日本語の現在 第 3 章 2006 年 10 月 25 日 東海大學 松尾 慎 【教科書を読む前に】 可能の意味の「食べられる」 (主に一段動詞 or グループ1の動詞)を「食べれる」というような場合を「ら 抜き言葉」と言います。では、次の①~⑩のなかで、 「ら抜き言葉」はどれでしょう。あまり考えないで直感で 答えましょう(制限時間 1 分) 。 ① 見れる ② 寝れる ③ 考えれる ④ 読める ⑤ 書ける ⑥ 帰れる ⑦ 走れる ⑧ 切れる ⑨ 行かれる ⑩ 来れる 【教科書を読みながら】 ● 「ら」を抜く理由 ら抜き言葉は流行語的なものではなく、新しい( ら抜き形でない従来の可能形には、 ( )の形成と考えたほうがいい。 ) ・ ( ) ・ ( のに対し、ら抜きの方は( ( )につながり、 ( )という三つの意味が含まれている )ので分かりやすい。また、 「ら」が抜けたぶん、 )しやすいという要因もある。 「食べられる」の 3 つの意味を考えて、例文をそれぞれ作ってください。 ( ) ( ) ( ) ● 「ら抜き」の広がり グラフを見て、正しいものには○を、間違っているものには×を書いてください。 ( )30 代の人が「見る」をら抜き言葉にする割合は 30%ほどである。 ( )若い世代の方がら抜き言葉を使用する割合が高い ( )長い単語の方がら抜き言葉になりやすい ( )ある単語は世代にかかわらずら抜き言葉になりにくい ● 使用基準 国語審議会の中間報告では、「現時点では( )場では使うべきではない」としている。 【教科書を読んだ後で】 ● Google で検索 以下の資料から分かることは何ですか?教科書の内容と比較して考えてください。 1)全言語のページから見られますを検索しました。 全言語のページから見れますを検索しました。 約 4,310,000 件 約 1,490,000 件 2)全言語のページから食べれますを検索しました。 全言語のページから食べられますを検索しました。 3)全言語のページから考えられますを検索しました。 全言語のページから考えれますを検索しました。 ● ら抜き言葉は「ら」抜きか? →25.7%がら抜き 約 26,800 件 約 73,400 件 →26.7%がら抜き 約 2,490,000 件 約 1,880 件 →0.1%がら抜き 段動詞 1段動詞 例外的な動詞 動詞 読む 見る 来る 辞書形 yomu miru kuru 古い可能形 yomareru mirareru korareru 新しい可能形 yomeru mireru koreru (5 段動詞)Yomareru → yomeru ら抜き言葉は、 ( (1 段動詞)mirareru → )抜きというよりも( mireru )といった方が正しい。 ● 誰の意見でしょう? 次の意見は誰の意見でしょう。考えてみてください。理由も考えましょう。 か わい あ らい ①無職・河合弘さん 64 才(横浜市中区) ②高校生・新井明美さん 17 歳(埼玉県) か とう よしかわ ③主婦・加藤泰子さん 44 才(岐阜県土岐市)④元NHKアナウンサー・吉川 喬さん ふだん (意見1)私は、子供のころから「食べれる」を普段よく使う。 「食べれる」や「見れる」は、決して若者の造語ではなく、流行 りっぱ ふるさと 語でもない。立派な古里言葉(郷土言葉)である。舌をかむような「ら付き言葉」より「食べれる」 「見れる」の方が言いやすく、 今風でもある。 (意見2)「言葉は生きている」とも言われるが、今、使われている言葉は昔から伝わってきているのだろう。そう思うと、この日 どくとく 本語独 特 の美しさを保ち続けていけたらと思う。だから、友達が「ら抜き言葉」を使っていると、注意してしまう。けれど、私 の今使っている言葉は、本当に正しいのかと問われたら、 「正しい」とは言い切れない。 (意見3) 「国語審議会の 45 人の委員のうち三十代と四十代は各一人で、平均年齢は 63 歳だ」らしい。習慣にどっぷりつかった高齢者に かいかく 改 革 などまず無理だ。今後は、これから日本語を使っていく若い人たちの責任ある意見でまとめていくようにしてほしい。 (意見4)8月26日(月)朝刊のスポーツ面、大分トリニータ対モンテディオ山形(サッカーの試合)の記事で 「攻めれず 守 れず」という見出しを見てちょっと気になった。 「攻めれず」が、今はやりの『ら抜き言葉』だったからである。正しくは「攻め られず」であろう。新聞は『ら抜き言葉』を使ってほしくない、いや現段階では使うべきではないと思う。 ● ディベートをしてみましょう テーマ:東海大學の日本語学科は、会話テストのときに「ら抜き言葉」を使っても減点するべきではない。 こうていがわ 肯定側メリット ひていがわ 否定側デメリット ◎では、実際にディベートをしてみましょう。 例.肯定側のメリットは、3 点あります。1 点目は「 1 点目を説明します。・・・・・・・・・・・。 」です。2 点目は「 」です。
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