広島音楽高等学校の募集停止について 広島音楽高等学校は、昭和24年(1949年)、浄土真宗本願寺派安芸教区をはじめ、多く の念仏者によって被爆間もない広島の地に「敬虔且有能な音楽教師と演奏家を指導育成し て地方文化の水準を向上させることの外に、僧俗の区別を超えて万人の唱和する讃仰感謝 の旋律が内心に深く潜む宗教的感情を呼び醒まし、融和敬愛の精神を呼び起こすことの出 来る仏教音楽の創作と普及によって大悲傳化の助縁たらしめたい」(安芸教区蓮如上人遠 忌記念事業計画書 広島音楽高等学校建設趣意書より)との崇高な理念を掲げて、本願寺 第8代蓮如上人450回遠忌法要の記念事業として発願、広島真宗財団広島音楽高等学校と して創設され、その後、昭和48年(1973年)己斐の現在地に移転、法人名を「学校法人 見真学園」とし、翌、昭和49年(1974年)に見真幼稚園、昭和50年(1975年)に広島音 楽アカデミーを併設し、今日に至っております。 「仏教精神を基調として豊かな人間形成をはかること」 、 「音楽の正しい基礎教育を行い、 音楽性を培い、音楽的思考や技術を養成すること」を教育の目標として掲げ、全国的にも 類の無い単立・単科の高等学校として、音楽界、教育界などに約3,800余名の卒業生を送 り出してまいりました。 単立・単科の音楽高等学校として、施設・設備の充実はもとより生徒一人一人の音楽的 特性を見極め、さらにそれを伸長していくためのきめ細かい教育の実践と継続のためには 財政的に確かな基盤に立った学園経営が求められます。 しかしながら、バブル景気の崩壊を境に徐々に入学者の減少が始まり、さらに、生徒減 に追い打ちをかける、少子化、中・高一貫校の台頭、音楽大学の門戸拡大、公立高校の無 償化等々により、特に、平成19年度より入学者の減少が顕著となり、募集定員70名に 対して平成23年度は31名、平成24年度は18名、平成25年度は28名という状況 で、平成26年度においても18名の入学者数となり、学則定員210名の3分の1にも 満たない全校生徒61名という状況となりました。 当然、財務状況においても生徒減の影響は甚大で、支出超過の額は近年急速に増大しつ つあり、人件費をはじめとする諸経費削減等の経営努力を行って参りましたが、支払資金 へ充当のため積立金の取り崩しもやむなき状況となりました。また、関係学園との提携の 相談等存続の可能性の模索も行って参りましたが、今日まで結実することはありませんで した。 全国的にも、音楽高校あるいは音楽科を設置する学校においては生徒減の状況が窺え、 近年数校が既に募集を停止されています。 この間、学園関係者はじめ有識者で構成する協議会や理事会等において慎重に協議を重 ねた結果、このままでは、将来にわたる教育内容の維持はもとより、施設・設備の老朽化、 校舎の耐震化に対応することも困難であり、経営破綻という最悪の事態を避けるためにも、 断腸の思いで平成27年度に生徒募集停止という苦汁の決断をいたしました。 しかし、平成26年度迎え入れた新入生をはじめとする在校生の教育の保証は当然のこ と、それぞれの生徒達の夢と進路の実現に、全力を傾注して取り組む所存であります。 広島音楽高等学校が、安芸教区さらには宗門の青少年育成教化機関の一端として設立の 願いのもとに今日まで果たしてきたその役割と航跡は決して途絶えるものではなく、見真 幼稚園とそれに付随する音楽アカデミーの充実を図るなかで、新たな創造と展開を模索し、 学園の発展を期したいと思います。 今日まで、広島音楽高等学校のためご尽力やご協力をいただいた歴代先生方、保護者の 皆様、卒業生の皆様、諸官庁の皆様、地域の皆様等々、関係者の皆様に厚く御礼を申し上 げるとともに、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。 2014(平成26)年5月14日 学校法人見真学園 理事長 安 部 惠 証 学園長 河 野 義 範 広島音楽高等学校 校 長 研 井 貴馨子
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