直売所における新品目のプロモーション活動 み ~ き 樹木 の会 ~ ■目的 樹木の会が組織されている練馬区、板橋区は、住宅地に囲まれた農地が多く、ほとんどの会 員が直売所での農産物販売を行っている。しかし、生産―出荷―販売と続く直売活動のなかで、 「販売」については、生産者が直接関わることが少ない。 このため直売所の利用客は、新しい品目・品種が並んでも、食べ方や味、農産物の特徴が分 からず買うことを控えたり、見た目だけの判断で商品に誤解を持ってしまうことがある。 そこで、新品目の直売所への定着と、利用者の継続的な商品購入を目的に、新規品目を販売 する際、利用者に対して品目の情報を積極的に発信し、様々なプロモーション活動を実施した。 ■内容 直売所での需要が見込まれる新規導入品目を検討し、近年注目されている特徴のある野菜の うちミニハクサイ、縮みホウレンソウ、サラダゴボウの3品目を選定、7名で栽培に取り組ん だ。 マーケティングの考え方を参考に、新品目を販売する際に利用客に対して多方面からのプロ モーション活動(販売員への事前の情報提供、パソコンソフトを用いた写真入りPOPの作成、 デジタル糖度計の数値を示しながらの有人試食販売、調理方法を記載したシールの貼付など) を実施し、商品購入への誘導を行った。 ■結果 (1)マーケティングの基礎(4P)やプロモーション活動事例、キャッチコピー作成のヒント等 について講習会を実施しその手法や考え方を習得した。 (2)新規導入品目についての栽培を行い、現地検討会及び栽培終了後の意見交換会において継続 的な生産の可否の検討を行った(写真1,2)。サラダゴボウは栽培時期の再検討が必要なも のの、生産面、売れ行きから判断して3品目とも今後直売所で十分定着するとの手ごたえを 得た。特に寒締めホウレンソウは、産地の出荷基準を上回る高糖度の収穫物を得ることがで き、試食販売の際も食味への評価が高かった(表1)。 (3)共同・個人直売所においてPOP、レシピ掲示、試食販売、食べ方シール、糖度表示等のプ ロモーション活動を実施した(写真3,4)。 (4)アンケート調査実施の際、直接生産者から渡す、封筒を添付する等、配布方法を工夫した。 これにより、配布した 200 通のアンケートの回収率は 53%と非常に高く、多くの利用客の声 をつかむことができた(写真5,6)。 (5)アンケート調査結果から、商品の販売促進にこれらの活動が果たした効果を確認することが できた(表2)。価格設定もほぼ妥当であった(表3)。 (6)アンケートの中で利用客から得られた多くの要望について会員で精査し、今後取り組める事 項や改善できる課題を確認した。これからの品目選択や栽培技術、販売時の売り方のヒント として活用してゆく。 今後、この活動を会の中だけで終わらせず、JA東京あおばの直売所や関係者にも還元し、 直売所の品揃えやサービス向上に向け参考としてもらい、地域の声を反映させた直売所づくり へとつなげてゆく。 写真1 表1 新品目の栽培 写真2 現地検討会 寒締めホウレンソウの糖度 ほ場 12月8日 12月20日 1月16日 1月25日 2月7日 12.8 - - - 12.8 - 13.6 - 10.5 8.3 - - 9.9 10.6 - 10.5 C 12.8 - 10.8 - 慣行品種 - 6.1 5.7 A 10.1 B - (アップライト) (パレード) 写真4 糖度計による甘さの表示 表2 写真3 POPとレシピの掲示 写真5 アンケートの作成 アンケート結果(購入動機) Q2.なぜこの商品を買おうと思いましたか? 食べておいしかったから 生産者、販売員に勧められて 目新しい商品だったから この材料が必要だったから 店頭の広告を見て 縮みホウレンソウ ミニハクサイ サラダゴボウ レシピを見て 写真6 表3 試食販売とアンケートの配布 高い 13% 0 アンケート結果(価格の妥当性) 無回答 4% その他 2% その他 安い 15% ちょうど よい 66% 縮みホウレンソウ 無回答 0% その他 0% 高い 安い 7% 7% ちょうど よい 86% サラダゴボウ その他 6% 高い 0% 無回答 11% 安い 22% ちょうど よい 61% ミニハクサイ 5 10 15 20 25 (人)
© Copyright 2024 Paperzz