第 56 号 - 京都大学大学院薬学研究科

第 56 号
2004年11月
目 次
会長挨拶 ………………………………………………… 橋田 充 …… 01
京都大学薬学部記念事業レポート …………………………………………… 03
薬学部記念事業レポート ……………………………………………………… 06
退官のご挨拶 …………………………………………… 佐藤 公道
…… 14
就任のご挨拶 …………… 金子 周司・川端 猛夫・金久 實 …… 15
人事異動・学位授与 …………………………………………………………… 18
分野(教室)だより …………………………………………………………… 25
薬友会部報 ……………………………………………………………………… 41
京大薬友会会則 ………………………………………………………………… 42
川嵜敏祐教授最終講義および記念パーティー ……………………………… 43
ご 挨 拶
会長 橋 田 充
平成16年も残り少なくなりました。会員の
ておりますのは、いうまでもなく医療薬学・
皆様にはいかがお過ごしでしょうか。私は、
臨床薬学の高度化を目的とする教育改革であ
本年5月に2期目の薬学研究科長および薬学
ります。今春、国会で薬剤師養成のための薬
部長職に任命され、併せて本薬友会の会長を
学教育の修業年限を6年に延長するための学
務めさせていただいております。相変わらず
校教育法及び薬剤師法の一部改正法案が可
戸惑うことも多い毎日ですが、諸先輩を初め
決・成立し、平成18年度の新入生より、学部
関係各位の暖かいご協力の下に、何とか責任
6年制による薬学教育がスタートすることが
を全うするよう努力して参りたいと存じます。
確定しました。今回の教育制度改正において
ここに薬友会誌第56号をお届けするにあた
は、薬学部の学部教育として、“臨床に係る実
り、薬学研究科・薬学部の近況をご報告申し
践的な能力を培うことを主たる目的とする6
上げ、ご挨拶に代えさせていただきます。
年制課程”と、“薬学に関する研究、製薬企業
ご承知のとおり、本年4月に我が国の高等
における研究・開発・医療情報提供など多様
教育のあり方を抜本的に改める国立大学法人
な分野に進む人材の育成のための4年制課程”
化が実施され、より自律的な環境のもと優れ
の、2つの課程の存置を認める制度が確立さ
た教育や特色ある研究に取り組む個性豊かな
れました。薬学教育の理念、あり方につきま
大学としての発展が求められるようになりま
しては多様な意見のあったところであります
した。大学各部局におきましても、組織や研
が、本制度は、6年制の薬剤師教育と薬剤師
究体制の果断な改革・整備が急務となってお
以外の多様な進路を目指す学生のための4年
ります。薬学研究科・薬学部では、平成9年
制学部教育を併置するというある意味で“理
の大学院重点化以来組織の再編・整備に長期
想主義を追求した制度設計”ともいえるもの
的展望のもとに取り組み、とりわけ最近は医
であり、現在その実施体制の構築に向け研究
療現場と製薬産業に代表される“社会”との
科をあげて作業を進めております。
連携を目標とする研究科附属施設“創薬医療
一方、これら教育改革、研究推進の基盤と
連携薬学コア部門”や寄附講座“創薬神経科
なります施設の整備に関しましては、昨年竣
学講座”、“医薬品理論設計学講座”を設置し、
工いたしました総合研究棟(地下1階地上5
医療薬学教育の充実と創薬研究・教育の高度
階約6,000㎡)に引き続きまして、本年は教育
化に向けた将来構想の基盤整備を進めていま
棟の新営(1,000㎡)と薬学部本館東西棟
す。また、学内外との連携プロジェクト等の
(6,500㎡)及び薬学部記念館の全面改修が終了
推進にも積極的に取り組み、21世紀COEプロ
し、教育・研究施設の充実・整備が進展しま
グラム「ゲノム科学の知的情報基盤・研究拠
した。今後、一連の整備計画の最終段階とな
点形成(代表:金久實化学研究所バイオイン
る、薬学部本館南北棟と別館の改修整備を進
フォマティクスセンター)」も順調に進捗して
める予定です。
さて、研究科構成員の異動の面から1年を
おります。
現在、薬学の世界で最も大きな課題となっ
振り返りますと、本年3月31日付けをもちま
− 1 −
して、生体機能解析学分野担当の佐藤公道教
よりご冥福をお祈り申し上げます。
授が定年によりご退官されました。佐藤先生
以上ご説明させていただきましたように、
は、本学大学院博士課程を修了後、昭和45年
薬学研究科・薬学部は、現在、新しい研究体
に薬理学講座の助手にご就任になり、講師、
制の確立、施設整備、大型研究プロジェクト
助教授を経て昭和62年に教授に昇進されまし
の遂行など、多くの課題に取り組んでおりま
た。本研究科では、薬理学の研究、教育にご
す。また、その先には薬学教育改革・教育年
尽力いただき、また平成8年より2年間は薬
限延長というドラスティックな変革を控えて
学研究科長・学部長として、大学院重点化に
おります。
取り組まれ、研究科のみならず京都大学の運
既にご承知の通り、京都大学大学院薬学研
営と発展に貢献されました。この間、痛覚情
究科・薬学部では、創設70周年を迎えます平
報伝達等の分野で多くの研究業績を挙げられ、
成21年を目標に、教育・研究施設の近代化、
日本薬学会賞をご受賞になるなど高い評価を
医療・産学連携の体制整備、学術国際交流の
受けておられます。また、日本薬理学会理事
推進などの事業に研究科を挙げて取り組むた
長をはじめ多くの要職をお努めになり、我国
め、創設70周年記念事業会を発足させ、薬友
の学術・研究の発展に大きく貢献されました。
会会員の皆様をはじめ関係各位に募金のお願
本機会に、先生の薬学研究科・薬学部に対す
いをさせていただきました。お蔭様で、会員
る長年のご貢献に対し改めて厚く御礼申しあ
の皆様より既に多くの寄付お申し込みを頂き、
げたいと存じます。
関係者一同、皆様の温かいご理解とご支援に
一方、ご定年退官あるいはご栄転の先生方
深く感謝申し上げている次第でございます。
の後任として、新しく多くの新進気鋭の先生
募金は、引き続き進めさせていただいており
をお迎えしました。生体機能解析学分野の担
ますので、ご協力を重ねてお願い申し上げま
当教授には金子周司先生が昇任され、また、
すと共に、お手続き等不明の節は小職あるい
助教授、講師、助手として新たに8名の先生
は薬友会事務局までお問い合わせいただきま
をお迎えしております。
すようお願いいたします。
さて、教員の異動に関しましては、明年3
薬学研究科一同は、このような環境のもと、
月に川嵜敏祐、杉浦幸雄両教授が本学の規定
新しい薬学像の構築を目指しより一層力を合
によりご定年をお迎えになります。記念事業
わせ努力してまいりたいと存じます。薬友会
会はすでに発足し、最終講義、記念パーティ
会員の皆様には引き続きご指導、ご鞭撻を賜
ー等の行事の概要が本誌に掲載されておりま
りますようお願い申し上げます。最後に、皆
すが、皆様のご賛同を賜り、両先生の本学に
様方の一層のご健勝とご活躍を祈念いたしま
対する長年のご貢献に感謝の意を表するに相
してご挨拶とさせていただきます。
応しい事業が進められることを願っておりま
す。
以上、薬学研究科・薬学部の動向をご紹介
させていただきましたが、ここで3月に本学
名誉教授田端守先生が、また10月に同石黒武
雄先生がご逝去になるという、誠に悲しいお
知らせをお伝え申し上げなくてはなりません。
ここに両先生のご生前のご功績をしのび、心
− 2 −
21世紀COEプログラム「ゲノム科学の知的情報基盤・
研究拠点形成」公開シンポジウム
「ゲノムとケミストリーの融合を目指して」に参加して
21世紀COEプログラム「ゲノム科学の知的
療につなぐ薬理ゲノミクスを3つの柱とした
情報基盤・研究拠点形成」の公開シンポジウ
先端研究の推進事業、②新しい教育カリキュ
ム「ゲノムとケミストリーの融合を目指して」
ラムに基づいたバイオインフォマティクス教
が、本年3月11日薬学部記念講堂において開
育の普及と情報に対して従来にない視点を有
催された。当日は、あいにくの空模様にもか
する研究人材の育成事業、③ゲノムと生命の
かわらず、約150名の参加者が集う盛会となっ
情報システムに関する知識集約型データーベ
た。本21世紀COEプログラムは、平成15年度
ースの構築と国際標準化事業、の3つである。
より、創薬科学など応用ゲノム科学の知的情
今回のシンポジウムは、COEプログラムの目
報基盤およびバイオインフォマティックスの
的・意義、そして今後の活動方針について、
学際研究拠点の形成を目的として始められた
広く外部に知ってもらうために企画されたも
ものである。組織は、京都大学化学研究所バ
のである。
イオインフォマティクスセンターの金久 實
拠点リーダーである金久教授の挨拶、本
教授を拠点リーダーとし、化学研究所、薬学
COEプログラムの概説に続き、まず、本学農
研究科、医学部付属病院薬剤部から構成され
学研究科の西岡孝明教授から「メタボローム
ている。本21世紀COEプログラムでは前述の
化学分析法の開発とその応用」と題したご講
目的達成のため、次の事業を中心に活動が進
演があった。西岡先生は、本COEメンバーで
められている。すなわち、①ゲノム情報と環
はないが、農学研究科において組織されてい
境情報の関連を解析する環境ゲノミクス、化
る21世紀COEプログラム「微生物機能の戦略
学情報の系統的解析を創薬につなぐケモゲノ
的活用による生産基盤拠点」に参加しておら
ミクス、ゲノム情報の系統的解析を創薬や医
れる。本講演では、代謝物の網羅的な解析−
− 3 −
メタボローム−のための分析法の開発と代謝
配列情報に続く、糖鎖の情報科学の重要性に
物質プロファイリング、さらにはそのシステ
ついてお話になった。現在、京都大学を中心
ムバイオロジー研究への展開についてお話に
として始まっている糖鎖構造データーベース
なった。メタボローム解析は、まさにバイオ
の構築の現状とその将来的な利用、有用性に
インフォマティックス研究の基盤の一つであ
ついて概説された。今後の医薬品の開発や新
り、先生はその研究において、情報と生命と
しい産業の創生のためのグライコインフォマ
関連づけを見事に具現化されており、本シン
ティックスの重要性について理解を深めるこ
ポジウムの最初を飾るに最適のお話であると
とが出来た。加藤先生は、今後の創薬におけ
感銘を受けた。
る蛋白質構造情報の高精度化の必要性という
引き続き、ケモゲノミクスの観点から、薬
観点から、単なる蛋白質の構造解析ではなく、
学研究科の富岡教授が「分子集合の可視化と
分子機能解明を目指した蛋白質の構造解析研
姿形の構築」、竹本教授が「プロテアーゼを特
究についてお話になった。すなわち、酵素蛋
異的に認識し標的とする機能分子の創製」と
白質の結晶構造を出発点として、反応速度論、
いう題目でご講演をされた。富岡先生のお話
遺伝子工学、蛋白質化学、有機合成化学など
は、単一低分子間の水素結合を利用した分子
の手法を組み合わせた酵素機能解明へのご講
集合体の形成とその形についての大変興味深
演であった。
いものであった。分子の世界では、分子間相
引き続き、薬理ゲノミクス担当の化学研究
互作用は分子集合の視点から考える必要があ
所助教授五斗 進先生、薬学研究科の金子教
り、分子は分子単独で機能を発揮するのでは
授からそれぞれ「ゲノムと化合物のデーター
なく、集合体として、その機能を発揮する場
ベース開発とその応用」、「薬学部におけるバ
合が大半であり、それは生命にも言えること
イオインフォマティックス教育プログラム」
であるとの観点からのご講演であった。竹本
という題でご講演があった。五斗先生は、化
先生は、プロテアーゼの認識機構を題材に、
学研究所において構築されているKEGGの概略
プロテアーゼと類似の機能を有する低分子触
についてお話になった。KEGGは、細胞・個体
媒の設計・合成・その利用に関するお話をさ
レベルでの生命システムのはたらきに関する
れた。3級アミンとチオウレアを分子内に有す
知識を分子間相互作用ネットワークの情報と
る新規機能分子を開発され、本分子による
してコンピューター化し、様々な生物種のゲ
種々の反応への展開の可能性、さらには今後
ノム解析がもたらす遺伝子・蛋白質の情報、
の薬剤開発への応用について概説された。
ならびに生体に関与する化合物・化学反応の
その後、昼食、休憩をはさんで、環境ゲノ
情報を統合した生命システム情報統合データ
ミクス担当の化学研究所教授藤 博幸先生か
ーベースであり、創薬・医療への今後の活用
ら「進化的情報に基づくClass A GPCRの機能
が期待されているものである。COEプログラ
解析」、薬学研究科川嵜教授、加藤教授からそ
ムでは、研究もさることながら、その大きな
れぞれ「糖鎖科学とインフォマティックス」、
目標の一つとして、人材育成・教育が挙げて
「ゲノム科学と構造生物学」という題でご講演
いる。そこで、薬学部、薬学研究科では今回
があった。藤先生のご講演では、蛋白質の進
のCOEプログラム参加を機に、インフォマテ
化的な情報のシステマティックな解析、それ
ィクス教育を新たに開始することとなり、そ
らを利用した蛋白質の機能解析さらにはその
の教育プログラムについて金子先生からお話
応用についての従来の薬学的な視点とは異な
があった。今後、本学薬学出身者から情報科
ったお話であり、今後の創薬サイエンスにお
学的素養を有したユニークな薬学研究者が
ける情報科学の重要性の一端をうかがい知る
次々と生まれることを予感させる大変興味深
ことが出来た。川嵜先生は、核酸、蛋白質の
い内容であった。
− 4 −
今回の公開シンポウムに続き、本COEプロ
なお、今回のシンポジウムの要旨をはじめ
グラムでは、種々の公開シンポジウムの開催
本COEプログラムに関する情報はHP
が今後も予定されている。また多くの方々に
(http://www.bic.kyoto-u.ac.jp/COE)に掲載さ
お集まりいただき、盛会となることを期待し
れている。
(薬品有機製造学分野 大高 章)
たい。
− 5 −
京都大学薬学部記念事業レポート
「第19回 21世紀の薬学を探る京都シンポジウム」に参加して
2004年5月22日、第19回21世紀の薬学を探
った。
る京都シンポジウムが薬学部記念講堂におい
最初の講演は医薬品理論設計学講座の客員
て開催された。計算化学と創薬−蛋白質構造か
教授である北浦和夫先生が「大規模量子化学
ら医薬品設計へ −寄附講座「医薬品理論設計学
計算法を用いたタンパク質と医薬品分子の結
講座」の設立にあたって− というサブタイトル
合親和力の予測」というタイトルで講演され
からもわかるように薬学研究科2つ目となる
た。北浦先生は量子化学が専門であり、これ
寄附講座である医薬品理論設計学講座の紹介
まで低分子によって確立されてきた量子化学
も兼ねたものとなった。本年は国立大学が法
計算をタンパク質に応用し、創薬研究に役立
人化され、薬学研究科においてはまだ南北棟
ていきたいということであった。分子の電子
の改築が残っているものの本館の改修工事と
状態の計算は低分子化合物においてはab initio
教育棟の建設が終了し、一昨年より続いた工
MO法が標準的な計算であり、その計算結果の
事が一段落ついたタイミングでのシンポジウ
信頼度が高い。そこでこの方法をタンパク質
ムの開催となった。この記念講堂も8月には
に応用するために、タンパク質をフラグメン
改修工事が予定されており、現状の姿での最
ト化して計算するフラグメント分子軌道
後のシンポジウムのなか、190名をこえる参加
(FMO)法を開発され、またすごいことに普通
では16CPU程度でしかうまく並列化できなか
者に集まっていただいた盛大な会となった。
開会の挨拶では橋田充薬学研究科長から、
国立大学法人化にあたり、創と療の拠点形成
ったものが、このプログラムでは512CPUもの
並列化もうまく行くということであった。
ならびに社会や産業界との連携拠点の形成を
続いてタンパク質とリガンドとの結合様式
考えた変革を目指すため、昨年8月に発足し
の計算について、FK506結合タンパク質と免疫
た21世紀COEプログラムや新しい創薬研究の
抑制剤であるFK506を含めた4つのリガンドを
ための計算科学と構造生物学との融合といっ
例にして説明された。この計算により得られ
た新しい取り組みなどについての紹介と上述
た構造をすでに構造解析されている構造と比
した施設などの基盤整備に関するご説明があ
較したところRMSDが1Å下と非常に精度良く
北浦先生
板井先生
− 6 −
藤吉先生
決まっていた。また様々なリガンドとアミノ
実際に合成しその中から2個の最終候補化合
酸残基との結合エネルギーも正確に計算でき
物が得られており、動物実験の結果も良好で
ることから、適したリガンドがどれであるの
まもなく臨床試験に入るとのことであり非常
かを正しく判断できるということであった。
に楽しみである。難しいお仕事であるにも関
このようにタンパク質のリガンド分子認識機
わらず、「医薬品開発はスリルがありおもしろ
構が計算でかなり正確にわかるということは
い」と話されていた言葉は大変印象深いもの
大変なる驚きであった。またタンパク質立体
であった。
構造の最適化もさらに念頭に置かれていると
またこれからのゲノム創薬の確立には分子
いうことで、これからの医薬品の分子設計に
機能ネットワークが必要であるため、生体分
大いに期待できるものと思われる。
子、医薬分子、疾患など様々な情報を関連づ
引き続き㈱医薬分子設計研究所代表取締役
ける必要がある。そこでKeyMolnetという生物
である板井昭子先生が「新しい創薬化学を目
情報プラットホームを開発されており、その
指して」と題して講演された。板井先生はす
紹介もいただいた。
でに10年以上も前からタンパク質とリガンド
北浦、板井、両先生ともタンパク質とリガ
とのドッキングのプログラムを開発されてお
ンドがどのように結合するのかを精密に決定
り、この計算を用いた医薬品開発の例として
し、そのときの結合エネルギーの評価を大切
IkBキナーゼの阻害剤開発について紹介され
にされており、計算化学を創薬に結びつけて
た。コンピュータ上で作成した約20万個の化
いくときの基礎的なタンパク質の物理化学的
合物モデルを使い、ドッキング計算から119個
データの重要性を非常に感じさせられた講演
のリガンドを選び出し、その内の39個が実際
であった。
のアッセイで50%以上の阻害があることを見
休憩の後、最後の講演が本学理学研究科教
つけた。この化合物をもとに430個の化合物を
授である藤吉好則先生により行われた。
「Structure and Function of Water and Ion
Channels」というタイトルで、まずは2003年
のノーベル化学賞受賞者であるRoderick
Mackinnon博士のK+チャンネルについて、そ
のイオン選択性や108個/秒のK+イオンを通す
機構についてX線結晶構造をもとに説明され
た。一方、藤吉先生のご専門である電子顕微
鏡による構造解析について、まずは2003年の
もう1人のノーベル化学賞であるPeter Agre博
士とともに行った水チャンネルであるアクア
ポリン−1について述べられた。アクアポリ
ン−1はヒト赤血球から単離精製され、ヒト由
来の膜蛋白質の立体構造解析は世界で初めて
のものであった。水が通る部分は非常に疎水
的で、水の直径が2.8Åあるのに対しその穴の大
きさは約3Å水が通り抜けるためには絶妙な構
造をしていた。そして膜の中に埋もれた2本
のヘリックスを安定化するためにすべてのア
クアポリンに保存された2つのNPA配列が存
在し、水が酸素から穴に入って行った後この
− 7 −
アスパラギンのアミド基が水と結合すること
ットが15度回転し、それに伴いイオンが通る
で、エネルギー障壁を低くし、さらに水の向
穴の大きさが6Åら9Åに変化する機構が紹介
きを変更していた。そしてこのときに水の水
された。さらにはIP3受容体の単粒子解析につ
素結合ネットワークが分断されるため、プロ
いても紹介され、このように生物学的に大変
トンを通さないということであった。このよ
重要なものばかりを次々に解析され、しかも
うに1秒間に20億分子の水を通すものの、プ
その立体構造が持つ仕組みを見事に説明され
ロトンはおろか他のイオンも全く通さない性
る先生の能力はいつもながら感服させられる
質を見事に説明された。さらにアクアポリン−
思いであった。
4の構造についても紹介され、その全体構造
先生方の最先端のしかも非常に盛りだくさ
はアクアポリン−1とほとんど同じであるが、
んな講演内容のおかげで、大変活発な討論が
特徴的な3 10 ヘリックス構造が存在していた。
展開され有意義なシンポジウムであった。最
視床下部ではグリア細胞が層状構造を形成し
後に本寄附講座の寄附元である藤沢薬品工業
ており、その接着部分にはたくさんのアクア
㈱藤井隆研究副本部長より挨拶を賜り閉会と
ポリンが存在している。またアクアポリン−4
なった。その後、総合研究棟1階のロビーに
の2次元結晶も膜が2層構造をしており、そ
おいて懇親会が行われ、たくさんの方に最後
の結合には3 10 ヘリックスが関与していたこと
まで残っていただき楽しい会が無事終了した。
から、アクアポリンは水チャンネルのみなら
来年は新しい講堂でこのシンポジウムが行わ
ず細胞接着にも重要であることを発見された。
れ、さらに活気あふれるシンポジウムが開催
次いでアセチルコリン受容体の電子線解析
されることを期待したいと思う。
ではアセチルコリンが結合すると、aサブユニ
講演会場の様子
− 8 −
(構造生物薬学分野 中津亨)
第12回京都大学薬学部生涯教育講演会(東京)に参加して
第12回の京大薬学部生涯教育講演会が、昨
講演は、まず最初に沿革から触れられた。
年の冷夏とは打って変わり、7月6日より真
1979年(昭和54年)に「医薬品副作用被害救
夏日の連続記録を呈している東京の長井記念
済基金」が設立された。その後、研究振興業
館(渋谷)にて2004年7月31日に開催された。
務が加えられて1987年には「医薬品副作用被
酷暑にもかかわらず100名を優に超える参加者
害救済・研究振興基金」に改組、1994年(平
が集った。今回の講演会も従来と同様に、産
成6年)には調査指導業務の開始により「医
官学のそれぞれの分野において活躍中の卒業
薬品副作用被害救済・研究振興調査機構」に
生が演者として登場し、各領域での活動内容
改組された。その後、本機構は1997年より治
やトピックスを熱心に講演され、参加者の知
験指導業務および適合性調査業務も開始した。
的興味や好奇心を触発し、充実感を味わえる
一方で、同年には「医薬品医療機器審査セン
内容であった。
ター」も設置され、ここが承認審査業務を担
講演に先立ち、開会の辞を京都大学大学院
うこととなった。その後本年4月に、前述の
薬学研究科長の橋田充先生が述べられた。橋
機構と審査センターさらに「医療機器センタ
田先生は、次のような点を中心にお話になっ
ー」(1995年より医療機器の同一性調査業務を
た。①2004年4月1日より、国立大学が法人
開始)の3つが統合され、独立行政法人「医
化されたことに関して、②薬学部の組織とコ
薬品医療機器総合機構」の設立に至ったので
ンセプト(薬学の「創」と「療」の拠点を確
ある。上述の経緯からも判るように、本総合
立する)、③薬学部の建物改築の様子、④薬学
機構の業務は、救済・審査・安全対策・研究
部6年制教育の導入について、の4点である。
の4つの柱から成り立っている。この中の安
特に建物改築の様子に関しては、古い建物の
全 対 策 に つ い て は 、 副作用発生 → 発見
写真が出たり、新築の建物の外観や研究室の
→ 情報収集 → データ分析 → 対応措置決定 →
様子が紹介されたりすると、会場のあちこち
情報提供 → というサイクルが考えられる。
より、当時を懐かしむ声や現在の学生の環境
このサイクルにおいて、従来、厚生労働省は
を羨むような声が漏れた。
企業、病院に対する報告義務を強化すること
最初の講演は、厚生労働省医薬食品局安全
で 発見 → 情報収集 に対して力を入れてきた。
対策課課長の平山佳伸氏である。『医薬品医療
さらに今般「医薬品医療機器総合機構」が発
機器総合機構と医薬品の安全対策』と題した
足したことで、 情報収集 の次のステップであ
− 9 −
る データ分析 が充実、効率化されてきている。
謝物の検出が可能なおもしろいやり方として、
今後の安全対策の方向性としては、事後対応
マイクロドージングMicrodosingが紹介され
型(副作用が発生してから対応)→予測対応
た。想定臨床用量の1/100以下、あるいは、
型(発生の可能性のある薬剤、患者での対応)
100mg以下の投与量で放射性医薬品を投与する
→予防対応型(発生リスクの高い患者などで
ことにより、至適投与量の探索、臓器への分
の対応)、という具合に先手の対応を目指すこ
布の検討、結合部位での薬物動態のチェック
とになる。
などを行うことができるのである。これらは、
二番目は、千葉大学大学院薬学研究院 創
カナダやスウェーデン、日本では放医研にて
薬資源科学 分子画像薬品学教室 教授の荒
実際に行われている。③放射性医薬品による
野泰氏による『身近な放射性医薬品』という
癌の治療では、 90 Y標識抗体は、現在行われて
テーマの講演であった。大きくは、次の3項
いる癌の治療が無効な患者にも治療効果を示
目について話された。①放射性医薬品を用い
すことが明らかとなり、癌治療への新たな希
た臨床診断、②放射性医薬品の医薬品開発へ
望を与えた。講演全体を通じ、時折、軽い話
の応用、③放射性医薬品による癌の治療、の
題も交えながら、種々の実例を提示し、アニ
各項目である。まずイントロとして、PET(ポ
メーションも駆使した極めて判りやすいお話
ジトロン断層撮像法)のことをユーモアたっ
だった。
ぷりに紹介されたため、会場全体の笑いを誘
三題目は、『創薬研究基盤の充実を目指して
った。①放射性医薬品を用いた臨床診断にお
−製薬協研究開発委員会の活動−』のテーマ
18
いては、代表的なPET薬剤である F−フルオロ
にて、三共株式会社開発研究本部長で、日本
デオキシグルコース(FDG)の利用により心
製薬工業協会 研究開発委員長の西村憲治氏
筋や腫瘍の診断がより身近になったことを述
が講演された。日本製薬工業協会(JPMA)は、
18
べられた。 F−FDGは、CTでは検出できない
新薬の研究開発によって社会への貢献を目指
ような癌の転移を検出可能であり、また癌を
す、研究開発志向型製薬企業79社(平成15年
全身レベルで画像化できること、被曝線量が
8月時点)が加盟する任意団体で、「製薬協」
胃の透視より少なく1年間の自然放射能被爆
の略称で知られる。その研究開発委員会には、
と同レベルであるなど、数々の面白い特徴を
創薬研究部会、臨床研究部会、制度研究部会、
有している。②放射性医薬品の医薬品開発へ
の3つの部会がある。西村氏は、医薬品産業
の応用においては、臨床試験に進んだ化合物
はかつての右肩上がりの時代から現在は踊場
の半数が脱落してしまうことを示した後に、
にいるという現状認識に触れ、そのような状
創薬の早期段階で薬物動態・薬効の予測や代
況下、創薬研究の重要性から上記の部会の中
− 10 −
で創薬研究部会に焦点を当てて話を進められ
品と健康食品』というテーマで、独立行政法
た。創薬研究部会の事業計画は、次の様にな
人国民生活センター 商品テスト部調査役の
っている。①BT戦略大綱及び医薬品産業ビジ
板倉ゆか子氏のご講演であった。国民生活セ
ョンのフォローとライフサイエンス研究に関
ンターは、消費生活相談をはじめとした種々
連した施策の提言、並びに関連する国家プロ
の情報を全国の消費生活センターなどから収
ジェクトに対する協力・連携・支援、②蛋白
集し、消費者被害の未然防止・拡大防止のた
質構造解析コンソーシアム、トキシコゲノミ
めに分析・提供している。また、商品テスト
クスプロジェクト、創薬プロテオームファク
や専門相談、教育研修、生活に関する調査研
トリープロジェクトの運営支援、③創薬研究
究を実施し、その結果を各種メディアを通じ
に係る基盤整備・強化方策の提言・支援(1−
て情報提供するなど、消費者支援に努めてい
ポストゲノム研究、特に蛋白質関連研究の推
て、我々一般消費者が大変お世話になってい
進・環境整備、2−新規創薬基盤技術の研究促
るところである。さて、相談の対象となる医
進)、の3つである。これら事業計画は、いわ
薬品と「健康食品」の市場規模を見てみると、
ば「ポストゲノムシークエンス時代の創薬」
医薬品全体では6兆5,043億円(厚生労働省
にいかに取り組んでゆくか、ということであ
「薬事工業生産動態統計年報」、平成13年)。
ろう。医薬品開発の流れの中でゲノム情報の
「健康食品」は、定義があいまいなので調べ方
活用を考えると、シーズ探索 → スクリーニング
で数字が異なるが、家計調査年報による健康
→ 非臨床試験 → 臨床試験 → 市販後臨床試験
保持用摂取品(錠剤、カプセル等)の支出額
のそれぞれのステップにおいていろいろな活
は4,569億円(平成13年)、また矢野経済研究所
用方法がある。今回の講演では、特に最初の
のデータによれば約6,500億円(2003年)の
シーズ探索 → スクリーニング の 部 分 に 焦 点
「健康食品」の市場規模となっている。このよ
が当てられた。シーズ探索におけるゲノム研
うに市場規模としては医薬品の方が大きいが、
究やプロテオーム研究においては、ミレニア
売上の伸びとしては「健康食品」の方が大き
ムプロジェクト、国際ハップマッププロジェ
くなっている。その背景として、高齢社会の
クト、創薬プロテオームファクトリー事業な
到来、アレルギーの増加、ダイエット志向に
どが目白押しであり、スクリーニング/最適
みられる外観重視の傾向、機能性成分の研究
化のステップにおいては、タンパク三次元構
成果等の増加などが挙げられる。さらに大き
造を対象としたものとして、蛋白質構造解析
な要因と考えられるのは、消費者の受け取り
コンソーシアム、タンパク3000PJがある。薬
方の違いである。食品であれば安心、天然・
物代謝を対象としたものは、ファルマ・ステ
自然であれば安心、医薬品はこわい、などの
ップ・コンソーシアムがあり、安全性評価に
思い込みである。売上の伸びと呼応するかの
関しては、トキシコゲノミクスPJ、という具
ように、相談件数についても、「健康食品」に
合に製薬企業が関係する数多くの共同PJが企
関する相談件数や、危害の件数は医薬品の約
画され進行中であることが理解できた。最後
10倍となっており、2003年の相談件数は約
に今後の方向性について述べられた。医薬品
16,000件に達している(全国消費生活情報ネッ
開発におけるゲノム情報の活用は、現在は、
トワーク・システム)。「健康食品」は、危害
企 業 が 必 要 と 考 え る 時 ( Safe Harbor
or
発生の多い商品として常に上位に君臨してお
VGDS)であるが、近い将来はそれに加えて当
り、例えば2002年においては、痩せると謳っ
局が必要と考える時に、トキシコゲノミクス
た中国製の健康食品の健康被害の申し出が増
やケモゲノミクスなどの形での活用が、より
加した。また、その表示を見ると、法律違反
進んでゆくとのことであった。
になる表示、法律的には判断が微妙な薬効の
最後の演題は『消費者サイドからみた医薬
表示、消費者に効果を期待させすぎるような
− 11 −
表示が増えてきている。実例をあげると、次
医薬品のような効果を期待するものではない
のようなものがある。
こと、病気の治療を目的として購入しない、
・クロレラの販売:体験談のチラシ、薬効を
などを銘記することが重要である、と締めく
くられた。
謳った販売等
講演会後は、会場をロビーに移して懇親会
・ザクロの健康志向食品の表示方法:薬効が
が催された。当日の演者を囲んでのディスカ
あるかのような表示・広告
・イチョウ葉食品の安全性:アレルギー物質
ッション、その日に京都から足を運ばれた教
授の先生方との会話、久しぶりに会った友
(ギンコール酸等)が含まれている
・メリロートを含む「健康食品」:有効成分で
人・知人との語らい、がそこかしこで見受け
あるクマリンの濃度が通常の服用量の約2
られ、思わず時の経つのを忘れてしまう夏の
∼5倍の量を摂取してしまう銘柄がある
日の夕べとなった。
以上のような数々の例からの教訓として、消
費者は、
「健康食品」はあくまでも食品であり、
− 12 −
(矢田、川向 記)
日本薬学会 長井記念館
第12回京都大学薬学部生涯教育講演会(東京)プログラム
13:15∼13:35
1.開会の辞 「薬学研究科の最近の状況」
京都大学薬学部後援会会長
薬品動態制御学 教授 橋田 充
2.講演
1)「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構と医薬品の安全対策」
13:40∼14:25
厚生労働省医薬食品局安全対策課 課長 平山 佳伸 氏(1975年卒)
14:30∼15:15
2)「身近な放射性医薬品」
千葉大学 大学院薬学研究院
分子創薬科学研究部門 創薬資源科学教授 荒野 泰 氏(1977年卒)
15:15∼15:35
<コーヒーブレーク>
3)「創薬研究基盤の充実を目指した製薬協研究開発委員会の活動」
15:35∼16:20
三共株式会社 開発研究本部長
日本製薬工業協会 研究開発委員長 西村 憲治 氏(1963年卒)
16:25∼17:10
4)「消費者サイドからみた医薬品と健康食品」
独立行政法人 国民生活センター
商品テスト部 調査役 板倉 ゆか子 氏(1970年卒)
17:10∼17:15
3.閉会の辞・世話人紹介
世話人代表 藤吉 彰
総合司会 川尻 慎一
17:15∼18:45
懇親会 館内ロビー
司会 荒谷 哲也
− 13 −
退官のご挨拶
構造生物薬学分野教授 佐 藤 公 道
1960年、医学部薬学科が薬学部としてスタ
のお力を借りて新体制構想・実施方針を策定
ートした年に入学して以来、44年間に亘って、
し、さらに諸先生方のご協力を得て、1997年
京都大学薬学部で、学生として、また、教官
4月1日に大学院重点化に漕ぎ着けることが
としてお世話になり、本年3月末日をもって
できました。以後、1998年4月30日まで薬学
無事退官することが出来ました。これは偏に、
研究科長を務めたのでした。
諸先生、諸先輩、同僚、後輩の皆様方のご指
しかしその後、日本の国立大学制度の根幹
導、ご支援、ご協力の賜物と感謝の念に堪え
を揺るがす国立大学法人化という大きな流れ
ないところであります。この場をお借りして、
が急速に起こり、その実施予定日の2004年4
心から御礼を申し上げます。以前は、「無事退
月1日に向けて学内は準備に大忙しの状態で
官」という言葉に何となく違和感がありまし
したが、私はその予定日にはすでに大学を去
たが、在任中に大きな病気を経験した今では
っているはずなので、法人化に向けた学内で
この言葉は実感になっています。
の議論にあまり真面目には参加していません
京都大学薬学部における44年間の大部分で
でした。ところが皮肉なことに、国立大学法
は薬理学を専門領域として研究・教育に従事
人法によって新たに設けることが義務付けら
させていただきました。開設2年目の薬理学
れた役職の一つである監事になってくれない
講座に4回生特別実習生として加わり、初代
かという急なお話が奈良先端科学技術大学院
のb木博司教授の下で24年間ご指導を受けた
大学からあり、文部科学大臣の辞令を戴いて、
後、1987年に薬理学講座の二代目の教授に任
4月1日からそこに勤めております。この大
ぜられました。しかし、1993年には薬理学講
学は設置後14年目の新しい、大変活気にみち
座を離れ、大学院独立専攻設置に伴い新設さ
た大学であり、長年慣れ親しんだ薬学とは違
れた分子作用制御学講座に移動しました。薬
う環境で、これまでとは全く異なる職務内容
理学講座の三代目教授には赤池昭紀博士が就
の監事に就いていますので、毎日が新鮮で、
任され、結果的に薬理学を専門領域とする講
刺激があり、楽しく元気に通勤・勤務させて
座が2つになり、互いに協力し合って教育・
いただいております。
研究を進めていける態勢ができたのは大変喜
ばしいことでした。
ところで、薬学部・薬学研究科は、大学法
人化に加え、6年制問題を抱えて大変な時期
1996年5月1日に薬学部長を拝命しました。
であろうと思います。しかし、このような激
辞令交付があるというので本部の総長室に行
動期こそ、大きく発展するチャンスでもあり
きましたところ、当時の総長・井村裕夫先生
ましょう。どうか、学内の力を結集し、また
から、辞令の伝達と共に「薬学部の大学院重
薬友会をも適宜活用して、社会・学界におけ
点化を是が非でも勝ち取って下さい」という
る京大薬学の存在感を益々大きく育ててくだ
檄を飛ばされました。その日から、それまで
さい。
薬学部内で進めてきた大学院重点化に関わる
議論をまとめ、また、新進気鋭の若手教授陣
末筆になりましたが、京大薬友会の発展と
会員の皆様のご健勝を祈念いたします。
− 14 −
就任のご挨拶
生体機能解析学分野教授 金 子 周 司
薬友会会員の皆様には益々ご健勝のことと
かし反面,あまりに実用重視に走りすぎない
お慶び申し上げます。さて,私こと,平成16
よう,例えば薬物の有害作用についても同じ
年4月より,佐藤公道先生の後任として生体
技術をもって独自の視点の基礎研究を進める
機能解析学分野を担当させていただいており
などのバランスを取りたいと考えています。
ます。これまで医療薬理学分野において助教
さて,教育面ではいよいよ6年制の実施と
授として小さなラボを率いた数年間から大所
いう大変革期を目前にし,大学院重点化によ
帯へ転じ,今はまだ将来構想を考えている段
る研究者養成とは相反する社会的要求を,医
階ですので,抱負について述べさせていただ
療系科目の担当教員として如何に現実化して
き,ご挨拶とさせていただきます。
いくかが最大の課題です。しかしながら,半
まず,研究の目標ですが,「イオンチャネル
年の実務実習を含む6年制によって学生が体
創薬」という看板を掲げています。ゲノム創
得する臨床系の知識・技能・態度は我々薬理
薬の観点からすると,薬物作用点の数は遺伝
学の研究を志そうという者にとって必要不可
子の種類にほぼ比例すると考えられます。と
欠な要素であり,私には積極的に6年制を選
ころが,受容体や酵素に比べてイオンチャネ
ぶ学生を薬学研究者にまで育て上げる義務が
ルやトランスポータといった膜輸送タンパク
あると思っています。また,21世紀COEプロ
質は遺伝子の種類の割には薬の数が少なく,
グラムによって本年度より薬学部においても
ゲノム創薬の標的としても過小評価されてい
バイオインフォマティクス教育が本格化しつ
ます。これにはいくつかの原因,すなわち機
つあります。私は薬学者や薬剤師が研究や医
能解析の遅れ,シード化合物不足,効率よい
療の現場において周囲をリードすべき職能の
スクリーニング法の欠如などが指摘できます
ひとつは「ソフトウェアサイエンス」である
ので,それらを私なりの手法で解決していく
と信じていますので,その充実に向けても精
ことを考えています。例えば,私の得意な技
一杯努力させていただきます。さらに社会と
術にXenopus卵母細胞やパッチクランプ法によ
の関わりという点では,なかば趣味として築
る電気生理学的な細胞計測法がありますが,
いてきた「ライフサイエンス辞書」が,昨今
これらのスループットをロボット化等によっ
はホームページに1日5万件ものヒットがあ
て高めるとともに,こういった手法を駆使で
るほどに使われるようになりました。このラ
きる人材を育成して世に送り出すことが必須
イフワークについても,概念検索や自然言語
です。また,バイオインフォマティクスや遺
処理への応用を目指しつつ情報系の方々と共
伝子発現制御技術を活かし,チャネルタンパ
同で地道な研究開発と社会還元を進めていき
ク質の病態生理的な文脈を追究することを計
たいと考えています。
画しています。私はこれまで民間企業,内外
最後になりましたが,分野ホームページを
の大学研究者などとの共同研究を好むタイプ
新しくしました。http://www.pharm.kyoto-
の研究スタイルをとってきました。法人化に
u.ac.jp/channel/にて様々な情報を公開してい
よって特許を始めとする知的財産権や共同研
ますので,是非とも一度,ご高覧ください。
究などの契約が大学の制度として確立したこ
とは,私としては好ましく感じています。し
− 15 −
就任のご挨拶
精密有機合成分野教授 川 端 猛 夫
薬友会会員の皆様にはご健勝にて益々ご活
したこの考え方は、最近では欧米を中心に活
躍のこととお慶び申し上げます。さて、私こ
発に研究されるようになって来ました。この
と、本年4月1日付けで精密有機合成分野
研究を質、量ともにさらに追求し、有機化学
(化学研究所物質創製化学研究系精密有機合成
の一分野として確立させたいと思っています。
化学研究領域)を担当させていただくことに
一方、遠隔位の不斉点から如何に有効な不斉
なりました。本誌面をお借りしまして、自己
転写を起こすか?という遠隔不斉誘導の方法
紹介かたがたご挨拶申し上げます。
論を検討しています。これは触媒分子による
大阪は本町に寿司屋の息子として生まれ、
分子情報の伝達という素朴な興味に端を発し
そごう百貨店の屋上を遊び場に育ちました。
ていますが、一方で高活性で高選択的な触媒
高校、大学時代は空手に明け暮れました。学
設計に向けたアプローチでもあります。また、
力の甚だしい低下と引き換えに、体力と集中
混合物を基質とする反応制御に挑戦したいと
力を養いました。京大薬学部4回生で山科郁
思っています。異なる基質分子を順次、意図
男先生の生物化学教室(現在の生体分子認識
的に反応させて目的物を一気に得る、という
学分野)の門を叩きました。心身共に体育会
夢の連続反応系開拓を究極の目標とし、その
系であった私を山科先生は辛抱強く暖かくご
第一歩となる基質特異的な活性化に向けた地
指導下さいました。大学院は化研に進学し、
道なアプローチを開始しました。また、キラ
藤田榮一先生、冨士薫先生のもとで有機化学
ルユニットの集積効果による分子の高次構造
を一から教わり、何とか研究者の仲間入りを
制御と、これを利用した物質創製にも取り組
させていただきました。先生方の寛大さと真
んでいます。これら何れの反応にせよ、遷移
摯さ、そして暖かさを忘れることはありませ
状態では動的な超分子形成が起きていると看
ん。学位取得後は米国インディアナ大学の
做すことができます。このことを明確に意識
Grieco教授に天然物合成を学び、その後、相模
した精密有機合成化学を展開して行きたいと
中央化学研究所で檜山為次郎先生、寺島孜郎
思います。
先生に師事しました。平成元年に化研の助手
京都大学は独立法人化され、薬学部は6年
として冨士薫先生の研究室に採用され、助教
制移行を控える激動の時です。責務の重大さ
授を経て現在に至っております。
に身の引き締まる思いがします。しかしこの
不斉合成を主な研究テーマとし、分子のキ
ような時にこそ目先の流行にとらわれず、独
ラリティーの本質に迫ることを目標にしてい
自の研究分野開拓を心掛けたいと思います。
ます。合成法の改良や効率性の追求よりも、
頭の中にある曖昧なイメージに明晰で具体的
不斉転写の方法論開拓に興味があります。例
な表現を与えていく科学の過程に、学生達と
えば、平面構造ゆえにアキラルと考えられて
共に試行錯誤を繰り返しながら取り組み、研
きたエノレートにも、結合に回転阻害を加え
究と教育にひたすら精進する所存です。点滴、
ることで単位時間内にはキラリティーを持た
岩をも穿つ!
せることができます。この動的不斉をうまく
今後とも、薬友会会員の皆様のご支援とご
利用すると、不斉触媒を必要としないユニー
指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願
クな不斉合成が可能になります。我々が提案
い申し上げます。
− 16 −
就任のご挨拶
生命知識システム学講座教授
(COEプログラム協力講座)
金 久 實
2003年10月より、化学研究所バイオインフ
孝教授を中心としたグループで、化学情報の
ォマティクスセンターと薬学研究科の連携に
系統的解析をリード化合物探索へつなぐ研究
よる21世紀COEプログラム「ゲノム科学の知
を行っています。この領域はケミカルゲノミ
的情報基盤・研究拠点形成」が発足しました。
クスとも呼ばれ、とくに米国では大規模な研
その一貫として、生命知識システム学講座と
究プロジェクトが始まりつつあり、今後の発
いう新しい協力講座を担当させていただくこ
展が期待されます。環境ゲノミクスは私が担
とになりました。この講座の研究内容を一言
当しているグループで、ゲノム情報と化学情
で言うと、バイオインフォマティクスに基づ
報の関連解析を創薬へつなぐ研究を行ってい
く創薬科学研究です。バイオインフォマティ
ます。とくに私の研究室では、微生物や植物
クスは生命科学と情報科学を融合した学問領
のゲノム情報と、抗生物質や生薬などの天然
域ですが、それだけでは定義が曖昧なため、
物に関する化学的知識を、二次代謝経路とい
現状では雑多な分野の寄せ集めとして、研
う観点から統合し、ゲノムの多様性と化合物
究・教育がなされています。私どものバイオ
の多様性の関連に関する一般的な法則をもと
インフォマティクスはゲノム情報を出発点と
に応用の可能性を探求しています。
し、細胞・個体・生態系といった生命のシス
一方、教育については、薬学研究科にバイ
テムを理解する新しい研究分野です。生命科
オインフォマティクス副専攻の制度が設置さ
学と情報科学の融合はもちろん、数学・物理
れました。化学研究所バイオインフォマティ
学・化学の一部をも包含する基礎的な学問と
クスセンターが東京大学医科学研究所ヒトゲ
しての体系化を行い、同時に医学・薬学を始
ノム解析センターと共同で提供しているバイ
めとした応用研究や産業化を行うことを目指
オインフォマティクス人材養成プログラムの
しています。これまでは基礎的な情報技術開
講義を受講した薬学研究科の大学院生は、副
発研究、教育カリキュラム作成、科学技術振
専攻の単位認定を受けることができます。た
興調整費による人材養成プログラムなどを行
だ、どれだけの講義あるいは単位で副専攻修
ってきましたが、今回のCOEプログラムで創
了とするかについては、我々の希望と薬学研
薬科学への応用と薬学教育に関わることがで
究科の他の教員の考えにはまだかなりの隔た
きるようになり、大変喜ばしく思っています。
りがあるようです。我々は、既存のデータベ
COEプログラムでは「ゲノムとケミストリ
ースや検索・解析ツールを使いこなすことが
ーの融合」をテーマに、環境ゲノミクス、ケ
できるようにするのは学部教育だと思ってい
モゲノミクス、薬理ゲノミクスの3つの先端
ます。大学院の副専攻では、生命を情報シス
研究領域を設定して、研究を推進しています。
テムとしてとらえるバイオインフォマティク
薬理ゲノミクスは辻本豪三教授を中心とした
スの基本的な概念や方法論を理解させること
グループで、ゲノム情報の系統的解析を創薬
が重要です。そこから、様々な分野を融合し
ターゲット探索やテーラメイド医療へつなぐ
た総合科学として100年の歴史をもつ薬学研究
研究を行っています。バイオインフォマティ
にバイオインフォマティクスを取り入れ、21
クスの創薬科学への応用としては最も進んで
世紀の新たな展開を担う人材が育っていくこ
いる研究領域です。ケモゲノミクスは藤井信
とでしょう。
− 17 −
人 事 異 動
(平成15年11月1日∼平成16年10月31日)
氏 名
年 月 日
天滿 敬
平成16年1月16日
病態機能分析学助手(新規採用)
佐藤 公道
平成16年3月31日
定年退職(生体機能解析学教授)
松本 治
平成16年3月31日
千葉科学大学教授(ゲノム創薬科学助教授より)
澁川 明正
平成16年3月31日
千葉科学大学教授(薬品機能解析学助教授より)
三輪 嘉尚
平成16年3月31日
広島国際大学教授(ゲノム創薬科学講師より)
金子 周司
平成16年4月1日
生体機能解析学教授(医療薬理学助教授より)
矢倉 徹
平成16年4月1日
薬品資源学助手(新規採用)
中野 博明
平成16年6月16日
構造生物薬学助手
(大阪大学大学院工学研究科科学技術振興特任教員より)
平澤 明
平成16年7月1日
ゲノム創薬科学助教授
(国立成育医療センター研究所薬剤治療部室長より)
宮部 豪人
平成16年8月1日
薬品分子化学助教授(薬品分子化学講師より)
上村 和秀
平成16年8月31日
静岡県立大学薬学部助教授(生体分子認識学助手より)
星野 大
平成16年9月1日
薬品機能解析学助教授(大阪大学蛋白質研究所助手より)
黒田 幸弘
平成16年9月30日
株式会社住化分析センター(薬品機能解析学助手より)
輿水 崇鏡
平成16年10月1日
ゲノム創薬科学講師
(国立成育医療センター研究所薬剤治療研究部室長より)
柳田 玲子
平成16年10月1日
薬品分子化学講師(薬品分子化学助手より)
− 18 −
博士(薬学)の学位授与される
平成15年9月24日
外部キラル配位子制御によるリチウムアミ
Suchada Wanchana
ドのa、b−不飽和エステルへの不斉共役付加
反応
Quantitative structure/property relationship
modeling of pharmacokinetic properties
内 山 奈穂子
抗トリパノソーマ活性成分の探索及びその
using genetic algorithm-combined partal
作用機構に関する研究
least squares method
(遺伝的アルゴリズムと部分最小二乗法を利
矢 倉 徹
沈香の香気成分の生成機構に関する研究
用した薬物動態学的特性の定量的構造特性
矢 熊 弘 二
相関モデリング)
抗がん剤ブレオマイシンのゲノム機能解析
田 畑 泰 彦
とその分子作用機作に関する研究
Drug targeting through polymer conjugation
田 中 将 史
based on metal coordination
Membrane Structure of Lipid Particles and
(金属配位結合を利用した高分子複合体化に
Binding of Amphipathic a−Helices of Plasma
よる薬物ターゲティング)
Apolipoproteins
野 口 将 道
卵巣摘出ラットを用いた更年期hot flash発現
(脂質粒子膜構造と血漿アポリポ蛋白質両親
媒性aヘリックスの結合に関する研究)
におけるカルシトニン遺伝子関連ペプチド
角 田 品 子
の役割に関する研究
平成15年11月25日
HNK−1糖鎖生合成に関わる2種のグルクロ
山 本 倫 行
ン酸転移酵素の基質認識に関する生化学的、
構造生物学的な研究
Development of a Selective Inhibitor for Syk
Tyrosine Kinase and Investigation of Its
高 橋 仁
C型肝炎ウイルスサブゲノムレプリコン持続
Pharmacological Activities
複製細胞を用いたウイルスゲノム複製制御
(Sykチロシン・キナーゼ選択的阻害剤の開
機構の解析
発とその薬理学的活性の検討)
林 潔 宜
所(馬渕)美雪
Insulin−like growth factor−Iの新規生理活性、
ウイルス感染によるp53の機能的抑制並びに
胆汁分泌促進作用に関する研究
p53の修飾制御の分子機構
井 手 総一郎
平成16年1月23日
ヒトゲノム及び遺伝子改変マウスを用いたm
井 上 瑞 江
オピオイド受容体遺伝子に関する行動およ
癌関連糖鎖抗原の構造、生成機構、及び生
び分子薬理学的研究
物学的意義に関する研究
福 井 真 人
平成16年3月23日
脳内P2プリン受容体の侵害受容における役
栗 山 正 巳
割に関する研究
キラルアミドモノホスフィン−ロジウム錯
体を触媒とする不斉アリール化反応
土 屋 創 健
プロスタグランジンE受容体サブタイプEP2
土 肥 弘 久
− 19 −
ならびにDNAとの相互作用に関する研究
の遺伝子発現機構に関する研究
Helena Akiko Popiel
川 原 哲 史
Role of the conformation of the expanded
出芽酵母の小胞体ストレス応答を制御する
polyglutamine stretch in polyglutamine
転写因子Hac1pの同定と発現調節機構に関す
diseases and establishment of a molecular
る研究
therapy using the inhibitor peptide QBP1
尾 川 直 樹
(ポリグルタミン病における異常伸長ポリグ
出芽酵母の小胞体ストレス応答を制御する
ルタミン鎖のコンフォメーションの役割と
転写因子Hac1pの活性ならびに発現量調節機
阻害ペプチドQBP1を用いた治療法の研究)
構に関する研究
片 岡 美江子
堀 雄一郎
亜鉛イオンにより構造変化を誘発する人工
ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC/MS)
タンパク質の設計に関する研究
による生体・環境試料からの神経ガス分解
麓 伸太郎
物定量法の確立
局所体内動態解析に基づいたガラクトース
松 川 泰 久
修飾遺伝子キャリアの遺伝子導入効率改善
ラット肺胞培養上皮細胞層における蛋白質
に関する研究
の吸収機構に関する研究
平成16年5月24日
小 林 直 樹
In Vivo Plasmid DNA Delivery based on
澤 田 昌 依
Large−Volume Intravenous Injection
スクアレンエポキシターゼ阻害剤の高コレ
(大容量水溶液静脈内投与によるin vivoプラ
ステロール血症治療薬としての可能性に関
する薬理学的研究
スミドDNAデリバリーに関する研究)
豊 原 潤
丸 山 正 人
極性を有する上皮細胞へのインターフェロ
腫瘍の核医学診断に有用な放射性ハロゲン
ン遺伝子導入後の分泌方向性に関する研究
標識ヌクレオシドに関する基礎的研究
鳥 海 治 房
後 藤 真 樹
MDR1遺伝子解析に基づく臓器移植後の免疫
狂犬病ウイルスヌクレオカプシド蛋白質(N)
抑制療法個別化に関する研究
の燐酸化と機能との関連性について
平成16年7月23日
山 口 浩 明
キノロン系抗菌薬の吸収・分泌機構に関す
栗 原 英 司
狂犬病ウイルスLタンパク質の転写後におけ
る研究
る制御について
落 合 雅 子
大腸多段階発がん過程における初期病変及
掘 場 直
新規腎グルコーストランスポータNaGLT1の
び遺伝的修飾因子に関する研究
構造・機能に関する研究
高 畑 和 惠
網膜神経細胞死における一酸化窒素の役割
寺 坂 忠 嗣
Structure−Based Drug Designによる新規非
とその制御に関する薬理学的研究
池 内 義 弘
ヌクレオシド体アデノシンデアミナーゼ阻
新規なBioreductive drugとしてのニトロ5−
デアザフラビン誘導体の合成、抗腫瘍活性
− 20 −
害剤の創出研究
修士(薬学)の学位授与される
平成16年3月23日
Deficient Rats(正常およびMrp2/cMOAT
荒 木 威 亘
欠損ラット間におけるMethotrexateの肝臓、
腎臓局所動態(in loci)の比較
環状ペプチド構造を基盤とする低分子
CXCR4アンタゴニストの創製とその構造活
中 西 啓 子
性相関研究
高性能先端分析(HPFA)方を用いた血漿中
上 田 聡
非結合型チロキシン類の高感度定量
膜タンパク質の化学合成を指向した脂質二
松 山 輝 昭
分子膜担持型Chemical Ligationの開発
膜透過型細胞内ループを用いたGPCRの機能
佐々木 義 一
解析と制御
Sml2を利用したXaa−Pro型(Z)−アルケンジペ
高 井 伝 仕
ナノテクノロジーを用いたDNA−リガンド
プチドイソスターの合成
相互作用の検討
溝 上 智 子
CXCR4アンタゴニストT140誘導体の新規
外 村 公 良
pharmacophoreの発見を基にした低分子化
APG1受容体におけるG蛋白質活性化部位の
研究
同定
加 茂 倫 有
山 本 康 友
ジメチル亜鉛あるいはトリエチルホウ素を
レシチン/ジオレイン混合物の非ラメラ液
開始剤とするTHFラジカルの官能基・位置
晶相の構造評価とその微粒子化
河 邉 美 沙
選択的付加反応
スフィンゴミエリナーゼによる細胞への脂
小 林 祐 輔
質粒子の取り込み亢進
マクロラクチンAアナログの不斉合成研究
坂 本 淳
松 村 明
p−アリル遷移金属錯体に対するオキシム類
アポリポ蛋白質A−Ⅰモデルペプチドが誘起
の位置及びエナンチオ選択的反応の開発
するホスファチジルコリン−スフィンゴミ
柴 山 奈央美
エリン混合二分子膜の構造変化
沈香樹脂成分の人為的誘導に関する研究
西 辻 和 親
白 木 与 弘
リポタンパク質リパーゼによる脂質単分子
吸入投与による沈香香気成分の鎮静作用に
膜のリポリシスにおける 脂質組成、表面
関する研究
圧の影響
澤 慎 一
磯 部 芙美子
インスリンレセプターに対するナトリウム
求核触媒を用いる基質特異的アシル化に関
チャネルブロッカーの自己リン酸化抑制お
する研究
よび脱リン酸化作用に関する研究
岡 崎 彰
D, L型キラリティーによるオリゴエステル類
中 谷 陽 介
Simultaneous Evaluation of Hepatic and
Renal Local Disposition ( in loci ) of
の二次構造制御とイオン輸送
嶋 田 晶 子
Methotrexate in Normal and Mrp2/cMOAT
− 21 −
不斉記憶型アルキル化を用いる含窒素福素
protein−1(MCP−1)産生調節に関する脳組
環の合成
谷 間 大 輔
織切片培養系を用いた検討
機能性フェノールフタレインを用いた温度
小 松 紘 子
変化に伴う呈色型分子認識
新規mオピオイド受容体選択的リガンドK−8
丸 岡 博 美
の鎮痛作用に関する行動薬理学的研究
ホモオキサカリックス[3]アレーンの合成と
瀧 下 あずさ
機能
疼痛情動反応における扁桃体内ノルアドレ
井 上 満 博
ナリン神経系の役割
HNK−1糖鎖生合成に関わるグルクロン酸移
田 中 崇 裕
転酵素mRNAのマウス脳内分布に関する研
神経因性疼痛モデルラット後根神経節にお
究
けるonocyte chemoattractant protein−1
白 木 恵梨子
(MCP−1)産生亢進
LZKを介したシグナル伝達機構におけるアダ
碓 氷 浩 子
Fgf18の肺形成における役割の解析
プタータンパク質による制御に関する研究
詫 摩 泰 太
野 村 涼 坪
HNK−1糖鎖生合成に関与する二種のグルク
ゼブラフィッシュ fgf16 の同定と胸ビレ形成
ロン酸転移酵素の細胞内分布に関する研究
における役割
野 上 渉
若 原 隆 史
細胞内における肝臓型マンナン結合タンパ
ゼブラフィッシュ胚の胸ビレ及び心臓形成
ク質の発現と機能に関する研究
に関与する新規分泌性タンパク質SP5の同定
青 木 真由美
とその機能に関する研究
正常動物血清およびa2−マクログロブリンが
北 愛 弓
Gs共役におけるプロスタグランジン受容体
ウイルス感染に及ぼす影響
EP2とEP3の細胞内第2ループに存在する芳
酒 井 麻 依
香族アミノ酸の重要性
狂犬病ウイルスGタンパクの発現系における
丹 波 茂 郎
成熟条件の検討
プロスタグランジン受容体EP2欠損マウスの
庄 司 淳 一
VSV糖タンパク質を組込んだvirosomeによ
卵丘細胞における網羅的遺伝子発現解析
出 合 克 也
る遺伝子導入効率の改善の試み
マウス好中球におけるヒスタミン合成機構
水 腰 真 巳
の解析
狂犬病ウイルスのマトリックス(M)タンパク
土 岐 忠 史
の発現と二量体形成
マウス分娩時子宮に特異的に発現する新規
山 手 政 伸
遺伝子の解析
狂犬病ウイルス感染細胞における宿主因子
Hsp73(Hsc70)についての研究
三 倉 園 子
IgE感作によるCa2+流入を介したマスト細胞
古 賀 裕 士
HTLV−1 Taxと相互作用するTORC3の機能
解析
活性化機構の解析
丹 羽 美 紀
アルギニンペプチドを用いたHiS−Tag融合タ
伊 藤 美 聖
ATPに よ る monocyte chemoattractant
− 22 −
ンパク質の細胞内導入と生理活性評価
ース除去により誘発されるグルタミン酸遊
若 子 直 也
離の機序
亜鉛フィンガー蛋白質Sp1の配位子システイ
ン間のアミノ酸配列改変がDNA結合へ及ぼ
米 澤 淳
グルタミン酸誘発細胞内カルシウム上昇に
す影響
対する中枢性アセチルコリンエステラーゼ
岡 部 貴 幸
Protein delivery to untransfected cells after
阻害薬の作用
in vivo gene transfection using plasmid DNA
石 野 誠 悟
encoding cell−penetrating peptide-coupled
動脈硬化プラークの不安定性の評価を目的
protein(細胞透過ペプチド融合タンパク質
とした放射性薬剤の開発に関する基礎的検
発現プラスミドDNA投与によるin vivo遺伝
討
井 上 靖 之
子導入後の周辺細胞へのタンパク)
二官能性キレートを用いた 99mTc標識骨核医
勝 見 英 正
学診断薬の開発
Development of Novel Macromolecular
Donor of Nitric Oxide for Its In Viro Delivery
右 近 美 紗
腫瘍の低酸素部位のイメージングを目的と
(一酸化窒素デリバリーのための新規高分子
した放射性薬剤の開発に関する基礎的検討
化供与体の開発)
藤 原 宏 美
根 元 貴 行
Receptor-mediated Delivery of Mannosylated
遺伝子治療における導入遺伝子発現のin vivo
Proteins to Alveolar Epithelial Type II Cells
核医学イメージング法の開発に関する基礎
的研究
(マンノース修飾を利用した肺胞Ⅱ型上皮細
胞への受容体介在性タンパク質デリバリー)
米 山 智 城
中枢ニコチン性アセチルコリン受容体結合
兵 頭 健 治
Development of Quantitative Analytical
性化合物の神経因性疼痛抑制作用に関する
Method for Disposition of Tumor Cells In
検討
Viro and Its Application to Tumor
池 永 智 子
Metastatsis Research(癌細胞体内動態の定
Cationization of Antigen Protein for Delievry
量的懐石法の開発と癌転移抑制研究への応
to
用)
Enhancement of Immune Response(抗原タ
Antigen-presenting
Cells
and
ンパク質のカチオン化修飾による体内動態
泉 安 彦
制御と免疫応答の増強)
ドパミンニューロンにおける6−OHDA誘発
竹 本 誠 二
アポトーシスに対する二価鉄の抑制作用
Tissue distribution characteristics of mouse
伊 藤 亮
培養大脳皮質アストロサイトにおけるセロ
heat shock protein 70, a possible immune
フェンド酸の形態変化促進作用
activation for tumor therapy(腫瘍ワクチン
開発を目的としたheat shock protein 70の体
小坂田 文 隆
胎仔由来メタボロームであるセロフェンド
内動態解析)
酸の活性酸素種誘発ニューロン死に対する
陳 石
Secretion polarity of expressed protein
保護作用
following in vivo gene delivery to mice
藤 本 真 二
培養大脳皮質切片において低酸素/グルコ
− 23 −
hepatocytes(肝実質細胞へのin vivo遺伝子
導入後の発現タンパク質の分泌方向性に関
朝 賀 純 一
する研究)
有機カチオントランスポータrOCT2のテス
松 井 優 美
トステロンによる発現調節に関する研究
Sequence-specific Suppression of mdr1a/1b
上 尾 治 正
Expression in Mice via RNA Interference
ヒト有機アニオントランスポータhOAT1及
(RNA干渉を用いたマウスにおける配列特異
びhOAT3によるセファロスボリン類の輸送
的mdr1a/1b遺伝子発現抑制)
特性
山 根 郁 子
大 西 千 春
Plasmid DNA Uptake and Subsequent
腎Na+依存性グルコース/フルクトーストラ
Cellular Activation in Cultured Human
ンスポータNaGLT1の基質認識特性と病態生
Macrophages(ヒトマクロファージにおけ
理学的役割の解明
るプラスミドDNA取り込み及びサイトカイ
慈 幸 麻 里
ン誘導に関する研究)
抗腫瘍剤パクリタキセルの体内動態変動因
吉 田 豊 一
子と薬効および副作用に関する解析
Control of Secretion Polarity of Exogenously
西 尾 直 樹
Expressed Interferon in Epithelial Cells(上
甲状腺ホルモンによる薬物排出トランスポ
皮細胞に発現させたインターフェロンの分
ータMDR1の発現・機能変化に関する研究
泌方向性制御に関する研究)
山 口 紗央里
川 上 聖 子
肝再生期における薬物体内動態変動に関す
培養大脳皮質ニューロンにおけるH 2 O 2 誘発
Ca2+流入と細胞死に果たすTRPM2の役割
山 田 裕 二
新規抗痴呆薬FK962のCa 2+ チャネル調節系
に対する作用
− 24 −
る研究
分 野(教 室)だ よ り
多く、充実した生活を送っています。今年は
薬品有機製造学(薬品製造学)
昨年の薬友会野球・ソフトボール大会の無念
本年度の薬品有機製造学分野は、貫禄を身
を払拭するべく気合充分です。また、毎年秋
に纏う我らが大将・藤井教授、若さと活気溢
には他大学の有機合成分野の5研究室とスポ
れる智将・大高助教授、奇抜さが持ち味の名
ーツで汗を流した後日頃の研究活動に関する
将・玉村講師、新たな仲間として加わった勇
情報を交換するなど対外活動も積極的に行っ
将・今野助手、DC3名、MC9名、4回生4
ております。
名の総勢20名からなっております。
最後になりましたが、卒業生の皆様、また
さて、ポストゲノム時代へと突入しつつあ
る現在、ゲノム情報およびプロテオーム情報
当研究室に興味のある学生の方々も是非お気
軽に研究室にお立ち寄り下さい。
を創薬情報へと変換するためのgeneral
strategyの確立が非常に重要となってきていま
す。当研究室はケミカルバイオロジー、ケモ
薬品合成化学(薬用植物化学)
ゲノミクスの観点から21世紀COEプログラム
本年度の当研究室の構成は、富岡教授、飯
「ゲノム科学の知的情報基盤・研究拠点形成」
田助教授、山田助手、猿渡秘書の職員4名と、
に参画しており、創薬を目的の一つとして、
研究員1名、DC9名、MC7名、4回生4名
ペプチド・蛋白質化学、有機合成化学を基本
の総勢25名であります。
に、ペプチドからクスリ、を合言葉に研究を
今年の5月の引越により研究室が4階に移
行っております。また、学会・シンポジウム
り新しい環境で研究ができるようになりまし
活動も積極的に行っており、本年、藤井教授
た。研究内容は多岐にわたり、有機合成化学
は日本ペプチド学会の副会長に就任すると同
方法論の開拓、触媒的不斉合成反応の設計・
時に、日豪ドラッグデザインディベロップメ
開拓、立体化学制御の分子論的基礎の構築と
ントシンポジウムで日本側の代表者を務めま
新概念の創出、分子認識を基盤とする分子の
した。さらに当研究室は若手ペプチド夏の勉
高次構造制御化学、抗腫瘍性有機化合物の設
強会の世話役を務め、若手研究者の育成も積
計・合成と生物有機化学、生体応答分子の生
極的に行いたいと思っています。また、広く
物有機化学、天然生物活性分子の発見と機能
ケミカルバイオロジーの発展・人材の育成を
発現の化学、と基礎研究から医薬品開発への
目的として、本年秋から定期的に「ケモゲノ
応用となるものまで幅広く取り組んでいます。
ミクス研究会」を開催しております。
富岡清教授は非常に精力的で教育熱心な先生
今年は5年連続薬剤師国家試験全員合格を
です。その熱心さゆえに学生とのディスカッ
達成し、今後も10年20年と末永く記録を更新
ションも長時間に及ぶこともしばしばです。
しつづけていきたいと考えております。
飯田助教授はとても気さくな先生で、時に四
一方勉強のみならず、毎年行われている
条のいきつけの飲み屋に連れていってくれた
様々なコンパに加えて、お花見に行ったり、
りします。山田助手は空いた時間には鉄アレ
琵琶湖岸でバーベキューを行ったりと行事も
イで体を鍛えるなど、そのあふれんばかりの
− 25 −
パワフルさで私たち院生を引っ張っていって
等が挙げられ、こういった研究の成果は、反
くれます。そんな先生方の指導の下、日夜、
応と合成の進歩シンポジウム、薬学会近畿支
実験に勉強にと力量ある有機化学者目指して
部、薬学会年会等の様々な学会において発表
頑張っています。又、NMR、IR、GC、HPLC、
されております。
CD、DSC、旋光計などの設備機器も充実して
また、各人がそれぞれのテーマをもって
おり、非常に研究しやすい雰囲気下でありま
日々実験、研究に励んでいる一方で、それ以
す。
外に行われる行事も活発であり、新歓、実習
さらに今年の五月からPDにフランス人の方
打ち上げ、ボーリング大会、院試激励会、院
を迎えるにあたってセミナーを英語で行うこ
試お疲れ会、忘年会、追いコンほか夏にはバ
となり、英語力の向上にも力を入れておりま
ーベキュー、秋には研究室旅行や野球大会、
す。
冬にはスノーボードなどが毎年恒例となって
実験だけでなくスポーツにも力を入れてお
おります。特に野球大会におきましては、日
り、今年の野球大会では悲願の優勝を目指し
頃からキャッチボールをしたり、バッティン
ています。
グセンターに足を運んだりと、優勝を目標に
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健
頑張っております。さらに、飲みに出かける
康と益々のご活躍をお祈りいたします。卒業
こともしばしばあり、日々交流を深めており
生の皆様、また学部学生の方も、お気軽にお
ます。
立ち寄りください。
最後になりましたが、薬友会の皆様の御健
康とますますの御活躍を御祈り申し上げます。
学部学生の方も当研究室の興味を持たれま
薬品分子化学(有機薬化学)
したら、御気軽に御訪ね下さい。有機化学は
本年度の薬品分子化学は、竹本教授以下、
企業において需要が高く、その習得は非常に
宮部助教授、柳田助手の御指導のもと、PD、
価値あるものです。私達と有機化学を学びま
D3、D1が各2名、M2が4名、M1が1名、
せんか?また御卒業された皆様もお近くにお
4回生が2名、研究生が1名の計17名という
こしの際はぜひ御立ち寄りください。なお、
構成になっております。竹本先生、宮部先生
当研究室のホームページを開設いたしました
共に若くこれからの研究室ですが、夢と情熱
(http://192.168.1.200/index.html)ので、興味
と忍耐をキャッチフレーズにした若い活力の
を持たれた方はぜひお訪ねください。
ある研究室を目指し、少数精鋭で頑張ってい
ます。
薬品資源学(生薬学)
当研究室のテーマとしましては、
本年度の薬品資源学分野は、本多教授、伊
1.生物活性天然有機化合物およびその類縁
藤助教授、矢倉助手の3名の先生方のもと、
体の高選択的な全合成研究
2.金属および金属化合物の特性を利用した
5名の院生、4名の4回生の計12名から構成
されています。女性が3名と少なくなりまし
高立体選択的な不斉合成反応の開拓
3.機能集積化を指向した不斉触媒分子の設
たが、教室は賑やかでとても楽しい雰囲気で
す。一昨年末に研究室が新校舎に移転し、快
計と有機合成反応への応用
4.有機分子の組織化を基盤とした新しい反
適な環境で研究に取り組んでいます。
現在の当研究室のテーマとしましては、
応場の構築
− 26 −
1)ジンコウノキの香気成分についての研究
1日付で新設の千葉科学大学薬学部に教授と
2)シソなどに含まれる精油成分生合成に関
して栄転されました。後任として星野大(ま
与する遺伝子の探索
さる)先生が、大阪大学蛋白質研究所から9
3)海外の薬用植物及び伝統薬物の調査研究
月1日付で着任されました。星野先生はNMR
に大別されます。このようにテーマは天然物
などの物理化学的測定法を用い、蛋白質の構
化学から薬理、遺伝子研究までと幅広い分野
造やフォールディングを研究しておられる新
にわたっており、これらの研究成果を薬学会、
進気鋭の若き研究者です。学生諸君に良い刺
生薬学会などで発表しています。
激を与えて下さるものと期待しています。黒
教室行事としては、各種コンパ、研究室旅
田助手は10月1日付で住化分析センターに就
行の他に、山で自然と触れあいながらの植物
職され、現在助手は不在です。秘書も金森さ
観察会やバーベキュー、薬草園見学など当研
んから地當(じとう)さんにバトンタッチし
究室ならではの活動も行っています。また、
ました。学生はDC3名、MC7名、4回生2
薬草園で採れた梅やアンズの実を使って、梅
名の構成(男性8、女性4)で、総勢15名が
酒やアンズ酒、ジャムなどを作り、季節の恵
総合研究棟内(3階西)で日々研究に励んで
みを楽しみながら身近な薬用植物に触れ、そ
います。
れらに親しんでいます。薬友会の野球大会に
現在の研究テーマは、1)抗菌性ペプチド
ついては、本年度は薬品有機製造学分野(藤
の作用機構の解明と創薬への展開、2)アル
井教授)と合同チームを組み、単独ではあり
ツハイマー病発症機構の解明と予防・治療法
ませんが数十年ぶりの勝利を目指しています。
の開発、3)膜タンパク質の構造形成原理の
また、ソフトボール大会は本年度も有機合同
解明、4)Gタンパク質共役型レセプター
チームでの参加になる予定ですが、ベスト4
(GPCR)の機能制御法の開発、5)NMRを用
だった昨年度も大活躍だった、伊藤先生はじ
いた蛋白質新規構造解析法の開発、6)分離
め3名の女性陣には本年度も期待大です。
分析システムを用いる結合分析法の応用につ
このように本研究室では、研究活動はもち
いて、独創的で国際的に評価される研究成果
ろん、課外活動にも積極的に参加し、充実し
を目指し、精力的に研究を行っています。興
た研究室生活を送っています。皆様ご多忙と
味深い結果もいくつか出始め、展開が楽しみ
は存じますが、近くまでおいでの際には、新
です。また、毎週のセミナーにおいては文献
しい研究室をご覧に新校舎5階まで是非お立
紹介・研究報告・英語プレゼンテーションが
ち寄りください。研究室一同、お待ちしてお
行われ、常に活発な質疑応答がなされます。
ります。
日頃の英語プレゼンの成果を生かし、学生も
最後になりましたが、皆様方のご健康と
国際会議で口頭発表をするようにしています。
益々のご活躍をお祈り申し上げます。
一方で、実験やセミナーの合間にはコーヒ
ーで一息ついたり、飲み会や教室旅行があっ
たりと、研究教育以外の面においても充実し
薬品機能解析学(薬品分析学)
た日々を送っています。当研究室のウェブサ
新体制で再スタートした薬品機能解析学分
イト(http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/yakkai/)
野(薬解)は2年目を迎え、スタッフが入れ
で論文等を含めた更に詳しい研究活動情報が
替わり、雰囲気も一新しました。長らく当分
御覧になれますので、ぜひアクセスしてくだ
野の研究教育に貢献された渋川助教授は4月
さい。
− 27 −
最後になりましたが薬友会の皆様の御健
康・御多幸をお祈り申し上げます。
新たに細胞培養室と結晶化室も整い、昆虫細
胞によるタンパク質の大量発現や、恒温条件
での結晶化が可能となりました。この新しい
研究環境のもと、学生たちは、各人がそれぞ
構造生物薬学
れのテーマを持ち、日々研究、実験に意欲的
本年度の構造生物薬学分野は、新たに中野
に取り組んでいます。
博明先生を助手として迎え、加藤教授、中津
本分野は、理化学研究所播磨研究所の研究
助教授、中野助手、中嶋秘書の職員4名と、
室との交流も深く、ディスカッションをした
博士研究員1名、DC1名、MC6名、4回生
り、合同でセミナーを行なったりと、学内に
2名の総勢14名で研究を行なっています。中
とどまらない、幅広い研究活動が行なわれて
野先生は、X線結晶構造解析だけでなく、
います。一方、新歓コンパ、院試激励会、忘
NMRによる構造解析や、結晶作成に不可欠な
年会、といった教室行事も様々なものが企画
遺伝子工学やタンパク質の扱いにも長けてお
され、活気のある研究生活が行なわれていま
り、私たちの心強い味方です。
す。卒業生の皆様を始め、学部生の方々も、
本分野は、主にX線結晶構造解析を用い、タ
ンパク質の構造を明らかにすることによって、
当研究室に興味をもたれましたら是非お立ち
寄り下さい。
創薬の基礎となる生命現象を解明する研究を
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健
行なっています。現在、細胞内には、構造生
康とますますのご活躍をお祈り申し上げます。
物学的アプローチが手付かずになっている問
題がたくさんあります。特に、生体膜中に埋
め込まれている生物装置、膜タンパク質につ
ゲノム創薬科学(薬品分子構造学)
いては、結晶化が難しいため、構造生物学的
本年度のゲノム創薬科学分野(旧薬品分子
な研究から取り残された状態にあります。こ
構造学・情報薬学分野)は構成員が大きく入
れらのタンパク質の機能を真に理解するため
れ替わり、松本助教授、三輪講師がそれぞれ
には、新しい手法を独自に開発することが不
千葉科学大学薬学部、広島国際大学薬学部の
可欠です。そこで、当研究室では、以下の3つ
教授職にご栄転され、新たに平澤助教授を迎
のテーマ、1)様々な疾病に関わっている
えることとなりました。以下、DC1名、MC
ABCタンパク質をはじめとしたトランスポー
8名、4回生3名、研究員6名、研究補佐4
ター、チャネルなど膜タンパク質機能の構造
名、研究生1名、秘書1名の総勢26名で構成
要因の解明、2)膜タンパク質局在化に関わ
され、日夜研究に励んでおります。
るタンパク質であるペルオキシソームのX線構
当研究室では細胞培養やDNA操作をはじめ
造解析、3)立体構造の時分割測定による酵
とした分子生物学的手法に加え、SNPs解析や
素の触媒作用の構造的起源の解明、を中心に
DNAマイクロアレイなど最新の手法を取り入
掲げています。
れ、以下のような研究を行っています。
本分野は、昨年度後期に研究室の引越しを
1.ゲノムの包括的解析による新規創薬標的
の発見とターゲットバリデーション
行ない、薬学部本館1階製剤室から、薬学部
本館3階の新しく改築された研究室に移り、広
2.バイオインフォマティクスによるin silico
創薬研究
く新しくなった研究室で、日々研究に励んで
おります。移転に伴い、様々な実験設備や、
3.生体内オーファンG蛋白質共役型受容体の
− 28 −
リガンド探索および機能構造解析
脂質微粒子の構造評価およびタンパク質との
4.マイクロアレイを用いた遺伝子発現解析
相互作用評価とその製剤学的応用に力を注が
5.遺伝子改変動物、病態動物を用いた遺伝
れています。
子の個体レベルにおける機能解析
本分野は現在、外国人共同研究者1名、博
6.患者個人の遺伝子多型情報に基づいた至
適臨床薬物療法の実現
士課程3名(含タイ人留学生1名)、修士課程
6名、4回生5名、研究生1名、事務補佐員
昨年度から引き続き、文部科学省の21世紀
(秘書)1名の総勢20名です。分野の研究は脂
COEプログラム「ゲノム科学の知的情報基
質分子の多様な集合構造(ナノ粒子)の構築、
盤・研究拠点形成プロジェクト」の一員とし
界面物性解明、生理学的機能の制御とその製
て、研究の更なる充実を図るべく、研究室内
剤への応用を目的としたものです。脂質、蛋
では活発な討論が日々なされています。
白質またそれらの相互作用を国内外の多数の
こうした研究活動の一方で、研究室行事も
研究室とも協力し、NMR、SAXS、蛍光法や、
盛んです。「仕事にはメリハリを」という辻本
ラット、培養細胞など、多岐にわたる研究手
教授の理念の元、4回生歓迎コンパに始まり、
法を駆使して解明しようと努力しております。
学生実習の打ち上げや院試激励会、忘年会の
毎週月曜に行われるセミナーでは、情報、意
他、テニス大会や古都・京都の散策などが計
見交換をしながらお互いに切磋琢磨していま
画され、お互いの親睦を深めています。
す。そのほか、研究室旅行やコンパ、ボーリ
卒業生の皆様をはじめ、学部生の方々も、
ング大会など、教室行事も盛りだくさんです。
当研究室に興味をもたれましたら、是非お立
製剤機能解析学、薬品物性学は薬学研究科
ち寄りください。HP(http://gdds.pharm.
の基盤的研究・教育を担う重要な分野であり、
kyoto-u.ac.jp)ではこの他、様々な情報がご覧
その責任が果たせるよう努力しております。
になれます。
昨年には改修棟へ移転し、研究環境も格段に
最後になりましたが、研究室一同、薬友会
向上しました。
の皆様の御健康と御活躍を心よりお祈り申し
薬友会の皆様もどうか気軽にお立ち寄りご
上げます。
指導ご鞭撻下さるようお願いいたします。
製剤機能解析学・薬品物性学
(薬品物理化学)
生体分子認識学・生理活性制御学
(生物化学)
製剤機能解析学分野(製剤)は、半田教授、
生体分子認識学分野は、教授の川嵜先生、
黒田助教授、中野助手の指導のもと、日々研
助教授の岡先生、助手の馬先生、DC2名、
究に励んでおります。半田教授は、学内外の
MC10名、4回生4名、研究員2名、秘書2名
仕事を数多くこなされながらも、アポリポ蛋
の計23名によりなっています。生命科学研究
白質の機能解明のため、学生とのディスカッ
科システム機能学が別講座として分離しまし
ションを大切にしておられます。黒田助教授
たが、研究室間の交流は深くコンパや教室旅
は、現在主にインシュリン受容体と薬物の相
行・イベントなどが共同で行われます。当研
互作用について、モデルペプチドと分光学的
究室は以下のようなテーマで研究を行ってい
手法を駆使して研究されています。中野助手
ます。
は、X線小角散乱(SAXS)や蛍光法を用いて
1.神経細胞に特徴的な糖鎖の構造と生合成
− 29 −
に関する研究
た)、米国でポストドックとしての修行に入っ
2.糖鎖を認識するタンパク(レクチン)の
た(留学先は米国のアテネ市)。
機能及び構造に関する研究
昨年は、薬学部本館の改修工事が行われ、
3.新規プロテインキナーゼのシグナル伝達
に関する研究
当研究室以外は改修工事が完成し、新装の研
究室へ移転している。巨額の研究費の無駄遣
4.糖転移酵素の構造と機能に関する研究
いが続いている中で、我々の研究室の改修工
5.小型魚類を用いた糖鎖関連遺伝子の役割
事は予算不足のため完成せず研究室の移転が
に関する研究
できずにいる。
研究に必要な機械類はかなり充実しており、
薬学教育は2年もすると6年制が始まり、
「あと用意するものはやる気だけ」という環境
国立大学法人にとっては三重苦の時代が始ま
で、みんな日夜遅くまで実験に励んでいます。
る(①教官数は据え置きのままで、専門科目
何にでも全力で取り組むのが好きな学生は、
の講義時間が2年分追加されるため教官は非
実験以外にも薬友会の野球大会・ソフトボー
常に多忙になり、慣れない分野の講義も担当
ル大会や有志が集まって行われるフットサル
することになれば、研究時間の確保もますま
などのスポーツイベント、そして何かとかこ
す困難になる。②修士課程は4年制課程の上
つけて行われる飲み会などに対しても全力で
に残されるが、規模が小さくなると予測され、
打ち込んでしまうため、翌日筋肉痛にうめい
実質的な研究活動の担い手も大きく減ること
たり羽目を外して酒につぶれる人もちらほら
になる。③ついでに、研究費のうちで従来院
見られます。
生の人数で算出されている分の研究費が、院
夏の花火やサッカー観戦、冬の教室旅行や
生数減少に対応して大幅に減少する)。このよ
川嵜研同窓会などイベントには事欠きません。
うな状況下で、部分的に4年制を残すという
このように楽しいメンバーが揃っているので
しばしの逃げ道の確保とその内容の充実が重
OB&OGの方々、お近くに来られた際には是
大な課題になっている。
当研究室では、SMAPが代弁しているように、
非当研究室にお立ち寄りになって、近況や昔
の話など楽しい話をお聞かせ下さい。
ナンバーワンを目指すよりも、より困難なオ
最後になりましたが、薬友会のみなさまの
ンリーワンであり続ける道を歩むことをモッ
ご健康とますますのご活躍をお祈り申し上げ
トーとしてきた。具体的には、狂犬病ウイル
ます。
スを対象として、ウイルス遺伝子がコードす
る糖タンパク質、RNA合成酵素および核タン
パク質の成熟条件や多機能分子としての機能
分子微生物学(微生物薬品学)
変換の条件等について、各タンパク質をコー
当研究室の構成メンバーは、教官スタッフ
ドする遺伝子の変異体や種々のモノクローナ
3人(河合、渡部、栃倉)、D生1人(Krit
ル抗体を作成し解析している。その応用的な
Thirapanmethee)、M1生5人(王、大野、乃
面の研究としては、ウイルス糖タンパク質を
美、松尾、吉田)、4回生2人(井上、塚原)、
組み込んだgenosomeの開発や狂犬病ワクチン
事務補佐員1人(松村)の計12人である。
の製造条件の再検討を行っている。後者はKrit
Krit君は最終学年を迎えている。鳥海君は、
君の研究課題として、狂犬病ワクチンの改善
本年春に学位を取得し、長きにわたる研究生
(品質の向上と製造コストの削減)に貢献して
としての生活を終え(原著論文は7報を越え
いる。その他、ウイルスの複製過程における
− 30 −
細胞膜骨格系成分や分子シャペロンの関わり
さらに昨年4月にできた創薬神経科学講座と
に関する従来の研究も続いている。
も親戚関係にありますので共同研究も多く、
それらの分野の先生方からご指導を受けるな
どますます研究に熱が入っています。
生体機能解析学(分子作用制御学)
教室員は明るく楽しい人ばかりで、このよ
生体機能解析学分野では、前任教授である
うに研究に真摯に取り組む一方で教室行事に
佐藤公道先生が2004年3月に定年退官され、
も力を抜くことなく、新歓コンパ、教室旅行
4月1日付けで医療薬理学分野助教授であっ
といった公式イベントでは趣向を凝らした企
た金子周司先生が新しく教授として着任され
画作りにも余念がありません。またこのよう
ました。そのもとで、分かりやすい講義が大
な公式イベントの他にも、四回生院試激励コ
人気の南雅文助教授、2児(もうすぐ3児)
ンパ、院試お疲れさまコンパ、バーベキュー、
の父でもあり、いつもパワフルな中川貴之助
夏の海水浴や冬のスキー旅行、突然の飲み会
手、また旧生体機能解析学分野と旧医療薬理
などが企画・実行されています。
学分野が合併したことで、ポスドク1人、DC
本研究室は個性あふれるメンバーが揃って
1人、MC12人、卒研生7人、研究員1人に秘
おり、日々の研究活動の合間にも笑いと歓談
書1人を加え、計26人が、改装され綺麗になっ
が絶えません。お近くにお越しの際はぜひお
たばかりの薬学部本館2階西に移り、賑やか
立ち寄り下さい。皆様のお越しを教室員一同
に研究生活を行っています。生体機能解析学
心待ちにしております。
分野、医療薬理学分野ともに、以前から中枢
最後になりましたが、教室員一同、薬友会
神経系での薬物の作用メカニズムを解明する
の皆様のご健康とご活躍を心よりお祈り申し
ためにさまざまな手法を用いた研究を行って
上げます。
おり、現在は、
・電位依存性および受容体依存性カルシウム
チャネルに関する電気生理的および分子生
遺伝子薬学(遺伝子薬品学)
当研究室は今年度で開設12年目を迎えまし
物学的研究
・神経―グリア細胞間情報伝達物質としての
た。現在、遺伝子薬学分野は、伊藤教授、三
脳内サイトカイン・ケモカイン類の役割に
宅講師、小西助手、DC8名、MC9名、研究
関する研究
生1名、4回生3名、合計24名という構成で
・薬物依存形成のメカニズムおよびその制御
す。5月には薬学部校舎の改修に伴い新たな
研究室へ引っ越し、先生方の厳しくも心温ま
に関する研究
・中枢神経系における痛覚伝達・制御、およ
るご指導のもと、新しい環境で皆日々研究に
いそしんでおります。
び疼痛情動反応に関する研究
現在の当研究室の研究テーマとしては、
を主要テーマとして日夜(特に夜?)実験に
励 ん で い ま す 。( 当 研 究 室 の ウ ェ ブ サ イ ト
1)遺伝子探索法による新規細胞間シグナル
http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/channel/ja/
index.htmlで詳しい研究活動情報がご覧になれ
分子の探索と発現様式の解明
2)新規細胞間シグナル分子の生体内代謝調
節における役割の解明
ますのでぜひアクセスしてください。)また、
薬品作用解析学分野とは元々薬理学講座とい
3)新規細胞間シグナル分子の発生・分化に
う1つの講座から派生してきたこともあり、
− 31 −
おける役割、及び形態形成の分子機構の解
明
4)ゼブラフィッシュにおけるFGFおよび細
生体情報制御学(衛生化学)
本年度の生体情報性御学分野は、中山教授、
胞間シグナル分子の探索と機能解析
5)FGFおよび細胞間シグナル分子の遺伝子
杉本助教授、田中助手の御指導のもと、DC4
名、MC12名、4回生4名、研究員5名、秘書
欠損マウスの作成とその解析
が挙げられ、こういった研究の成果は分子生
1名の総勢29名で構成され、日夜研究に励ん
物学会、薬学会、アディポサイエンス、神経
でおります。
当研究室では、ゴルジ体を中心としたタン
科学会等の様々な学会において発表されてい
パク質の細胞内輸送および局在化の機構の解
ます。
学生たちは皆熱心に研究に励んでおります
析、プロスタグランジン受容体の解析、ヒス
が、研究に明け暮れてばかりいるわけではあ
チジン脱炭酸酵素の解析という3つのテーマ
りません。当研究室では、新歓コンパ、院試
をもとに研究を進めております。また、毎週
激励およびお疲れ様コンパ、教室旅行、クリ
のセミナーを通じて、意見を交換しあい、教
スマス会、忘年会、追い出しコンパといった
室全体で研究を進めるように努力しておりま
各種公式行事に加え、お花見、バーベキュー、
す。
スキー旅行といった、有志による楽しい企画
研究だけでなく教室行事も盛んで、春のお
が目白押しで、皆、何ごとにも真剣に取り組
花見に始まり、新歓コンパ、院試激励会、院
むことの大切さを忘れることはないようです。
試打ち上げコンパ、教室旅行、追いコンなど、
また、最近はスポーツ熱もますます上がっ
事あるごとに皆で親睦を深めています。メン
ています。昨年の薬友会野球では、「勝ちたい
バーは個性に溢れていますが、皆に共通なの
んや!」の合い言葉のもと、ベテランと若手
は「何事においても真剣に」であり、研究は
の見事なコラボレーションにより2回戦進出
もちろんのこと遊びにおいても真剣です。
しました。(2回戦は引き分けたものの、ジャ
我々のモットーは「よく学び、よく遊べ」で
ンケンの弱さにより敗退しました。)かつての
あり、飲み会などでは、先生方も学生に混じ
「遺伝子は弱小」の面影はなく、今年は史上最
って、よく遊んで下さいます。そこで、エネ
強打線(自称)を武器に「遺伝子は常勝」へ
ルギーを蓄え、日々の実験に爆発させるとい
と進化をとげつつあります。さらに有志で行
った次第です。普段の教室の雰囲気はとても
っている教室間対抗フットサルでも、優秀な
自由で明るく、笑い声が絶えません。しかし、
成績を収めています。
各実験にはやはり真剣に取り組み、時には先
このように、遺伝子薬学分野は、益々活気
生方の厳しい指導のもと、めりはりのある研
に満ちた研究室となっておりますので、卒業
究生活を送っております。そして、忙しい中
生の皆様はじめ、当研究室に興味を持たれた
にもやりがいを感じながら、目標に向かって
方、お気軽にお立ち寄り下さい。
邁進しております。
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健
卒業生の皆様をはじめ、当研究室に興味を
康と更なるご活躍を心よりお祈り申し上げま
持たれた方、どうぞお気軽にお立ち寄り下さ
す。
い。
最後になりましたが、研究員一同、薬友会
の皆様方の御健康と御活躍をお祈り申し上げ
ます。
− 32 −
会社の皆さんが集まる経口投与製剤勉強会が
数ヶ月毎に開催され、製剤に関わる企業研究
薬品動態制御学(薬剤学)
者の方々にお話を聞かせていただくチャンス
本年度の薬品動態制御学分野(旧薬剤学教
もあります。
室)は、橋田教授、山下助教授、川上助手の
新棟の研究室に移ってから1年が過ぎ、こ
教員3名、Post Doc1名、DC12名(うち外国
の新しい研究室にも馴染んできました。橋田
人留学生5名)、MC13名(うち外国人留学生
教授が研究科長をなさっていることもあり、
3名)、4回生5名、秘書2名で構成され、総
国内外から多数の来訪者をお迎えしておりま
勢36名の大所帯が日夜研究にいそしんでおり
す。卒業生の皆様も機会がございましたら、
ます。
新しくなった薬学部を見に、是非研究室にお
橋田教授は、国際薬学連合(FIP)副会長、
日本DDS学会理事長などの要職を務めるなど、
立ち寄りください。また、当研究室に興味を
持たれた方のお越しもお待ちしております。
国内外で幅広く活躍しておられ、また、本年
度も引き続き薬学部長・薬学研究科長として
最後になりましたが、薬友会の皆様方のご
健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
お忙しい毎日を過ごしてらっしゃいます。
当研究室の研究内容は、タンパク医薬品や
遺伝子医薬品など単独の投与では効果的な薬
効を発現することが難しい薬物に対し、肝臓、
薬品作用解析学・医療薬理学
(薬理学)
本年度の薬品作用解析学分野は赤池教授、
肺、癌など臓器/組織レベルでの送達を目的と
したシステムの開発を進めるとともに、経皮、
香月助教授、久米助手のご指導のもと、DC7
消化管吸収のコンピュータ予測も行っており
名、MC10名、4回生5名、秘書1名、受託研
ます。これらの研究成果は、薬学会、薬剤学
究員1名の総勢27名より構成され、日々研究
会、薬物動態学会、DDS学会といった国内学
に励んでいます。当分野は以前から生体機能
会のみならず、さまざまな国際学会で多数発
解析学分野や医学部、さらに創薬神経科学分
表しております。特に、今年の5月末から6
野との共同研究が多いため、研究室は活気に
月の初めにかけて京都において行われた、世
満ち溢れ、互いに切磋琢磨する中で研究に勤
界薬学会議(PSWC)では研究室メンバーのほ
しんでいます。
とんどが発表する機会を得、直前の日韓合同
現在当研究室では、「中枢神経疾患における
薬剤学シンポジウムのお世話に加えて、大変
ニューロン死の機序とその保護因子に関する
貴重な体験をいたしました。
研究」「当研究室で発見された新規神経保護物
教室行事は春の新歓コンパに始まり、ビア
質『セロフェンド酸』に関する研究」「ガス状
ガーデン、夏の他大学との合同サマーセミナ
生理活性物質である一酸化窒素の脳細胞選択
ー、秋の阪大薬剤学教室との交流会、研究室
死における役割の解明」「虚血性網膜障害の機
旅行、年度末の追い出しコンパなど多数行わ
序の解析と治療薬の探索」等についての研究
れ、いつもはお忙しい先生方も交えて、大い
が日々進められており、これらの研究成果は
に盛り上がります。また、ほとんどの行事を
薬理学会、薬学会、神経科学会等の様々な学
病態情報薬学教室と合同で行い、総勢65名を
会において発表されています。
超える旧薬剤学研究室のメンバーでお互いの
こうした研究活動の一方で教室行事も盛ん
親睦を深めております。その他、多くの製薬
で、生体機能解析学、創薬神経科学分野と合
− 33 −
同で行われる新歓コンパ、教室旅行、追い出
一方、教室行事も盛んに行われており、4月
しコンパの三大イベントを筆頭に、その他に
の新歓コンパに始まり、院試激励コンパ、院
も院試激励コンパ、院試打ち上げコンパ、野
試お疲れコンパ、薬友会の野球、ソフトボー
球、サッカー観戦などのイベントが数多く行
ル大会、教室旅行、忘年会、新年会、追いコ
われています。また、スポーツ好きな人も多
ンといろいろな行事が盛りだくさんです。
く、野球、フットサル、テニスなどのスポー
本教室は人数も多い上に個性あふれるメン
ツが盛んに行われています。その他にも飲み
バーが揃っており、毎日が大変活気のあるも
会、バーベキュー、たこ焼きパーティーなど
のとなっています。本教室卒業生の皆様、お
が随時企画され、研究の合間に和気あいあい
時間がございましたら是非ともお立ち寄り下
と行われています。
さい。
このように教室員一同、学ぶ時は真剣に研
最後になりましたが、教室員一同、薬友会
究し、遊ぶときは一生懸命遊ぶという何事に
会員の皆様の御健康と御活躍をお祈り申し上
も熱心な研究室生活を送っていますが、卒業
げます。
生の皆様も機会がございましたら是非教室の
方へお立ち寄りください。
最後になりましたが、薬友会の皆様の御健
病態情報薬学
病態情報薬学分野は高倉教授以下、山岡助
康と益々の御活躍を心よりお祈り申し上げま
教授、西川助教授、研究技術補佐員1名、学
す。
生は現在DC5名、MC11名、4回生5名の総
勢25名から構成されています。平成9年に開
病態機能分析学(放射性薬品化学)
設された当初は少人数でしたが、徐々にメン
本年度の病態機能分析学分野は、佐治教授、
バーも増えにぎやかにやっています。2003年
久下助教授、天満助手、特別研究員として、
に入ってからは新校舎へ移転し、気持ちも新
京大病院助手の清野先生、河嶋先生、府立医
たに研究生活を送っています。
大助手の上田先生の御指導のもと、DC5名、
現在の研究テーマは、DNAワクチン及び抗
MC9名、4回生5名、秘書1名、合計26名と
原ペプチドの体内/細胞内動態の最適化による
いう構成で各自研究に勤しんでおります。
免疫反応の制御、プラスミドDNAなどの遺伝
本教室は病院の医療用サイクロトロンによ
子医薬品の細胞取り込み機構や体内動態を支
る核医学臨床診断の実施責任を負うなど医学
配する分子機構の解明、RNA干渉を目的とし
部の臨床部門と密接な関係を持ちながら、イ
た核酸医薬品のin vivoデリバリー、極性細胞か
ンビボラジオトレーサー法を利用した脳神経
らの生理活性タンパク分泌方向性の解明と制
伝達機能、脳虚血性疾患、心疾患の病態画像
御、薬物代謝酵素とトランスポータが同時に
解析と新規放射性薬剤の創製、癌の診断治療
関与する薬物動態の解析などで、各メンバー
薬剤の開発、生理活性金属錯体の医薬品への
は24時間体制で日々実験を行っています。学
応用などについて研究を進めています。また、
会 活 動 も 活 発 で 、 5 月 に は G P E N
動物用PET、SPECT、MRIを用いた新しい生
(Globalization of Pharmaceutics Education
体機能解析法の基礎的探索などについても研
Network)会議を主催し、研究発表を行うとと
究し、有益な成果があがるよう日々努力して
もに海外の大学院生との交流を深めました。
います。
また6月には京都で開催されたPSWC
− 34 −
(Pharmaceutical Sciences World Congress)等、
国際学会をはじめ国内外を問わず多数の学会
現在、当研究室では、
1.アルツハイマー病に代表される神経変性
で発表しています。また発表論文数も徐々に
増加しています。その他毎週行われるセミナ
疾患の病因解明に基づく創薬研究
2.生体内物質や天然物の中から創薬シード
ーでは学生たちからも遠慮なく質問が飛び交
い、非常に活発なものになっています。
となり得る生理活性物質の探索
3.ゲノムや神経再生医療技術を駆使した創
薬品動態制御学分野と合同で行われる教室
薬アプローチに関する研究
行事は、春の新歓コンパに始まり、夏には他
4.アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が示
大学との合同サマーセミナー、秋の他大学と
す神経細胞保護作用のメカニズム解明に基
の交流会、冬の教室旅行、追い出しコンパな
づく創薬研究
ど多彩で、総勢約60名にもなる大人数で毎回
等に関する研究が進められており、その研究
大いに盛り上がっています。また、当研究室
成果が出つつあります。また、当研究室は
では野球も盛んで、秋に行われる野球大会で
「薬品作用解析学」「生体機能解析学」「医療薬
は昨年の借りを返すべく近年例のない充実し
理学」をはじめとして「工学部分子生物化学」
た戦力で一致団結して優勝を目指しており、
「医学部神経内科」「医学部生体構造医学」「製
女子のソフトボールも上位進出を狙って頑張
薬企業」等と共同で研究を行っており、多種
っています。
多様な考え方・技術を出し合いより高質な研
な お 、 当 研 究 室 で は ホ ー ム ペ ー ジ
究を目指しています。
(http://dds.pharm.kyoto-u.ac.jp/biopharm/)
一方、教室行事も盛んで薬品機能解析学・
も設けていますので是非御覧ください。卒業
生体機能解析学・医療薬理学と合同で開催さ
生の皆様、機会がございましたらぜひお立ち
れる新歓コンパ・教室旅行・追い出しコンパ
寄り下さい。研究室一同お待ちいたしており
をはじめ、バーベキュー・たこ焼きパーティ
ます。
等にも積極的に参加しています。
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健
康とご活躍をお祈り申し上げます。
学部生の方々をはじめ当研究室に興味を持
たれた方々、どうぞお気軽にお立ち寄り下さ
い。
最後になりましたが、教室員一同、薬友会
創薬神経科学
会員の皆様のご健康と更なるご活躍をお祈り
創薬神経科学講座は昨年4月に開設された
申し上げます。
ばかりの新しい研究室です。当研究室は、杉
本教授、新留助教授、木原助手、西本教務補
佐員、寺嶋技術補佐員、田中秘書、MC1中西、
医薬品理論設計学
4回生松田、4回生森本の計9名より構成さ
医薬品理論設計学講座は、藤沢薬品工業㈱
れており、少数精鋭をモットーに日々研究に
による寄附講座で、昨年8月から5年間の予
励んでいます。昨年度は薬学部改修工事のた
定で開設されました。開設当初は北浦客員教
め別館4Fに仮教授室と助教授室があり薬品作
授と仲西客員助教授の2人体制でスタートし
用解析学分野で実験してきましたが、今年3
ましたが、昨年10月に村田助手が加わり、更
月に工事が終了して本館4Fに移動し新しい実
に本年4月からは4回生2名が配属され、よ
験室のセットアップも完了しました。
うやく大学の研究室らしい雰囲気が出てきま
− 35 −
した。
への貢献を目指して教育・研究活動に取り組
本講座は、薬物標的蛋白質とそのリガンド
んでいます。本年度の研究室の構成は、乾教
分子とのアフィニティー(結合自由エネルギ
授、奥田助教授、桂講師、助手3名(増田、
ー)を計算化学的に精度よく予測する手法の
寺田、本橋)、COE特別研究員1名、DC7名
開発に研究の主眼を置いています。従来の分
(うち1名は医学研究科)、MC9名、4回生4
子力場計算などの経験的パラメータを使用す
名、研究生1名、秘書1名の総勢29名です。
る方法は、精度や汎用性の面で適用限界があ
なお奥田助教授は、本年10月に三重大学医学
るので、我々は非経験的分子軌道法を使用す
部附属病院教授・薬剤部長として栄転される
ることでその問題点を突破しようと考えてい
予定であり、乾教授が医療薬剤学を担当して
ます。とはいえ、原子が数千個以上からなる
から誕生した6人目の教授となります。薬学
蛋白質分子の非経験的分子軌道計算を行なう
6年制に向けて、人材育成や実習受入れの環
には、従来からの計算理論では処理が膨大に
境整備が急務とされていますが、薬剤部一丸
なりすぎて現実的なタイムスケールでは計算
となって薬学の発展に寄与できるよう努力し
が不可能です。そこで北浦教授が考案された
ているところです。
巨大分子にも適応可能なフラグメント分子軌
研究面では「医薬品の体内動態と薬効・毒
道法という画期的な計算手法を用いて、世界
性に関する基礎と臨床」をテーマとし、小腸、
一精度の高いアフィニティー予測法の開発に
腎臓、肝臓などに発現する薬物トランスポー
チャレンジしています。
タの機能・調節機構の解明、テーラーメイド
北浦教授は産業技術総合研究所(筑波)と
薬物療法の確立、さらに臨床において認めら
併任されていますので、京都には月に2回、
れた薬物療法の問題究明など、薬物動態学の
計4日程度しか来られませんが、その際には
見地から一貫して医薬品適正使用を目指した
密度の高い研究報告会やセミナーを開催して
研究を行っています。また、乾教授は21世紀
います。また論文紹介や輪読会を毎週開催し、
COEプログラム「ゲノム科学の知的情報基
研究情報のアップデートを行なっています。
盤・研究拠点形成」のコアメンバーとして、
あと不定期(思いついたら)ですが、創造力
薬理ゲノミクス部門を担当しています(http://
を高めるため?に、芸術文化行事への参加
www.bic.kyoto-u.ac.jp/COE/index_J.html)。
(鑑賞会)や飲食会なども積極的に行なってい
ます。
さらに、細胞・生体機能シミュレーション
プロジェクト(文部科学省)や健康維持・増進の
小所帯ですが、その分和気藹々とやってい
ためのバイオテクノロジー基盤研究プログラ
ますので、本研究室にご興味のある方はお気
ム(NEDO)などの大型研究プロジェクトに
軽にお立ち寄りください。
も参画し、新たな研究分野の創生を図ってい
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健
康とご活躍をお祈りいたします。
ます。薬剤部のホームページに教育・研究に
関する内容を掲載しておりますので是非一度
医療薬剤学(医学部附属病院薬剤部)
医療薬剤学分野は、医学部附属病院薬剤部
ご覧下さい(http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/
~yakuzai/main.htm)。また、興味を持たれた方
は研究室にもどうぞお気軽にお立ち寄り下さ
い。
に属する研究室であり、医薬品を取り巻く問
題が社会的な注目を浴びている中、真に社会
− 36 −
生体機能化学
(化学研究所・生体反応設計研究部門)
このように教室員一同、研究に、交流にと
活気あふれる毎日を送っております。また、
杉浦先生は本年度日本薬学会副会頭(次年度
宇治川のほとり、四季折々の豊かな自然に
会頭)としてもご活躍中です。本研究室の卒
囲まれた化学研究所内に我々の研究室はあり
業生の皆様をはじめ、本研究室に興味をもた
ます。今年度の我が研究室のスタッフは教授
れた方など、いつでもお気軽にお立ち寄りく
の杉浦先生、助教授の二木先生、助手の今西
ださい。
先生をはじめとして、PD3名、DC4名、MC
最後になりましたが、教室員一同、薬友会
9名、4回生2名、秘書1名の総勢22名から
の皆様のご健康と更なるご活躍を心よりお祈
構成されております。
り申し上げます。
本研究室の研究テーマですが、以下のよう
になっております。
1.亜鉛フィンガー型転写因子のDNA認識と
機能発現に関する研究
精密有機合成
(化学研究所・有機合成基礎研究部門)
化学研究所は京阪電鉄黄檗駅、JR黄檗駅か
2.亜鉛フィンガー型DNA結合タンパク質の
機能変換と人工リプレッサーの開発への展
ら徒歩10分の宇治キャンパスの中にあります。
開
宇治川のほとり、大自然に囲まれた緑豊かな
3.DNA、RNAを認識する新しい構造モチー
環境が私達の研究の拠点です。
この4月に化学研究所が改組し、当研究室
フの設計及び創製
4.膜透過ペプチドを用いたタンパク質細胞
も物質創製化学研究系・精密有機合成化学研
内導入と細胞内情報伝達系の制御及び遺伝
究領域と名を改めました。また同時に、日本
子発現の制御に向けた研究
酒大好きな川端先生は教授に昇任され、ビー
5.ペプチド工学的手法を用いたイオンチャ
ル大好きな椿助手とともに新体制となりまし
ネルなどの新規機能性分子の創出
た。現在、寺田技官をはじめ、ポスドク2名、
これまでの化学、生物学の枠にとらわれる
DC5名、MC6名、非常勤講師1名、研究生
ことなく、両者を融合した「Chemical Biology」
2名、秘書1名の合計20名で構成されていま
を目指し、化学、生化学、分子生物学的手法
す。
当研究室の研究活動は、大きくは不斉合成
を用いて生体分子の機能解明・機能創出に向け
をテーマとする川端組と超分子をテーマとす
た研究を行っております。
教室行事といたしましては、春には化研新
る椿組に分かれています。各自、担当の先生
歓コンパ、教室新歓コンパに始まり、化研ス
や仲間と情報や意見を交換しながら与えられ
ポーツ大会、夏には化研涼飲会、院試お疲れ
たテーマを達成すべく日夜研究に勤しんでい
さまコンパ、秋には薬友会野球大会、化研ス
ます。またセミナーも多種多数あり、テーマ
ポーツ大会、教室旅行、冬には忘年会や追い
や学年関係なく討論し合う場となっています。
出しコンパなど、いろいろな行事で盛りだく
年間行事は、新入生歓迎コンパに始まり、夏
さんです。また、有志によるボーリングや野
の涼飲会、バーベキュー、秋のセミナー旅行、
球、飲み会、スキーツアーなど学生同士の交
冬の忘年会、研究室旅行、追い出しコンパが
流も活発で、研究の合間に和気あいあいと楽
ありますが、この他にも何かと理由をつけ数
しく過ごしております。
多くの飲み会を開いています。そういった飲
− 37 −
み会では、普段研究に励んでいる面々も時間
の実験なのです。もう1つの違いは女子学生
や立場を忘れて酒を楽しんでいます。また碧
が2名しかいないことです。ただ国際的なデ
水会という化研のスポーツ大会には積極的に
ータベースの構築と提供を行っているKEGGチ
参加し、参加賞のビール券を毎年数多く獲得
ームは女性パワーに圧倒されていますので、
しています。
研究室全体のほぼ半数は女性が占めています。
このように川端研は年間を通して研究に、
研究内容としては、配列解析や立体構造解
スポーツに、お酒にと活発な毎日を送ってお
析など従来型のバイオインフォマティクスよ
ります。当研究室卒業生の皆様はじめ興味を
りも、低分子化合物や糖鎖、またパスウェイ
もたれた方、どうぞお気軽にお立ち寄りくだ
やネットワークなどに関する新しいバイオイ
さい。研究室一同、心よりお待ちしています。
ンフォマティクスが中心になっています。詳
最後になりましたが、研究室一同、薬友会
しくは京大
(http://kanehisa.kuicr.kyoto-u.ac.jp)
の皆様の御健康と御活躍を心よりお祈り申し
と東大(http://kanehisa.hgc.jp)のホームペー
上げます。
ジをご覧ください。
これらの大きな枠内であれば、研究テーマ
生命知識システム学
(化学研究所・バイオインフォマティクスセンター)
の選択は基本的に個人の自由に任されていま
すが、できるだけ共同研究のグループをつく
ることが推奨されています。年中行事として
本分野は2003年10月に発足した21世紀COE
は、毎年12月に開催しているゲノム情報国際
プログラムの一貫として新設されました。化
会議、米国ボストン大学およびドイツのフン
学研究所バイオインフォマティクスセンター
ボルト大学との連携教育プログラム(相互イ
にある研究室では、金久實教授、五斗進助教
ンターンシップや国際ワークショップ開催)
授、服部正泰助手指導の下に、博士課程の大
の他に、春の歓迎会、秋の遠足、それにコン
学院生1名が在籍しています。研究室全体と
サートを兼ねたクリスマス会などがあります。
しては他に博士課程12名、修士課程7名の理
学研究科大学院生と、ポスドク研究員6名、
その他研究員5名が在籍しています。またデ
腫瘍ウイルス薬品学(ウイルス研究所)
ータベース関連の技術員や研究補助者を含め
本研究室は薬学部の南に位置する病院西地
ると全部で60名ほど、さらに東京大学医科学
区内ウイルス研究所新館2階にあります。4
研究所ヒトゲノム解析センターにもある研究
回生からの配属はなく修士課程と博士課程に
室のメンバーも加えると、金久研究室は総勢
おいて薬学研究科より若干名の学生を受け入
70名以上に達します。京大と東大の間は複数
れています。薬学研究科以外にも医学研究科、
のテレビ会議システムでつながっており、一
生命科学研究科からも様々な経歴を持った人
体化された研究室として運営されています。
が配属されており、薬学部とは異なった雰囲
薬学研究科の他の研究室と比べて大きな違
気が漂っています。
われわれのラボは下遠野教授、土方助教授、
いは、まずドライな研究室であること、つま
り水を使う実験が全く行われていないことで
渡士助手、PD4名、薬学研究科DC3名、薬学
す。設備はパソコンからスーパーコンピュー
研究科MC4名、生命科学研究科DC5名、生
タまで、コンピュータ関連の機器しかありま
命科学研究科MC2名、医学研究科DC2名、
せん。ここでの実験とはコンピュータの中で
技官1名、実験補助員3名、秘書2名からも
− 38 −
構成されています。人数が比較的多く実験機
器も置かれているためスペースは狭いものの、
最後になりますが、薬友会のさらなる発展
をお祈りして締めくくらせて頂きます。
実験に必要な道具は数多く揃っており研究環
境としては他の研究室よりもかなり恵まれて
います。
生命科学研究科・生体システム学
ボスである下遠野先生は3つの研究科を掛
本研究室は薬学部の神経制御学分野が生命
け持ちしておられると共にウイルス研究所の
科学研究科の発足に伴って移籍し、「生体シス
所長までこなされていて大変お忙しい中、学
テム学分野」と改称しました。当講座は根岸
生に対しては実験に関する指導を非常に丁寧
教授、加藤助教授、DC7名、MC8名、四回
になさっています。また、運動のお好きな方
生3名の総勢20名により構成され、研究目標
で週末に時間を見つけてはよく学生を誘って
を達成すべく日々研究に励んでいます。近年、
はテニスに行かれます。そのためもあってか
最新の機器が次々と導入され、部屋が狭い事
本研究室では運動が盛んであり、土方先生も
が難点であるものの実験に関して不自由の無
ソフトボール大会ではピッチャーとして活躍
い環境が整いつつあり、個々のアイデアをど
されています。
んどん実践していける研究室であると自負し
研究内容は分子生物学的主砲を用いて主に
HCV、HTLVといった人に対して癌を引き起こ
すウイルスを様々な観点から研究しています。
ています。
本研究室の具体的な研究内容としては
(1)Gタンパク質による細胞(特に神経細胞)
の形態調節機構
この他にもシグナル伝達に関する研究なども
行われており、これらの研究成果は週に1度
(2)神経可塑性の分子メカニズム
月曜日にその名も月曜会と呼ばれる小グルー
(3)プロスタノイドの中枢神経機構及びプロ
スタノイド受容体の情報伝達機構
プに別れた小セミナーで議論されます。また、
木曜日にはこれまでの詳細な進行状況を3人
等を解明する事を目標としており、最終的に
ずつ報告するwork conference、水曜日には自
は細胞内情報伝達系の普遍的なシステムを分
分の分野に比較的関連のある文献を紹介する
子レベルで明らかにしたいと考えています。
journal clubがあります。
研究室の定例行事としては新歓コンパ、院試
これらの他にも大小様々な研究室行事があ
激励及びお疲れ様コンパ、忘年会、追いコン
り、主なものを紹介すると研究室内新人歓迎
等があります。集まって飲む事が好きな人が
会兼バーベキューパーティーに始まりウイル
多いので、バーベキュー、花火など色々なイ
ス研究所新人歓迎会、カレーパーティーなど
ベントも行っており、良い気分転換になって
が企画されています。このような時は普段の
います。皆、和気あいあいと活気あふれる毎
研究に対する情熱を忘れ、実験が上手くいっ
日を過ごしています。
卒業生の皆様はもちろん、学部生の方々も、
ている人はもちろん上手くいっていない人も
本研究室に興味を持たれましたら是非お気軽
皆で楽しんでいます。
以上が本研究室の簡単な自己紹介でしたが、
にお立ち寄りください。
薬学部との関りが薄く皆さんになじみがない
最後になりましたが研究室一同、薬友会の
と思われますので、質問などがございました
皆様のご健康とご活躍を心よりお祈り申し上
ら遠慮なく訪れて下さい。もちろん何も質問
げます。なお、詳しい研究内容や研究室の様
がなくても結構です。
子についてはホームページ(http://www.
− 39 −
users.kudpc.kyoto-u.ac.jp/ ~ p51907/negishi/
く実験を行っています。また、昨年度より
index.html)をご覧ください。
COEの英会話講座が本格的に始まり、週1回
90分の授業が受けられるようになりました。
今年度は科学英語などの講座が短期で開かれ
生命科学研究科・システム機能学
るなど、内容も更に充実したものとなってい
我々、生命科学研究科システム機能学分野
ます。
は、小堤教授、竹松助手の他、教務職員1名、
もちろん研究ばかりでなく行事もいろいろ
招聘研究員1名、博士過程2名、修士過程5
と行われており、生体分子認識学と合同で行
名、4回生2名、秘書1名の計13名で構成さ
われる各種コンパ・教室旅行の他にも、人数
れています。今年には生命科学研究科として
の少なさを活かしてバーベキューや花見など
初めて博士過程卒業者もでました。
を行ったりしています。また、生体分子認識
我々の研究室では大きく分けて
学と合同で参加している薬友会の野球大会で
(1)スフィンゴ脂質が関与するシグナル伝達
機構に関する研究
は、毎年かなり上位まで行っており、今年こ
そは優勝を狙っています。
(2)シアル酸分子種の生物学的役割に関する
研究
の2つのテーマに対する研究を行っており、
詳しい研究内容や研究室の様子については、
ホームページ(http://www.users.kudpc.kyoto-u.
ac.jp/~o51267/index.html)を御覧下さい。
日々実験に勤しんでいます。
卒業生の皆様、そして本研究室に興味を持
今年に入り、新しい部屋ができたため、ゆ
ったりとしたスペースで実験ができるように
たれた方、ぜひお気軽にお立ち寄り下さい。
研究室一同、心よりお待ちしています。
なりました。我々の研究室では、学生が自ら
進んで実験を行える環境が整っており、楽し
最後になりましたが、薬友会の皆様の御健
康と御活躍をお祈り申し上げます。
− 40 −
薬 友 会 部 報
平成16年度薬友会役員
平成16年度予算(案)
会 長
橋田教授
《収入の部》
副会長
川嵜教授
総 務
薬品有機製造学(大高)
前 年度繰越金
会 計
生体情報制御学(杉本)
雑 誌
薬品資源学(伊藤)
運 動
病態情報薬学(久下)
教 養
薬品動態制御学(山下)
(円)
項 目
本年度(案)
前年度決算
13,038,171
12,439,395
薬友会費(名簿代を含む)
3,800,000
3,867,000
広 告
料
1,500,000
1,588,000
雑 収
入
100
13,253
合 計
18,338,271
17,907,648
本年度(案)
前年度決算
《支出の部》
平成15年度
(円)
項 目
薬友会ソフトボール大会
総 務
部
1,840,000
1,664,582
結果報告
雑 誌
部
3,010,000
2,850,645
運 動
部
445,000
136,877
教 養
部
335,000
217,373
12,708,271
13,038,171
18,338,271
17,907,648
生体情報制御学
10−25
1/28
不戦勝
予備費(次年度繰越金)
15−5
11/19
19−2
11/14
一
回
生
医薬
療品
薬作
理用
学解
析
学
合 計
11−21
10/15
7−0
10/9
不戦勝
14−9
10/6
27−1
10/8
神
経
機
能
制
御
学
医
療
薬
剤
学
生生
理体
活分
性子
制認
御識
学学
生
体
情
報
制
御
学
薬病
品態
動情
態報
制薬
御学
学
製
剤
機
能
解
析
学
薬薬薬
品品品
有資合
機源成
製学化
造 学
学
遺病
伝態
子機
薬能
学分
析
学
平成15年度
薬友会野球大会結果報告
二回生
2−1
2/4
13−4
12/13
2−15
1/27
24−0
10/31
7−7
10/22
2−4
10/28
2−12
9/25
不戦勝
5−13
10/3
4−2
10/2
2−4
10/24
0−3
10/10
3−6
9/30
4−2
10/3
8−2
10/2
5−5
10/7
一
回
生
病
態
機
能
分
析
学
二
回
生
三
回
生
腫生
瘍体
ウ機
イ能
ル解
ス析
薬学
品
学
薬
品
動
態
制
御
学
製
剤
機
能
解
析
学
遺
伝
子
薬
学
医
療
薬
剤
学
生生
理体
活分
性子
制認
御識
学学
− 41 −
化
学
研
究
所
薬
品
合
成
化
学
生
体
情
報
制
御
学
医薬
療品
薬作
理用
学解
析
学
薬薬薬
品品品
有分資
機子源
製化学
造学
学
病
態
情
報
薬
学
神
経
機
能
制
御
学
京 大 薬 友 会 会 則
− 42 −
川嵜敏祐教授最終講義および記念パーティーのご案内
川嵜敏祐先生には平成17年3月31日をもって定年退官されることになりました。先生は、昭和39
年に京都大学薬学部をご卒業になり、京都大学薬学部修士課程、博士課程を経て、昭和44年京都大
学薬学部生物化学教室助手、昭和57年同助教授、平成元年には京都大学薬学部生物化学教室教授、
平成9年には京都大学大学院薬学研究科生体分子認識学分野教授に就任され、現在に至るまで生化
学研究および糖鎖生物学研究の発展にご尽力されるとともに、後進の指導育成に努めてこられまし
た。先生のご研究は、糖タンパク質の代謝的研究に端を発し、その後、糖鎖認識動物レクチンの発
見とその機能解析、神経特異的糖鎖の機能解析など多岐にわたり、免疫学分野、神経科学分野、糖
鎖生物学分野に大きな足跡を刻まれました。これらの研究に対し、昭和56年に「動物レクチンを中
心とする糖タンパク質の生化学的研究」により日本生化学会奨励賞を、平成13年には「生体分子認
識における糖鎖の役割」により日本薬学会賞を受賞されました。
また、先生は平成6年より京都大学評議員、平成10年より京都大学大学院薬学研究科長・薬学部
長として、薬学部のみならず京都大学の運営と発展にご尽力されました。さらに学外におかれまし
ても幅広い分野でご活躍され、平成10年度には糖質学会会長、平成13年度には日本生化学会会長、
平成16年には日本薬学会近畿支部長として学会の発展に貢献されました。さらに文部科学省ライフ
サイエンス委員会委員、厚生労働省薬事食品衛生審議会第二特別部会委員などとしてもご活躍にな
っておられます。
このたび先生のご退官にあたり、多年のご功績を讃え併せて感謝の意を表するため、下記のよう
に最終講義および記念パーティーを開催いたしますので、多数ご参加くださいますようお願い申し
上げます。
最 終 講 義 日 時:平成17年3月5日g
午後3時30分∼5時
場 所:京都ホテルオークラ(4階 暁雲の間)
京都市中京区河原町御池(電話075−211−5111)
記念パーティー 日 時:平成17年3月5日g
午後5時30分より
会 場:京都ホテルオークラ(4階 暁雲の間)
京都市中京区河原町御池(電話075−211−5111)
会 費:15,000円(当日会場にて申し受けます)
申 込:綴込み葉書で来る1月28日fまでにお申込み下さい。
川嵜敏祐教授定年退官記念事業会
実行委員長
橋田 充
連 絡 先
岡 昌吾
〒606−8501
京都市左京区吉田下阿達町
京都大学大学院薬学研究科
電話
(075)753−4562
FAX
(075)753−4605
e-mail
− 43 −
[email protected]
杉浦幸雄教授最終講義および記念パーティー
杉浦幸雄先生には、平成17年3月31日をもって停年退官されることになりました。先生は昭和39
年京都大学薬学部をご卒業になり、昭和40年京都大学薬学部放射性薬品化学教室助手、昭和57年同
助教授を経て、昭和63年京都大学化学研究所抗癌医薬開発部門の教授に就任されました。その後の
研究所の改組を経て現在は生体機能設計化学領域を担当され、またこの間併せて大学院薬学研究科
担当として、研究・教育の両面で多大な功績を残してこられました。先生は生物無機化学、生体機
能化学、医薬分子機能学などの多岐にわたる学術領域で活発に研究を展開され、平成4年には「生
物活性分子によるDNA認識と作用発現の化学」によりアップジョン科学研究賞を、そして平成12
年には「生物活性分子によるDNA認識と機能発現の分子機構」により日本薬学会賞を受賞されま
した。
また、先生は平成10年より2年間、京都大学化学研究所長および京都大学評議員、そして平成12
年には京都大学附属図書館宇治分館長を歴任され、化学研究所のみならず京都大学の運営と発展に
ご尽力されました。さらに学外におかれましても、平成10年から6年間、英国マンチェスター大学
薬学部の客員教授、平成15年・16年には日本薬学会副会頭(次期会頭)、さらに平成15年には第5
回AFMC国際医薬化学シンポジウムの組織委員長を務めるなど多方面で大きな活躍をされました。
このたび先生のご退官にあたり、多年のご功績を讃え併せて感謝の意を表するため、下記のよう
に最終講義および記念パーティーを開催致しますので、多数ご参加下さいますようお願い申し上げ
ます。
最 終 講 義 日 時:平成17年2月19日g
午後3時30分∼5時
場 所:京都ホテルオークラ(3階 翠雲の間)
京都市中京区河原町御池(電話075−211−5111)
記念パーティー 日 時:平成17年2月19日g
午後5時より記念撮影、午後5時半より記念パーティー
会 場:京都ホテルオークラ(4階 暁雲の間)
京都市中京区河原町御池(電話075−211−5111)
会 費:15,000円
申 込:綴込み葉書で来る1月31日bまでにお申込み下さい。
杉浦幸雄教授停年退官記念事業会
実行委員長
橋田 充
連 絡 先
二木 史朗
〒611−0011
宇治市五ヶ庄
京都大学化学研究所
電話
(0774)38−3211
FAX
(0774)32−3038
e-mail
− 44 −
[email protected]
平成16年11月発行
発 行 所
京都大学大学院薬学研究科・薬学部 薬友会
http://yakuyukai.pharm.kyoto-u.ac.jp/
発行責任者
橋 田 充
印 刷 所
ショウワドウ・イープレス㈱
Tel 075−721−4541