医薬品の「使用上の注意」の解説 - アストラゼネカ AstraZeneca

2007年5月作成(最新の使用上の注意をご確認下さい)
― 医薬品の適正使用に欠かせない情報です。使用前に必ずお読みください。―
医薬品の「使用上の注意」の解説
プロトンポンプ・インヒビター
薬価基準収載
薬価基準収載
オメプラゾール錠
指定医薬品・処方せん医薬品注)
注)注意−医師等の処方せんにより使用すること
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
1. 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
2. 硫酸アタザナビルを投与中の患者(「相互作用」の項参照)
製造販売元
はじめに
オメプラゾールはスウェーデンのアストラ・ヘスレ社
(現アストラゼネカ社)
で開発された世
界で最初のプロトンポンプ・インヒビターです。胃酸分泌の最終過程であるプロトンポンプ
を阻害することにより強力かつ持続的な胃酸分泌抑制作用を示します。
(H+, K+-ATPase)
オメプラール錠は、1991年4月から、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎お
よびZollinger-Ellison症候群を効能・効果として臨床使用されています。
2000年12月からは再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法にも使用されています。
2002年4月には、胃潰瘍または十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
の効能・効果が認められ、2007年1月には、その用法・用量が改訂されました。
2007年5月には、非びらん性胃食道逆流症の効能・効果が認められました。
本剤単独投与時の血漿中濃度は、空腹時の単回経口投与後約2時間でCmaxに達し、消失半減
期は10mgで2.8時間、20mgで1.6時間であり、AUCは投与量に比例して増加します。オメプラ
ゾール20mg、アモキシシリン750mgおよびクラリスロマイシン400mgの3剤併用を1日2回7日
間反復投与時の血漿中濃度は、経口投与後約2.5時間でCmaxに達し、消失半減期は約2時間です。
また主として尿中に排泄されます。
本冊子では、本剤のご使用に際しての注意事項を各項目ごとに解説いたしました。本剤の適
正使用の一助となれば幸甚に存じます。
注)尚、本冊子でご紹介する症例の中には、国内における本剤の「効能・効果」
「用法・用量」を逸脱した
症例が含まれております。本剤の「効能・効果」
「用法・用量」
につきましては、
本冊子3、
4頁をご参照ください。
―1―
目 次
◆効能・効果 …………………………………………………………………… 3
◆用法・用量 …………………………………………………………………… 3
◆禁忌
(次の患者には投与しないこと)……………………………………… 5
◆使用上の注意 ………………………………………………………………… 7
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)………………………… 7
2. 重要な基本的注意 ………………………………………………………… 9
3. 相互作用 ………………………………………………………………… 15
4. 副作用 …………………………………………………………………… 27
(1)重大な副作用 ……………………………………………………… 35
1)ショック、アナフィラキシー様症状、血管浮腫、気管支痙攣 …… 35
2)無顆粒球症、汎血球減少症、溶血性貧血、血小板減少 …… 37
3)急性肝不全、黄疸 ……………………………………………… 45
4)中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)
、
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)……………… 49
5)視力障害 ………………………………………………………… 53
6)間質性腎炎、急性腎不全 ……………………………………… 55
7)低ナトリウム血症 ……………………………………………… 59
8)間質性肺炎 ……………………………………………………… 63
9)横紋筋融解症 …………………………………………………… 65
10)錯乱状態………………………………………………………… 69
(2)その他の副作用 …………………………………………………… 71
5. 高齢者への投与 ………………………………………………………… 75
6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与 ……………………………………… 77
7. 小児等への投与 ………………………………………………………… 81
8. 過量投与 ………………………………………………………………… 81
9. 適用上の注意 …………………………………………………………… 83
10. その他の注意 …………………………………………………………… 85
―2―
[効能・効果]
<オメプラール錠10>
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、ZollingerEllison症候群、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
<オメプラール錠20>
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群、胃潰瘍又は
十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
[用法・用量]
<オメプラール錠10>
○胃潰瘍、吻合部潰瘍、十二指腸潰瘍、Zollinger-Ellison症候群
通常、成人にはオメプラゾールとして1日1回20mgを経口投与する。なお、通常、胃潰瘍、
吻合部潰瘍では8週間まで、十二指腸潰瘍では6週間までの投与とする。
○逆流性食道炎
通常、成人にはオメプラゾールとして1日1回20mgを経口投与する。なお、通常、8週間ま
での投与とする。さらに再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、1日
1回10∼20mgを経口投与する。
○非びらん性胃食道逆流症
通常、成人にはオメプラゾールとして1日1回10mgを経口投与する。なお、通常、4週間ま
での投与とする。
○胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
通常、成人にはオメプラゾールとして1回20mg、アモキシシリンとして1回750mg(力価)
及びクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与す
る。なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、
1回400mg(力価)1日2回を上限とする。
―3―
<オメプラール錠20>
○胃潰瘍、吻合部潰瘍、十二指腸潰瘍、Zollinger-Ellison症候群
通常、成人にはオメプラゾールとして1日1回20mgを経口投与する。なお、通常、胃潰瘍、
吻合部潰瘍では8週間まで、十二指腸潰瘍では6週間までの投与とする。
○逆流性食道炎
通常、成人にはオメプラゾールとして1日1回20mgを経口投与する。なお、通常、8週間ま
での投与とする。さらに再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、1日
1回10∼20mgを経口投与する。
○胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
通常、成人にはオメプラゾールとして1回20mg、アモキシシリンとして1回750mg(力価)
及びクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与す
る。なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、
1回400mg(力価)1日2回を上限とする。
<参考>
効能・効果
オメプラール錠 10
オメプラール錠 20
1回投与量
胃潰瘍、吻合部潰瘍、十二指腸潰瘍、
Zollinger-Ellison症候群
○
○
20mg
20mg
逆流性食道炎
○
○
逆流性食道炎(維持療法)
10∼20mg
非びらん性胃食道逆流症
○
―
10mg
胃潰瘍又は十二指腸潰瘍における
ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
○
○
20mg※
※1回20mgを1日2回投与する。
○:効能あり、―:効能なし
―4―
[禁忌]
(次の患者には投与しないこと)
1. 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
2. 硫酸アタザナビルを投与中の患者(「相互作用」の項参照)
―5―
解 説
一般に薬剤によるアレルギーを起こした患者に同じ薬剤を再度投与すると重篤なアレルギー
を起こす可能性があることから記載しています。
オメプラゾールでも、本成分に対する過敏症状が原因と考えられるショック症例が報告さ
れています。
[国内症例の概要]
30代、女性:十二指腸潰瘍に対してオメプラゾール錠20mg服用。服用30∼60分後に頸
部を中心に痒みが発現。その後、再度20mg服用したところ喘鳴、咳、痰が発現し、呼
吸困難となり入院。
(詳細は、4.(1)重大な副作用 1)ショック、アナフィラキシー様症状の項【国内症例】[症例1]を参照)
解 説
3. 相互作用-(1)併用禁忌の項をご参照ください(P15、
16参照)
。
―6―
[使用上の注意]
1. 慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
(1)薬物過敏症の既往歴のある患者
(2)肝障害のある患者〔肝代謝性であり、血中濃度が高くなるおそれがある。
〕
(3)高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
―7―
解 説
一般に、薬物過敏症の既往歴のある患者では、ない患者に比較して薬剤投与後に発疹等の
過敏症状の発生する頻度が高くなるといわれています。オメプラゾール以外の薬物に対して
薬物過敏症の既往歴のある患者では慎重に投与する必要があります。
解 説
本剤は肝代謝性であるため、肝障害のある患者ではオメプラゾールの代謝が遅延し、その
結果消失半減期が延長し、クリアランスが低下するおそれがあるので、慎重に投与する必要
があります。
[海外データ]
慢性肝硬変患者8例1)にオメプラゾール40mgを経口投与、または20mgを静脈内投与した
試験で、健康成人での消失半減期、全身クリアランスはそれぞれ0.7時間、594mL/minで
あるのに対し、肝硬変患者ではそれぞれ2.8時間、67mL/minと、消失半減期が約4倍に
延長し、全身クリアランスは1/9に低下していた。
○引用文献
1)Andersson, T., et al. : Clin. Pharmacokinet. 24(1)71(1993)
解 説
一般に高齢者では、生理機能が低下していることが多く、薬剤の投与にあたっては常に十
分な注意が必要です。
(
「高齢者への投与」の項参照)
―8―
2. 重要な基本的注意
(1)治療にあたっては、経過を十分に観察し、病状に応じ治療上必要最小限の使用に
とどめること。また、血液像、肝機能、腎機能等に注意すること。
(2) 再発の既往のない逆流性食道炎患者では、逆流性食道炎治癒後直ちに維持療法に
移行せず、経過観察により、維持療法の必要性を判断すること。
(3) 再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法を目的として本剤を投与する場合は、
経過観察
(定期的な内視鏡検査等を含む)
を十分行うとともに、
次の事項に十分注意す
ること。
1)再発の既往歴、症状の程度等を考慮して維持療法の用量を選択すること。
2)寛解状態が良好に保たれていると判断された場合は休薬又は減量を考慮する
こと。
3)1日10mgの維持療法で再発が認められた場合は1日20mgで再治療を行うこと。
治癒後の維持療法においても再発の既往歴、症状の程度等を考慮して用量を
選択すること。ただし、1日20mgの維持療法で再発が認められた場合、ある
いは予期せぬ体重減少、吐血、嚥下障害等の症状が認められた場合は、改め
て内視鏡検査等を行い、その結果に基づいて他の適切な治療法に切り替える
ことを考慮すること。
4)定期的に肝機能、腎機能、血液像等の検査を行うことが望ましい。
―9―
解 説
本剤の臨床試験において大部分の症例が8週(胃潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎)あるい
は6週(十二指腸潰瘍)までに治癒すると考えられます。治癒に至った患者に薬剤を漫然と投
与することは好ましくないと考えられることから、治療にあたっては、病状に応じ治療上必
要最小限の使用が望ましいと記載しています。
[重要な基本的注意(3)
-4)参照。
]
解 説
初発の患者では再発性であるかどうか判定するのが困難であるので、治癒後、一旦、治療
を終了し、経過観察を行った上で、維持療法を開始することが適切であると考えられます。
解 説
維持療法中に、経過観察(内視鏡、上部消化管造影の定期的検査など)をより確実に行うよ
う注意喚起しています。
1)逆流性食道炎の再発の危険因子として重症度や逆流症状の程度、年齢等が報告されて
います1)。再発の既往歴、症状の程度等を考慮して維持療法の用量を選択する必要が
あります。
2)寛解状態が良好に維持されている患者に漫然と投与を継続することは好ましくないと
考えられることから、寛解状態が良好に保たれている場合は、本剤の休薬又は減量を
考慮する必要があります。
3)1日10mgの維持療法で再発が認められた場合は20mgでの再治療を考慮することが必要
です。また、治癒後の維持療法においても開始時と同様に再発の既往歴、症状の程度
等を考慮して維持療法の用量を選択する必要があります。逆流性食道炎の維持療法中
に1日10∼20mg投与で6ヵ月後には再発する患者が報告されています 2)。このような
症例では、外科的手術を含め他の適切な治療法への切り替えも考慮する必要があります。
また、長期治療中に予期しない嚥下障害、体重減少、吐血等の症状が現れた場合には、
再発もしくは重大な疾病による可能性も考えられるため、内視鏡検査等により適切な
診断を行い、これに基づき適切な治療を考慮することが推奨されます 3)。
4)長期投与中は定期的に肝機能、腎機能、血液像等の検査を実施し、経過観察を十分行
うことが重要であることから、記載しています。
○引用文献
1)Carlsson, R., et al. : Aliment. Pharmacol. Ther. 11 473(1997)
2)関口利和ほか:臨床医薬 16(9)1387(2000)
3)Dent, J., et al. : Gut. 44(Suppl. 2)S1(1999)
― 10 ―
(4) 非びらん性胃食道逆流症患者の治療を目的として本剤を投与する場合は、次の事項
に十分注意すること。
1)投与に際しては問診により胸やけ、胃液逆流感等の酸逆流症状が繰り返し見
られること(1週間あたり2日以上)を確認の上投与すること。なお、本剤の投
与が胃癌、食道癌等の悪性腫瘍及び他の消化器疾患による症状を隠蔽するこ
とがあるので、内視鏡検査等によりこれらの疾患でないことを確認すること。
2)非びらん性胃食道逆流症の治療については、投与開始2週後を目安として効
果を確認し、症状の改善傾向が認められない場合には、酸逆流以外の原因が
考えられるため他の適切な治療への変更を考慮すること。
― 11 ―
解 説
1)「非びらん性胃食道逆流症」においては、胸やけ、胃液逆流感等の酸逆流症状が繰返し
発症していることを確認し本剤の投与を開始しますが、胃癌・食道癌等の悪性疾患に
よる症状や他の消化器疾患による症状を、本剤投与が隠蔽することがあるため、内視
鏡検査等によりこれらの疾患でないことを確認するよう注意喚起する必要があると考
え記載しています。
2)胸やけ症状の発現には様々な要因が関与しており、酸逆流が原因ではない場合、本剤
の投与により酸分泌を抑制しても症状の消失・改善は難しいと考えられます。したがっ
て、治療のできるだけ早い段階で胸やけ症状の原因が酸逆流ではない患者を鑑別する
ことは重要です。臨床試験において、投与2週目を目安に効果を確認することが、最
終的な治療効果をより正確に推測できることが確認されたため、記載しています。
― 12 ―
(5) 本剤を胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助に
用いる際には、アモキシシリン及びクラリスロマイシンの添付文書に記載されて
いる禁忌、慎重投与、重大な副作用等の使用上の注意を必ず確認すること。
― 13 ―
解 説
ヘリコバクター・ピロリ除菌療法はオメプラゾール、アモキシシリンおよびクラリスロマ
イシンの3剤を併用します。このため、除菌療法を行うにあたっては、本剤だけでなく併用
薬剤の添付文書に記載されている使用上の注意、特に禁忌、慎重投与、重大な副作用等につ
いても確認する必要があることから、記載しています。
なお、参考にオメプラゾール、アモキシシリンおよびクラリスロマイシンの禁忌、慎重投
与、重大な副作用の記載状況を一覧に示します。
(2007年5月現在)
オメプラゾール
禁忌
アモキシシリン
クラリスロマイシン
本剤に対して過敏症の既往
本剤の成分によるショック (1)
(1)
本剤の成分に対して過敏症 (1)
歴のある患者
の既往歴のある患者
の既往歴のある患者
ピモジド、エルゴタミン含
伝染性単核症のある患者
[発 (2)
(2)
硫酸アタザナビルを投与中 (2)
有製剤、シサプリドを投与
疹の発現頻度を高めるおそ
の患者
中の患者
れがある。
]
【原則禁忌】
本剤の成分又はペニシリン系
抗生物質に対し過敏症の既往
歴のある患者
セフェム系抗生物質に対し
(1)
薬物過敏症の既往歴のある (1)
過敏症の既往歴のある患者
患者
本人又は両親、兄弟に気管
(2)
肝障害のある患者[肝代謝 (2)
支喘息、
発疹、
蕁麻疹等のア
性であり、血中濃度が高く
レルギー症状を起こしやす
なるおそれがある。
]
い体質を有する患者
(3)
高齢者
(3)
高度の腎障害のある患者
[高
慎重投与
い血中濃度が持続すること
がある。
]
(4)
高齢者
(5)
経口摂取の不良な患者又は
非経口栄養の患者、全身状
態の悪い患者
[ビタミンK欠
乏症状があらわれることが
ある。
]
(1)
他のマクロライド系薬剤に
対して過敏症の既往歴のあ
る患者
(2)肝機能障害のある患者[肝
機能障害を悪化させること
がある]
(3)腎機能障害のある患者[血
中濃度が上昇するおそれが
ある]
(4)
心疾患のある患者
[QT延長、
心
室性頻脈(Torsades de pointes
を含む)をおこすことがある]
(5)
高齢者
(1)
ショック、
アナフィラキシー (1)
ショック、
アナフィラキシー
様症状、
血管浮腫、
気管支痙
様症状
攣
(いずれも頻度不明)
(2)
皮膚粘膜眼症候群
(Stevens(2)
無顆粒球症、
汎血球減少症、
Johnson症候群)、中毒性表
溶血性貧血、
血小板減少(い
皮壊死症(Lyell症候群)
ずれも頻度不明)
(3)
重篤な顆粒球減少
(3)
急性肝不全(頻度不明)、黄 (4)
黄疸又はAST
(GOT)
、
ALT
疸
(0.1%未満)
(GPT)
の上昇等
(4)
中毒性表皮壊死症(Lyell症 (5)
急性腎不全等の重篤な腎障害
候群)
、皮膚粘膜眼症候群 (6)
偽膜性大腸炎、出血性大腸
(Stevens-Johnson症候群)
炎等の血便を伴う重篤な大
重大な
(いずれも頻度不明)
腸炎
副作用
(5)
視力障害
(頻度不明)
(6)
間質性腎炎、
急性腎不全
(い
ずれも頻度不明)
(7)
低ナトリウム血症(頻度不明)
(8)
間質性肺炎
(頻度不明)
(9)
横紋筋融解症
(頻度不明)
(10)錯乱状態
(頻度不明)
(1)
ショック、
アナフィラキシー
様症状
(頻度不明)
(2)
QT延長、心室性頻脈(Torsades
de pointesを含む)
(頻度不明)
(3)
劇症肝炎、
肝機能障害、
黄疸、
肝不全
(頻度不明)
(4)
血小板減少、
汎血球減少、
溶
血性貧血、
白血球減少、
無顆
粒球症(頻度不明)
(5)
皮膚粘膜眼症候群(StevensJohnson症候群)
(頻度不明)、
中毒性表皮壊死症
(Lyell症候
群)
(頻度不明)
(6)PIE症候群・間質性肺炎(頻
度不明)
(7)
偽膜性大腸炎、出血性大腸
炎
(頻度不明)
(8)
横紋筋融解症
(頻度不明)
(9)
痙攣
(頻度不明)
(10)アレルギー性紫斑病(頻度
不明)
(11)急性腎不全(頻度不明)
― 14 ―
3. 相互作用
本剤は、主として肝代謝酵素 CYP2C19及び一部CYP3A4で代謝される。
また、本剤の胃酸分泌抑制作用により、併用薬剤の吸収を上昇又は低下させることが
ある。
(1)併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
硫酸アタザナ
硫酸アタザナビルの作用
本剤の胃酸分泌抑制作用により硫酸アタザナ
ビル
を減弱するおそれがある。
ビルの溶解性が低下し、アタザナビルの血中
(レイアタッツ)
濃度が低下することがある。
― 15 ―
解 説
オメプラゾールを投与した場合の血漿中の主な代謝物は水酸化オメプラゾール、オメプラ
ゾールスルホンです。オメプラゾールの水酸化には肝臓のチトクロームP450系薬物代謝酵
素である2C19(CYP2C19)が、スルホン化には3A4(CYP3A4)が関与し、ヒドロキシ体への
代謝クリアランスはスルホン体の4倍であると報告されています1)。主代謝経路はCYP2C19
による水酸化と考えられ、オメプラゾールの代謝におけるCYP3A4の関与はCYP2C19の
4分の1程度である2)とされています。
また、オメプラゾールの胃酸分泌抑制作用により、併用薬剤の吸収を上昇又は低下させる
ことがあります。
○引用文献
1)Andersson, T., et al. : Br. J. Clin. Pharmacol. 36(6)521(1993)
2)Bertz, J.R., et al. : Clin. Pharmacokinet. 32(3)210(1997)
解 説
硫酸アタザナビルの発売元であるBristol-Myers Squibb社(米国)が実施した健康成人を対
象とした薬物動態試験において、硫酸アタザナビル300mg/日とリトナビル100mg/日にオメ
プラゾール40mg/日を10日間併用投与した場合、アタザナビルのCmax、CminおよびAUCの
低下(それぞれ72%、78%、76%低下)が認められたことから、European Medicines Agency
(EMEA:欧州医薬品審査庁)は、硫酸アタザナビルおよびリトナビルとオメプラゾールと
を併用しないよう勧告しました(2004年12月)
。
現在のところ、相互作用の機序は明確ではありませんが、オメプラゾールによる胃内pH
の変化が硫酸アタザナビルの吸収に影響しているものと推察されています。また、現時点で
は、硫酸アタザナビルとオメプラゾールの薬物相互作用に関連する副作用の報告はありませ
んが、本邦でも注意喚起の必要があると判断し、
「併用禁忌」としています。
― 16 ―
(2)併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
ジアゼパム
これらの薬剤の作用を増
本剤は主に肝臓のチトクロームP450系薬物代
フェニトイン
強することがある。
謝酵素CYP2C19で代謝されるため、
本剤と同じ
ワルファリン
抗凝血作用を増強し、出
代謝酵素で代謝される薬物の代謝、排泄を遅
血に至るおそれがある。
延させるおそれがある
(
【薬物動態】
の項参照)
。
プロトロンビン時間国際
標準比(INR)値等の血液
凝固能の変動に十分注意
しながら投与すること。
― 17 ―
解 説
オメプラゾールは、主に肝臓のチトクロームP450系薬物代謝酵素CYP2C19、一部CYP3A4
で代謝されることが知られています。したがって、本剤と同じ代謝酵素で代謝される薬物の
代謝・排泄を遅延させるおそれがあり、以下の薬剤については、併用時データで実際に確認
されていることから、併用時には注意する必要があります。
[海外データ]
1)健康成人12例を対象 1)に、オメプラゾール20mg/日(投与経路不明)とジアゼパム
0.1mg/kgを静脈注射したところ、ジアゼパムの平均クリアランスは27%低下し、半
減期は36%延長した。
2)健康成人8例2)を対象に、オメプラゾール40mg経口投与前および投与後にフェニトイ
ン250mgを投与したところ、オメプラゾール投与後のフェニトインのクリアランス
は平均15%低下し、消失半減期は27%延長した。
3)健康成人21例3)を対象に、オメプラゾール経口剤20mg/日とワルファリンを併用した
場合のワルファリンの血漿中濃度および抗凝固作用に及ぼす影響を検討した試験で
は、R-ワルファリンの平均血漿中濃度が12%上昇したが、抗凝固作用の指標である
トロンボテストはわずかに低下した。
ワルファリンには、RとSの光学異性体があり、市販品には同量が含有されており、S-ワ
ルファリンはR-ワルファリンと比較すると、抗凝固活性が5倍強いとされています。オメプ
ラゾールは薬理作用の弱いR-ワルファリンにのみ作用することが報告されています 3)。
オメプラゾールとワルファリンの併用については、抗凝血作用が増強することがあるので、
プロトロンビン時間国際標準比(INR)値等により「血液凝固能」の変動に十分注意しながら
投与する必要があります。
○引用文献
1)Andersson, T., et al. : Eur. J. Clin. Pharmacol. 39 51(1990)
2)Gugler, R., et al. : Gastroenterology 89 1235(1985)
3)Sutfin, T., et al. : Ther. Drug Monit. 11 176(1989)
― 18 ―
(2)併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
タクロリムス
タクロリムスの血中濃度
水和物
が上昇することがある。
機序・危険因子
相互作用の機序は不明である。
― 19 ―
解 説
国内で、タクロリムスとオメプラゾールナトリウム注射剤との併用によりタクロリムスの
血中濃度が上昇し、「せん妄」が発現した症例が報告されており、また、海外においても併
用によりタクロリムスの血中濃度が上昇したと報告されていることから、併用時には注意す
る必要があります。
なお、相互作用の機序については、現在のところ明確ではありません。
【自発報告(国内)オメプラゾールナトリウム注射剤による症例報告】
性別
・ 使用理由
年齢
男
・
30代
胃潰瘍
合併症
投与量
副作用の経過および処置
移植片対宿主病
(GVHD)
40mg/日
投与開始7ヵ月前、急性リンパ球性白血病の診断
で化学療法を実施。
投与開始6ヵ月前寛解。
投与開始42日前: 3日間放射線療法
(全身 15MeVリニアック)
。
投与開始39日前: 骨髄移植
(非血縁者間)
術後、タク
ロリムス水和物投与開始。
(0.03mg/kg)
投与開始13日前: 皮膚、肝、消化管にGVHD出現。タ
クロリムス濃度調整。
投与開始11日前: コハク酸メチルプレドニゾロン
ナトリウム投与。
投与開始9日前: 胃潰瘍予防の為、ランソプラゾー
ル投与開始。
投与開始日 : ランソプラゾールからオメプラー
ル注40mgにPPI変更。
投与6日後 : 午後より、せん妄出現。
発現1日後 : 薬物相互作用を考慮し、オメプラー
ル注継続の上、タクロリムス水和
物を減量する。
(0.02mg/kg)
発現2日後 : 午後より、せん妄消失。
投与開始5日前 投与開始3日前 投与開始5日目
タクロリムス
血中濃度(ng/mL)
担当医見解
16.3
16.5
18.2
転帰
備 考
回復 [併用薬]
タクロリムス水和物、
コハク酸メチルプ
レドニゾロンナト
リウム
発現1日後
発現6日後
発現9日後
14.9
9.5
5.7
せん妄の直接の原因は、タクロリムスが全身状態の悪い本症例に影響を与えたと考えられる。またオメ
プラール併用後にタクロリムス濃度の上昇が推定され、相互作用
(CYP3A4)
が関与したと思われる。
― 20 ―
(2)併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
ジゴキシン
これらの薬剤の作用を増
本剤の胃酸分泌抑制作用によりジゴキシンの
メチルジゴキ
強することがある。
加水分解が抑制され、ジゴキシンの血中濃度
シン
が上昇することがある。
― 21 ―
解 説
オメプラゾールとジゴキシンとの相互作用については、健康成人を対象とした試験成績1)
で既に報告されていましたが、その当時は理論的な可能性を示すもので臨床的意義は乏しい
と判断されました。しかし、その後、外国においてジゴキシンとの相互作用によると考えら
れる有害事象が報告され、ジゴキシンおよびメチルジゴキシンは併用注意の薬剤となりまし
た。ジゴキシンは強心薬として心不全の治療に広く使用されています。また、血中濃度の治
療域と中毒域の差が小さく、通常血中濃度が2ng/mLを超えると嘔気、嘔吐、不整脈等の中
毒症状が現われるため、併用時には十分な注意が必要です。
相互作用の機序は、ジゴキシンは通常の胃内pH下においては、急速に加水分解されます
が、オメプラゾールの投与に伴う胃内pHの上昇により、ジゴキシンの加水分解率が低下す
る結果、ジゴキシンの血中濃度が上昇するためと考えられています。
対処法としては、ジゴキシンあるいはメチルジゴキシンの血中濃度推移、自覚症状、心電
図等に注意し、ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれた場合には、直ち
に、薬剤の休薬や投与量の調整等の処置を行います。
[海外データ]
健康成人10例を対象に、ジゴキシン1mg単回投与(投与経路不明)を対照群とし、オメ
プラゾール経口剤20mg/日を11日間継続投与し、8日目にジゴキシン1mgを単回投与し
た併用群でジゴキシンの薬物動態を比較している。その結果、ジゴキシン単回投与群
に対し、オメプラゾール併用群ではCmaxがわずかに上昇し、AUC0-96hrが約10%増加し
ている。著者はこの変化は僅かな変化であると結論している1)。
ジゴキシン単独
(100%)
3.98ng/mL
(100%)
1.00hr
49.7ng・hr/mL(100%)
Cmax
Tmax
AUC
ジゴキシン+オメプラゾール
(105.5%)
4.20ng/mL
(75%)
0.75hr
55.3ng・hr/mL(111.3%)
○引用文献
1)Oosterhuis, B., et al. : Br. J. Clin. Pharmacol. 32 569(1991)
【症例報告(外国)
】
年 齢 ・ 性 別
使 用 理 由
臨 床 経 過
投 与 量:40mg 投与期間:5日間
発 現 日:4日目
75歳・女性
除菌
〈相互作用、嘔気、幻覚〉
1 日目: 除菌のためオメプラゾール経口投与開始。
4 日目:嘔気、幻覚が発現し、ジゴキシン濃度の上昇が認められた。
5 日目:オメプラゾール投与中止。
日時不明:ジゴキシン投与中止。
血中ジゴキシン濃度
治療域
0.5∼2ng/mL
投与前
1.7ng/mL
5日目
3.2ng/mL
8日目
2.2ng/mL
処 置
中止
転 帰
回復
併 用 薬
ジゴキシン、スピロノラクトン、ベシル酸アムロジピン、アモキシシリン、
クラリスロマイシン、アルチアジド(国内未発売)
合 併 症
高血圧症、大動脈弁狭窄症、心不全、両側膝狭窄
― 22 ―
17日目
0.5ng/mL
(2)併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
イトラコナゾ
イトラコナゾールの作用
本剤の胃酸分泌抑制作用によりイトラコナゾ
ール
を減弱することがある。
ールの溶解性が低下し、イトラコナゾールの
血中濃度が低下することがある。
― 23 ―
解 説
相互作用の機序は、イトラコナゾールは弱塩基性で、胃酸により塩酸塩に転換されて吸収
されますが、オメプラゾールによる胃内pHの上昇によりイトラコナゾールの溶解性が低下
し、生物学的利用率が低下するためと考えられています。
イトラコナゾールは経口抗真菌剤として使用されています。また肝臓のチトクローム
P450系薬物代謝酵素CYP3A4の強力な阻害剤として相互作用を引き起こすことがよく知られ
ていますが、オメプラゾールとイトラコナゾールとの相互作用は、このCYP3A4の阻害作用
に基づくものではなく、消化管からの吸収の過程で生じる相互作用です。
対処法としては、胃酸の影響を受けないアゾール系抗真菌薬の投与に変更することが考え
られ、フルコナゾールでは影響のないことが報告1)されています。なお、オメプラゾールの
場合、1日1回投与で胃酸分泌がほぼ1日にわたり抑制されるため、投与間隔をあけたとして
も相互作用を回避することは困難です。
[海外データ]
外国において健康成人11例2)に対し、1日目と15日目にイトラコナゾール(200mg)を投
与、2日目から15日目まで、オメプラゾール経口剤40mg/日を投与してイトラコナゾー
ルの薬物動態を検討している。その結果、イトラコナゾールの血中濃度は、オメプラ
ゾールを併用した場合、CmaxおよびAUC0-24hrがいずれも約1/3に減少した。
Cmax
Tmax
AUC
イトラコナゾール単独
(100%)
0.28μg/mL
(100%)
4.36hr
1.97μg・hr/mL(100%)
イトラコナゾール+オメプラゾール
(32.1%)
0.09μg/mL
(127.3%)
5.55hr
0.69μg・hr/mL (35.0%)
○引用文献
1)Zimmermann, T., et al. : Int. J. Clin. Pharmacol. Ther. 32 491(1994)
2)Jaruratanasirikul, S., et al. : Eur. J. Clin. Pharmacol. 54 159(1998)
― 24 ―
(2)併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
ゲフィチニブ
ゲフィチニブの溶解性が
(ラニチジン)
による
高用量の H2 受容体拮抗剤
pHに依存することから、
低胃酸状態により、ゲフィチニブの血中濃度
本剤を含む胃酸分泌抑制
が低下したとの報告がある。
剤との併用により、ゲフィ
チニブの吸収が低下し、
作用が減弱する可能性が
考えられる。
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
ボリコナゾー
本剤のC max 及びAUCが
ボリコナゾールは本剤の代謝酵素(CYP2C19
ル
増加したとの報告がある。
及びCYP3A4)
を阻害することが考えられる。
― 25 ―
解 説
ゲフィチニブは胃内pHが持続的に上昇した条件下では吸収が低下するおそれがあり、胃
酸分泌抑制作用により胃内pHを上昇させる、オメプラゾール等のプロトンポンプ阻害剤と
の併用は臨床的に注意が必要であると考えられます。
[ゲフィチニブの体内動態に及ぼす胃内pHの影響]
欧米健康成人を対象に、クロスオーバー法に従い、ゲフィチニブの体内動態に及ぼす
胃内pHの影響を検討した。空腹時におけるゲフィチニブ250mg単独投与群と、塩酸ラ
(塩酸ラニチジンにて胃内pHを5以上に維持した状態でゲフィ
ニチジン900mg/日注)併用群
チニブ250mgを投与)を比較した結果、塩酸ラニチジン併用群ではゲフィチニブのAUC
が約50%低下した。
AUC 0-∞(ng・hr/mL)
Cmax(ng/mL)
ゲフィチニブ250mg+
塩酸ラニチジン(n=25)
ゲフィチニブ250mg単独投与
(n=24)
glsmeana)の比
(90%CI)b)
1443.9
35.7
2738.8
121.9
0.527(0.466 ∼0.596)
0.293(0.257 ∼0.334)
a)glsmean : 幾何最小二乗平均
b)ゲフィチニブ単独投与時のglsmeanに対する塩酸ラニチジン併用時のglsmeanの比およびその90%CI
注)塩酸ラニチジン(内服)の本邦での承認用量は150∼300mg/日です。
解 説
海外において、ボリコナゾールとオメプラゾールとの併用により、オメプラゾールの
Cmaxが約2.2倍、AUCが約3.8倍増加したとの報告1)があることから、併用には注意が必要で
あると考えられます。
○引用文献
1)Wood, N., et al. : Abstract of the Interscience Conference on Antimicrobial Agents and
Chemotherapy, A-19(2001)
― 26 ―
4. 副作用
○胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群
総症例数15180例中283例(1.86%)399件の副作用が報告されている(オメプラゾン錠の調
査結果と合算)
。
主な副作用は、ALT
(GPT)
上昇57件
(0.38%)
、AST
(GOT)
上昇32件
(0.21%)
等の肝障害、
下痢・軟便27件(0.18%)、白血球減少(症)27件(0.18%)、発疹13件(0.09%)、便秘12件
(0.08%)、BUN上昇10件
(0.07%)等であった。
(承認時まで及び再審査終了時の集計)
― 27 ―
解 説
本剤の臨床試験において認められた副作用および臨床検査値異常変動をもとに記載しま
した。
主な頻度は承認時までおよび再審査終了時の集計結果に基づき、記載しています 1)。(【副
作用発現状況】
参照)
それぞれの調査における副作用発現状況は以下のとおりです。
【承認時までの調査】
副作用については安全性解析対象1,333例中29例(2.18%)
で、臨床検査値の異常変動は1,075
例中90例
(8.37%)
でした。
なお、承認時までの調査においては臨床検査値の変動は、副作用とは別に集計しています
(参考次頁:承認時までの調査・臨床検査値異常参照)
。
【使用成績調査】
安全性解析対象13,847例における副作用発現症例率は1.83%
(254/13,847例)
でした。
○引用文献
1)竹内利江子ほか:新薬と臨牀 48(5)30(1999)
― 28 ―
【副作用発現状況】
(1)調査施設数
(2)調査症例数
(3)副作用発現症例数
(4)副作用発現件数
(5)副作用発現症例率
副作用の種類
皮膚・皮膚付属器障害
紅斑
湿疹
蕁麻疹
そう痒(症)
かゆみ
脱毛(症)
発疹・皮疹
皮膚乾燥
筋・骨格系障害
関節痛
中枢・末梢神経系障害
頭痛
口唇しびれ(感)
足のしびれ
手指しびれ(感)
ふらつき
頭部拍動感
頭部浮遊感
視覚障害
霧視(感)
精神障害
眠気
自発性・活動性低下
消化管障害
下痢・軟便
口渇
胃膨満
便秘
腹部膨満感
悪心・嘔気
嘔吐
心窩部痛
放屁
口角炎
口内異常感
血清ガストリン上昇
肝臓・胆管系障害
黄疸
肝機能異常
肝機能検査異常
肝機能悪化
肝機能障害
肝障害
AST(GOT)上昇
ALT(GPT)上昇
チモール混濁反応異常
ビリルビン血症
ビリルビン値上昇
血清トランスアミナーゼ上昇
硫酸亜鉛混濁反応異常
γ-GTP上昇
Al-P上昇
LDH上昇
代謝・栄養障害
血清カリウム上昇
高コレステロール血症
血清コレステロール上昇
高尿酸血症
血中尿酸上昇
トリグリセライド上昇
低クロール血症
血中ナトリウム低下
高クロール血症
内分泌障害
女性化乳房
心・血管障害
ショック
(状態)
承認時まで
使用成績調査
計
の調査
の累計
2,986 2,742 244 15,180 13,847 1,333 283 254 29 399 360 39 1.86%
1.83%
2.18%
副作用発現症例数又は件数(%)
24(0.16)
18(0.13)
6(0.45)
1(0.01)
1(0.01)
― 2(0.01)
2(0.01)
― 3(0.02)
2(0.01)
1(0.08)
1(0.01)
1(0.01)
― 2(0.01)
2(0.01)
― 3(0.02)
2(0.01)
1(0.08)
11(0.07)
7(0.05)
4(0.30)
1(0.01)
1(0.01)
― ― 1(0.01)
1(0.08)
1(0.01)
― 1(0.08)
10(0.07)
4(0.03)
6(0.45)
6(0.04)
2(0.01)
4(0.30)
1(0.01)
1(0.01)
― 1(0.01)
― 1(0.08)
1(0.01)
1(0.01)
― 1(0.01)
1(0.01)
― 1(0.01)
― 1(0.08)
1(0.01)
― 1(0.08)
1(0.01)
― 1(0.01)
1(0.01)
1(0.01)
― 4(0.03)
2(0.01)
2(0.15)
3(0.02)
2(0.01)
1(0.08)
1(0.01)
― 1(0.08)
50(0.33)
35(0.25)
15(1.13)
27(0.18)
18(0.13)
9(0.68)
2(0.01)
2(0.01)
― 1(0.01)
1(0.01)
― 12(0.08)
9(0.06)
3(0.23)
4(0.03)
4(0.03)
― 2(0.01)
― 2(0.15)
1(0.01)
― 1(0.08)
1(0.01)
― 1(0.08)
1(0.01)
― 1(0.08)
1(0.01)
― 1(0.08)
1(0.01)
1(0.01)
― 2(0.01)
2(0.01)
― 121(0.80)
― 121(0.87)
1(0.01)
1(0.01)
― 7(0.05)
7(0.05)
― 1(0.01)
1(0.01)
― 1(0.01)
1(0.01)
― 18(0.12)
18(0.13)
― 6(0.04)
6(0.04)
― 32(0.21)
32(0.23)
― 57(0.38)
57(0.41)
― 1(0.01)
1(0.01)
― 1(0.01)
1(0.01)
― 5(0.03)
5(0.04)
― 2(0.01)
2(0.01)
― 1(0.01)
1(0.01)
― 20(0.13)
20(0.14)
― 17(0.11)
17(0.12)
― 13(0.09)
13(0.09)
― 29(0.19)
― 29(0.21)
8(0.05)
8(0.06)
― 2(0.01)
2(0.01)
― 5(0.03)
5(0.04)
― 1(0.01)
1(0.01)
― 5(0.03)
5(0.04)
― 9(0.06)
9(0.06)
― 1(0.01)
1(0.01)
― 1(0.01)
1(0.01)
― 1(0.01)
1(0.01)
― 1(0.01)
― 1(0.01)
1(0.01)
1(0.01)
― 1(0.01)
― 1(0.01)
1(0.01)
1(0.01)
― 承認時まで
使用成績調査
計
の調査
の累計
副作用の種類
副作用発現症例数又は件数(%)
1(0.01)
心拍数・心リズム障害
― 1(0.01)
心房粗動
1(0.01)
1(0.01)
― 1(0.01)
血管(心臓外)障害
― 1(0.01)
下肢静脈血栓
1(0.01)
1(0.01)
― ― 1(0.01)
1(0.08)
呼吸器系障害
咽頭違和感
1(0.01)
― 1(0.08)
8(0.05)
赤血球障害
― 8(0.06)
血色素減少
1(0.01)
1(0.01)
― 貧血
2(0.01)
2(0.01)
― 赤血球減少
4(0.03)
4(0.03)
― ヘモグロビン減少
3(0.02)
3(0.02)
― 網赤血球減少
1(0.01)
1(0.01)
― ヘマトクリット値減少
3(0.02)
3(0.02)
― 32(0.21)
白血球・網内系障害
― 32(0.23)
白血球減少(症)
27(0.18)
27(0.19)
― 汎血球減少(症)
1(0.01)
1(0.01)
― 白血球増多(症)
3(0.02)
3(0.02)
― 好酸球増多(症)
1(0.01)
1(0.01)
― 6(0.04)
血小板・出血凝血障害
― 6(0.04)
血小板減少(症)
5(0.03)
5(0.04)
― 血小板増加
1(0.01)
1(0.01)
― 19(0.13)
泌尿器系障害
― 19(0.14)
腎機能悪化
1(0.01)
1(0.01)
― BUN上昇
10(0.07)
10(0.07)
― 血中クレアチニン上昇
3(0.02)
3(0.02)
― 尿蛋白増加
1(0.01)
1(0.01)
― 尿蛋白陽性
4(0.03)
4(0.03)
― 排尿困難
1(0.01)
1(0.01)
― 6(0.04)
3(0.02)
3(0.23)
一般的全身障害
顔面浮腫
1(0.01)
1(0.01)
― 発熱
4(0.03)
1(0.01)
3(0.23)
倦怠(感)
1(0.01)
― 1(0.08)
下腿浮腫
1(0.01)
1(0.01)
― 2(0.01)
抵抗機構障害
― 2(0.01)
カンジダ症
1(0.01)
1(0.01)
― 帯状疱疹
1(0.01)
1(0.01)
― 注)承認時までの調査における臨床検査値異常は下表に示す。
(参考)承認時までの調査・臨床検査値異常
血
液
学
的
検
査
血
液
生
化
学
検
査
尿
検
査
― 29 ―
項 目
赤血球数
ヘモグロビン量
ヘマトクリット値
白血球数
白血球分類
血小板数
AST(GOT)
ALT(GPT)
Al-P
γ-GTP
LDH
総ビリルビン
BUN
クレアチニン
総蛋白
A/G
総コレステロール
尿酸
トリグリセライド
Na
電
解
K
質
Cl
蛋白
糖
ウロビリノーゲン
沈渣
脈拍
血圧
異常例/測定例数(%)
3/1,021(0.3)
3/1,022(0.3)
2/1,019(0.2)
11/1,018(1.1)
7/623(1.1)
1/872(0.1)
31/1,049(3.0)
42/1,048(4.0)
13/1,027(1.3)
19/974(2.0)
9/997(0.9)
7/953(0.7)
5/953(0.5)
0/919(0.0)
2/917(0.2)
1/717(0.1)
6/950(0.6)
6/769(0.8)
13/688(1.9)
0/870(0.0)
5/870(0.6)
1/862(0.1)
2/756(0.3)
0/755(0.0)
3/717(0.4)
1/505(0.2)
0/449(0.0)
1/531(0.2)
関連情報
【逆流性食道炎の維持療法における臨床試験結果】
本剤10mgを1錠又は2錠6ヵ月間投与した国内臨床試験において、10mg投与群32例中2例
(6.3%)2件〔かゆみ、頭痛各1件(3.1%)〕、20mg投与群29例中1例(3.4%)1件〔下痢1件(3.4%)〕
の副作用が報告されています。(詳細は下表1参照)
また、治験薬との因果関係が否定されなかった臨床検査値異常の発現頻度は、本剤10mg
投与群、本剤20mg投与群でそれぞれ28.1%(9/32例、20件)、21.4%(6/28例、16件)でした。
本剤10mg投与群ではAST(GOT)上昇(12.5%)、ALT(GPT)上昇(15.6%)等、20mg投与群で
はLDH上昇(11.1%)
、総コレステロール上昇(7.4%)等がみられています。
(詳細は下表2参照)
表1:逆流性食道炎の維持療法における副作用発現時期
32例
29例
∼2週
対象 10mg錠 1錠/日
例数 10mg錠 2錠/日
発 現 時 期
か ゆ み
頭 痛
下 痢
32例
29例
∼4週
1件(10mg)
30例
29例
∼8週
26例
29例
∼12週
23例
27例
∼24週
1件(10mg)
1件(20mg)
3例
11例
24週∼
計
1件
1件
1件
注1)発現件数(10mg)、
(20mg)
:各々、10mg錠1錠投与時、10mg錠2錠投与時での発現件数。
2)発現時期:前治療として10mg錠2錠/日の投与を8週間実施していますが、上記副作用発現時期は維持療法として開始してからの
期間を示します。
表2:逆流性食道炎の維持療法における臨床検査値異常
血
液
学
的
検
査
血
液
生
化
学
検
査
投 与 群
異常変動評価対象例数
異常変動発現例数
異常変動発現頻度(%)
異常変動発現件数
異常変動の種類
白血球数
好中球
リンパ球
AST(GOT)
ALT(GPT)
Al-P
γ- GTP
LDH
総ビリルビン
BUN
総蛋白
総コレステロール
尿酸
トリグリセライド
K
蛋白
沈渣
増加
増加
増加
減少
上昇
上昇
上昇
上昇
上昇
上昇
上昇
上昇
上昇
上昇
上昇
上昇
異常
異常
尿
検
査
N:各項目で臨床検査値異常変動の有無が判定された例数
( )
:
(異常変動発現件数/N)× 100 %
10mg錠 1錠/日
32
9
28.1
20
異常変動発現件数
N
0
32
0
27
1( 3.7)
27
0
27
4( 12.5)
32
5( 15.6)
32
1( 3.1)
32
2( 6.7)
30
2( 6.3)
32
1( 3.1)
32
1( 3.1)
32
0
31
0
31
1( 3.4)
29
1( 3.8)
26
0
30
1( 5.3)
19
0
15
― 30 ―
10mg錠 2錠/日
28
6
21.4
16
異常変動発現件数
N
1( 3.7)
27
1( 5.0)
20
0
20
1( 5.0)
20
2( 7.1)
28
0
28
0
27
0
24
3( 11.1)
27
1( 3.6)
28
1( 3.7)
27
1( 3.8)
26
2( 7.4)
27
0
22
0
20
1( 4.5)
22
1( 5.6)
18
1( 7.1)
14
○非びらん性胃食道逆流症
国内で行われた試験では、226例中9例(4.0%)に副作用が認められている。
( 承認時まで
の集計)
― 31 ―
解 説
「非びらん性胃食道逆流症」の承認時までに実施された国内臨床試験2試験の集計を記載し
ました。
【非びらん性胃食道逆流症の第Ⅲ相臨床試験での副作用発現状況】
本剤10mg錠又は20mg錠を4週間投与したプラセボ対照二重盲検比較試験(国内第Ⅲ相臨床
試験)において、10mg投与群96例中5例6件、20mg錠投与群93例中4例4件の副作用が報告さ
れています。
【24時間食道内pHモニタリング試験】
10mg投与群(17例)、20mg投与群(20例)のいずれの投与群においても副作用は発現してい
ません。
投与群
10mg錠/日
20mg錠/日
合算
113例
113例
226例
副作用発現例数(率)
5例(4.4%)
4例(3.5%)
9例(4.0%)
副作用発現件数
6件
4件
10件
症例数
*
副作用発現件数
副作用の種類
皮膚および皮下組織障害
1(0.9%)
0(0.0%)
1(0.4%)
蕁麻疹
1(0.9%)
0(0.0%)
1(0.4%)
胃腸障害
2(1.8%)
4(3.5%)
6(2.7%)
便 秘
1(0.9%)
1(0.9%)
2(0.9%)
下 痢
1(0.9%)
1(0.9%)
2(0.9%)
軟 便
0(0.0%)
2(1.8%)
2(0.9%)
臨床検査
1(0.9%)
0(0.0%)
1(0.4%)
尿中蛋白陽性
1(0.9%)
0(0.0%)
1(0.4%)
全身障害および投与局所様態
1(0.9%)
0(0.0%)
1(0.4%)
口 渇
1(0.9%)
0(0.0%)
1(0.4%)
感染症および寄生虫症
1(0.9%)
0(0.0%)
1(0.4%)
単純ヘルペス
1(0.9%)
0(0.0%)
1(0.4%)
*:国内臨床2試験の合算
非びらん性胃食道逆流症は「オメプラール錠10」のみの適応です。
― 32 ―
○胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
国内で行われた試験では、総症例数513例中273例(53.2%)に副作用が認められている。
(承認時まで及び市販後臨床試験終了時の集計)
― 33 ―
解 説
国内第Ⅲ相臨床試験(n=225例)および第Ⅳ相市販後臨床試験(n=288例)において除菌療法
との因果関係が否定できないと判定された副作用(合算)について、除菌療法期(0∼1週)、
観察期(1∼7週)および除菌療法期∼観察期でそれぞれ集計したものを以下に示します。
総症例数513例中273例(53.2%)に副作用が認められています。
( 承認時までおよび市販後臨
床試験終了時の集計)
【国内第Ⅲ相臨床試験および第Ⅳ相市販後臨床試験での副作用発現状況
(合算)
〔除菌療法期∼観察期〕】
時期
投与群
発現例数(発現率)
時期
除菌療法期
n=513
258(50.3)
除菌療法期
観察期
除菌療法期
∼観察期
n=508
n=513
35(6.9) 273(53.2)
観察期
除菌療法期
∼観察期
皮膚および皮下組織障害
7 (1.4)
3 (0.6) 10 (1.9)
湿疹
2 (0.4)
0 (0.0)
2 (0.4)
発疹
5 (1.0)
2 (0.4)
7 (1.4)
薬疹
0 (0.0)
1 (0.2)
1 (0.2)
神経系障害
71(13.8)
2 (0.4) 72(14.0)
口の錯感覚
1 (0.2)
1 (0.2)
2 (0.4)
頭痛
4 (0.8)
1 (0.2)
5 (1.0)
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
浮動性めまい
味覚異常
67(13.1)
0 (0.0) 67(13.1)
眼障害
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
霧視
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
精神障害
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
睡眠障害
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
胃腸障害
207(40.4) 28 (5.5) 226(44.1)
悪心
5 (1.0)
0 (0.0)
5 (1.0)
異常便
2 (0.4)
0 (0.0)
2 (0.4)
胃炎
0 (0.0)
1 (0.2)
1 (0.2)
下痢
174(33.9)
2 (0.4) 175(34.1)
過敏性腸症候群
1 (0.2)
逆流性食道炎
0 (0.0) 15 (3.0) 15 (2.9)
鼓腸
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
口の感覚鈍麻
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
口腔内不快感
1 (0.2)
1 (0.2)
2 (0.4)
口唇炎
2 (0.4)
2 (0.4)
4 (0.8)
口内炎
4 (0.8)
1 (0.2)
5 (1.0)
口内乾燥
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
脂肪便
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
痔核
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
痔出血
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
十二指腸炎
0 (0.0)
3 (0.6)
3 (0.6)
消化不良
1 (0.2)
1 (0.2)
2 (0.4)
上腹部痛
6 (1.2)
0 (0.0)
6 (1.2)
舌炎
3 (0.6)
1 (0.2)
4 (0.8)
舌障害
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
腸雑音異常
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
腹痛
4 (0.8)
1 (0.2)
5 (1.0)
腹部不快感
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
腹部膨満
8 (1.6)
0 (0.0)
8 (1.6)
便秘
7 (1.4)
2 (0.4)
8 (1.6)
裂肛
0 (0.0)
1 (0.2)
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
時期
除菌療法期
観察期
除菌療法期
∼観察期
肝胆道系障害
5 (1.0)
0 (0.0)
5 (1.0)
肝機能異常
4 (0.8)
0 (0.0)
4 (0.8)
肝障害
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
代謝および栄養障害
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
高コレステロール血症
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
心臓障害
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
動悸
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
血管障害
0 (0.0)
1 (0.2)
1 (0.2)
高血圧
0 (0.0)
1 (0.2)
1 (0.2)
血液およびリンパ系障害
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
貧血
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
臨床検査
29 (5.7)
0 (0.0) 29 (5.7)
AST(GOT)増加
6 (1.2)
0 (0.0)
6 (1.2)
ALT(GPT)増加
3 (0.6)
0 (0.0)
3 (0.6)
リンパ球百分率減少
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
血小板数減少
2 (0.4)
0 (0.0)
2 (0.4)
ALP増加
3 (0.6)
0 (0.0)
3 (0.6)
血中コレステロール増加
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
血中ビリルビン増加
3 (0.6)
0 (0.0)
3 (0.6)
LDH増加
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
血中尿酸増加
2 (0.4)
0 (0.0)
2 (0.4)
好酸球数増加
2 (0.4)
0 (0.0)
2 (0.4)
心電図QT延長
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
尿中ブドウ糖陽性
4 (0.8)
0 (0.0)
4 (0.8)
尿中蛋白陽性
4 (0.8)
0 (0.0)
4 (0.8)
白血球数増加
2 (0.4)
0 (0.0)
2 (0.4)
白血球百分率数異常
3 (0.6)
0 (0.0)
3 (0.6)
腎および尿路障害
2 (0.4)
0 (0.0)
2 (0.4)
蛋白尿
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
慢性糸球体腎炎
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
全身障害および投与局所様態
8 (1.6)
0 (0.0)
8 (1.6)
異常感
2 (0.4)
0 (0.0)
2 (0.4)
倦怠感
3 (0.6)
0 (0.0)
3 (0.6)
口渇
3 (0.6)
0 (0.0)
3 (0.6)
熱感
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
発熱
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
感染症および寄生虫症
1 (0.2)
1 (0.2)
2 (0.4)
口腔カンジダ症
1 (0.2)
0 (0.0)
1 (0.2)
膣カンジダ症
0 (0.0)
1 (0.2)
1 (0.2)
― 34 ―
(1) 重大な副作用
1)ショック、アナフィラキシー様症状、血管浮腫、気管支痙攣
(いずれも頻度不明):
ショック、アナフィラキシー様症状、血管浮腫、気管支痙攣があらわれることがあ
るので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置
を行うこと。
― 35 ―
解 説
国内外でオメプラゾールによるショックの発現症例が集積されていますが、いずれも自発
報告で、具体的な発現頻度は不明です。以下にその主な症例をご紹介します。本剤による
ショックの発現機序は、Ⅰ型アレルギー反応が考えられています。
【文献(海外)による症例報告】
1
国 名
概 要
引用文献
スペイン
性・年齢
男・35歳
〈アナフィラキシー〉
既往歴:アルコール中毒による肝炎および膵炎、 喫煙40本/日、 腹痛による数回の入院歴あり。 自宅にて、
ラニチジン、ビタミンK、メタミゾール
(国内未発売)
を服用。膵炎悪化のため入院。診察では、腹部血行
動態は正常であり、腹痛を認めたが腹膜炎の徴候はなかった。白血球1.47×109/Lであり血液分画正常。赤
沈54mm/hr
(亢進)
。 GOT
(143 IU/L:正常範囲10∼50)およびアミラーゼ
(1033 IU/L:正常範囲230∼460)
上昇が認められた。 尿検査および凝固能検査は正常。 胸部および腹部X線検査正常。 オメプラゾール
40mg1日2回静脈注射開始。 さらにメタミゾール静脈注射およびスクラルファート経口投与開始。 2日目、
オメプラゾール投与数分後、 発汗、 蒼白、 腹痛、 下肢のかゆみ、 呼吸困難および低血圧
(70/40mmHg)が
発現。皮膚の異常や喘鳴は認めなかった。メチルプレドニゾロン、クロルフェニラミン静脈注射およびオ
キシポリゲラチン
(国内未発売)
点滴、 低血圧に対し液体ゼラチン血管内充填開始し、 1時間後、 臨床像は
回復。血圧
(120/70mmHg)
。12時間前までに他の薬剤の投与はなかった。
Galindo, P.A., et al. : Annals of Allergy, Asthma& Immunology 82 52(1999)
【自発報告(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
[症例1]
性別
・ 使用理由
年齢
女 十二指腸
・
潰瘍
30代
合併症
投与量
投与期間
40mg/日
(20mg×2回)
1日
(既往歴)
不明
なし
副作用の経過および処置
〈過敏症〉
昼食前に処方された薬剤を服用したところ、30∼
60分後に頸部を中心に痒みが発現(蚊にさされた
ような痒み)
。 その後午後7時頃
(夕食後)
もう1度
服用したところ11時頃から喘鳴、 咳、 痰が出現、
呼吸困難となり他院に入院。
入院時所見 : 血圧は40mmHg位で口のまわりに
大きな白い固い膨疹が発現。 ついで同様の膨疹
が全身に広がった。
時間経過とともに白い膨疹は赤くなり、次第にく
ずれて互いに融合し、 全身まっ赤となっていっ
たが、血圧の方は回復(呼吸困難も膨疹が赤くな
るにつれて軽快)
。 しかし、 咳、 痰、 膨疹が一定
時間をおいて繰り返し発現。
翌日、回復。
転帰
備 考
回復 [併用薬]
合成ケイ酸アルミ
ニウム、炭酸水素
ナトリウム、ロー
トエキス、酸化マ
グネシウム、硫酸
バリウム、炭酸水
素ナトリウム・酒
石酸
[症例2]
性別
・ 使用理由
年齢
合併症
なし
男 急性胃炎
・
40代 胃潰瘍(疑)
(既往歴)
なし
投与量
投与期間
20mg/日
1日
副作用の経過および処置
〈全身痙攣、呼吸停止、全身チアノーゼ〉
午後5時頃自宅で服用したところ、午後5時30分
頃より胃部不快感が発現し来院。病院に到着し
たときは介助なしで立てない状態であった。そ
の後全身痙攣、呼吸停止、全身チアノーゼを来
した。意識は保たれていた。直ちにO2投与。一
時脈拍触知せず。ステロイド注射、人工呼吸、
昇圧剤、輸液により約40分間位で血圧が上昇し、
呼吸停止、痙攣からの回復をみた。その後、救
急車にて二次救急病院に搬送。以後1週間程、救
急病院に入院していた。
― 36 ―
転帰
備 考
回復 [併用薬]なし
2)無顆粒球症、汎血球減少症、溶血性貧血、血小板減少
(いずれも頻度不明):無顆粒
球症、汎血球減少症、溶血性貧血、血小板減少があらわれることがあるので、観察
を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
― 37 ―
解 説
無顆粒球症、汎血球減少症、溶血性貧血、血小板減少全てについて国内外でオメプラゾー
ルによる発現症例が集積されていますが、いずれも自発報告で、具体的な発現頻度は不明で
す。以下にその主な症例をご紹介します。なお、本剤による発現機序も不明です。
・無顆粒球症、汎血球減少症
【文献(海外)による症例報告】
1
国 名
概 要
引用文献
オランダ
性・年齢
女・43歳
〈顆粒球減少〉
胃潰瘍のため、オメプラゾール1日20mgおよびスクラルファート1g1日4回投与。 6週後顆粒球減少発現。
白血球数1.3×109/L、好中球<0.1×109/L。自覚症状は無かったが、患者は入院。骨髄吸引では、骨髄形
成不全が確認された。スクラルファートは継続、オメプラゾールは中止された。中止13日後、白血球数
5.6×109/L、顆粒球数3.0×109/Lまで回復した。
Ottervanger, J.P., et al. : Eur. J. Haematology. 54 279(1995)
【自発報告(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
[症例1]
性別
・ 使用理由
年齢
女
・
70代
胃潰瘍
投与量
投与期間
合併症
うつ病
多発性筋炎
クッシング症候群
高脂血症
脳動脈硬化症
骨粗鬆症
シェーグレン症候群
赤血球(×104)
ヘモグロビン
ヘマトクリット値
白血球
好酸球
好中球
リンパ球
単球
血小板(×104)
20mg/日
約8週間
副作用の経過および処置
転帰
〈汎血球減少症、
無顆粒球症〉
・以前より近医にて多発性筋炎等にて加療中。
クッシング症候群による肥満にて入院
(1回目)
。
6週間後退院。
(退院1週間前よりオメプラゾー
ルの投与を開始)
・約3週間後、過呼吸症候群にて入院(2回目)。
3日間入院し、 退院。 この時点では血液検査
異常なし。
・2週間後両側耳下腺腫脹出現。近医にてセフ
ジニル、 非ピリン系感冒剤等を投与
(この頃
オメプラゾール中止)。 4日後口腔内痛のた
め食事摂取不能となり入院
(3回目)。
・3回目入院、1日後 : 汎血球減少を認める。口
腔内びらん著明。2日後 : 無顆粒球症を認め
る。クリーンルーム入室。3日後 : 口腔内、皮
下に出血傾向出現。 骨髄穿刺で著明な低形
成を認める。
4日後 : 死亡
(死因 ; 脳出血の疑い)
投与開始
3日前
2回目
入院時
431
13.7
42.9
8000
―
76
15
8
23.6
421
12.9
41.3
7500
―
86
10
4
39.6
1日後
312
9.7
31.8
500
4
20
74
2
4.7
3回目入院
2日後
265
8.2
25.5
200
8
0
88
4
3.3
― 38 ―
4日後
346
11.2
32.3
200
11
0
88
1
2.5
備 考
死亡 [併用薬]
塩酸クロミプラミン、
塩酸アミトリプチリン、
レバミピド、ベザフィ
ブラート、塩酸チア
プリド、エンプロス
チル、アルファカル
シドール、塩酸ビフェ
メラン、メトトレキ
サート、セフジニル、
非ピリン系感冒剤(サ
リチルアミド/アセト
アミノフェン/無水カ
フェイン/メチレンジ
サリチル酸プロメタ
ジン)
、プレドニゾロン
[症例2]
性別
・ 使用理由
年齢
女
・
80代
出血性
胃潰瘍
合併症
なし
赤血球(×104)
ヘモグロビン
ヘマトクリット値
白血球
リンパ球
血小板(×104)
投与量
投与期間
20mg/日
11日間
副作用の経過および処置
転帰
〈無顆粒球症、白血球減少、発疹、発熱〉
・胃潰瘍のため他院にて治療中、症状が悪化し
入院。禁食、補液、濃厚赤血球輸血、ファモチ
ジン注を8日間投与後、オメプラゾール錠に変更。
経口食開始。3日後退院。
・投与6日目:夕方より38℃の発熱。スパルフロ
キサシン投与。 10日目:夕方より下顎部に発疹
出現。 11日目:発疹が上半身に広がり来院。 40
℃の発熱、白血球減少発現。ピペラシリンナト
リウム、アミカシン、プレドニゾロン、フィル
グラスチム投与。オメプラゾール投与中止。中
止翌日:無顆粒球症発現。中止後6日目:血小板、
補液開始。フィルグラスチム150μgに増量。中
止後8日目:ファモチジン、塩酸ピレンゼピン、
アルブミン投与。中止後12日目: DOA
(ドパミ
ン)開始。出血斑増強。中止後13日目:吐血、
下血出現。中止後14日目:死亡。
投与前
3日前
18日前
343
256
10.5
7.8
31.4
23.5
5400
10600
―
―
18.6
24.2
投与中
11日目
342
10.3
31.2
600
92
7.0
3日目
314
9.5
28.1
600
96
5.4
― 39 ―
8日目
298
9.1
26.3
300
100
3.8
備 考
死亡 [併用薬]
テプレノン、水酸
化アルミニウムゲ
ル・水酸化マグネ
シウム
(配合剤)
投与中止後
10日目
266
8.1
23.3
200
100
5.8
12日目
265
7.9
23.6
200
―
0.3
13日目
333
10.3
30.1
100
―
0.9
[症例3]
性別
・ 使用理由
年齢
女
・
60代
再発性
多発性
胃潰瘍
投与量
投与期間
合併症
原発性胆汁性肝硬変
胆石症
骨粗鬆症
20mg/日 〈汎血球減少〉
39日間
吐血、心窩部痛あり。潰瘍と診断。シメチジン
投与開始。12日目、オメプラゾールに変更。
投与25日目:下痢、食欲低下、尿閉のため当科
入院。膀胱炎に対し、オフロキサ
シン投与開始。
投与29日目:潰瘍消失、食欲良好。尿閉改善。
投与34日目:原因不明の発熱(37.5∼38.0℃)が
発現。
投与35日目:ピペラシリンナトリウム投与によ
り一時解熱。
投与38日目:再び発熱。汎血球減少を認める。
投与39日目:オメプラゾール中止し、シメチジ
ンに変更。
中止後3日目 :回復。
投与前
赤血球(×104)
ヘモグロビン
ヘマトクリット値
白血球
好酸球
好中球
好塩基球
リンパ球
単球
血小板(×104)
体温
副作用の経過および処置
277
9.5
―
3100
1
74
0
11
14
4.7
―
25日目
283
9.4
26.6
8000
1
84
0
8
7
6.8
36.5
投与中
38日目
221
7.4
21.2
2800
5
75
1
11
8
4.0
37.2
39日目
222
7.4
21.5
2200
0
81
3
11
5
3.8
36.5
― 40 ―
転帰
備 考
回復 [併用薬]
ピペラシリンナトリ
ウム、ウルソデオキ
シコール酸、スピロ
ノラクトン、コレス
チラミン、ラクトミン、
総合消化酵素剤、ス
クラルファート、ア
ルファカルシドール、
乳酸カルシウム、オ
フロキサシン、塩化
カリウム、カルメロー
スナトリウム、便秘薬、
エンプロスチル
投与中止後
2日目
3日目
251
213
8.3
7.0
24.5
21.9
2700
2200
3
0
76
―
0
―
19
―
2
―
5.5
3.6
36.3
36.5
[症例4]
性別
・ 使用理由
年齢
合併症
女 十二指腸
・
潰瘍
70代
赤血球(×104)
白血球
血小板(×104)
−
投与量
投与期間
20mg/日
14日間
投与8日前
399
5600
44.2
副作用の経過および処置
転帰
〈白血球減少〉
十二指腸潰瘍に対し、オメプラゾールの投与を
開始したところ投与開始4日目に白血球減少が発
現したが、投与を継続した。その後は白血球数
に大きな変動はみられず、 14日間投与した。投
与中止後15日目に白血球数は4400と回復した。
投与4日目
364
2600
29.2
6日目
355
2800
24.7
― 41 ―
11日目
367
3000
26.9
備 考
回復 [併用薬]
トロンビン、フマ
ル酸第一鉄、水酸
化アルミニウムゲ
ル・水酸化マグネ
シウム
(配合剤)
中止後1日目
369
3000
25.8
中止後15日目
440
4400
27.6
・溶血性貧血
【文献(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
性・年齢
1
概 要
女・80歳
〈溶血性貧血および血小板減少症〉
オメプラゾール投与約5週間後、貧血、黄疸、出血傾向で入院。入院時、
Hb 6.4g/dL、
血小板0.1×104/μL、
網赤血球325‰。 総ビリルビン1.9mg/dL、LDH 572 IU/L、 ハプトグロビン<10mg/dL。 直接および間接
クームス
(+)、血小板関連-IgG
(PAIgG)
1,100.0ng/107cells。補体価の低下
(+)
。骨髄標本上、巨核球と赤芽
球系の増加が認められた。オメプラゾール中止後、貧血と血小板減少は次第に改善、入院27日目、直接クー
ムス
(+)
、間接クームス
(−)
。その後PAIgG値も改善し、入院59日で軽快退院となった。血清中に抗オメ
プラゾールIgG抗体が検出され、 回復期に同抗体量は減少していた。 退院40日後、 直接クームス(−)と
なった。
林原 歳久:臨床血液 39(6)447(1998)
引用文献
【文献(海外)による症例報告】
国 名
1
概 要
アメリカ
性・年齢
女・57歳
〈溶血性貧血〉
嘔気、嘔吐と心窩部痛を認め、シメチジンと制酸剤を投与。投与1ヵ月後、症状の改善が見られず、オメ
プラゾールを投与開始(投与経路不明)。開始2日後、脱力感、嗜眠、ふらつき、息切れを訴え、次の2週
間で症状悪化。黄疸を認め入院。
〈入院時検査〉
Hb 9.0g/dL、Ht 24.6%、Plt 27.5万、WBC 13200、網状赤血球 5.8%、T-Bil 3.8mg/dL、直接
Bil 0.5mg/dL、間接Bil 3.3mg/dL、LDH 354IU/L、ハプトグロビン<5mg/dL、直接クームス陽性、間接
クームス陰性。
オメプラゾール投与中止。入院後、Hb 7.5g/dL、Ht 20.4%に低下したが、入院4日目Hb 8.0g/dL、Ht 22.3%
に上昇。症状も消失し、4日後退院。退院10日後Hb 11.8g/dL、Ht 35.4%となった。
Marks, D.R., et al. : Am. J. Gastroenterol 86(2)217(1991)
引用文献
【自発報告(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
性別
・ 使用理由
年齢
女
・
60代
胃潰瘍
合併症
頸椎症
赤血球
(×104)
ヘモグロビン
ヘマトクリット値
白血球
EOS
(%)
AST
(GOT)
ALT
(GPT)
Al-P
LDH
T-Bil
D-Bil
ハプトグロビン
尿潜血
投与量
投与期間
副作用の経過および処置
転帰
備 考
20mg/日
19日間
軽快 [併用薬]
〈溶血性貧血〉
胃潰瘍出血に対して輸血
(4日間)
。 ファモチジン
レバミピド、水酸化ア
注、 水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウ
ルミニウムゲル ・ 水酸
ム投与開始。 約1週間後、 ファモチジン注を中止
化マグネシウム(配合
し、オメプラゾール、レバミピドに変更。
剤)、アズレンスルホ
投与15日目 :顕微鏡的血尿が出現。
ン酸ナトリウム ・ L- グ
投与19日目 :オメプラゾール、レバミピド中止。
ルタミン
クームステスト陰性。 寒冷凝集素
反応:16倍
中止後18日目:軽快。ANF:
(−)
、CH50:28.5、抗
DNA抗体:正常、 C3:60、 C4:24、
クリオグロブリン:
(−)
、IgG:1516、
IgM:129、IgA:224、RF(−)
中止後21日目:ドナスランドスタイナー
(−)
中止後22日目:クームステスト陰性
投与前
402
12.1
35.0
7150
18.0
18
13
119
258
0.6
0.1
投与10日目
435
12.9
39.9
7830
6.1
19
14
129
440
1.1
0.2
投与15日目
+++
― 42 ―
投与19日目
317
9.4
29.0
7370
9.0
32
15
109
2326
1.8
0.5
10以下
+++
中止後7日目
298
8.9
28.8
6460
9.8
40
45
151
1272
0.9
0.2
10以下
−
中止後13日目 中止後18日目
332
343
10.1
10.2
32.0
33.2
5000
4510
7.0
7.0
43
21
73
30
151
134
817
530
1.0
0.6
0.2
0.1
10以下
−
・血小板減少
【自発報告(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
[症例1]
性別
・
年齢
女
・
80代
使用理由
合併症
慢性胃炎※ 内臓下垂症
骨粗鬆症
上気道炎
投与量
投与期間
10mg/日
77日間
(既往歴)
なし
備 考
投与開始日: 慢性胃炎のため、オメプラゾール錠
回復 [併用薬]
10mg 1錠朝使用開始。アルファカル
アルファカルシドー
シドール、 L-アスパラギン酸カルシ
ル、L-アスパラギ
ウム、オクトチアミン・B2・B6・B12配
ン酸カルシウム、オ
クトチアミン・B2・
合剤も使用開始。
投与15日目: 上気道炎症状で抗生物質(レボフロ
B 6・B 12 配合剤、レ
キサシン、セフトリアキソンナトリ
ボフロキサシン、
ウム)
を使用。
セフトリアキソン
投与17日目: 抗生物質により上気道炎症状は改善。
ナトリウム、六君
投与29日目: 食事摂取少なく、食欲低下のため、
子湯、小青竜湯、
胃透視で慢性胃炎あり。オメプラゾー
葛根湯、レバミピ
ル錠継続。
ド、アスコルビン
投与43日目: 上気道炎症状で抗生物質(レボフロ
酸・パントテン酸
キサシン)
を使用。
カルシウム
投与68日目: 排便時に血が混入。
投与71日目: 直腸鏡で内痔核
(+)
でブロメライン・
酢酸トコフェロールを使用。口腔粘
膜下に血腫多数。
発現6日後 : 口腔粘膜下に血腫増悪と口唇部も出
(投与77日目) 血あり。血液検査で血小板減少判明
し入院。オメプラゾール錠の投与中止。
発現23日後: 血小板が10万台に戻り、状態も良好。
発現28日後: 回復。
投与77日目
4600
370
11.8
35.5
0.7
投与3日目
4600
385
12.4
37.9
19.5
投与92日前
4000
370
12.2
37.5
18.6
白血球数
赤血球数(×104)
ヘモグロビン
ヘマトクリット値
血小板数(×104)
転帰
副作用の経過および処置
※本剤の承認効能・効果は、「胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症(10mg錠のみ)、Zollinger Ellison症候群、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助」です。
[症例2]
性別
・ 使用理由
年齢
男
・
70代
合併症
胃潰瘍
赤血球(×104)
白血球
血小板(×104)
−
投与量
投与期間
20mg/日
21日間
投与開始日
170
9900
18.1
副作用の経過および処置
転帰
〈血小板減少〉
胃潰瘍からの出血に対し、オメプラゾールの投
与を開始したところ、投与13日目に血小板数が
12.5万に減少し、 20日目に8.9万に減少した。そ
の2日後に本剤の投与を中止し、塩酸ラニチジン
に変更したところ、中止後10日目に回復傾向と
なった。
投与5日目
284
3800
15.6
13日目
287
3900
12.5
― 43 ―
18日目
285
4000
10.4
20日目
296
3600
8.9
備 考
軽快 [併用薬]
水酸化アルミニウ
ムゲル・水酸化マ
グ ネ シ ウ ム( 配 合
剤)、トロンビン
中止後10日目 中止後12日目
329
340
4200
4700
13.2
14.9
○引用文献
厚生省薬務局;医薬品副作用情報 No.117, 1992 Nov:「オメプラゾールと血液障害」
関連情報
医薬品等安全性情報 No.135, 1996 Jan:「抗消化性潰瘍薬
(プロトンポンプ・インヒビター)
による血液障害について」
― 44 ―
3)急性肝不全
(頻度不明)、黄疸
(0.1%未満):急性肝不全、黄疸があらわれることがあ
るので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置
を行うこと。
― 45 ―
解 説
国内外でオメプラゾールによる急性肝不全、黄疸の発現症例が集積されていますが、いず
れも自発報告で、具体的な発現頻度は不明です。以下にその主な症例をご紹介します。なお、
本剤による発現機序は、アレルギー反応によるものと考えられています。
【文献(海外)による症例報告】
1
国 名
アメリカ
概 要
性・年齢
男・62歳
内視鏡にてびらん性食道炎が認められたため、オメプラゾール20mg/日投与(投与経路不明)。投与17日
後、心窩部痛の悪化、食欲不振、悪心、嘔吐に加え、脱力感、めまいが発現し他院入院。既往歴は、高
血圧と冠動脈疾患。肝炎の既往や輸血、アルコール等は否定され、オメプラゾールが唯一新しく加わっ
た薬剤であった。精神機能のわずかな低下、軽度の羽ばたき振戦および中等度の黄疸が見られた。患者
はICUに移され治療されたが、翌朝より反応が低下し、アンモニア238μmol/Lまで上昇、羽ばたき振戦
がより著明になった。腹部CTでは、肝臓の萎縮が認められたが正常範囲内であった。
患者は肝移植のため、当院に転院。呼吸不全、乏尿性腎不全、発作を併発し、その5日後に死亡。肝炎ウ
イルスの検査では、HBsAb、HBsAg、HCVAb、HBcAb、HAAb
(IgG and IgM)、EBV IgM、HSV IgM、
CMV IgMは全て陰性。剖検で肝臓重量は960g、ひだ状の被膜が認められた。胆管閉塞は認められなかっ
た。鏡検では胆管増殖を伴う広範囲にわたる中心部の壊死と出血が認められた。
引用文献
Jochem, V., et al. : Am. J. Gastroenterol 87(4)523(1992)
【自発報告(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
[症例1]
性別
・ 使用理由
年齢
男
・
60代
胃潰瘍
合併症
なし
投与量
投与期間
20mg/日
16日間
副作用の経過および処置
転帰
備 考
〈肝障害〉
死亡 [併用薬]
胃潰瘍再発のためオメプラゾール投与開始。
なし
投与16日目:黄疸を認めたため入院(T-Bil 12.2、
GOT 864、GPT 663)。オメプラゾー
ル投与中止し、点滴、ビタミン剤、肝庇
護剤投与。
中止後2日目:酢酸メチルプレドニゾロンを投与。
中止後9日目:GI療法(グルカゴン・インスリン療法)
施行開始。
中止後14日目:T-Bil値低下、フィブリノーゲン低下。
ステロイド中止しGI療法は継続。メシ
ル酸ガベキサート投与。
中止後18日目:T-Bil値上昇。 酢酸メチルプレドニゾ
ロン投与開始。
中止後27日目:肝性昏睡(Ⅱ度)の状態となり、血漿交
換施行
(計6回)
。
中止後40日目:吸着療法施行。
中止後45日目:吸着療法施行。
中止後49日目:T-Bil上昇傾向持続し、腎不全、DICを
併発し死亡。
[臨床検査値] 投与16日目 :HBs抗原(−)、HBs抗体(+)、HCV抗体(−)、HA抗体(+)
Ⅱ
(−)
中止後30日目:HCV‐
中止後44日目:リンパ球刺激試験(−)
中止後 中止後 中止後 中止後 中止後 中止後 中止後 中止後 中止後 中止後 中止後
投与前 発現日 中止後
5日目 9日目 12日目 15日目 18日目 22日目 26日目 27日目 37日目 42日目 44日目 48日目
460
416
377
408
350
347
314
336
324
赤血球(×104) 342
311
252
5400 5800
7300 20600
6200 7700 6700 6500 4800 5100 5600 10700
白血球
22
864
193
207
164
211
272
196
162
137
99
120
111
205
AST(GOT)
16
663
372
324
243
246
261
197
169
153
84
99
99
194
ALT(GPT)
−
988
822
759
543
603
554
484
479
417
255
200
199
168
Al-P
346
885
672
735
692
782
840
605
569
501
524
711
540
918
LDH
18
847
−
−
−
−
−
−
181
−
−
−
−
53
γ-GTP
0.3
12.2 12.8 16.8 19.6 18.0 25.3 21.8 28.8 29.3 19.5 24.8 29.9 35.5
T-Bil
0.2
−
7.8
9.8
11.1 11.5 14.8 12.3 17.3 16.8
6.9
8.3
9.8
12.1
D-Bil
14
15.8
16.2 20.7 20.1 20.5 18.0 26.6 29.8 22.1 12.6 34.0 57.7
BUN
― 46 ―
[症例2]
性別
・ 使用理由
年齢
女
・
20代
逆流性
食道炎
投与量
投与期間
合併症
拒食症
162cm
37kg
(
20mg/日
2週間
)
副作用の経過および処置
転帰
備 考
〈劇症肝炎〉
回復 [併用薬]
ドンペリドン、ク
オメプラゾール投与開始。
エン酸第一鉄ナト
投与14日目: 全身倦怠感、黄疸発現。
リウム
中止後4日目: 黄疸、腹水を認め入院。肝庇護剤投
与開始。
中止後6日目: 血小板減少、腎機能低下、意識レベ
ルの低下出現。肝不全と考え、糖質
副腎皮質ホルモン、肝不全用アミノ
酸製剤、ラクツロース投与開始。
中止後7日目: 意識レベルは傾眠となり、黄疸増強。
中止後8日目: T-Bil、アンモニアの上昇等から肝性
昏睡と診断、血漿交換のため転院。
(転院後)
意識レベルは昏迷から昏睡。腎機能障害、
高度の肝機能障害あり。血小板の著明な減少と腹
水等を認める。高度の急性肝障害による肝性昏睡
が考えられ、血漿交換開始。
中止後9日目: 凝固機能、意識レベルの改善を認め
たが、
血小板の低下傾向改善せず。
中止後13日目: T-Bil、 凝固系、 意識レベルは血漿交
換中止後も増悪見られず。肝不全は徐々
に改善に向かった。しかし、全身的な
感染の増悪傾向が認められたため、
抗生物質、γ-グロブリン製剤を使用。
DICへの移行も考えられたため抗凝固
療法実施。
中止後15日目: 徐々に解熱傾向、 血小板も10万台
に回復。経口摂取も徐々に改善。
中止後19日目: 意識レベルもほぼ正常となり、呼吸状
態、腎機能改善。肝機能も、肝不全状
態から離脱。以後、肝機能は徐々に
改善するも、胆道系酵素の上昇は依
然改善せず。その後回復。
[臨床検査値] 中止後4日目: HBs抗原(−)、HBs抗体(−)、HCV抗体(−)、HA抗体(−)
(転院先) A、B、C、EB、サイトメガロ等のウイルスは全て陰性
中止後11日目:リンパ球刺激試験(−)
赤血球(×104)
白血球
血小板(×104)
PT(秒)
PT(秒)
:対照
AST(GOT)
ALT(GPT)
Al-P
LDH
γ-GTP
T-Bil
D-Bil
総蛋白
BUN
血清クレアチニン
アンモニア
投与前
398
6000
23.7
発生先
転院先
中止後4日目 中止後6日目 中止後8日目 中止後8日目 中止後12日目 中止後19日目 中止後25日目
291
268
264
235
346
−
392
17000
14900
6800
12600
16300
−
13400
11.3
10.4
19.6
3.9
7.3
−
10.1
11.9
12.3
11.9
13.3
11.3
11.2
11.2
11.3
45
45
186
117
94
245
20
16
122
53
58
109
366
502
31.2
21.4
22.3
1061
422
976
911
646
669
42
126
64
117
99
8.6
10.9
20.7
19.9
17.4
17.3
6.0
8.5
15.0
4.9
6.7
3.9
−
−
5.0
35
18
67
68.7
39.1
20.7
2.5
1.4
0.8
2.8
3.2
2.5
6.16
5.2
4.6
164
106
― 47 ―
関連情報
【海外疫学調査】
イギリスではGPRD*のデータベースを用いた、オメプラゾールとH2受容体拮抗剤による
急性肝障害の発現リスクに関する疫学調査結果1)が報告されています。本研究は、少なくと
も1度でもシメチジン、ファモチジン、オメプラゾールおよびラニチジンを処方された20∼
74歳の108,981例のコホートを対象としています。その結果、胃酸分泌抑制剤の非使用者と
比較した場合、シメチジンによる急性肝障害発現の相対リスクは5.5(95%信頼区間1.9-15.9)、
ラニチジンでは1.7(0.5-5.8)、オメプラゾールでは2.1(0.2-19.2)であり、シメチジンを除いて
危険性は高くないことが示唆されています。
*GPRD:イギリスのGeneral Practice Research Database(GPRD)の略で、英国全土の開業医約450名が協力して
おり、薬剤疫学研究に利用可能な質の高いデータが入力されている。
○引用文献
1)Garcia Rodriguez, L.A., et al. : Br. J. Clin. Pharmacol. 43 183(1997)
― 48 ―
4)中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
(い
ずれも頻度不明):中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(StevensJohnson症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められ
た場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
― 49 ―
解 説
共に国内外でオメプラゾールによる発現症例が集積されていますが、いずれも自発報告で、
具体的な発現頻度は不明です。以下にその主な症例をご紹介致します。なお、本剤による発
現機序は共に不明です。
【文献(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
投 与 量
投与期間
発 現 日
20mg/日
28日間
25日目
性・年齢
使用理由
男・78歳
胃潰瘍
臨床経過
オメプラゾール投与開始。
投 与 25 日 目 : 腹部に紅斑出現。
投 与 28 日 目 : 内科の救急外来受診。オメプラゾールを中止し、ニザチジンに変更にて帰宅。
初診時の臨床より中毒性表皮壊死症
(TEN)
と診断。
中止後4日目: 同院の消化器内科、皮膚科受診。
その原因として薬疹
(オメプラゾール)
を疑い、入院加療。プレドニゾロン60mg/日投与開始。
中止後6日目: ベタメタゾン8mg/日に変更し、紅斑、ニコルスキー現象も消失。
中止後10日目: MRSAによる敗血症併発。
中止後11日目: ベタメタゾン6mg/日に減量。
腎不全
(疑)
。
中止後12日目: 無尿、
中止後13日目: 心房細動、急性腎不全併発。
中止後17日目: ベタメタゾン2mg/日。
(持続的血液濾過透析)
施行するも血圧保てず死亡
中止後18日目: 急性腎不全にCVV-H
(死因:急性腎不全、敗血症)
。
処 置
中止
転 帰
死亡
併 用 薬
水酸化アルミニウムゲル ・ 水酸化マグネシウム
(配合剤)
、 硝酸イソソルビド
(屯用)
合 併 症
拡張型心筋症、心房細動
引用文献
宮田 聡子ほか:西日本皮膚 58(4)574(1996)
【文献(海外)による症例報告】
1
国 名
概 要
2
イギリス
引用文献
Cox, N. H., : Lancet 340 857(1992)
スペイン
引用文献
女・72歳
〈播種性表皮壊死〉
制酸剤で治癒に至らなかった消化不良の症状にオメプラゾール20mg経口投与。患者は、片麻痺、広場恐
怖症、心不全等から働くことができず、長期間心臓疾患(心不全)と抑うつのため薬物投与を受けていた。
オメプラゾール服用2週後、皮疹が腕に生じ4週後には体幹および四肢に拡がっていった。オメプラゾー
ルは初期の段階で中止しなかった。臨床検査の結果、痂皮、びらん、非出血性水疱を伴った広範囲の紅
斑と判明。下口唇に痂皮があったが、口腔内や他の粘膜にはびらんは認めなかった。天疱瘡の臨床像を
示していたが、時間的関係から薬剤性が示唆された。皮膚の生検では皮膚の単核細胞浸潤と表皮細胞壊
死を認め、多形紅斑を示唆していた。免疫学的検査により天疱瘡は否定され、薬剤によるものと考えら
れた。オメプラゾール投与中止し、プレドニゾロン経口投与により治療した。
国 名
概 要
性・年齢
性・年齢
女・91歳
〈剥脱性皮膚炎〉
高血圧(食事療法にて治療)以外に既往歴なし。前大脳動脈域の虚血発作で緊急治療室に来院。アスピリ
ンで治療し観察のため入院。 3日後、 上部消化管出血の徴候がみられ、 内視鏡でうっ血を伴う十二指腸潰
瘍が認められた。オメプラゾール40mg/日経口投与開始。反応は良く7日目には退院。2週間後、紅斑が生
殖器部位から発現し、急速に全身に広がったために緊急治療室に再入院。頭部、手のひら、足のうらを含
む層状鱗屑が発現。粘膜組織および爪の基底部は影響をうけなかった。病変は外見上明白であるが、発熱
はなかった。 X線検査は正常で、 血液検査では小細胞貧血を示しヘモグロビン9g/dL、 白血球9.9×109/L、
好酸球増多 18%であった。 この時点での投与薬剤は、オメプラゾールのみであった。剥脱性皮膚炎と診断
し、 オメプラゾール投与中止。 抗ヒスタミン剤を投与開始したところ皮膚病変は急速に改善し、 2ヵ月後
に無症状となった。
Gonzalo, F. D. E., : Ann. Pharmacother. 29 82(1995)
― 50 ―
【自発報告(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
1
性・年齢
使用理由
臨床経過
男・70代
胃潰瘍
投 与 量
投与期間
発 現 日
20mg/日
23日間
17日目
〈中毒性表皮壊死症〉
オメプラゾール、オルノプロスチル、スクラルファート投与開始。
投 与 1 7 日 目:手掌、足底に紅斑が出現し、次第に全身に広がった。
投 与 2 1 日 目:紅斑は癒合傾向を示した。側胸部よりの皮膚生検で、中毒性表皮壊死と考えた。
発疹に対してメチルプレドニゾロン
(1g/日)のパルス療法
(投与21日目∼23日目)
を行った。
肛門部の粘膜はびらん面を呈した。手掌、足底、
投 与 2 3 日 目:顔面にも紅斑は広がり、口腔粘膜、
体幹にも水疱が多発し、容易に破れた
(ニコルスキー現象陽性)
。オメプラゾール、
オルノプロスチル、乳酸カルシウム、アルファカルシドール投与を中止した。
(60mg/日)の内服投与開始。
中止後2日目:プレドニゾロン
中止後5日目:メチルプレドニゾロンのパルス療法を行うことにより、皮膚の痛みは若干改善、
紅斑、水疱部は痂皮を形成した。
中止後12日目:手掌、足底の水疱はなくなり、発赤もほぼ消失、色素沈着を軽度残した。
〈皮膚生検について〉
表皮下の水疱形成と表皮の壊死がみられる。水疱内には赤血球とリンパ球細胞がみられる。基底細胞
の浮腫状変化がある。真皮上層の血管周囲性と表皮真皮境界部にリンパ球様細胞の浸潤がみられた。
1) 表皮真皮境界部の剥離
2) 表皮の壊死性変化
3) 真皮血管周囲性の軽度の細胞浸潤
上記3項目のいずれもがみられるためTEN型薬疹と診断した。
処 置
中止
転 帰
軽快
併 用 薬
オルノプロスチル、メチルジゴキシン、プレドニゾロン、トリアゾラム、アムホテリシンB、
アルファカルシドール、乳酸カルシウム、スクラルファート
合 併 症
多発性結節性動脈炎、心房細動、骨粗鬆症、口腔内真菌症
関連情報
【厚生省医薬品等安全性情報】
医薬品等安全性情報 No.149, 1998 Aug:「プロトンポンプ阻害薬による中毒性表皮壊死症
と皮膚粘膜眼症候群」
― 51 ―
― 52 ―
5)視力障害
(頻度不明):視力障害があらわれることがあるので、異常が認められた場
合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
― 53 ―
解 説
錠剤の承認時および使用成績調査において発現した視力障害は、霧視(かすみ目)が0.01%
(1/15,180例)認められています。以下に主な症例をご紹介致します。なお、本剤による視力
障害の発現機序は不明です。
【文献(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
1
性・年齢
概 要
引用文献
女・77歳
〈視力障害〉
以前より腰痛時に非ステロイド性消炎鎮痛剤(25mg)を2∼3個/日使用していた。 平成10年6月25日黒色便
を認め翌日当科受診。緊急上部消化管内視鏡検査を施行したところ十二指腸球部前後壁に各々A1 stage
の出血性潰瘍を認めた。止血目的にて高張食塩水−エピネフリン
(HSE)
局注療法施行後、入院の上、絶食
にてIVH管理下に、6月26日より経口にてオメプラゾール
(20mg)投与を開始した。7月7日より両眼の視力
障害を訴え以後急激に増悪、12日には両眼手動弁となった。眼科的に異常を認めず、薬剤による視力障害
を疑い、14日
(投与17日目)
オメプラゾールを中止した。以後視力は急速に改善し、22日には両眼とも視力
は回復した。
福知 工ほか:第157回 日本内科学会近畿地方会(1998. 12. 12)
【文献(海外)による症例報告】
1
国 名
概 要
引用文献
ドイツ
性・年齢
男・48歳
〈視力障害〉
消化性潰瘍の治療のため、オメプラゾールを1日20mgずつ6週間経口投与し、 5ヵ月後再投与したところ、
7日目左眼に痛みと視力障害が生じ、一過性の視野欠損がみられた。対症療法を行ったが、視力障害は持
続した。
Scho‹ nho‹ fer, PS., : Lancet. 343(8909)1369(1994)
関連情報
【海外疫学調査】
イギリスにおいて、GPRDデータベースを用い、経口抗潰瘍剤使用に伴う急性視力障害の
発現リスクに関する調査結果1)が報告されています。この研究は、ラニチジン、シメチジン、
ファモチジン、オメプラゾールおよびニザチジンが少なくとも1度処方された20∼74歳の約
140,000例を対象としコホート研究を行っています。その結果、抗潰瘍剤の非投与群と比較
した場合、オメプラゾール使用中における視力障害発症の相対リスクは1.8( 95%信頼区間
0.5-6.0)、ラニチジン2.1(1.1-4.1)、シメチジン1.9(0.9-4.1)でした。この結果から、オメプラ
ゾール投与による視力障害のリスクの増加は示唆されず、他の薬剤においても投与群と非投
与群間で視力障害発症のリスクは同等であることが示されています。
○引用文献
1)Garcia Rodriguez, L.A., et al. : Br. J. Clin. Pharmacol. 42 213(1996)
― 54 ―
6)間質性腎炎、急性腎不全
(いずれも頻度不明):間質性腎炎、急性腎不全があらわれ
ることがあるので、腎機能検査値(BUN、クレアチニン等)に注意し、異常が認めら
れた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
― 55 ―
解 説
国内外でオメプラゾールによる間質性腎炎・急性腎不全の発現症例が集積されています
が、いずれも自発報告で、具体的な発現頻度は不明です。以下に主な症例をご紹介します。
なお、本剤による発現機序はアレルギー反応によるものと考えられています。
・間質性腎炎
【文献(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
1
性・年齢
概 要
引用文献
女・70歳
〈間質性腎炎〉
平成8年3月、発熱、嘔気、全身倦怠感出現し、当科入院となった。この際Cr 2.8mg/dLと腎機能異常を認め、
高血圧が認められたため、腎生検が施行され、間質性腎炎の所見が観察された。腎機能は順調に回復し、
外来で経過観察されていた。平成10年1月、嘔気、食欲不振、全身倦怠感にて外来受診。この際Cr
6.1mg/dLと腎機能の急激な悪化がみられ、肝障害も認められた。腎生検の結果は前回と同様の所見で
あった。詳しい問診の結果、 2回の入院の前に近医で逆流性食道炎と診断されオメプラゾールが投与され
ていることがわかり、同薬剤による間質性腎炎と診断した。
中込 隆之ほか:日本腎臓学会誌 40(6)430;第28回日本腎臓学会西部学術大会(1998.10.2,3)
【文献(海外)による症例報告】
1
国 名
概 要
2
女・74歳
Ruffenach, S.J., et al. : Am. J. Med. 93(4)472(1992)
国 名
デンマーク
性・年齢
女・86歳
〈間質性腎炎〉
患者は10年来の食道炎を有し、症状が進行したため、オメプラゾール40mg/日経口投与開始。 2ヵ月後、
患者は腎不全により入院、腎生検で急性間質性腎炎と診断された。患者は入院の2週間前に肺炎を疑われ、
エリスロマイシンで治療されていた。オメプラゾールおよびエリスロマイシンを中止し、利尿剤で治療
したところ腎機能は正常化。エリスロマイシンが腎不全の原因と疑われた。 3年後、シメチジン治療中に
食道狭窄が発現したため、オメプラゾール投与。 1週間以内に、高熱、発疹、好中球増加および腎機能低
下が発現した。オメプラゾールは9日後に中止されたが、腎不全が進行して無尿となり、 1週間の血液透
析を要した。腎機能障害は持続し、3ヵ月後に血清クレアチニンは810μmol/Lから396μmol/Lに低下した。
患者はサルコイドーシスの病歴があり、他剤に対して皮疹の既往歴があった。
引用文献
Christensen, P.B., et al. : Lancet. 341(8836)55(1993)
国 名
アメリカ
概 要
4
性・年齢
引用文献
概 要
3
アメリカ
〈間質性腎炎〉
食道潰瘍のため、オメプラゾール20mg/日経口投与開始。投与前、BUN 19mg/dL、Cr 1.2mg/dL。その後、
オメプラゾール40mg/日に増量。 その後、 症状が消失したため、 20mg/日に減量。 全身倦怠感、 疲労感、
食欲不振が発現し入院。 BUN 84mg/dL、 Cr 7.2mg/dL。 急性間質性腎炎と診断され、 全ての薬剤を投与中
止。症状は改善し、6日後退院。退院5週間後、BUN 16mg/dL、Cr 1.5mg/dLとなった。逆流性食道炎のた
め、オメプラゾール20mg/日を再投与。2日後に全身倦怠感、疲労感、食欲不振が再び発現した。BUN 17mg/dL、
Cr 2.2mg/dL。オメプラゾール投与中止。中止1週間後、BUN 15mg/dL、Cr 1.6mg/dL。
性・年齢
引用文献
Kuiper, J.J. : Am. J. Med. 95(2)248(1993)
国 名
アメリカ
概 要
引用文献
女・58歳
〈間質性腎炎〉
患者は14年間、アテノロール、リシノプリル、ヒドロクロロチアジド、トリアムテレンを服用していた。
Crのベースが1.5mg/dLのため細動脈性腎硬化症が示唆されていた。食道炎のため、オメプラゾール
20mg/日経口投与開始。10週後、全身掻痒感が発現し、Cr1.9mg/dLに上昇。さらに10日後Cr2.5mg/dLに
上昇。 WBC 12,400/mm3、好酸球:10%。体幹上部および腕に紅斑性発疹を認める。オメプラゾールとヒ
ドロクロロチアジド、トリアムテレンの投与を中止後、掻痒性発疹は速やかに消失。中止6日後、
Cr2.3mg/dLに低下。 3週間以内に1.5mg/dLまで低下した。
性・年齢
男・75歳
〈間質性腎炎〉
食道潰瘍のため、 オメプラゾールとメトクロプラミド経口投与開始。 2∼3週間後、貧血および窒素血症が
発現
(Cr 265μmol/L)
。入院後、BUN 20.7mmol/L、Cr 424μmol/Lまで上昇。腎生検により、急性尿細管
間質性腎炎と診断。オメプラゾールとメトクロプラミド投与中止し、メチルプレドニゾロンを静脈注射し、
腎機能は改善
(Cr 168μmol/L)
。 2年後、 食道炎のためオメプラゾールを再投与。 2週間後に呼吸困難、 喘
鳴、尿量減少などが発現し緊急入院
(BUN 35.3mmol/L、Cr 1193μmol/L)
。オメプラゾールの投与を中止
し、ステロイド剤を静注し血液透析を3回行い、症状は改善した。
Assouad, M., et al. : Lancet. 344(8921)549(1994)
― 56 ―
5
国 名
概 要
引用文献
6
国 名
概 要
7
オーストラリア
性・年齢
女・76歳
〈間質性腎炎〉
1ヵ月間の食欲不振と嗜眠のため来院。オメプラゾール20mg/日を3ヵ月前より服用、その後40mg/日に
増量。臨検値は、Cr 0.44mmol/L、尿素 23.1mmol/L、白血球数11600/μL、好酸球増多は認められなかった。
腎生検により、多数のリンパ球、形質細胞、好中球を伴う急性間質性腎炎と診断。オメプラゾール投与
中止し、プレドニゾロン40mg/日を投与。3週間後、Crは0.17mmol/Lまで低下。
Jones, B., et al. : Lancet. 344(8928)1017(1994)
イギリス
性・年齢
男・65歳
〈間質性腎炎〉
消化性潰瘍のため数年前からラニチジン300mg/日を服用していたが、 重症のびらん性食道炎のためオメ
プラゾール20mg/日に変更。フェニトイン300mgが3年間投与されていた。4ヵ月後、寝汗、悪寒、食欲不
振、体重減少が発現し入院。急性腎不全と診断
(Cr 301μmol/L、BUN 11.5mmol/L)
。IgG p-ANCA陽性。
腎生検では多形核球、好酸球、形質細胞、リンパ球、マクロファージの間質への浸潤が認められた。オメ
プラゾールとフェニトイン投与中止し、 ラニチジン300mg/日とバルプロ酸ナトリウム600mg/日に変更。
Crが428μmol/Lまで上昇したため、 プレドニゾロン40mg/日投与。 4週間後、 腎機能は改善した(Cr
114μmol/L、BUN 11.1mmol/L)
。
引用文献
Singer, S., et al. : Clin. Nephrol. 42(4)280(1994)
国 名
オーストラリア
概 要
引用文献
性・年齢
女・77歳
〈間質性腎炎〉
食道狭窄のため数年間シメチジンが投与されていた。 症状再発のため、 オメプラゾール経口投与開始
(投
与開始時Cr 83μmol/L)
。投与開始6ヵ月後、嘔気、体重減少、倦怠感、発熱が発現し、6週間持続。検査に
より腎機能障害が認められた
(Cr 458μmol/L、BUN 24.4mmol/L)。腎生検により、尿細管萎縮、間質壊死
を伴う急性間質性腎炎と診断。オメプラゾール投与中止し、プレドニゾロン投与。9日後、Cr 120μmol/L、
BUN 10.7mmol/Lまで改善。
Lewis, CR., et al. : Aust. NZ J Med. 24(5)578(1994)
― 57 ―
・急性腎不全
【自発報告(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
性別
・
年齢
使用理由
合併症
投与量
投与期間
女 逆流性食道炎 びらん性胃炎 20mg/日
・
19日間
70代
(既往歴)
なし
BUN
血清クレアチニン
発現日
117.8
9.9
副作用の経過および処置
投与開始日:逆流性食道炎の診断の下、近医よりオメプ
ラゾール錠20mg処方。その後、吐気、全身
倦怠感等も出現し、
再度近医受診。
投与15日目:テプレノン、ドンペリドン追加投与。 その
後も全身倦怠感継続し、尿量の減少も自覚。
顔面の浮腫等も出現。
投与19日目:近医より、
他院へ紹介。他院での採血で、
高
度の腎障害とアシドーシス、および血小板
減少、白血球減少を示していた。 当院紹介
受診。その時点で嘔気、 全身倦怠感等の尿
毒症症状あり。内服薬全て中止。
発 現 2 日 後:血液透析を開始。
発 現 5 日 後:白血球減少症は回復。
発 現 6 日 後:血小板減少症は回復。
発現12日後:BUN 47.7、クレアチニン 4.2
(血液透析前)
。
発現13日後:血液透析を重ねる毎に、全身倦怠感や嘔気
等の尿毒症症状は消失。
発現17日後:クレアチニン 3台となり、血液透析3回/週か
ら2回/週へ。自尿少しずつ出てきた
(500mL/
日程度)
。
発現24日後:クレアチニン 1.7となり、
血液透析離脱。こ
の頃より自尿1000mL/日位へ(点滴1日1L
開始)
。
発現31日後:クレアチニン 1.3。点滴も終了し、尿毒症症
状の出現なく、
自尿約1L/日で安定してきた。
急性腎機能低下は回復。
発現35日後:退院。
転帰
備 考
回復 [併用薬]
テプレノン、
ドンペリドン
発現1日後 発現5日後 発現9日後 発現12日後 発現14日後 発現24日後 発現31日後
128.0
57.6
45.2
47.7
40.4
24.0
14.3
10.0
7.9
5.3
4.2
3.4
1.7
1.3
関連情報
【海外疫学調査】
イギリスのGPRDのデータベースを用い、胃酸分泌抑制剤(オメプラゾール、シメチジン、
ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン)使用に伴う特発性急性腎不全またはネフローゼ症
候群の危険性の評価が行われました1)。調査では、18万人に及ぶコホートを追跡調査してお
り、この中から5例(2例が急性腎不全、3例がネフローゼ症候群)の腎障害が検出されました。
5例中3例は胃酸分泌抑制剤非投与時に発現し、2例はラニチジン使用中に発現しております。
また、オメプラゾール、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン投与中に発現した症例は
ありませんでした。この調査による一般的母集団における特発性腎疾患の罹患率は1例/
100,000人・年であり、胃酸分泌抑制剤使用による相対リスクは1.8(95%信頼区間0.3-10.7)で
した。この結果から、胃酸分泌抑制剤の使用による急性腎障害またはネフローゼ症候群の危
険性の増加は示されませんでした。
○引用文献
1)Garcia Rodriguez, L.A., et al. : Pharmacoepidemiol. Drug Saf. 6 247(1997)
― 58 ―
7)低ナトリウム血症
(頻度不明):低ナトリウム血症があらわれることがあるので、異
常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
― 59 ―
解 説
錠剤の承認時および使用成績調査において、血中ナトリウム低下が0.01%(1/15,180例)認
められています。以下に主な症例をご紹介します。なお、本剤による発現機序は不明ですが、
報告された症例の中にはSIADH(注)を疑わせるものも含まれています。
[用語解説]
(注)SIADH:血清ナトリウム濃度は、抗利尿ホルモン(ADH)により調節されているが、血清ナトリウム濃度が低
値にも関わらず、生理的な濃度を超えて不適切にADHが分泌され、希釈尿の生成が困難になって低ナトリウ
ム血症が続く状態を抗利尿ホルモン不適合分泌症候群
(SIADH)と呼ぶ1)。
○引用文献
1)日本病院薬剤師会編:重大な副作用回避のための服薬指導情報集1, 91, 薬業時報社
(1997)
【文献(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
1
国 名
日本
性・年齢
男・68歳
〈低ナトリウム血症〉
国内自発報告症例
(下表)
引用文献
Shiba, S., et al. : Dig. Dis. Sci. 41(8)1615(1996)
【自発報告(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
性別
・
年齢
使用理由
(合併症)
1日投与量
投与期間
(発現日)
男
・
60代
胃潰瘍
(貧血)
(消化管出血)
(高血圧症)
20mg
8日間
(4日目)
血清Na
血清K
血清Cl
入院時
135
4.8
99
副作用の経過および処置
転帰
貧血による失神のため来院。心窩部痛、黒色便がみられ
ていた。入院時の内視鏡で出血性胃潰瘍と診断し、エタ
ノール局注で止血。輸液、オメプラゾール、輸血開始。
入院3日目より流動食開始
(含NaCl 5g)
した。オメプラゾー
ル経口投与開始4日目に低ナトリウム血症発現。意識障
害および両上肢の振戦がみられた。生理食塩水2000mL/
日開始。
8日目にオメプラゾール投与中止。Na:130まで改善した。
その後、生理食塩水中止し、食事のみで経過観察した結
果、Na:138と正常化した。
回復
投与4日目
111
5.2
75
投与5日目
115
4.3
80
投与中止時 中止後2日目 中止後10日目
138
130
130
5.1
4.2
3.2
100
95
92
併用薬:維持液、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、トラネキサム酸、塩酸ベニジピン
― 60 ―
【文献(海外)による症例報告】
1
国 名
概 要
引用文献
2
国 名
概 要
引用文献
3
国 名
フランス
性・年齢
男・70歳
〈低ナトリウム血症〉
食道炎、 胃潰瘍、 十二指腸潰瘍による貧血で入院。 アルコール性末梢神経症あり。 入院9日目にオメプラ
ゾール1日40mgを経口投与開始したところ、入院12日目
(投与4日目)
に軽度の昏睡、低ナトリウム血症
(Na:
118mmol/L)が発現した。 生理食塩水を投与し、 その後完全に水分を制限した。 入院15日目にオメプラ
ゾール投与中止。ジメチルクロロテトラサイクリンが投与され、徐々にナトリウム値は回復。
投与前 入院12日目 入院13日目 入院15日目 入院17日目 入院18日目 入院19日目
118
115
115
129
132
136
135
血清Na
Kaloustian, E., et al. : La Presse Med. 21(19)907(1992)
フランス
性・年齢
女・84歳
〈低ナトリウム血症〉
心肥大、僧帽弁 ・ 大動脈弁症および心房細動を伴う不整脈のため定期的に検診を受けていた。上腹部痛
のため胃内視鏡検査を実施し、胃潰瘍と診断、オメプラゾール1日20mg経口投与開始。血中ナトリウム:
136mmol/L、血中カリウム: 4.3mmol/Lと正常であった。投与11日後、無力症が認められたが、血行動態
は安定しており、末梢浮腫も発熱もみられなかった。血中ナトリウムは106∼108mmol/L、血中カリウム
は2.6mmol/Lと低下。尿のNa/K比は維持されていた(54/41mmol)。薬剤に起因する抗利尿ホルモン分泌
異常に続発した低ナトリウム血症の恐れがあったため、オメプラゾールの投与を中止。中止8日後、血中
ナトリウムは130mmol/Lまで上昇。その後、電解質異常の再発はなかった。
Gonthier, R., et al. : La Presse Med. 22 176(1993)
イギリス
性・年齢
男・5歳
〈電解質障害〉
Klippel-Feil症候群、小顎症の患者。小顎症の術後1週目に上腹部痛、吐血および下血が発現し、胃食道逆
流症と診断され、ガビスコン、ドンペリドンおよびシメチジンを投与したが、症状は不変。内視鏡検査
の結果、重度の潰瘍性食道炎と診断され、オメプラゾール2mg/kg/日を静注開始し、 1mg/kg/日に減量。
投与中に低ナトリウム血症、低カリウム血症が発現した。ナトリウム摂取量を4mmol/kg/日に倍増した
にも関わらず、ナトリウム値はさらに低下した。
中止後
投与47日目
投与10日目
正常
122
129
血清Na
正常
2.2
3.5
血清K
投与中止後、24時間にわたるナトリウム6.3mmol/kg、カリウム1.5mmol/kgの補足により、正常となり、そ
の後再発しなかった。
4
引用文献
Melville, C., et al. : Eur. J. Pediatr. 153 49(1994)
国 名
イスラエル
性・年齢
女・66歳
〈低ナトリウム血症〉
高血圧症の66歳の女性に逆流性食道炎の治療のため、オメプラゾールを1日40mg
(投与経路不明)
投与した
ところ、5ヵ月目に錯乱、
疲労が発現した。血清ナトリウム値は124mmol/L、浸透圧は232mOsm/kgを示し
た。SIADH
(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)
と診断され、オメプラゾールの投与中止により、改善。そ
の後再投与したが、再び、悪心、疲労が発現した。血清ナトリウム値は122mmol/L、浸透圧は220mOsm/kgと
なった。本剤投与中止および水分制限により回復。
引用文献
Durst, R.Y., et al. : Am. J. Med. 97(4)400(1994)
― 61 ―
― 62 ―
8)間質性肺炎
(頻度不明):間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼
吸困難、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には投与を中止し、速やかに胸部
X線等の検査を実施し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
― 63 ―
解 説
国内外でオメプラゾールによる発現症例が集積されていますが、いずれも自発報告で、具
体的な発現頻度は不明です。以下に主な症例をご紹介します。なお、本剤による発現機序は
アレルギー反応が考えられます。
【自発報告(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
性別
・
年齢
使用理由
(合併症)
1日投与量
投与期間
(発現日)
女
・
70代
胃潰瘍
(不明)
20mg
42日間
(24日目)
副作用の経過および処置
転帰
〈間質性肺炎〉
路上で吐血し、意識不明の状態で、救急車で近医に搬送
され、即日入院。胃透視施行、胃潰瘍の診断でオメプラ
ゾール、エカベトナトリウム、マレイン酸イルソグラジ
ンを投与開始。
オメプラゾール投与開始13日目胸部X線上、異常陰影なし。
本剤投与開始24日目に乾性咳嗽発現。肺炎の疑いでセフ
チゾキシムナトリウム、硫酸アミカシン等を投与開始。
その後、労作時の呼吸困難が出現し、症状軽快せず。食
思不振出現。胸部X線上でびまん性陰影が認められた。
約1ヵ月半後に当院入院。オメプラゾール投与中止。初
診時、動脈血液ガス所見上、pH 7.496、PaCO2 33.2、PaO2
47.9、HCO3 25.6と著明な低酸素血症を認め、Ⅰ型急性呼吸
不全の状態であった。胸部X線上、一部に実質性陰影を
含む両肺のびまん性間質性陰影を認めたため、酸素投与、
アミノフィリン、クリンダマイシン、ファモチジン投与
開始。
入院3日目には、少し食欲が回復し、咳がやや減少した。
気管支鏡検査施行し、気管支肺胞洗浄液(BALF)中のリ
ンパ球の増殖を認めた。
10日目に徐々に症状軽快し、呼吸困難の訴えは軽快した
が、食思不振はまだ残存していた。呼吸機能検査にて、
拘束性障害あり。胸部X線上、明らかな陰影の改善あり。
15日目にCRP陰性化し、肺機能検査上、%VC(肺活量)
81.2%、%FEV 1.0(努力性肺活量)74.8%と改善したが、
%DLCO(肺拡散能)
37.3%と低下を認めた。
軽快
正常値
体温(℃)
白血球
好中球
好酸球
好塩基球
リンパ球
単球
血沈
LDH
CRP
―
4500-9000
50-80
2-3
0-1
20-50
2-8
<15
200-450
<0.3
投与前
投与
6日目
投与
20日目
7000
6500
4300
353
0.5
493
0.5
485
0.4
入院時
入院
6日目
入院
15日目
入院
22日目
36.9
5400
71
0
0
25
4
51
836
5.1
36.6
4900
68
2
0
27
3
42
548
2.3
36.3
5600
61
4
1
20
13
48
36.6
6100
60
0
0
37
3
27
420
<0.3
<0.3
:間質性肺炎と診断
経気管支肺生検(TBLB)
Gaシンチ(入院10日目) :両肺にびまん性の異常集積あり
DLST検査(入院17日目):オメプラゾール(陽性)
併用薬:マレイン酸イルソグラジン、エカベトナトリウム、アズレンスルホン酸ナトリウム・L−グルタミン、
テプレノン、アルプラゾラム、漢方製剤(小柴胡湯)、セフチゾキシムナトリウム、硫酸アミカシン、
硫酸ストレプトマイシン
― 64 ―
9)横紋筋融解症
(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグ
ロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場
合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
― 65 ―
解 説
国内外でオメプラゾールによる発現症例が集積されていますが、いずれも自発報告で、具
体的な発現頻度は不明です。以下に主な症例をご紹介します。
【自発報告(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
[症例1]
性別
・
年齢
使用理由
(合併症)
1日投与量
投与期間
(発現日)
男
・
20代
十二指腸
潰瘍穿孔
20mg
3日間
(3日目)
AST(GOT)
ALT(GPT)
LDH
BUN
Cr
CK(CPK)
CK-MB
ミオグロビン
アルドラーゼ
副作用の経過および処置
転帰
〈横紋筋融解症〉
投 与 9 日 前:上腹部痛出現し来院。 保存的に治療していたが
改善せず。
投 与 8 日 前:腹部単純X線、エコー、内視鏡等にて、 穿孔を
認めたため、フロモキセフナトリウム、ファモ
チジン、組織呼吸賦活剤(幼牛血液抽出物)、塩
酸ピレンゼピンを投与。
投 与 4 日 前:フロモキセフナトリウムの投与中止。
投 与 1 日 前:ファモチジン、組織呼吸賦活剤
(幼牛血液抽出物)
、
塩酸ピレンゼピンの投与中止。
投与開始日:内視鏡にて潰瘍はA2 stageと改善していたため、
オメプラゾール内服を開始。
投 与 3 日 目:左大腿部内側の疼痛・腫大、右大腿部内側の違
和感・腫大出現。 CK
(CPK)
を測定し、 8286と異
常高値を示したため、横紋筋融解症を疑われオ
メプラゾール中止し、経過観察。
中止後1日目:大腿部は周囲測定にても薬剤中止により次第に
減少している。
中止後11日目:症状も日々改善し、 左大腿部内側の違和感のみ
であった。
中止後22日目:違和感もなく、 十二指腸潰瘍も発赤のみであっ
たため退院。
中止後24日目:オメプラゾール、フロモキセフナトリウム、ファ
モチジン、組織呼吸賦活剤(幼牛血液抽出物)、
塩酸ピレンゼピンについてDLST実施したが、全
薬剤陰性。
回復
投与前
2日前
25
32
337
12.3
0.9
118
12
投与中
2日目
74
71
752
13.3
1.0
755
69
1日目
147
85
727
15.0
0.9
6830
85
3日目
107
78
688
12.2
0.9
4352
47
5以下
34.7
投与中止後
11日目
12日目
26
51
553
15.0
1.1
274
29
2.8
併用薬:フロモキセフナトリウム、ファモチジン、幼牛血液抽出物、塩酸ピレンゼピン
― 66 ―
15日目
104
[症例2]
性別
・
年齢
使用理由
(合併症)
1日投与量
投与期間
(発現日)
男
・
30代
十二指腸
潰瘍
20mg
8日間
(4日目)
AST(GOT)
ALT(GPT)
Al-P
LDH
γ-GTP
BUN
Cr
CK(CPK)
ミオグロビン
副作用の経過および処置
転帰
〈横紋筋融解症〉
投 与 3 日 前:十二指腸潰瘍による通過障害のため入院。 絶食
とファモチジン2アンプル/日を投与。
投与開始日:ファイバー透視の結果、 狭窄部軽減と診断し、
オメプラゾール投与開始。
投 与 4 日 目:両大腿部痛発現。
投 与 6 日 目:両大腿部痛悪化。臨床検査にて肝機能異常なし。
投 与 8 日 目: CK(CPK)20360、AST(GOT)309、ALT(GPT)
86、 LDH 1265。 オメプラゾール中止し、 輸液、
利尿を図る。以後、尿量は確保でき、 CK(CPK)
は低下。
中止後3日目:ミオグロビン 816.7、 CK
(CPK)
14214。大腿部痛
軽減。肝機能異常は継続。
中止後14日目:ミオグロビン 26.9、CK
(CPK)
132.5、AST
(GOT)
36、ALT(GPT)
125。大腿部痛消失。肝機能異常
は軽度回復中。
中止後24日目: CK
(CPK)
40.0、AST
(GOT)
29、ALT
(GPT)
49。
回復
投与前
3日前
14
8
154
290
9.3
15.9
0.7
927
投与中
6日目
8日目
309
20
86
10
138
204
1265
346
7.1
13.0
10.5
0.6
0.7
20360
1日目
783
197
187
2980
10.5
0.7
46700
併用薬:なし
― 67 ―
投与中止後
14日目
10日目
36
115
125
264
178
1204
37.0
6.5
0.7
132.5
818.8
14214
26.9
816.7
3日目
24日目
29
49
186
384
41.0
12.3
0.7
40.0
― 68 ―
10)錯乱状態
(頻度不明):せん妄、異常行動、失見当識、幻覚、不安、焦躁、攻撃性
等があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切
な処置を行うこと。
― 69 ―
解 説
国内外でオメプラゾールによる錯乱状態の発現症例が集積されていますが、いずれも自発
報告で、具体的な発現頻度は不明です。以下に主な症例をご紹介します。
【自発報告(国内)オメプラゾール錠による症例報告】
性別
・ 使用理由
年齢
女
・
70代
胃潰瘍
合併症
投与量
投与期間
高血圧症
20mg/日
5日間
(既往歴)
甲状腺腫瘍手術
副作用の経過および処置
転帰
備 考
投与開始日:心窩部痛出現のため受診。 胃カメラ 軽快 [併用薬]
レバミピド、ボグ
で胃潰瘍を認め、オメプラゾール、レ
リボース、ファモ
バミピドを処方。
チジン、エチゾラ
投 与 3 日 目:患者から当院の薬を飲みはじめて、
ム、塩酸ベニジピ
調子が悪いと電話あり。
ン、ヒドロクロロ
発 現 3 日 後:家族とともに外来受診。 患者の訴え
チアジド
の内容がはっきりせず、入院の上、経
過観察。
オメプラゾール中止。
夕方の回診時、自分のことを癌だと
何度も発言。 19:00頃から「皆私のこ
とを殺そうとしている。」と発言、 独
言あり。その後、病院内を徘徊し、一
時、 ハサミを持って看護師を追いか
ける。
(精神科病
発 現 4 日 後:夜間、不眠で過ごし、他院
院)
を受診。同日入院。
発 現 8 日 後:入院後数日で落ち着き、目が覚めた
ように頭がすっきりしたとのこと。
― 70 ―
(2) その他の副作用
○胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、ZollingerEllison症候群の場合
0.1∼5%未満
過 敏
症注)
0.1%未満
発疹、蕁麻疹、そう痒感
頻度不明
多形紅斑、光線過敏症
消 化 器 下痢・軟便
便秘、悪心、嘔吐、鼓腸放 舌炎
屁、腹部膨満感、カンジダ
症、口渇、腹痛、口内炎
、
肝 臓 AST(GOT)
ALT(GPT)
、Al-P、
γ-GTP の上昇
LDH上昇
血 液 白血球減少
血小板減少、貧血
精神神経系
頭痛、眠気、しびれ感
めまい、振戦、傾眠、不
眠(症)、異常感覚、うつ
状態
そ の 他
霧視、発熱、浮腫、女性化
乳房、脱毛、倦怠感、関節
痛及び BUN、クレアチニ
ン、尿酸、トリグリセライ
ド、血清カリウム、総コレ
ステロールの上昇
頻尿、味覚異常、動悸、
月経異常、筋肉痛、発汗
注)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
― 71 ―
解 説
本剤の承認時および再審査終了時の集計による副作用発現状況(P29、
30参照)等に基づき、
頻度を記載しています。
― 72 ―
○胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助の場合
5%以上
1∼5%未満
1%未満
過 敏 症注1)
発疹
消 化 器 下痢・軟便(34.1%)
、
味覚異常
(13.1%)
口内炎、腹痛、食道炎、 口渇、十二指腸炎
悪心、舌炎、腹部膨満
感、便秘
肝 臓注2)
肝機能異常、
AST(GOT)上昇
血 液注2)
ALT
(GPT)
上昇、Al-P上昇、
ビリルビン上昇、LDH上昇
好酸球増多、血小板減少、
貧血、白血球増多、白血球
分画異常
精神神経系
頭痛
しびれ感、めまい、
睡眠障害
そ の 他
尿蛋白陽性
尿酸上昇、総コレステロー
ル上昇、QT延長、発熱、
倦怠感、カンジダ症、尿糖
陽性、動悸、霧視
注1)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
注2)観察を十分行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
― 73 ―
解 説
国内第Ⅲ相臨床試験および国内第Ⅳ相市販後臨床試験の副作用発現状況(P34参照)等に基
づき、副作用発現頻度を記載しています。最も多くみられた副作用として、下痢(軟便を含
む)が34.1%、味覚異常(苦味、酸味を含む)が13.1%の頻度で認められています。これらの副
作用の発現状況および対処方法を以下に示します。
①下痢・軟便
国内第Ⅲ相臨床試験および国内第Ⅳ相市販後臨床試験において、下痢
(軟便を含む)
が513
例中175例
(34.1%)
に認められています。
〈対処方法〉
ヘリコバクター・ピロリ除菌療法中に発現する下痢は、アモキシシリンおよびクラリ
スロマイシンの抗生物質による腸内細菌叢のバランスの変化、あるいは腸管刺激作用が
原因と考えられています。国内第Ⅲ相臨床試験および国内第Ⅳ相市販後臨床試験で発現
した下痢・軟便はほとんどの症例が軽度であり、除菌療法終了後に全ての症例で消失し
ています。
患者さんから下痢の訴えがあった場合には、症状に応じて次のように対応してください。
1)軟便または軽度の下痢の場合
除菌療法終了後には症状は消失すること、またヘリコバクター・ピロリを確実に
除菌するためには、薬を最後まで継続して服用することが望ましいことを患者さん
にご説明いただいたうえで、症状の変化に注意しながら、投与を継続してください。
2)服用を続けることにより下痢が悪化した場合
症状の程度を確認いただき、主治医の判断により投与を中止し、適切に処置して
ください。
3)発熱、腹痛を伴う下痢、あるいは下痢に粘液や血液が混ざっている場合
重篤な大腸炎を発症したことによる症状である可能性があります。
したがって、重篤な大腸炎の発症が疑われる場合には、直ちに投与を中止し、適
切に処置してください。一般的に、整腸剤、止痢剤、止血薬の投与とともに、脱水
傾向がある場合は補液投与等の処置が行われています。
②味覚異常
国内第Ⅲ相臨床試験および国内第Ⅳ相市販後臨床試験において、味覚異常(苦味、酸味
を含む)が513例中67例(13.1%)に認められています。ほとんどの症例が軽度であり、除菌
療法の中断の必要な症例はなく、除菌療法終了後に全ての症例でこれらの症状は消失して
います。
〈対処方法〉
患者さんから味覚異常の訴えがあった場合は、除菌療法終了後には症状は消失するこ
と、またヘリコバクター・ピロリを確実に除菌するためには、薬を最後まで継続して服
用することが望ましいことを患者さんにご説明いただいたうえで、症状の変化に注意し
ながら、投与を継続してください。
― 74 ―
5. 高齢者への投与
本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能、その他生理機能が低下し
ていることが多いので、低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること。
― 75 ―
解 説
高齢者では一般に生理機能が低下していることが多く、薬剤の投与にあたっては十分な注
意が必要です。オメプラゾールは、肝代謝性の薬剤であり、高齢健康成人に投与した場合、
本剤のクリアランスが低下し、消失半減期が延長したとの報告があります。その内容を以下
に示します。
[海外データ]
高齢健康成人14例(75歳∼79歳)に、オメプラゾール40mgを経口投与または20mgを静脈
内投与した試験で、血中オメプラゾール静注時の消失半減期および全身クリアランス
は約1時間および約250mL/minであり、健康若年者の消失半減期0.7時間および全身クリ
アランス590mL/minと比較して、高齢者では消失半減期が1.4倍に延長し、全身クリア
ランスは約40%に低下していた。また、経口投与時のバイオアベイラビリティは若年
者が56%であるのに対し、高齢者は76%であり、高齢者では薬物の初回通過効果によ
る消失が減少することを示している。これは、高齢者においては、オメプラゾールの
体循環に到達する以前および到達後の消失が遅延することを示している。
○引用文献
Landahl, S., et al. : Clin. Pharmacokinet. 23(6)469(1992)
― 76 ―
6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1)妊婦等:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性
を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔動物実験(ウサギ経口
138mg/kg)
で胎児毒性(死亡吸収胚率の増加)が報告されている。
〕
(2)授乳婦:授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する
場合は、授乳を避けさせること。〔動物実験(ラット経口5mg/kg)で、母
乳中へ移行することが報告されている。〕
― 77 ―
解 説
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、ZollingerEllison症候群の場合
(1)オメプラゾール経口投与によるラットの器官形成期投与試験では、催奇形性作用は認め
られていません1)が、妊娠ラットに経口投与した試験で、オメプラゾールは胎盤および
胎児組織に移行することが認められています2)。また、ウサギでは、催奇形性はみられ
ませんでしたが、138mg/kg投与群で死亡吸収胚率の増加(母動物の摂餌量減少に伴う
変化と考えられる)
が認められました。
(2)オメプラゾール経口投与時によるラット授乳期投与試験において、オメプラゾールの影
響は認められませんでした1)が、ラットの体内動態を検討した試験で本剤が乳汁中に移
行することが認められました2)。
○引用文献
1)島津 宏ほか:応用薬理 36(3)189(1988)
2)有馬徳行ほか:薬物動態 3(6)723(1988)
関連情報
【海外疫学調査】
海外において、オメプラゾールおよび抗潰瘍剤(PPI、H2 受容体拮抗剤)の妊娠中の使用に
関する3報の疫学調査 1)∼3)が報告されています。これらの調査結果からは、妊娠中または胎児、
新生児における危険性は示唆されませんでした。
1)Ruigomez, A., et al. : Am. J. Epidemiol. 150(5)476(1999)
イギリスのGPRDとイタリアのFriuli-Venazia Giulia Health Databaseの2つのデータベー
スを利用したコホート研究で、約2,000人の妊婦を対象として研究を行った。その結果、
オメプラゾール、シメチジン、ラニチジンの使用における、奇形の発現リスクは、薬剤
非曝露群と比較し、それぞれ0.9( 95%信頼区間0.3-2.2)、1.2( 0.6-2.3)、1.4( 0.8-2.4)であり、
薬剤曝露と早産や成長遅延との関連は示唆されなかった。
..
2)Kallen, B. : Br. J. Obstet. Gynaecol. 105 877(1998)
スウェーデンで実施された妊娠初期における酸分泌抑制剤(PPI、H2受容体拮抗剤)使
用後の、妊娠の転帰を調査した研究では、1995年から1997年前半の出生児数はおよそ
200,000人であり、粗奇形率は3.9%であった。そのうち妊娠初期の3ヵ月間に275人の女性
が PPI(オメプラゾール262人、ランソプラゾール13人)を使用しており、10人の出生児に
奇形が認められた。この結果から算定した先天性奇形のオッズ比は、胃酸分泌抑制剤曝
露群では0.72(95%信頼区間0.41-1.24)、PPIでは0.91(0.45-1.84)、オメプラゾールでは0.59
(0.28-1.25)、H2受容体拮抗剤では0.46(0.17-1.20)であり、現時点では、胃酸分泌抑制剤に
よる催奇形性の危険性はないことが示された。
3)Lalkin, A. : Am. J. Obstet. Gynecol. 179 727(1998)
カナダ、フランス、イタリアにおいて、オメプラゾールとH2受容体拮抗剤の妊娠中の
使用における奇形の発現率を比較した研究では、113人に妊娠中にオメプラゾールが投与
され、出生児の奇形発現率はオメプラゾール投与群では4%であり、薬剤非曝露群の2 %、
H2 受容体拮抗剤投与群の2.8%と比較しても同等であり、オメプラゾールの投与による奇
形発現の危険性の増加は認められなかった。
― 78 ―
胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助の場合
本剤を胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助に用いる際
には、アモキシシリンおよびクラリスロマイシンを併用することから、各薬剤の妊婦、産婦、
授乳婦等への投与の使用上の注意も確認してください。
参考にアモキシシリンおよびクラリスロマイシンの記載状況を以下に示します。
アモキシシリン
クラリスロマイシン
動物実験で、母動物に毒性があらわれる高
(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人 (1)
用量において、胎児毒性
(心血管系の異常、
には、治療上の有益性が危険性を上回ると
口蓋裂、
発育遅延等)
が報告されているので、
判断される場合にのみ投与すること。
[妊
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
娠中の投与に関する安全性は確立してい
には、治療上の有益性が危険性を上回ると
ない。また、臍帯血、羊水へ移行すること
判断される場合にのみ投与すること。
が報告されている。 なお、 動物試験
(ラッ
なお、国外における試験で次のような報
ト)
において、アモキシシリン
(500mg/kg/
告がある。SD系ラット
(15∼150mg/kg/日)
日)
、 クラリスロマイシン
(160mg/kg/日)
及びCD-1系マウス(15∼1,000mg/kg/日)
及びランソプラゾール(50mg/kg/日)を併
において、それぞれ母動物に毒性があらわ
用投与すると、母動物での毒性の増強とと
れる最高用量でラット胎児に心血管系異
もに胎児の発育抑制の増強が認められて
常並びにマウス胎児に口蓋裂が認められた。
いる。また、ラットにアモキシシリン
(400
また、サル
(35∼70mg/kg/日)
において、母
mg/kg/日以上)、クラリスロマイシン(50
動物に毒性があらわれる70mg/kg/日で
mg/kg/日以上)及びラベプラゾールナト
9例中1例に低体重の胎児がみられたが、
リウム(25mg/kg/日)を4週間併用投与し
外表、 内臓、 骨格には異常は認められな
た試験で、
雌で栄養状態の悪化が認められ
妊婦、
産婦、
かった。
ている。]
授乳婦等
また、ラットにクラリスロマイシン(160
への投与 (2)授乳中の婦人に投与する場合には授乳を
mg/kg/日)
、ランソプラゾール
(50mg/kg/
避けさせることが望ましい。
[ 母乳中へ移
日)及びアモキシシリン(500mg/kg/日)を
行することが報告されている。
]
併用投与した試験において、 母動物での
毒性の増強とともに胎児の発育抑制の増
強が認められている。
さらに、ラットにクラリスロマイシン
(50
mg/kg/日以上)
、ラベプラゾールナトリウ
ム(25mg/kg/日)及びアモキシシリン(400
mg/kg/日以上)を4週間併用投与した試験
で、
雌で栄養状態の悪化が認められている。
(2)
ヒト母乳中へ移行することが報告されてい
るので、
授乳中の婦人には、 本剤投与中は
授乳を避けさせること。
なお、 動物実験(ラット)の乳汁中濃度
は、血中濃度の約2.5倍で推移した。
なお、3剤併用の生殖発生毒性試験は、3剤併用の反復投与毒性試験において併用による毒
性の増強や、新たな毒性発現が認められていないことから実施しておりませんが、類薬であ
るランソプラゾールでは、アモキシシリンおよびクラリスロマイシンをラットに併用投与し
た試験で、母動物での毒性の増強とともに胎児の発育抑制の増強が認められたとの報告があ
ります。
[10. その他の注意
(7)
参照]
― 79 ―
― 80 ―
7. 小児等への投与
小児に対する安全性は確立していない
(使用経験が少ない)。
8. 過量投与
徴候、症状: オメプラゾールの過量投与により、悪心、嘔吐、めまい、腹痛、下痢、
頭痛等が報告されている。
処 置: 症状に応じて適切な処置を行うこと。
― 81 ―
解 説
低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児に対する使用経験は少なく、安全性は確立して
いないことから、このように記載しています。
解 説
国外でオメプラゾールによる過量投与例が文献報告されていることから、注意喚起してい
ます。主な症状は、悪心、嘔吐、頭痛等ですが以下にその主な症例をご紹介します。
【文献(海外)による症例報告】
1
性・年齢
概 要
引用文献
2
性・年齢
概 要
引用文献
3
性・年齢
概 要
引用文献
女・26歳
〈発現症状;傾眠、発汗、頭痛、潮紅、頻脈〉
妊娠8週のバーテンダー。腹痛のため処方されていたオメプラゾール20mgカプセルを16カプセル(総量
320mg)服用後、傾眠、発汗および頭痛が発現。入院時、潮紅、頻脈(110/分)を認めたが、その他の異常
所見は認めなかった。患者は地域の中毒センターに搬送された。過量服用から6時間後、異常所見は認め
られず、 24時間後に継続していた症状は腹痛のみであった。腎機能検査、肝機能検査および血液検査は
正常であった。患者の精神的な理由から、妊娠10週で中絶。
Ferner, R.E., et. al. : Hum. Exp. Toxicol. 12 541(1993)
男・40歳
〈発現症状;傾眠、かすみ目、口内乾燥、頭痛〉
心窩部痛、軽度脳萎縮の既往のあるトラック運転手。オメプラゾール20mgカプセルを20カプセル(総量
400mg)
服用。20時間後に傾眠、かすみ目、口内乾燥およびズキズキする頭痛が発現。臨床検査、全血球数、
クレアチニン、尿素および電解質は正常であった。過量服用から32時間後、症状は消失。
Ferner, R.E., et. al. : Hum. Exp. Toxicol. 12 541(1993)
女・28歳
〈発現症状;悪心、嘔吐、全身倦怠感、感情鈍麻、錯乱、傾眠、頭痛、鼓腸放屁、心窩部痛〉
抑うつ症状の既往歴のある患者。自殺目的のため、オメプラゾール560mgを服用。服用2時間後、悪心、
嘔吐が発現。服用3時間後、救急治療室に搬送された。最初の診察では、意識はあり協力的であった。心
拍数76/分、血圧140/90mmHg、呼吸数22/分であり、神経、肺、心臓および腹部の検査は正常であった。
輸液、メトクロプラミド10mg、活性炭および硫酸マグネシウム30g投与。服用3∼4時間後、全身倦怠感、
感情鈍麻、錯乱、傾眠、中等度の頭痛、胃腸症状(鼓腸放屁、痙攣性心窩部痛)が発現。悪心、嘔吐は症
状発現から5時間後に軽減し、8時間後に消失。錯乱、傾眠および頭痛は10時間、鼓腸放屁と腹痛は約12∼
13時間持続した後にすみやかに軽減し、症状発現から18時間後に消失。症状発現24時間後、患者は完全
に回復。
Gallerani, M., et. al. : Clin. Drug Invest. 11(2)117(1996)
― 82 ―
9. 適用上の注意
(1)服用時:本剤は腸溶錠であり、服用にあたっては、噛んだり、砕いたりせずに、
飲みくだすよう患者に指導すること。
(2)薬剤交付時: PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する
こと。〔PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、
更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが
報告されている。〕
― 83 ―
解 説
オメプラゾール原末は酸性溶液中では不安定であり、原末のまま経口投与すると胃内で急
速に分解されます。オメプラール錠は、吸収される前の崩壊を防ぎバイオアベイラビリティを
向上させるための様々な検討がなされた結果、胃で分解されずに通過し小腸上部で溶解し吸
収されるように腸溶錠の形態となりました。したがって、服用にあたっては、噛んだり、砕
いたりせずに、飲みくだすよう患者に指導していただくため、記載しています。
解 説
平成8年3月27日付、日薬連発第240号に基づき、PTP誤飲対策の一環として「薬剤交付時」
の注意を記載しています。
― 84 ―
10. その他の注意
(1)ラットに1.7mg/kg以上を2年間経口投与した毒性試験で、胃にカルチノイドの発生
がみられたとの報告がある。このカルチノイドの発生にはラットに種特異性が認
められている。
(2)本剤の長期投与中に良性の胃ポリープを認めたとの報告がある。
― 85 ―
解 説
ラットに対して本剤を2年間(ラットのほぼ一生涯にわたる長期)投与した毒性試験で、胃
カルチノイド(注1)が報告されています1)(海外報告)。しかし、多くの研究により、ラットにお
ける胃カルチノイドは、他の胃酸分泌抑制剤の長期投与によっても一般的に起こる変化であ
ることが報告されています。
胃カルチノイドの発生機序は、高度の胃酸分泌抑制により高ガストリン血症が惹起され、
このガストリン(注2)の栄養効果により胃粘膜ECL細胞(注3)の過形成・異形成が生じるもので、
ラットにのみみられ、マウス、イヌでは認められていません。ラットでは、胃酸分泌抑制に
よる血中ガストリンの上昇が著しく、また胃粘膜のECL細胞の密度が高いことから、ガスト
リンの栄養効果を受けやすく、胃カルチノイドが発生しやすいと考えられています。
一方、ヒトでは、胃粘膜ECL細胞のガストリンに対する感受性がラットに比べて低く、
ECL細胞に対するガストリンの栄養効果が弱いため、広範なECL細胞の過形成が起こりにく
く、胃カルチノイドの発生の可能性は少ないと考えられます。
[用語解説]
(注1) カルチノイド:癌に似た腫瘍であるが、浸潤・転移に乏しいことからカルチノイドと呼ばれている。
(注2) ガストリン:胃前庭部に存在するガストリン放出細胞から分泌され、胃の壁細胞のガストリン受容体に働き
胃酸を分泌させるホルモンである。
(注3) ECL細胞:(enterochromaffin-like cell)胃体部に存在する内分泌細胞で、ヒスタミンを分泌する。また、ガ
ストリン受容体が存在するため、Zollinger-Ellison症候群などの高ガストリン血症時には、その増殖が促進
されてカルチノイドが発生することがあるといわれている。
○引用文献
1)Ekman, L., et al. : Scand. J. Gastroenterol. 20(Suppl. 108)53(1985)
解 説
本剤との関連性は明確ではありませんが、本剤の長期投与中に良性の胃ポリープを認めた
との報告がある1)ことから、記載しています。また国内においても、オメプラゾール投与中
あるいは、投与終了後に胃ポリープを認めた症例が報告されています 2)3)。
○引用文献
1)Graham, J.R., et al. : The medical Journal of Australia. 157 287(1992)
2)半田祐一ほか:日本消化器病学会雑誌 91 2094(1994)
3)Tanaka, J., et al. : Internal Medicine. 33 366(1994)
― 86 ―
(3)日本国内において、逆流性食道炎患者に対する長期の維持療法における安全性は
確立されていない。
(国内において6ヵ月を超える使用経験はないが、海外において
は1年を超える長期の使用経験がある)
(4)本剤の投与が、胃癌による症状を隠蔽することがあるので、悪性でないことを確
認して投与すること。
(5)非びらん性胃食道逆流症の治療において、食道内酸逆流の高リスクであると考え
られる中高齢者、裂孔ヘルニアを合併する患者のいずれにも該当しない場合には
本剤の治療効果が得られにくい可能性がある。
― 87 ―
解 説
国内臨床試験では6ヵ月を超える長期投与の使用経験はないので記載しています。
ただし、海外においては、1年を超える長期投与の使用経験があります 1)2)。
○引用文献
1)Joelson, S., et al. : Digestion. 51(Suppl. 1)93(1992)
2)Klinkenberg-Knol, E.C., et al. : Gastroenterol. 118 661(2000)
解 説
本剤の投与により早期胃癌の自覚症状が隠蔽されたり、本剤投与患者で胃癌の内視鏡的徴
候がはっきりしなかったとの報告があります1)。また、治癒可能な早期胃癌の患者を誤って
診断しないためにも、プロトンポンプ・インヒビターを投与する前には、内視鏡検査を実施
すべきであると報告されています2)。
胃酸分泌抑制作用を示す薬剤に共通した注意事項としてH2受容体拮抗剤や他のプロトン
ポンプ・インヒビターの使用上の注意にも同様のことが記載されています。
○引用文献
1)Wayman, J.W., et al. : N. Engl. J. Med. 338(26)1924(1998)
2)Griffin, S.M., et al. : BMJ, 317 1606(1998)
解 説
国内第Ⅲ相臨床試験において、食道内酸逆流のリスク因子として可能性があると考えられ
ている背景因子のうち、「年齢が40歳以上」または、「食道裂孔ヘルニアを有する」の因子を
一つも有さない患者では、有効性が低い傾向が認められましたので、食道内酸逆流のリスク
因子に関する情報を記載しています。
― 88 ―
(6)ヘリコバクター・ピロリの除菌判定上の注意:オメプラゾール等のプロトンポン
プインヒビターやアモキシシリン、クラリスロマイシン等の抗生物質の服用中や
投与終了直後では、 13C-尿素呼気試験の判定が偽陰性になる可能性があるため、
13
C-尿素呼気試験による除菌判定を行う場合には、これらの薬剤の投与終了後4週
以降の時点で実施することが望ましい。
(7)ラットに類薬であるランソプラゾール(50mg/kg/日)、アモキシシリン(500mg/
kg/日)及びクラリスロマイシン(160mg/kg/日)を併用投与した試験で、母動物で
の毒性の増強とともに胎児の発育抑制の増強が認められている。
― 89 ―
解 説
オメプラゾール等のプロトンポンプインヒビターやアモキシシリン、クラリスロマイシン
等の抗生物質の服用中や投与終了直後では、13C-尿素呼気試験の判定に影響を及ぼし偽陰性
になる可能性があります。日本ヘリコバクター学会の治療ガイドライン1)においても、「除菌
判定は治療薬中止後4週以降に行う。
」と定めていることから、記載しています。
なお、国内第Ⅲ相臨床試験では欧州ヘリコバクター・ピロリ研究グループが発表した臨床
試験ガイドライン2)(投与終了4∼6週後を推奨)および1999年に改訂された日本消化器病学会
のガイドライン3)(投与終了6∼8週後を推奨)に基づき投与中止後6週に除菌判定を実施して
います。
○引用文献
1)日本ヘリコバクター学会ガイドライン作成委員会:日本ヘリコバクター学会誌 4(Suppl)1
(2003)
2)Working party of the European Helicobacter pylori Study Group:Gut 41(Suppl.2)S1
(1997)
3)日本消化器病学会 Helicobacter pylori 治験検討委員会:日消誌 96(2)199(1999)
解 説
類薬であるランソプラゾールにおいて、ラットにアモキシシリンおよびクラリスロマイシ
ンと併用投与した試験で、母動物での毒性の増強とともに胎児の発育抑制の増強が認められ
ていることから、記載しています。
― 90 ―
日本標準商品分類番号
*
貯法:室温保存 使用期限:ケース等に表示
ボリコナゾール
禁忌(次の患者には投与しないこと)
1. 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
2. 硫酸アタザナビルを投与中の患者
(「相互作用」の項参照)
組成・性状
1.組成
販売名
成分・含量
(1錠中)
オメプラール錠10
オメプラゾール10mg
オメプラール錠20
オメプラゾール20mg
2.性状
販売名
剤 形
オメプラール錠10
白色の
フィルム
コート錠
(腸溶錠)
オメプラール錠20
白色の
フィルム
コート錠
(腸溶錠)
添加物
ラウリル硫酸Na、
セタノール、
乳糖、
カルボキシメチルスターチNa、
ヒド
ロキシプロピルセルロース、
水酸化Mg、
ステアリン酸Mg、
ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、
ヒドロタルサイ
ト、
酸化チタン、
ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースフタレート、
タルク、
カルナウバロウ
外形 表面 外形 裏面 外形 側面
311
312
直径
厚さ
重量
識別コード
約6.2mm 約2.8mm 約0.097g
311
約7.2mm 約3.3mm 約0.143g
312
効能・効果
<オメプラール錠10>
* 胃潰瘍、
十二指腸潰瘍、
吻合部潰瘍、
逆流性食道炎、
非びらん性胃食道逆流症、
Zollinger-Ellison症候群、
胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
<オメプラール錠20>
胃潰瘍、
十二指腸潰瘍、
吻合部潰瘍、
逆流性食道炎、
Zollinger-Ellison症候群、
胃潰瘍又は十二指腸潰瘍
におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
用法・用量
<オメプラール錠10>
●胃潰瘍、
吻合部潰瘍、
十二指腸潰瘍、
Zollinger-Ellison症候群
通常、
成人にはオメプラゾールとして1日1回20mgを経口投与する。
なお、
通常、
胃潰瘍、
吻合部潰瘍では
8週間まで、
十二指腸潰瘍では6週間までの投与とする。
●逆流性食道炎
通常、
成人にはオメプラゾールとして1日1回20mgを経口投与する。
なお、
通常、
8週間までの投与とする。
さらに再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、
1日1回10∼20mgを経口投与する。
* ●非びらん性胃食道逆流症
通常、
成人にはオメプラゾールとして1日1回10mgを経口投与する。
なお、
通常、
4週間までの投与とする。
●胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
通常、
成人にはオメプラゾールとして1回20mg、
アモキシシリンとして1回750mg
(力価)
及びクラリスロマイ
シンとして1回200mg
(力価)
の3剤を同時に1日2回、
7日間経口投与する。
なお、
クラリスロマイシンは、
必要
に応じて適宜増量することができる。
ただし、
1回400mg
(力価)
1日2回を上限とする。
<オメプラール錠20>
●胃潰瘍、
吻合部潰瘍、
十二指腸潰瘍、
Zollinger-Ellison症候群
通常、
成人にはオメプラゾールとして1日1回20mgを経口投与する。
なお、
通常、
胃潰瘍、
吻合部潰瘍では
8週間まで、
十二指腸潰瘍では6週間までの投与とする。
●逆流性食道炎
通常、
成人にはオメプラゾールとして1日1回20mgを経口投与する。
なお、
通常、
8週間までの投与とする。
さらに再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、
1日1回10∼20mgを経口投与する。
●胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
通常、
成人にはオメプラゾールとして1回20mg、
アモキシシリンとして1回750mg
(力価)
及びクラリスロマイ
シンとして1回200mg
(力価)
の3剤を同時に1日2回、
7日間経口投与する。
なお、
クラリスロマイシンは、
必要
に応じて適宜増量することができる。
ただし、
1回400mg
(力価)
1日2回を上限とする。
* <参考>
本剤のCmax及びAUCが増加したとの報告 ボリコナゾールは本剤の代謝酵素
(CYP2C19
がある。
及びCYP3A4)
を阻害することが考えられる。
0.1∼5%未満
過敏症注1)
消化器
0.1%未満
発疹、
蕁麻疹、
そう痒感
下痢・軟便
AST
(GOT)
、
LDH上昇
ALT
(GPT)
、
Al-P、
γ-GTPの上昇
血 液
白血球減少
その他
頻度不明
多形紅斑、
光線過敏症
便秘、
悪心、
嘔吐、
鼓腸放屁、
腹部膨 舌炎
満感、
カンジダ症、
口渇、
腹痛、
口内炎
肝 臓
精神神経系
血小板減少、
貧血
頭痛、
眠気、
しびれ感
めまい、
振戦、
傾眠、
不眠(症)、
異常感覚、
うつ状態
霧視、
発熱、
浮腫、
女性化乳房、
脱毛、 頻尿、
味覚異常、
動悸、
月経異常、
倦怠感、
関節痛及び BUN、
クレアチ 筋肉痛、
発汗
ニン、
尿酸、
トリグリセライ
ド、
血清カリウ
ム、
総コレステロールの上昇
注1)
このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
●胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助の場合
5%以上
1∼5%未満
1%未満
発疹
過敏症注1)
十二指腸炎
消化器
下痢・軟便
(34.1%)、 口内炎 、
腹痛、
食道炎、
悪心、 口渇、
味覚異常
(13.1%)
舌炎、
腹部膨満感、
便秘
Al-P上昇、
ビリ
肝 臓注2)
肝機能異常、
AST
(GOT)
上昇 ALT(GPT)上昇、
ルビン上昇、
LDH上昇
好酸球増多、
血小板減少、
貧血、
白
血 液注2)
血球増多、
白血球分画異常
○:効能あり、−:効能なし
使用上の注意
(2)併用注意(併用に注意すること)
機序・危険因子
薬剤名等
臨床症状・措置方法
ジアゼパム
これらの薬剤の作用を増強することがある。 本剤は主に肝臓のチトクロームP450系薬物
フェニトイン
代謝酵素CYP2C19で代謝されるため、
本剤
排
抗凝血作用を増強し、
出血に至るおそれが と同じ代謝酵素で代謝される薬物の代謝、
ワルファリン
(「薬物動態」
ある。
プロトロンビン時間国際標準比
(INR) 泄を遅延させるおそれがある。
値等の血液凝固能の変動に十分注意しな の項参照)
がら投与すること。
タクロリムス
タクロリムスの血中濃度が上昇することが 相互作用の機序は不明である。
水和物
ある。
ジゴキシン
これらの薬剤の作用を増強することがある。 本剤の胃酸分泌抑制作用によりジゴキシンの
メチルジゴキシン
加水分解が抑制され、
ジゴキシンの血中濃度
が上昇することがある。
イ
トラコナゾール イ
トラコナゾールの作用を減弱することがある。 本剤の胃酸分泌抑制作用によりイ
トラコナゾー
ルの溶解性が低下し、
イ
トラコナゾールの血中
濃度が低下することがある。
ゲフィチニブ
ゲフィチニブの溶解性がpHに依存すること 高用量のH2受容体拮抗剤
(ラニチジン)
による
から、
本剤を含む胃酸分泌抑制剤との併 低胃酸状態により、
ゲフィチニブの血中濃度が
用により、
ゲフィチニブの吸収が低下し、
作 低下したとの報告がある。
用が減弱する可能性が考えられる。
オメプラール錠20
21300AMZ00054
2001年2月
1991年4月
1999年3月
2002年4月
4.
副作用
●胃潰瘍、
十二指腸潰瘍、
吻合部潰瘍、
逆流性食道炎、
Zollinger-Ellison症候群
総症例数15180例中283例
(1.86%)
399件の副作用が報告されている
(オメプラゾン錠の調査結果と合算)
。
主な副作用は、
ALT
(GPT)
上昇57件
(0.38%)
、
AST
(GOT)
上昇32件
(0.21%)
等の肝障害、
下痢・軟
便27件
(0.18%)
、
白血球減少
(症)
27件
(0.18%)
、
発疹13件
(0.09%)
、
便秘12件
(0.08%)
、
BUN上昇
10件
(0.07%)
等であった。
(承認時まで及び再審査終了時の集計)
* ●非びらん性胃食道逆流症
国内で行われた試験では、
226例中9例
(4.0%)
に副作用が認められている。
(承認時までの集計)
●胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
国内で行われた試験では、
総症例数513例中273例
(53.2%)
に副作用が認められている。
(承認時まで
及び市販後臨床試験終了時の集計)
(1)重大な副作用
1)
ショック、
アナフィラキシー様症状、血管浮腫、気管支痙攣
(いずれも頻度不明)
:ショック、
アナ
フィラキシー様症状、
血管浮腫、
気管支痙攣があらわれることがあるので、
観察を十分に行い、
異
常が認められた場合には投与を中止し、
適切な処置を行うこと。
2)
無顆粒球症、
汎血球減少症、
溶血性貧血、
血小板減少
(いずれも頻度不明)
:無顆粒球症、
汎血
球減少症、
溶血性貧血、
血小板減少があらわれることがあるので、
観察を十分に行い、
異常が認め
られた場合には投与を中止し、
適切な処置を行うこと。
3)
急性肝不全
(頻度不明)
、
黄疸
(0.1%未満)
:急性肝不全、
黄疸があらわれることがあるので、
観察
を十分に行い、
異常が認められた場合には投与を中止し、
適切な処置を行うこと。
4)
中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
(いず
れも頻度不明)
:中毒性表皮壊死症
(Lyell症候群)
、
皮膚粘膜眼症候群
(Stevens-Johnson症
候群)
があらわれることがあるので、
観察を十分に行い、
異常が認められた場合には投与を中止し、
適切な処置を行うこと。
5)
視力障害
(頻度不明)
:視力障害があらわれることがあるので、
異常が認められた場合には投与
を中止し、
適切な処置を行うこと。
6)
間質性腎炎、急性腎不全
(いずれも頻度不明)
:間質性腎炎、
急性腎不全があらわれることがあ
るので、
腎機能検査値
(BUN、
クレアチニン等)
に注意し、
異常が認められた場合には投与を中止
し、
適切な処置を行うこと。
7)
低ナトリウム血症
(頻度不明)
:低ナトリウム血症があらわれることがあるので、
異常が認められた
場合には投与を中止し、
適切な処置を行うこと。
8)
間質性肺炎
(頻度不明)
:間質性肺炎があらわれることがあるので、
発熱、
咳嗽、
呼吸困難、
肺音
の異常
(捻髪音)
等が認められた場合には投与を中止し、
速やかに胸部X線等の検査を実施し、
副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
9)
横紋筋融解症(頻度不明)
:筋肉痛、
脱力感、
CK(CPK)上昇、
血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とす
る横紋筋融解症があらわれることがあるので、
このような場合には、
投与を中止し、
適切な処置を行うこと。
10)
錯乱状態
(頻度不明)
:せん妄、
異常行動、
失見当識、
幻覚、
不安、
焦躁、
攻撃性等があらわれる
ことがあるので、
異常が認められた場合には投与を中止し、
適切な処置を行うこと。
(2)その他の副作用
十二指腸潰瘍、
吻合部潰瘍、
逆流性食道炎、
非びらん性胃食道逆流症、
Zollinger-Ellison症候群の場合
* ●胃潰瘍、
オメプラール錠 10 オメプラール錠 20 1回投与量
効能・効果
20mg
胃潰瘍、
吻合部潰瘍、
十二指腸潰瘍、
Zollinger-Ellison症候群
○
○
20mg
逆流性食道炎
○
○
10∼20mg
逆流性食道炎
(維持療法)
10mg
非びらん性胃食道逆流症
−
○
20mg
胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
○
○
1.
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1)
薬物過敏症の既往歴のある患者
(2)
肝障害のある患者
[肝代謝性であり、
血中濃度が高くなるおそれがある。]
(3)
高齢者
(「高齢者への投与」の項参照)
2.
重要な基本的注意
(1)
治療にあたっては、
経過を十分に観察し、
病状に応じ治療上必要最小限の使用にとどめること。
ま
た、
血液像、
肝機能、
腎機能等に注意すること。
(2)
再発の既往のない逆流性食道炎患者では、
逆流性食道炎治癒後直ちに維持療法に移行せず、
経
過観察により、
維持療法の必要性を判断すること。
(3)
再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法を目的として本剤を投与する場合は、
経過観察
(定
期的な内視鏡検査等を含む)
を十分行うとともに、
次の事項に十分注意すること。
1)
再発の既往歴、
症状の程度等を考慮して維持療法の用量を選択すること。
2)
寛解状態が良好に保たれていると判断された場合は休薬又は減量を考慮すること。
3)
1日10mgの維持療法で再発が認められた場合は1日20mgで再治療を行うこと。治癒後の維持療法に
おいても再発の既往歴、
症状の程度等を考慮して用量を選択すること。
ただし、
1日20mgの維持療法で
再発が認められた場合、
あるいは予期せぬ体重減少、
吐血、
嚥下障害等の症状が認められた場合は、
改めて内視鏡検査等を行い、
その結果に基づいて他の適切な治療法に切り替えることを考慮すること。
4)
定期的に肝機能、
腎機能、
血液像等の検査を行うことが望ましい。
*
(4)
非びらん性胃食道逆流症患者の治療を目的として本剤を投与する場合は、
次の事項に十分注意すること。
1)
投与に際しては問診により胸やけ、
胃液逆流感等の酸逆流症状が繰り返し見られること
(1週間あたり2
日以上)
を確認の上投与すること。
なお、
本剤の投与が胃癌、
食道癌等の悪性腫瘍及び他の消化器疾
患による症状を隠蔽することがあるので、
内視鏡検査等によりこれらの疾患でないことを確認すること。
2)
非びらん性胃食道逆流症の治療については、
投与開始2週後を目安として効果を確認し、
症状の改善傾向
が認められない場合には、
酸逆流以外の原因が考えられるため他の適切な治療への変更を考慮すること。
(5)
本剤を胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助に用いる際には、
アモ
キシシリン及びクラリスロマイシンの添付文書に記載されている禁忌、
慎重投与、
重大な副作用等の使
用上の注意を必ず確認すること。
3.
相互作用
本剤は、
主として肝代謝酵素CYP2C19及び一部CYP3A4で代謝される。
また、
本剤の胃酸分泌抑制作用により、
併用薬剤の吸収を上昇又は低下させることがある。
(1)併用禁忌(併用しないこと)
機序・危険因子
薬剤名等
臨床症状・措置方法
硫酸アタザナビル 硫酸アタザナビルの作用を 本剤の胃酸分泌抑制作用により硫酸アタザナビルの溶解性
(レイアタッツ)
減弱するおそれがある。
が低下し、
アタザナビルの血中濃度が低下することがある。
承 認 番 号
薬 価 収 載
販 売 開 始
再 審 査 結 果
効 能 追 加
872329
オメプラール錠10
21200AMZ00641
2001年2月
2001年2月
―
2007年5月
精神神経系
頭痛
しびれ感、
めまい、
睡眠障害
その他
尿蛋白陽性
尿酸上昇、
総コレステロール上昇、
QT延長、
発熱、
倦怠感、
カンジダ症、
尿
糖陽性、
動悸、
霧視
注1)
このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
注2)
観察を十分行い、
異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5.
高齢者への投与
本剤は、
主として肝臓で代謝されるが、
高齢者では肝機能、
その他生理機能が低下していることが多い
ので、
低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること。
6.
妊婦、
産婦、
授乳婦等への投与
(1)
妊婦等:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、
治療上の有益性が危険性を上回ると判断
される場合にのみ投与すること。
[動物実験
(ウサギ経口138mg/kg)
で胎児毒性
(死亡吸収胚率の
増加)
が報告されている。]
(2)
授乳婦:授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、
やむを得ず投与する場合は、
授乳を避
けさせること。
[動物実験
(ラッ
ト経口5mg/kg)
で、
母乳中へ移行することが報告されている。]
7.
小児等への投与
小児に対する安全性は確立していない
(使用経験が少ない)
。
8.
過量投与
徴候、
症状:オメプラゾールの過量投与により、
悪心、
嘔吐、
めまい、
腹痛、
下痢、
頭痛等が報告されている。
処 置:症状に応じて適切な処置を行うこと。
9.
適用上の注意
(1)服用時:本剤は腸溶錠であり、
服用にあたっては、
噛んだり、
砕いたりせずに、
飲みくだすよう患者に指導すること。
(2)薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。
[PTPシート
の誤飲により、
硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、
更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併
症を併発することが報告されている。]
10.
その他の注意
(1)
ラッ
トに1.7mg/kg以上を2年間経口投与した毒性試験で、
胃にカルチノイ
ドの発生がみられたとの報
告がある。
このカルチノイ
ドの発生にはラッ
トに種特異性が認められている。
(2)
本剤の長期投与中に良性の胃ポリープを認めたとの報告がある。
(3)
日本国内において、
逆流性食道炎患者に対する長期の維持療法における安全性は確立されていない。
(国内において6ヵ月を超える使用経験はないが、
海外においては1年を超える長期の使用経験がある。
)
(4)
本剤の投与が、
胃癌による症状を隠蔽することがあるので、
悪性でないことを確認して投与すること。
*(5)
非びらん性胃食道逆流症の治療において、
食道内酸逆流の高リスクであると考えられる中高齢者、
裂孔ヘルニ
アを合併する患者のいずれにも該当しない場合には本剤の治療効果が得られにくい可能性がある。
(6)
ヘリコバクター・ピロリの除菌判定上の注意:オメプラゾール等のプロトンポンプインヒビターやアモ
13C-尿素呼気試験の判
キシシリン、
クラリスロマイシン等の抗生物質の服用中や投与終了直後では、
13C-尿素呼気試験による除菌判定を行う場合には、
定が偽陰性になる可能性があるため、
これらの
薬剤の投与終了後4週以降の時点で実施することが望ましい。
(7)
ラッ
トに類薬であるランソプラゾール
(50mg/kg/日)
、
アモキシシリン
(500mg/kg/日)
及びクラリスロマ
イシン
(160mg/kg/日)
を併用投与した試験で、
母動物での毒性の増強とともに胎児の発育抑制の
増強が認められている。
承認条件
市販後調査によって、ヘリコバクター・ピロリ除菌療法における安全性に関するデータを集積すること。
包装
オメプラール錠10:[PTP] 100錠
(10錠×10)
、140錠
(14錠×10)
、500錠
(10錠×50)
、700錠
(14錠×50)
[バラ] 500錠
(10錠×10)
、140錠
(14錠×10)
、300錠
(10錠×30)
、500錠
(10錠×50)
、
オメプラール錠20:[PTP] 100錠
700錠
(14錠×50)
[バラ] 500錠
●詳細は添付文書をご参照下さい。
●禁忌を含む使用上の注意の改訂に十分ご留意下さい。
0120‐189‐115
(問い合せフリーダイヤル メディカルインフォメーションセンター)
* 2007年5月改訂(第13版)
DS100ヲ