カメラによる物体の3次元位置検出に関する研究

平成 15,16 年度
経常研究
カメラによる物体の3次元位置検出に関する研究
工業技術センター
企画情報課
柏木利幸
1.研究目的
3次元空間をカメラで撮影し,その空間内に存在する物
体の3次元的な位置をカメラの合焦点位置より検出する
手法を開発する.これによりカメラ1台で,簡単に距離
計測が可能となる.新たに開発した合焦評価手法を,NTSC
方式のカメラおよび最近普及してきた IEEE1394 カメラに
適用し,合焦位置検出精度と合焦評価の安定性について
図1 パン・チルト・ズームカメラ
検討し,距離検出実験を行った.
2.研究方法
実験にはコンピュータより,パン(左右),チルト(上下),ズームおよびフォーカス
の制御が行えるカラーカメラを使用した.まず,このカメラのパン,チルトをコントロ
ールし,撮影可能範囲のパノラマ画像を取得する.つぎに,パノラマ画像中の任意の物
体を指定後,カメラの中心をその物体に合わせ,ズームとフォーカスを制御し,その物
体の合焦位置を求める.最後に,合焦位置でのズーム値とフォーカス値より予め作成し
ておいた距離テーブルよりカメラから物体までの距離を取得する.
3.研究成果
図1の NTSC 方式のカメラを用いて図2のようなパノラマ画像を自動で取得し,図2中
の A∼F について合焦を評価後,距離検出を行った結果を表1に示す.A と F は無地の壁
面で,従来のオートフォーカス方式では正確に焦点を合わせることができなかったが,
表1 距離計測結果 (cm)
開発した合焦評価手法では焦点合わせが
可能であった.NTSC 方式のカメラを用い
A
B
C
D
E
F
た実験では,被写体の種類や検出距離に
実験結果 292 98 232 450 550 232
よっては 10%程度の誤差が,また IEEE1394
294 101 221 400 592 230
実測値
カメラでは 5%程度の誤差があった.
F
A
C
B
図2
パノラマ画像
D
E