鉄筋コンクリートの耐食性向上技術

鉄筋コンクリートの耐食性向上技術
Keyword : コンクリート、鉄筋、腐食、耐食材料
研究の背景
社会インフラの鉄筋コンクリートの劣化が社会問題となっている。これは主に、海からの海塩
により内部の鉄筋が腐食し、腐食生成物である鉄さびの体積膨張でコンクリートの破壊が生
じることに起因する。コンクリートの内部環境を把握し、鉄筋コンクリートの耐食性を向上させ
る。
研究の狙い
コンクリート内部環境因子である塩分、pH、溶存酸素等を正確に測定できる技術を確立し、
内部環境と鉄筋腐食との関係を明確にする。本技術を用いて、腐食機構を明確にし、各種開
発の理論武装を行う。また、ユビキタス元素を用いた耐食鋼の創製を試みる。
最先端研究トピックス
[ コンクリート内部環境センシング技術確立 ]
[ ユビキタス耐食鋼の創製 ]
(1) 電気化学マイクロセンサーを開発して、コンクリート内部の
塩分とpHの測定を可能とした。
(1) 耐食指針設計確立
内部センサーで求めた内部模擬溶液中の電気化学評
価により、塩分の高い環境で高耐食性を示し、安価なユ
ビキタス元素のみの組成を見出した。
塩分濃度 / M
1
0.1
( ラボ )
炭素鋼鉄筋は激し
く腐食してコンクリ
ートが破壊、耐食
鉄筋では腐食や割
れなし。
30mm
20mm
10mm
5mm
かぶり
0.01
pH
10
8
15%NaCl溶液漬浸
6
0
(2) EIS法と組み合わせて
腐食機構解明が可能。
20
40
60
(2)実暴露試験(宮古島) (3) 耐食鋼のさび解析
80
耐食鋼の高耐食性を
暴露試験で実証
Time / Day
(3)センサーを直接埋め込み
、現場測定を可能とした。
腐食抵抗(Rct)の変化
Impedance, Z / Ohm cm2
105
10 4
28day
0.2M-Cl, pH=9.4
鉄筋
参照極
20mm
10 3
28day
10 2
センサー
Z(10mm)
Z(20mm)
高い
暴露試験後のさび解析では、
さび内層にCrおよびSi が濃化
したナノ粒子層を形成し、塩分の
透過を阻止する機構を解明。
10mm
減少
0
20
40
60
80
100
120
140
160
コンクリート
セル
Time, t / Days
文献
•
•
•
Toshiyasu. NISHIMURA, ISIJ International, 55 (2015) 1747.
V. Raman, T. Nishimura, J. Solid state Electrochem. 14 (2010) 1457.
日経ビジネスオンライン2014.5.28.
まとめ
実用化の目標
 コンクリート内部環境をマイクロセンサーで測定する技術
を確立した。
 コンクリート内部環境測定技術は、実環境に適用し、現
場
測定を可能とする。
 ユビキタス原料で創製した耐食鋼は、高い耐食性を示す
ことを暴露試験で実証した。
 耐食鉄筋は、機械的特性評価、コンクリート構造体評を
行い、実用化を進める。
社会空間材料分野 耐食鋼グループ
西村 俊弥
E-mail: NISHIMURA.Toshiyasu●nims.go.jp
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