6 1999 年 10 月 26 日発行 October 26, 1999 秋晴れ、開幕初の平日を迎えたが、来場者の出足は順調、12 時現在では早くも 4 万人を突破、ほぼ前回並みだった。常設駐 車場の入りは、午後 1 時の段階でほぼ満杯になった。この日は年輩者や外国人の来場者も目立ちはじめ、暖かな陽気に場内で は多くの人が屋外のベンチに座って楽しむ風景が見られた。 “ 変 革 ”を 前 面 に ― 先進モデルでアピール ― ショー直前の 18 日に「リバイバルプラン」を発表、これに連動した新しいメッセージ「ニッサン・ルネッ サンス・はじまる」を前面に打ち出した。東京モーターショーの場を変革に取り組む第一歩と位置づけている。 展示ブースの入口にはルネッサンス・コーナーを設置、 ルノーとの提携によるシナジー効果として「世界ランク No.4、生産台数 480 万台、グローバルシェア 9.1%」を掲げ ているほか、VTR大画面ではリバイバルプランを発表する カルロス・ゴーンCOO が映し出され、まずここで足を止め る来場者が目立っていた。 南欧をイメージしたメインの展示コーナーでは、次世代 セダン「XVL」。それに日産車の中で最も革新さを感じさせ るのが「AXY」、誰もが自由に使え、開放感が味わえるよ う開口部の大きいドアとフラットなフロアで構成され、ベ ビーカーや車椅子にも乗ったまま簡単に乗り降りできるの が特徴。また、3 リッターで 100 キロの走行を可能にし、情 報ツールとして活用できる ITS 技術まで搭載されている 「サイパクト」などのコンセプトカーが、変革の方向をア ピールする。 「XVL」はフロントミッドシップの3リッター直噴ガソリ ンエンジンとハイパワー向け無段変速機「エクストロイド CVT」を搭載した高級セダン。基本性能を追求した新設計 の FR 用プラットフォームに個性あるスタイリングを融合 させ、日産の新しいデザイン哲学をも示唆する。コンセプ トカーといっても、近々の発売が確実で、多くの来場者の 熱い視線を浴びている。 環境対応では、発売が待たれる「ティーノ・ハイブリッ ド」が、動力伝達部のオープン展示を行うなど、力点が置 かれている。同クラスのガソリン車に比べ 2 倍以上の燃費 向上など環境性能はライバル車と同等だが、駆動用モー ターを内蔵したハイパーCVTで変速ショックのない走りが 自慢。ハイブリッドコーナーでは前回ショー同様に外国人 の注目度が高い。 ●●● 来場者に聞く 変革への第一歩を印象づけたコーナー 誰もが簡単に使え、開放感のある「AXY」 ●●● カーメーカーと部品を交互に 東京・世田谷から息子さんと来た松尾馨 さん、モーターショーは30年間皆勤だとい う。 「展示に関しては、各社よくできていて 何も言うことはない」と高い評価。そして 混雑解消にちょっとしたアイデア。 「カーメーカーが隣り合っているから混 雑に拍車がかかっている。カーメーカーの 前後にそれぞれ部品メーカーを配置すれ ば、混雑が相当緩和されるはず。そうすれ ば部品のブースにも人が流れ、部品メー カーも喜ぶはず」 最後に注文。 「コンセプトカーもいいが、 現行の市販車をもう少し展示してもらいたい」。 超低燃費の“3 リッターカー”「サイパクト」 参考出品車では、オーテックの製作による電動メタル ルーフのクーペ「シルビア・ヴァリエッタ」、さらにセンス あるフォルムで「見られる存在」を目指したという7人乗り ミニバン「BASSARA」(2.4 リッター直噴ディーゼル)に 若者の人気が集中している。 圧倒的人気は新世代“かぶと虫” ―フォルクスワーゲン ― 全乗用車をシルバーパールメタリック一色で統一し、 「車 の未来」を印象付けている。つい先日日本にデビューした 「ボーラ」、隙のないデザインが好評な「パサート」、コンパ クトでかわいい「ポロ」など、ラインナップも充実している。 特にフォルクスワーゲンの代名詞である「ゴルフ」は、豊 富なバリエーションをそろえ、 実際にドアを開けて乗って見 る家族連れや若いカップルが多く見られた。 やや離れて別格扱いで展示され、圧倒的な人気を博してい るのが「ニュービートル」 。かつて一世を風靡した“かぶと虫” の現代版という売り込みだが、エクステリアの無駄のない曲 線、インテリアの小粋でおしゃれな感覚、FF駆動のパワート レインなど、内容は全く別物である。また 4 モーション:ハ ルデックスカップリングを使用するフォルクスワーゲンの新 しい四輪駆動システムがカットモデルで見られるのも楽しい。 生まれ変わった新世代かぶと虫「ニュービートル」 ル・マンの覇者と “ボンドカー” が人気 ― BMW ― 圧倒的人気の 99 年度ル・マン優勝車「V12 LMR 99」 今回のBMWには人気を二分する展示がある。今年のル・マ ン 24 時間レースで優勝した「V12 LMR 99」と、BMW 乗用車 の新しいシンボル Z8 だ。特に、次世代のボンドカーという Z8 は、クラシカルなボディに V8/400 馬力という強力なエンジン を搭載し、 「写真より実物の方がかっこいい」と大人気。さら にこの展示車の周囲では、外国人俳優による「ボンデージ」と 呼ばれるパフォーマンスが繰り広げられ、大変な人だかりだ。 BMWは5シリーズベースの、SAV(スポーツアクティビティ ビークル)と呼ばれるハイパフォーマンス4輪駆動「X5」も発 表した。BMW ブースで見逃せないのが、M シリーズである。 BMWモータスポーツを意味するMマークは、プレステージ性 と高性能のシンボルであり、M クーペ、M ロードスター、M5 には、若い人々を中心に常に熱い視線が注がれていた。 現行技術の限界にチャレンジ ― オペル ― 中央に巨大な「風船」を据えたオペルのブースは、欧州で の好調な販売を背景に、 近未来の車の姿に挑戦を続ける自動 車会社の姿勢が良く表わされている。人気の中心は、基本は 7人乗りながら多彩なシートアレンジにより様々な使い方が できる、本物志向のマルチパーパス(多用途)ビークルの「ザ フィーラ」だ。 「自在のシートアレンジ」は使い古された言 葉だが、 「ザフィーラ」の徹底ぶりには周囲から驚きの声が 上がるほどである。 扱いが比較的地味なので、目ざとい来場者しか気づかない 印象を受けたのが「G90」 。外見は 5 ドアのミニバン風でおと なしいが、わずか 750kg という重量とCd値(空気抵抗係数) が0.22しかない画期的なクルマだ。車名も1km走行あたりの CO2 排出量が 90g ということから来ている。この値は欧州の 超エコのコンセプトモデル「G90」 2008 年規制を大幅に下回っている。 Topics (第 4 回) 25日の入場者数 82,600 人 入場者数累計 370,200 人 クリーン作戦展開中 10 万人を超える入場者にもかかわらず、屋内外ともゴミひとつ見当たらない。 「と てもきれい」と来場者の評判もいい。それもそのはず、毎日朝 7 時から午後 9 時まで 赤いユニフォーム姿の清掃担当者が巡回、ゴミを拾い集めているからだ。名づけてク リーン作戦。メンバーは平日で213 人、日曜・祝日で 270 人。JR 京葉線の海浜幕張駅 周辺も守備範囲。 “お客様に少しでも気持ちよくと思って. . . ”休みなく駆け巡る。 ちなみに 23 日 (土)のゴミの量は 1 万 1200 キロ。前回とほぼ同じ量だったそうだ。
© Copyright 2024 Paperzz