3.建設業法 建設業の種類 建設業には、土木工事、建築工事など 28 業種あり、そのうち以下の7業種を指定建設業 という。 ①土木工事業 ②建築工事業 この7業種を指 ③電気工事業 定建設業という ④管工事業 ⑤構造物工事業 ⑥舗装工事業 ⑦造園工事業 500 万円未満の工 事は許可が不要 建設業の許可(第 3 条) 建設業法では、建設業を始めるには、軽微な工事をだけを行う場合を除き、建設業の許 可を受けなければならない。 この軽微な工事とは、①建築工事では1500万円未満の工事又は延べ面積150㎡未 満の木造住宅工事、②その他は500万円未満の工事、である。 3000 万円以上を下請け出 す場合は特定建設業 特定建設業の許可(第 3 条第 1 項第 2 号) 発注者から直接受注した工事について、一定額以上の工事を下請けに出す建設業者は、 特定建設業の許可が必要とされる。 この一定額は、建築では4500万円、その他は3000万円とされている。 特定建設業の許可は、発注者から直接受注した工事を一定額以上下請に出す業者が必要 とされるものであり、下請業者が孫請業者に出す場合は、一定額を超えても、特定建設業 の許可は必要ない。 一括下請の禁止(第 22 条) 建設業者が、その請け負った建設工事を一括して別の建設会社に下請出すことは、発注 者の信頼を裏切ってしまうことであり、中間搾取や工事の質の低下、労働条件の悪化、責 任の不明確化を招いたり、工事施工能力のない不良建設業者が横行したりするもとになる ため建設業法では、これを一括下請負(一括下請)として厳しく禁じている。(一次)下請 業者が孫請業者に一括して丸投げする場合も同様である。 元請は購入先を指定 してはならない 不当な使用資材などの購入強制の禁止(第 19 条の4) 元請業者は、その取引上の地位を利用して、下請契約締結後に、下請業者が使用する資 材、機械器具などやその購入先を指定して、下請業者の利益を害してはならない。 下請負人の意見の聴取(第 24 条の 2) 元請負人は、その請け負った建設工事を施工するために必要な工程の細目、作業方法そ の他元請負人において定めるべき事項を定めようとするときは、あらかじめ、下請負人の 意見をきかなければならない。 下請代金の支払(第 24 条の3第1項) 元請業者が、発注者から出来形部分に対する支払い工事完成後の支払いを受けたときは、 その支払い対象となった建設工事を施工した下請業者に対して、相応する下請代金を1月 以内に、かつできるだけ早く支払わなければならない。 また、元請業者が発注者から前払金の支払いを受けたときは、下請業者に対して、建設 工事の着手に必要な費用を前払金として支払うよう適切に配慮しなければならない。 検査及び引渡し(第 24 条の4) 元請負人は、下請負人からその請け負った建設工事が完成した旨の通知を受けたときは、 当該通知を受けた日から 20 日以内で、かつ、できる限り短い期間内に、その完成を確認す るための検査を完了しなければならない。 元請負人は、前項の検査によって建設工事の完成を確認した後、下請負人が申し出たと きは、直ちに、当該建設工事の目的物の引渡しを受けなければならない。ただし、下請契 約において定められた工事完成の時期から 20 日を経過した日以前の一定の日に引渡しを受 ける旨の特約がされている場合には、この限りでない。 施工体制台帳(第 24 条の7) 特定建設業者が、発注者から直接請け負って元請となった場合、3000万円(建築 一式工事の場合は、4500万円)以上を下請に出すときには、下請、孫請などその工事 にかかわるすべての業者名、それぞれの工事の内容、工期などを書いた施工体制台帳を作 成し、工事現場ごとに備え置かなければならないほか、下請に対して再下請通知をしなく てはならない旨を通知し、かつ、工事現場の見やすいところに、元請である特定建設業者 の名称と再下請通知書の提出先を掲示しなければならない。 1 施工体系図 工事現場への技術者の配置(第26条1項、2 項) 建設業の許可の際には、営業所に技術者を置くことが要件とされているが、それは適切 な営業のためであり、その技術者が必ずしも具体的な建設工事に従事するとは限らない。 建設工事の適正な施工のためには、実際に施工している工事現場に、一定の資格経験を持 つ技術者を置くことが必要である。 このため、建設業法では、建設工事の施工の技術上の管理を行う主任技術者又は監理技 術者を工事現場に置かなければならない。 2 元請として 3,000 万円以上 を下請けさせる場合は、監理 技術者が必要 監理技術者(第 26 条第2項) 発注者から直接請け負った特定建設業者は、元請として一定額(3000万円、建築で は4500万円)以上の工事を下請させる場合には、工事現場に監理技術者を置かなけれ ばならない。 ただし、その特定建設業が指定建設業(土木工事業、建築工事業、管工事業、鋼構造物工 事業、舗装工事業、電気工事業、造園工事業)である場合には①(1級の技術検定合格者、 技術士、1級建築士)又は①と同等以上の能力がある監理技術者でなければならない。 監理技術者の資格要件 土木工事の場合は以下のとおり。 ① 1級建設機械施工技術検定 ② 1級土木施工管理技術検定 ③ 技術士2次試験の建設部門、 農業部門(選択科目が農業土木) 林業部門(選択科目が森林土木) 水産部門(選択科目が水産土木) 主任技術者(第 26 条第 1 項) 監理技術者を置かなければならない特定建設業者以外の建設業者は、元請であれ下請で あれすべて、建設工事を施工するときは、工事現場に主任技術者を置かなければならない。 主任技術者の資格要件 ①許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し学校教育法による高等学校若しく は中等教育学校を卒業した後5年以上の実務経験、大学、若しくは高等専門学校を卒 業した後3年以上の実務経験を有する者 ②許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し 10 年以上実務の経験を有する者 ③国土交通大臣が①又は②に掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するもの と認定した者 1・2級土木施工管理技士(種別「土木」) 1・2級建設機械施工技士 技術士2次試験で一定の部門に合格した者 主任技術者及び監理技術者の職務等(第 26 条第 3 項) 主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該 建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事 の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。 3 2,500 万円以上の公共工事 には、主任技術者、監理技術 者を専任 主任技術者、監理技術者の現場専任制度(第 26 条第 3 項) 公共性のある工作物の重要な工事については、主任技術者、監理技術者は、工事現場ご とに、専任でなければならない。公共性のある工作物の重要な工事とは、下記の工作物の 工事で代金が建築で5000万円以上、その他で2500万円以上のものであり、個人住 宅を除いて、ほとんどの工事が対象になる。 主任技術者、監理技術者の設置等(第 26 条第 4 項、5 項) 国、地方公共団体その他政令で定める法人が発注者である工作物に関する建設工事につ いては、前項の規定により専任の者でなければならない監理技術者は、第二十七条の十八 第一項の規定による監理技術者資格者証の交付を受けている者であって、第二十六条の四 から第二十六条の六までの規定により国土交通大臣の登録を受けた講習を受講したものの うちから、これを選任しなければならない。 前項の規定により選任された監理技術者は、同項の工作物の発注者から請求があつたと きは、監理技術者資格者証を提示しなければならない。 専任の主任技術者又は監理技術者を必要とする工事(施行令第 27 条) 密接な関係のある二以上の工事を同一の建設業者が同一の場所又は近接した場所におい て施工するものについては、同一の専任の主任技術者がこれらの工事を管理することがで きる。 第 40 条 標識の掲示 建設業者は、その店舗及び建設工事の現場ごとに、公衆の見易い場所に、国土交通省令 の定めるところにより、許可を受けた区分による建設業の名称、一般建設業又は特定建設 業の別その他国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。 ■標識の記載内容等 (1)商号又は名称 (2)代表者の氏名 (3)一般建設業又は特定建設業の別 (4)建設業許可年月日、建設業許可番号 (5)許可を受けた建設業 ※縦 35cm 以上・横 40cm 以上の長方形とすること 4 【問題 3.1】平成 20 年度出題 建設業法上,施工体制台帳に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (1)特定建設業者が施工体制台帳の作成を義務づけられている建設工事において,その下 請負人は,請け負った工事を再下請に出すときには,特定建設業者に再下請負人の名 称などを通知しなければならない。 (2)特定建設業者が作成する施工体制台帳は,工事完了後,速やかに廃棄することができ る。 (3)施工体制台帳への記載は,1 次下請についてのみ義務づけられており,2 次下請以下に ついては省略することができる。 (4)発注者から直接工事を請け負った特定建設業者は,工事の一部を下請に出す場合には, 必ず施工体制台帳を作成しなければならない。 【問題 3.2】平成 20 年度出題 建設業法で定められている工事現場ごとに公示すべき事項等に関する次の記述のうち, 正しいものはどれか。 (1)1,000 万円の工事を請け負った建設業者は,建設業の許可票標識の掲示を省略すること ができる。 (2)建設業の許可票標識の記載事項には,代表者の氏名,主任(監理)技術者の氏名,請 負金額,下請の有無,許可を受けた建設業がある。 (3)施工体制台帳を作成する必要がある公共工事の特定建設業者は,各下請の施工の分担 関係を表示した施工体系図を作り,公衆の見やすい場所に掲示しておかなければなら ない。 (4)建設業の許可票標識に監理技術者名が記載されている現場の監理技術者は,監理技術 者資格証及び監理技術者講習終了証を携帯する必要はない。 【問題 3.3】平成 19 年度出題 建設業法上,発注者から直接工事を請け負った特定建設業着(以下,元請負人という) の義務等に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。 (1)元請負人は,下請負人がその下請負に係る建設工事の施工に関し建設業法の規定に 違反しないよう,下請負人の指導に努めなければならない。 (2)元請負人は,請け負った建設工事を施工するために必要な工程の細目,作業方法を 定めようとするときは,あらかじめ,下請負人の意見をきかなければならない。 (3) 元請負人及び下請負人は,請け負った建設工事の内容及び工期等の事項を記載した 施工体制台帳を各々が作成し,備え置かなければならない。 (4)元請負人は,下請負人から建設工事が完成した旨の通知を受けたときは,通知を受 けた日から 20 日以内に工事の完成検査をしなければならない。 5 【問題 3.4】平成 18 年度出題 建設業法に定められている技術者に関する次の記述のうち正しいものはどれか。 (1)主任技術者及び監理技術者は,契約の履行に開し,技術上の管理及び請負代金額の変 更等契約業務を誠実に行わなければならない。 (2)元請負人は,請け負った工事の責任者であり,下請負人の意見を聴取することなく, 作業の方法等を定めることができる。 (3)発注者から直接道路工事を請け負った特定建設業者は,下請契約の請負代金の総額 が 3,300 万円の場合その工事現場に監理技術者を置かなければならない。 (4)河川の護岸工事で,請負代金の額が 2,300 万円の場合,その工事現場に専任の主任 技術者を置かなければならない。 【問題 3.5】平成 17 度出題 建設業法で定める土木一式工事の主任技術者の資格要件に関する(イ)∼(ニ)の正誤の 組合せとして,次の(1)∼(4)のうち正しいものはどれか。 ただし,○は正しいもの,×は誤っているものを示す。 (イ)建設業法による技術検定のうち「1 級建設機械施工技術検定」に合格した者 (ロ)土木工学に関する学科で大学を卒業し 3 年以上の実務経験を有する昔 (ハ)建設工事に関し 7 年以上の実務経験を有する者 (ニ)建設業法による技術検定のうち「2 級土木施工管理技術検定(鋼構造物塗 に合格した者 (イ) (ロ) (ハ) (ニ) (1) × ○ × ○ (2) ○ ○ × ○ (3) ○ ○ × × (4) × × ○ ○ 【問題 3.6】平成 16 年度出題 建設業法に定められている技術者制度に関する次の記述のうち正しいものはどれか。 (1)指定建設業とは,土木工事業,建築工事業,電気工事業,管工事業,舗装工事業の 5 業種である。 (2)国,地方公共団体以外が発注する土木一式工事では,いかなる工事においても主任技 術者は専任で配置する必要がある。 (3)専任の主任技術者が必要な工事のうち,密接な関係のある二つ以上の工事を同一の建 設業者が近接した場所において施工する場合には,同一の専任の主任技術者がこれらの 工事を管理することができる。 (4)監理技術者資格証を必要とする工事現場では,監理技術者名が掲示されているので, 監理技術資格証を携帯する必要はない。 6 【問題 3.7】平成 15 年度出題 建設業法に定められている技術者制度に関する次の記述のうち誤っているものはどれ か。 (1)建設業者は,公共性のある工作物に関する重要な工事で政令に定められている額を下 請として請け負った場合は,工事現場ごとに専任の主任技術者を置く必要がある。 (2)建設業者は,下請として建設工事を請け負った場合は,建設工事の請負代金の額に関 係なくその工事現場に主任技術者を置く必要がある。 (3)建設業の許可を受けていない建設業者が建設工事を施工する場合は,工事現場に主任 技術者を置く必要がない。 (4)建設業者は,下請として請け負った建設工事の一部を,下請(二次下請)に出して施 工しようとする場合で,下請代金の額の総額が政令で定める金額以上となる場合は,工 事現場に監理技術者を置く必要がある。 【問題 3.8】平成 14 年度出題 建設業法で定める土木一式工事の監理技術者の資格要件として誤っているものは次の うちどれか。 (1)技術士法による第二次試験のうち技術部門を「機械部門」とするものに合格した者 (2)建設業法による技術検定のうち「一級建設機械施工技術検定」に合格した着 (3)技術士法による第二次試験のうち技術部門を「建設部門」とするものに合格した者 (4)建設業法による技術検定のうち「一級土木施工管理技術検定」に合格した者 【問題 3.9】平成 13 年度出題 元請負人と一次下請負人の関係に関する次の記述のうち,建設業法上正しいものはどれ か。 (1)元請負人は,請負契約の締結後,その注文した建設工事に使用する資材若しくは機械 器具又はこれらの購入先を指定し,これらを一次下請負人に購入させることができる。 (2)元請負人が,その請け負った建設工事を一括して一次下請負人に請け負わせることは 禁止されているが,一次下請負人が一括して請け負うことは禁止されていない。 (3)元請負人が,発注者から前払金の支払いを受けた場合,一次下請負人がその建設工事 について何らかの出来形を上げなければ,その前払金の支払いを請求できない。 (4)元請負人が特定建設業者で,下請契約の請負代金の額が政令で定める金額以上になる ときは,一次下請負人が再下請けさせる場合,再下請負人の名称,工事の内容,主任技 術者等を元請負人に報告しなければならない。 7
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