Passport to Airline Business

Passport
to
Airline
Business
[ 総合職事務職 ]
P a s s p o r t
t o
A i r l i n e
B u s i n e s s
世界をつなぐ航空輸送事業。
その未来を担い、
新たな価値の創造者として活躍する
総合職事務職、それぞれの視線。
お客様と共に最高の歓びを創りたい。ANA の社員は、
それぞれの「翼」への想いを胸に、さまざまなポジションで活躍しています。
ビジネス、旅立ち、帰省、観光・・・人々の航空機利用のシチュエーションは、その目的により多岐に渡ります。
ANA の翼をご利用いただくすべてのお客様の期待に応え、安全で快適な空の旅を実現するために、
ANA にはじつにさまざまな仕事が存在するのです。
特定地上職、運航乗務職、客室乗務職、総合職技術職、そして ANA グループの仲間――
ひとつのフライトを支えるために数多くのプロフェッショナルが存在しています。
しかしエアラインビジネスにおいては、それらに加え、つねに航空ビジネス全体、そして日本・世界の
社会経済状況を広く見渡して、積み上げられるプロの仕事一つひとつを、有機的に結合させ、
マネジメントする「プロフェッショナル」の存在が不可欠なのです。
21 世紀の空に新たな価値を創造していく、それを可能にするのが総合職事務職です。
02
03
Passport to Airline Business
ANAグループの未来を見つめ、
21 世紀の空に新たな価値を創造する
担い手になるということ。
総 合 職 事 務 職 の フィー ルド
ANA グループの中核を担う航空事業は、さまざまな部門が機能別に分かれて構
成されています。販売活動を担当する「マーケティング・販売部門」、国内外の空
港運営を担当する「空港オペレーション部門」、客室サービスを担当する「客室部
門」、航空機のオペレーションを担当する「運航部門」、機体整備や技術開発を担
当する「整備部門」がそれにあたります。また、これらの機能別に分かれた各部
総合職技術職
運航乗務職
航空機整備・運航
関連技術管理
航空機操縦
客室部門
門をサポートする「企画・管理部門」
が存在します。マーケティング、
セー
ルス、客室サービス、空港サービス、
貨物、運航管理、IT、財務、法務、
空港オペレーション部門
空港系
空港・客室サービス
空港・運航管理
客室乗務計画・管理
販売系
運航部門
マーケティング
セールス
総合職事務職
貨物部門
経営企画など、さまざまな分野で
重要な役割を果たしている総合職
事務職は、国内外を問わずこれら
IT・貨物
経営企画など
マーケティング・販売部門
すべての部門が活躍のフィールドと
特定地上職
客室乗務職
なります。
空港サービス
客室サービス
企画・管理部門
エアラインビジネスの 基 本 を身 に つ ける
ANA では人的側面における競争力の向上、とりわけ専門性を重視した人材の開
発と活用を進めています。社員一人ひとりが ANA というフィールドで「自分らしく」
成長することを支援しているのです。キャリア開発を始めるにあたり、総合職事務
職は第一にエアラインビジネスの「基本」を確実に身につけなければなりません。
ここでいう基本とは、サービスの提供や商品の販売において基本的な品質と収益
総合職事務職はそれぞれの担当分野で求められる高度なスキルや知識を身につ
力を維持できるレベルを指します。エアラインビジネスに求められる安全性、快適
けながら、各分野の、そしてエアラインビジネスのスペシャリストとして活躍する
性、定時性、利便性、経済性などの要素をつねにお客様の満足、そして感動の
ことが期待されているのです。
レベルに維持向上させていくことは、ANA 社員に求められる基礎的要件であり、
企業間競争が熾烈になればなるほど欠かせない基本といえます。エアラインビジ
プ ロ フェッ シ ョ ナ ル として 新 た な 価 値 を 創 造 す る
ネスの「基本」を身につけた上で、
「専門性」を追求していくのです。
エアラインビジネスのベースを知り、各分野における専門性を高めると同時に、全
体についての広い知識と視野を持つ。身につけた専門性に幅広い視野が伴うこと
担 当 分 野 の ス ペ シ ャリスト として 専 門 性 を 追 求
04
で、一人ひとりがスペシャリストからプロフェッショナルへと成長し、ANA の総合
総合職事務職にとって「専門性」とは、担当業務を自律的に遂行し、複雑で高
職事務職として「自分らしさ」を確立していくのです。総合職事務職は ANA とい
度な課題に対しても期待を超える成果を創出できるレベルを指します。このレベ
う組織の舵取りをするプロフェッショナルとして、ANA グループの「チャレンジ」
ルの人材がその職務や分野のコア人材となりうるのです。総合職事務職として入
を支え、マーケットに選ばれるエアラインであり続けるために、これからも新しい
社後は、エアラインビジネスの基本を身につける「キャリア形成期」を経て、異
価値を創造し提供する担い手となることが期待されているのです。
なるフィールドの業務を経験しながら、キャリアを確立していきます。
───この空にそれぞれの想いを実現するために。
05
Business
Front
M
a r k e t
T r e n d
より上質なプロダクト & サービスの追求
首都圏空港の発着枠の拡大は、ANA にとって大いなるビジネスチャンスであると同時に、さらに熾烈
な競争環境の到来を意味します。一方、私たち ANA に対するお客様の期待は、路線距離や飛行時間、
搭乗目的などによって、ますます多様化していくことでしょ
う。ANA はこれまでも、お客様の多様なニーズを踏ま
翼とお客様の接点で
サービスとオペレーションをコントロールする。
えて、既存プロダクトのリニューアルや新たな発想による
サービスを開発し、提供してきました。今後も先駆的で
一貫性のある ANA ブランドの構築のために、より上質な
プロダクト&サービスを追求していきます。
S
空港オペレーション部門
t r a t e g y
ネットワーク競争力の向上のために
客室部門
01
国 際 線ネットワークの拡 大
運航部門
ANA は 2010 年の首都圏空港拡張を機に、首都圏の2
欧州
北米
貨物部門
つの空港を「デュアル・ハブ」として活用していきます。
羽田空港の昼間帯は近距離アジア路線を、早朝・夜間帯
成田
成田発̶中長距離・接続
マーケティング・販売部門
羽田
羽田発̶東アジア主要都市
は中・長距離国際線の就航を計画しています。成田空港
は更にネットワークの強化をはかり、欧米と中国・アジア
間の乗継需要の取り込みも進めていきます。同時に航空
企画・管理部門
業界の自由化の進展に備え、グローバルな視点でプロダ
中国・アジア
クト&サービスの競争力強化を図っていきます。
02
パートナーキャリアとの連 携による競 争力向上
首都圏空港拡張による国際線の増便に加えて、スターアライアンス加盟社を中心としたパートナーキャ
オペレーション・サービスの仕事
リアとの提携を更に強化し、効率的なネットワークの拡大を進めていきます。2010 年 11 月現在、26 社
の航空会社がスターアライアンスに加盟し、スターアライアンス加盟社の旅客輸送量は全世界の国際
空港、客室、運航の各部門では、日々の運航の
線のシェアの 3 割を超える規模となりました。世界での航空自由化の流れが加速し、航空会社間の
フロントラインである空港をメインステージとし
戦略提携のより一層の深化が図られています。スターアライアンスでの 10 年にわたる経験を活かし、
て、安全運航と品質向上を目指した業務を行っ
ANA は今後も世界中のお客様に選ばれることをめざし、競争力を強化していきます。
ています。日常のオペレーションだけでなく、
ANA の将来を中長期的に見据え、お客様に選
ばれるエアラインである為に、イノベーションし
続けていくことが求められます。
03
日本発のひらめきを世界に、
新ブランド“inspiration of Japan”をスタート
ANA では、2010 年 4 月より成田−ニューヨーク線に就航の B777-300ER 新
造機を皮切りに、新たなプロダクトサービスブランド“inspiration of Japan”
を導入しました。キーワードは、
●「イノベーティブ」
新しい発見やワクワクする体験
●「際立つ個性」
期待を超えた歓び
●「モダンジャパン」
日本発の技術、細やかな心遣いや細部へのこだわり
いつ出会っても新しい発見や心ときめかせる体験を商品やサ−ビスで実現
し、お客様とANAとの間に新しい「ひらめき」や「感動」が次々と生まれ
続けるように、可能性を秘めた様々な価値の創造へと挑戦します。
06
07
Passenger Service
Operation Control
株式会社エーエヌエースカイパル(オペレーション統括本部付 出向)
田中 修 一郎
Shuichir o
Tanak a
オペレーション統括本部
OMC オペレーションサポート部
2007 年 4 月入社
株式会社エーエヌエースカイパルに出向
友松 亮
Ryo
To m o m a t s u
2004 年 4 月入社
成田空港支店ステーションコントロール部に配属
運航支援業務、搭乗載管理業務などを担当
2007 年 7 月
オペレーション統括本部
空港サポート部に異動
2010 年 4 月
オペレーション統括本部
OMCオペレーションサポート部(組織改編)
東京空港支店 旅客部
太田 陽介
Yosu ke
08
2007 年 4 月入社
東京空港支店旅客部に配属
Ota
変化をチャンスに、
変える力になる。
空港の最前線で、
飛躍へのヒントを得る。
羽田空港では、今日も分刻みで航空機が離発着を繰り
関西空港から世界へと旅立たれるお客様をお出迎えし、
返しています。ここでお客様一人ひとりが抱く空の旅への
期待に応え、ANA の翼を定刻に送り出すのが、東京空
「強いオペレーション」の実現に向けて、
確かな仕組みを構築する。
オペレーション統括本部のミッションは、現在の経営戦
ション」の達成度を“定時性”の観点から可視化し、中長
快適なフライトへと導くのが、私たちのミッション。海外
略に掲げている「強いオペレーションの実現」にあります。
期的な戦略策定の一翼を担うことです。ANA グループは
空港での乗継ぎや国ごとに異なるルールなど、国際線旅客
「強いオペレーション」とは、
“高い品質”を“高い生産性”
航空運送事業者として、お客様を“時刻表でご案内した
港支店旅客部スタッフの役割です。チェックインカウンター
のハンドリングを行うために求められる知識を身につけな
でお客様にご提供することです。そのなかで OMC オペレー
時間通り”に目的地へお運びすること、すなわち“定時性”
で、あるいは搭乗ゲートで、お客様のさまざまなご要望や
がら、お客様一人ひとりのご要望に耳を傾け、日々のサー
ションサポート部の役割は、限られた経営リソースをどのよ
をその基本品質として位置付けています。私は、目的地
ご意見に向き合いながら、自らのハンドリングスキルの向
ビスを点検し、空港におけるサービス品質の向上に取り組
うに活用し、いかにグループの成長につなげていくか、オ
へ時刻表通りの時間までに“到着”できていた割合を示す
上をめざすことはもちろん、お客様の声をヒントにエアライ
んでいます。整備、運航、客室といったそれぞれに専門
ペレーションの分野における“戦略”を考え、その戦略を実
「定時到着率」を ANA グループの新しい時間価値基準と
ンビジネスの可能性を模索していきたいとも考えています。
性の高い各部門との密な連携を図りながら、ANA の翼を
行するための“仕組み”を構築していくことであると考えて
して導入し、さらなる ANA グループの競争力強化に取り
加えて、空港で共に働くスタッフの充実感、満足度をいか
選んでいただいたお客様に、より安全で快適な空の旅を
います。
組んできました。新しい「定時到着」という価値観のもと、
に高めていけるかという点を意識して仕事をするようにして
ご提供できるようチームとしてサービスマインドを共有しな
1日に約 1000 便を就航させている ANA のオペレーショ
オペレーション上の課題を分析し、さらなる品質改善に取
います。2010 年、4 本目の滑走路が完成し、大きな変化
がら仕事ができる点が醍醐味です。
ン体制は、羽田空港にあるオペレーションの中枢を担う
り組むと共に、中長期的なオペレーション体制を検討して
のときを迎えた羽田空港ですが、その変化を最前線で経
お客様と交わす会話のなかには、ANA が国際線マー
OMC(= Operation Management Center)を中心として、
います。
験できるのは、とても有意義なことだと思っています。そ
ケットにおいてさらに飛躍するためのヒントが数多く含ま
国内外に約 75 の就航空港をかかえ、また、それぞれのフ
羽田空港の再国際化を契機としたオープンスカイの加速
の先の変化を視野に入れながら、人材の育成や組織のあ
れています。それらを肌で感じることのできる現在の経験
ライトに従事する運航乗務員、客室乗務員、整備士、グラ
に伴い、今後数年間で日本の航空業界を取り巻く情勢は大
り方についても思いを巡らせて、自ら変革をしていきたい
は、将来にわたってかけがえのない財産になると思ってい
ンドハンドリングスタッフなど、非常に多岐にわたる組織と
きく変化し、国内外における競争環境はよりいっそう激化
と考えています。
ます。さらに多くの出会いのなかで、お客様の思いに正
スタッフで構成されています。この幅広い経営リソースを有
していきます。このような激動の時代を勝ち抜くために、グ
私自身、日々の仕事を楽しいと感じていますし、お客様
面から向き合うことで、エアラインビジネスの新たな可能
機的に結びつけ、
「強いオペレーション」を創りあげていく
ローバルな視野を持ち、世界の最新情勢を積極的に取り入
にも、そしてまわりのスタッフにも、楽しんでもらいたいと
性を発見していきたいと思っています。これまでのサービ
ためには、安全性・定時性・顧客満足・収益性の各視点
れながら、
「強いオペレーション」の実現に“定時性”の観
思っています。そのために何ができるのか、何が求められ
ス、従来のしくみを常識として受け止めるのではなく、ま
を考慮し、トータルコーディネイトによる最適なオペレーショ
点から貢献していきたいと考えています。
ているのかを考えながら、空港という場所をますます魅力
ずお客様の目線で見直すことで、よりよいサービスを追求
ンバランスを検討していく必要があるのです。
的な空間にするための努力を続けていきたいと思います。
していきたいのです。
このような体制のもとでの私の役割は、
「強いオペレー
09
Passenger Services Planning
Product Services Innovations
オペレーション統括本部
旅客サービス部
商品戦略室
西村 健
室園 幸志
2002 年 4 月入社
1998 年 4 月入社
東京空港支店旅客部に配属
国内線の旅客ハンドリング業務を担当
東京空港支店旅客部に配属
国内線の旅客ハンドリング業務を担当
2005 年 7 月
2001 年 7 月
成田空港支店旅客部に異動
国際線の旅客ハンドリング業務を担当
千歳空港支店総務課に異動
空港業務の受委託管理、フロントラインスタッフ
の業務サポートを担当
K en
Nis himur a
K o j i
2007 年 4 月
M u r o zo n o
2005 年 4 月
オペレーション統括本部旅客サービス部に異動
オペレーション統括本部業務部に異動
国内空港の総代理店との契約業務
グループ会社の経営面でのサポート業務を担当
2008 年 4 月
商品戦略室に異動
お客様に感動を与えることができる
空港オペレーションの実現に取り組む。
10
一貫性をもったシームレスなサービスを
提供するための商品戦略を打ち出す。
空港オペレーションに関連する各部署の人員計画や次期
ながら、今回の新たなターミナルの開設にあたっても、つ
ANA はこれまで 「 あんしん・あったか・あかるく元気 !」
ANA の市場における競争力を確実に高めていく商品戦略
サービスの開発、品質向上のための人材教育などを統括
ねにお客様の目線を忘れずに、旅客動線や手荷物の預け
にあらわされるように、CS を基点とし「人」が 織り成す
の方向性を導き出します。その方向性に基づいた商品・サー
するオペレーション統括本部のなかで、旅客サービス部は、
方、ラウンジサービスなど、空港における旅客サービスに
ANA ブランドを創りあげてきて、市場から高い評価を頂い
ビスの具現化をしていくのが役割です。
空港での旅客サービスのあり方を検討し、新たな搭乗モデ
ついて一つひとつ再 確認しながら、ANA ならではの新し
てきました。一方商品・サービスに関しては、これまでも空
2009年11月に新プロダクトブランド「inspiration of Japan」
ルの開発や旅客ハンドリングにおける品質向上のためのさ
い国際線旅客サービスのあり方を検討しました。
港でのサービスや搭乗モデル、空港や機内の設備などにつ
を発表いたしました。「inspiration of Japan」には、
「イノ
まざまな取り組みを行っています。その中で、私が担当し
たとえば、お客様にストレスを感じさせることなくご搭乗
いては、それぞれ関連する部門・部署において検討を重ね、
ベーティブ」「際立つ個性」「モダンジャパン」の商品・サー
たのは、2010 年の羽田空港の国際化に伴う、新たな国際
いただくためには、空港にいらっしゃるその前の段階へと
それぞれに画期的な商品・サービスを次々と生み出してきま
ビスを展開する 3 つのキーワードがあります。このキーワー
線ターミナルの実現に向けたプロジェクトの推進です。国
考えを及ばせる必要があります。お客様の空の旅は、ご自
したが、一貫性やブランド力の観点から課題が多かったの
ドは、ANA としてお客様にお約束する価値や具体化した
際線ターミナル自体は、空港会社が所有し、ターミナルに
宅やオフィスを出るところからはじまっているからです。ご
も事実です。
商品・サービスを表現したものです。2010 年 4 月には、欧
配置される設備・機器類は、就航するエアライン各社共有
自宅やオフィスの近くでご搭乗の手続きを済ませ、手荷物
グローバルマーケットでの競争力を確保するためにも、
米線を皮切りに新プロダクト・サービスを導入し、順次世
です。私たちは、このターミナルのユーザとして、新しいター
をお預りすることができれば、よりスムーズにご搭乗いた
「人」に加えて「商品・サービス」のブランド力を高めるこ
ミナルでのオペレーションに、いかに ANA らしさを演出
だくことができるかもしれません。そうした可能性を議論
とが必要であり、中期的な観点から商品・サービスをお客
私たちのビジネスを支えるさまざまな現場の声に触れ、議
できるかを、社内各部署との調整のなかで、検討を重ねな
しながら、2010 年には、お客様をうならせるような搭乗モ
様目線でシームレスに一貫性を持って開発していくことがお
論を重ねながら思うのは、今後、自分たちは何をしていきた
がら準備を実施しました。
デルをつくりあげることを目標に取り組んできました。今後
客様満足を高めるとともに、ANA の競争力向上につなが
いのか、どのように変わるべきなのかを、みんなが日常的に
私は、東京空港支店旅客部時代に、羽田空港の第 2 ター
はさらに、お客様に感動を与えることができるような、空
るという認識から設立されたのが商品戦略室です。
考えて話をする土壌が備わっているのだということ。それが
ミナルの開設に立ちあい、その後異動した成田空港支店の
港オペレーションの実現に、取り組んでいきたいと考えて
商品戦略室は、まずターゲットとする顧客はどこなのか、
ANA の強さの源泉であり、さまざまな知恵を集めながら、
旅客部においては、スターアライアンス加盟各社が一つ屋
います。
諸外国から見た ANA のポジショニングはどこにあるのか、
それを具現化する道を、ひとつのストーリーとして編んでい
根の下に集結した第一ターミナルへの移転を経験していま
ANA の強みとは何であるのか、徹底したマーケティング
くことが私たちに与えられた役割なのだと感じています。す
す。新たなターミナルでの旅客ハンドリング業務を行いなが
調査やお客様へのインタビューを行い、社内で議論を重ね
べてはお客様の感動のために、これからも新鮮でインパク
ら、それがお客様に対して、どれほどのインパクトを与えて
るとともに、加えて航空輸送に対する社会の要望、先端的
トのあるメッセージを発信していきたいと考えています。
きたのかを目の当りにしてきました。そうした経験を生かし
な技術動向、ライフスタイルの変化などをウォッチしながら、
界へと拡大していきます。
11
Cargo
Service
M
a r k e t
T r e n d
貨物事業を取り巻く環境と課題について
現在、多くの企業において、品質・スピード・コストという
3 つの側面から、より高度なロジスティクスの構築が、重要
な課題となっています。荷主企業の物流ニーズの変化に着目
するなかで、ANA は、新たなビジネスモデルの構築が不可
第三のコアビジネスへ
航空貨物ビジネスの新たなる発展を支える。
欠と判断しました。顧客ニーズの高い企業間物流と小口エク
スプレスを扱う一貫輸送(エクスプレス)事業によって、アジ
ア域内の旺盛な貨物需要に取り込みながら、荷主企業の顧
客満足度を高めていきたいと考えています。
S
空港オペレーション部門
t r a t e g y
新たなビジネスモデルの安定に向けて
客室部門
01
沖 縄貨物ハブの安定化
運航部門
2009 年 10 月 26 日深夜、ANAは沖縄貨物ハ
ブのオペレーションを開始しました。沖縄はアジ
貨物部門
アの各主要都市のほぼ中心部に位置し、各地と
ソウル
羽田
関西 成田
マーケティング・販売部門
ANA には、沖縄に就航する国内旅客便の充実
上海
沖縄
香港
企画・管理部門
4 時間以内のフライトで結ばれています。加えて
台北
したネットワークがあります。この充実した沖縄
貨物ハブのネットワークによって日本とアジア各地
から集積した貨物を、沖縄にて集中的、効率的
に積み替えることにより、各地への輸送が可能
バンコク
になりました。搭載効率、採算性の向上によって、
競争力の高いネットワークが構築されたこの事業
航 空 貨物系の 仕事
の早期安定化が課題です。既存のエアラインにはないアジア域内をカバーする深夜便ネットワークを
活かし、
「成長性の高いアジア域内の航空貨物需要の取り込み」をめざします。
貨物部門では、物流マーケットを睨み、航空貨
物輸送へのニーズを捉えながら、ANA の第 3
02
のコアビジネスへと成長させようとしています。
2009 年 8 月から、
(株)OCS が ANA グループとなり、
マーケティング戦略の推進、空港における貨物
成長を続けるアジアの国際エクスプレス市場での事
ハンドリングの品質向上を支える仕事です。
業を拡大しています。ANAグループはアジアをス
エクスプレス事 業 への進出
テージにリージョナルインテグレーターとして、顧客
荷主
空港
空港
荷主
空港間輸送=従来モデル
のニーズに応え、スピードと高いクオリティのサービ
スで新たなお客様の獲得をめざしています。
03
エクスプレス(一貫輸送)
フレーターネットワークの拡 大
ANA では、2005 年以降、フレーター(貨物専用機)の増強によるネットワークの拡大に力を注ぎ、着
実に事業基盤の整備を進めてきました。沖縄貨物ハブの展開にあわせ、現在は 9 機のフレーターを導
入していますが、今後は貨物需要の回復を見極めながら、アジア域内を中心に、また欧米へのネットワー
クとのシナジーにより、幅広い顧客ニーズに応えるための体制の整備に取り組んでいきます。
12
13
Cargo & Mail Services
Cargo & Ramp Services Support & Planning
Operation & Airport Services
東京空港支店
貨物郵便部
オペレーション統括本部
貨物・グランドハンドリング統括部
貨物運送チーム
廣 瀬 裕二
Yuj i
藤 井 輝彦
Hir os e
Ter u h i ko
Fu j i i
2003 年 4 月入社
成田空港支店貨物郵便部に配属
国際貨物の輸出業務を担当
3ヵ月後、担当業務の移管に伴い
ANA ロジスティクサービス株式会社に出向
2004 年 4 月入社
ANA ロジスティクサービス株式会社に出向
国際線の輸出業務、貨物ハンドリングの
品質サポート業務、新たな貨物上屋への移転
のための調整業務などを担当
2004 年 4 月
ANA ロジスティクサービス株式会社内で
業務部に異動
海外空港の品質管理業務を担当
2007 年 4 月
貨物本部サービス企画部に異動
2010 年 4 月
2005 年 4 月
オペレーション統括本部
貨物・グランドハンドリング統括部 貨物運送チームに異動
貨物本部業務部マーケティングチームに異動
海外支店のセールスサポート業務、
貨物部門の収入予算作成ならびに収入実績
管理業務を担当
2008 年 4 月
東京空港支店貨物郵便部に異動
ANA グループのシナジーが最大限発揮できる
空港運営をめざしています。
私たち東京空港支店貨物郵便部の役割は、羽田空港の
化を果たし、今後国際貨物の輸送量は飛躍的に増えること
私が所属するオペレーション統括本部貨物・グランドハ
ンスが目の前にあることを実感しながら、業務にあたれる
貨物輸送に関わる ANAグループ各社および協力会社すべ
が見込まれており、ANA の有する国内線ネットワークとの
ンドリング統括部では、空港における貨物のハンドリング
ことに手応えを感じています。沖縄ハブ、大型フレーター
てのオペレーションがスムーズに流れるよう空港全体を運営
シームレスな輸送サービスを実現するため、ANA グループ
体制の中長期的なプランニングから日々のハンドリング業
機の導入、エクスプレス便などの貨物事業において注目
していくこと、また拠点空港として国内 50 空港のオペレー
各社および協力会社が担うすべてのオペレーション機能を
務の調整、マネジメント業務、事業規模の拡大に伴う各空
される新たな動きはすべて、空港におけるハンドリング体
ションサポート業務を通じて国内貨物全体の輸送品質向上
どう配置し、どのような施設展開を図ることが業務の最適
港での新たな体制づくりなどを担っています。マーケティン
制と密接に関わっています。それらを成り立たせるために
につなげていくことです。その中で私が担当しているのは、
化につながるのか、日々試行錯誤しているところです。
グ部門が企画・立案する新たなサービスの導入にあたって
は、空港でのハンドリング体制の整備が不可欠なのです。
ファシリティマネジメントを通じたオペレーションサポート業
ANA CARGO は 2010 年の羽田再拡張・国際化に伴っ
は、実際にハンドリングを行う空港の現場力を十分に発揮
ANA CARGO がさらなる進化を遂げるその時までに、ど
務です。たとえば貨物上屋と呼ばれる倉庫内の輸送機械・
て建設された新国際貨物ターミナル地区に、新たな国際貨
し、より効率的に作業が行えるハンドリング体制の構築が
のような体制をつくりあげていくべきか、足りないものをど
装置の仕様検討や、あるいは什器・備品を含めたオフィスレ
物の上屋を展開しました。新上屋では、単に業務の効率
不可欠となります。そのための人員配置や施設、ツール類
う補っていくのか、空港の現場を巻きこみながら議論し、
イアウトの検討や選択を通じて、オペレーションスタッフの
化を図るだけでなく、活発なコミュニケーションを通じて、
のあり方を検討し、各空港でのハンドリング品質を向上さ
支えていくのが私のミッションだと考えています。
皆さんが働きやすい環境を整備することです。保安上、作
職 場に ANA CARGO としての連帯感が生まれるような
せるための施策を考えるのが、私たちの役割となっていま
沖縄貨物ハブが稼動し始め、羽田空港の国際化が実現
業安全上の問題点を未然に摘み取る。オペレーション業務
ファシリティプランを具現化することで、羽田空港で ANA
す。そのためには空港の現場をよく知ることが大切であり、
した中、これまで以上に ANA 国内線ネートワークの強み
の動線を緻密に計算し、動きやすさを追求する。さらにオ
CARGO をご利用いただくすべてのお客様に満足いただけ
入社後 3 年間を、成田空港の国際貨物を取り扱う現場で
を生かしながら、お客様のニーズに応えていくことが重要
ペレーションスタッフのニーズを汲み取り、取りまとめること
る輸送品質・サービスを提供したいと考えています。
過ごした経験は、大いに役立っています。
です。新たなビジネスモデルを成功させるためにはまだまだ
によって、最適なファシリティプランを導き出し、実行に移
エクスプレス事 業への進出、沖縄貨物ハブ、そして羽
現在、ANA では貨物事業を第 3 のコアビジネスとすべ
課題は山積みですが、スピードとクオリティにこだわり、国
すことが私のミッションです。
田再拡張・国際化に伴う事 業の拡大と、私はいま ANA
く、貨物専用機(フレーター)の増便や沖縄・那覇空港に
際物流における ANA CARGO のプレゼンスを飛躍的に高
貨物のオペレーション業務は、国内貨物と国際貨物に分
CARGO の大きな変革期、成長期に立ち合っている気がし
おける航空貨物基地(沖縄貨物ハブ)など、積極的な投資
めるために、貢献していきたいと思っております。
かれます。さらに貨物輸送に必要な書類を取り扱い、航空
ます。貨物輸送分野における ANAグループのシナジーが
を行いながら、新たな事業機会の獲得に向けてスピード
機への貨物搭載プランを作成するインサイド業務と、上屋
最大限発揮できるような空港運営を実現することで、私なり
感を持って取り組んでいます。貨物事業に携わってきた者
内で貨物の積み付けや搬送を担当するアウトサイド業務に
の確かな足跡を残したいと思います。
にとっては、まさにその真価が問われる時であり、ANA
分かれています。2010 年 10 月に羽田空港は再拡張・国際
14
ANA CARGO の存在価値の向上を
空港におけるハンドリング品質で支える。
CARGO の存在価値を高めていくための、またとないチャ
15
M
Sales
&
Marketing
a r k e t
T r e n d
お客様のニーズに合わせたマーケティングの
推進による顧客の囲い込み
航空自由化の流れのなかで、柔軟な運賃設定が可能
となってきており、顧客のニーズにあった様々な運賃
設定がなされてきています。また、販売チャネルは予
お客様を翼に導くために
マーケットの最前線で考えること。
約センターやインターネットを用いた直接販売へとシ
フトをしており、世界的な不況により厳しい環境にあ
りますが、インターネットを活用し、多様化する顧客
のニーズにあった運賃設定、商品戦略の推進により、
収入の最大化をめざします。
空港オペレーション部門
S
客室部門
t r a t e g y
マーケットにおける競争力強化をめざして
運航部門
01
国内 線・国 際 線マーケットにおける競 争力の強化
貨物部門
国内線においては、
航空券の完全 e- チケッ
需要創出
ト化を実現し、全空港で SKiP サービス
収 入 最 大化
マーケティング・販売部門
旅 客 数
企画・管理部門
を導入し、顧客の「簡単・便利」を追求
したサービスを展開しています。ビジネス
スカイメイト
需要には、
「ビジネス特割」「ビジネスきっ
単価向上
ぷ」など便利で値ごろ感のある運賃を継
続して展開するほか、プレジャー需要に対
しては、従来の運賃体系に加え、国内線
では「シニア空割」、国際線では「エコ割
収入
ユース」などの新運賃を設定するなど、需
マーケティング・販 売系の 仕事
単 価
マーケティング・販売部門では、お客様を翼へ
※国内線マーケットにおける商品展開
要喚起型の運賃も拡充し、更なる販売競
争力の強化に努めていきます。
と導くための活動全般を担当し、ANA を収入
面から支える仕事をしています。ANA のプロダ
02 「柔軟性」と「多様性」および「WEB 活用」をキーワードに
クト、サービスについてお客様に理解を求め、
日本最大級のコマースサイト「ANA SKY WEB」の一日の利用者数は約 35 万人。ANA 国内線予約
ご利用を促す活動を通じて、ANA の収益成長
では、約 6 割以上がこの販売チャネルを通じて行われています。また、今後は海外販売を強化し、多
を支えています。
言語・当該国通貨を販売できるシステムを構築していきます。多様化するお客様のニーズにあわせて、
販売チャネルも進化させ、更なる競争力の強化をはかっています。
03
新サービス「 ANA My Choice」をスタート
ANA では 2009 年 12 月 1 日から国内線・国際線・地上・機内それぞれのシーンでの新しいサービス
「ANA My Choice」を開始しました。これまでの均一なサービスにとどまることなく、リクエストに応
じて必要とするサービスを受けられるようなサービス体系に進化することで、多様化するお客様のニー
ズに幅広く応え、お客様のニーズに応じた価値をきっちりと提供していくエアラインをめざします。
16
17
International Sales
Consumer Sales & Marketing
営業推進本部
グローバルレベニューマネジメント部
営業推進本部
WEB 販売部
西島 智子
赤嶺 幸彦
2006 年 4 月入社
2003 年 4 月入社
ANA テレマート株式会社に出向
国際線の予約受付、問い合わせ等への
対応業務を担当
東京空港支店旅客部に配属
国内線の旅客ハンドリング業務を担当
2007 年 4 月
東京空港支店旅客部業務課に異動
旅客部フロントラインスタッフの
業務サポートを担当
To m o ko
Nis hij im a
Yu k i h i ko
A k a mi n e
2005 年 4 月
営業推進本部 WEB 販売部顧客センターに異動
海外支店の予約センターを中心に
サポート業務を担当
2007 年 7 月
2008 年 4 月
営業推進本部 WEB 販売部に異動
営業推進本部顧客センター(組織変更)
2009 年 4 月
フランクフルト支店にて、営業実務研修
2010 年 4 月
営業推進本部
グローバルレベニューマネジメント部に異動
日本の魅力をアジアのお客様に伝え、
ANAという翼の魅力を示していく。
18
新たなコミュニケーション手法を導入し、
WEB販売の新たな可能性を拓く。
ANA の路 線収 益の最大化を図るための活動を行うグ
た、日本を訪れるアジアの人々に注目するのは、私たちば
航空券のオンライン予約は、インターネットの普及が進
知らないというお客様にもサイトを訪れていただき、そこか
ローバルレベニューマネジメント部のなかで、私が所属する
かりではありません。グループ外の企業とも連携し、コラ
むにつれて拡大を続けてきました。現在、国内線予約の
ら ANA を知り、お得な航空券の存在に気づいていただき
マーケティング企画チームでは、2 ∼ 3 年先を見据えた次の
ボレーションによって訪日の波を起こしていくというスタン
60%以上は、一日の来訪者数が 35 万人を超える日本最大
たいと考えました。さらに、映画で使われるような撮影手
アクションプランを立案する役割を担っています。そのなか
スで仕事をしています。
級のコマースサイト「ANA SKY WEB」を通じて行われて
法を使ったり、オリジナルの BGM を採用することで、多く
で、この 4 月から海外販売グループの一員として、訪日戦
訪日戦略は、これまで ANA をご利用いただいているお
います。営業的な観点はもちろん、お客様への情報提供な
の人に話題となって広がっていくことを期待したのです。結
略を担当しています。
客様に加えて、新たなお客様を創造することに直結します。
どの利便性の面でも ANA にとって欠かすことのできない
果は、100 万を越えるアクセスを達成し、確実に航空券の
ANA では、2009 年 10 月から 1 年間をかけて「来来看
つねに意識しているのは、私たち日本人の感覚だけでもの
このサイトの企画立案・運営を担っているのが WEB 販売
売上げにつながっていきました。
看日本(来て見て日本)
!」と名づけたプロジェクトを推進し
を考えても、それが必ずしも有効な施策とはならないという
部です。私たちのミッションは、ANA のプロダクトサービ
私自身が発信源となって立ち上げたプロジェクトによっ
てきました。中国から日本を訪れるお客様に着目し、より
こと。お客様の顔を見て仕事をするために、客室部門との
スやインフォメーションを提供するという役割を果たすとと
て、新しい世界を築き上げることができたことは、大きな自
多くのお客様に ANA 便をご利用いただけるようなさまざ
意見交換を行ったり、海外支店の意見に耳を傾けるなど、
もに、航空券の販売に直結するプロモーションの推進やキャ
信となりましたが、一方でインターネットの世界では、次々
まな施策を提案してきました。さらに 2010 年 10 月からは、
お客様の目線をつねに忘れないように心がけています。
ンペーンの展開を企画設計し、収益の拡大を狙うことです。
と新しいサービスやコンテンツ表現の手法が生まれ、急速
羽田空港の国際化によって、就航路線が拡大することを大
フランクフルト支店に勤務していた当時、日本について多
常により多くのお客様にサイトをご利用いただけるよう、新
に普及したかと思うと、すぐに陳腐化して消えていくもので
きなビジネスチャンスと捉え、中国のマーケットに対して行っ
くの質問を受けました。そして一人の日本人として
「日本をもっ
しい技術を取り入れた改修や、新しい企画について考えて
す。そうした環境のなかで新鮮な感動を提供し続けるため
てきた訪日戦略の水平展開を狙って、韓国、香港、台湾、
と知ってほしい」「日本の魅力に実際に触れて理解を深めて
います。
には、つねに新たなトレンドを意識しその動向を先取りする
シンガポールなど、アジアの非日系顧客の取り込みを促す
ほしい」と感じたものです。その時の想いを多くの関係者と
2010 年 2 月 8 日、
“これまで ANA とは接点のなかった
ことで、ますますこの分野の専門性を磨き続けていくと同
施策を検討しはじめています。
共有しながら、大きなゴールをめざしていることに、十分な
お客様へのアプローチ”をコンセプトに、国内線の割引航
時に、グローバルマーケットにおいて、ANA がオリジナリ
また日本を訪れたアジアのお客様に、ANA グループが
やりがいを感じています。
空券「旅割」の新しい WEB プロモーションコンテンツと
ティあるエアラインとしてより認知されるようなサービスの開
提供するサービスや商品を、いかにご利用いただくかとい
して、
「旅割 REVIEW」がオープンしました。47 都道府
発・向上に取り組んで行きたいと思っています。
う視点も大切です。たとえばグループの旅行会社である
県を紹介し、それぞれご当地の魅力を伝える「旅ガール」
ANA セールスと話し合いながら、日本の会社だからこそ
を登場させて、国内旅行の楽しさを伝えることによって、
提案できるプランや旅行商品を創り出そうとしています。ま
ANA を利用したことはない、旅割という航空券の存在も
19
Planning
&
Management
M
a r k e t
T r e n d
首都圏空港の発着容量拡大をビジネスチャンスに
2010 年、
成田・羽田の首都圏空港の拡張により、日本の航空業界は大きな節目を迎えました。また、
オー
プンスカイ(空の自由化)の進展により世界規模の競争が激化しています。ANA はこれまで、航空事
業への「選択と集中」を柱とした経営戦略の確実な
実行により、自らの力で経営改革を推し進めてきまし
メガコンペティションを勝ち抜く戦略と
ANA らしさの追求。
た。これからもこの変化を大きなチャンスとし、飛躍
的な収益の拡大に結びつけ、安定的に利益を生み出
す企業体質にするために、従来の枠組みにとらわれ
ない新たな価値創造が求められています。
S
空港オペレーション部門
客室部門
t r a t e g y
新生 ANA のめざすもの
01
運航部門
国 際 線 事 業をグル ープ 事 業の中核として成長の柱とする
2010 年の羽田空港・成田空港の増枠を利用して、アジア路線網のさらなる拡充とアライアンスの活用
により、
中国・アジア圏と北米路線の接続利便の優位性を活かし、
地域間流動の需要を獲得します。
「成
貨物部門
田・羽田空港のデュアルハブ化」を基本にネットワーク型ビジネスを拡充し、競争力を高めていきます。
マーケティング・販売部門
02 「収 益性の強化」と「 変 動に強い事 業 構 造 」を実現する
装置産業である一方、労働集約型でもある航空運送事業ですが、環境が変化するなかで、その変化
企画・管理部門
に迅速且つ適切に対応し得る、これまで以上の「レベル、価値観、スピード感」での進化をめざして
いきます。そのために、環境の大幅な変化にも対応できる柔軟な生産体制とコスト構造を実現します。
また、安定した収入を確保する仕組みの構築と徹底した費用削減の実施ため、業務構造改革に積極
的に取り組むなど、
「自己改革」を進め、成長機会を確実にとらえ、それを継続できる企業体質の実
企 画・管 理 系 の 仕 事
エアラインビジネスには、さまざまな専門分野
現をめざします。
03
あらゆる改革と改善施策を実行し、変化を恐れない風土を醸 成する
があり、それらが互いに連携し、一体となって
今後のグローバルマーケットに対応するために、これまでの「国際線」
「国内線」
という概念にこだわらず、
事業を推進しています。機能別に分かれた各部
業務、人材、システムなどもボーダレス化を進め、マーケティング力を強化していきます。またプロダク
門をサポートし、その進むべき方向を見定め、
ト&サービスについてもこれまでの概念にこだわらず、顧客ニーズの多様化に対応した価値を提供しま
コーディネートしていくのが企画・管理部門の仕
す。そして、常に進化し続ける真のグローバルエアラインとして、アジア NO.1 を達成し、さらなるグロー
事です。
バルなステージにステップアップしていきます。
FY2010
FY2011
羽田・成田拡張による国際線拡大のチャンス
航空自由化の加速
収益性を重視した事業モデルの変革
グローバルマーケティングの強化
対応
2010年度
黒字化
安定利益
NO.1
費用構造の変動費化 ( 固定比率の低下)
オペレーション効率化・品質競争力の強化
グループ経営体制の再構築
20
ジ ア
競争環境の変化
国際線拡大による
成長
ア
当面の
環境変化
環境変化に強い
企業体質の構築
21
Information Technology Services
Finance & Treasury
ANAシステム企画株式会社
(IT 推進室付 出向)
財務部
齋 藤 研 一郎
村林 亮
2006 年 4 月入社
2002 年 4 月入社
東京空港支店旅客部に配属
羽田空港における旅客ハンドリング業務を担当
東京支店販売計画部に配属
チケットカウンターにて
国際線の発券、販売業務を担当
K enichir o
Sait o
Ryo
2007 年 4 月
Murabaya shi
IT 推進室に異動
2004 年 2 月
2009 年 4 月
東京支店販売計画部国内販売計画課に異動
国内線の旅行座席の販売促進を担当
ANAシステム企画株式会社に異動
2007 年 4 月
財務部に異動
ユーザにとって使いやすいシステムの先に、
エアラインビジネスの未来を展望する。
22
為替相場の変動リスクを低減し、
将来の安定した経営の実現に寄与する。
IT 推進室では、ANA グループのシステムのあり方に確
て、揺るぎないこだわりを持って取り組んでいることが肌で
財務部財務担当の主な役割の一つは、事業に必要な資
日々の業務では、取引先金融機関から相場の見通しや
かなビジョンを持って、低コストで品質の高いシステムを企
感じられます。お客様のために、譲れない一線。それを持っ
金を効果的に手当てすることです。私はそのなかで外国為
マーケットの情報を集め、分析・判断しながら、契約を進
画・立案し、現在私が所属する ANAシステム企画では立
て仕事をしていますから、その期待に応えたいという想い
替の業務を担当しています。ANAグループの収入の多く
めていきますが、より長期的な視点から、既存のヘッジ方
案された企画に従い、システムを開発するという役割を担っ
は強いです。また一方では、納期やコストを含めて、プロジェ
は、円建てであるのに対して、航空機やそれを飛ばすため
針を検証し、ANAグループの事業構造や外部環境の変化
ています。私は現在 ANAグループすべての端末開発を担
クトを統括する役割を担っていますから、より効率的にシ
の燃料の調達などの大きな支出はドルで支払われます。こ
に合わせてより良いものへと改善していくことも外国為替担
当するチームに所属しており、主に整備系端末の開発に携
ステム開発を行うための開発手法や方法論についても検討
の支払いのために、ドルを用意しておく必要がありますが、
当者の大きな使命です。国際線拡大という大きな転機を迎
わっております。ユーザである整備本部の整備士の皆さん
すべき立場にあります。IT 投資の適正化は経営に直結す
これを単純に都度調達していたのでは、必要な支出が為替
える中、スターアライアンス加盟各社や、他業界のノウハウ
が使いやすく業務効率を向上することのできる端末の開発
る重要なテーマであり、自分の判断により莫大な投資が動
相場の変動のリスクに常にさらされることになります。こう
なども参考にしながら、自らのアイデアと共に良いところは
に、整備本部内の情報企画チームと協働しながら取り組ん
くことになるので、現場の声をよく聞くと同時に、客観的に
した為替の変動に起因するリスクを低減していくことが外
積極的に取り入れて、常にチャレンジしていくことが求めら
でいます。この情報企画チームでは、整備の現場をよく理
判断を下せるバランス感覚を持ち合せなければならないの
国為替担当の役割です。
れています。
解し、これからの整備本部のシステムがどうあるべきかを、
だと考えています。
為替の変動リスクを低減することは、将来の費用や投資
昨今の世界的な経済の低迷の影響により、為替マーケッ
現場の目線で考えています。IT 部門の役割は、できる限り
いかにユーザにとって使いやすいシステムを提供できる
額を見通し、経営を安定的に行っていく上でも大事なこと
トにおいても不確実性が高まっており、明日の相場を予想
そうした現場の要望に耳を傾け、より組織横断的並びに長
かが、私たちにとっての重要な課題であることは変わりあり
で、ひいてはお客様に安定した価格で ANA の翼をご利用
することさえも極めて難しくなっております。しかし、このよ
期的な視点を加えながら全体最適を見据えたシステムの企
ませんが、そのためにもユーザがシステムに対して嫌悪感
いただくことにもつながります。ですから、けっして投機的
うな時代だからこそ、為替相場の変動リスクを低減するヘッ
画・立案に取り組むことです。
を持たずに、親しみを持って向き合ってもらえるような体制
にならず、継続性を重視して行います。たとえば航空機の
ジに対するニーズが益々高まることは間違いなく、ヘッジ業
IT 推進室で担当していたのは、原動機の生産管理シス
を築くことも大切です。親しみやすい IT を ANA グループ
調達などは、数年前から計画され、完成した航空機を受
務に携わることの責任の重さと手応えを日々感じております。
テムや整備に関する規定・基準を管理するシステムなどで
全体に広げていくために、積極的に現場に足を運び、わか
領し、決済を行うべき時期もあらかじめ見通すことができ
また、忘れてはならないと感じているのは、ANA のプロダ
す。安全を担保するのは、エアラインビジネスの根幹を支
りやすい言葉で伝えていきたいと思います。ユーザとシステ
ます。これらの支払いのタイミングに合わせ、予め定めら
クトに関わる多くのスタッフが、積み上げてきた大切な資金
えることであり、整備の現場の作業効率を向上させること
ムが互いに歩み寄ることで、これまでの常識を越えた新し
れたヘッジ方針(ドルを調達するための大きな枠組み)に
を動かしているのだということ。より専門性を高め、質の高
は、定時性の向上など、ANA のプロダクトの品質に大きく
いサービスを創造することにもつながります。その先にいる
従って先物予約と言われる将来のドルを購入する契約を進
い業務を行えるよう、この世界のプロフェッショナルたちか
貢献できることにもなりますから、手応えは十分です。ま
お客様の期待に応えるために、ANA グループの IT 部門と
めていくのです。
ら、貪欲に知識を吸収していきたいと考えています。
た整備本部の方々に接していると、それぞれが安全に対し
してできることは何かを考えていきます。
23
Alliance & International Affairs
Corporate Planning
アライアンス室
企画室 企画部
江尻 健
藤本 淳
2000 年 4 月入社
1998 年 4 月入社
札幌支店に配属
旅行代理店に対するセールスを担当
運航本部乗員室業務部乗務計画課に配属
運航乗務員の日々のスケジュール調整業務及び
月単位のスケジュール作成業務を担当
K en
Ej ir i
A ts u s h i
2004 年 7 月
Fu j i mo to
2001 年 7 月
官民人材交流プログラムにて
国土交通省国際交通政策室に派遣
運航本部業務推進室企画推進部に異動
運航乗務員の中長期人員計画・配置計画を
立案する業務を担当
2006 年 7 月
アライアンス室に異動
2003 年 4 月
官民人材交流プログラムにて
財務省財務総合政策研究所国際交流室に派遣
2005 年 4 月
企画室企画部に帰任
パートナーとの信頼と理解を軸に
新たなアライアンスの可能性を模索する。
24
厳しい経営環境を克服し、成長のチャンスを確実にとらえ、
アジアNo.1の航空企業グループを目指す上での経営戦略が求められている。
1999 年 10 月、ANA はグローバルエアライン提携グルー
できるという意味では、競争力の強化とともに、ANA の国
ANA グループがこの先、どの方向に向かって歩むべき
げていきたいと考えています。また、首都圏空港容量の拡
プの一つ、スターアライアンスに加盟しました。多様化す
際的なプレゼンスの強化にも大きな役割を果たしているの
なのか、経営環境の変化を的確に捉えながら、グループと
大に加え、2011 年内には世界で初めてボーイング 787 機
るお客様のニーズを満たすためには、航空会社1社だけの
です。こうした 2 社間の協議、契約の締結において、私が
しての成長路線を堅持していくために、どのような取り組み
の導入が予定されています。環境性能に優れ(排出ガス、
資源では限界があります。自社のネットワークではカバーし
重視しているのは、互いの信頼関係の構築です。互いに顔
が必要なのかについて議論を重ね、中長期的な戦略として
離着陸時騒音等)、お客様にこれまで以上に快適な機内
きれない需要を取り込むために、互いの経営資源を補完し
を見て話をすることで構築できる信頼関係が重要と考えて
取りまとめるのが企画室企画部の役割です。ただビジョンと
空間を提供できる最新鋭機の本格的な導入開始も転機の
あう役割を担いながら、航空会社の企業間提携(アライア
取り組んできました。この考え方を広げて、新たな試みとし
して描くだけではなく、戦略を実現するための舵取り役とし
一つです。
ンス)は進化を続けてきました。現在では、世界の主要
て実施したのが、2 社間の人材交流でした。互いに同じ役
て、グループ各社、各部門・部署と連携しながら、社員一
厳しい時代だからこそ、ANA グループは常に挑戦する
航空会社のほとんどが 3 つのグローバルアライアンスのい
割を担う人材を相手先の仕事の現場に送り込み、実際にコ
人ひとりが主体的に戦略の実現に寄与しようと取り組めるよ
姿勢を忘れず「ピンチこそチャンス」の心構えで、お客様
ずれかに加盟し、アライアンス間の競争はますます熾烈に
ミュニケーションを交わし、それぞれの文化に触れること
うな環境を整えるのも、私たちの責務と考えています。 のニーズ、時代のニーズに応え、価値創造を続けていくこ
なっています。
で、互いの理解が深まると考えたのです。
2010 年、ANA グループにとって、これまでにないビジ
とが必要です。そのためには、現在の苦しい時代を乗り越
アライアンス室では、スターアライアンスを核とした ANA
アライアンス戦略においては、提携関係を結ぶ両社にとっ
ネスチャンスである首都圏(羽田・成田)空港容量の拡大
えた先の成長を見据えられる道筋(経営戦略)を示すこと
国際線の提携戦略を担い、対外交渉の窓口として、また社
て Win-Win の関係を築き、お客様のニーズに応えていくこ
という転機が訪れました。2008 年、2009 年は世界的な不
が求められていると感じます。
内各部署との調整役として幅広く活動をしています。そのな
とが重要になります。さらにグローバルアライアンス間の競
況を背景に需要動向が厳しく推移したものの、今 般の首
経 営戦略は立案したからといって、それが実行されな
かで私は、北米地区を担当。スターアライアンスパートナー
争がますます激しさを増すなかで、これまでの提携関係を
都圏空港容量の拡大を活かして国内外の旅客、貨物の需
ければ意味はありません。グループすべての職場において
であるユナイテッド航空を中心に、2 社間の協議による提携
越えた新たなステージへと向かうためには、さまざまな部
要を喚起し、成長に向け競争力を強化することが、アジ
戦略の目的が正確に理解され、その目的に沿った職場の
関係の拡大・強化をめざした活動を展開しています。
門の人材が互いのカウンターパートの考え方を理解した上
ア No.1 の航空事業グループを目指すという経営ビジョン
一人ひとりの行動が実効性に繋がります。戦略実行の原動
ユナイテッド航空との関係では、たとえば同社のハブ空
で、新たなアライアンスのあり方を模索する時代が来ている
の必達のために欠かせません。そのために、オープンスカ
力、価値創造の源泉は「人」であることを常に念頭に置き、
港であるシカゴからの乗継ぎ便を中心に、すでに北米 87
のだと思うのです。互いを知り、よく理解することで、アラ
イ(空の自由化)が進む中で、スターアライアンス加盟各
ANA グループが永続的に発展、成長していける道筋を示
空港(1,127 便/週)に ANA のコードシェア便が就航して
イアンスの新たな可能性を見出していきたいと思います。
社をはじめとする提携航空会社との更なる連携や、国内線
していきたいと思います。
います。自社のネットワークを拡大できない地域へもパート
ネットワークの利便性向上や効率化など、取り巻く環境の
ナーの資源を活用することでお客様の需要を満たすことが
変化に柔軟に対応可能な経営基盤を今後とも着々と作り上
25
好 機 の 到 来 を 目 前 に 、 い ま 新 た な 挑 戦 の と き が はじ まろうとして い ま す。 そ して 一人 ひとり の 挑 戦 は 、 A N A グ ル ープ を 変 えて い く 力 と な る の で す。
26
27