---------- 1965 年 海外 ----------2 月 アメリカ軍がベトナム戦争に介入を決定、ベトナムの「北爆」を開始する。 最新のロケットを宇宙に飛ばす地上の最強国家 アメリカのプライドに かけても、水牛が畑を耕すような東洋の小国 ベトナムに負けるわけに はいかなった(ベトナムでは今でも、水牛は大切なパートナーで、子供の遊び相手)。 迎え撃つ北ベトナム軍の兵隊=ベトコンたちは、アメリカ軍の大部隊と の戦闘は避け、小部隊を襲って引きあげる「ヒット・アンド・アウェイ」、 熱帯雨林のジャングル内で、もぐらのようにトンネルを掘りめぐらし、 後方から銃撃するなどのゲリラ戦を繰り返し、女性も子供も協力した。堀 ったトンネルが今では観光スポットになっている。このような戦闘は 1945 年の沖縄戦でもあった。もしかしたら、ベトナム軍は日本軍の戦法を研究 したのかもしれない。経験したことのない戦いにアメリカ軍は「ジャング ルがあるのが悪い」と、ダイオキシンを含む農薬を凝縮した「枯れ葉剤」 を約 7000 万 L 以上散布して、ジャングルを枯らした。多くのベトナム人だ けでなくアメリカ兵までもが被害にあい、 「ベトちゃんドクちゃん」のような 体のつながった双子や脳障害の子供が生まれ、癌を発症するベトナム帰還兵 も出た。散布機は沖縄から飛び立つので、日本も「無罪」ではなく、ベトナ ムは沖縄を「悪魔の島」と呼んだ。島内で「枯れ葉剤」漏れ事故も起きた。 中国大陸のゲリラ兵に悩んだ日本と似ている。アメリカ国家の赤字は増え続け、ド ルの価値は下落し、途中でニクソン大統領は失脚し、アメリカはくたびれ果てて、 ベトナムからの帰還兵はノイローゼになり、中々撤退できず 1974 年まで続いた。 今のイスラム過激派はベトナムのやり方を真似していると思われる。 当時は「どこかが共産主義化すると立て続けに共産化する」という「ドミノ理論」 を大まじめに唱えて、アメリカは各国の紛争に介入している。しかし大陸に「植民 地」を持ちたい、という潜在的願望ではないか。最近のアメリカは「盟主ア メリカに貢がせるために、洗脳して民主主義国を世界中に作り属国にする帝 国主義」を実行しているが、あまりうまく行かないようだ。古代 中華帝国の ちょうこう さくほう たいせい 「朝貢による冊封体制」の方がうまく行っていたかもしれない。 また、ベトナム戦争は、ショッキングな「戦場写真」を多く送ってきた。 右の写真はフィン・コン・ウトが撮影した「戦争の恐怖」 。火傷を負った少女が 裸で逃げるシーンは、ベトナム戦争の写真で一番衝撃を世界に与え 1973 年にピ ューリッツァー賞を受賞した。ただし爆撃は南ベトナム側だった。重度の火傷 を負った彼女キム・フックは助からないと思われたが、一命をとりとめた。現 在 2 児の母親になった彼女は 1997 年に国連・ユネスコの親善大使となった。 戦火に苦しむのはいつでも一般人やその子供だ。川を泳ぐ家族の写真は、日 本人カメラマン沢田教一が 1965 年に撮った「安全への脱出」 。同じくピュー リッツァー賞を受賞した、ウトは今でも仕事をしているが、沢田は 1970 年 に銃撃されて死亡している。でも彼らジャーナリストが行くから、我々には 何が起きているかわかるのだ。彼らの行動を制限してはいけない 1 中学生のための現代史…これを読めばわかるかもしれない ---------- 1965 年 海外 ----------8 月 マレーシア連邦からシンガポールが分離・独立する。 シンガポール 現在、シンガポールと呼ばれるマレー半島の先端にある「島」には、1830 年 ごろから「華僑」と呼ばれる中国の人が、たくさん流入してきた。そして 1870 年ごろにイギリスの「海峡植民地」としてイギリスの直轄領になった。独立 した後、マレーシアでマレー人の優遇策に嫌気がさした中国系の人たち=華人 が、インドネシアの援助を受けて、独立してシンガポールを作った。最近は 中国本土の影響で反日感情が表に出てきている。 2 中学生のための現代史…これを読めばわかるかもしれない ---------- 1965 年 日本 ----------6 月 日韓基本条約 日本は「大韓民国(=韓国)が朝鮮半島における唯一の政権」と認定し、国交を正 常化し、1910 年の韓国併合の条約をすべて無効とした。また日本から無償で 3 億ドル、有償で 2 億ドル、その他すべてで 8 億ドルの援助を実行した。日本円 にすると 2880 億円、今の金額で単純計算なら 4 兆 6000 億円(!)になる。しか も「日本は韓国国民個人への補償はせずに、韓国がこのお金で国民にする」 「両 国の請求権は最終的に解決されたことを確認する」とした。国家間の約束だか らすごく重いはずだ。朴正煕政権はそのお金のほとんどを独裁的に仕切って 開発に使い、経済は「漢口の奇跡」と呼ばれる発展を遂げ、今の韓国の基礎 を築いた。しかし個人補償にはほとんど使っていない。軍事政権で怖かった から誰も何も言えなかった。80 年代になって「タカリ体質」になったのか、 この条約の存在を忘れたように、難癖をつけて、すぐに日本にお金を請求す る。国際的には、かなり恥ずかしいことをやっているのだが、どうやら自覚 がない困った隣国である。実は、「宗主国」が「元植民地」に補償をするこ となど、ほぼ前代未聞で、本当は欧米諸国には迷惑な「条約」だ。あまり覚 えておいて欲しくないのか、現在の韓国の動きの後ろに、中国や欧米諸国が いそうな気がするのは、筆者の邪推かもしれない。 同月 パキスタンの外務大臣に「日本はエコノミックアニマルだ」と言われる。 当時の日本人を「金儲けばっかり考えている国民」と表した言葉。今でも一部はそう かもしれない。漫画は水木しげる。読んでいないけど、なんとなく中身はわかるよう な、わからないような。「絶望の国の幸福な若者たち」とか「草食男子」「イクメン」 の現代では信じられないだろうが、これより古くは「トランジスタラジオのセールス マン」と言われた。父親のことは、まとめて 1950 年代には「頑固カミナリおやじ」 、 1960 年代から 1970 年代は「マイホームパパ」 、でも同時に 1990 年まで「モーレツサ ラリーマン」とも呼ばれた。まあ、どれも一面、当たってはいる。 8 月 佐藤首相が首相として初の沖縄訪問 佐藤首相は沖縄に到着してから、「沖縄の復帰問題が解決しない限り、 我が国にとって戦後は終わっていない。これは日本国民全体の気持ち だ」、「安保条約でアメリカとの間で締結されていることで極東の平和 と安定が保たれている。沖縄の安全がなければ日本の安全はない」と 述べた。 「ベトナム戦争中のアメリカ、核兵器を持った中国とソ連、そ の間にいる軽武装の日本。どれぐらいの規模の基地を残すのか、核兵 器はどうするのか、問題は山積みの沖縄返還交渉が始まった。 3 中学生のための現代史…これを読めばわかるかもしれない ---------- 1965 年 日本 ----------10 月 読売巨人軍が日本シリーズで優勝する。ここから 9 年間続け「V9」と呼ばれる。 この年の日本シリーズで「燃える男、ミスタージャイアンツ」の長嶋茂雄と、 「フ ラミンゴ、一本脚打法」の王貞治が主力選手だった読売巨人軍が日本一になり、 1973 年まで 9 年連続で日本一を達成した(いわゆる V9)。川上哲治監督がシーズン 前の公開練習で、メディアの取材をシャットアウトしたことから「哲のカーテン」 と呼ばれた。良い選手がいただけでなく「サインプレー」や「守備のカバーリ ング」なども初めて導入し、コーチと選手が色々な場面を「想定して問答する」ことも 実行していた。強いチームはどこまでも貪欲であり、見習うべきだ。また相撲では 横綱 大鵬が 1961 年から 1967 年まで連続優勝を何回も達成し活躍しているので、子供の好き なものに「巨人、大鵬、卵焼き」という言葉が流行した。 11 月 2590 億円の戦後初の赤字国債発行 今のオカネだと 4 兆円ぐらい? 高度経済成長期でも、新幹線を作り、首都高速を作り、オリンピックを 開催すれば、そりゃーそうだろうなーの赤字である。本当は憲法上「適切な財政体制を守る」はずだから、 違法行為と思うのだけど、ず~と国債を発行している。 10 月に朝永振一郎がノーベル物理学賞を受賞 4 中学生のための現代史…これを読めばわかるかもしれない
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