(1)軸受内のグリースの挙動 転がり軸受に必要不可欠な潤滑 剤として油とグリースが使われ ることが多い.当研究室の以前 の研究で,可視化のために透明 な軸受外輪を用いて,軸受内の 油の挙動を観察したり,軸受内 のグリースの硬さの変化につい て調べた.グリースは,軸受に 密封して使用する際,充填量は 軸受内の油の挙動(停止・回転) 経験的に決めていたが,半固体 状のグリースが軸受内でどのような挙動を示すかを調べることによ って,適切な充填量の指針が得られることが期待できる. (2)軸受寿命理論に対する一考察 転がり軸受の寿命理論は 1940 年代に確立されたが,寿命理論の裏付 けとなった実験にはさまざまな問題点があることが考えられる.当 時の技術を考えてみると,特に生産技術や実験手法において現代の 技術に比べて大きく見劣りしていたものと推測できる.その結果, 最近の寿命試験の結果は理論と大きな差が生じることがしばしば報 告されている.そこで,軸受寿命の理論値と実験結果の間に生じた 差の原因を調べ,さらに寿命理論を導出する際に採用した仮定条件 をも含めて検討し,補正した理論値を提案することを目標に研究を 行なっている。
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