3店(点)方式の適法性とそのための条件について

PTB Quarterly Report
November ,2012 ★
Vol.8
PTB評価委員会講演 ★ 特別号 ★
『3店(点)方式の適法性とそのための条件について』
弁護士 三堀 清 氏
講
演
録
日 時 : 2012年10月24日(水) 9:00~10:00
場 所 : PTB会議室
一般社団法人パチンコ・トラスティ・ボード
〒104-0061 東京都中央区銀座 1-14-4 プレリー銀座ビル 5F
TEL/03-3538-0091
FAX/03-3538-0094
URL : http://www.ptb.or.jp
E-mail : info@ptb.or.jp
事務局 理事 丸山 正博
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★ 弁護士 三堀 清 氏 ご講演★
PTB評価委員会
PTB評価委員会では、先に行われました10月の定例委員会におきまして、弁護士 三堀 清 氏
をお招きし、約1時間にわたり「三店方式」についてのご講演をいただきました。その内容を掲載いた
します。
PTB評価委員会講演
『3店(点)方式の適法性とそのための条件について』
弁護士 三堀 清 氏
講
演
録
日 時 : 2012年10月24日(水) 9:00~10:00
場 所 : PTB会議室
― 三堀 清 氏 経歴 ―
昭和32年11月29日生
昭和56年 3月
早稲田大学法学部卒業
昭和60年10月
司法試験合格
昭和61年 4月
最高裁判所司法研修所入所(第40期司法修習生)
昭和63年 4月
同研修所修了
弁護士登録(第二東京弁護士会)
野田純生法律こと務所(現野田総合法律こと務所)勤務
平成 6年 4月
早稲田大学大学院法学研究科入学
平成 8年 3月
同研究科修了
平成 9年 1月
三堀法律こと務所設立(港区新橋)
平成14年 6月
三洋投信委託㈱(その後、プラザアセットマネジメント㈱に商号変更)監査役就任
平成15年 6月
こと務所移転(千代田区有楽町)
平成16年 4月
東京簡易裁判所調停委員に就任
平成16年 6月
プラザアセットマネジメント㈱監査役退任
平成17年 6月
株式会社ニチリョク監査役就任
平成20年 6月
有限責任中間法人(その後、一般社団法人に組織変更)
パチンコトラスティボード有識者懇談会委員に就任
現在に至る。
(主な取扱分野)
1 企業法務関係
主として非公開会社の内紛及び敵対的M&Aにおける企業防衛
2 風営適正化法関係
営業許可取得に関する法的検討・助言、出店妨害対策、同法違反こと案への対応
3 独禁法関係
こと業者団体の競争制限的・競争阻害的行為の防止等
4 マンション管理関係
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― 弁護士 三堀 清 氏 講演 ―
皆 様 おはようござ います。弁 護 士 の三 堀 でござい ます。
本 日 は『3店 (点 )方 式 の適 法 性 とそのための条 件 に
つ い て』 と い う こ と で 、 所 謂 、 「 3店 方 式 」 に よる換 金 の問
題 について、その法 律 的 な論 点 というものを申 し述 べた
い と思 います。
始 め に 、 皆 様 良 く ご 存 知 の こ と をこ こ で 申 し 上 げ る ま で
もないのですが、一 応 前 提 としてパチンコというのは、
「風 適 法 」或 いは「風 営 法 」、私 は 「風 適 法 」 と呼 びます
が 、 そ の 中 で ど う し て 規 制 の 対 象 と な る の か ? そし てそ れ は ど う い う 切 り 口 で 規 制 さ れ る の か ? と
い う点 に つ いて申 し述 べ た いと思 います。
ま ず 、 パ チ ン コ と い う の は 、 「 風 適 法 」 の 中 で は 麻 雀 等 と 一 緒 で 設 備 を設 け て客 に 射 幸 心 をそ
そ る お そ れ の あ る 遊 技 をさ せ る 営 業 と い う よ う に 定 義 さ れ てい ま す 。 要 す る に 射 幸 心 を そ そ る お
そ れ の あ る 遊 技 をさ せ る と い う 点 に パ チ ン コ の 本 質 が あ る 。 と い う こ と は 、 こ の 射 幸 性 を抑 制 す る
と い う 点 に 、 ほ ぼ 全 ての 規 制 が 収 れ ん さ れる 。 そし ても う 一 つ 、 そ の 観 点 か ら 「 風 適 法 」 で は 主 に
遊 技 機 の 性 能 に関 し て、一 定 の 基 準 を設 け てそ れ で射 幸 性 を抑 制 す ると いう 規 制 方 法 を取 っ
てい ま すが 、そ れ と共 に商 品 の提 供 方 法 とし て、 「現 金 」 また は 「有 価 証 券 」 を提 供 し ては な らな
い 、 こ れ と同 視 さ れ るよう な 、所 謂 、 「自 家 買 い 」「 景 品 の買 い取 り をし ては な ら な い 」 、更 に各 都
道 府 県 の ほ と ん ど の 条 例 で は 、 「 景 品 を買 い 取 ら せ て は な ら な い 」 と い う 規 定 が 設 け ら れ てい ま
す。 これはどういう こと かと いうと、 お金 が賭 け られる とそれだけ射 幸 性 が増 すという ことがまず挙
げ ら れ ま す が 、 も う 一 つ 大 き な ポイ ン ト と し ては 、「 刑 法 」 の 「 賭 博 罪 」 と の 関 係 で す 。 賭 博 行 為 と
い う の は 著 し く 射 幸 心 をそ そ る お そ れ の あ る最 た る も の で す が 、偶 然 の勝 敗 に対 し て財 物 を賭 け
る 行 為 が 「 賭 博 」 で す 。 た だし 、 「 賭 博 」 と い う の は 一 時 の 娯 楽 の用 に 供 す る も の を賭 け た に 留 ま
る時 は、「賭 博 罪 」は成 立 しない、と刑 法 に書 いてあります。「一 時 の娯 楽 の用 に供 するもの」と
い う の は非 常 に判 断 と評 価 の 余 地 が あ る表 現 で す が、言 っ てみれ ば、戯 れ で物 を賭 ける の は良
い けれど も それ以 外 はダ メ、賭 博 罪 で処 罰 します、 という規 定 です。
判 例 で は 、 「 賭 博 に 当 た る か ど う か 」 に つ い て 、 現 金 を賭 け た 場 合 に は 、 そ れ が 如 何 に 少 額 な
も の で あ ろうと 、 これは 「一 時 の娯 楽 の 用 に 供 する 」 も の とは言 えな い か ら「 賭 博 罪 」が成 立 する、
と い う 判 例 が あり ま す。 こ の 判 例 と刑 法 の規 定 に 引 き ず ら れ て、 パ チ ン コ で は現 金 や有 価 証 券 、
金 銭 と同 視 さ れる物 を賭 け ると 賭 博 に なっ てしま う とい う こと で 、賞 品 提 供 方 法 に関 す る規 制 が
設 け ら れ てい る 。 要 す る に 、 パ チ ン コ で お 金 や 有 価 証 券 を賭 け ては い け な い 、 そ れ と 同 視 さ れ る
よう な景 品 の買 い取 り もし てはい け ない、 と いう規 定 は 、著 し く射 幸 心 をそそ るお そ れの な いよう に
す る、『射 幸 性 の抑 制 に「風 適 法 」の規 制 は収 れ んされる。 』と申 し上 げたが、 それ に沿 った規
制 で あ ると共 に 、賭 博 罪 に 該 当 し な い こと を 担 保 する た め に、 こ のよ う な規 制 が設 け ら れ ている、
と いう こと です。
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パ チ ン コ と い う の は 、 出 玉 に 対 し て 景 品 を提 供 す る と い う こ と が 営 業 の 本 質 的 内 容 で す が 、 パ
チ ン コ が か な り 早 い 時 期 か ら 景 品 を「 買 い 取 る 」こ と に よ っ て 実 質 的 な 換 金 が行 わ れ てい た の は 、
皆 さ ん よ くご 存 知 の 歴 史 的 事 実 で す。 か つ てはま さ に お 店 が 煙 草 等 を買 い 取 る 、或 い は提 供 さ
れ た 煙 草 等 を喫 茶 店 で あ る とか 、或 い は暴 力 団 関 係 者 が 買 い取 ると い う、 そ う いう形 の 換 金 が
行 わ れ てい た 。 そ れ に 関 し て、 暴 力 団 の 資 金 源 に な っ てい る と い う 問 題 も あ っ た わ け で す が 、 歴
史 的 な 経 緯 に つ い ては 、 大 阪 に お い て 、 未 亡 人 や 身 体 障 害 者 の 方 の 福 祉 を担 う 団 体 が 買 い
取 り をす る シス テム 、所 謂 、「 3 店 方 式 」 が生 まれ た と 言 われ て お り 、第 三 者 が こ れ を買 い 取 るに
つ い ては 全 く 法 律 的 に は問 題 が無 い と いう こ と で、 「 3 店 方 式 」 と い う方 法 が パ チ ン コ の景 品 の換
金 の 方 法 と し て 自 然 発 生 的 だ っ た の か ? 或 い は 誰 か 知 恵 者 が い て制 度 と し て作 っ た の か ? つ
ま び らか では あり ませ んが、 こ の「 3店 方 式 」が出 て来 たと いう背 景 事 情 が ありま す。
こ の 「 3店 方 式 」 に関 し て、警 察 は長 ら く 「我 々は 知 ら な い」 と いう スタン ス をと っ ており まし た。非
常 に長 い間 、 「自 分 達 の知 らないことだ からそれ は存 在 し ないことだ」という 、ち ょっ と無 責 任 な
対 応 を取 っ てい た 。 要 す る に 、 「風 適 法 」 で は そこ ま で は 規 定 し てい な い か ら 知 ら な い と 、 存 在 す
る の に 全 く 認 識 し て い な い 、 そ う い う 態 度 を長 く 取 っ て お り ま し た が 、 昭 和 5 9 年 の 1 2 月 に 、 こ の
時 期 に「風 営 法 」から「風 適 法 」への大 改 正 がなされた時 期 であり、 その翌 年 からそれまでの
「 風 俗 営 業 等 取 締 法 」 が 昭 和 5 9 年 に 改 正 さ れ 、 昭 和 60 年 か ら 「 風 俗 営 業 等 の 規 制 及 び業
務 の 適 正 化 等 に関 す る法 律 」 ( 「風 適 法 」 ) と して施 行 さ れ た 、 ま さ に そ の 時 期 に お い て 、 「 参 議
院 の 地 方 行 政 委 員 会 風 俗 営 業 等 に 関 す る 小 委 員 会 」 に お い て 、 お そ ら く 初 め て、 こ の 換 金 買 い取 りの方 法 による換 金 -について警 察 庁 の当 時 の保 安 部 保 安 防 犯 課 の課 長 が答 弁 して
い ます (講 演 レジ ュメ 第 1 -1- ( 1) )。そ こ では、条 例 で「 ・・ ・かな りの県 で買 い取 らせてはな ら
な い と いう 規 定 を 設 け る の で は な い か と いう ふ う に 思 っ て いる と こ ろ で ご ざ い ま す け れ ど も 、 た
だ 私 ど も の こ う いう 風 営 法 と い い ま す の は 、 こ れ は 営 業 者 ( パ チ ン コ 屋 ) に 対 す る 規 制 で ご ざ
いま して 、 それと 全 く関 係 のな い人 にまで規 制 を 及 ぼ す と いうわ けに は実 は出 来 な いわ けで ご
ざ いま す 。 」 と い う 発 言 をし て お り 、 こ の 時 お そ ら く 初 め て警 察 が 客 と 第 三 者 ( 買 取 所 ) と の 景 品
の売 買 は法 (風 適 法 )の規 制 が及 ばない、と いうことを確 認 したと いう一 つのエポックメーキング
な 答 弁 が参 議 院 に おい て行 われ まし た。
講演レジュメ 第 1-1-(1)
第1 3店(点)方式に対する警察の見解
1 3店方式による景品(賞品)の換金について
⑴ 昭和59年12月13日参議院地方行政委員会風俗営業等に関する小委員会における古山剛警察庁刑事局保
安部保安防犯課課長(当時)の発言
「・・・かなりの県で買い取らせてはならないという規定を設けるのではないかというふうに思っているところで
ございますけれども、ただ私どものこういう風営法といいますのは、これは営業者に対する規制でございまし
て、それと全く関係のない人にまで規制を及ぼすというわけには実はできないわけでございます」(発言者67)
として、換金の事実を認めたうえ、客と第三者(買取業者)間の景品の売買は、法の規制が及ばないことを確認
した。
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講演レジュメ 第 1-1-(2)
1 3店方式による景品(賞品)の換金について
⑵
平成14年6月6日社団法人日本遊技関連事業協会総会における勝浦敏行警察庁生活安全局生活安全課課
長(当時)の講話
「株式公開については、証券業を所管していない警察庁が、直接その是非について判断できる立場にはあり
ません。株式を公開すべきかどうかは、証券取引所等による株式上場の基準に基づく審査によって判断される
べきものであります」「株式が公開されることにより、健全な企業としての一定の社会的評価を受け、これがひ
いてはパチンコ営業の業務の適正化を推進し、営業の健全化に資するものと考えられます」「一部には、警察
の対応が株式公開の足かせとなっているとの御懸念があるようです。しかしながら、風営法で禁止されている
のは、営業者が客に現金を提供することや客に提供した景品を直接買い取ることなどであり、こうした行為ある
いはこうした行為と同視し得るような行為については、当然警察としても取締りの対象として捉えていくことにな
りますが、これはあくまでも個々の企業ごとの問題であり、例えば一営業者がこのような違反を犯したからとい
って、業界全体がグレーと見られるものでは決してないものであると考えております」として、株式上場がホー
ル業界の健全化、適正化に資するとしたうえ、3店方式について、適正に運営されている限り、上場の障害とな
る違法性の問題はないとした。
前 置 き の後 に、 「 3店 方 式 」 について警 察 はどのよ う に見 ているかと いう話 をし ています が、最
初 に昭 和 59年 の 1 2月 の段 階 で警 察 庁 では第 三 者 間 の景 品 の売 買 に つ いては、「風 適 法 」は
及 ば な い と い う こ と を 明 言 し て い ま す 。 か な り 消 極 的 な 発 言 で は あ る け れ ど も 、 事 実 を認 め た 上
で 、法 規 制 の埒 外 で あ ると いう こ と を明 確 にし たと い う点 では、非 常 に エ ポックメ ーキ ング であ った
と思 い ます。
更 に 時 代 は 下 っ て平 成 1 4 年 ( 2 0 0 2 年 ) 、 日 本 遊 技 関 連 事 業 協 会 (日 遊 協 ) の 総 会 で 、 当
時 の 勝 浦 敏 行 警 察 庁 生 活 安 全 局 生 活 安 全 課 課 長 が 、 レ ジ ュ メ ( 講 演 レ ジ ュ メ 第 1- 1( 2 ) )に記 載 し てあるよう な講 話 をしまし た。 このよ うな講 話 は、他 でされ たかどう かと いう のを記
録 を調 べ つ く し てい な い の で す が 、少 な く と も 、 この 日 遊 協 、当 時 日 本 の パ チン コ 業 界 に お い て 、
メ ー カー か ら販 社 、 ホー ル そ の他 の 関 連 事 業 まで 加 盟 し てい る点 で、 横 断 的 な業 界 団 体 とし て
警 察 庁 も 最 も 重 き を置 い てい た 、 重 視 し て い た 、 最 も 存 在 価 値 を認 め てい た 日 遊 協 の 総 会 に
おいて、生 活 安 全 局 生 活 安 全 課 課 長 が講 話 し た、という こと の意 味 は非 常 に大 き いわけ です
が 、 そ こ で は レ ジ ュ メ に 記 載 し て あ り ま す よ う に 、 ま ず 「 株 式 公 開 」 に つ い て 述 べて い る 。 「 株 式 公
開 に つ いて は 警 察 庁 の 管 轄 外 だ か ら と や か く い う 筋 合 いで は あ り ま せ ん 。 た だ し 、 株 式 を 公
開 さ れ る と いう こ と は その 企 業 の 健 全 化 、 ひ いて は 業 界 の 健 全 化 に 資 す る こ と で あ り ま す 。 」
と い う 発 言 をさ れ て い ま す 。 勝 浦 課 長 は そ こ で 発 言 を止 め ず に 、 更 に 一 歩 踏 み 込 ん で 、 「 一 部
で は ホ ー ル 営 業 者 が 株 式 上 場 を 出 来 な いと い う こ と は 、 警 察 庁 の 態 度 に 問 題 が あ る か ら で
はな いか、と いう ふうに見 る向 きも ある けれど、そうではな い。特 に具 体 的 な問 題 と して換 金 の
問 題 がある けれど も、 法 律 で 規 制 されて いるのは 営 業 者 が直 接 景 品 を買 い取 るこ とによる
換 金 。 それ か ら ホー ル が 第 三 者 に 某 か の 客 観 的 な 仕 組 み を 作 って 景 品 を 買 い取 ら せ る と い
う 、 こ れ は 条 例 で 規 制 さ れ て いる が 、 風 適 法 で規 制 さ れ て いる 「 自 家 買 い」 、 それ か ら 条 例 で
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規 制 さ れ て いる 「 買 い取 ら せ 」 、 こ の 二 つ を や ら な け れ ば 違 法 で は な い 、 警 察 は その よ う な 行
為 は 認 知 し たら 摘 発 す る けれ ど も 、 その よ う な行 為 が あ っ たか ら と いっ て 「 3店 方 式 」 と いう 換
金 シ ス テ ム が グ レ ー な の で は な い 。 そう いう よ う な 所 謂 「 3 店 方 式 」 を 仮 装 し て 「 自 家 買 い 」 を
行 って いたり、 「買 い取 ら せ 」 を行 って いれば それ は問 題 で ある が、 そうで な けれ ばこ れ は警 察
庁 としては摘 発 する対 象 で はな い。」 と いうように明 言 し ているわけ です 。この発 言 と いう のは、
正 に 、 株 式 の 上 場 に 際 し て 、 こ の 「 3 店 方 式 」 の 適 法 性 如 何 が 問 題 に な る で あ ろう と い う こ と を
一 つ 予 言 し てい る点 も あ り ま す が 、 それ に 対 し て明 快 に き ち んと や っ てい れ ば、 「 買 い 取 り 」 や 「自
家 買 い 」 や 「 買 い 取 ら せ 」 をや っ てい な け れ ば 、そ れ は 違 法 性 の 問 題 は 生 じ な い と い う 、 か な り踏
み込 んだ発 言 をし た講 話 であ ると いう点 で、こ の講 話 は注 目 され てい ます。
こ の よ う な 同 じ 内 容 の 講 話 をさ れ た か ど う か は 、 先 程 調 べ つ く し て い な い と 申 し 上 げ ま し た が 、
無 いよう です。 ま たこ れ を否 定 する よう な講 話 とい う の も未 だ に出 てい な い、と いう状 況 で す。 これ
が平 成 14年 (2 0 0 2年 )段 階 で の課 長 の講 話 内 容 です。
そ の 次 に 、 平 成 1 8 年 ( 2 0 0 6 年 ) 4 月 に 警 察 庁 が 「 警 察 学 論 集 」 と い う 論 文 集 を出 し てい て、
こ こ で 当 時 の 鶴 代 隆 造 生 活 安 全 課 長 補 佐 が、 「 ぱ ちん こ 営 業 の 健 全 化 を推 進 する 取 組 状 況
に つ い て ~平 成 1 6年 7月 1 日 以 降 の状 況 ~」と い う題 名 の論 文 を発 表 し てお り、 それ は非 常 に
示 唆 に 富 ん で い る 論 文 で す 。 大 ま か に そ の 内 容 を挙 げ る と 、 パ チ ン コ 業 界 と い う の は 健 全 化 阻
害 要 因 が い く つか あ り、 それ が ある が た め に健 全 化 が阻 害 され てい る。だ か ら規 制 の方 向 性 は こ
の 健 全 化 阻 害 要 因 を一 つ 一 つ 潰 し てい く こ とだと い う 趣 旨 です。 そ の 中 に健 全 化 阻 害 要 因 とし
て、大 き く分 け て3つ挙 げ られ ています。 (講 演 レジ ュ メ 第 1 -1- ( 3) )
( 1)営 業 に関 する違 法 行 為 の問 題 。典 型 的 なも の は不 正 改 造 の問 題 。更 に脱 税 の問 題 等 。
( 2)射 幸 性 に頼 っ た営 業 と そ の弊 害 。
( 3)所 謂 、法 律 的 にグ レーゾーン と される釘 の問 題 と換 金 の問 題 。
ち なみ に、健 全 化 阻 害 要 因 の(2 )射 幸 性 に頼 っ た営 業 、 これ は一 部 のヘビー ユーザー に
売 上 を依 存 す る 、 そ の 為 に 射 幸 性 の 高 い 機 械 を導 入 す る 、 そ れ か ら 煽 る 営 業 、 一 般 的 に い う
と 、 イ ベ ン ト に 頼 っ た 営 業 、 出 玉 イ ベ ン ト を常 態 化 さ せ た 営 業 、 と い う 問 題 が あ る 。 そ れ が ひ い て
は、 の めり込 み の問 題 も生 む、 と論 及 し てい ます。
講演レジュメ 第 1-1-(3)
1 3店方式による景品(賞品)の換金について
(3) 平成18年4月「警察学論集」(59巻4号105頁)における鶴代隆造警察庁生活安全課課長補佐(当時)の記述
「営業者が客から賞品を買い取ることは禁止されているが、第三者が客から賞品を買い取ることが禁止され
ているわけではない。従って、現行の換金行為のうち、営業者と関係のない第三者が客から賞品を買い取ること
は直ちに違法となるものではない」として、客の多くが賞品を換金し、また、ホールも換金を前提とした営業をし
ているという実態を認めたうえで、法違反の自家(直)買いとなるか否かは、(ア)買取業者とホール業者との人
的関連性、(イ)買取りの実態、(ウ)買取業者とホール業者との間における資金提供の有無等の個別具体的な
事情により判断するとの見解を明らかにした。
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少 し脱 線 しますが、射 幸 性 に頼 った営 業 から
脱 却 するために、昨 年 あたりから非 常 に煩 くなっ
てき た広 告 宣 伝 に 対 する規 制 が なさ れ てい ます。
広 告 宣 伝 に対 する規 制 、或 いは総 付 け景 品 に
対 す る業 界 団 体 の自 主 規 制 ・ガイド ライン 、或 い
は モ バ イ ル 連 動 サー ビ ス へ の 自 粛 要 請 、 こ れ らの
規 制 というのは、いずれ も射 幸 性 に頼 った営 業 を
冷 却 化 す る た め の 措 置 です 。 こ れは平 成 18年 の
論 文 から見 れば当 然 予 想 さ れたわ けです が、 こ
「警察学論集」第59巻第4号 平成18年4月
の よ う に 息 の 長 い 規 制 を警 察 は や っ て い る 。 こ の よ う な 規 制 に 対 す る 警 察 の 態 度 は 、 特 に ホ ー
ル の 現 場 にい らっしゃ る方 は案 外 見 過 ごしていて 、 こ のよう な広 告 宣 伝 規 制 の強 化 につ い ても、
今 ま で の 警 察 庁 幹 部 の み な ら ず 地 方 の 警 察 ・ 都 道 府 県 警 察 の 幹 部 の 講 話 に お い ても 、 度 々
や るぞ 、やる ぞ、 という予 告 をされ てい た。しかしホ ー ル の現 場 の 営 業 の方 はみん な聞 き 逃 してい
る 。そ れ で昨 年 6月 に出 て大 慌 て、今 年 の 7月 20 日 に出 ても更 に大 慌 てと いう状 況 。 これは現
場 が 日 々 の 数 字 を追 い求 め る と いう パ チ ン コ営 業 独 特 の 現 金 商 売 で あ るが 故 の、 若 干 の経 営
者 の短 所 で あ るか と思 い ます。中 に は長 期 的 な視 野 に立 っ て戦 略 を立 てて、日 々 の経 営 戦 術
を闘 い な が ら 、長 期 的 な戦 略 を立 てて企 業 を育 てて行 く と い う方 も い ら っしゃ い ま す が、基 本 的
に は パ チ ン コ 屋 は 日 銭 商 売 で あ る が 故 に 、 結 果 が 見 え や す い が 故 に 、 ど う し ても 近 視 眼 的 な 経
営 者 が増 え てし まうと い う のは、現 実 に良 いか 悪 か は別 とし て、あ る と思 いま す。 そう いう点 で、 い
く ら 警 察 庁 や警 察 の人 が組 合 の講 話 などで 言 っ たり書 い たりし ても、み んな見 逃 し てし まう。 これ
は ちょっ と残 念 です 。
健 全 化 阻 害 要 因 ( 3 ) の 釘 、 換 金 の グ レ ー ゾ ー ン に 関 し て 、 釘 に つ い ては あ ま り 触 れ ら れ て い
ま せ ん が 、 換 金 の 問 題 に つ い ては 、 二 つ の ポ イ ン ト か ら 換 金 の 問 題 を改 善 し て い こ う と 言 っ て い
ま す。
一 つは「換 金 需 要 の低 減 化 」、即 ち賞 品 の取 り揃 え、貯 玉 再 プ レーシス テム の普 及 、という
二 つ の ポイント です。
「 3 店 方 式 の 厳 格 な 運 用 」 、 こ れ も 先 程 の 広 告 宣 伝 の 規 制 と 共 に 、今 後 規 制 を厳 し く し てい
く で あ ろう と 思 わ れ て い る 所 で す が 、 「 3 店 方 式 」 に つ い て 、 そ こ で 述 べ て い ま す 。 そ の 中 で 、 3 店
方 式 に よ る 換 金 と い う の は ど う な の か ? と い う 基 本 的 に は 、 レ ジ ュ メ ( 講 演 レ ジ ュ メ 第 1 -1( 3 ) ) に あ る よ う に 、鶴 代 課 長 補 佐 は 「 営 業 者 が 客 か ら 景 品 を 買 い取 る こ と は 禁 止 さ れ て いる
が 、第 三 者 が客 から 賞 品 を買 い取 るこ とは 禁 止 さ れて いる わ けで はな い。従 って現 行 の換 金
行 為 のう ち営 業 者 と関 係 のな い第 三 者 が客 から賞 品 を買 い取 る こと はただち に違 法 となるも
の で はな い 。 」 と言 っ てい ま す。 “ た だち に 違 法 とな る も の で は な い ” と い う の は 非 常 に 奥 歯 に物 が
挟 ま っ た よ う な 言 い 方 で 、 私 と し ては 非 常 に じ れ っ た い 感 じ が し ま す が 、 要 す る に こ れ は 警 察 独
特 の言 い方 で “合 法 で す”と言 っている の です。
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では「3店 方 式 」をやっていて違 法 かどう か、「自 家 買 い」かどうか、または「買 い取 らせ」に当
たる かどう か、 という のは、 これは 規 範 的 な要 件 であっ て、買 取 所 がホー ルから客 観 的 な独 立
性 を維 持 出 来 てい る か ど う か 、 と い う 点 に 尽 き ま す 。 ど う や っ て 見 る の か 、 規 範 的 な 要 件 と 申 し
上 げ ま し た が 、 色 々 な 要 素 をチ ェ ッ ク し て初 め て、 こ れ は ホ ー ル か ら 独 立 し てい る と 判 断 が 出 来
る と い う ふう に 言 っ て い ま す 。 で は そ れ は ど う い う 点 で 見 ら れ る か と い う と 、 鶴 代 課 長 補 佐 は ( 講
演 レジ ュメ 第 1- 1- (3 ) )、
「 ( ア ) 買 取 業 者 と ホ ー ル業 者 と の 人 的 関 連 性 」 、 例 え ば、親 子 や兄 弟 がや っ てい る と か 、奥
さ んが やっ てい る、と いう のはち ょっと まず い ので はな い か、と いう こと。
次 に「(イ)買 取 りの実 態 」、 これは色 々な要 素 があり ます が、まず景 品 がどう いう物 なのか?
価 値 の ある物 な のか ?所 謂 、「等 価 交 換 」 の原 則 、等 価 性 の基 準 で問 題 にさ れるよう な、実 質
的 に は 無 価 値 の 景 品 を換 金 の ツ ー ル と し て使 っ て い る の で は な い か ? 買 取 所 が 買 取 っ た 賞 品
が ま た そ の まま 他 のホ ー ル の景 品 と混 ざ る こ となく 、 そ の まま ピ ストン 輸 送 で ホー ル に戻 っ ている と
い う 実 態 は な い か ?或 い は、 お店 を閉 め てい る間 、 ホー ル が店 を閉 店 し た ら買 取 所 も ちょ っと遅
れ て閉 店 し ます が、 そ の間 に 買 取 所 の現 金 をホー ル の 金 庫 で保 管 し ても らう、或 い は買 取 所 の
残 っ た景 品 をその まま ホー ル に持 っ て行 き、 ホー ル の金 庫 で保 管 し ても らう、 そう いう実 態 が ある
か な いか ? こういう こ とを実 質 的 に見 ていきます。
「 ( ウ )買 取 業 者 と ホ ー ル営 業 者 と の間 に お け る資 金 提 供 の有 無 等 の個 別 具 体 的 な事 情 に
よ り 判 断 す る 」、 「 資 金 提 供 の 有 無 」 と い う の は、ホ ー ル が 買 取 所 に 定 額 制 で 費 用 を払 っ てい る。
風 適 法 上 パ チ ン コ ホー ル と いう の は会 社 単 位 では な く 、営 業 所 単 位 で許 可 が出 てい る の で 、営
業 所 単 位 で 物 事 は 判 断 さ れ ま す が 、 そ の ホ ー ル か ら お 金 が そ の 買 取 所 に 出 てい な い か ? 例 え
ば、家 賃 や光 熱 費 が出 ていないか?買 取 資 金 が出 ている という と、 これ は完 全 にアウ ト。買 取
業 者 が自 前 の資 金 を用 意 し な い で買 取 り をし てい る、地 方 の弱 小 な買 取 業 者 だと自 前 の 資 金
を用 意 出 来 な いか ら、最 初 のタ ネ銭 をホー ル から 出 し ても らう、そ れ をずっ と回 し ている という パタ
ーン も あり ますが、 こう いう のはダ メ。 そう でな く ても、例 えば、買 取 所 の人 件 費 等 が当 該 ホー ルか
ら定 額 制 で出 ていないかどう か?そう いう問 題 がある 。 それ らを総 合 的 に判 断 し て、 この3点 、
「 人 的 関 係 」、 「買 取 り の実 態 」、「 業 者 へ の資 金 提 供 の有 無 等 」、 これ ら を判 断 し てホ ール から
そ の買 取 所 が独 立 性 を維 持 し てい るかどう か、を判 断 し てい ます。
こ れ が 、 既 に書 籍 など で 出 てい ます が 、私 がダ イ ナム の 香 港 上 場 に当 た っ ての 「 3 店 方 式 」に
関 す る 意 見 書 を書 く 時 に 着 目 し た 大 き な ポイ ン ト で す 。 ち な み に も う 一 つ申 し 上 げ る と 、昭 和 5 9
年 の 参 議 院 に お ける 答 弁 に も 着 目 しま し た。 ただ し、 平 成 14 年 の勝 浦 敏 行 課 長 の 講 話 に つい
ては、 あ くま で も日 遊 協 と いう団 体 に おける講 話 と いう こと で、議 会 に おけ るきち んとし た速 記 録 の
あ る話 では ない とい うこ とも ある の で、 これは引 用 し ておりま せん。
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講演レジュメ 第 1-2
2 警察が「違法ではない」とするに留まっている点について
⑴
完全に適法であると解すべきこと
上記のとおり、警察庁の担当者の3店方式に対する見解は、ホール営業者と関係のない第三者による賞品
の買取りは法の適用の対象外であり、3店方式は「直ちに違法との評価を受けるものではな」く、違法か否かは
個別具体的な事情から判断するとする、という立場である。しかしながら、買取業者が、完全に「営業者と関係
のない第三者」であるのであれば、法の適用の対象外の客が、同じく法の適用の対象外の買取業者に対し
て、ホール営業者から賞品として提供されて自らの所有物となった物品を売却する行為は、何人も自由になし
うる私有財産の処分であって、自由主義経済体制の下では、完全に適法な行為であることは、憲法29条1項
が基本的人権として保障する私有財産制の当然の帰結である。すなわち、「営業者と関係のない第三者」によ
る賞品の買取りがなされる3店方式は、その適法性に関して、警察庁の担当者において「直ちに違法との評価
を受けるものではない」との消極的な評価を下すべきものではなく、「適法である」と積極的な評価を下すべき
である。
⑵
なぜ「適法である」といわないか
警察庁の担当者が、3店方式について、「直ちに違法とはいえない」という消極的評価をなすにとどまってい
るのは、以下の理由からと推定される。
① 形式的には3店方式の外形を整えているが、実質的に自家買い又は買い取らせとみられる事案が少なくない
→「3店方式は適法」と宣言してしまうと、そのような実質的な自家買いや買い取らせを更に野放しになる。
② そもそも警察の立場としては、射幸性の低減化やグレーゾーンの縮小のために換金需要を低減化するべきで
あると考えており、換金にお墨付きを与えたくない。
次 に、警 察 庁 ・鶴 代 課 長 補 佐 が「 ただちに違 法 とは言 えな い。」 とい うよう な非 常 にまわ り くど
い 表 現 をし た の は 何 故 な の か ? そ し てそ れ は 正 し い の か ? と い う 点 、 私 は結 論 か ら 申 し上 げ る と、
鶴 代 課 長 補 佐 が上 げ た( ア) ( イ )( ウ) の 「人 的 関 連 性 」、 「買 取 り の実 態 」、 「資 金 提 供 の有 無
等 」 を総 合 的 に 判 断 され て 独 立 性 が 維 持 さ れて い る と い う 「 買 取 所 」は 、全 く 適 法 で あ る と 考 え
てい ま す。 そ も そ も警 察 は やっ ては いけ な いと いうこ と を 取 り締 まる 。 です か ら何 も法 律 に書 い てい
な い こ と は 自 由 で や っ ても 良 い 、 合 法 的 だ と い う発 想 が な か な か 頭 で 解 っ て い て も 身 に つ い てい
な い よ う で す 。法 律 に 書 い てい な い こ と をや っ ても 良 い か わ か ら な い 、 と い う 発 想 に な っ てい る 。で
も、 こと財 産 的 な取 引 行 為 、更 に進 んで表 現 行 為 、言 論 の自 由 に属 する行 為 という のは、自
由 に や っ ても 良 い と い う の が 、 今 の 憲 法 下 の 資 本 主 義 或 い は 自 由 主 義 経 済 の 原 則 で す 。 むし
ろ憲 法 で 第 三 者 、 法 律 の 規 制 の 網 の か か ら な い 第 三 者 で あ る 客 が 、 同 じ く 第 三 者 で あ る 買 取
所 に 物 を売 る と い う の は 憲 法 で 保 証 さ れ た 自 由 な 取 引 行 為 で す 。 だ か ら こ れ は 自 由 な 取 引 行
為 な の で 、 法 律 で 容 認 され てい る 行 為 で あ る 、合 法 な行 為 で あ ると 言 う べき で す。 で も そ れ を言
わ な い、 それは色 々 な事 情 が ある と思 う。言 ってみれ ば、 「3 店 方 式 」 は完 全 に合 法 で ある、 と言
っ てし ま う と 、 そ も そ も パ チ ン コ で 賞 品 と し て現 金 や 有 価 証 券 を提 供 し ては な ら な い と い う 規 定 が
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実 質 的 に は 有 名 無 実 化 し てし ま う の で は な い か ? 「 3 店 方 式 」 だ か ら と い っ て も 、 い い 加 減 な 「 3
店 方 式 」 が ま か り 通 っ てし まう の で は な い か ? と い う 危 惧 が 出 てく る こ と も あ る で し ょ う し 、更 に 、そ
もそも賭 博 行 為 に類 似 し てし まう、 お金 が掛 るのは違 法 ではないが健 全 ではないのではない
か ? と いう こ とが あ り、警 察 で は換 金 は違 法 で はな い が 健 全 では な い と いう考 えが あ ると思 い ます。
そ の 部 分 を助 長 し てし まう と いう危 惧 があ ると いう こ とか ら警 察 の立 場 とし ては「 ただ ち に違 法 とは
言 え な い 」 と い う 表 現 に 留 ま っ て い る 、 警 察 が そう い う 事 情 か ら 、 ( こ の ) 表 現 に 留 ま っ て い る と い
う こ と を明 ら か にすれ ば、 こ の表 現 の持 つ 意 味 とい う のは はっきりし ます か ら、適 法 だ という こ と もよ
り明 確 に なると思 い ます。です か ら私 は以 前 、PO K K A 吉 田 さ んと いう パチン コ関 係 の著 名 な ライ
ター ・評 論 家 の 方 が、 「 “換 金 合 法 化 ” なん てやめ な さ い、 もう既 に合 法 な の です 。合 法 な のだか
ら 合 法 化 合 法 化 と い う のは お かし い 、明 瞭 化 とか 適 法 化 と か健 全 化 と か そう いう方 向 の方 が良
い 。」 と仰 っ てい ました が、 そういう意 味 では一 面 の 真 理 を突 い た言 葉 だと思 いまし た。
以 上 の点 が、警 察 がどう見 てい るか という こと です。
「 1 3 店 方 式 が適 法 と され る 要 件 」 (講 演 レジ ュ メ 第 2- 1 )
次 は、先 程 申 し上 げた鶴 代 課 長 補 佐 の論 文 の(ア)(イ)(ウ)の「人 的 関 連 性 」、「買 取 りの
実 態 」 、 「 買 取 業 者 と ホ ー ル 営 業 者 と の 資 金 提 供 の 有 無 等 」 を総 合 的 に 考 慮 し てホ ー ル と 買
取 所 が無 関 係 と いえる かのど うか? と いう点 に つい て 、更 に細 か く個 別 に検 証 し ていき ます。
ちなみ に、 ここで見 て客 観 的 に買 取 所 がホールとの間 で独 立 性 を持 っ ているという よう に判
断 され れ ば、買 取 所 にホ ー ル の方 が主 観 的 に買 取 り をお願 い しま すと言 っ たと こ ろで 、全 く違 法
性 は あり ま せん。 「う ち の景 品 を買 い 取 っ てくだ さい 」 と いう の は 「買 い取 ら せ」 で は な い。客 観 的 に、
「 買 い 取 ら せ 」 の お 膳 立 てシ ス テ ム が 無 い 限 り は 、 「 買 い 取 ら せ 」 に は な り ま せ ん 。 こ の 辺 は あ ま り
お お っ ぴ ら に 言 う と 、 文 句 を言 う 人 も い る の で す が 、 ホ ー ル か ら 買 取 業 者 に 対 し て 、 「 う ち の ホ ー
ル で 配 っ た 景 品 を買 い 取 っ てあ げ て 」 と 頼 むの は 、 基 本 的 に は 「 買 い 取 ら せ 」 に は な ら な い こ と を
前 提 に お話 を進 め ます。
講演レジュメ 第2-1~2
第2 3店方式が適法とされる要件
1 3店方式が適法とされる要件
実質的には自家買い又は買い取らせが行われている実情から、形式的には3店方式の体裁をとっているだ
けでは適法とは判断されない。先述の(ア)買取業者とホール業者との人的関連性、(イ)買取りの実態、(ウ)買
取業者とホール業者との間における資金提供の有無等の個別具体的な事情により、買取業者が実質的にもホ
ール営業者と無関係といえるか否かを判断して、初めて適法と判断される。
2 個別具体的な判断基準
前記の3店方式が適法とされる要件は、概ね以下のような条件があればクリアされるが、これらのいずれか
が欠けると直ちに違法とされる、といったような「要件」ではなく、「第三者性」という「規範的要件」の存否を判断
するための個別事実であって、それらの存否の充足状況を総合的に判断すべきものと思われる。
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講演レジュメ 第2-2
(ア)買取業者とホール営業者との間の人的関連性
(あ)買取業者がホール営業者又はその役員と親族関係にないこと。特に配偶者であったり、親子又は兄弟姉妹
の関係にあったりする場合には実質的にはホール営業者又はその役員が買取りを行っていると見られる場
合がある。
(い)買取業者自身がホール営業者の役員を兼ねていないこと。
(う)買取業者が、ホール営業者と取引関係のある卸業者と上記(あ)及び(い)の関係がないこと。
(イ)当該買取りの実態
(あ)買取りの対象となる景品が等価性の基準(等価交換の規制)を遵守した実質的な価値のある物品であるこ
と。実質的に無価値で市場性のない物品が買取りの対象とされている場合には、当該物品が買取りの道具
としての意味しかなく、少なくとも買い取らせが行われているとみられる。
(い)買い取られた物品が、全てそのまま、客に当該物品を賞品として提供したホールに還流していないこと。この
場合も、当該物品が買取りの道具としての意味しかなく、少なくとも買い取らせが行われているとみられる。
(ウ)当該景品買取所と営業者との間における資金提供等の有無
(あ)ホール営業者又はその役員から買取業者に対して、買取資金が提供されていないこと。
(い)ホール営業者又はその役員から買取業者に対して、買取所の運営資金が提供されていないこと。
(う)ホール営業者又はその役員と買取業者との間で資本関係がないこと。
「 2 個 別 具 体 的 な判 断 基 準 」 (講 演 レジ ュメ 第 2 -1 ~2 )
買 取 所 が独 立 性 を持 っ てい る かどう か、 と いう のを 客 観 的 に判 断 する の は、 色 々 な要 素 を見
て判 断 する 。だ からいくつかの要 件 でブレがあっても、 例 え ば、 この要 件 は無 いけれど 、 こち らの
要 件 でカ バー出 来 る、と規 範 的 な判 断 が必 要 で す。 その点 か ら個 別 具 体 的 に見 ていき ます。
「(ア)買 取 業 者 とホー ル営 業 者 との間 の人 的 関 連 性 」 先 程 、家 族 等 だと問 題 になる と言
い まし た が、 ある程 度 大 きい ホー ル の場 合 は各 ホ ー ル の買 取 り を家 族 や親 戚 に任 せる と いうよう
な こ と 、買 取 業 者 と ホー ル 営 業 者 と の間 で役 員 の 兼 任 が無 い と か、親 族 関 係 が 無 い と いう の が
普 通 で す が 、一 応 の 判 断 基 準 と され ま す 。 た だこ こ で 、 例 え ば 、兄 弟 は他 人 の 始 ま り と は い い ま
す が 、 兄 弟 間 で ホ ー ル 営 業 者 と買 取 業 者 が 居 た と し ても 、 別 に 独 立 し て営 ん で い る と い う 場 合
には全 く関 係 ない。人 的 関 係 が独 立 性 を疑 わせるけれど も、親 族 関 係 があったとし てもそこに
独 立 性 が 無 い と は い え な い 、 そ う い う 要 件 で はあ り ま す 。 一 言 で い う と 、 「 人 的 関 連 性 」 と 書 い て
あ り ま す が 、 例 え ば 、 ホ ー ル 営 業 者 が 買 取 り から の 利 益 に も 与 か っ てい る 、 「 買 取 り 」 に よ っ て 手
数 料 が ホー ル営 業 者 に落 ち る とい う場 合 は 、「人 的 関 連 性 」が 薄 く ても 「人 的 関 連 性 」が 無 い、
「 資 金 関 係 も無 い買 取 り 」 の実 態 に つ い て 、問 題 が無 い とし ても 、 これ は利 益 の 分 配 に与 かって
い ると いう点 では、独 立 性 が無 い と判 断 され る。こ れが 「人 的 関 連 性 」 と いう要 件 の特 徴 です。
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「 ( イ ) 当 該 買 取 り の実 態 」
先 程 述 べた 当 該 ホ ー ル ( 営 業 所 毎 に 判 断 ) と特 定 の 買 取 所 と の 間 で 、 専 用 の 景 品 の 還 流
が あ る と いうよう な 場 合 、或 い は価 値 の な い景 品 をそ の ホー ル 専 用 の換 金 のツ ー ルと し て使 って
い るよう な場 合 には、 これは買 取 り の実 態 として、 ホー ルと の独 立 した買 取 所 とは言 え ませ ん。
「 ( ウ) 当 該 景 品 買 取 所 と営 業 者 と の間 に お ける 資 金 提 供 等 の有 無 」
買 取 資 金 や 運 営 資 金 が ホ ー ル か ら 提 供 さ れ て い な い と い う こ と 、 こ の 部 分 に つ い ては 、 後 で
少 し 述 べま す が 、 こ の よ う な 点 か ら 独 立 性 が あ る と 判 断 さ れ た 場 合 に は 、 「 買 取 り 」 は 完 全 に 適
法 であ る、と いう結 論 に達 する。
「 2 ダイナムに お ける 3店 方 式 の 実 施 状 況 と 適 法 性 」 (講 演 レジ ュ メ 第 3 )
こ れ につ い ては、P TB の評 価 委 員 会 の方 の評 価 報 告 書 し か拝 見 してい ませ ん。今 の判 断 基
準 、 要 件 か ら い っ て 、 買 取 所 が ホ ー ル か ら 独 立 し て い る か と い う 点 を判 断 し ま し た 。 そ の 意 味 で
は 私 がここで申 し上 げる までもなく、先 程 (ア )(イ)(ウ)で申 し上 げたこの基 準 で、 PTB評 価 委
員 会 の 方 が 評 価 さ れ た 基 準 を当 ては め てい た だ け れ ば 、 自 ず と 結 論 は 出 てく る 。 そ の 意 味 で は
ダ イ ナム の今 回 の香 港 上 場 と いう のはP TB の評 価 委 員 会 の評 価 が なけ れば、 これ また あり得 な
か っ た 、 と い う 結 論 に 達 し てお り ま す 。 即 ち 、 こ れを 基 に 評 価 し た 結 果 こ う で す と い う レ ポー ト を書
い て、それ が受 け容 れ られ たわ けです か ら、そう言 わざる を得 な いと いうわけ です。
講演レジュメ 第3 ダイナムにおける3店方式の実施状況と適法性
⑴ PTBの評価結果報告書
「景品納入業者と人的関係・資本関係がないことの確認をしていること、
景品交換所とは一切関係を持たせないこととしそのため一切の情報ももっていないこと、
特殊景品納品業者に「取引に関する宣誓書」を提出させ、景品交換所と人的及び資本的関係がない旨
確認していること、
…店舗ごとに景品の環流状況についてレベル分けし管理していること…」
(人的関連性、資金提供の有無、買取の実態について)。
「…「価格決定基準」に従い市場売価調査を実施し、…価格に関しては毎月見直しを実施していること…」(買
取の実態について)。
( (2) PTBの評価報告から読みとれるダイナムにおける3店方式
上記(ア)の人的関連性については、同社と景品買取業者との間では直接的にも、間接的にも人的関連性が
ないこと、また、資本的関連性もないから、指揮命令等の関係もないことが確認されており、(イ)当該買取り
の形態については、賞品たる物品が相応の経済的価値がありかつ市場性のあるものであることが担保され
ており、また、自店への環流もなく、(ウ)当該景品買取所と営業者との間における資金提供等の有無につい
ては、買取業者との一切の人的、資本的更には取引関係がないため当然資金提供もなく、極めて健全な3店
方式が実際に行われていることが明らかである。
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「 3 3 店 方 式 の適 法 要 件 か ら見 る換 金 の将 来 像 」 (講 演 レジュ メ 第 4 - (1 ))
こ れ は 、 今 ま で の 所 を敷 衍 ( ふえ ん ) す る 内 容 です が 、 将 来 的 に は ち ょ っ と 今 は 問 題 に は な っ
てい な い所 も問 題 に なる の では な いか? と いう点 を挙 げまし た。
( 1 )手 数 料 制 (講 演 レジ ュ メ 第 4 -( 1) )
ま ず手 数 料 制 の問 題 。背 景 事 情 とし ては、先 程 、鶴 代 課 長 補 佐 の論 文 の中 で、 パ チン コ業
界 の 健 全 化 阻 害 要 因 の 一 つ と し て 、グ レ ーゾ ーン の 存 在 が あ る。 そ の 一 つ と し て換 金 の 問 題 が
あ る 。 そ の 対 策 と し て 換 金 需 要 を低 減 化 し て い く 、 具 体 的 に は 景 品 の 取 り 揃 え 、 貯 玉 再 プ レ ー
シ ス テ ム の 普 及 と 申 し 上 げ た が 、 将 来 的 に 換 金 の 需 要 が 減 っ てい く だ ろう 。 そ れ か ら 換 金 が 参
加 人 口 の 減 少 に よ っ ても扱 い 量 が減 る で あ ろう、 更 に低 貸 玉 営 業 ( 1 円 パ チン コ 5 円 スロ ッ ト ) で
す と 、換 金 の 妙 味 より も 、所 謂 、景 品 を貰 っ て帰 る方 が 妙 味 が ある と 、 そう なっ てく る と 、将 来 的
に は こ れ は 換 金 業 務 と い う の は 先 細 り に な っ てい く だ ろ う 、 と 私 は 見 て い ま す 。 そ う な っ て く る と 、
基 本 的 に は、 こ こ に は 「 手 数 料 制 」 と 書 き まし たが 、 換 金 業 者 と い う の は、 特 に 地 方 の 零 細 な ホ
ー ル を受 け 持 っ てい る買 取 所 と い う の は、 も う やっ てい け な い 、 そ こ で 定 額 の 手 数 料 と い う の を ホ
ー ル か ら 出 す、 こ れ は「 3 店 方 式 」 の第 三 者 性 の 問 題 、資 金 提 供 そ の も の で すか ら 、 これ は許 さ
れ な い 。 そ う な っ てく る と 買 取 所 をや っ て い く 方 法 と し ては 買 取 り の 手 数 料 、 所 謂 、 従 量 制 、 取
扱 高 に基 づく手 数 料 、 これ を誰 から取 るか ?客 か ら 取 るし かな い、 という 結 論 に 達 し てい く。更 に
い うと、中 小 零 細 の買 取 所 と いうの は、構 造 的 に も う手 数 料 を取 っ てもやっ ていけ な い、と いう形
に な っ てく る と 、 い く つか の ホ ー ル の買 取 所 を一 元 化 し た、 儲 かっ てい る大 規 模 ホー ル の 買 取 所
と そ う で な い 零 細 で 弱 小 な ホ ー ル に つ い てい る 買 取 所 を組 織 と し て統 合 し て、 そ の 中 の 手 数 料
をプ ー ル し て、売 上 の少 な い 所 の経 費 に 充 てると い う 、 そう い う方 向 性 し か、 今 後 買 取 所 をやっ
て い く 方 法 は 無 い で あ ろう と 考 え て い ま す 。 私 の 個 人 的 な 考 え で す が 、 将 来 的 に は 買 取 り 業 務
という のは先 細 り で、特 に、中 小 零 細 のホールについている所 は やっ ていけ なくなっ ていくと 、手
数 料 制 、 そ の 次 に は 買 取 業 者 の 一 元 化 、 売 上 プ ー ル 、 そ し てそ の 分 配 と い う や り 方 し か ビ ジ ネ
ス モ デ ル と し て 成 り 立 た な く な っ て い く で あ ろう 。そ れ が 出 来 な い 所 は 買 取 所 が 無 く な る 度 に 、 ホ
ー ルを止 める か、或 いは もっ と牧 歌 的 な営 業 方 法 になる のか?という選 択 を迫 られ ると考 えま
す。
講演レジュメ 第4 3店方式の適法要件から見る換金の将来像
(1) 手数料制
買取業者の第三者性は、経済的独立性が不可欠の前提であり、買取所は客からの景品買取価格として支払
った金額と買い取った景品を集荷業者に引き取ってもらって受け取る金額の差益を以て運営されていなければ
ならない。ホールから景品卸業者を通じて定額制の手数料の支払を受けることは、自家買い又は買い取らせと
なり違法である。
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講演レジュメ 第4 3店方式の適法要件から見る換金の将来像
(2) 換金等価営業の問題
以下のような二つの見解が考えられる。
A説:経済の常識からは、例えばホールが 1,050 円で仕入れた景品を、1,000 円分の出玉に対して提供し、買取所
がこれを 1,000 円で買い取るということはあり得ない。ホールが、通常の小売価格が 1,000 円のものを 1,050
円で仕入れるということは、その逆ザヤで間的に、買取所に資金を提供していることになり、自家買い又は買
い取らせとなり違法である。
B説:パチンコホールは、小売(物販)業ではなく、遊技を提供するサービス業であって、遊技料金から利益を得る
のであり、景品の仕入れ値と出し値の利ザヤを稼ぐ営業ではない。よって、通常の小売価格が 1,000 円のも
のを、1,050 円で仕入れて、1,000 円分の出玉に対して提供しても何らおかしいことではない。
上記A説に立つとなると、将来的にいわゆる換金等価営業は、等価性の基準に違反する、或いは、条例で禁止さ
れている「著しく射幸心をそそるおそれのある行為/営業方法」に該当するとして許されないこととされる可能性が高
い。
( 2 )換 金 等 価 営 業 の問 題 (講 演 レジ ュメ 第 4- ( 2) )
二 番 目 の問 題 とし て、 それ を 突 き詰 め てい く とどう な る の か? と考 える と、 「換 金 等 価 営 業 」 は
今 後 許 され るの か ?と いう問 題 が出 てくる と思 いま す。 パチン コ ホー ル の換 金 等 価 営 業 に つ い て
は、小 売 価 格 、例 えば、4 40 円 の煙 草 を4円 のパ チン コ玉 なら 110 個 で 44 0 円 分 、20円 のス
ロ ット の メダ ルで あれ ば 22 枚 で提 供 する、 これが等 価 交 換 。景 品 が小 売 価 格 と同 じ で なければ
い け ない。景 品 が 1 ,000 円 の小 売 価 格 な ら 1 ,0 00 円 分 の も のと交 換 し なけれ ばい けな いと いう
の が等 価 基 準 の眼 目 です。
で は 44 0 円 或 い は 1 ,00 0 円 の景 品 を 5 00 円 で 仕 入 れ て 4 40 円 で出 し て良 いの か、1 ,0 50
円 の景 品 を 1 ,000 円 で仕 入 れ て 1 ,00 0 円 で提 供 し て良 いの か、と いう問 題 が今 少 し言 わ れ始
めています。大 阪 などはそうです。大 阪 は「3店 方 式 」の買 取 所 が非 常 に高 コスト体 質 になって
い る 。 警 察 官 が 沢 山 天 下 りし て 高 い 給 料 をも ら っ て い る の で 、 物 凄 い 高 コ ス ト 体 質 に な っ て い て 、
換 金 手 数 料 の換 金 の 扱 い 量 が減 っ た こ と に よっ て立 ち い か な く な っ て 、 そ う い う こ と に な っ てい る
と い う側 面 も あり ます が、将 来 的 に は こ の「 3 店 方 式 」 、 こ の切 り 口 に お い ては 、資 金 提 供 の有 無
と いう のが あり ますが、所 謂 、 1, 000 円 で提 供 してい る景 品 をホー ル が 1 ,0 50 円 で仕 入 れ ている
と い う 点 に つ い ても 、 手 を突 っ 込 ま れ る 可 能 性 が 、 今 は そ ん な に 言 わ れ てい ま せ ん が 、 今 は そ う
い う実 態 が あっ ても、合 法 的 で あると いう結 論 にな っ てい ます。何 故 な らホー ル営 業 者 が いく ら で
賞 品 を仕 入 れ る か は 自 由 、 憲 法 で 許 さ れ て い る 経 済 活 動 の 自 由 の 一 つ 、 そ れ をい く ら で 出 す
か ? それ に つい ては等 価 性 の基 準 だ から 通 常 の 小 売 価 格 と イコ ール で あれ ば良 い、だか ら通 常
の 小 売 価 格 より高 く仕 入 れ た もの を通 常 の小 売 価 格 で、つ まり安 い値 段 、逆 ザヤ で出 し ても良
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い と い う 考 え 方 が 出 てき ま す 。 な ぜ な ら ホ ー ル は 小 売 業 で は な い 、 遊 技 と い う サ ー ビ ス を提 供 す
る こ と に よ っ て 、 利 益 を得 れ ば 良 い の で す か ら 、そ う い う 逆 ザ ヤ サ ー ビ ス だ っ て営 業 方 法 とし て あ
り 得 る と い う の は 今 の 考 え 方 。 た だ そ こ を突 き 詰 め て行 く と 、 い や そ う で は な い 、 経 済 の 原 則 だ っ
た ら 1 ,00 0 円 で出 すも のは それよ り安 く仕 入 れて 出 さ な いと いけ ない。 950 円 で仕 入 れ たG賞 品
を、例 え ば、1 ,000 円 分 にし て出 す、そ れ を客 は 1 ,000 円 分 とし て貰 った も の を買 取 所 に持 って
行 き これ を 920 円 で買 い取 っても らう。9 20 円 で 買 い取 った も の を買 取 所 は 930 円 で集 荷 業
者 に卸 す、 そして集 荷 業 者 或 いは景 品 卸 業 者 が、 これ を 95 0 円 でホー ル に卸 す。 そうで なけ れ
ば い け な い と い う、 そ れ ぞれ の 取 引 の段 階 毎 に経 済 的 常 識 に則 っ た利 益 を出 し てい な け れ ばダ
メ だ と いう こ と に なっ てく る と、換 金 等 価 営 業 と いう の は今 後 将 来 的 に N G に なっ てい く で しょ う、ま
だ そ こ ま で はや ら れ て はい ま せ ん が。 そう いう 意 味 で は、 そ の部 分 が 問 題 視 、「 3 店 方 式 」 の合 法
性 如 何 に つ い て も 、 問 題 視 さ れ てく る で あ ろう 可 能 性 は あ る け れ ど 、 現 在 は そ こ ま で は 言 わ れ て
いないという状 況 です。私 の全 く個 人 的 な推 測 です が、そういう日 が来 る のでは ないか?と思 っ
てい ます。
以 上 、色 々横 道 に それ ました が、換 金 に関 するお 話 を終 わります。
遊技産業健全化推進機構 『機構ニュース』 三堀弁護士の連載頁
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― 質 疑 応 答 ―
オ ブ ザ ー バー A
本 日 のプ レ ゼン テー シ ョン は業 界 に とっ て健 全 化 に 向 け た 非 常 に良 い 提 案 、
ま た 、 先 生 が 健 全 化 推 進 機 構 の 「 機 構 ニ ュ ース 」 の 中 で 三 回 に 渡 っ て述 べ てい る 一 元 化
と い う問 題 、 こ れ も大 賛 成 で 出 来 れ ば こ の業 界 が 一 元 化 し 、 そし てお客 様 か ら手 数 料 を取
る と い う 健 全 化 に 向 け た 方 策 を、 こ の 業 界 に 是 非 取 っ て い た だ け た ら と 思 う 。 出 来 れ ば 健
全 化 推 進 機 構 か ら こ の 問 題 を業 界 に 向 け て提 案 し て い た だ く と い う の も 一 つ の 方 向 か も し
れ な い。各 都 道 府 県 別 に、じっ くり と この問 題 を掘 り下 げよう とか、色 々と健 全 化 に向 け てや
っ てい く 必 要 が あ る と い う意 味 で は 大 賛 成 で す 。な か な か 今 ま で 通 り で 良 い と い う 方 達 が 多
過 ぎ て、 こ の 健 全 化 に 向 け た 方 向 と い う の が、業 界 の方 達 の 歩 み が非 常 に遅 い の で す が、
こ の よ う に 明 確 に ロ ジ ッ ク 、 法 的 な 見 解 を提 示 す る こ と に よ っ て 、 や ら ざ る を 得 な い と い う 方
向 に、多 分 向 かっ てい くでし ょう 。是 非 今 後 共 、業 界 全 体 のた め に お力 添 え を戴 き たい。
永沢委員
よ く解 らないのが、 「自 家 買 い」と「買 い取 らせ」行 為 というのは具 体 的 にどう違 うの
か?ということです。 「買 い取 らせ」は 「自 家 買 い」の実 質 的 な行 為 という か、実 質 的 な「自
家 買 い 」 と 捉 え る と 、 一 つ の 定 義 と し てわ か り 易 い の で す が 、 「 買 い 取 ら せ 」 と い う 、 「 自 家 買
い 」 と は 違 う 定 義 と し て「 買 い 取 ら せ 」 が あ る と い う の は 、 何 か 要 件 が 別 に あ る の か ど う か ? ど
う いう行 為 が 「自 家 買 い 」 で はな い 「買 い取 ら せ 」で あ る 、と いう よう な範 疇 が ある の か? と い
う のが解 ら ない の で お聞 か せ下 さ い。
三堀
私 は 、 か つ て、 「 自 家 買 い 」 で 摘 発 さ れ た 所 を担 当 し た こ と が あ り ま す 。 そ れ を、 「 自 家 買
い 」 では な い、「買 い取 らせ 」な んだと いう方 向 に落 着 さ せよう と努 力 した の ですが、 ほ とんど の
場 合 は、 「自 家 買 い 」 で挙 げら れて いま す。
そ の 要 件 と い う の は、 ま ず 、買 取 資 金 が 完 全 にホ ー ル か ら 出 てい る 、 ホ ー ル が 買 取 り によ
る 利 益 に 与 か っ てい る 、 景 品 が 全 て そ の ホ ー ル 単 体 の 専 属 で 還 流 が 行 わ れ て い る 、 こ の 3
要 件 だ と思 い ます。 こ れ のど れ かが 欠 け る と、 「買 い 取 ら せ」 に な る のだ と思 い ます 。要 す る に、
ダ ミー です 。実 質 的 にダ ミー で、本 当 は ホー ル が買 い取 っ てい るとし か見 ら れな い と いう 場 合
は 、 「自 家 買 い 」 に な る。だ けど 何 か形 式 的 に では な く て 、 実 質 的 に ホ ー ル が買 取 っ てい る と
な る と 、 特 に 大 き い の が 買 取 資 金 。 買 取 資 金 を 含 む経 費 が ホ ー ル か ら 出 てい て 、 し か も イ
ニシャ ルな部 分 (初 期 費 用 )から出 ていて、景 品 の還 流 が行 われ ていると いう のが一 番 重
視 さ れる と 思 いま す。 利 益 に 与 か っ てい る と いうの は 、 実 は 少 し警 察 も い い加 減 なと こ ろが あ
り 、 自 分 達 が 「 自 家 買 い 」 をす る こ と に よ っ て 、 買 取 り に 要 す る コ ス ト を削 減 し た と い う 意 味 で
も 、 利 益 を上 げ てい た と い う こ と と し て 、 警 察 は見 て い る よ う で す 。 か つ て、 数 年 前 に 渋 谷 警
察 署 管 内 で 、 「 自 家 買 い 」 で 挙 げ ら れ た 例 が あり ま す が 、 こ れ は 数 年 間 に わ た っ て 、 確 か 何
億 円 の 買 取 手 数 料 ・経 費 を削 減 し た と いう こ と に よ り 利 益 を得 てい た 、 と いう 新 聞 報 道 が さ
れ てい まし た。 そう いう点 で 「自 家 買 い 」 の規 制 を強 調 する警 察 発 表 だと は思 い ますが 、「自
家 買 い 」 で ある こと を 強 調 し てい たが、 基 本 は所 謂 、 イ ニシ ャ ルコ スト を含 む買 取 費 用 を出 し
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て い る こ と と 、 景 品 の 買 取 り に よ る 利 益 、 副 次 的 に 買 取 り を支 配 す る こ と で 利 益 を得 て い る 、
と いう こと でし ょう 。
永沢委員
「 自 家 買 い 」 で は な い 「 買 い 取 ら せ 」 と い う の が 成 り 立 つ の か ど う か ? と いう の は 、 要
は そ の 無 価 値 な 物 を買 い 取 ら せ る た め に は 、 そ の 後 自 分 が 買 取 る と い う 行 為 が ワ ン セ ッ ト で
な い と、業 者 とし ては、 い くら 、「買 い取 ら せ 」の 要 請 をされ たと し ても 、経 済 的 な裏 付 け が あっ
て、 初 め て 「買 い取 ら せ 」行 為 が成 立 する こ と にな る の か と思 い ます。 だと する と、 そ れは実 質
的 に は 「自 家 買 い 」 を第 三 者 を噛 ま せ てし ている だけ の 行 為 で、 「自 家 買 い」 と は全 然 別 に、
「 買 い 取 ら せ 」 が 独 立 し てあ る と い う の は 、 な か な か 成 立 し に く い 。 無 理 に 「 買 い取 ら せ る 」 こ と
を し ても 、 そ れ をど こ か 引 き 取 っ てく れ る 所 が あ っ て 、 最 終 的 に ホ ー ル が 責 任 を持 っ て く れ な
い と 、 ホ ー ル に よ る 「 買 い 取 ら せ 」 行 為 と い う の は成 立 し な い の か ? そ う す る と 、 そ う い う点 で
は わ ら人 形 を噛 ませ た 「自 家 買 い 」 の こと を、 「買 い取 ら せ 」 と いう よう に言 っ てい るだ け に過 ぎ
な い の では ない か? と思 っ たの です が・ ・・ ・。
三 堀 例 えば、 普 通 は (田 舎 なん かだ と )最 終 的 に ホー ル が無 価 値 な物 を高 く 買 っ てく れる から 、
「買 取 り」 をや っている。 それ は「買 い取 らせ 」の レベ ル です。
永 沢 委 員 逆 に いう と、 そ の「買 い取 ら せ 」と いうの は 別 に違 法 な のかど うか ?高 く買 う か ら 「買 い
取 らせ 」と いう こと には必 ずし もな ら ない の では ない でし ょう か?
三堀
そ の ホ ー ル と の 間 の 約 束 で 、 契 約 を結 ん で そ れ をや っ て い る と な る と 、 「 買 い 取 ら せ 」 に な
るだ ろう、 という と ころです。
永 沢 委 員 逆 にいう と、 それは ホー ルが 1 ,0 50 円 で買 取 る から こ そ、買 取 業 者 は 1 ,0 00 円 で
買 取 る、 つまり、 ホー ルが 1 ,000 円 でし か買 取 らな い も のだとす ると、 それ を 1 ,0 00 円 以 上 で
買 取 る 買 取 業 者 は い な い と 思 う 。 だ か ら ホ ー ル が 最 終 的 に い く ら で 買 取 る と い う と こ ろか ら ス
タ ー ト し て 、 卸 業 者 は そ れ よ り 少 し 安 い 値 段 で しか 買 取 業 者 か ら 仕 入 れ な い と 、 だ と す る と 、
買 取 業 者 は お 客 さ ん か ら 少 し安 い 値 段 で しか買 取 ら な い。 そ うす る と ホー ル が 1 ,000 円 で
提 供 し た も のが 、930 円 とか で、買 取 業 者 が買 い 取 る と いう こと に なっ て、ス タート が ある か ら
ゴ ー ル が ある と いう わけ で は な く て、 た ぶ ん ホー ルが い く ら で 買 い取 る と いう行 為 をす るか ら 、そ
れ に合 わ せ て卸 業 者 や買 取 業 者 が その価 格 を設 定 す ると いう関 係 にな るの か と、一 般 的 に
は 思 う の で す が 、 そ の 関 係 と そ の 「 買 い 取 ら せ 」行 為 と い う の が 、 つ ま り、 典 型 的 な 「 買 い 取 ら
せ 」 行 為 と いう の は、 要 は 「 自 家 買 い 」 の こ と に なっ てし まう の か ? 「 買 い取 ら せ 」 を強 要 する と
か 、「買 い取 ら せ 」る行 為 と いう のが何 による の でし ょうか?
三堀
おそらく資 金 提 供 だと思 います。買 取 るだけ、市 価 より高 い値 段 で買 い取 るだけだ と、こ
れ は資 金 提 供 とま で は言 え な いだ ろうと いう こ とで す 。定 額 で払 う、例 え ば買 取 資 金 とは別 に
月 5 0 万 円 で や れ と い う こ と をや っ てい る と な る と 、 契 約 で や っ てい て 買 取 所 の 人 件 費 だ と か
光 熱 費 だと か出 し てい る とい う こと に な ると 、こ れは 言 っ てみ れば こ の お金 で 買 取 業 者 が独 立
し て や っ て い る 、 ひ も は つ い て い る が 、 そ の ひも 付 き の 部 分 が 「 買 い 取 ら せ 」 だ と い う こ と に な る
の だと思 います。
永 沢 委 員 で もそれ は逆 にいう と「自 家 買 い」 に限 り な く近 いよ うな感 じ ですね。
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三 堀 近 い で す よね 、 で も 「 自 家 買 い 」だ と か なり 露 骨 です 。田 舎 だ と 大 体 が 「 買 い取 ら せ 」 に 該
当 し てしまう場 合 が多 い が、「買 い取 らせ 」 で摘 発 し た例 はま ずな い の では ない でし ょうか ?
永 沢 委 員 構 成 要 件 を考 え に くい ですね。
三 堀 考 え に く い です。 い ま のご 指 摘 、構 成 要 件 を考 え に く い と いう の はま さ に そ の通 り で、 「買 い
取 らせ」で摘 発 された事 例 という のは まずないのでは ないでしょう か。何 故 、「買 い取 らせ」に
ならないのかといつも思 っ ていまし た。 「買 い取 らせ」でやられ ないのか?逆 に「自 家 買 い」で
や ら れ たと き に「買 い取 ら せ 」 にし てくれ な い のか? と。 そ れは いま ご指 摘 を受 ける ま で あま り考
え た こと があ りま せん でし たが、確 かに構 成 要 件 を考 え に くい です ね。
田宮委員
卸 業 者 に つ い て 「 人 的 関 連 性 」 に つ い ては 買 取 業 者 と ホ ー ル と の 間 に 重 点 が あ っ
て、 卸 業 者 と の 関 係 は(レ ジ ュ メ 第 2 - 2 ) の (ア )- ( う )と (ウ ) - (う ) の 2箇 所 で、所 謂 、 ホー ル
と 買 取 業 者 と の 関 連 性 に 等 し い 関 係 性 が な い か 確 認 す れ ばよ ろし い 、 と書 い てあ り ま す がそ
れ つ い ては 何 か 他 に 考 え る こ と が な い の か ? と い う こ と 。 あ と 、 卸 業 者 と買 取 業 者 と の 関 係 と
い う の は 特 に 考 え な く ても い い の か ? そ れ と も 、い ま こ こ は ホ ー ル が 中 心 な の で ホ ー ル と し ては
そ れ を考 え な くても い い、と いうこ と なの でし ょうか?
三堀
逆 にいうとホー ルと卸 業 者 という のは契 約 関 係 があるが、基 本 的 に独 立 した関 係 でここ
が 買 取 り をや っ てい る と な る と 、 買 取 業 者 と 取 引 をし てい る と い う こ と で か な り 望 ま し く な い こ と
だ と 思 い ま す 。 少 な く と も 「 買 い 取 ら せ 」 を疑 わ せ る 。 買 取 業 者 と 卸 業 者 の 関 係 と い う の は そ
ん な に べっ た り 経 済 的 に 一 体 だ と 問 題 は 出 てきま す が 、 そ ん な に 深 く 考 え な く ても い い と 思 い
ます 。す でに卸 業 者 と買 取 業 者 は 間 に集 荷 業 者 ・別 の業 者 が間 に入 る 場 合 もあり ます が
基 本 的 には そ こで取 引 関 係 が あります。 ホー ルと卸 業 者 の取 引 関 係 があ るわけ です から、 そ
こ に は ある程 度 の関 係 が あっ ても い い でしょう。 (注 )
田 宮 委 員 要 す る に 我 々 と し ては 一 番 気 に し なく ては い け な い の は ホ ー ル 業 者 と 買 取 業 者 と の
間 の関 係 で、こ の関 係 をク リア にし てお けばよ いと いう こと でし ょうか ?
三堀
そ う で す 、 お そ ら く 買 取 業 者 と 卸 業 者 がべ っ た り 一 心 同 体 で あ っ て、 ホ ー ル 業 者 が 買 取
業 者 と取 引 し ている と見 ら れるよう な実 態 が な い限 り問 題 はな いと いう ふう に考 え られます 。
(注 )い ずれ もホ ール と卸 業 者 に取 引 関 係 があ る とい う 当 然 の こと を前 提 とし て、
* 卸 業 者 が買 取 り をし て い る と 、 自 家 買 い に はな らな い が 、 2 店 方 式 にな る 。 こ れ は 、ホ ール が 直 接 的 な
取 引 関 係 を通 じ て直 接 的 に 影 響 力 を行 使 で き る 卸 業 者 = 買 取 業 者 に 買 取 り を さ せ て い る の で あ る か
ら 、2 店 方 式 と は要 する に「買 い 取 ら せ」 にな る 。
*卸 業 者 と買 取 業 者 に景 品 の引 取 に関 する取 引 があ っても、卸 業 者 ≠買 取 業 者 であれば適 法 な「3
店 方 式 」 で あ る と い え る 。ホ ール 業 者 ・ 卸 業 者 間 、卸 業 者 ・ 買 取 業 者 間 に そ れぞ れ 取 引 関 係 があ っ て
も 、ホ ール 業 者 と買 取 業 者 に直 接 的 な 取 引 関 係 を通 じ た 影 響 力 行 使 の 余 地 がな い か らであ る 。
以 上 の 理 解 か ら、
「自 家 買 い」とは、ホール業 者 が買 取 所 の運 営 経 費 を負 担 し、かつ、買 取 りによる損 益 が実 質 的 に
ホ ール 業 者 に帰 属 する 場 合 をい う。
「 買 い 取 ら せ 」 と は 、 ホ ー ル 業 者 が買 取 所 の 運 営 経 費 を 負 担 し た り し て 、 買 取 所 の 運 営 に直 接 的 な
影 響 力 を行 使 で きる があ る が、買 取 に よる 損 益 は買 取 業 者 に帰 属 する 場 合 をい う。
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井 出 先 程 の「 3店 方 式 」 の運 用 の中 で買 取 実 態 の中 に景 品 の 市 場 性 価 値 と いう のが あり まし
た が、 そ の市 場 性 と いう のはど の く ら いの レ ベ ルで見 れ ば良 いの か、ど の程 度 なの か? 特 殊 景
品 、換 金 に使 われ る景 品 の買 取 実 態 の 中 に還 流 と市 場 性 と資 金 ・・ ・・ で市 場 性 という の は
どれ く ら いあ れば市 場 性 が あると認 め られ るの か?例 えば ホー ル業 界 だけ で使 わ れ てい るよう
な 景 品 と いう のは市 場 性 が ある と認 め られ るの か?
も う ひと つ は こ の 見 解 の 中 に は出 てき ま せ ん が、買 取 所 の 立 地 要 件 と いう の を P T B の 評 価
基 準 の 中 に は 一 応 入 れ て お り 、 要 は 一 体 と な っ てい る 所 も あ れ ば 分 筆 し て中 に あ る も の も あ
れば、完 全 に離 れているところもある、そのへんの見 解 とか情 報 があれば教 えていただき た
い。
三 堀 先 ず立 地 に つ い ては、同 じ建 物 の中 にあっ ても良 いと思 う、出 入 り 口 さえ違 えば一 体 で あ
っ ても 良 い と 思 い ま す。 な ぜ な ら 今 同 じ建 物 の 中 に 別 の お 店 が入 っ てい る と い う の は あり 得 ま
す から、 それ は問 題 な いと思 っ ていま す。
市 場 価 値 について、大 阪 の例 ですが、大 阪 で最 近 、換 金 等 価 営 業 が認 められなくなっ
たと いう ことで、関 連 し て出 し ている景 品 がいくらくらいする のか ?と いう のを調 べさせるのに、
「ど こそこのお店 でいくらで売 っ ている」という のを、賞 品 と一 緒 にレシー トを持 っ てき て出 せ
と ・ ・ ・基 本 的 には 、ま ず原 則 はホ ー ル業 界 の中 で 動 い ている も のだ け ではダ メだ、 と いう こ とな
の で す が 、 オ リジ ナ ル の 賞 品 に つ い ては 類 似 の も の が だ い た い い く ら く ら い な の か 調 べ てく れ ば
い い 、 と い う と こ ろで す 。 こ れ は答 え に な っ てい な い と 思 い ま す が 、今 ど のよ う に 運 用 さ れ てい る
の か ? と いう 点 に関 し て一 番 厳 しい と思 われ る大 阪 で の実 例 で、 他 で も売 っ てい る も のだ っ た
ら 買 っ てレシー ト を持 っ て来 い、 そう で ない も の につ い ては同 じよう な も のが い く らぐ ら いする か?
客 観 的 に出 せ、 と いうレ ベ ルです。
井出
業 界 だ け で 回 っ て い る 景 品 で あ っ ても 一 般 に 開 か れ て 売 ら れ てい る 状 態 で 類 似 の 賞 品
が そ の くら い の価 格 のレ ベ ルで あれ ばOK と いうこと です ね。
オ ブザ ーバー A 少 し 1点 だけ、大 阪 が特 殊 景 品 の利 幅 をある程 度 取 るこ と を指 導 し て、全 く粗
利 益 率 ゼロ で出 すと いう こと を、 できれ ば 10 %な り 15 %な り利 幅 を取 り なさ いと全 体 は指 導
さ れ てい ます が、何 箇 所 か未 だ に利 益 ゼロ で やっ てい て 、ダ メだ と いう こ とま で は言 わ れ ていま
せ ん 。 そ れ は 東 京 と 同 じ 「 金 」 賞 品 を持 ち 込 ん で ゼロ で や っ て い る と い う こ と に 対 し て、 そ れ が
ダ メ だ と は 警 察 は 言 い 切 れ な い 。 た だし 、仰 る 通 り で き れ ば 業 界 全 体 が 一 定 の ルー ル で 1 割
な り 2 割 な り 利 幅 をと る こ の ア ロ ー ア ン ス の 中 で 全 体 が や っ た 方 が わ か り 易 く て正 常 で は な い
か ? と個 人 的 には そう考 えま す。 こ の問 題 も将 来 一 元 的 に そう いう こ と をやっ た方 が良 いと い
う 意 見 で す が 、 実 際 に は な か な か 業 者 は 言 う こと を聞 か な い と い う よ う な 状 況 に あ る よ う で す 。
だ から警 察 が何 も言 えな い。
三 堀 いく ら で仕 入 れる かは自 由 です から 。
オ ブ ザ ー バー B い ま の お 話 の中 で ひと つ 訂 正 が あ り ま す。大 阪 の金 景 品 をやっ てい る と こ ろは、
2 6 玉 交 換 で 、 2 5 玉 の 等 価 で は あ り ま せ ん 。 やは り 業 界 等 価 は 認 め な い と い う 話 の 中 で 、 大
遊 協 傘 下 の と こ ろは 、 2 6 玉 の 交 換 で 通 常 は 28 玉 で や っ てい る の だ と 思 い ま す 。 弊 社 の あ る
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お 客 様 の と こ ろは、金 賞 品 を東 京 と同 じ よう に入 れ ても らっ てやっ てい ます が、 それ は 26玉 の
交 換 です。
オ ブ ザ ー バー C 先 程 、 市 場 性 の 問 題 で 大 阪 で は ネ ッ ト で 販 売 し てい る も の に 関 し ては 市 場 性
をあ ま り認 め な い、 一 般 の路 面 等 で 、最 低 で も 25 店 舗 程 、取 扱 い が なけ れば 市 場 性 が ある
と は 言 え な い と いう こ と を警 察 か ら 言 われ た が、西 日 本 の他 府 県 で も そう いう こ と に な ると これ
から厳 し い。ネット でということが OKであればいいのですが、実 際 に売 っていないといけ ないと
いう ことであればネット以 外 のところでないと認 められないという のはちょっと違 う のではない
か ?と思 い ますが、 そ のあ たりはどう でし ょうか ?
三 堀 い ま販 売 チ ャン ネ ル が多 角 化 し てい て同 じ 品 物 で も い ろい ろ な 値 段 が つ い ている 、スー パ
ー マー ケ ット 、デ パー ト、量 販 店 、 ネ ッ ト等 々。 ネッ ト を除 外 す ると いう の は ・・ ・ ネ ット は小 売 ・通
信 販 売 です か ら、 ネ ット を除 外 する と いうセンスが ち ょっと わか りま せん 。だか ら た ぶん認 めざ る
を得 ない の では ない でし ょうか ?こ れは個 人 的 な見 解 ですが ・・ ・
※ 市 場 性 に つ い て イ ン タ ー ネ ッ ト で 販 売 さ れ てい る 物 の 価 格 で も 認 め ら れ る か 、 と い う こ と に つ い
ては 社 員 会 社 法 務 担 当 者 より、警 察 庁 か ら一 般 景 品 に つ い て「 イ ンターネ ット で売 られ てい る価 格
に つ い ても市 場 価 格 の範 囲 として考 える 」と口 頭 で見 解 を頂 い ている、 との お話 があ りまし た。
講 演 会 出 席 者 (敬 称 略 )
P TB評 価 委 員 会
P TB 評 価 委 員 会 委 員 長
横山 和夫
P TB 評 価 委 員 会 委 員
田 宮 治 雄 、永 沢 徹 、末 川 修 、山 中 健 児
P TB 調 査 事 務 局
井出 博之
オ ブザー バー出 席 者 (PT B社 員 会 社 )
佐藤 洋治
㈱ ダイナ ムジャ パ ンホ ール ディ ング ス 代 表 執 行 役 社 長
㈱ ダイ ナム
取締役
森 治彦
リスク管 理 部 部 長 代 行
檜垣 賢一
夢 コー ポレーシ ョン ㈱
リ スク ・ コ ンプラ イア ンス推 進 部 部 長
荒田 政雄
㈱ ニラ ク
経 営 企 画 室 コンプラ イアンス担 当 マネ ジ ャー
高橋 昭
㈱ア メニ テ ィーズ
執行役員 総務人事部長
山村 高士
執行役員 財務戦略部長
名久井 淳史
財務戦略部次長
小林 恒幸
オ ブザー バー出 席 者 (PC S A関 係 )
前参議院議員
秋元 司
㈱ ダイ ナム
情報管理部広報担当
光廣 義宣
営業業務部業務担当
藤原 貴
メデ ィアシス テム ㈱
シ ニアマ ネジャー
臼井 政博
三 本 コーヒー ㈱
管理部
石黒 勝
㈱大 商
常務取締役
平野 真人
景品流通部課長
中木 良平
東和商事㈱
平井 社長
ギ ルドア ミュー ズメン ト㈱
部長
高山 世奉
以上
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