。
従って、信用金庫取引約定書は、お客様と当金庫が融資取引を開始するに当たって締結する基本
契約書で、以後の融資取引に共通して適用されますが、個別の融資取引の都度締結するものではあ
りません。
-3-
4
□
表
題
新規の契約をする場合の表題
当金庫と従来融資のお取引のないお客様が、当金庫と新規に融資取引をされる場合は、
信用金庫取引約定書 【新規契約書式】
という表題の契約書を使用します。
(融資関係取引用)
従来の契約を変更する場合の表題
従来(平成 15 年9月 30 日までにご契約)の信用金庫取引約定書で既に融資取引をされている
お客様が、今後(平成 15 年 10 月1日以降)も引き続きお取引いただく場合は、
信用金庫取引約定書 【変更契約書式】
という表題の契約書を使用します。
(融資関係取引用)
解
説
お客様のご契約される信用金庫取引約定書が、いろいろな信用金庫取引のうち、融資関係の信
用金庫取引に適用されることを明確にするため、表題を単に「信用金庫取引約定書」とするので
はなく、
『融資関係取引用』と付記しました。
なお、改定前の信用金庫取引約定書においては、表題が単に『信用金庫取引約定書』となって
おりました。
-4-
5
□
解
署名・捺印欄
説
(1) 信用金庫取引約定書の契約当事者として、お客様を『債務者』
,当金庫を『債権者』とする表
現により、お客様と当金庫が対等であることを明確にしました。
(2) お客様と当金庫が双方で署名・捺印することにより、お客様と当金庫が対等であることを明
確にしました。
(3) なお、改定前の信用金庫取引約定書においては、お客様が署名・捺印して当金庫へ差し入れ
る方式を採用し、お客様を『私(本人)』,当金庫を『貴金庫(東京東信用金庫殿)』とする表
現になっておりました。
-5-
6
□
前
文
債務者と債権者は、債務者・債権者間における融資関係の信用金庫取引に適用される基
本事項として、以下のとおり合意しました。
なお、本約定を証するために正本2通を作成し、債務者及び債権者において各1通を保
有するものとします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧前文
私は、貴金庫との取引について、次の条項を確約します。
解
説
(1) お客様と当金庫の双方が、信用金庫取引約定書の内容を十分に理解・合意したうえで、契約
を締結したものであることを表しております。
(2) お客様がいつでも信用金庫取引約定書の契約内容を確認できるように、正本を2通作成し、
お客様と当金庫が双方で同じものを保有することとしました。
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7
□
信用金庫取引約定書で使われている記号の説明
信用金庫取引約定書の各約定は、
『第1条,第2条,第3条・・・・』と順に表示されております。
そして、各条項(第1条,第2条,第3条・・・・)において、『①,②,③・・・・』の記号は
『第1項,第2項,第3項・・・・』を、
『1,2,3・・・・』の記号は『第1号,第2号,第3号・・・・』
をそれぞれ表示しております。
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8
□
解
債務者の受領印欄
説
(1) 信用金庫取引約定書の契約締結時に、正本2通のうちの1通について、お客様へお渡しする
こととしましたので、その際、お客様に受領印をいただくものです。
(2) 信用金庫取引約定書の契約締結に当たり、
『信用金庫取引約定書
説明書(いわゆる本書のダ
イジェスト版)』について、お客様へ正本1通とともにお渡しすることとしましたので、その
際、お客様に受領印をいただくものです。
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9
□
第1条
(適用範囲)
① 本約定書の各条項は、別に債務者・債権者間で合意した場合を除き、債務者・債権者
間の手形割引,手形貸付,証書貸付,当座貸越,債務保証,外国為替,デリバティブ取
引,その他債務者が債権者に対して債務を負担することとなる一切の信用金庫取引に関
して、共通に適用されるものとします。
② 第三者が債権者に対して債務を負担することとなる前項の信用金庫取引について、債
務者が保証した場合の保証取引は、前項の信用金庫取引に含まれるものとします。
③ 債務者が振出,裏書,引受,参加引受もしくは保証した手形について、債権者が第三
者との取引によって取得した場合も、債務者の債権者に対する債務の履行に関しては、
本約定書の各条項が適用されるものとします。
④ 本約定書の各条項は、債務者と債権者の本支店との間の諸取引に関して、共通に適用
されるものとします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(適用範囲)
① 手形貸付、手形割引、証書貸付、当座貸越、債務保証、外国為替その他いっさいの取引に関して生じ
た債務の履行については、この約定に従います。
② 私が振出、裏書、引受、参加引受または保証した手形を、貴金庫が第三者との取引によって取得した
ときも、その債務の履行についてこの約定に従います。
(適用店舗)
この約定書の各条項は、私と貴金庫本支店との間の諸取引に共通に適用されることを承認します。
解
説
(1) 第1項は、主な融資取引を例示しております。
(2) 第1項において、「別に債務者(お客様)・債権者(当金庫)間で合意した場合」の取引は、信用
金庫取引約定書の適用対象外となることを明記しました。なお、適用対象外となる代表的な
ものは、消費者ローン取引です。
(3) 改定前にあっては「その他いっさいの取引」に含まれていた「デリバティブ取引」に関し、
第1項において、例示として追加し、
『適用範囲』をいっそう明確にしました。
(4) 改定前にあっては「その他いっさいの取引」に含まれていた「保証取引」に関し、第2項を
新設して例示し、『適用範囲』をいっそう明確にしました。
(5) 第2項において、「保証取引」の内容を「第三者が債権者(当金庫)に対して債務(借入金等)を
負担することとなる前項の信用金庫取引について、債務者(お客様)が保証した場合」のもの
と明示し、第1項の「債務保証」と混同しないようにしました。
(6) 第3項は、お客様の署名がある手形について、当金庫が手形割引などにより第三者から間接
的に(いわゆる回り手形として)取得した場合も、『適用範囲』に含まれることを規定してお
ります。
(7) 第4項は、お客様が信用金庫取引約定書を締結した店舗以外の店舗でもお取引をいただいて
いる場合に、信用金庫取引約定書が共通して適用されることを規定しております。
-9-
22 )をご参照下さい。
(8) なお、第3項については、
『第 14 条』
(後記□
用語説明
◎債務保証
) お客様の依頼に基づき、当金庫が第三者に対してお客様の債務(借入金等)を保証する取引
のことです。
◎デリバティブ取引
) スワップ取引やオプション取引等に代表される取引のことです。
- 10 -
10
□
第2条
(利息,損害金等)
① 前条に定める信用金庫取引に伴って発生する利息,割引料,保証料,手数料,清算金,
違約金,これらの戻しについての割合及び支払の時期,方法については、別に債務者・
債権者間で合意したところによるものとします。
ただし、金融情勢の変化その他相当の事由があると客観的に認められる場合には、債
務者または債権者は、それぞれ相手方に対し、これらを一般に合理的と認められる程度
のものに変更することについて、協議を求めることができるものとします。
② 債務者は、債権者に対する債務を履行しなかった場合には、その支払うべき金額に対
して年 18.00 パーセントの割合の損害金を支払うものとします。この場合の計算方法
は、年 365 日の日割計算とします。
ただし、利息,割引料,保証料,手数料,清算金,違約金については、損害金を付さ
ないものとします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(利息、損害金等)
① 利息、割引料、保証料、手数科ならびにこれらの戻しについての割合、支払の時期、方法の約定を、
金融情勢の変化その他相当の事由によって、貴金庫が一般に行なわれる程度のものに変更される場合に
は、その変更に同意します。
② 貴金庫に対する債務を履行しなかった場合には、支払わなければならない金額に対し年 18.25 パーセ
ントの割合の損害金を支払います。この場合の計算方法は年 365 日の日割計算とします。
利息と金利形態
当金庫において、利息については、『変動金利』と『固定金利』の2つの金利形態を定めてお
ります。
変動金利は、ある金利を基準金利と定め、その基準金利に基づいて借入利率を決定し、その後、
金融情勢の変化等による基準金利の変動に応じて借入利率を自動的に変更する旨、予め約定して
おくものです。
これに対し、固定金利は、変動金利のような約定を予め締結していないので、金融情勢の変化
等の都度、借入利率を見直して変更することが必要となります。
解
説
(1) 第1項において、利息の利率等が、
「別に債務者(お客様)・債権者(当金庫)間で合意したとこ
ろ」により、取り決めされることを明確にしました。
そして、利息の利率等の変更については、
「債務者(お客様)または債権者(当金庫)は、それぞ
れ相手方に対し、協議を求めることができる」ことを明確にしました。
従って、前記
利息と金利形態
のとおり、固定金利については、本項に基づき、お客様と当金
庫間の協議・合意により借入利率を見直して変更することとなります。
(2) 第1項において、デリバティブ取引の期限前解約に伴って発生する「清算金,違約金」を例
示として追加しました。
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(3) 第2項は、お客様が債務(借入金等)を約定どおりご返済されなかった場合にお支払いただ
く損害金について、規定しております。なお、損害金が、元本金額に対して付されるもので、
利息等に対しては付されないことを明確にしました。
用語説明
◎金融情勢の変化
) 公定歩合をはじめとする内外の金融市場・債券市場における金利水準の変動や外国為替市場,
株式市場等の相場の変動などのことです。
◎その他相当の事由
) 事変,災害の発生をはじめ、お客様の財務や収支の状況の変化,担保の価値の増減など、お
取引への影響が少なからずある事由が該当します。
◎年 365 日の日割計算
) 閏年(1年・366 日)か平年(1年・365 日)かを問わず、損害金の計算については、1年
を 365 日として日割で計算することです。
具体的には、
(損害金)=(計算対象元本金額)×(18.00%)×
となります。
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(計算対象日数)
365 日
11
□
第3条
(担保に関する請求等)
① 次の各号の事由が一つでも生じた時に、債権者が相当の期間を定めて請求した場合に
は、債務者は、債権者の適当と認める担保もしくは追加担保を提供し、または保証人も
しくは追加保証人を立てるものとします。
1 債権者に提供されている担保の目的物について、債権者の責めに帰すべき事由に
よらず、毀損,滅失または価値の客観的な減少が生じた時。
2 第5条の第1項各号または第2項各号の事由が一つでも生じた時。
3 前各号の他、「債務者や担保手形の主債務者について、著しい信用悪化の事実が生
じた」など、債権者の債務者に対する債権保全を必要とする相当の事由が生じたと客
観的に認められる時。
② 債権者に提供されている担保の目的物について、価値の客観的な増加等により担保過
剰の状況となった場合には、債務者は、債権者に対し、書面による通知をもって、担保
の解除や変更について、協議を求めることができるものとします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(担保)
① 貴金庫に現在差し入れている担保および将来差し入れる担保は、すべて、その担保する債務のほか、
現在および将来負担するいっさいの債務を共通に担保するものとします。→ [廃止]
② 債権保全を必要とする相当の事由が生じたときは、請求によって直ちに貴金庫の承認する担保もしく
は増担保を差し入れ、または保証人をたてもしくはこれを追加します。
改定前の旧条項の廃止
旧条項のうち、『差し入れた担保が一切の債務(借入金等)を共通に担保する』という第1項
(いわゆる共通担保条項)については、廃止しました。その理由は、『個別の担保設定契約にお
いて、その担保が、特定の債務のためのものか、あるいは、一切の債務のためのもの(根担保)
かを明確に定める』という現在の実務のあり方に照らし、その必要性が失われたことによるもの
です。
解
説
(1) 第1項は、当金庫がお客様に対し、新たに担保差入を請求する規定です。請求の要件を
第1号から第3号で例示して明確にしました。
「債権者(当金庫)の適当と認める」担保の差入
をしていただくことにより、従来どおりのお取引を継続できるようにしたものです。
(2) 第1項において、当金庫は、必ず、
「(担保の差入に必要な)相当の期間」を定めてお客様に請求
することとし、改定前の「直ちに」という取扱を改めました。
(3) 第2項は、お客様が当金庫に対し、「書面による通知をもって、担保の解除や変更について、
協議を求めることができる」ことを規定(新設)しております。
お客様から書面で協議を求められた場合、当金庫は、現在の状況に加えて将来の状況をも考
慮し、総合的見地から、
『担保を解除・変更しても、当金庫のお客様に対する債権保全に支障
の生じるおそれがない』かどうか、判断させていただくこととなります。
- 13 -
13 )をご参照下さい。
(4) なお、第1項第2号については、
『第5条』
(後記□
用語説明
◎債権者の責めに帰すべき事由によらず、毀損,滅失または価値の客観的な減少が生じた時
) 担保に差し入れた建物が災害等により倒壊した時や、担保に差し入れた株式の価格が大幅に
下落した時などが該当します。
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12
□
第4条
(担保等の取立・処分)
① 債務者が債権者に対する債務を履行しなかった場合には、債権者は、法定の手続によ
る他、通常期待されている業務上相当の注意をもって、一般に適当と認められる方法,
時期,価格等により、担保を取立または処分のうえ、その取得金から諸費用を控除した
残額について、法定の順序にかかわらず、債務者の債権者に対する債務の弁済に充当す
ることができるものとします。
なお、取得金を債務者の債務の弁済に充当した後も、債務者の債務が残っている時に
は、債務者は、直ちに債権者に弁済するものとします。また、取得金に余剰が生じた時
には、債権者は、その余剰金を権利者に返還するものとします。
② 前項の場合、債務者は、担保の取立または処分に必要な手続について、債権者に協力
するものとします。
③ 債務者が債権者に対する債務を履行しなかった場合には、債権者は、その占有してい
る債務者の動産,手形,その他の有価証券についても、第1項と同様に取り扱うことが
できるものとし、債務者は、前項と同様に債権者に協力するものとします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(担保)
③ 担保は、かならずしも法定の手続によらず一般に適当と認められる方法、時期、価格等により貴金庫
において取立または処分のうえ、その取得金から諸費用を差し引いた残額を法定の順序にかかわらず債
務の弁済に充当できるものとし、なお残債務がある場合には直ちに弁済します。
④ 貴金庫に対する債務を履行しなかった場合には、貴金庫の占有している私の動産、手形、その他の有
価証券は、貴金庫において取立または処分することができるものとし、この場合もすべて前項に準じて
取り扱うことに同意します。
解
説
(1) 第1項は、当金庫が担保について取立・処分できることを規定しております。本項では、そ
の要件を「債務者(お客様)が債権者(当金庫)に対する債務(借入金等)を履行しなかった場合」
と定め、改定前より明確にしました。
(2) 第1項において、担保の取立・処分による取得金を債務の弁済に充当した後、余剰金が生じ
た時には、その余剰金を権利者(担保提供者)に返還することを明確にしました。
(3) 第2項は、第1項に基づく担保の取立・処分に必要な手続について、
「債務者(お客様)は、債
権者(当金庫)に協力する」ことを規定(新設)しております。
(4) 第3項は、当金庫がその占有するお客様の手形等について、取立・処分できることを第1項,
第2項と同様に規定しております。当金庫の占有するお客様の手形等には、
『代金取立のため
にお預かりした手形』や『手形割引のためにお預かりした融資実行前の手形』などが該当し
ます。
(5) なお、第1項と第3項については、
『第 11 条』
(後記□
19 )をご参照下さい。
用語説明
◎法定の順序
) 民法で定められている「費用,利息,元本」という順序等のことです。
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第5条
(期限の利益の喪失及び復活)
① 債務者について次の各号の事由が一つでも生じた場合には、債権者からの通知催告等
がなくても、債務者は、債権者に対する一切の債務について当然に期限の利益を喪失し、
直ちに債務を弁済するものとします。
1 「破産」
,「民事再生手続開始」,「会社更生手続開始」,「会社整理開始」,「特別清算
開始」もしくは「その他債務整理に関して裁判所の関与する手続開始」の申立があっ
た時。
2 手形交換所における取引停止処分を受けた時。
3 前2号の他、「営業の廃止」,「不特定債務の支払不能について、自ら表明したこと」
もしくは「手形交換所における第1回目の信用異常を原因とする不渡を発生させたこ
と」など、支払の停止と客観的に認められる事実が発生した時。
4 債務者に関し、その預金等債権者に対する債権について、仮差押,保全差押または
差押の命令,通知が発送された時。
5 債務者の債権者に対する債務にかかる保証人に関し、その預金等債権者に対する債
権について、仮差押,保全差押または差押の命令,通知が発送された時。
② 債務者について次の各号の事由が一つでも生じた場合には、債権者からの請求によっ
て、債務者は、債権者に対する一切の債務について期限の利益を喪失し、直ちに債務を
弁済するものとします。
1 債務者の債権者に対する債務の全部または一部が、履行遅滞となった時。
2 担保の目的物について、差押または競売手続の開始があった時。
3 債務者が債権者との取引約定に違反し、それが債権者の債務者に対する債権保全を
必要とする相当の事由に該当すると客観的に認められる時。
4 前各号の他、債権者の債務者に対する債権保全を必要とする相当の事由が生じたと
客観的に認められる時。
5 債務者の債権者に対する債務にかかる保証人に関し、前項の第1号から第3号また
は本項の第1号から第4号の事由が一つでも生じ、それが債務者の信用悪化の兆候を
示すものと客観的に認められる時。
③ 第1項または前項により債務者の期限の利益が喪失した後において、債権者が、債務
者の期限の利益を復活させる相当の事由があると認めた場合、債権者は、債務者への書
面による通知をもって、債務者の期限の利益を復活させることができるものとします。
なお、債務者の期限の利益が喪失したことに基づき、既になされた債権者の行為につ
いては、その効力を妨げないものとします。
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《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(期限の利益の喪失)
① 私について次の各号の事由が一つでも生じた場合には、貴金庫から通知催告等がなくても貴金庫に対
するいっさいの債務について当然期限の利益を失い、直ちに債務を弁済します。
1 支払の停止または破産、民事再生手続開始、会社更生手続開始、会社整理開始もしくは特別清算開
始の申立があったとき。
2 手形交換所の取引停止処分を受けたとき。
3 私または保証人の預金その他の貴金庫に対する債権について仮差押、保全差押または差押の命令、
通知が発送されたとき。
4 住所変更の届出を怠るなど私が責任を負わなければならない事由によって、貴金庫に私の所在が不
明となったとき。→ [廃止]
② 次の各場合には、貴金庫の請求によって貴金庫に対するいっさいの債務は、期限の利益を失い、直ち
に債務を弁済します。
1 私が債務の一部でも履行を遅滞したとき。
2 担保の目的物について差押、または競売手続の開始があったとき。
3 私が貴金庫との取引約定に違反したとき。
4 保証人が前項または本項の各号の一にでも該当したとき。
5 前各号のほか債権保全を必要とする相当の事由が生じたとき。
改定前の旧条項の廃止
旧条項のうち、第1項第4号を廃止しました。その理由は、『行方不明の定義や行方不明と断
定するための疎明資料について、普遍的妥当性が見出せないこと』,
『行方不明の時期の特定が明
確にできないこと』などによるものです。
なお、当金庫は、第4号の『行方不明』を廃止したことに伴い、その手当として、改定後の信
用金庫取引約定書において、『第 16 条』(後記□
24 参照)を整備することとしました。
解
説
(1) 第5条は、お客様に関し、万一、第1項または第2項に定める不測の事態が生じた場合には、
債務(借入金等)の返済期限が到来していなくても、すべての債務を直ちにご返済いただく
ことを規定しております。このことを期限の利益の喪失といいます。
第1項は、当金庫から通知催告等がなくても、当然に期限の利益を喪失し、ご返済いただく
場合を規定しているのに対し、第2項は、当金庫からの請求によって期限の利益を喪失し、
ご返済いただく場合を規定しております。
そして、第3項では、信用金庫取引約定書の『お客様と当金庫の融資取引を継続して円滑に
行う』という目的に照らし、第1項または第2項により期限の利益が喪失しても、期限の利
益を復活させる妥当性・合理性がある場合には、書面による通知をもって、お客様の期限の
利益を復活できることを規定(新設)しました。
(2) 第1項第1号において、予め、「その他債務整理に関して裁判所の関与する手続開始」を例示
として追加することにより、将来、新しい債務整理手続が法令で定められた場合に、改めて
お客様と当金庫が、第5条に関する変更契約を締結するなどの対応をしなくてすむようにし
ました。
(3) 第1項第3号において、「支払の停止」に該当する事由を例示し、「支払の停止」を改定前よ
り明確にしました。
(4) 第2項第3号において、お客様の取引約定違反に基づく期限の利益の喪失要件を、その違反
- 17 -
が「債権者(当金庫)の債務者(お客様)に対する債権保全を必要とする相当の事由に該当する」
場合に限定し、改定前より明確にしました。具体的には、お客様の提出した『財務や収支の
状況を示す書類』に重大な虚偽がある場合などです。
(5) 第2項第5号において、保証人に生じた事由に基づく期限の利益の喪失要件を、その事由が
「債務者(お客様)の信用悪化の兆候を示す」場合に限定し、改定前より明確にしました。具
体的には、お客様が中小企業(法人組織)の時で、いわば企業と一心同体の代表者が破産の
申立をした場合などです。
- 18 -
14
□
第6条
(割引手形の買戻と債権者の請求債権)
① 債務者・債権者間の手形割引に関し、次の各号の事由が一つでも生じた場合には、そ
の該当する手形について、債務者は、債権者からの通知催告等がなくても、当然に手形
面記載の金額の買戻債務を負担し、直ちに弁済するものとします。
1 債務者について、前条第1項各号の事由が一つでも生じた時は、全部の手形。
2 「手形の主債務者が支払期日に支払わなかった」時または「手形の主債務者につい
て前条第1項各号の事由が一つでも生じた」時は、その者が主債務者となっているす
べての手形。
② 債務者・債権者間の手形割引に関し、「債務者について前条第2項各号の事由が一つ
でも生じた」など、債権者の債務者に対する債権保全を必要とする相当の事由が割引手
形に生じたと客観的に認められる場合には、前項以外の時でも、その該当する手形につ
いて、債務者は、債権者からの請求によって、手形面記載の金額の買戻債務を負担し、
直ちに弁済するものとします。
③ 第1項または前項により債務者の買戻債務が発生した後において、債権者が、債務者
の買戻債務を取り消す相当の事由があると認めた場合、債権者は、債務者への書面によ
る通知をもって、債務者の買戻債務を取り消すことができるものとします。
なお、債務者の買戻債務が発生したことに基づき、既になされた債権者の行為につい
ては、その効力を妨げないものとします。
④ 債務者が本条の買戻債務を履行するまでは、債権者は、手形所持人として、「裏書人
である債務者」をはじめ、「手形の主債務者」,「その他の裏書人」等の手形債務者に対
し、手形債権を請求するための一切の権利を行使することができるものとします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(割引手形の買戻し)
① 手形の割引を受けた場合、私について前条第1項各号の事由が一つでも生じたときは全部の手形につ
いて、また手形の主債務者が期日に支払わなかったときもしくは手形の主債務者について前条第1項各
号の事由が一つでも生じたときは、その者が主債務者となっている手形について、貴金庫から通知催告
等がなくても当然手形面記載の金額の買戻債務を負い、直ちに弁済します。
② 割引手形について債権保全を必要とする相当の事由が生じた場合には、前項以外のときでも、貴金庫
の請求によって手形面記載の金額の買戻債務を負い、直ちに弁済します。
③ 前2項による債務を履行するまでは、貴金庫は手形所持人としていっさいの権利を行使することがで
きます。
解
説
(1) 第6条は、お客様や手形の主債務者等に関し、万一、第5条の第1項または第2項などの不
測の事態が生じた場合には、割引手形について『お客様がその額面金額で買い戻す』という
買戻債務を発生させることとし、該当する割引手形の買戻債務を直ちにご返済いただくこと
を規定しております。
第1項は、当金庫から通知催告等がなくても、当然に買戻債務を負担し、ご返済いただく場
合を規定しているのに対し、第2項は、当金庫からの請求によって買戻債務を負担し、ご返
- 19 -
済いただく場合を規定しております。
そして、第3項では、信用金庫取引約定書の『お客様と当金庫の融資取引を継続して円滑に
行う』という目的に照らし、第1項または第2項により買戻債務が発生しても、買戻債務(の
発生)を取り消す妥当性・合理性がある場合には、書面による通知をもって、お客様の買戻
債務を取消できることを規定(新設)しました。
また、第4項は、手形割引にかかる手形に関し、買戻が完了するまでの間、当金庫がその所
持人として、手形法等の法令に基づき、手形に署名した(お客様以外の)関係者にも支払の
請求ができることを規定しております。
(2) 第1項において、第1号と第2号に分けて明示することにより、改定前の長く読みにくい一
文を改めました。
(3) 第2項において、「債権者(当金庫)の債務者(お客様)に対する債権保全を必要とする相当の事
由」として「前条第2項各号の事由」がお客様に生じた場合を例示し、改定前より明確にし
ました。
(4) 第4項において、当金庫が、『割引手形の買戻請求権』と『手形所持人としての手形支払請求
権』とを併せ持つことについて、改定前よりも具体的に表現し、明確にしました。
(5) なお、第1項及び第2項については『第5条』
(前記□
13 )を、第4項については『第 10 条』
(後記□
18 )をそれぞれご参照下さい。
用語説明
◎手形の主債務者
) 約束手形の振出人,為替手形の引受人のことです。
- 20 -
15
□
第7条
(債権者による相殺・払戻充当)
① 期限の到来,期限の利益の喪失,割引手形の買戻債務の発生,求償債務・事前求償
債務の発生,その他の事由によって、債務者が債権者に対する債務を履行しなければ
ならない場合には、債権者は、「その債務」と「債務者の預金,定期積金,不渡異議申
立預託金等債権者に対する債権」とを、「その債権」の期限のいかんにかかわらず、い
つでも相殺することができるものとします。
② 前項の相殺ができる場合には、債権者は、事前の通知及び所定の手続を省略し、債
務者に代わって諸預け金の払戻を受け、債務者の債権者に対する債務の弁済に充当す
ることもできるものとします。
なお、この場合、債権者は、債務者への書面をもって、払戻及び充当の結果を債務
者に通知するものとします。
③ 第1項による相殺または前項による払戻充当の場合、債権債務の利息,割引料,手
数料,清算金,違約金,損害金等の計算については、その期間を債権者による計算実
行の日までとします。
また、利率,料率等については、債務者・債権者間に別の定めがない場合には、債
権者が合理的に定めるところによるものとし、外国為替相場については、債権者によ
る計算実行時の相場を適用するものとします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(差引計算)
① 期限の到来、期限の利益の喪失、買戻債務の発生、求償債務の発生その他の事由によって、貴金庫
に対する債務を弁済しなければならない場合には、その債務と私の預金、定期積金、その他の債権と
を、その債権の期限のいかんにかかわらず、貴金庫はいつでも相殺することができます。
② 前項の相殺ができる場合には、貴金庫は事前の通知および所定の手続を省略し、私にかわり諸預け
金等を受領し、債務の弁済に充当することもできます。
③ 前2項による差引計算の場合、債権債務の利息、割引料、損害金等の計算については、その期間を
計算実行の日までとし、利率、料率は貴金庫の定めによるものとし、また外国為替相場については貴
金庫の計算実行時の相場を適用するものとします。
解
説
(1) 見出しについて、改定前の「差引計算」という理解しにくい表現をやめ、「債権者(当金庫)に
よる相殺・払戻充当」という具体的な表現に改めました。
(2) 第1項は、
「債務者(お客様)が債権者(当金庫)に対する債務(借入金等)を履行しなければなら
ない」場合に、当金庫が行う相殺について、規定しております。
(3) 改定前にあっては、
「その他の債権」に含まれていた「不渡異議申立預託金」に関し、第1項
において、例示として追加し、相殺の対象となる債権であることをいっそう明確にしました。
(4) 第2項は、当金庫が行う払戻充当について、規定しております。
(5) 第2項において、当金庫が払戻充当の結果をお客様に書面でお知らせすることを明記(新設)
しました。
(6) 第3項は、当金庫が相殺または払戻充当を行う場合の『利息・損害金等の計算方法や外国為
替の適用相場』について、規定しております。
- 21 -
(7) 第3項において、利率・料率については、
「債務者(お客様)・債権者(当金庫)間に別の定め」
がある場合にはその定めに従うこととし、定めがない場合には「債権者(当金庫)が合理的に
定めるところによる」ことを明確にしました。
(8) なお、第1項及び第2項については、
『第 10 条』
(後記□
18 )及び『第 11 条』
(後記□
19 )をご
参照下さい。
用語説明
◎求償債務
) お客様・当金庫間の債務保証( → 前記□
9 参照)取引に基づき、当金庫がお客様に代わっ
て第三者に対して保証債務を支払った場合に、お客様が当金庫に対して負担することとなる
債務のことです。
◎事前求償債務
) お客様・当金庫間の債務保証( → 前記□
9 参照)取引に基づき、当金庫がお客様に代わっ
て第三者に対して保証債務を支払う場合に、当金庫が支払う前でも、お客様に期限の利益の
喪失等不測の事態が発生した時に限り、お客様が当金庫に対して予め負担することとなる求
償債務のことです。
◎いつでも
) 当金庫は、お客様に期限の利益の喪失等不測の事態が生じ、ご返済いただけなくなった場合
に、『複数の貸付金等債権のうち、どの債権の保証人から回収できるか』,『複数の割引手形
のうち、どの手形が決済されるか』など、当金庫のお客様に対する債権保全を総合的に考慮
し、相殺の実行時期を決定することとなります。
しかし、「いつでも」という規定があるからといって、当金庫において、相殺の実行時期を
恣意的に著しく長期化させてはならないのは当然のことです。
- 22 -
16
□
第8条
(債務者による相殺)
① 債務者は、「弁済期にある債務者の預金,定期積金等債権者に対する債権」と「債務
者の債権者に対する債務」とを、「その債務」の期限が未到来であっても、相殺するこ
とができるものとします。
ただし、「債務者・債権者間に期限前弁済を制限する定めがある」場合または「弁済
や相殺について法令上の制約がある」場合には、相殺することができないものとします。
② 支払期日が未到来の割引手形について、債務者が前項により相殺する場合には、債務
者は、手形面記載の金額の買戻債務を自ら負担して相殺することができるものとしま
す。
ただし、債権者が割引手形を日本銀行その他に再譲渡している場合には、相殺するこ
とができないものとします。
③ 債務保証について、事前求償債務が既に発生している場合には、債務者は、事前求償
債務を自ら負担して相殺することができるものとします。
ただし、事前求償債務に関し、「債務者・債権者間に相殺を制限する定めがある」場
合または「相殺について法令上の制約がある」場合には、相殺することができないもの
とします。
④ 前3項による相殺の場合、債務者の債権者に対する相殺通知は書面に基づくものと
し、相殺した預金,定期積金等債権の証書,通帳は速やかに債権者に提出するものとし
ます。
⑤ 第1項,第2項もしくは第3項による相殺の場合、債権債務の利息,割引料,手数料,
清算金,違約金,損害金等の計算については、その期間を相殺通知の到達日までとしま
す。
また、利率,料率等については、債務者・債権者間に別の定めがない場合には、債権
者が合理的に定めるところによるものとし、外国為替相場については債権者による計算
実行時の相場を適用するものとします。
なお、期限前弁済に関する特別の手数料については、本項の手数料に含まれるものと
します。
(参考)債務者による相殺に関しては、債務者・債権者間における融資関係の信用金庫
取引に適用される基本事項を定めた本書の本条とは別に、預金者保護の観点か
ら、債権者において預金保険法による保険事故が発生した場合に、債務者は、
預金者として、「債務者の定期預金,定期積金等債権者に対する債権」と「債
務者の債権者に対する債務」とを、「その債権」の期限のいかんにかかわらず、
預金等各種債権の規定に基づいて相殺することができるものとなっています。
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《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(差引計算)
① 弁済期にある私の預金、定期積金、その他の債権と私の貴金庫に対する債務とを、その債務の期限が
未到来であっても、私は相殺することができます。
② 満期前の割引手形について私が前項により相殺する場合には、私は手形面記載の金額の買戻債務を負
担して相殺することができるものとします。ただし、貴金庫が他に再譲渡中の割引手形については相殺
することができません。
③ 外貨または非居住者円勘定による債権または債務については、前2項の規定にかかわらず、それらが
弁済期にあリ、かつ外国為替に関する法令上所定の手続が完了したものでなければ、私は相殺できない
ものとします。
④ 前3項により私が相殺する場合には、相殺通知は書面によるものとし、相殺した預金、定期積金、そ
の他の債権の証書、通帳は届出印を押印して直ちに貴金庫に提出します。
⑤ 私が相殺した場合における債権債務の利息、割引料、損害金等の計算については、その期間を相殺通
知の到達の日までとして、利率、料率は貴金庫の定めによるものとし、また外国為替相場については貴
金庫の計算実行時の相場を適用するものとします。なお、期限前弁済について特別の手数料の定めがあ
るときは、その定めによります。
解
説
(1) 見出しについて、改定前の「差引計算」という理解しにくい表現をやめ、「債務者(お客様)に
よる相殺」という具体的な表現に改めました。
(2) 第1項は、お客様が行う相殺について、規定しております。
(3) 第1項において、『ただし書』を新設して、相殺ができない場合を明記しました。
改定前の旧第3項については、
『外国為替及び外国貿易法』の改正によりその必要性が失われ
ましたが、将来、改めて同様の法令が制定される可能性も考慮し、本項の『ただし書』の中
で、
「法令上の制約がある場合」という表現に修正して残しました。
(4) 第2項は、お客様が『支払期日の未到来の割引手形』を相殺する場合を規定しております。
(5) 第3項は、お客様が『事前求償債務』を相殺する場合を明確に規定(新設)しました。
(6) 第4項は、
「債務者(お客様)の債権者(当金庫)に対する相殺通知は書面」によることを規定し
ております。
(7) 第4項において、相殺した預金等の証書,通帳を当金庫へご提出いただく際は、届出印の押
印を不要とする取扱に改めました。
(8) 第5項は、お客様が相殺を行う場合の『利息・損害金等の計算方法や外国為替の適用相場,
期限前弁済の手数料』について、規定しております。
(9) 第5項において、利率・料率については、
「債務者(お客様)・債権者(当金庫)間に別の定め」
がある場合にはその定めに従うこととし、定めがない場合には「債権者(当金庫)が合理的に
定めるところによる」ことを明確にしました。
(10) 本条の最後に『参考』として、万一、当金庫に預金保険事故が発生した場合に、お客様が行
う相殺については、
『預金(等の)規定』で定められている旨を付記(新設)しました。
(11) なお、第1項,第2項及び第3項については、
『第 10 条』
(後記□
18 )及び『第 12 条』
(後記
20 )をご参照下さい。
□
- 24 -
17
□
第9条
(手形貸付と債権者の請求債権)
債務者が債権者から手形貸付の方法により貸付を受けた場合、債権者は、債務者に対し、
手形債権または貸金債権のいずれに基づいても、請求することができるものとします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(手形金債務と借入金債務の併存)
手形によって貸付を受けた場合には、貴金庫は手形または貸金債権のいずれによっても請求することが
できます。
解
説
(1) 第9条は、手形貸付の場合、当金庫が、『手形所持人としての手形支払請求権』と『貸金請求
権』を併せ持つことについて、改定前よりも具体的な表現で規定しております。
(2) なお、本条については、
『第 10 条』
(後記□
18 )をご参照下さい。
- 25 -
18
□
第 10 条
(手形の呈示・交付と留置)
①
債務者の債権者に対する債務について手形が存在する時で、債権者が、「手形債権」に基づ
くのではなく、
「割引手形の買戻債権,手形貸付の貸金債権等、手形に関する信用金庫取引上の
債権」に基づき、第7条による相殺もしくは払戻充当を行うに当たっては、債権者は、債務者
に対し、同時にその手形の呈示または交付を要しないものとし、その手形を後日返還するもの
とします。
②
「第7条による相殺もしくは払戻充当に伴う返還手形が存在する」場合または「第8条によ
る相殺に伴う返還手形が存在する」場合、その手形については、債権者から債務者への「その
旨」の通知があり次第、債務者が債権者まで遅滞なく受領に出向くものとします。
ただし、支払期日が未到来の手形については、債権者においてそのまま取立のうえ、その代
わり金を債務者に後日返還することができるものとします。
③
債務者の債権者に対する債務について手形が存在する時で、債権者が、「手形債権」に基づ
き、第7条による相殺もしくは払戻充当を行うに当たっては、債権者は、債務者に対し、次の
各号の場合に限り、同時にその手形の呈示または交付を要しないものとし、その手形を後日返
還するものとします。
1
債権者において、債務者の所在が判明しない時。
2
債務者が手形の支払場所を債権者にしている時。
3
手形の送付を困難にする相当の事由があると客観的に認められる時。
4
取立その他の理由によって、手形の呈示または交付の省略がやむを得ないと認められる
時。
④
前項による返還手形が存在する場合、その手形の受領や取立については、第2項に準ずるも
のとします。
⑤
「第7条による相殺もしくは払戻充当」または「第8条による相殺」の後、なお直ちに履行
しなければならない債務者の債権者に対する債務が残っている場合、手形において、債務者以
外に「手形の主債務者」
,「裏書人」等の手形債務者がいる時には、債権者は、その手形を留め
置き、取立または処分のうえ、法定の順序にかかわらず、債務者の債権者に対する債務の弁済
に充当することができるものとします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(手形の呈示、交付)
① 私の債務に関して手形が存在する場合、貴金庫が手形上の債権によらないで、第7条の差引計算をす
るときは、同時にはその手形の返還を要しません。
② 前2条の差引計算により貴金庫から返還をうける手形が存在する場合には、その手形は私が貴金庫ま
で遅滞なく受領に出向きます。ただし、満期前の手形については貴金庫はそのまま取り立てることがで
きます。
③ 貴金庫が手形上の債権によって第7条の差引計算をするときは、次の各場合にかぎり、手形の呈示ま
たは交付を要しません。なお、手形の受領については前項に準じます。
1 貴金庫において私の所在が明らかでないとき。
2 私が手形の支払場所を貴金庫にしているとき。
3 手形の送付が困難と認められるとき。
4 取立その他の理由によって呈示、交付の省略がやむをえないと認められるとき。
④ 前2条の差引計算の後なお直ちに履行しなければならない私の債務がある場合、手形に私以外の債務
者がいるときは、貴金庫はその手形をとめおき、取立または処分のうえ、債務の弁済に充当することが
できます。
- 26 -
解
説
(1) 第1項は、手形に関する信用金庫取引上の債権(たとえば、割引手形の買戻債権,手形貸付
の貸金債権等)に基づき、当金庫が相殺または払戻充当を行う場合の手形の処理について、
規定しております。
(2) 第2項は、『当金庫が手形に関する信用金庫取引上の債権に基づいて相殺または払戻充当を
行った』場合と『お客様が相殺を行った』場合に、お客様へ手形を返還する方法について、
規定しております。
(3) 第2項において、お客様に当金庫まで手形を受領しに来ていただくに当たっては、当金庫が
お客様へ「その旨」をお知らせすることを明記しました。
(4) 第2項において、支払期日の未到来の手形については、当金庫が取立後にその代わり金をお
客様に返還することを明確にしました。
(5) 第3項は、割引手形や手形貸付等の場合に、手形債権に基づき、当金庫が手形所持人として
相殺または払戻充当を行う場合の手形の処理について、規定しております。
(6) 第4項は、
『当金庫が手形債権に基づいて相殺または払戻充当を行った』場合に、お客様へ手
形を返還する方法について、第2項に準じて規定しております。
(7) 第5項は、手形について『当金庫による相殺,払戻充当』または『お客様による相殺』を
行った後もなお、お客様にご返済いただかなければならない債務(借入金等)が残っている
場合に、当金庫がその手形を返還せずに留め置いて取立・処分できることを規定しておりま
す。
(8) なお、第1項及び第3項については『第7条』(前記□
15 )を、第2項については『第7条』
及び『第8条』
(前記□
16 )を、第5項については『第7条』,
『第8条』及び『第 11 条』(後
記□
19 )をそれぞれご参照下さい。
また、手形に関し、当金庫が2つの請求権を併せ持つことについては、
『第6条』(前記□
14 参
照)及び『第9条』
(前記□
17 参照)のとおりです。
用語説明
◎その他の理由
) 刑事事件によって手形が押収された場合などが該当します。
- 27 -
19
□
第 11 条
(債権者による相殺等に当たっての充当)
① 第7条による相殺もしくは払戻充当の場合において、債務者の債権者に対する債務全
額を消滅させるに足りない時には、債権者は、
「担保や保証の有無・軽重」,「担保処分
の難易」,「弁済期到来の時期」,「割引手形の決済見込」等を考慮して、債権者の適当と
認める順序方法により充当することができるものとします。
なお、この場合、債権者は、充当を行った後、債務者への書面をもって、その充当結
果を債務者に通知するものとします。
② 「第4条の第1項もしくは第3項による弁済充当」の場合または「第 10 条第5項によ
る弁済充当」の場合において、債務者の債権者に対する債務全額を消滅させるに足りな
い時にも、前項と同様に取り扱うことができるものとします。
③ 前2項の債権者による充当の場合、債務者は、その充当に対して異議を述べることが
できないものとします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(充当の指定)
弁済または第7条による差引計算の場合、私の債務全額を消滅させるに足りないときは、貴金庫が適当
と認める順序方法により充当することができ、その充当に対しては異議を述べません。
解
説
(1) 第 11 条は、第7条の当金庫による相殺または払戻充当の場合において、お客様の債務(借入
金等)を全額消滅させることができない時に、債務の弁済充当に関する順序方法を規定して
おります。
ところで、相殺または払戻充当は、お客様(債務者)の側から見れば、
『債務を消滅させる手
段』となります。これに対して、当金庫(債権者)の側から見れば、第7条のとおり、
『お客
様(債務者)が当金庫(債権者)に対する債務をご返済されなかった場合の債権回収の手段』
となります。
そのため、本条は、
『相殺・払戻充当』という債権回収手段における充当の観点から、当金庫
のお客様に対する債権保全等を考慮して定められております。
(2) 第1項は、債権保全等を考慮して、
「債権者(当金庫)の適当と認める順序方法」により充当で
きることを規定しております。
(3) 第1項において、当金庫が充当結果をお客様に書面でお知らせすることを明記(新設)しま
した。
(4) 第2項は、
『第4条の担保等の取立・処分による弁済充当』の場合と『第 10 条第5項の相殺・
払戻充当済手形の留置による弁済充当』の場合も、第1項と同様に取り扱うことを明記(新
設)しました。
(5) 第3項は、債権保全等を考慮して指定した『当金庫の順序方法』について、お客様が異議を
述べられないことを規定しております。
(6) なお、第1項については『第7条』
(前記□
15 )を、第2項については『第4条』
(前記□
12 )
及び『第 10 条』
(前記□
18 )をそれぞれご参照下さい。
- 28 -
また、改定前の旧条項における「弁済の場合」については、本条と分離して、
『第 13 条』(後
記□
21 参照)を新設しました。
- 29 -
20
□
第 12 条
(債務者による相殺に当たっての充当)
① 第8条による相殺の場合において、債務者の債権者に対する債務全額を消滅させるに
足りない時には、債務者は、適当と認める順序方法により充当することができるものと
します。
なお、この場合、債務者は、第8条第4項に定める相殺通知とともに、債権者への書
面をもって、その充当結果を債権者に通知するものとします。
② 債務者が前項による充当を行わなかった時には、債権者は、「担保や保証の有無・軽
重」,「担保処分の難易」,「弁済期到来の時期」,「割引手形の決済見込」等を考慮して、
債権者の適当と認める順序方法により充当することができるものとします。
なお、この場合、債権者は、充当を行った後、債務者への書面をもって、その充当結
果を債務者に通知するものとします。
③ 前項の債権者による充当の場合、債務者は、その充当に対して異議を述べることがで
きないものとします。
④ 第1項の債務者による充当の場合において、その充当により債権者の債務者に対する
債権保全に支障が生じるおそれがある時には、債権者は、直ちに異議を述べたうえ、「担
保や保証の有無・軽重」,「担保処分の難易」,「弁済期到来の時期」,「割引手形の決済見
込」等を考慮して、債権者の適当と認める順序方法により充当することができるものと
します。
なお、この場合、債権者は、異議を述べてから速やかに充当を行った後、債務者への
書面をもって、その充当結果を債務者に通知するものとします。
⑤ 前項の債権者による充当の場合、債務者は、その充当に対して異議を述べることがで
きないものとします。
⑥ 第2項または第4項の債権者による充当の場合、「債務者の債権者に対する期限未到
来の債務」については「期限が到来した」ものとして、また、「支払期日が未到来の割
引手形」については「債務者が買戻債務を自ら負担した」ものとして、更に、
「債務保
証」については「債務者が事前求償債務を自ら負担した」ものとして、債権者は、適当
と認める順序方法により充当することができるものとします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(充当の指定)
① 第7条の2により私が相殺する場合、私の債務全額を消滅させるに足りないときは、私の指定する順
序方法により充当することができます。
② 私が前項による指定をしなかったときは、貴金庫が適当と認める順序方法により充当することがで
き、その充当に対しては異議を述べません。
③ 第1項の指定により債権保全上支障が生じるおそれがあるときは、貴金庫は遅滞なく異議を述べたう
えで、担保、保証の有無、軽重、処分の難易、弁済期の長短、割引手形の決済見込みなどを考慮して、
貴金庫の指定する順序方法により充当することができます。
④ 前2項によって貴金庫が充当する場合には、私の期限未到来の債務については期限が到来したものと
して、また満期前の割引手形については買戻債務を、債務保証については事前の求償債務を私が負担し
たものとして、貴金庫はその順序方法を指定することができます。
- 30 -
解
説
(1) 第 12 条は、第8条のお客様による相殺の場合において、お客様の債務(借入金等)を全額消
滅させることができない時に、債務の弁済充当に関する順序方法を規定しております。
本条は、
『第 11 条』(前記□
19 参照)と同様に、
『相殺』という債権回収手段における充当の観
点から、当金庫のお客様に対する債権保全等を考慮して定められております。
(2) 第1項は、原則として(第4項の場合を除き)
、「債務者(お客様)は、適当と認める順序方法」
により充当できることを規定しております。
(3) 第1項において、お客様が充当結果を当金庫に書面で知らせることを明記(新設)しました。
(4) 第2項は、お客様が第1項の順序方法を指定しなかった時に、債権保全等を考慮して、
「債権
者(当金庫)の適当と認める順序方法」により充当できることを規定しております。
(5) 第2項において、当金庫が充当結果をお客様に書面でお知らせすることを明記(新設)しま
した。
(6) 第3項は、債権保全等を考慮して第2項で指定した『当金庫の順序方法』について、お客様
が異議を述べられないことを規定しております。
(7) 第4項は、お客様が第1項で『順序方法』を指定しても、当金庫のお客様に対する債権保全
に支障が生じるおそれがある時に限り、「債権者(当金庫)は、直ちに異議を述べたうえ、適当
と認める順序方法」により充当できることを規定しております。
(8) 第4項において、当金庫が、異議を述べてから速やかに充当を行った後、充当結果をお客様
に書面でお知らせすることを明記(新設)しました。
(9) 第5項は、債権保全等を考慮して第4項で指定し直した『当金庫の順序方法』についても、
お客様が異議を述べられないことを明確に規定(新設)しました。
(10) 第6項は、お客様が第8条に基づいて「期限未到来の債務(借入金等)」,「支払期日の未到来の
割引手形」,
「事前求償債務」を相殺した場合に、当金庫が、第2項または第4項において、
『期
限が到来したもの』,『買戻債務や事前求償債務をお客様自らが負担したもの』として、適当
と認める『順序方法』により充当できることを規定しております。
(11) なお、第1項については、
『第8条』(前記□
16 )をご参照下さい。
- 31 -
21
□
第 13 条
(弁済に当たっての充当)
① 債務者の債権者に対する債務に関し、債務者から「債務の本旨に従ったものではない
弁済」があった場合において、債権者は、「担保や保証の有無・軽重」,
「担保処分の難
易」,「弁済期到来の時期」,「割引手形の決済見込」等を考慮して、債権者の適当と認め
る順序方法により充当することができるものとします。
ただし、この場合、債権者は、弁済充当時または弁済充当後、その充当結果を債務者
に通知するものとします。
なお、「債務者・債権者間に期限前弁済を制限する定めがある」時または「弁済につ
いて法令上の制約がある」時には、弁済することができないものとします。
② 前項の債権者による充当の場合、債務者は、その充当に対して異議を述べることがで
きないものとします。
③ 第1項による弁済が期限前弁済の場合、期限前弁済に関する特別の手数料の定めがあ
る時は、その定めによるものとします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(充当の指定)・・・・本約定書の第 11 条参照。
※本約定書とは、改定後の信用金庫取引約定書のことを指します。
弁済の種類
(1) お客様の当金庫への弁済は、『本旨弁済』と『本旨弁済でない弁済』に分けられます。
(2) 本旨弁済とは、『債務の本旨に従った弁済』の意で、債務(借入金等)について、『予めお客
様・当金庫間で定めた弁済条件に基づく弁済』
、即ち『約定弁済』のことをいいます。
(3) 従って、
『本旨弁済でない弁済』とは、約定弁済以外の弁済ということになりますが、具体的
には『期限前の弁済』,
『期限後の弁済』,
『一部弁済』などのことです。
(4) ところで、裁判所の判決によって明らかにされた理論・規範(判例)においては、
『本旨弁済
でない弁済を受領するか否かは、債権者(当金庫)が決定できる』こととなっております。
たとえば、お客様から『期限前弁済』の申し出があった場合、当金庫は、期限前弁済の制限
の有無や期限前弁済に関する手数料等を考慮して決定することとなります。また、『一部弁
済』の申し出があった場合、当金庫は、お客様に対する債権保全等を考慮して決定すること
となります。
解
説
(1) 第 13 条は、お客様からの『本旨弁済でない弁済』を当金庫が受領した場合において、お客様
の債務(借入金等)を全額消滅させることができない時に、債務の弁済充当に関する順序方
法を規定しております。
そのため、本条は、前記
弁済の種類
のとおり、当金庫のお客様に対する債権保全等を考慮
して定められております。
(2) 第1項は、債権保全等を考慮して、
「債権者(当金庫)の適当と認める順序方法」により充当で
きることを規定しております。
- 32 -
(3) 第1項において、当金庫が充当結果をお客様にお知らせすることを明記(新設)しました。
(4) 第2項は、債権保全等を考慮して指定した『当金庫の順序方法』について、お客様が異議を
述べられないことを規定しております。
(5) 第3項は、
『期限前弁済の手数料』について、規定(新設)しております。
(6) なお、第1項については、
『第 11 条』
(前記□
19 )をご参照下さい。
- 33 -
22
□
第 14 条
(危険負担,免責条項)
① 「債務者が債権者に提供した担保」,「債務者が振出,裏書,引受,参加引受もしくは
保証した手形」,「債務者が債権者に提出した証書等」が、戦争・地震・火災・盗難など
の事変・災害,輸送途中の事故等やむを得ない事情によって紛失,滅失,損傷または延
着した場合に生じた損害に関しては、債務者は債権者になんらの請求をしないものとし
ます。
なお、本項の「やむを得ない事情」とは、「不可抗力によるもの」の他、「債権者の責
めに帰すべき事由によらないもの」を含むものとします。
② 前項の場合には、債務者は、債権者の帳簿,伝票等の記録に基づいて債務を弁済する
ものとします。
ただし、法令により無効宣言を求めることができる「手形,その他の有価証券」の盗
難,紛失,滅失の時には、債務者は、債権者に「公示催告手続の協力」を依頼すること
ができるものとします。
③ 第1項の場合には、債務者は、債権者から請求があれば、速やかに代わりの手形また
は証書等を提出するものとします。
ただし、債務者は、提出に当たり、債権者に対してその必要理由の開示を求めること
ができるものとします。
なお、紛失,滅失,損傷または延着した手形において、債務者以外に「手形の主債務
者」,「裏書人」等の手形債務者がいる時には、債権者は、債務者の代わり手形の提出に
協力するものとします。
④ 債務者の債権者に対する債務について手形が存在する時で、債権者が請求するも、債
務者が「割引手形の買戻債務,手形貸付の貸金債務等、手形に関する信用金庫取引上の
債務」を履行しないに当たっては、万一、
「手形要件の不備もしくは手形を無効にする
記載によって手形上の権利が成立しない」場合または「権利保全手続の不備によって手
形上の権利が消滅した」場合でも、その手形上の権利喪失が「債権者の責めに帰すべき
事由によらない」限り、債務者は、手形面記載の金額の責任を負うものとします。
⑤ 「債権者が、手形,証書の印影・署名について、債権者に通常期待されている業務上
相当の注意をもって、債務者の届け出た印鑑・署名鑑と慎重に照合したうえ、相違ない
と認めて取引した」時は、手形,証書,印章,署名について偽造,変造,盗用等の事故
があっても、これによって生じた損害に関しては、債務者の負担とし、債務者は、手形
または証書の記載文言に従って責任を負うものとします。
ただし、本項における手形の偽造に関しては、債務者の責めに帰すべき事由がない限
り、債務者がその損害を負担せず、責任を負わないものとします。また、本項の偽造手
形には、偽造された「第1条第3項にいう手形」が含まれないものとします。
- 34 -
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(危険負担、免責条項等)
① 私が振出、裏書、引受、参加引受もしくは保証した手形または私が貴金庫に差し入れた証書が、事変、
災害、輸送途中の事故等やむをえない事情によって紛失、滅失、損傷または延着した場合には、貴金庫
の帳簿、伝票等の記録に基づいて債務を弁済します。なお、貴金庫から請求があれば直ちに代り手形、
証書を差し入れます。この場合に生じた損害については貴金庫になんらの請求をしません。
② 私の差し入れた担保について前項のやむをえない事情によって損害が生じた場合にも、貴金庫になん
らの請求をしません。
③ 万一手形要件の不備もしくは手形を無効にする記載によって手形上の権利が成立しない場合、または
権利保全手続の不備によって手形上の権利が消滅した場合でも、手形面記載の金額の責任を負います。
④ 手形、証書に押捺された印影を、私の届け出た印鑑に、相当の注意をもって照合し、相違ないと認め
て取引したときは、手形、証書、印章について偽造、変造、盗用等の事故があっても、これによって生
じた損害は私の負担とし、手形、証書の記載文言にしたがって責任を負います。
解
説
(1) 第1項は、
『お客様が提供した担保,署名した手形,提出した証書等』が、事変・災害,事故
等やむを得ない事情によって、紛失,滅失,損傷,延着した場合に発生した損害に関し、原
則としてお客様にご負担していただくことを規定しております。
(2) ただし、第1項において、
『なお書』を新設して、当金庫の故意,過失によって発生した損害
に関しては、当金庫が負担することを明記しました。
(3) 第2項は、第1項の事態が起こった場合に、原則として、当金庫の記録に基づき、お客様に
ご返済いただくことを規定しております。
(4) 第2項において、『ただし書』を新設して、手形等の盗難,紛失,滅失に関しては、当金庫が
公示催告手続に協力することを明記しました。
(5) 第3項は、第2項で定めたお客様のご返済の原則に関し、当金庫からの請求により、お客様
が代わりの手形,証書等を提出することについて、規定しております。
(6) 第3項において、『ただし書』を新設して、当金庫が代わりの手形,証書等の必要性をお客様
に開示することを明記しました。
(7) 第3項において、『なお書』を新設して、手形にお客様以外の署名がある場合の代わり手形の
提出を請求するに当たり、当金庫もお客様に協力することを明記しました。
(8) 第4項は、改定前より具体的な表現に改め、当金庫が請求しても、お客様にご返済いただけ
ない「手形に関する信用金庫取引上の債務(割引手形の買戻債務,手形貸付の貸金債務等)
」
について、その手形上の権利が喪失した場合でも、手形面に記載された金額の責任をお客様
にご負担いただくことを規定しております。本項では、その要件を「債権者(当金庫)の責め
に帰すべき事由によらない限り」と定め、適用範囲を明確にしました。
(9) 第5項は、手形や証書の印影・署名について、当金庫が過失なく照合のうえ取引した場合に、
『偽造,変造等の事故によって発生した損害』や『責任』に関し、お客様にご負担していた
だくことを規定しております。
(10) 第5項において、『ただし書』を新設し、その手形の偽造について、お客様が、故意,過失の
ない場合に損害や責任を負担しないことを明確にするとともに、偽造手形には「偽造された
第1条第3項にいう手形(いわゆる回り手形)が含まれない」ことを明記しました。
9 )をご参照下さい。
(11) なお、第5項については、
『第1条』(前記□
- 35 -
用語説明
◎その他の有価証券
) 手形以外の指図証券,株券,無記名証券,抵当証券等の証書のことです。
◎手形要件の不備
) 手形法で定められている要件(振出日や支払期日の表示など)が欠けていることです。
◎権利保全手続の不備
) 支払呈示期間内に手形を呈示しなかったことなどが該当します。
◎手形上の権利喪失が債権者の責めに帰すべき事由によらない
) 手形上の権利喪失が当金庫の故意,過失によらないことです。たとえば、当金庫が支払呈示
期間内に手形の呈示を怠った場合は、当金庫の過失によることとなります。
- 36 -
23
□
第 15 条
(成年後見制度に関する届出)
① 債務者の債権者に対する債務にかかる保証人または債務者について、次の各号の事由
が生じた場合には、債務者は、直ちに、債権者への書面をもって、債権者に届け出ると
ともに、登記事項証明書等を債権者に提出するものとします。
1 家庭裁判所において、後見開始または保佐開始の審判がなされた時。
2 家庭裁判所において、補助開始の審判がなされ、かつ、第1条に定める信用金庫
取引について代理権または同意権付与の審判がなされた時。
3 第1条に定める信用金庫取引について代理権を付与する任意後見契約が締結され
た後に、家庭裁判所において、任意後見監督人の選任がなされた時。
② 債務者の債権者に対する債務にかかる保証人または債務者について、前項各号の事由
が既に生じているにもかかわらず、前項の債権者への届出及び登記事項証明書等の提出
が未了の場合にも、前項と同様とします。
③ 前2項の届出事項について、その後、次の各号の事由が生じた場合にも、債務者は、
直ちに、債権者への書面をもって、債権者に届け出るとともに、登記事項証明書,閉鎖
事項証明書等を債権者に提出するものとします。
1 保佐または補助の場合で、第1条に定める信用金庫取引について新たな代理権ま
たは同意権付与の審判がなされた時。
2 保佐または補助の場合で、第1条に定める信用金庫取引について付与された代理
権または同意権の範囲に変更が生じた時。
3 後見開始,保佐開始もしくは補助開始の審判が取り消された時。
④ 「債権者が、債務者の債権者に対する債務にかかる保証人または債務者について、債
権者に通常期待されている業務上相当の注意をもって、制限能力者ではないことを確認
のうえ、取引した」時は、前3項の届出前に生じた損害に関しては、債務者の負担とし
ます。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
旧条項なし
解
説
(1) 第 15 条は、痴呆性高齢者,知的障害者,精神障害者等を保護するため、平成 11 年の民法改
正において設けられた『成年後見制度(後見・保佐・補助)
』に関する届出について、規定(新
設)しております。
(2) 第1項は、「保証人または債務者(お客様本人)」について、成年後見制度に関する第1号から
第3号の事由が生じた場合に、お客様が当金庫へ必要書類を添付のうえ、書面で届け出てい
ただくことを規定しております。
(3) 第2項は、第1項の第1号から第3号の事由が既に生じているにもかかわらず、届出が未了
の場合について、規定しております。
(4) 第3項は、届出事項に追加,変更,取消等があった場合について、規定しております。
- 37 -
(5) 第4項は、お客様による第1項から第3項の届出がいただけないまま、
「保証人または債務者
(お客様)」について、当金庫が過失なく制限能力者(成年被後見人,被保佐人,被補助人)で
ないことを確認のうえ取引した場合に、届出前に発生した損害に関し、お客様にご負担して
いただくことを規定しております。
(6) なお、第1項及び第3項については、
『第1条』(前記□
9 )をご参照下さい。
また、保証人・当金庫間で締結する保証契約においても、本条と同様の規定を設け、『債務者
(お客様)または保証人本人について、成年後見制度に関する事由が生じた場合に、保証人
が届け出る』ことを定めております。
- 38 -
24
□
第 16 条
(届出事項の変更とみなし到達)
① 債務者は、その印章,署名,名称,商号,代表者,住所,その他債権者に届け出た事
項に変更があった場合には、直ちに、債権者への書面をもって、債権者に届け出るもの
とします。
② 前項の届出の懈怠や遅滞,受領者の不在や受領拒否等、債務者の責めに帰すべき事由
により、債権者の債務者に対する「期限の利益の喪失」,「割引手形の買戻」
,「相殺」,
「充当結果」等の通知や送付書類が延着しまたは到達しなかった時は、通常到達すべき
時に到達したものとみなします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(届け出事項の変更)
① 印章、名称、商号、代表者、住所その他届け出事項に変更があったときは、直ちに書面によって届け
出をします。
② 前項の届け出を怠ったため、貴金庫からなされた通知または送付された書類等が延着しまたは到達し
なかった場合には、通常到達すべき時に到達したものとします。
解
説
(1) 第1項は、お取引開始に当たってお客様から届出済の各種の必要事項について、その後変更
があった場合に、お客様が当金庫へ書面で届け出ていただくことを規定しております。
(2) 第2項は、当金庫からのお客様宛の各種通知や送付書類が、お客様の故意,過失によって、
延着したり、到達しなかった場合に、通常到達していたはずの時に到達したとみなすことを
規定しております。このことをみなし到達といいます。
(3) 第2項において、その要件を「債務者(お客様)の責めに帰すべき事由により」と明確に規定
(新設)し、その例示として、『第1項の届出を怠ったり、遅れたりする』場合の他、『不在
のため通知や送付書類を受領しない』場合、
『故意に通知や送付書類を受領しない』場合を明
記(新設)しました。
(4) また、第2項において、当金庫からの通知として、『期限の利益の喪失( → 第5条・前記
13 参照)』,
『割引手形の買戻(
□
→ 第6条・前記□
14 参照)』,
『相殺( → 第7条・前記□
15 参
照)』
,『充当結果( → 第 11 条・前記□
19 ,第 13 条・前記□
21 参照)
』の各通知を例示し、
『み
なし到達』の適用範囲を改定前より明確にしました。
- 39 -
25
□
第 17 条
(債権者の調査と債務者の報告)
① 債務者は、貸借対照表,損益計算書等、債務者の財務や収支の状況を示す書類につい
て、その写しを定期的に債権者に提出するものとします。
② 前項の他、債権者から請求があった場合には、債務者は、債権者による債務者の財産,
経営,業況,資金繰り等に関する調査について、一般に合理的と認められる範囲内で、
債権者に必要な資料を速やかに提出し、または債権者に必要な情報や便益を速やかに提
供するものとします。
③ 債務者の財産,経営,業況,資金繰り等について、「重大な変化が生じた」場合また
は「重大な変化が生じるおそれがある」場合には、債務者は、債権者から請求がなくて
も、速やかに債権者に報告するものとします。
④ 債務者は、国税,地方税,その他の公課の納付を怠ったことにより、差押,交付要求,
換価等の滞納処分を受けた場合には、債権者から請求がなくても、直ちに債権者に報告
するものとします。
また、債権者から請求があった場合には、債務者は、国税,地方税,その他の公課の
納付状況を明らかにするため、各種納税証明書等を債権者に提出するものとします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(報告および調査)
① 財産、経営、業況について貴金庫から請求があったときは、直ちに報告し、また調査に必要な便益を
提供します。
② 前項の事項について重大な変化を生じたとき、または生じるおそれのあるときは、貴金庫からの請求
がなくても直ちに報告します。
解
説
(1) 第 17 条は、お客様に開示していただく書類,資料,情報等について、
『定期的なもの』と『不
定期な(当金庫からの請求があった都度の)もの』に分けて具体的な表現で規定し、改定前
よりも明確にしました。
(2) 第1項は、お客様との円滑な融資取引を継続させていただくために、お客様から、
「財務や収
支の状況を示す書類」について、その写しを定期的に提出していただくことを規定(新設)
しております。
(3) 第2項は、当金庫がお客様の信用調査に当たって請求した場合に、お客様から、
「必要な資料」
の提出または「必要な情報や便益」の提供をしていただくことを規定しております。
(4) 第2項において、その要件を「一般に合理的と認められる範囲内」と定め、お客様に必要以
上のご負担をかけないことを明確にしました。
(5) 第3項は、当金庫の請求がなくても、
『お客様の信用に重大な変化が生じたり、生じるおそれ
がある』場合に、お客様から、適宜報告をしていただくことを規定しております。
(6) 第4項は、当金庫の請求がなくても、
『お客様が税金の納付を怠って滞納処分を受けた』場合
に、お客様から、直ちに報告をしていただくことを規定(新設)しております。
また、不動産の担保設定などに当たって当金庫が請求した場合に、お客様から、
「各種納税証
明書等」の提出をしていただくことを規定(新設)しております。
- 40 -
用語説明
◎定期的に
) 『お客様が法人の時は決算期毎に、個人の時は年度毎に』という意味です。
◎必要な便益
) 各種帳簿について記載内容をご説明いただくことなどが該当します。
◎重大な変化
) お客様の主要な財産の売却,役員や株主構成などの重大な変動,主力工場の罹災などが該当
します。
- 41 -
26
□
第 18 条
(債権者の守秘義務)
債権者は、「第1条に定める信用金庫取引またはその交渉過程において発生した客観的
な事実に基づく債務者の信用情報」について、債務者の書面による同意がない限り、第三
者に開示しないものとします。
ただし、次の各号の場合は、この限りではないものとします。
1 法令により、債権者の情報開示が義務づけられている場合。
2 延滞,損失もしくは損失見込などの発生した債務者の債権者に対する債務について、
債権者が、「法務大臣の許可した債権回収会社」等へ売却による譲渡を行った場合。
3 延滞,損失もしくは損失見込などの発生した債務者の債権者に対する債務について、
債権者が、「法務大臣の許可した債権回収会社」等へ管理及び回収の業務を委託した場
合。
4 「債務者」,「債務者の債権者に対する債務にかかる保証人」,「手形債務者」等に対す
る債権者の権利の行使もしくは保全のために必要な場合。
5 債権者が加盟する信用調査機関に債務者の信用情報を登録し、また、その加盟会員が
自己の取引上の判断のために債務者の信用情報を利用する場合。
6 債務者の債権者に対する債務にかかる「保証人,担保提供者等、法定代位弁済の権利
を有する者」から、債務者の債権者に対する債務の状況について照会があった場合。
7 前各号の他、債権者の情報開示を必要とする相当な事由があると客観的に認められる
場合。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
旧条項なし
解
説
(1) 第 18 条は、当金庫の守秘義務を明記(新設)したものです。本条では、融資関係取引に関す
るお客様の信用情報について、第1号から第7号に定める場合を除き、第三者に開示しない
ことを規定しております。
(2) なお、本条については、
『第1条』
(前記□
9 )をご参照下さい。
用語説明
◎法務大臣の許可した債権回収会社
) いわゆるサービサーのことです。
◎債権者の権利の行使もしくは保全のために必要な場合
) 当金庫が貸金請求訴訟の提起や不動産仮差押の申立等について弁護士へ委任する場合など
が該当します。
◎法定代位弁済の権利を有する者
) 債務者に代わって弁済をなすことに正当な利益(法的な利害関係)を有する者のことです。
具体的には、保証人,担保提供者の他、担保目的物の第三取得者や後順位担保権者などのこ
とです。
- 42 -
27
□
第 19 条
(費用負担)
「債権者の債務者に対する権利の行使もしくは保全、または担保の取立もしくは処分等
に要した費用」及び「債務者の権利を保全するために債務者が債権者に協力を依頼した場
合に要した費用」は、債務者の負担とします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(危険負担、免責条項等)
⑤ 私に対する権利の行使もしくは保全または担保の取立もしくは処分に要した費用、および私の権利を
保全するため貴金庫の協力を依頼した場合に要した費用は、私が負担します。
解
説
第 19 条は、
『お客様に対する権利の行使・保全または担保の取立・処分等に要した費用』や『お
客様の権利の保全のために、お客様が当金庫に協力を依頼した場合に要した費用』に関し、お客
様にご負担していただくことを規定しております。
用語説明
◎権利の行使もしくは保全
) 貸金請求訴訟の提起や不動産仮差押の申立等が該当します。
◎債務者の権利を保全するために債務者が債権者に協力を依頼した場合
) 『事変・災害等による手形等の盗難,紛失,滅失の時( → 第 14 条第2項・前記□
22 参照)
』
に、お客様が当金庫に公示催告手続の協力を依頼した場合などが該当します。
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28
□
第 20 条
(準拠法と管轄裁判所)
① 「本約定書」及び「本約定書に基づく債務者・債権者間の諸取引」についての契約準
拠法は、日本法とします。
② 本約定書に基づく債務者・債権者間の諸取引に関して訴訟の必要が生じた場合には、
債権者の本店所在地を管轄する裁判所を専属的な管轄裁判所とすることに合意します。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(合意管轄)
この約定に基づく諸取引に関して訴訟の必要を生じた場合には、貴金庫本店の所在地を管轄する裁判所
を管轄裁判所とすることに合意します。
解
説
(1) 第1項は、契約準拠法の定めです。
『お客様と当金庫間における融資関係の信用金庫取引』に
ついての契約準拠法を日本法とすることを明記(新設)しました。
(2) 第2項は、裁判所に関する専属的合意管轄の定めです。
『お客様と当金庫間における融資関係
の信用金庫取引』に関し、万一、訴訟の必要が生じた場合に、『当金庫の本店所在地(東京都
墨田区)を管轄する裁判所』を専属的な管轄裁判所とすることに合意することを明確に規定
しております。
この規定は、当金庫が、東京都墨田区に本店を有し、地区(営業地域)を東京都 23 区,千葉
県の一部,埼玉県の一部とする『信用金庫(地域金融機関)
』であるという特性を踏まえ、お
客様と当金庫で予め合意するものです。
用語説明
◎契約準拠法
) 適用されるべき法律のことです。
◎債権者の本店所在地を管轄する裁判所を専属的な管轄裁判所とすることに合意
) お客様と当金庫間で、合意により、第一審の訴訟を担当する裁判所を『当金庫の本店所在地
の管轄裁判所(東京地方裁判所または東京簡易裁判所)
』に限定(専属と)することです。
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29
□
第 21 条
(本約定の解除)
債務者は、本約定書に基づく債権者に対する債務が存在しない場合には、債権者への書
面による通知をもって、いつでも本約定を解除することができるものとします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
旧条項なし
解
説
お客様が、債務(借入金等)をすべてご返済された場合に、当金庫へ書面で通知すれば、いつ
でも本約定(継続的取引である信用金庫取引)について解除できることを規定(新設)しており
ます。
用語説明
◎債権者に対する債務が存在しない場合
) お客様からご返済いただかなければならない債務(借入金等)について、利息や損害金等を
含め、全く残存していない場合のことです。
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30
□
保証条項
(保証条項)
廃止
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
(保証条項)
保証人は、本人が第1条に規定する取引によって貴金庫に対し現在および将来負担するいっさいの債務
について、本人と連帯して保証債務を負い、その履行についてはこの約定に従います。
保証人は、本人の貴金庫に対する預金、定期積金、その他の債権をもって相殺はしません。
保証人は、貴金庫がその都合によって担保もしくは他の保証を変更、解除しても免責を主張しません。
保証人が保証債務を履行した場合、代位によって貴金庫から取得した権利は、本人と貴金庫との取引継
続中は、貴金庫の同意がなければこれを行使しません。もし貴金庫の請求があれば、その権利またはその
順位を貴金庫に無償で譲渡します。
改定前の旧条項の廃止
(1) 改定前にあっては、信用金庫取引約定書の最後に保証(包括根保証)条項を設け、
(保証約定
書の代わりとして)信用金庫取引約定書に、包括根保証人として、保証人の署名・捺印をい
ただく方式を採用しておりました。
(2) しかし、当金庫は、信用金庫取引約定書の改定に当たり、保証条項を廃止し、保証契約をす
べて保証約定書により締結する取扱に改めました。
(3) その理由は、
『信用金庫取引約定書が、本来お客様と当金庫間の融資取引に関する一般的・基
本的な事項を定めた契約書であること』,並びに『包括根保証契約については、従来から保証
約定書による締結も行っているという現在の実務のあり方に照らし、信用金庫取引約定書に
よる締結の必要性が失われたこと』によるものです。
(4) そのうえ、保証約定書により保証契約を締結する方が、保証内容をいっそう明確にできると
ともに、保証意思の確認もいっそう徹底できると考えられます。
用語説明
◎包括根保証
) 『現在発生している、また、将来発生する』一切の債務者(お客様)の債務について、予め
種類,保証期間,金額等を定めず、包括的に保証することです。
なお、包括根保証については、
『(参考)保証とは?』
(後記□
32 )をご参照下さい。
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31
□
付則
(変更契約)
① 債務者と債権者は、債務者・債権者間で既に締結されている信用金庫取引約定書の約
定に関し、本約定書の約定のとおり、一部変更することについて、合意しました。
② 債務者・債権者間の既往の諸取引については、既に締結されている信用金庫取引約定
書が適用され、変更後の本約定書は適用されないものとします。
《参考》改定前の(信用金庫取引約定書の)旧条項
旧条項なし
付則の目的
(1) 従来(平成 15 年9月 30 日までにご契約)の信用金庫取引約定書で既に融資取引をされてい
るお客様について、今後(信用金庫取引約定書を改定する平成 15 年 10 月1日以降)も引き
続きお取引いただく場合は、平成 15 年 10 月1日以降最初の融資取引をいただくまでの間に、
お客様に『新しい信用金庫取引約定書への変更契約』を締結していただくこととなります。
(2) この変更契約のために設けられたのが、『付則』です。
具体的には、
信用金庫取引約定書 【変更契約書式】
という表題の契約書( → 表題・
(融資関係取引用)
前記□
4 参照)に、お客様と当金庫がお互いに署名・捺印することによって、変更契約の締結
を行います。
(3) 従って、
『付則』は、当金庫と従来融資のお取引のないお客様が、当金庫と新規に融資取引を
される場合に使用する
信用金庫取引約定書 【新規契約書式】
という表題の契約書
(融資関係取引用)
( → 表題・前記□
4 参照)にはありません。
解
説
(1) 第1項は、従来(改定前)の信用金庫取引約定書の約定に関し、お客様と当金庫の双方が、『新
しい(改定後の)信用金庫取引約定書への変更』や『新しい信用金庫取引約定書の内容』を
十分に理解・合意したうえで、信用金庫取引約定書に関する変更契約を締結したものである
ことを表しております。
(2) 第2項は、変更契約を締結しても、
『既往の諸取引(平成 15 年9月 30 日までのお客様との融
資取引)
』について、新しい(改定後の)信用金庫取引約定書を遡って適用させないことを明
確に規定しております。
従って、信用金庫取引約定書に関する変更契約の締結は、既往の諸取引の保証人や担保提供
者に全く影響を及ぼさないこととなります。
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32 (参考)保証とは?
□
序
本書において、最後に、信用金庫取引約定書をご契約いただくお客様(債務者)と密接な関係
にある『保証人の契約』について、ご参考に触れさせていただきます。
保証の定義
保証とは、保証人となる旨の契約のことです。保証人は、『債務者の債権者(当金庫)に対す
る債務(借入金等)と同じ内容の債務(保証債務)』を負担することになります。
連帯保証人
当金庫の保証契約における保証人は、連帯保証人です。連帯保証人は、債務者と連帯して保証
債務を負担することとなります。
即ち、連帯保証人は、債権者(当金庫)からの債務者への債務履行請求前に、保証債務の履行
を請求されても、『まず、債務者に債務履行を請求せよ。
』という権利(催告の抗弁権)について、
債権者(当金庫)に対し、主張することができません。
また、連帯保証人は、債権者(当金庫)からの保証債務履行請求時に、『債務者に弁済の資力
があり、その執行が容易なことが立証できるので、まず、債務者の財産を執行せよ。』という権
利(検索の抗弁権)について、債権者(当金庫)に対し、主張することができません。
保証の種類
(1)保証は、
『限定根保証』と『特定保証』の2種類に分けられます。
(2)限定根保証は、保証期間(元本確定期日という期限)を設け、『現在発生している、また、
その期間内に発生する』一切の債務者の債務について、債務発生の都度に保証契約をすること
なく、予め定められた金額(極度額)や種類(融資取引の内容)の限度において、限定的に保
証するものです。
この場合における極度額(保証金額)は、債権極度額で、『元本債務』並びに『これに付帯す
る利息,割引料,損害金その他一切の債務』が含まれます。なお、
『その他一切の債務』とは、
保証料,手数料,清算金,違約金等のことをいいます。
従って、限定根保証の被保証債務額は、期間に加え、金額や種類が限定された中で、たえず増
減変動します。
〔当金庫の制定用紙〕
①限定保証約定書(期間・金額による限定)
②限定保証約定書(期間・金額・種類による限定)
(3)特定保証は、債務者の特定債務に関し、『元本債務』並びに『これに付帯する利息,割引料,
損害金その他一切の債務』について、保証するものです。なお、『その他一切の債務』とは、
保証料,手数料,清算金,違約金等のことをいいます。
〔当金庫の制定用紙〕
①手形貸付の場合・・・・特定保証約定書
②証書貸付の場合・・・・金銭消費貸借証書
(この証書は、債務者とともに保証人が署名
し、特定保証契約書を兼ねるものです。)
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(4)以上のとおり、保証の種類によって、保証の内容や責任(範囲)が異なるため、保証契約の
締結に当たり、
『その保証(種類)が限定根保証なのか、それとも特定保証なのか』は、保証
人にとっても、当金庫にとっても、極めて重要なことです。
保証の一般原則
(1) 手形貸付や証書貸付のような『特定債務』を保証する時は、
『特定保証』の利用が一般的です。
(2) 手形割引, 当座貸越, 債務保証や外国為替のような『継続して発生する債務』を保証する時
は、期間・金額(極度額)
・種類(融資取引の内容)を定めた『限定根保証』の利用が一般的
です。
(3) なお、債務者が法人の場合における『親会社』が保証するような時は、期間・金額(極度額)
を定めた『限定根保証』が利用されるケースもあります。
保証契約締結に当たっての保証種類の決定
保証の一般原則は前記
のとおりですが、保証人と当金庫間の保証契約の締
保証の一般原則
結に当たり、保証の種類は、『限定根保証』と『特定保証』という2種類の保証の特性を踏まえ、
『保証人の立場や債務者との関係』等を勘案し、1契約毎に適切に決定されます。
限定根保証と根抵当権設定者
(1) 根抵当権設定者とは、
『現在発生している、また、将来発生する』一切の債務者の債務を『極
度額』の限度において担保するために、その所有する不動産のうえに根抵当権を設定した『担
保提供者』のことです。
(2) 当金庫においては、根抵当権設定契約の締結に当たり、根抵当権設定者(債務者以外)との
間で、『期間…5年・金額…根抵当権の極度額に基づいて定めた極度額(保証金額)・種類…
定めず』とする限定根保証契約を併せて締結し、5年毎に契約更新する取扱を原則としてお
ります。
なお、根抵当権の極度額が債権極度額であることから、限定根保証契約の極度額(保証金額)
は、根抵当権の極度額と同額の金額と定めております。
限定根保証と根担保預金・定期積金提供者
(1) 根担保預金・定期積金提供者とは、
『現在発生している、また、将来発生する』一切の債務者
の債務を『預金元利金または定期積金契約上の債権(給付契約金, 解約時における払戻元利
金をいう。)』の限度において担保するために、その所有する預金・定期積金のうえに根質権
を設定した『担保提供者』のことです。
(2) 当金庫においては、根質権設定契約の締結に当たり、根担保預金・定期積金提供者(債務者
以外)との間で、『期間…5年・金額…預金, 定期積金の契約額に基づいて定めた極度額(保
証金額)・種類…定めず』とする限定根保証契約を併せて締結し、5年毎に契約更新する取
扱を原則としております。
なお、限定根保証契約の極度額(保証金額)は、特定保証の範囲と同様、『元本債務』並び
に『これに付帯する利息,割引料,損害金その他一切の債務』を考慮し、預金・定期積金の
契約額の120%の金額と定めております。
- 49 -
ただし、
『預金・定期積金の解約時の元利金の金額』が『限定根保証契約の極度額』を上回る
時は、『限定根保証契約の極度額』をもって保証限度としております。また、『預金・定期積
金の解約時の元利金の金額』が『限定根保証契約の極度額』を下回る時は、
『預金・定期積金
の解約時の元利金の金額』と同額の金額をもって保証限度としております。
以
- 50 -
上