いろいろな泳ぎ方を身に付け,心地よく泳いだり泳ぐ距離を 伸ばしたりする

水泳
いろいろな泳ぎ方を身に付け,心地よく泳いだり泳ぐ距離を
伸ばしたりすることを楽しむことができる力を育てる
高松市南ブロック
1
主題について
学習指導要領の体育科の目標に「心と体を一
体としてとらえ…楽しく明るい生活を営む態度
を育てる」とある。しかし,近年児童の体力の
低下が叫ばれ,体を動かすことを好み活発に運
動する者とそうでない者の二極化が指摘されて
いる。そこで,小学校では体育(運動)好きな
児童を育成していくことが必要であると考えら
れる。
これまで,高松市南ブロックでは県の研究テーマ「夢中・熱中,体育学習」を受け,学習内
容の系統性を踏まえた教材化,授業づくりをめざして,研究主題として「いろいろな泳ぎ方を
身に付け ,心地よく泳いだり泳ぐ距離を伸ばしたりすることを楽しむことができる力を育てる 」
と設定し研究を進めてきた。そして,児童の実態調査等から水泳が好きになる要因として「泳
げ る よ う に な る こ と 」「 記 録 が 伸 び て い く こ と 」 が 大 き く 関 わ っ て い る こ と が わ か っ た 。 そ の
た め に は ,「 浮 く 」「 進 む 」「 呼 吸 す る 」 の 3 つ の 動 作 がで き る よ う に な ら な け れ ば な ら な い 。
そこで,続けて長く泳ぐため,そして自分の記録を伸ばすために必要である「呼吸する=息継
ぎ」に焦点を当て,研究に取り組んでいる。
ま た ,「 息 継 ぎ 」 に 焦 点 を 当 て る た め に ,「 で き る 」( 運 動 技 能 の 習 得 ) を 学 習 内 容 の 中 心 と
して考え,低学年(水遊び)では「水中で息をはける(バブリング )」,中学年(浮く・泳ぐ)
で は 「( 補 助 具 を 使 っ て ) 息 継 ぎ を し な が ら 泳 げ る 」, 中 学 年 ( 水 泳 ) で は 「 息 継 ぎ を し な が
ら 10∼ 25m 程 度 泳 げ る 」, 高 学 年 で は 「 タ イ ミ ン グ の よ い 息 継 ぎ を し な が ら 長 い 距 離 を 続 け て
泳げる」ことを学習内容として設定した。
2
研究の内容と方法
(1)学習内容の妥当性を探る
水 泳 領 域 に お け る 「 わ か る 」「 で き る 」「 か か わ る 」 の 3 つ の 視 点 と 各 学 年 の 発 達 段 階 を
考えて系統表を作成し,その妥当性を授業実践を通して検証する。
(2)教材化の効果
子ども達が体育授業において「夢中・熱中」できる教材化であったかどうかを探る。体育
カード,教師の見取り,ビデオでの記録等を用いて授業分析を行う。
(3)支援の在り方
子ども達を「夢中・熱中」させるためにはどのような支援や手だてが必要なのかを明らか
にする。予想されるつまずきとそれに対する支援の成否を明らかにする。
3 研究の実践例
【平成 18 年度までの研究】
(1)教材化
教材について
低
学
年
(
基
本
の
運
動
)
中
学
年
(
浮
く
・
泳
ぐ
)
(
水
泳
【水あそびランド】
プールを「もぐる場」「呼吸を練習する場 」「浮く場」「泳ぐ場」に分け,それぞれの場で
楽しみながら水遊びをすることで,水に対して慣れるようにする。
1 ○もぐる場
○呼吸を練習する場
○浮く場
1
(ドッボンゾーン) (ブクブクゾーン)
(プカプカゾーン)
2 ・電車ごっこ
・ブクブク鬼(鬼がバブリングしな ・壁につかまって伏 2
・宝さがし
がら追いかける鬼ごっこ)
し浮き
3 ・水中じゃんけん ・水中ことばあてゲーム
・だるま浮き,ボー 3
など
・連続打ち上げ花火(連続ボビング)
ルつき
4
など
・友だちにつかまっ 4
て伏し浮きなど
5 ○泳ぐ場(スイスイゾーン)・けのび・ビート板バタ足など
5
※プールフロアーの使用や大プールの水深を下げるなどの工夫で大プールでで
6
きるとよい。
6
)
【伏し浮きからの立ち上がり】
立ち上がる
時に,両手で
水を押さえ膝
を胸の方に近
づけることを
身に付けるこ
とで,いつでも立てる安心感をもち,
水に対する恐怖心が少なくなると考え
る。
【けのび・バタ足リレー】
一人ずつけのびで進みゴールまで何
回立った回数を数え回数の合計が少な
いチームの勝ち。
【変身浮き・グループ浮き】
合図で浮き方を変え,いろいろな浮
き方に挑戦する。
グループで手をつないだり,タイミ
ングを合わせたりしながら一緒に浮
く。
【ドル平】
平泳ぎのプルとドルフィンキックで
泳ぐことで手足のタイミングを合わせ
ながら息継ぎの練習をする。
【面かぶりクロール】
伏し浮きからの立ち上がりの中で,
浮いた状態でゆっくり手や足を動かす
ことで水中で進む感覚を身に付ける。
【クロール】
平泳ぎに比べ,手足のタイミングな
どの技能的な面では取り組みやすい
が,横に向いての息継ぎとなるのでタ
イミングが難しい。4年生では10∼
【リズム水泳】
体ほぐしの運動として ,子
どもたちが慣れ親しんだ曲
にあわせてバブリングやボ
ビングなど水泳の基礎とな
る動きを取り入れ,楽しみ
ながら水泳の基礎を身に付けられるようにする。
【壁かけキックビート板流し】
クロールのキックの練習をする際に,壁かけキッ
クでプールに浮かせたビート板をできるだけ遠くに
流すことでしっかり水をけっているかを知ることが
できる。
【背浮きバタ足・カエル足】
ビート板を使って背浮きの姿勢でバタ足やカエル
足を行うことで,自分の目で正しいキックを確認で
きる。
バタ足
足首が曲がったままになっていないか。
ひざが自転車こぎになっていないか。
カエル足 足のうらで水をけっているか。
けり終わった後,のびができているか。
【あの島を目指して】
距離に挑戦する際に25m
の間に等間隔に島(立つこと
ができる台)を置き,泳ぎの
苦手な児童の不安感を和らげ
るとともに,明確な目標とすることができる。
【皇帝ペンギン】
足首を曲げて水中を歩くことで,平泳ぎのキック
の際の足首の曲げ方を身に付ける。
【チキンロール】
手を脇の下に入れ,二の腕だけで泳ぐことで腕の
回し方を身に付ける。
25m,高学年では続けて長く泳ぐこ 【シンクロ水泳】
とを目標とする。
イルカ跳びや背浮き,ス
【平泳ぎ】
カーリングといった「水泳」
息継ぎを前にむいてゆっくりできる の基本となる技能を取り入
高 ので,クロールで息継ぎが苦手な児童 れ,楽しみながらそれらの
にとっても息継ぎがしやすく,続けて 技能を習得していく活動と
長く泳ぐことに挑戦しやすいが,足の して取り入れる。
けり方や腕と足と呼吸のタイミングな 【マイペース泳・○分間泳】
ど難しい面もある。4年生では10∼
マイペース泳法と○分間泳を組み合わせて行う。
学 25m,高学年では続けて長く泳ぐこ
時間泳を30秒泳いで
とを目標とする。
15秒休むマイペース
【背泳ぎ】
泳法で泳ぐことで,長
クロール,平泳ぎに比べ上を向いて
い距離を続けて泳ぐの
泳ぐために息継ぎに不安を抱える児童
が苦手な児童にも取り
年 にとっては取り組みやすいと考える。 組みやすくなると考えた。また,15秒の休みの時
また,他の泳法と呼吸の仕方は同じな にバディの友だちからアドバイスや励ましを受けた
ので他の泳法への移行もできる。しか りできるので児童相互のかかわり持てる。
し,背浮きに対する慣れが必要である。
(2) 実践学年の系統表の見直し
①第4学年 「水泳 ∼より遠くへ・・・あの島を目指して!∼」
わかる
・手のかきの合わせ,顔を横にあげて息継ぎすることが分かる。
○各課題で気をつけて練習するポイントや補助の仕方が振り返
ることができるように,課題ごとにボードにポイントを図示
したものを掲示しておくことで息継ぎのポイントを確認することができた。
○上手にできるコツを擬音語などで表現して,他の児童が感覚的にもとらえ
られるように助言することで,バディとして友だちの泳ぎの改善点を見つけ,
アドバイスすることができた。
できる
・腕に耳をのせ,顔を横に上げて息継ぎができる。
・クロールで息継ぎをしながら,10∼25m程度泳ぐことができる。
○予想されるつまずきに対する練習方法を示すことで,バディでの練習を効果的なものにするこ
とができた。
予想されるつまずき
支
援
泳 ○うまく息を吸い,止め,吐くことができ →①連続バブリング,連続ロケット
力 ない。
②バディ・トリオのカウントする手を見
が
ながら潜ったり,泳いだりする。
低 ○けのびの姿勢(ストリームライン)が作 →バディ・トリオでくずれたポイントをチ
い れない。
ェックして
①上がった頭や曲がったひじにタッチ。
②壁にもたれて姿勢のチェック。
○バタ足のひざが
→①小プールで座ってバタ足をして,足の
曲がってしまう。
動きをつかむ。
②潜水バタ足。
③バディ・トリオでひざの下にうでをの
ばしていれる。
○足が沈んでしまう。
→①けのびの姿勢とバタ足の再チェック。
②ブイの使用。
泳
力
が
高
い
○横からの息継ぎが
うまくできない。
・顔が前から上がっ
てしまう。
・前に伸ばした手が
→①陸上でプルの動きの練習
②水中で足をついてプルの動きの練習
③ビート板やブイを使用しての片手クロ
ール
④補助具なしでの片手クロール
沈んでしまう。
かかわる
・バディやトリオ,グループでの学習を通して,タイミングを取るための声かけや互いに補助
をしあいながら協力して学習を進めることができる。
○バディやトリオを組み,自分の課題を解決するために友
だちの泳ぎから学んだり,自分や
友だちのがんばりや成功をともに
喜び合ったりする経験を通して,
お互いに学びあえる態度を育てる
ことができた。
○学級経営とタイアップさせ,バディやトリオで座席を隣にするなど,
ともに協力して活動の機会を増やすことで,学び合いの効果をさらに
高めることができた。
②第6学年「水泳」
●単元化の工夫
本単元では,全12時間のうち前半はクロール,平泳ぎ,背泳ぎについて一斉練習や個人練
習を多めに取り入れて泳ぎの基本練習を行い,後半は子どもが泳ぎ方を選択し,自分の課題を
考えながら練習の仕方を工夫していった。また,後半の授業の最後にチャレンジタイムを設け
て,児童の記録の伸びを確かめた。
●学習の流れ
1
2∼3
4∼6
7∼9
10∼12
【個人練習,一斉練習】
【バディやトリオによる練習】
オ
リ
エ
ン
テ
ー
シ
ョ
ン
○基礎的な技能を身に付けよう。
・伏し浮き・バブリング・壁キック・ビート板キック・スタート,ターン 等
○クロールで長く ○平泳ぎで長く泳ご ○背泳ぎで長く泳ご ○いろな泳ぎ方に挑戦
実
泳ごう。
う。
う。
しよう。
力 ・伏し浮き競争
・皇帝ペンギン
・手のかき
・クロールコース
調 ・面かぶりクロー ・ドル平
・ストリームライン ・平泳ぎコース
べ
ル競争
・手のかき
・背泳ぎコース
・手のかき
・キックの仕方
○距離泳ぎ
・ストリームライン ○新しい泳ぎに挑戦しよう。
(チャレンジタイム⇒記録に挑戦)
●系統表(平泳ぎ)との関連について
わかる
・続けて長く泳ぐには,手と足のリズムをうまく取って息継ぎをすることが大切であることが
分かる。
・基本の動作のポイントがわかる。
○中学年では,手と足のリズムをうまく取ることを知識として理解さ
せ,基本動作(特にキックの仕方)についての練習を行う。
○高学年では,基本動作の上に息継ぎ,ストリームラインにも着目し,
長く続けて泳ぐことができるようになるための練習のポイントが理解できるようにする。
できる
・手足のタイミングをうまく取りながら,長い距離を続けて泳ぐことができる。
・ストリームラインに気を付けながら速く泳ぐことができる。
○中学年では,プールの壁や補助具(ビート板,プルブイ等)を
使って手足のタイミングを身につけることができる。
○高学年では,長い距離を泳いだり,速く泳いだりすることがで
きるよう記録の測定や距離泳ぎにも挑戦させ,個人の技能が一
層伸びるようにする。
かかわる
・バディやトリオで,お互いの課題を理解し,見るポイントを意識した適切なアドバイスをし
ながら練習に取り組むことができる。
・チャレンジタイムでは,ストップウォッチ等を使いながら,友達の記録を計測したり,互い
に励ましあったりすることができる。
○中学年では,バディやトリオでのグループ練習を通して,声かけや補助
をしあいながら協力して練習に取り組ませる。
○高学年では,バディやトリオでのグループ練習の中でお互いの課題を意
識した「見るポイント」を決め,適切なアドバイスができるようにする。
また,チャレンジタイムでは,ストップウォッチを使って友達の記録を
計測したり,互いに励まし合ったりできるようにする。バディやトリオ
で自分たちの泳ぎの課題を話し合い ,「見る視点」が出来ているかどうかをお互いで見合っ
たり,体を支えあって,友達の泳ぎを助けてあげたりする。お互いの「見る視点」を理解し
て,修正したら良いところをアドバイスすることで,自分の泳ぎをよくするためにはどうし
たらよいか考えることができる。しかしながら,泳ぎが良くなるような助言をもらっても,
自分の泳ぎの修正に生かせることができない場合も見られ,それは今後の課題である。
また,チャレンジタイムではバディや同じコースの友達と協力しながら記録を計ることで,
友達の記録の伸びを認めてあげたり,記録があがった時には賞賛の言葉をかけてあげたりす
ることで学習に対する意欲の向上につながった。
(3) 今後の実践の方向性
水泳の学習において,息継ぎに焦点をあてて実践していくことについては共通理解を図れてきて
いる。教材として,クロール,平泳ぎ,背泳ぎの3種類の泳法が中心となるが,それぞれを並行し
て実践していくのか,どれかに焦点をあてるのかは意見の分かれるところである。
系統表の中で「タイミングよく」と「リズムよく」の表記があるが,その違いを明確にしておく
必要がある。また,系統表をより完成度の高いものにするために,学年ごとに学習内容を分けた方
が分かりやすいという意見やできるだけシンプルな方が分かりやすいといった意見も出され,来年
度以降の検討課題となった。内容を評価基準的なものにするためにも,系統表の中に具体的なポイ
ントを示すことや水泳指導を苦手とする先生方の一助とするために児童への言葉かけのポイントや
擬音語的な表現についても書き加えていくとよいのではという意見も出された。また,今後も継続
して教材・教具及び指導法の開発を行っていく必要がある。
【平成19年度の研究】
(1)教材化
教材について
低
学
年
(
基
本
の
運
動
)
中
学
年
(
浮
く
・
泳
ぐ
)
(
水
泳
【水あそびランド】
プールを「もぐる場」「呼吸を練習する場 」「浮く場」「泳ぐ場」に分け,それぞれの場で
楽しみながら水遊びをすることで,水に対して慣れるようにする。
1 ○もぐる場
○呼吸を練習する場
○浮く場
1
(ドッボンゾーン) (ブクブクゾーン)
(プカプカゾーン)
2 ・電車ごっこ
・ブクブク鬼(鬼がバブリングしな ・壁につかまって伏 2
・宝さがし
がら追いかける鬼ごっこ)
し浮き
3 ・水中じゃんけん ・水中ことばあてゲーム
・だるま浮き,ボー 3
など
・連続打ち上げ花火(連続ボビング)
ルつき
4
など
・友達につかまって 4
伏し浮きなど
5 ○泳ぐ場(スイスイゾーン)・けのび・ビート板バタ足など
5
※プールフロアーの使用や大プールの水深を下げるなどの工夫で大プールでで
6
きるとよい。
6
)
【伏し浮きからの立ち上がり】
立ち上がる時に両手で水を押さえ膝
を胸の方に近づけることを身に付ける
ことでいつでも立てる安心感をもち,
水に対する恐怖心が少なくなる。
【けのび・バタ足リレー】
一人ずつけのび・バタ足で進み,ゴ
ールまでの回数の合計をチームで競
い,楽しみながら水に浮いて進む感覚
を身に付ける。
【変身浮き・グループ浮き】
合図で浮き方を変えたり,グループ
で手をつないでタイミングを合わせて
一緒に浮いたりして,いろいろな浮き
方に挑戦する。
【ドル平】
平泳ぎのプルとドルフィンキックで
泳ぐことで手足のタイミングを合わせ
ながら息継ぎの練習をする。
【面かぶりクロール】
伏し浮きからの立ち上がりの中で,
浮いた状態でゆっくり手や足を動かす
ことで水中で進む感覚を身に付ける。
【クロール】
平泳ぎに比べ,手足のタイミングな
どの技能的な面では取り組みやすい
が,横に向いての息継ぎとなるのでタ
イミングが難しい。4年生では10∼25
m,高学年では続けて長く泳ぐことを
目標とする。
【平泳ぎ】
息継ぎを前にむいてゆっくりできる
ので,クロールで息継ぎが苦手な児童
【リズム水泳】
体ほぐしの運動として,児童が慣れ親しんだ曲に
合わせてバブリングやボビングなどの動きを取り入
れ,楽しみながら水泳の基礎を身に付けられるよう
にする。
【壁かけキックビート板流し】
クロールのキックの練習をする際に,壁かけキッ
クでプールに浮かせたビート板をできるだけ遠くに
流すことでしっかり水をけっているかを知ることが
できる。
【背浮きバタ足・カエル足】
ビート板を使って背浮きの姿勢でバタ足やカエル
足を行うことで,自分の目で正しいキックを確認で
きる。
バタ 足首が曲がったままになっていないか。ひざ
足
が自転車こぎになっていないか。
カエ 足のうらで水をけっているか。
ル足 けり終わった後,のびができているか。
【あの島を目指して】
距離に挑戦する際に25m
の間に等間隔に島(立つこ
とができる台)を置き,泳
ぎの苦手な児童の不安を和
らげるとともに,明確な目
標とすることができる。
【皇帝ペンギン】
足首を曲げて水中を歩くことで,平泳ぎのキック
の際の足首の曲げ方を身に付ける。
【チキンロール】
手を脇の下に入れ,二の腕だけで泳ぐことで腕の
回し方を身に付ける。
【シンクロ水泳】
イルカ跳びや背浮き,スカーリングといった「水
高
学
年
4
にとっても息継ぎがしやすく,続けて
長く泳ぐことに挑戦しやすいが,足の
けり方や腕と足と呼吸のタイミングな
ど難しい面もある。4年生では10∼25
m,高学年では続けて長く泳ぐことを
目標とする。
【背泳ぎ】
クロール,平泳ぎに比べ上を向いて
泳ぐために息継ぎに不安を抱える児童
にとっては取り組みやすいと考える。
また,他の泳法と呼吸の仕方は同じな
ので他の泳法への移行もできる。しか
し,背浮きに対する慣れが必要である。
泳」の基本となる技能を取り入れ,楽しみながらそ
れらの技能を習得していく活動として取り入れる。
【マイペース泳・○分間泳】
マイペース泳法と○分間泳を組み合わせて行う。
時間泳を30秒泳いで15秒休むマイペース泳法で泳ぐ
ことで,長い距離を続けて泳ぐのが苦手な児童にも
取り組みやすくなると考えた。また,15秒の休みの
時にバディの友達から
アドバイスや励ましを
受けたりできるので児
童相互のかかわりが持
てる。
成果と今後の課題
(1)高学年の提案発表:第5学年「めざせ!1650m!!(33人みんなで泳ごう )」(平泳ぎ)
本単元では ,続けて長く泳ぐことを目標に単元前半に平泳ぎ ,後半にクロールを学習する 。
主に手のかきと関係のある息継ぎを,平泳ぎから学習することで,息継ぎのタイミングをつ
かみ,泳ぐ距離を伸ばし,泳ぎに自信を持たせてからクロールへとつないでいく。
◎息継ぎ重視型
時
1
2
3
4
5
6
主 な 活
プル・ブレスト
・歩き
・床けり
コンビ
◎キック重視型
動
キック
・課題別練習
・距離泳
技能的に易しい
長く泳ぐ
水難事故防止
時
1
2
3
4
5
6
主
伏し浮き
キック
な 活
けのび
動
プル・ブレスト
コンビ完成
・距離泳
・タイム計測
技能的に難しい
速く泳ぐ
競技種目
息継ぎ重視型とキック重視型のどちらを選択するにしても技能レベルがある程度必要であ
り ,高学年に用いるのが適当と考えられる 。この2つの型の選択基準は ,図示したように「 長
く 泳 ぐ 」 こ と を 重 視 す る か ,「 速 く 泳 ぐ 」 こ と を 重 視 す る か と い う こ と で あ る 。 た だ し , ど
ちらの型も「プル・ブレスト」と「キック」の比重のかけ方が違うだけで,よく似た学びの
道筋を辿るものと考えられる。
さらに,今回図示していないがコンビ重視型と課題選択型が考えられる。前者のコンビ重
視型は,技能レベルの低い中学年に用いるのが適当と考えられる。この型では,クロールと
の関連からストリームラインの形成をねらい,ドル平から導入し,手と足のリズムづくりを
行う。指導要領解説書には3年基本の運動「浮く・泳ぐ運動」でかえる足,かえる足泳ぎの
練習が例示されており,キックの練習にも時間を割り当てる必要がある。後者の課題選択型
は,児童の技能レベルが高い場合に用いるのが適当と考えられる。本単元でも5・6時間目
にこの課題選択型の実施を計画していた 。ここでは ,
「 プル・ブレスト 」
「 キック 」
「 コンビ 」
の中から児童が自分の課題を選択し,課題別に練習を行う。時間ごとに課題を変更すること
も可能で,同じ課題ごとに組んだバディやトリオなので学び合いも深まると考えられる。技
能レベルの高い児童が各コースでスモールティーチャーとして活躍することもできる。
(2)低学年の提案発表:第2学年「みんなで楽しく水遊び名人になろう 」(水遊び)
低学年では,中・高学年で扱う息継ぎやストリームラインにつながる水遊びを楽しく行う
必要がある 。これまで ,低学年の系統表は水泳領域全体の系統表の一部分にしか記述がない 。
ここでは,低学年の水遊びの系統表(私案)の作成を試みようとした。
また,体育の副読本(わたしたちの体育)やその他様々なところから情報を収集し,数多
くの水遊びを集めてきた。集めた水遊びは,まずよく似た遊びやごっこ遊びで分類し,次に
その水遊びで身に付けさせたい技能を6種類の観点を基準にして分類した 。(下表参照)
<低学年水遊びで 身に付けさせたい技能>
A 水中を歩いたり、走ったりできる B 水に顔をつけることができる
C 水中で目を開けることができる D 口や鼻から息を吐いたり、吸ったりできる
E 水に浮くことができる F 補助具を使ったり、潜ったりして泳ぐことができる
おにごっこ
種類
学習形態
学
おにごっこ
グ
1・2
バケツおに
グ
おにがバケツを持って逃げ、他の子どもは水を
サケとサメ
ペ
プール版「ねことねずみ」
輪くぐりおに
グ
ワニごっこ
グ
じぞうおに
グ
内容
普通のおにごっこ
たかおにの要領で、輪の中が安全地帯。
1
ワニになっておにごっこ
こおりおにの要領で、味方に股をくぐってもらうと
身につけさせたい
○
○ ○
○
○
○ ○
○
○ ○
○ ○
逃げられる。
上述した水遊び系統表と各学級の児童の実態等から単元計画を決定し,水遊び分類表を用
いて ,どの水遊びをどのような配列で経験させるのかを決定していく必要がある 。来年度は ,
実践を積み上げ,低学年の系統表の修正を図っていきたい。
( 3 ) 高 学 年 の 提 案 発 表 : 第 6 学 年 「の び て 進 も う 」( 平泳 ぎ)
プ ー ル の底 に レン ガ を
本単元では,伸びの瞬間が顕著に表れる平泳
沈めて目印にした。
ぎ か ら 学 習 し ,「 伸 び て 進 む 」 こ と を 十 分 に 意
識付けし ,その後のクロールの学習につなげる 。
導入 時に ,平泳ぎ/ 泳ぎの速度 変動のグラフ
を示し ,キ ックが主に 推進力を生 み出している
ことを 意識 づけた。ま た,視覚的 資料として練
習カー ドを ラミネート 加工したも のを使用した
り,動 きの ポイントを 示し自分の 伸びを確認す
しっかりのびて…(足に集中させるためビート板使用)
るカードを教室で使用したりした。さらに,伸びを意識させるために,ビート板をもってけ
のびの後3回キックして何メートル進むかを試みた。また,ビート板を枕上にあてがい,あ
お向けに泳いだり,水中で足首の反りと足の裏でける感覚を覚えさせるためにバディの腰を
キックして進む練習を取り入れたりした。このような「キック重視型」についても授業実践
をそれぞれ積み上げていきたい。
(4)今後の課題
これまでの実践研究の積み上げから,学習内容の系統性を踏まえたカリキュラムづくり,
教材化については一定の成果を上げてきたといえる 。今後は ,これらを踏まえた上で単元化 ,
授業づくりへシフトしていく必要がある。すなわち,児童の学ぶ道筋に沿った課題解決的な
水泳学習をめざしていく。また,授業実践が成功したのかどうか,児童にどのような力が身
に付いたのかという授業の分析(形成的授業評価法を中心に)と検証を推進していく必要も
ある。