音楽業界と少子高齢化 名古屋市立大学 森田ゼミ 林 勇介 小原 隆 玉置日奈子 米川碧 1 研究動機 近年の音楽業界の衰退⇒CD売り上げ、有料ダウンロードの減少、無料媒体の出現 ↓ 少子高齢化による音楽消費の中心である若者の減少 ↓ 低迷する音楽業界に打開策はないのか、、、 2 研究目的 主題 ①少子高齢化に着目し新たなビジネスターゲットを見つける。 ②音楽業界の利益を維持、もしくは増加させる新たなビジネスプランの作成 目的 高齢化への対応が音楽業界の収益の維持、もしくは増加につながるか検証する 3 目次 Ⅰ音楽業界、少子高齢化の現状 Ⅱ高齢者と音楽業界の関わり、分析 Ⅲ分析に基づく新たなビジネスプランの提案 Ⅳ結果と考察 4 音楽業界の現状 5 低迷するCD産業 「日本レコード協会」より筆者作成 6 音楽ソフトに占める有料配信の割合 単位:億円 「日本レコード協会」より筆者作成 7 音楽業界の現状 CD、レコード売上⇒3000億円 ライブ売上⇒3200億円 カラオケ産業⇒6150億円 音楽産業のシェアの中心!! 消費者の音楽需要は ソフトからリアル(体感) へと移行している 8 少子高齢化の現状 9 日本の人口ピラミッドの推移 2060年には、 ・75歳以上→25% ・65歳以上→40% 高齢化率: 日本=26.34% 世 界No.1 10 世界No.1 消費者主体は高齢者に移りつつある 「統計局 消費実態調査」 より筆者作成 11 これからのビジネスターゲットは 「高齢者」 12 高齢者の消費分析 13 高齢者の消費行動分析 注目 14 高齢者の消費行動分析結果 ①健康面での支出割合が一番高い ②労働生産年齢人口と比較すると余暇の時間、娯楽にかける費用も多い 15 高齢者向け事業の成功例① 子供向けから大人向けへ~ヤクルト~ 食品業界⇒菓子、乳製品は若年層向けという固定概念 ヤクルトが販売訪問を開始⇒高齢者に有効な直接販売 健康によい商品として高齢者の消費が上昇!! 16 余暇の時間、消費を音楽まわすことができるか、、、 17 音楽と健康 18 音楽療法 そもそも音楽療法とは、、、 音楽を聴いたり、演奏したりする際の生理的、心理的、社会的効果を応用して心身の回 復、向上をはかることを目的とする健康方法のこと 19 過去の音楽療法機材 《モーツァルト音楽療法のCD》 リラックス効果のある周波数を多く含んでいると研究発表される 一時は大きな売り上げを見せるが、一度購入をしたらそれを聞き続けるため 長期的な利益は見込めなかった 20 長期的利益を生み出すにはどうするか? 21 音楽療法 ・音楽療法士 対象者にあった音楽プランを組み、治療、リハビリの補助を行う ・健康カラオケ 好きな歌を歌うことでストレスの解消、高齢者施設では自己表現の場として 22 健康カラオケに着目 カラオケが健康によいという認識がまだ低いが、、、 《健康カラオケの効果》 ①ストレス解消、認知症予防 ②自己治癒力が高まる ②高い運動効果⇒5曲歌った消費カロリーは400m走と同じ消費量 23 高齢者とカラオケ 24 高齢者のカラオケ利用状況 市場調査データ 「カラオケボックス 現在の利用状況」より 25 行動者率=行動者数 / 属性別人口 総務省 「平成23年度社会生活基本調査」 より筆者作成 26 カラオケを利用した新ビジネス 27 CD、レコード売上⇒3000億円 ライブ売上⇒3200億円 カラオケ産業⇒6150億円 音楽産業のシェアの中心!! 28 年代別:音楽への関心度 1.有料聴取層 2.無料聴取層 3.無料聴取層 (既知楽曲のみ) 4.無関心層 日本レコード協会「音楽メディアユーザー実態調査 2015年版」 29 高齢者たちは新しい音楽を取り入れるより、 もともと持っているものを聴きつづける傾向 新しく音楽を入手しやすくなれば、高齢者の音楽消費量は増える?? 30 カラオケ業者と連携した有料音楽配信アプリの作成 31 高齢者のスマホ普及率 一年間で約10%の増加 今後は既に所有している世 代が移行してくるためさら に増加 32 アプリの内容 ①カラオケ店で歌う ②アプリを立ち上げ、カラオケ機器と連動させる ③一時間あたり、歌った曲数分だけダウンロード可能となる 33 値段設定 (参考)某カラオケ店のシニアプラン 一般料金一時間460円 シニア料金一時間220円⇒差額240円 仮に差額200円を採用し一時間カラオケで歌った曲数分ダウンロード可能とすると 34 定額制音楽配信~dヒッツと比較して~ 月額:定額500円で聴き放題 しかし! ダウンロード保存できるのは、月10曲まで 35 比較 dヒッツ:月500円/10曲 アプリ:1回400円/20曲 (平均滞在時間二時間×一時間あたりの平均曲数10曲) 《年間》 年間に直すと、、、 dヒッツ:6000円/120曲→1曲あたり50円 アプリ:1600円/80曲(年間平均カラオケ利用回数:4回)→1曲あたり20円 36 収益の計算方法 高齢者全体の年間カラオケ利用時間 4750万人×4.03回×25%×2時間=9571.25万時間 37 49億7702.4万円 計算結果 カラオケアプリ利益 49億7702.4万円 有料音楽配信年間売り上げ 470億7300.0万円 高齢者だけで従来の音 楽配信の約10%の収 益が見込める!! 38 メリット さらに、、、 ①コストがかからない ②音楽を手に入れやすい環境整備 ③新たな興味を喚起する 39 まとめ 若者減 高齢者増 少子高齢化 高齢化への適応がカギ!! 高齢者の消費傾向から・・・健康カラオケによる利用人口拡大 音楽提供の場が少なかった高齢者にアプリの提供 40 結論 ①現在の音楽消費の中心である若者に固執しない戦略 ~高齢化への適応~ ②人口比率の変化とそのニーズに合わせた戦略 ~消費者分析~ ③音楽業界ではソフトからリアルへの移行 ~既存の媒体に固執しない~ 41 参考文献 日本レコード協会 統計局 消費実態調査 国立社会保障・人口問題研究所 家計調査 一般社団法人コンサートプロモーターズ協会 国民生活時間調査 42 高齢者の消費動機分析 高齢者のタブレット端末購入動機 ↓ マスメディアの影響を受けやすい ↓ これを生かした宣伝、広告の活用 43 マスメディアの影響を受けやすい高齢者 国民生活時間調査より 44 計算に用いる割合 45 成功例② 高齢化の進む過疎地域で成功をおさめたCurves 縮小傾向をみせるフィットネス業界 ・80代・90代の顧客を多数かかえる ・会員の病歴まで把握することで、個人的な健康に関する悩み相談を請け負う ・自治体の介護事業を一部受諾 売り上げ:前年比 42%増!経常利益:前期比 62%増!! 経済産業省「産業活動分析」より筆者作成 46 アプリの制作コスト アプリ開発会社年鑑2015によると 最低価格の平均124万円 最高価格の平均2331万円 大規模なシステム構築を行っても上限は2000万円程度 47 高齢化に向けた現在の取り組み 48 ①カラオケの高齢者向け販売 『JOYSOUND FESTA』 笑顔・元気・健康をテーマに生まれた 高齢者福祉施設向けのカラオケ →音楽療法を気軽に導入できる仕組み カラオケ利用の増加も見込める 49 一般財団法人カラオケ事業者協会「カラオケ白書」より筆者作成 厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」より筆者作成 50 ②VRの導入 VR(バーチャルリアリティ) ・・・人間の感覚器官に働きかけ、現 実ではないが実質的に現実のように 感じられる環境を人工的に作り出す 技術 →ヘットマウントディスプレイが主流 Sony Interactive Entertainment 公式サイトより Play Station VR 51 VRの魅力 VRカラオケ 自宅でライブ鑑賞 移動が困難な高齢者も楽しめる!! 52 ライブ市場の拡大 出典:一般社団法人コンサートプロモーターズ協会調べ 53 ・CD、レコードなどソフト面の売り上げは大きく減少している ⇒ピーク時の90年代後半と比較して現在は半分以下 消費者の音楽需要は ソフトからリアル(体感) へと移行している ・一方、ライブ、カラオケの売り上げは上昇 ⇒2000年代前半から約三倍に、音楽ソフト産業を上回る 54 55
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