[特集1] 進化する石油精製ビジネス

日揮株式会社 アニュアルレポート 2006
特集1
進化する石油精製ビジネス
我々人類にとって、
石油は最も重要なエネルギー資源のひとつです。
現在、
石油は世界の一次エネルギー需要の35%を占め、
2030年においても依然として
石炭や天然ガスを大幅に上回る需要が予測されています。
2004年10月以降、1バーレル当たり50ドルを超える原油価格が続いています。この原油高はインドや中
国など新たな巨大消費マーケットの急激な拡大、産油国のセキュリティ不安、投機資金の流入などが直接の
原因といわれています。
この原油高に対応する方策として、
現在、
産油国や国内外エネルギー各社は、
次の施策に取り組んでいます。
①新規油田開発の加速
②利用が遅れている重質原油の利用
③特に市場ニーズの高いガソリンや軽油など軽質留分の増産
このような顧客の動向、
ニーズに合わせて、
当社もさまざまな取り組みを行っています。
まず①に関して、
当
社は近年
「石油・ガス・資源開発分野」
に注力し、
アルジェリアやリビアで原油やガスの集積・処理プラントを建
設し実績をあげるとともに、新油田の権益確保などの資源開発事業への参画を試みています。
②と③については、
日本国内をはじめ、
アジア、
中東、
アフリカ、
南米、
東欧など世界各地で数多くの石油精製
プラントの建設実績を有する当社は、
これまで培ってきた経験と技術力を発揮することにより
「原油重質化へ
の対応」
と
「ガソリンや軽油など軽質留分の増産」
を通じて、
有限資源である石油の効率的活用を実現させてい
ます。
世界の一次エネルギー需要(燃料別)
(Mtoe)*
6,000
5,000
4,000
3,000
石油
天然ガス
2,000
石炭
原子力
1,000
水力
その他再生可能エネルギー
0
1970
* 石油換算百万トン
06
1980
1990
2000
2010
2020
2030
出典:IEA World Energy Outlook 2005
重質原油対応の実績 超重質油処理プラント
セロネグロ・アップグレーダープロジェクト
ベネズエラには粘度が高く扱いが困難なオリノコ重質油が豊富に埋蔵しています。この超重質油は高粘度
のため、
そのまま通常の製油所で精製することはできず、
パイプラインやタンカーで輸送することさえも不可
能です。
オリノコ重質油をディレードコーカー法と呼ばれる熱分
当社は2001年にベネズエラ国営石油会社向けに、
解技術を使って不純物を除去し、
軽合成原油を作り出すプラントを建設しました。
このプラントで処理された
超重質原油は通常の原油に生まれ変
わり、ベネズエラ国内および海外の
製油所向けに輸出されています。重
質原油の有効活用が世界的な課題と
なっている今日、このプロジェクト
はひとつの解決策といえます。
ベネズエラ国営石油会社向け製油所
重油の有効利用実績 石油精製・石油化学統合コンプレックス ラービグ計画
2006年3月、当社はサウジアラビアで住友化学(株)と国営石油会社サウジアラムコ社が進めるラービグ石
油精製・石油化学事業の中核設備となる重油の流動接触分解装置(High Olefin FCC:HOFCC)、およびエタ
付加価値
ンクラッカーによるエチレンプラントを受注しました。
特にHOFCCは市場ニーズの低い重油から、
ガソリンや石油化学原料のプロピレンを生産するものです。
当社はこの計画の基本設計役務から
の高いLPG、
一貫してこの石油精製の高度化事業に携わってきました。当社は市場ニーズの高い付加価値製品の生産プラ
ント建設を通じて顧客に貢献するとともに、限りある資源の有効活用を図ります。
当社は石油製品の需要動向など石油産業を取り巻く環境の変化を踏まえ、
環境保全に考慮しつつ、
石油産業
の未来ひいては我々人類の未来をも見据えた活動を進めてまいります。
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