科学技術と倫理

講義メモ
2011.12.7
田中浩朗
科学技術と倫理
第10回 科学者による核兵器反対運動
科学者によ る 核兵器反対運動
・ロバート・オッペンハイマー
戦後も政府内で原子力政策に関与(1954年公職
追放まで)
水爆開発に反対
・ジョセフ・ロートブラット
1944年、マンハッタン計画を離脱
戦後、パグウォッシュ会議を推進
・湯川秀樹
日本の科学者の核兵器廃絶運動の先頭に
核兵器は「絶対悪」・・・核抑止論批判
ビデオ
映画「The Day After Trinity」ジョン・エルス監督,
1980年
・戦後のオッペンハイマー
オッ ペン ハイマ ー
・戦後も、政府内で発言権・影響力を持つ
・核の国際管理案
情報公開と国際協力(ソ連を含む)
核兵器の大型化(水爆)に反対
小型の戦術核を支持
・「赤狩り」の標的に
ソ連のスパイの嫌疑により聴聞会
(オッペンハイマー裁判)→公職追放
湯川秀樹
・1943年文化勲章。1949年ノーベル賞
・戦時中、京都帝大教授。荒勝研で原爆研究(F 研
究)・・・湯川の原爆研究への関与は不明
・戦後「知識階級の勇気と実行力の欠如」を反省
・アインシュタインの影響
・ビキニ水爆実験の衝撃
・国内外の科学者の平和運動に参加
・世界連邦運動にも参加
・核兵器=「絶対悪」(核抑止論を批判)
ビデオ
NHK スペシャル「ラストメッセージ 第2集 核なき世
界を 湯川秀樹」(NHK 総合、2006.11.6)
・湯川秀樹の核廃絶運動
考え てみよう !
・なぜ、核廃絶を訴える科学者の声は社会になかな
か受け入れられないのだろうか?
・なぜ、一部の科学者は、困難な反核運動にあえて
身を投じたのだろうか? 彼らの強烈な責任意識は
どこから来たのだろうか?
ビデオ
テレメンタリー2005「原爆開発を胸に」(テレビ朝日、
2005.8.30)
・ロートブラットとパグウォッシュ会議
ロート ブラット
・1944年末、ドイツの核開発が進んでいないことを知
り、マンハッタン計画を離脱(唯一の科学者)
・戦後は、専門を放射線医学に変更
・科学者の平和運動「パグウォッシュ会議」を推進
→1995年にノーベル平和賞受賞
・核抑止論を批判
ビデオ
ニュースステーション「二号研究
日本の原爆製
造計画 」(テレビ朝日,1995.8.11)
・日本の原爆研究
・理化学研究所:二号研究(仁科芳雄) ←陸軍
・京都帝国大学:F研究(荒勝文策)
←海軍
湯川秀樹も所属
【学習の手引き】
1. オッペンハイマーと湯川秀樹については,以下
の本が参考になります。
(a) 中沢志保『オッペンハイマー——原爆の
父はなぜ水爆開発に反対したか』中公新
書、中央公論社、1995年。
2. 田中正『湯川秀樹とアインシュタイン——戦争と
科学の世紀を生きた科学者の平和思想』岩波書
店、2008年。