痔でお悩みの方へ:切らずに治す『ジオン注射療法』 当院では、内痔核を切らずに注射で治療する『ジオン注射療法』を行っております。この治療 法は手術に比べて痛みや出血が少なく、短期間の入院で治療が可能です。まずは一度外来にて ご相談下さい。 ◎痔核(いぼ痔)とはどのような病気でしょうか? 肛門の少し奥には肛門を自然に閉じるための血管に富んだ柔らかい部分(クッション)があ ります。肛門への負担が重なるとそのクッション部分が徐々に引き延ばされ、同部のうっ血に よって排便の際に出血したり肛門の外に飛び出したりします。これを痔核(いぼ痔)といいま す。さらに痔核が大きくなり、常に肛門から脱出している状態を脱肛と呼んでいます。 日本では痔に悩む人は 3 人に 1 人といわれるほどの身近な病気ですが、「恥ずかしい」、 「手術は痛そう」との理由で受診をためらう人も多く、排便後の出血でトイレが真っ赤になり 慌てて病院に駆け込む方も少なくありません。 ◎「ジオン注」による治療について 「ジオン注」は硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸を含む注射薬で、痔に流れ込む血液 の量を減らし、痔を硬くして粘膜に固着・固定させる作用があります。この薬を痔核の痛みを 感じない部分に注射して治療する方法が『ジオン注射療法』です。痔核を切り取る従来の手術 と違って「傷口から出血する」「傷口が傷む」というようなことはほとんど無く、入院期間も 手術(1週間∼10日程度)に比べて短くなります。 完全に脱肛しているような進んだ症例では従来の痔核切除を要する場合もありますが、それ ほどひどくない場合は8−9割の方が『ジオン注射療法』で根治するとされています。当院で は2泊3日の入院治療を標準としており、費用は3割負担で 約40,000円程度です(麻 酔法や痔核の数によります)。 (従来の手術療法で行うと 1 週間の入院治療で 約 70,000 円 程度です)*尚当院は全室個室となっております。 痔以外の直腸∼大腸の病気(ポリープ、癌など)が心配な方には、ジオン注射療法の前に大腸 内視鏡検査を行う事も可能です。詳しくは医師に御相談下さい。 ◎どのようにジオン注を投与するのでしょうか? ①ジオン注を投与する前に肛門周囲への局所麻酔か、下半身だけに効く麻酔を行い肛門周囲の 筋肉を緩め注射しやすくします。また緊張をほぐすための鎮静剤を術前に投与することもあり ます。 ② ジオン注は一つの痔核に対して図のように4ヶ所に分割して投与します。これは、痔核に薬 液を十分に浸透させるための方法で、四段階注射法といいます。 ③ 複数の痔核がある場合には、それぞれに同様に投与します、終了後は麻酔の影響がなくなる までしばらく(2時間程度)安静にする必要があります。安静が終わりしだい水分・食事も許 可となります。 ◎ジオン注の投与後の経過は? ジオン注を投与後は、比較的早い時期に痔核へ流 れ込む血液の量が減り出血が止まります。脱出の 程度も軽くなります。 投与した部分が次第に小さくなり、引き伸ばされ ていた支持組織が元の位置に癒着•固定して脱出が 見られなくなります。(1週間∼1ヶ月) ◎よくあるご質問 Q1:ジオン注射療法を受けたいのですが、どうしたらいいですか? ●まず外来を受診して医師の診察を受けて下さい。ジオンによる治療が可能と判断された場合、 ご本人様と手術日時を相談して決定します。またその際採血検査(一般採血、感染症検査)・ レントゲン・心電図検査など、手術に必要な検査を受けていただきます。 Q2:どんな痔核もジオン注射療法で治るのですか? ●完全に脱肛しているような進んだ症例では従来の痔核切除を要する場合もありますが、それ ほどひどくない場合は8−9割の方が『ジオン注射療法』で根治するとされています。また再 発した場合にも再度注射で治療することができます。詳しくは医師までお尋ね下さい。 Q3:ジオン注投与後の排便はいつから? ●排便は翌日から可能です。痛みをこわがって我慢しないようにしましょう。 Q4:ジオン注投与後の入浴はいつから? ●翌日から普通に入浴することが可能です。 Q5:ジオン注投与後の仕事復帰は? ●仕事復帰は退院翌日から可能です。ただし2週間くらいはあまり無理せず、重いものを持つ などお尻に力の入ることや、長時間の車の運転などはなるべく避けるようにして下さい。 ●椅子に座る場合は深く座り、1時間ごとに立つ・歩くなど休憩を取るようにして下さい。 Q6:ジオン注投与後の食事や生活上の注意は? ●アルコールは術後1週間程度控えて下さい。またわさび・トウガラシ・カレー等の刺激物も なるべく控えるようにしてください。 ●便通を整えるために食物繊維や水分の摂取を心がけてください。 ●便意があったら我慢せずトイレに行き、無理に出し切ろうとせず排便時間は5分以内を心が けてください。 ●なるべく体を冷やさないようにし、お風呂に入って血行を良くして下さい。 ※副作用などに対する処置が必要になった場合には、状況によってお薬(炎症を抑えるための 抗生物質や消炎鎮痛剤、あるいは便をやわらかくするための緩下剤)の投与、坐浴、手術を行 うことがあります。気になる症状が出現した場合には早めに受診してさい。 ※その他痔に関するさまざまな疑問については『い∼じ∼ net』(http://www.e-zi.net/)もご参照 ください。
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