インド:次期中央銀行総裁にパテル副総裁を指名 - HSBC Global Asset

マーケット速報
インド:次期中央銀行総裁にパテル副総裁を指名
現行政策の継続が明確化し、投資家の信頼向上に
HSBC投信株式会社
2016 年8月22日
 インド政府は8月20日(土)、インド準備銀行(中央銀行)の次期総裁にパテル副総裁を指名
 パテル氏の起用は想定内であり市場は反応薄
 ラジャン現総裁が推進してきた金融改革路線、金融政策の継続が明確になり投資家の信頼向上に
パテル副総裁が総裁に昇格
 インド政府は8月20日(土)、インド準備銀行(中央
銀行)のラグラム・ラジャン総裁の後任として、ウ
ルジット・パテル副総裁を昇格させると発表しまし
た。新総裁は9月4日から3年の任期で総裁を務
めることになります。
 パテル氏は副総裁としてラジャン総裁とともにイ
ンドの金融政策に取り組んできました。特に、イン
フレ目標(現行4%±2%)の導入及び金融政策
委員会(MPC)の設置を含む金融政策改革を主
導してきた実績を持ちます。
 パテル氏は著名なエコノミストでもあり、米エール
大学で経済博士号を取得、国際通貨基金(IMF)
でエコノミスト、インド財務省でコンサルタントを務
め、2013年1月に中央銀行副総裁に就任していま
す。
 一方、政策金利は、これまで中央銀行総裁が決
定していましたが、今後は金融政策委員会による
合議制となります。同委員会は、パテル新総裁を
含む中央銀行幹部3名と政府が指名する3名で構
成されると見られており、委員会メンバーは数週
間以内に発表される見通しです。
ウルジット・パテル次期インド準備銀行総裁
出所:インド準備銀行ホームページ
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当資料の「留意点」については、巻末をご覧ください。
当社の見方:金融政策の継続性が
市場に安心感
 パテル副総裁の総裁昇格は、現行の金融改革路
線、金融政策の継続を意味するものと見られます。
市場では、本年6月に、内外から信認の厚いラ
ジャン現総裁が退任する意向を表明してから、中
央銀行の将来の政策に対する不安感が一部で
広がっていました。しかしながら、パテル氏の起
用で、市場の不安感は払拭されることが見込ま
れます。これはインドの株式・債券市場、通貨ル
ピーにとり中期的なプラス要因となります。
 一方、パテル氏はインフレ目標の設定で中心的
役割を果たしたタカ派(インフレ抑制重視派)とし
て知られています。足元のインフレ率は上昇して
お り 、 7 月 の 消 費 者 物 価 指 数 ( CPI ) 上 昇 率 は
前年同月比+6.1%とインフレ目標圏(4%±2%)
の上限を僅かながら上回っています。このため、
パテル新総裁は当面、金融緩和に慎重なスタン
スをとることが見込まれます。
 しかしながら、インド気象庁では今年のモンスー
ン期(6月から9月)の降雨量(食料品価格を左右)
は平年を上回ると予測しており、実際、6月から7
月までは平年以上の降雨量が記録されています。
このため、インフレ率は今後低下に向かう見通し
であり、中央銀行は引き続き流動性供給拡大で
銀行貸出金利の低下を図ると同時に、年内には
利下げ余地も出てくると当社では見ています。
 インドに対する投資家センチメントは改善していま
す。経済ファンダメンタルズは新興国の中でもとり
わけ良好であり、またモディ政権による構造改革
の進展が成長ポテンシャルをさらに押し上げるこ
とが見込まれます。8月3日には注目の物品サー
ビス税(GST)法案が上院で可決され、大規模な
税制改革が導入される見通しとなりました。そして
今回はパテル副総裁の総裁昇格で現行の金融
政策の継続が明確となりました。インドの投資環
境は良好との当社の見方に変わりはありません。
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