close

Enter

Log in using OpenID

梵珠だより第96号

embedDownload
梵珠だより
第 96 号
平成 28 年6月 30 日(1)
県立自然ふれあいセンター機関誌
第96号
梵珠だより
ミノガの仲間
発行/青森県立自然ふれあいセンター 〒038-1301 青森県青森市浪岡大字大釈迦字沢内沢1-1
TEL 0172-62-4527 FAX 0172-62-8510 URL http://www.jomon.ne.jp/~bonjyu/ メールアドレス [email protected]
□ 行事レポート □
(イベントは有料になる場合があります。お問い合わせください。年間行事表有。)
●梵珠の森 ふれあい週間 4月19日(火)~24日(日)
雪 解 け と 共 に 姿 を 現 し た 可 憐 な 花 や 梵 珠 山 登 山 を、
ガイド案内で楽しく満喫しました。
●春の花巡り撮影会(梵珠山) 4月24日(日)
梵珠山の生命が輝いている季節に、講師の指導を受け
ながら、技術や知識と共に写真に収めました。
木登りも実施
スプリングコンサート
●夏泊半島・大島(平内町) 4月30日(土)
海に浮かぶ島へ歩いて行こう‼島の中はどんな植物で
構成されていたのかな?
キクザキイチゲ
●ぼんじゅ写真展 5月17日(火)~6月19日(日)
普段何気なく見ている自然、それぞれに焦点をあてた
興味深い作品が揃いました。
ニリンソウ
●新緑トレッキング(梵珠山) 5月22日(日)
空沼から登山を開始して5つの山を巡り新緑の梵珠山
を楽しみました。
魔ノ岳→馬ノ神→笹山→梵珠山
→釈迦堂山
●梵珠三山巡り 6月26日(日)
梵珠山を始めとした、釈迦堂山・鐘撞堂山の三山を
巡るロングウォークでした。
鐘撞堂山山頂
ウリノキ
梵珠だより
(2)平成 28 年6月 30 日
第 96 号
● 「コボノキ」のこと
原田 敏弘 (津軽植物の会)
旧ミニ白神ガイドを始めたころ、一緒にあるいて
いた地元の黒森の人が「この木コボノキってしゃ
べって、子供の頃この実ば食ったもんだ」と、道沿
いに生えていた2本のシウリザクラを指して言っ
た。その時からシウリザクラを見るとその話を思い
出す。帰宅して「三陸植物志」(昭和 10 年 青森営
林局発行)を開いた。この本は、青森営林局管轄内
の青森県・岩手県・宮城県の植物の和名・別名・方
言名、分布、用途等を記載している。開いて見ると「コ
ボノキ」の方言名は、シウリザクラとニワトコの2
種だけであった。近年買い求めた「日本植物方言集
成」
(2001 年2月 八坂書房発行 扱う範囲は全国)
でも、前記の2種だけ記載されている。
「コボノキ」については、シウリザクラの類似種
と比べて見ることにした。津軽で生育が見られるウ
ワミズザクラ属の種は、ウワミズザクラ・エゾノウ
ワミズザクラ・シウリザクラの3種である。開花が
早い順に述べる。
先ずエゾノウワミズザクラ。昭和 40 年代だった
と記憶している。岩木川下流域の数ヵ所で生育が確
認された。樹高は 5 m余ほど。開花は4月下旬。花
弁は白く雄しべや雌しべよりも長い。果実は黒くな
り7月上旬ころ熟して甘い。生育地の人に聞いても
特別な用途はなく、たきぎ(薪)にするため切り倒
すとのことであった。広く分布する北海道では公園
樹に用いられることがあるそうだ。方言名は、前記
の2冊には記載されていない。
次にウワミズザクラ。低地から山地の日当たりに
生育している。樹高は 10m 未満が多い。開花は5
月中旬以降。花弁は白く小さい。雄しべが花弁より
も長く飛び出している。
果実は8月下旬以降に黄・赤・黒紫になり熟して
甘みがある。赤くなったころ果実を採取してホワイ
トリカーに漬け込むと香りと味の良い果実酒ができ
エゾノウワミズザクラ
る。果実は塩漬けにして食用にする。材は器具・彫刻・
小細工・曲物などに、樹皮は皮細工・染料に、根は
染料にと用途は幅広い。
方言名は非常に多い。「日本植物方言集成」では
112 例が記載されている。青森県では 19 例があり、
その内 15 例が津軽地域としている。「三陸植物志」
では、青森営林局管内で 30 例が記載されている。
その内 14 例が津軽地域としている。その中に「コ
ゴノキ・コブノキ・コボノキ・コモノキ・コンゴウ」
などの似ている方言名がある。「三陸植物志」では、
発音を文字表記にしたとのことである。各地の営林
署で働く作業員からの聞き取り採取が多かったので
はないかと思う。ともかくウワミズザクラは津軽地
域の人達に馴染みの深い樹木であったと思う。
終わりにシウリザクラ。樹高は 15m 以上になる。
雪が消え終わる前に開葉する。開花は5月下旬以降。
花弁は雄しべ・雌しべよりも長い。果実は7~8月
頃黒く熟して甘い。ミニ白神の地元の黒森の人が食
べた話は、太平洋戦争前後の経験談として納得でき
る。シウリザクラの果実は熊も食べるとのことであ
る。ミニ白神の森の中で数本の幹に熊の爪痕が残さ
れているのを確認している。材は、諸器械箱・洋家具・
小細工・船具などの用途がある。方言名は「日本植
物方言集成」には秋田県の2例があるだけ。「三陸
植物志」では、青森県で「シウリ・シュリ」の2例
が記載されている。黒森の人が語った「コボノキ」
はなかった。花や実の特徴などが似ていることから
シウリザクラを「コボノキ」と言っていたのかもし
れない。営林署の山仕事をしていても聞き取りされ
ていなかったのかもしれないが、ウワミズザクラの
方言名と混同したとしても同じ属の種として許容範
囲の事だろうと思う。
方言名の多い木や草は、人々の暮らしに広く活用
されてきたものだろう。
ウワミズザクラ
シウリザクラ
生物こよみ(昨年) 7 月 ☀☁☂☃:昨年の天気 ℃:昨年の最高気温 低:最低気温
日
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
クサギ
オオルリボシヤンマ
ヨコスジハナカミキリ
ゲンノショウコ
ベニシジミ
ネジバナ
ミヤマアカネ(赤色)
オオウバユリ
カモシカ・イワガラミ
ニホンザル・キンミズヒキ
マユタテアカネ
ソバナ・ムラサキシキブ
キバネセセリ・オニヤンマ
アカショウビン
ノリウツギ・シオカラトンボ
ミカドフキバッタ
アカタテハ・オカトラノオ
ミヤマクワガタ・ノコギリクワガタ
キツリフネ・ワルナスビ
オオルリ・ミドリシジミ
エゾアジサイ
クルマユリ・ニホントカゲ
イチヤクソウ・ツルアリドオシ
モグラの仲間・ヤマナメクジ
ニホンリス・エゾイトトンボ
アキアカネ
カケス・ジムグリ
ヒオドシチョウ・クジャクチョウ
アカハライモリ・ムカシヤンマ
シラガタロウ(クスサン幼虫)
エゾアジサイ・ウリノキ
観察できたもの
曜 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金
天 ☁ ☀ ☀ ☀ ☀ ☀ ☀ ☁ ☁ ☀ ☀ ☀ ☀ ☁ ☀ ☁ ☀ ☂ ☂ ☁ ☁ ☀ ☂ ☁ ☂ ☁ ☁ ☁ ☀ ☀ ☁
℃ 19 26 24 24 24 25 24 20 23 24 26 30 31 30 26 20 22 24 23 26 30 30 23 28 26 27 28 27 29 31 30
低 16 16 12 12 11 12 12 14 14 12 14 13 15 22 18 16 16 17 19 19 19 20 22 21 22 22 21 21 21 21 21
梵珠だより
第 96 号
平成 28 年6月 30 日(3)
●梵珠山の植物 「エンレイソウ 」
齋藤 信夫(青森自然誌研究会)
この植物に初めてあったとき、微妙なバラ
オオバナノエンレイソウと比べるとはっきり
ンスを保っている植物だな~という印象を
分かる。その 2 種にははっきりした花びらが
持った。なにしろ、さほど太くもない1本の
ある。だからエンレイソウの花びらみたいな
茎を、大きな個体では 40cm 前後くらいの高
部分はがく片だ。がく片の色は濃紫色から濃
さまで立ち上げ、その茎の先に長い部分で
淡様々で、時には緑色の場合もある。また、
15cm 程度の丸みを帯びたひし形の葉を3枚
子房の色もがく片と同じように多様だ。
つけ、さらに 3 枚の葉の根元から 2cm ほど
エンレイソウが含まれるエンレイソウ属の
の花茎を 1 本伸ばし、その先端に花を咲かせ
学名はこの植物の特徴をうまく表している。
るのである。葉が大きい分、風になびきやす
つまり、それは「Trillium」とされ「Tri」は「3」
い。もっと小さなあるいは細かい葉を付けて
を表している。3 枚の葉、3 枚のがくという
いれば風の影響も少ないだろうにと思ってし 「3」を強調したのだろう。雌しべの先も 3
まったのだ。そのような不思議さは同じ科に
つに分かれているし、さらに、上記の花びら
含まれるツクバネソウにも抱いたことがある
のある種の花びらも 3 枚である。
が、両種とも絶滅せずに今まで命をつないで
研究者によると、エンレイソウは発芽して
来ているのだから、きっと、人間には測り知
から花が咲くまでに 10 ~ 15 年の歳月を要
れない部分で現在の環境にマッチしているの
するという。地上に落ちた種子は次の年に発
であろう。
芽するものの、その時の葉はまだ一枚。それ
梵珠山でのエンレイソウはそれぞれの観察
も夏頃には地上部を枯らしてしまう。この状
路の入り口周辺から山頂にかけて、結構広く
態を 5 ~ 6 年繰りかえし、そのうちに 3 枚
分布している。この植物は落葉広葉樹林下の
の葉を出すようになる。しかし、その状態も
湿った環境に多く見られる。と言っても、常
また 5 ~ 6 年の繰りかえし。ようやく 10 ~
に水が溜まるような過湿の環境は遠慮してい
15 年目で初めて花を咲かせるようになると
るようだ。4 月~ 5 月頃に花を咲かせるが、 言う。その後どうなるのか、センター周辺で
花をよく見ると花びらがない。そのことは、 のモニタリング調査の研究課題としても良い
同じ仲間に含まれるシロバナエンレイソウや
ような気がする。
花を咲かせているエンレイソウ
熟す前のエンレイソウの果実
生物こよみ(昨年) 8 月 ☀☁☂☃:昨年の天気 ℃:昨年の最高気温 低:最低気温
日
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
ノスリ
キジバト
ウスバカゲロウ
ウラギンヒョウモン
アカエゾゼミ
ホツツジ
ホンドテン・トビ
ミクリ
ハンゴンソウ
ツリフネソウ
ジャコウソウ
キバナアキギリ
ミンミンゼミ
ルリシジミ
ヤマアカガエル・ニホンカナヘビ
メスグロヒョウモン
オニヤンマ
クルマバナ
ヤマジノホトトギス
エゾゼミ
オオルリボシヤンマ
ツリフネソウ
カブトムシ・ニホンザリガニ
アカエゾゼミ・タマゴタケ
タチギボウシ
カワガラス
ガガイモ
ツルリンドウ
オトギリソウ
ソバナ
カワラナデシコ
観察できたもの
曜 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月
天 ☁ ☂ ☁ ☁ ☀ ☀ ☁ ☀ ☀ ☁ ☀ ☀ ☀ ☁ ☀ ☀ ☀ ☁ ☀ ☁ ☁ ☂ ☀ ☀ ☀ ☁ ☂ ☁ ☁ ☁ ☁
℃ 28 28 29 31 33 32 27 27 28 30 30 28 27 25 24 26 29 24 23 25 26 21 23 23 22 18 21 22 23 24 24
低 21 21 20 20 20 20 20 18 18 21 20 20 19 20 19 18 20 18 18 17 16 19 19 15 13 15 16 16 16 18 16
梵珠だより
(4)平成 28 年6月 30 日
第 96 号
●梵珠の昆虫「クルミハムシ 」(ハムシ科)
6月頃、サワグルミの葉をよく見ると、7
~8mm 位の偏平で黒っぽく胸部の両側が黄
褐色をしたハムシ(成虫、幼虫ともに植物の
葉や茎などを食べる昆虫)が見られる。北海
道から九州まで広く分布し、名前どおりオニ
グルミやサワグルミを食べる。
梵珠では6月頃に多く見られるようにな
り、お腹が卵で大きくふくらんだ雌に雄が集
まっているのが見られ、雄と雌の区別がはっ
きりとわかる。梵珠にはサワグルミが多いが、
日当たりの良い場所にあるのを好むようであ
る。葉をよく捜してみると、白い卵が卵塊と
なってあちこちに産み付けられているのを目
にする。雄の数が多いので雌をめぐって争う
こともあるはずだが、私が見ている時はいつ
ものんびりしていて争う様子は見られない。
幼虫も集団でサワグルミの葉を食べて暮ら
す。幼虫は黄色地に黒の点が散在し、集団で
いるとあまり気持ちの良いものではないかも
知れない。
鳴海 冨美子 (津軽昆虫同好会)
何年か前、サワグルミの樹の葉が一斉に葉
脈を残してほとんど食べ尽くされ、レース状
になっていたことがあった。私の家の庭木に
毎年アメリカシロヒトリが来て、気づかない
でいると葉脈だけ残して食べ尽くされてレー
ス状になってしまうので、毎年その時期にな
ると神経質になってしまう。それで梵珠にも
アメリカシロヒトリが来たのかと驚いたが、
それがクルミハムシの仕業だとわかり、その
食欲の旺盛さにびっくりしたものだ。
蛹は葉の下側に並んで、ぶら下がっている
が、黒っぽく、姿からではなかなか蛹とはわ
かりにくい。幼虫はカメノコハムシの成虫や
幼虫に食べられることが多いようだ。
梵珠ではサワグルミにオトシブミが早い時
期にたくさん揺籃を作ってしまうので、クル
ミハムシの姿もかなり減少してしまったよう
だ。そのせいか、レース状の食痕は見られな
い。羽化した成虫はそのまま越冬する。
クルミハムシの卵
クルミハムシ
生物こよみ(昨年) 9 月 ☀☁☂☃:昨年の天気 ℃:昨年の最高気温 低:最低気温
日
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
ゴジュウカラ・ミドリヒョウモン
ニホンザル
サラシナショウマ
キジバト
クサギカメムシ
キジバト
コゲラ
オオアカゲラ
ヤマガラ・エナガ・ヒガラ
カモシカ・アカハライモリ
カモシカ
キクガシラコウモリ
サラシナショウマ
キバナアキギリ
ハイイヌガヤ実
モリアオガエル幼体
キジバト・ヤマグリ実
キジバト
オニグルミ実
ツルニンジン
ヤマボウシ実
ハナタデ
ヤブマメ
ノコンギク
ムモンアカシジミ
オクトリカブト
ハンゴンソウ・キセキレイ
サラシナショウマ
アケボノシュスラン
アキノギンリョウソウ
観察できたもの
曜 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水
天 ☀ ☁ ☀ ☂ ☀ ☁ ☁ ☁ ☂ ☁ ☂ ☁ ☂ ☀ ☀ ☀ ☀ ☂ ☂ ☁ ☀ ☀ ☀ ☀ ☁ ☂ ☀ ☀ ☀ ☀
℃ 24 26 26 22 23 21 23 22 18 23 20 23 18 22 21 23 23 16 21 22 23 23 25 22 23 21 23 21 17 16
低 15 18 18 15 12 12 15 15 15 17 17 16 12 11 10 9 10 15 16 13 13 14 12 12 14 14 11 10 12 7
Author
Document
Category
Uncategorized
Views
3
File Size
4 601 KB
Tags
1/--pages
Report inappropriate content