障害年金更新時にも地域格差が明らかに 不支給者へは判定理由を説明

一般社団法人
全国心臓病の子どもを守る会
事務局通信
発行 2015.8.6
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障害年金更新時にも地域格差が明らかに
不支給者へは判定理由を説明するよう改善通知も出される
すでに一部のマスコミ各紙で報道されていますが、障害年
金更新時の際に都道府県での不支給格差があることが、明ら
かになりました。これは、私たち心臓病者にとっては大事な
問題です。8 月 2 日に配信された共同通信社の記事と資料を
入手しましたのでお知らせします。
更新時の格差は 11 倍
障害年金の認定をめぐり、新規申請の不支給件数に都道府
県によっての地域格差が生じていることが問題とされて、知
的・精神障害の年金申請についての判定ガイドラインの作成
などが行われています。そうしたなかで、今回、受給者が更
新をした際の不支給割合についても、11 倍の格差があること
が判明しました。
心臓病では、障害基礎年金を受給している場合、通常で1
~2年ごとの更新をしなければならず、そのつど診断書を出
して審査を受けます。昨年来の報道で新規申請での格差が問
題になったなかで、守る会をはじめとした障害者団体から、
更新時のデータも明らかにするように厚生労働省に求めてき
ました。
そしてようやく 2013 年のみデータが公表されました。
(右表…共同通信社提供)
これは認定医によって、審査の結果に大きな差が生じてい
ることが原因と考えられ、この問題は守る会としても厚労省
改善の要望をしていきたいと考えています。
不支給理由の説明と問合せ先を明らかに
認定の際に不支給になった本人に出される「決定通知」に
不支給になった理由が詳しく書かれておらず、説明を求めて
も納得いく回答が得られないという不満が出ていました。
これに対して、日本年金機構は 8 月 2 日に全国の年金事務
所に対し審査の担当部署に照会して医学的な理由を説明する
よう通知を出しました。今後は内部文書の「認定調書」から
読み取れる判定理由などを具体的に回答するよう指示したと
のことです。また、申請者に送る不支給決定の通知には、こ
れまで問い合わせ先を載せていませんでしたが、8月中旬以
降は、担当の年金事務所の住所と電話番号を載せるようにな
ります。
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小児用補助人工心臓が承認・保険適用に
日本小児循環器学会・守る会などの要望を受けて異例のスピード承認
厚生労働省は8月1日付けで、ドイツのベルリンハート社製の単回使用体外設置式補助人工心臓
ポンプ(商品名EXCOR Pediatric 小児用体外設置式補助人工心臓システム)を保険適用としました。
心臓移植待機者が急性循環不全に陥った場合に装着するもので、乳児から使える補助人工心臓装置
としては国内初。厚労省は通常のスケジュールを短縮して約7カ月で審査を行い、迅速な保険適用と
なりました。
同機器については、厚労省は2009年に「医療ニーズの高い未承認医療機器」に選定。11年には医
療上の必要性・緊急性が特に高い医療機器だと判断して、
優先的に審査することを決めていました。
14年11月18日に製造販売承認申請が出され、15年6月18日付けで承認されていました。
小児の患者には、成人用の機器をつかうことで血栓のリスクなどが高いなどの問題が指摘され、
日本小児循環器学会などが小児用の補助人工心臓装置を早期の承認するよう求めてきました。守る
会も厚労省へ早期承認と保険適用を求めた要望書を提出しました。他にも移植者や待機患者などの
さまざまな声があり、それに押されての、異例の対応が行われたものです。
心臓移植希望者(レシピエント)基準が見直される
18 歳未満のドナーからの移植は 18 歳未満を優先する基準改訂
7月 30 日、厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会にて、心移植におけるレシピエントの選
択基準の改訂が承認されました。これによって、18 歳未満のドナーから心臓の臓器提供があった場
合には、緊急度にかかわらず 18 歳未満の移植希望者に優先して移植が行われることになります。
(関連ホームページ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000092441.html)
これまでは、子どもからの臓器提供があっても、小児で優先度が高い待機者がいない場合には、
大人のなかで緊急度の高い患者を優先して移植が行われてきました。ドナー家族からの「子どもの
臓器は子どもに提供したい」という感情に配慮をすべきとの声があり、小児の移植が進まない現状
もあって今回の改訂に至りました。
改正通知は 8 月 7 日に出されて関係学会や自治体に送られることになっていますが、臓器移植ネ
ットワークのシステム改修などに時間がかかるために、実際に新基準が施行されるのは年末か年明
けになるとのことです。
子どもの医療費助成のあり方等見直しへ
自治体への子ども医療費無料化ペナルティも検討課題に
守る会からは障害者医療費の助成についても改善を要望する
厚生労働省は 7 月 13 日、自治体が子どもへの医療費助成行っていることに対して、国がペナルテ
ィとして国民健康保険の国庫負担金の減額を行っている措置について、検討を行う方針を出したと
共同通信から報道されました。これについて、守る会は先日行われた厚生労働省交渉の場で担当者
に確認をしたところ、小児医療全体の問題を検討する検討会を立ち上げるということでペナルティ
問題を見直すかどうかは「課題となる」ということでした。
会からは、山梨県が窓口で無料だった障害者医療費助成が国のペナルティの負担があるために自
動償還払いになり一時立て替えが必要になったことも例としてあげて、障害者への医療費助成に対
する同様の措置も見直しを行ってほしいと要望しました。
(関連ホームページ http://www.47news.jp/CN/201507/CN2015071301001690.html)
*内容について不明な点やご意見は本部事務局までお寄せください(文責:事務局長・下堂前亨)
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