「新しい女性」とジェンダーの近代的構築 イ・ミョンソン(梨花女子大学校

「新しい女性」とジェンダーの近代的構築
イ・ミョンソン(梨花女子大学校アジア女性学センター・特任教授)
本発表では、植民地の近代社会で近代的な女性主体としての「新しい女性」の登場、そ
してそれを取り巻く男女の性別役割の変化とジェンダーの近代的構築を中心に、ジェンダ
ーの政治学を分析する。
近代社会において教育は、知識階層の輩出による階級の再編を促しただけではなく、女
性たちに公的で社会的な役割を与え、女性を重要な「社会的資源」の一つに押し上げた。
教育を通じて家の外に出た女性たちは「私」という近代的自我を獲得し、社会的主体とし
ての自己を確立し始める。彼女たちは、伝統的家族制度と婚姻制など、不平等なジェンダ
ー規範を批判して、断髪や洋装を通して「近代的身体」を装い、自由恋愛と性的自立の権
利を主張する。特に執筆活動を通じて社会的発言を行い、職業に就いたり、社会活動をし
ながら公私の伝統的分離とジェンダーの境界を越えていく。
一方、近代的ジェンダーの再編過程は「新しい女性」だけではなく、伝統主義者と民族
主義者、植民勢力など多様な社会的勢力とジェンダーが互いに連帯、葛藤、交差する政治
的な場でもある。 特に「新しい女性」に関する論争の中で、
「新しい女性」は「近代の虹」
として賛美されると同時に「伝統の破壊者」として非難も受ける。また「新しい女性」像
では、男性の恋人や妻としての価値が重視され、その社会的活動よりも私的関係やセクシ
ャリティーに社会的関心が集中する。
このような「新しい女性」観を主張する男性知識人たちは、
「新しい女性」のセクシャリ
ティーと近代的女性性・ジェンダーに対する批判を通して植民地人としての他者性を克服
し、近代的自我として自らのアイデンティティを確立していく。こうした点で植民地女性・
「新しい女性」たちは日帝と朝鮮人男性の両方から抑圧される二重の圧制を受ける。しか
し、近代的主体としての「新しい女性」たちの活動は、現代の韓国社会のフェミニズム運
動の系譜の中に位置づけられ、他のフェミニズム運動と連動し変化しながら存続している。