発泡コアサンドイッチパネルのクラック抑制について

(公財)航空機国際共同開発促進基金 【解説概要20-4】
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発泡コアサンドイッチパネルのクラック抑制について
1.はじめに
平成19年度の解説では、複合材料の持つポテンシャルを最大限に引き出して、さらな
る重量軽減、部品点数低減が達成可能な革新的な構造様式の研究として、発泡コアを用いた
サンドイッチパネル構造を民間機機首構造に適用する研究の例を示した。この適用研究によ
り発泡コアサンドイッチパネルを航空機構造に適用した場合の重量軽減、部品点数低減の効
果を定量的に評価することができた。また、雹衝突等により生じた目視不可能な損傷により
面板直下の発泡コアに’き裂が生じて、この’き裂の進展により面板とコアが剥離して、サ
ンドイッチパネルの強度が低下するという課題があることも判った。このような運用中に生
じる目視不可能な損傷を起点とする’き裂の進展を止めるためには予め構造物内に’き裂の
進展を抑制する機能を組み込んでおく必要がある。発泡コアサンドイッチパネルは艦船の船
体にも適用されているので、艦船の船体構造を対象とした’き裂進展抑制法の研究について
は諸外国にいくつかの例がある。たとえば、Grenestedt らは、Peel stopper と称する’き裂
進展抑制法を考案している〔1,2〕
。これには、発泡コアサンドイッチパネルの面板を分割し
て端部を突き合わせたスプライス部に両方の面板にまたがって積層板を接着する方式(CPJ
と称する)と分割した一方の面板を他方に重ねる方式(PS と称する)がある。いずれの方
式も、き裂が進展してきた側の面板が剥離・脱落することにより面板の分割部で’き裂の進
展が阻止される。ただし、面板の剥離・脱落により発泡コアサンドイッチパネルの強度が低
下する問題があり、また航空機の場合には部品落下による安全上の問題が生じる。これに対
して、Jakobsen らは、サンドイッチパネルの発泡コアの内部にI型の断面をもつ剛性の高い
コアを埋め込む方式(New peel stopper と称する)を提案している〔3-5〕。これは、面板と
コア間の界面を進展してきた’き裂がI型断面の New peel stopper に至ると、Stopper の表
面に沿うように’き裂をコア内に誘導し、き裂の進展経路が面板-コア間の界面から離れる
ようにする方式である。本方式では、面板の剥離脱落によるサンドイッチパネルの強度低下
はないが、き裂の進展の進展を止めるものではないので効果が限定される。また、剛性が高
いコアをコア内に埋め込む方式なので重量増加や製造コストの増加に繋がる懸念がある。
これに対して筆者らは、
航空機構造への適用を想定して、
クラックアレスターと称する、
き裂の進展経路上に剛性が高い物質を埋め込む方式を考案した。クラックアレスターの適用
研究では、まず、モードⅠ型、モードⅡ型の負荷形態での’き裂進展予備試験により、発泡
コアサンドイッチパネルの面板/コア間の界面き裂伝ぱ特性を把握した。その結果、界面の
き裂は、面板直下の樹脂含浸層とコア間の界面を進展することが判った。航空機の金属構造
では’き裂の進展を抑制・停止させるためにダブラー等の構造要素を設けているが、損傷許
容性向上の観点から、発泡コアサンドイッチパネル構造でも同様な構造要素が必要である。
前述の’き裂の進展特性から、き裂の進展経路にコア材料より剛性が高い材料を配すること
により、界面き裂の発生/進展を抑制するアイデア(クラックアレスター)を考案した。
2.クラックアレスターについて
2.1 クラックアレスターの概要(クラックアレスター基本形)
1
クラックアレスターの試作にあたって、き裂の進展経路上の配置する高剛性の物質とし
て炭素繊維強化複合材料(CFRP)を
面板
選び、発泡コアに半円筒状の溝を機
械加工で形成して、溝の内部に
CFRP 一方向材を充填した。この形
発泡コア
き裂進展方向
状のクラックアレスターを基本形
と称する。クラックアレスター基本
クラックアレスター
形の概要を図1に示す。この場合の
(CFRP一方向材の場合)
繊維方向は’
き裂進展方向に垂直で
図中では紙面に垂直方向になる。
ク
図1. クラックアレスターの概要.
ラックアレスターが’
き裂の進展を
抑制する原理を以下に示す。すなわち、き裂先端のエネルギー解放率Gが、材料の層間破壊
じん性値GCに対してG>GCになると’き裂の進展が始まる。従って、き裂先端のエネルギ
ー解放率を低減して、G≦GCとすれば、き裂の進展を防止/抑制できると考えた。
2.2 クラックアレスター基本形の解析的評価
次に前項で示したクラックアレス
P = 0.28N/mm
ターの原理の妥当性を解析により評価
した。解析の例として、面板を剥離させ
き裂
て’
き裂を進展させるモードⅠ型の負荷
a
形態を荷重条件とした例を図2に示す。
図2において、供試体端部に一定荷重を
クラックアレスター
100
L
負荷した場合を想定して、
き裂先端位置
L
を変化させて、き裂先端のエネルギー解
: き裂先端とクラックアレスター端部の距離
図2. モードⅠ型負荷形の概要.
放率Gを FEM 解析により求めた。FEM 解
重条件をモデル化した。なお、
解析による評価に当たっては、
アレスターがないサンドイッ
チパネルのモデル化も行い、
同
じ’
き裂長さの場合のエネルギ
ー解放率を比較した。
解析結果
を図3に示す。図3において、
縦軸は、同じ’き裂長さ、荷重
無次元化エネルギー解放率
析では、
図2に示す供試体と荷
L
1.2
○
1.0
Crack t ip
き裂先端
0.8
アレスター半径 R=2.5
アレスター半径 R=5
アレスター半径 R=10
0.6
0.4
0.2
0.0
20
15
条件でのアレスターがある場
合とない場合のエネルギー解
Crack arrester
クラックアレスター
10
距離 L (mm)
5
0
図3. クラックアレスター効果の解析による評価.
放率の比を示す。
これを無次元
化エネルギー解放率と称する。また、横軸は’き裂先端とクラックアレスター端部間の距離
で、記号Lで示している。図3から判るように、き裂先端がアレスター端部に接近するのに
伴って’き裂先端のエネルギー解放率が急激に低下しているのが判る。これは、き裂の進展
2
に伴って、き裂先端の発泡コアの部分とクラックアレスター間で荷重の再配分が生じて、き
裂先端のエネルギー解放率が低減したためである。他の荷重条件でも解析を実施して同様な
結果を得ている。このことから、クラックアレスターの効果を解析的に確認することが出来
た。
2.3 アレスター効果に関する検討
クラックアレスターにより’き裂先端のエネルギー解放率が低減した理由を考察するた
めに、アレスター周辺の応力(yy)分布を調べた。yy はモードⅠ型負荷形態で’き裂先
端のエネルギー解放率に影響が大きいパラメータのひとつである。その結果を図4に示す。
図中のLは’き裂先端とアレスター端部間の距離である。この図において、き裂先端がア
レスター端部に接近するのに伴って’
き裂先端の応力が高い領域(応力特異
Y
き裂先端
き裂先端
場)が小さくなり、対応してアレスタ
X
ーの応力が高くなっているのが分る。
このことから、一定荷重の場合は、き
裂先端周辺とアレスター端部の間で荷
L= 10.2 mm
重の再配分が生じて、き裂先端周辺の
L=0.1mm
図4 アレスター近傍のyy 分布.
応力特異場の応力が小さくなり、その
結果として’き裂先端のエネルギー解放率が低減したことが分る。
2.4 クラックアレスター基本形の試験による検証
(1)破壊じん性試験
クラックアレスターの効果を実験で検証す
50 20
るために静的に荷重を負荷して’き裂を進展さ
せる破壊じん性試験を行った。破壊じん性試験
の概要を図5に示す。破壊じん性試験では電気
油圧疲労試験機により段階的に荷重の負荷/除
荷を行って’き裂が進展する時の荷重(臨界荷
重)と対応する’き裂先端位置を記録した。そ
図5 モードⅠ型負荷形態の概要.
して、この臨界荷重と’き裂先端位置を入力デ
ータとしてアレスターのない有限要素モデルに
より’き裂先端のエネルギー解放
Mode I type test
2000
Arrester SP.1(AC-1)
Arrester SP.2(AA-1)
No-Arrester SP.1(C-1)
No-Arrester SP.2(A-1)
レスターによる’き裂進展抑制効
果を定量的に表現するパラメータ
としての意味を持ち、見かけの破
壊じん性値と称する。また、アレ
Fracture toughness Gc (N/m)
率を求めた。この値はクラックア
1500
1000
スターのない供試体の試験データ
500
0
50
を入力データとして同様な FEM 解
析により’き裂先端のエネルギー
Arrester
55
60
65
70
Crack length a (mm)
75
80
Relation between energy
release rate and crack
図6 Fig.6
破壊じん性試験結果
(モードⅠ型負荷形態)
.
length for mode I tests.
3
解放率を求めた。この値は、面板とコア間の界面の破壊じん性値で材料固有の値である。
これらの比較を図6に示す。図6において黒色の点(●、■)が見かけの破壊じん性値で、
試験を行ったアレスター付供試体2体のデータがプロットされている。また、白抜きの点
(○、□)はアレスターのない供試体の試験結果から求めたデータで界面の破壊じん性値
を示し、
試験を行った2体の供試体のデータがプロットされている。
これらのデータから、
界面の破壊じん性値が一定の値(材料固有の値)を示しているのに対して、見かけの破壊
じん性値は’き裂先端がアレスター端部に接近するのに伴って急速に増加し、アレスター
端部近傍ではアレスターがない場合の破壊じん性値の約5倍に達している。このことから、
静的に荷重を負荷した場合のクラックアレスターによる’き裂進展抑制効果が確認できた。
(2)疲労き裂進展試験
次に、繰り返し荷重を負荷して’き裂を進展させた場合のクラックアレスター効果を評
価するために疲労き裂進展試験を実施した。試験は電気油圧疲労試験機を用いて応力比
0.1、周波数5ヘルツで荷重を負荷し、き裂進展量 4mm を目途に適時負荷を中断して’き裂
位置を計測した。 試験はアレスター付供試体及びアレスターなし供試体各1体について
実施した。き裂進展速度 da/dN と’き裂先端位置の関係を図7に示す。ここで、き裂進展
速度 da/dN は荷重を1サイクル負荷した場合の’き裂進展量を表している。図7において
アレスター付供試体のデータを「○」で示し、アレスターなし供試体のデータを「□」で
示す。図7から、アレスター
アレスター端部
なしの供試体の場合は、き裂
長さに影響されずに’き裂進
レスター付の供試体の場合は、
アレスター端部から約 5mm 離
れた位置(a = 65 mm)付近で’
き裂進展速度の増加が止まっ
ているのが判る。このような
No-Arrester SP.1
Crack propagation rate da/dN (m/cycle)
展速度が増加しているが、ア
DCB Test
1.0E-4
Arrester SP.1
1.0E-5
R=0.1
1.0E-6
388N
377N
1.0E-7
366N
1.0E-8
Pmax
=356N
現象が生じたのは、2.3 で述
べたように、一定荷重の繰り
Pmax
=333N
1.0E-9
50
55
60
Crack length a (mm)
65
70
返し負荷の条件下では、き裂
先端がアレスター端部に接近
図7. 疲労き裂進展試験結果(モードⅠ型負荷形態).
するのに伴って’き裂先端の
エネルギー解放率が低減して’き裂進展速度が低下したからである。
2.5 クラックアレスターの他構造要素への応用-スプライス兼用型アレスターここでは、クラックアレスターにより’き裂の進展が抑制される原理を他の構造要素
に応用する検討を行った。対象とする構造要素として発泡コア同士を結合するスプライス
部を選定した。発泡コアのスプライス部は大型一体構造では不可避の構造要素であり、平
成 19 年度に紹介した機首構造供試体の外板パネルの例では、4分割した外板パネル1枚は
10 枚の発泡コアパネルを組み合わせて機首部外板の形状を形成している。このようにスプ
4
ライス部は数が多く構造全体に分布しているので、この要素に’き裂進展抑制効果を付与
すると発泡コアサンドイッチパネルの損傷許容性向上に大きな効果が期待できる。なお、
既存の構造では、コアとコ
アの結合には接着剤を用い
CFRP 面板
クラッ クアレスター
ている。接着剤の層は樹脂
フォームコア
層とみなされ、き裂進展経
クラッ ク進行方向
30°
路上に配した高剛性の物質
に相当するので原理的には
図8. スプライス兼用型クラックアレスターの概要.
クラックアレスターの効果
が生じることになる。しかしながら、樹脂層の強度は CFRP と比較すると低いので、き裂先
端の接近の伴う荷重の再配分により薄い樹脂層に荷重が集中する部分が生じると、その部
分で破壊する可能性が高くなり実用性に難がある。
従って、クラックアレスターとしては、
コアとコアの間に CFRP 層を挿入するアイデアを考案した。これをスプライス兼用型アレス
ターと称する。スプライス兼用型アレスターの概要を図8に示す。
図8に従ってFEモデルを作成してクラックアレスター基本形と同様に一定荷重下で’
400
率を計算してアレスター効
350
アレスターがない場合
300
アレスター付の場合
果を評価した。モードⅠ型
負荷形態での’き裂先端の
エネルギー解放率と’き裂
先端位置の関係を図9に示
す。図9において「□」は
アレスターがない場合の値
エネルギー解放率 G [N/m]
き裂先端のエネルギー解放
250
アレスター端
部
200
150
100
で、
「●」はアレスターがあ
50
る場合の値である。この結
0
60
40
果から、アレスターがある
20
0
-20
き裂先端位置 L [mm]
-40
-60
場合は、き裂先端がアレス
ター端に接近するのに伴っ
図9. スプライス兼用型アレスターの解析的評価.
て’き裂先端のエネルギー
解放率が低下するのが判る。また、図中でLが負の値を取っているのは、き裂先端がアレ
スター端を過ぎて斜めに配したクラックアレスターに沿って進展した場合を表わしている。
この場合も、き裂先端のエネルギー解放率は低減しているので、スプライス兼用型アレス
ターは十分な’き裂進展抑制機能を有していることが解析的に判った。
次に、クラックアレスター基本形の場合と同様にスプライス兼用型アレスターの効果を
試験で確認した。ここでは、モードⅠ型負荷形態での破壊じん性試験結果を代表例として
図 10 に示す。図 10 において黒色の点(●、◆)はアレスター付供試体のデータで見かけ
の破壊じん性値を示し、白抜きの点(○)はアレスターなし供試体のデータで界面の破壊
じん性値を示す。これらを比較すると、スプライス兼用型アレスターでは、アレスターが
ない場合と比較して約 13 倍の見かけのエネルギー解放率が得られた。これにより、スプラ
イス兼用型アレスターはクラックアレスター基本形態と比較して大きな’き裂進展抑制効
5
果を持つことが判った。
基本形のクラックアレス
ターはその単純な形態か
ら比較的荷重が低いパネ
ル一般部等に適用するの
が望ましく、また、スプ
8000
アレスターがない供試体
破壊じん性値 Gc (N/m)
これらの検討結果から、
アレスター付供試体1(見かけの破壊じん性値)
アレスター付供試体2(見かけの破壊じん性値)
6000
アレスター位置
4000
2000
ライス兼用型アレスター
は、その大きな’き裂進
展効果を活かして高荷重
0
50
40
30
を伝達する構造部位に用
いることが望ましいと考
図 10.
20
10
0
距離 L (mm)
-10
-20
-30
破壊じん性試験結果(モードⅠ型負荷形態).
える。スプライス兼用型
(スプライス兼用型アレスター)
アレスターについては、
アレスター部部分のプライ数を調整することで負荷荷重の大きさに対応した最適なアレス
ター形状の設計も可能である。
2.6 クラックアレスターを適用した場合の設計クライテリアの検討
本節ではクラックアレスターを実構造に適用する際の設計基準について検討した結果
を紹介する。実構造への適用に当たっては与えられた荷重条件で’き裂の進展の有無を判
定する設計基準が必要である。ここでは、アレスターありとなしの場合でモードⅠ型、モ
ードⅡ型及びモードⅢ型の荷重条件での’き裂進展の有無を試験結果から判定する設計ク
ライテリアの素案を検討した。ここで、モードⅠ型負荷形態とは、前述のように、き裂先
端に開口変位を与えて’き裂を進展させる負荷形態であり、積層板の場合は DCB(Double
Cantilever Beam)と称している。ただし、き裂が対称面上を進展する積層板の場合と異な
り発泡コアサンドイッチパネルでは非対称な位置(面板―コアの界面)を進展するので、
ここではモードⅠ型負荷形態と称した。モードⅡ型負荷形態とモードⅢ型負荷形態は、き
裂先端にそれぞれ面内せん断変形、面外せん断変形を与えて’き裂を進展させる負荷形態
である。負荷形態の概要を図 11 に示す。ただし、図 11 は’き裂が板厚方向に対称位置に
存在する場合を示している。
実際の構造ではこれらの負荷
開口変位
形態の組み合わせになるので、
設計クライテリアの素案とし
ては、三次元座標軸の各軸方
向にモードⅠ型、
モードⅡ型、
面内せん断変位
モードⅢ型の各負荷形態での
破壊じん性値を取り、各負荷
形態を組み合わせて負荷した
場合の破壊じん性値をそれぞ
れの軸が作る平面上にプロッ
モードⅠ
モードⅡ
面外せん断変位
モードⅢ
図 11. 負荷形態の概要.
6
トした。図 12 に設計クライテリアの考え方を示す。図 12 において、座標軸が作る各面上
にプロットしたデータは、試験値にバラツキを考慮
した係数を乗じて求めた値で’き裂が進展する下限
値を意味する。これらの下限値を結んだ直線を’き
裂進展の限界線(評価線と称する)とした。すなわ
ち、負荷荷重から算出される’き裂先端のエネルギ
ー解放率がこの線上の値より大であれば’き裂が進
展すると判定される。同じ考え方で求めた各平面上
の評価線により構成される四面体の内部に負荷荷重
点があれば’き裂が進展しないと判断される。この
考え方で作成した素案の例を図 13 に示す。ここでは、
GⅠC-GⅡC 平面上のデータを示している。図中で赤で
示したラインがアレスターがない場合の’き裂進展
図 12. 設計クライテリアの考え方.
の評価線で、この線より左側が’き裂が進展しない領域である。また、青のラインはアレ
スターがある場合の評価線である。また、図中に「○」で示した点が機首構造の荷重条件
で想定損傷サイズを変えた場合の’き裂先端のエネルギー解放率である。
「○」で示したサ
イズが機首構造の鳥衝突試験で取得した損傷サイズ(直径 1,100mm)に対応するデータを
示す。図 13 では、鳥衝突の損傷を受けた場合はアレスター端部まで’き裂が進展するが、
アレスター効果によりアレスター端部の位置で’き裂の進展が止まることを意味している。
本節で示した検討結果により試験データを整備して図 12 に示す考え方で設計クライテリ
アを作成し、図 13 に示すような’き裂進展評価線を用いて与えられた負荷条件に対する’
き裂進展を評価することが可能であるとの知見を得た。今後は、バラツキを考慮した試験
データの整備と部分構造レベル以上の供試体による検証が必要と考える。
3.まとめ
ク ラッ クア レス ター に
関する一連の研究により、
このアイデアが発泡コアサ
ンドイッチパネルの’き裂
進展抑制に有効であること
が分った。また、このクラ
ックアレスターの原理を適
用すると、種々の構造要素
にも’き裂進展抑制効果を
付与することが可能になり、
発泡コアサンドイッチパネ
図 13. 設計クライテリアの素案.
ルの損傷許容性向上に有効
であるとの知見を得た。また、実用化へ向けて不可欠な事項である、き裂進展の有無を判
定するクライテリア設定についても目途を得ることが出来た。今後は、発泡コアサンドイ
ッチパネル自体の強度・剛性の向上を図りつつ部分構造レベルの評価へと研究を発展させ
7
ていきたい。
4.謝辞
本稿で紹介した検討結果は(社)日本航空宇宙工業会(SJAC)殿の委託研究契約で川崎重
工業株式会社が取得したものである。SJAC 殿のご支援に深く感謝いたします。
参考文献
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for composite sandwich ship structures, J. Compos. Mater., 38: 805-831.
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concept for sandwich structures, Compos. Sci. Technol., 67: 3378-3385.
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