平成27年9月1日発行 校長室だより 第7号 障害者雇用(北洋銀行の場合) 先週の土曜日から日曜日にかけて「第23回 北 海 道 聾 学 校 PT A 交 流 会 札幌大会」 がありました。 本校からは、私と藤井さん(中2の保護者)で参加してきました。 この交流会で非常に興味深い話がありました。 それは、北洋銀行での障害者雇用についてです。 以下は、大会要項に記されていた記述内容です。 ○ 講師 北洋銀行人事部調査役 ○ 〈講演趣旨〉 菅野 良太 氏 聴覚障害者の就労の実際、進路決定のための学校と企業との連携、就労後の 学校との連携、企業からの学校や保護者に期待することなどについて、お話し していただきます。 ○ 〈講師プロフィール〉 北洋銀行において、主に職員の採用に関わるお仕事をされています。障害者 の雇用に関しても詳しい方で、聾学校の卒業生も多数、お世話になっています。 講演内容 1 はじめに 銀行とは、お客様とコミュニケーションを図るところ。また、お客様の困ったことにつ いて向き合うところ。 銀行のことをよく知り、入社後の仕事の内容を知らなければ、本人の希望と仕事内容が ミスマッチし早期離職につながる。それを避けるために、学校や先輩から情報を取ってほ しい。 2 なぜ障害者雇用をするのか 理由は次の2点。 ①法律で義務づけられているから(障害者雇用法:民間企業は全従業員の2%) ②組織の多様性 ①についての説明は特に必要ないかと思います。 ②についての説明です。少子化や経済の低迷により今までの経営方法を変えなくては ならない。これからは特別なニーズのある人にも満足してもらえる経営が必要です。そ のためには企業が多様性に対応しなくてはいけない。一人一人の違いを尊重する企業に なる必要があります。したがって、障がいもひとつの違い(多様性)であるから、障が い者を北洋銀行の仲間として採用している。 採用者の13名が聴覚障がい者。その中の9名が障害者手帳で2級以上。 3 聴覚障がい者の仕事 正 職 員 に は 「 嘱 託 」「 行 員 」 の ふ た つ が あ る 。 聴 覚 障 害 者 雇 用 法 で 採 用 さ れ る 人 は 「 嘱 託 」 で あ り 、 契 約 は 毎 年 の 更 新 と な る 。「 嘱 託 」 は 「 行 員 」 と 異 な り 、 業 務 が 限 定 さ れ る 。( 仕 事 の 範 囲 、 場 所 が 指 定 さ れ る ) 仕 事 の 内 容 は 、 本 部 ( 専 門 的 な 知 識 と 経 験 が 必 要 )、 営 業 店 ( 窓 口 接 客 業 )、 事 務 センター(細かく役割分担されていて、データ入力、データ分析が多い)に分かれる。 聴覚障がいの方は電話、接客が難しいことから事務センター(13名中12名)で働い ている。聴覚障がいの方のコミュニケーション方法は部署によって異なるが、手話(聴 覚 障 が い の 方 が 多 い 場 所 )、 筆 談 、 読 唇 で 行 っ て い る 。 4 企業から関係者へのお願い ・聴覚障がい者への配慮点を企業に説明してほしい。 ・生徒がどんな環境で育ち、どんな勉強をしてきたかの情報は企業にとって大切。 ・パソコンのタイピングは事務職になる生徒には大切な力。 ・可能な限り、コミュニケーション能力を向上させてほしい。 ・企業から障がいのある方にアドバイスするとき、そのアドバイスが本人にとどいたか どうかが不安。そのため、入社しても当分は家族のカバーをお願いしたい。 5 北洋銀行のスタンス 障がいは一つの個性である。したがって、障がい者を守るというスタンスではなく、 できないことは強要しないが、できることを頑張ってもらう。そして、企業の一員とし て活躍してもらう。 障害者雇用法によって採用された後のことを詳しく説明していただき、とても参考にな りました。 一般採用の方とは違った雇用体制ではありますが、できることを頑張ることで企業の一 員として活躍する。今の若者の中には、障がいがあろうとなかろうと、自分の存在価値が 見つけられない人がいるようです。自分の得意なことは何なのか、やってみたい仕事は何 なのかを就職する前にイメージできた方がよいのです。その上で企業の説明会や就業体験 をし、自分はこの企業でイメージどおりの仕事ができるのかを考える。ここがなければ、 就職してから個人の希望と企業の希望がミスマッチし、早期退職につながるようです。小 さな時からの様々な経験と、情報の大切さを痛感しました。
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