特集:販売改革 「スーパーバイザー」の活動を軸に 特約店と一体となった販売改革を推進 激変する環境、厳しい市況のなか「最強の競争力」を 構築するために、当社は大胆な構造改革に取り組んできました。 現在、最も力を入れているのは販売特約店の改革です。 今回は販売担当役員、内田武文常務より 当社の販売特約店戦略について解説します。 常務取締役 内田武文 マージン14円時代に勝つ競争力構築へ ■レギュラーガソリンの価格と原油CIF価格の推移 96年の特石法廃止以降の競争の激化で市場価 120 円 110 格の低迷が続き、この4∼5年の石油業界を取り 100 巻く環境は大きく変わっています。石油製品(ガ 90 ソリン・灯油・軽油・A重油)の小売価格から原 30 $ 20 油価格を差し引いた業界全体のマージン(スルー マージン)の推移を見てみると、特石法の廃止前 レギュラーガソリン(円/ ) 原油CIF価格($/B) 10 95/1 5 9 96/1 5 9 97/1 5 9 98/1 5 9 99/1 5 9 00/1 5 には1ℓ当たり26円弱が確保されていましたが、 現在その値が17円まで低下しています。この17 出所:大蔵省「貿易統計」 円の中で原油輸送から精製・物流・SS運営等を に想定し、そのなかでも競争に勝ち残ることがで 行っていく必要があるわけです。元売の当社、そ きる体制作りに取り組み、96年から合計1,200億 してSSを運営する特約店のマージン比率はおお 円を超える合理化を達成しました。更に現在、 よそ6:4です。つまり元売、特約店それぞれが8 6 0 0 億円(2000∼2003年度、一部99年度に実施 ∼9円ずつのマージンで事業を行っていかなくて 済み)を超える合理化を進めています。 はなりません。 ここまでは元売の当社が進めた変革です。これ この環境に対応するために、当社は事業の全て と並行して急ピッチで進めているのが、取引先で の段階で大胆な合理化を推進してきました。具体 ある特約店側の合理化です。コスモ石油グループ 的には、スルーのマージンを更に厳しく14円/ として最強の競争力を確保するためには、現状の 特集:販売改革 8∼9円マージンで利益の出る体質を早期に実現す トワークの活用など付加価値アップの施策を組み ることはもちろん、更に厳しい環境を想定し、ス 合わせた具体的なプランを提案してバックアップ ルーマージン14円時においても6∼7円のマージン します。更に経営者の意欲向上、新入社員研修や で経営が成立することを視野に入れて、収益構造 危険物資格、整備士資格の取得等の人材育成も 強化に責任を持って対応していただくことが不可 積極的に進めます。単なる元売販売要員から、フ 欠になるのです。 ランチャイズ・チェーンのスーパーバイザー的な 働きをしています。 特約店経営の改革をバックアップするCSV その後拡充したCSVは、現在では全支店に63 特約店の皆さまに厳しい効率化に取り組んでい 人。特約店にいらっしゃるプロパーのスーパーバ ただくために、当社は最大限のバックアップを行 イザーと連携し、SSの運営管理・改革をサポー っています。昨年夏、従来の販売営業体制を一新 トしています。また、SSだけではなく、特約店本 して、当社の支店に「CSV」 (コスモ・スーパー 社の合理化にも取り組んでいただくために、組織 バイザー)25人を置きました。CSVは、従来の の改革(スリム化) 、役員の削減、本社オフィス ように売り上げの確保ではなく、特約店経営のコ の規模縮小・移転・オフィスの備品一つに至るま スト効率化と合理的な販売力強化を提案し、経営 での合理化プランを提案します。 改革をバックアップすることを任務としていま 2 0 0 0 年の「SSNAVI指数」の目標値は6以下 す。CSVの実際の業務は、SS販売での自動車燃 の達成に置いています。また、付加価値粗利を人 料油の拡販、油外収益アップはもちろん、人員を 件費で割って算出する「F指数」を設定して、こ 始めとするコストの大胆な削減等を進め、これに れを110以上確保する施策を進めています。これ 「コスモ・ザ・カード」の発行拡大・活用プログ は、言ってみれば「人件費分を付加価値粗利で賄 ラム、カーケア・コンビニエンス「B-cle」ネッ う」という指数です。SSのパートタイムの従業員 ■F指数 ■NAVI指数 SSNAVI指数 6以下の実現 6 本社NAVI指数 1以下の実現 以下 以下 ●SSNAVI指数計算式 SS直接経費−(付加価値粗利+灯油粗利) SSNAVI指数= 自動車燃料油販売量 *SSNAVI指数はSSの体質を表す指標。NAVI 指数の値が小さいほどSSの体質は強いと言える。 1 ●本社NAVI指数計算式 本社NAVI指数= 本社間接部門コスト−SS部門以外の営業利益 直営SS自動車燃料油販売量 *SS以外の収支がSS自動車燃料油マージン換 算でいくら貢献または負担しているかを測る指標。 値が小さいほど本社の体質は強いと言える。 人件費を上回る 付加価値粗利の確保 110 以上 ●F指数(付加価値指数)計算式 F指数= 付加価値粗利 ×100 人件費 特集:販売改革 一人ひとりにも実感できる数値ですから、全員の 意識改革を進めるための指針としています。 特約店の構造改革推進については、当社から積 極的に特約店に提案し、具体的な活動を展開して おります。その先駆けとしてまず取り組んだ出資 ■NAVI SHAPE-UPプログラム コスト競争力のあるSS経営の基盤づくりを科学的にサポート ●活動内容 統計的データに基づき、SS個々に「NAVI 6以下達成」のため の適正なコスト (人件費、一般管理費) を算出し、 それを実現す るための具体策をパソコンで科学的に提案していきます。 〈データソース〉 特約店の改革では、かなりの改善が達成できまし た。昨年暮れには九州地区で一時的ではあります 人件費 が「SSNAVI指数」で「0」という驚異的な成績 〈提案項目〉 経営分析アラームシート ●接客形態 ●水道光熱費の 削減の仕方 ●通信費、事務用 消耗品費の削 減の仕方 ●最適ローテーション ●旅費交通費の 削減の仕方 適正な人件費で運営 ローテーションソフト も実現しました。様々な努力は強い競争力という ローテーションの適正化 一般管理費 形となって、着実に身を結んできました。 〈活用ソフト〉 一般管理費診断ソフト 水道光熱費等の管理 この改革を更にスピードアップさせるため、今 年7月には業界でも例を見ない、出資特約店の大 胆な合併・集約を行いました。全国の出資特約店 12社を統合したコスモ石油サービス(株)の発足 です。1社への集約に伴い、間接部門の共有や、 明確な責任分担のもと最強の競争力構築 当社と特約店が互いに6∼7円のマージンのな 統合に伴う不採算SSの統廃合など、より大胆な かで事業を展開するという責任分担を明確にする 施策を進め、コスト競争力を一層強化します。こ ためには、より明快な契約に基づく取引形態が必 の新会社が牽引役となり、取引特約店の構造改革 要です。これを徹底するための施策として、4月 も更に速度を速めていくことになります。 から仕切価格のフォーミュラー化をスタートさ せ、併せて支払いサイトの選択制による見直しを 行い、サイトを大幅に短縮し、透明で厳格な取引 ■販売子会社の1社化 東 京 コ ス モ 石 油 サ ー ビ ス ︵ 株 ︶ ︵ 株 ︶ 浜 松 コ ス モ 北 関 東 石 油 ︵ 株 ︶ ︵ 株 ︶ エ ク サ ス 興 亜 商 事 ︵ 株 ︶ ︵ 株 ︶ 名 古 屋 C S N 大 阪 コ ス モ 石 販 ︵ 株 ︶ 広 島 石 油 ︵ 株 ︶ ︵ 株 ︶ コ ス モ ネ オ コ ー ポ レ ー シ ョ ン 形態を実現しています。 四 国 コ ス モ 石 販 ︵ 株 ︶ 九 州 コ ス モ 石 油 販 売 ︵ 株 ︶ 北 九 州 コ ス モ 石 油 サ ー ビ ス ︵ 株 ︶ 今年度の経常利益目標は、単独80億円、連結 150億円ですが、目標を達成する上で出資特約店 の貢献度・期待度は大きいものがあります。当社 も、特約店も、それぞれの責任で最大限の構造改 革を実現し、厳しい環境に対応できる最強の競争 力を持てば目標は達成できると、私たちは確信し コスモ石油サービス(株) ています。
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