ないよう 社会調査法 第 10 回 し つて き ち ょう さ ぶ ん せ き ほ う ほ う ジーティーエー インタビュー内容の分析方法 G T A など な いよ う ぶ んせ き ほ うほ う み 質的調査のインタビュー内容の分析方法を見てみましょう。 きじゅつ 1.記述のまとめ方 な 資料 ご や し が いこ くじ ん し み ん じ ゆ う き じゅ つ 名古屋市外国人市民アンケート調査 自由記述 ケイジェイほ う キーワードで分類する 「 K J 法」 ジーティエー 2.グラウンデッド・セオリー・アプローチ G T A (1)概要 ていしょう 1960 年代 アメリカのグレーザーとストラウスが 提 唱 しゅうせいばん ていしょう 日本では木下康仁が修 正 版 グランデッド・セオリー・アプローチを提 唱 かんごがく はじ しゃかい ふ く し が く かつよう 看護学から始まり、社会福祉学などで活用される たと ◆例えば なんびょう かんじゃ せいかつ う なんびょう い びょうき 難 病 の患者さんの生活のインタビューから、難 病 であることを受け入れ、病気にあわ せいかつ へ んか く か て い さぐ せて生活を変革した過程を探る ◆なぜ必要とされたか なんびょう げんいん めいかく しょうこ ばあい かがくてき じじつ みと ・ 難 病 の原因など、明確な証拠がある場合、科学的に事実が認められる ふくすう かんじゃ おな かた ・しかし、複数の患者さんが同じようなことを語っているだけでは、 けいけん みと かがくてき みと しょうこ 経験としては認められるが、科学的に認められない しつてき かた 証拠にならない ぶんせき みと ほうほうろん ・そこで、質的データ(語りなど)を科学的に認められるよう、分析する方法論を作り、 り ろ ん か 理論化した ろ ん り じっしょう し ゅ ぎ キーワード:論理 実 証 主義 り ろ ん とくせい ◆理論特性 みっちゃく ぶんせき せつめい がいねん つく 1 データに 密 着 した分析から説明概念を作る 2 継続的比較分析法による、質的データを用いた 研 究 で、生成された け いぞ くて き ひ か く ぶ んせ きほ う しつてき もち けんきゅう せ いせ い りろん (作られた)理論 にんげん にんげん ちょくせつてき かんけい にんげん こうどう せつめい よそく ゆうこう 3 人間と人間の直 接 的 なやりとりに関係、人間行動の説明と予測に有効 4 人間の行動、他者との相互作用の変化を説明できる 5 実践的活用を 促 す にんげん こうどう じ っせ んて き か つよ う たしゃ そうごさよう へんか うなが 1 せつめい (2)方法 かんさつ け っ か けっか も じ ぶんしょう 観察結果やインタビュー結果などを文字にして、 文 章 (テキスト、データ)を作 1 る。 きゃくかんてき ぶんしょう こま ぶんだん せっぺんか できるだけ客 観 的 に、 文 章 を細かく分断する。 2 ぶんだん 3 「切片化」 ぶんしょう 分断した 文 章 に、わかりやすいラベルをつける。 で がいしゅつよっきゅう 「出かけたい」→ 外 出 欲 求 い がいしゅつよっきゅう 「どこかに行きたい」→ 外 出 欲 求 い か ものよっきゅう がいしゅつよっきゅう 「スーパーに行きたい」→買い物 欲 求 ? そと で は 外 出 欲 求? ふあん 「外に出るのが、恥ずかしい」→不安 そと で ふあん ち し き けいけん 「どうして外に出たらいいか、わからない」→不安 ? に 4 どうし 知識経験がない? じ ょう い が いね ん 似たラベル同士は、まとめ上位概念となるカテゴリーを作る =「オープン・コーディング」(open cording) ふくすう 5 かんれんづ げんしょう ひょうげん 1つのカテゴリーと複数のサブカテゴリーを関連付け、 現 象 を 表 現 する。 =「アクシャル・コーディング」(axial cording) たと びょうき がいしゅつよっきゅう ひと め き 例えば、「病気がよくなる」と「 外 出 欲 求 がおきる」しかし「人の目が気になって」 ふあん がいしゅつ 「不安で」「 外 出 できない」 げんしょう あつ どうし かんけい 6 アクシャル・コーディングでつくった 現 象 を集め、カテゴリー同士を関係づける。 そうご いんが りろんてき ほ う わ こ とが ら 相互関係、因果関係をまとめ、理論的飽和(これ以上、新しい事柄はない)という 所まで続ける。 たと びょうき がいしゅつよっきゅう いぜん じぶん ちが 例えば、「病気がよくなる」と「 外 出 欲 求 がおきる」しかし「以前の自分と違って、 できない」。 いま なんびょう やがて「今の 難 病 の じぶん じゅよう 自分を受容して」、「車 あら ほうほう いすなど、新たな方法 がいしゅつ で、外 出 できるように なる」 じゅよう つまり「受容により せいかつ へんかく 生活を変革する」プロ セスがある。とする。 木下廉仁「グランデッド・セオリー・アプローチの実践」より 2 (3)活用例 ゆうはい ぐうだんせい か い ご し ゃ か い ご やくわり う い けんきゅう 「有配偶男性介護者の介護役割受け入れプロセスの 研 究 」 とくよう にゅうきょ てきおう 「特養ホーム入居者の適応プロセス」 とうごう しっちょうしょうかんじゃ くすり たい しゅたいせい かくとく かん けんきゅう 「統合 失 調 症 患者の 薬 に対する主体性獲得に関する 研 究 」 参考図書 「質的研究方法ゼミナール グラウンデッドセオリーアプローチを学ぶ」 戈木・クレ イグヒル・滋子編 2008 年 「グランデッド・セオリー・アプローチの実践」 木下廉仁 じ れ い けんきゅう 3.ケーススタディ(事例 研 究 ) けいざいがく じ れ い けんきゅう けいえいがく かんごがく しゃかい ふ く し が く など ぶんや ケーススタディ(事例 研 究 )は、経済学、経営学、看護学、社会福祉学等の分野で ちょうさ ぶんせき しゅほう ぶんや じゃっかんこ と 活用されている調査分析手法です。分野ごとに若 干 異なる方法で行われていますが、こ しゃかい ふ く し ぎょうむ こでは社会福祉業務でよく使われる方法を紹介します。 資料1 ケーススタディ ぎゃくたいしゃ 社会福祉学会ポスターセッションから かんけいせい ひ ぎゃくたいしゃ みと けいざいてきさくしゅ むすこ じれい 虐 待 者 と被 虐 待 者 の関係性 −母親への経済的搾取が認められる息子の事例から− しょうりゃく 1.研究目的 けんきゅう 省略 し て ん ほ うほう 2.研 究 の視点および方法 ほんちょうさ きょうりょく どうい え しゃかい ふ く し し ち い き ほうかつ し え ん い か えんじょしゃ 本調査への 協 力 に同意を得た地域 包括 支援センター・社会福祉士(以下、援助者)4 名 げんざい し え ん けいぞくちゅう ちゅうしんてき かんよ ていきょう ぎゃくたい に対して、 「現在も支援 継 続 中 で中 心 的 に関与している 虐 待 事例(一人1事例)」を 提 供 し ちょうさほうほう き ろ く えつらん えんじょしゃ てもらった。調査方法はケース記録閲覧および援助者へのインタビュー調査とした。ケース きろく えんじょしゃ じれい かか じ き げんざい こじん とくてい 記録は、援助者が事例に関わり始めた時期から現在までのものとし、個人が特定されるよう ぶぶん じぜん ふくしゃ ぬ えつらん な部分を事前に塗りつぶしてもらったうえで複写を閲覧 した。インタビュー調査は平成 20 年 あいだ かく かい じ っ し ほんほうこく ほうこくしゃ たんとう 8 月から平成 21 年 1 月までの 間 に各3回実施した。なお本報告では、4 事例中、報告者が担当 じれい たいしょう した 2事例を 対 象 とした。 せき きろく えんじょしゃ けっか なか ぎゃくたいしゃ ひ ぎゃくたいしゃ げ んどう 分析は、ケース記録および援助者へのインタビュー結果の中から虐待者 と被 虐待者 の言動や こうどう たいど ちゃくもく ぎゃくたいしゃ ひ ぎゃくたいしゃ かんけいせい かんれん な いよう ちゅうしゅつ 行動・態度に 着 目 し、虐 待 者 と被 虐 待 者 の関係性に関連していると思われる内容を 抽 出 しゅほう もち してケーススタディの手法を用いて検討した。 り ん り て き はいりょ 3.倫理的 配慮 えんじょしゃ えんじょしゃ しょぞく き か ん たい けんきゅう しゅし せつめい ちょうさきょうりょく どうい え 援助者および援助者の所属機関に対して 研 究 の趣旨を説明し、調査 協 力 への同意を得た。 はっぴょうしゃ しょぞく き か ん ちょうさ じ っ し と う じ り ん り いいんかい し ん さ しょうにん え また発 表 者 の所属機関(調査実施当時)の倫理委員会審査にて 承 認 を得た。 3 けんきゅう け っ か 4. 研 究 結果 (1)事例のまとめ ①事例 A ひ ぎゃくたいしゃ もちいえ ようかいご どっきょ にんちしょう ねんきん 被 虐 待 者 :女性 80 歳、持家 に独居 、要介護1、認知症レベルⅡb、年金55 万円/2 ヶ月 むすこ ぎゃくたいしゃ だい たんしん りこんれき きょじゅうさき ふ め い しょくぎょうふしょう ふくすうぎょうしゃ しゃっきん 虐 待 者 :息子50代、単身(離婚歴あり)、 職 業 不詳 、居 住 先 不明、複数 業 者 から 借 金 つうちょう ひ ぎゃくたいしゃ いんかん も だ うえ げんきん どうかつ 息子は被 虐 待 者 (以下、A さん)の 通 帳 と印鑑を持ち出した上、A さんを恫喝 しては現金 ようきゅう どうよう ようきゅう おび おう と うしょ きょうりょくてき し んせき を 要 求 。A さんは動揺 し怯 えつつも 要 求 に応じていた。当初は親戚も 協 力 的 であったが、 ご かんよ きょひ むすこ き せ い ご じたく げんきん ふんしつ さい じぶん いえ どろぼう その後、関与を拒否。A さんは息子の帰省後、自宅から現金が紛失した際に「自分の家に泥棒 おも げんどう うたが なさ せいねんこうけんもうしたて がいるかと思うと情けない」と話しつつも息子を 疑 うような言動はない。成年 後見 申 立 は むすこ いっぽうてき に ん ち しょうじょう じょじょ とりさ しんこう しえん ひつよう じょうきょう 息子が一方的に取下げている。A さんは徐々 に認知 症 状 が進行し支援が必要な 状 況 にある こんご かん げ んどう たいど かくにん が、息子から A さんの今後に関する言動や態度は確認できない。 ②事例 B もちいえ ひ ぎゃくたいしゃ むすこ どうきょ ようしえん い 被 虐 待 者 :女性 70 歳、持家 に息子と同居、要支援、胃ガン、年金 13 万円/2 ヶ月 だい ぎゃくたいしゃ たんしん りこんれき むしょく しゃっきん 虐 待 者 :息子 50代、単身(離婚歴あり)、無職、ギャンブルによる 借 金 ひ と り っ こ そだ できあい ひ ぎゃくたいしゃ むすこ むしゅうにゅう ちりょうひ 息子は一人っ子で被 虐 待 者 (以下、B さん)から溺愛 されて育つ。息子は無 収 入 で治療費 だ つういん じぶん はんざいしゃ が出せず B さんを通院させていない自分を「犯罪者になるのかもしれない」と話すが、ギャ じぶん や めいわく ンブルは止めていない。B さんは「自分がダメだから(息子に)迷惑をかけている」と息子を ようご かいご げんどう しんせき まか さいしゅうてき かんよ 擁護する言動 のみである。B さんの介護は親戚 に任 せきりで息子は関与していない。最 終 的 びょうじょう あっか はい きんきゅうにゅういん し ぼう に B さんは 病 状 が悪化し、 緊 急 入 院 ののち肺ガンで死亡した。 (2)事例の考察 ぎゃくたいしゃ かんけいせい ひ ぎゃくたいしゃ してん じれい けんとう けっか きょうつう とくちょう みと 虐 待 者 と被 虐 待 者 との関係性の視点から 2事例を検討した結果、 共 通 する 特 徴 が認め の おも ひと め きょう い ぞ ん て き られた(ここでは主 だった点についてのみ述べる)。一つ目は「 共 依存的な関係」である。 しんたい いぞん ぎゃくたいしゃ に ん ち のうりょく ていか ははおや 本事例の 虐 待 者 にとって経済的依存のターゲットは身体および認知 能 力 の低下した母親の むすこ ひ ぎゃくたいしゃ ゆいいつ かぞく かんけい た き みであり、一方、被 虐 待 者 にとっての息子は唯一の家族として関係を断ち切ることのできな じょうきょう きょう い ぞ ん て き かんけい い存在であった。このような「つながっていなければならない 状 況 」が 共 依存的な関係を う ぎゃくたい おんしょう ようす ふた め ぎゃくたいしゃ かがいしゃ い し き とぼ 生み、虐 待 の 温 床 となっている様子がうかがわれた。二つ目には 虐 待 者 は加害者意識が乏 ひ がいしゃ い し き ひ ぎゃくたいしゃ めいかく かくにん ふ れんさ しく、被 虐 待 者 においても被 害者 意識が明確に確認できなかった。いわゆる負の連鎖とも ぎゃくたい こ う い じょちょう すいさつ 言うべき状況が 虐 待 行為を 助 長 していたのではないかと推察される。ただし、これらはす せんこうけんきゅう ほんじれい けんとう うらづ でに先行 研 究 1)2)によって報告されており、本事例の検討によってもそれらが裏付けら きょじゅうけいたい ひ ぎゃくたいしゃ こと しんぞく れたといえる。一方、2 事例では被 虐 待 者 との 居 住 形態が異なっており、また親族および きんりん かか こと はいけい みと かんけいせい けんとう うえ さ い じゅうよう 近隣との関わりも異なる背景が認められた。関係性を検討する上では、これらの差異も 重 要 してん な視点につながるのではないかと考えられた。 けんきゅう けつろん だ かた こうさつ ろんりせい けつろん だ ただし、研 究 の結論の出し方には、論理性が必要です。よく考察してから結論を出すべ きでしょう。 4 自治体社会福祉の調査を探す ・インターネットで検索 PDFの場合も ・窓口に問い合わせ ・自治体の資料室で探す ・図書館で探す 課題その1 自分の住んでいる地域の福祉関係の調査を紹介する 1.自分の住んでいる地域(実家でも可、中国やネパールでもいい)で 福祉関係の調査を1つ選んで、内容を紹介するレポートを提出してください。 ◇福祉調査とは 高齢者実態調査、子育て支援調査、障害者実態調査、地域福祉調査、 ボランティア調査など しゃかい ふくしきょう ぎ か い ※市役所や町役場、社会福祉協議会に行くとあります。 愛知県図書館でもあります。 名古屋市役所の西庁舎、県庁、区役所などの情報センターにもあります。 2.レポートの書き方 A4サイズ 1∼2枚で、次の点について書く (1)調査の目的 (2)調査の対象者(高齢者など) (3)調査方法(アンケートなど) (4)調査報告の形式(報告書か、ホームページかなど) (5)調査結果を何か 1 つ紹介してください(感想でなく、結果を書く) (6)調査結果についての、自分自身の感想 3.提出日 月 質問は 日(木)に、授業で提出してください。 メールで 電話は携帯 今後の予定 月 日 調査の倫理 月 日(レポート提出) 月 日 月 日(ミニテスト レポート発表会 教科書、プリント 5 持ち込み可)
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