ビデオ信号について(PDF:238KB)

2.ビデオ信号について
No.1
☆輝度信号と色信号
(1)カメラからのRGB信号を基に輝度信号と色差信号を生成します。
白黒テレビではこの輝度信号を白黒画像として表示します。
カラーテレビでは輝度信号と色差信号からRGB信号を復調してカラー画像として表
示します。
(2)輝度信号(Y)と色差信号(R-Y、B-Y)の生成方法
輝度信号と色差信号は次の式により生成されます。
Y=0.299R+0.587G+0.114B
R-Y=0.701R-0.587G-0.114B
B-Y=-0.299R-0.587G+0.886G
(3) カラーバー信号の輝度信号と色差信号の波形
B
R
G
Y
R-Y
B-Y
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2.ビデオ信号について
No.2
☆NTSC コンポジットビデオ信号
(1)コンポジットビデオ信号は映像信号、同期信号から成り立っています。
映像信号は輝度信号にクロマ信号が重畳されている信号です。
クロマ信号はR-YとB-Yの色差信号より生成されます。
(2)同期信号
同期信号
H-TIMING
V-TIMING
水平同期信号の詳細
立下り時間
10%
立上り時間
50%レベル
バースト信号
90%
H 同期幅
SCH位相
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2.ビデオ信号について No.3
☆NTSC コンポジットビデオ信号
(1)クロマ信号の生成
NTSC方式の場合、IとQの二つの色差信号で周波数(3.579545MHz)は同一で、
位相が 90 度異なった二つの副搬送波信号を搬送波抑圧振幅変調した後、加算しクロ
マ信号を生成します。
この変調方式の特徴は色がなくなると搬送波の振幅が0になります。
色差信号にR-YとB-Yの代わりにIとQの信号を用いるのはIの色が人間の目
には解像度が良いので I の色成分のみ帯域を広くするためです。解像度の悪い色はよ
り低い帯域に制限します。
色差信号の帯域を制限するのは、電波の帯域が6MHzに制限されているのでこの範
囲を超えないようにするためです。
ちなみにI信号の帯域は1.3MHz、Q信号の帯域は600kHzに制限されま
す。
(2)クロマ信号の振幅
クロマ信号は輝度信号に重畳されます。その最大値が100IRE を超えないように
振幅が制限されています。カラーバー信号では黄色とシアンの色が最大になります。
反対に下限も制限されます。制限される色は赤と青です。
例:カラーバー信号
100IRE
黄 シアン
クロマ信号
0IRE
赤 青
下限
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2.ビデオ信号について No.4
☆HDTV信号
(1)HDTV信号のスキャンニングシステム
HDTVのスキャンニングシステムは多くの種類があります。
それぞれのシステムは以下の組み合わせになります。
1フレーム全ライン数
:1125
1フレームアクティブライン数:1080(画像部分)
スキャンニング方式:プログレッシブまたは2:1インターレース
フレームレート:60Hz、60/1001Hz、50Hz、30Hz
30/1001Hz、25Hz、24Hz、24/1001Hz
全ラインサンプル数
:2200、2640、2750
アクティブラインサンプル数
:1920(画像部分)
・アナログの水平同期信号波形(3値同期信号)
NTSC方式と異なり3値の同期信号が用いられています。
映像信号の直流レベル変動による影響が2値の同期信号より小さく、より精度の高
い同期のタイミングが得られます。
中心を同期のタイミングとして抜き取る。
(2)HDTVの輝度信号(Y)と色差信号(PB、PR)の生成方法
輝度信号と色差信号は次の式により生成されます。
NTSCと値が異なります。
Y=0.2126R+0.7152G+0.0722B
PB=-0.1146R-0.3854G+0.500B
PR=0.500R-0.4542G-0.0458G
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2.ビデオ信号について No.5
☆HDTV 信号(2)
(1)HDTV のアナログ信号波形(水平)
水平タイミングはシステムによって異なります。
起点は 0V のレベルと交差する点です。
周波数帯域はインターレースで30MHz、プログレッシブで60MHzです。
アナログ接続では PB、PR 信号は Y 信号と同じ帯域としなければなりません。
理由は Y 信号と PB、PR 信号の周波数帯域が異なると互いの位相が異なり色ずれが
起きるためです。
・Y,R,G,B
基準白(700mV)
300mV
基準黒(0V)
0V
-300mV
水平タイミング
・PB、PR 信号
基準ピークレベル(350mV)
300mV
0V
-300mV
基準ピークレベル(-350mV)
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2.ビデオ信号について No.6
☆HDTV 信号(3)
(1)デジタル HDTV 信号
アナログ信号をデジタル信号に変換した場合の値を示します。
値は 10 ビット、10 進数で表しています。8 ビットに変換する場合は 4 で除します。
・Y,R,G,B
基準白(940)
基準黒(16)
水平タイミング
・CB、CR 信号(帯域は Y 信号の 1/2 となります)
基準ピークレベル(960)
128
基準ピークレベル(64)
(2) デジタル化する場合のアナログ信号の帯域制限
アナログ信号をデジタル化する場合 A/D 変換器の前に、折り返しノイズを発生させ
ないためにサンプリング周波数の 1/2 以下に帯域制限したフィルターを挿入する必
要があります。
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2.ビデオ信号について No.7
☆シリアルデジタル(SDI)信号(1)
(1)デジタルビデオ信号を伝送するには通常シリアル伝送が行われます。
10ビット信号を並列に伝送するためにはクロックを含めて11本の線が必要になり
ます。このため長距離伝送では10ビットの信号を直列に変換して伝送します。
直列にすると高いビットレートなります。この信号をケーブルで長距離伝送すると高
い周波数の成分が劣化し誤りを起こしやすくなります。
この劣化度合いを測定する方法の一つとしてアイパターンがあります。
(2)SDI信号のアイパターン
波形B
波形A
アイアパーチャ(開口率)は符号間干渉、ノイズにより減少します。
アイアパーチャは波形Aと波形Bの比で現されます。
例えばアイアパーチャが0.5であれば余裕は1/2減少にします。
アイパターンによる波形は感覚的にわかりやすく SDI 信号を評価するのに有用な
測定です。
(3)符号間干渉が起こる理由
A
周波数特性が劣化すると基の
パルス波形が訛ります。
波形が訛ると前の信号の成分が
後に尾を引きます。これが符号
B
間干渉です。符号間干渉を少な
くするにはイコライザーで周波
数特性を上げて補正します。
A+B
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2.ビデオ信号について No.8
☆シリアルデジタル(SDI)信号(2)
(1)SDI信号のジッタ-について
符合間干渉と同じくSDI信号にジッタ-があるとデータが正しく再現できずエラー
が発生します。
ジッタ-には入力信号自体のジッターと接続した機器固有のジッターがあります。
(2)ジッタ-の周波数特性
タイミングジッター
ジッター
アライメントジッター
f1
f2
・タイミングジッター
f3
f4
:周波数 f1 以上のジッターです。
f1 は通常 10Hz となります。
・アライメントジッター:周波数 f3 以上のジッターです。
入力信号とクロック信号間のジッターです。
f3 はクロック再生の周波数特性になります。
クロック信号は入力信号から発生させます。
(3)アイパターン波形でのジッター
ジッター(秒)
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