聖職者による性被害者を支援したいけれど、何をしたらいいだろうか? SNAP(Survivors Network of those Abused by Priests)の記事”What to do when your priest is accused of abuse” の第18項では「虐待された児童の援護組織や性犯罪抑止団体でのボランティアに参加したり、それら の活動のための寄付などをしてみてください(部分引用)」と書かれてありました。私は「性的虐待・性犯罪に遭っ たときは?被害を知ったときは?」というページで個人的に NPO 団体などを紹介しましたが、日本の性被害者の ための相談機関は寄付で支えられているところが多く、SNAP(日本にはありません)も NPO ですし、翻訳に関す る私の質問に答えてくださった SNAP メンバーもボランティアとして活動しています。 「性被害者を救済するため」となれば、クリスチャンの多くがきっと快く寄付やボランティア活動をしてくださること でしょう。クリスチャンには社会問題や慈善活動に非常に関心が強く、フットワークが軽い方が非常に多いと感じ ています。それはとても素晴らしいことです。しかし、「聖職者による性被害者を救済するため」となると、尻込みし てしまうのがほとんどでしょう。残念ながらそれが実状でしょう。おそらく自分の所属する教会や教派に後ろめた いことをしているような気がするのでしょう。そして、それが神様に対する背信行為だと思うのかもしれません。私 自身もこのような活動をはじめる前はそう感じることもありましたし、カトリックの数々の性虐待事件を知っても「自 分は自分。教会で起きる性被害は私の問題ではない」と割り切ろうと思ったことが何度かあります。私は自分が 性的虐待被害者であるにもかかわらずこのようなことを思ったのですから、性被害と無縁の方はなおさらでしょう。 でも、このウェブサイトを読んでくださっている方々ならば、表立った活動は様々な事情があってできないけれど、 内心ではやはり「教会の性被害者を救いたい、何らかの形でサポートしたい」と思っていらっしゃるのではないで しょうか。そこで、みなさんに支援方法をいくつかご紹介したいと思います。 しかし、その前に性被害者支援団体への寄付より大事なことがあります。それは実際に同じ日本のキリスト教会 で起きた事件(訴訟に発展したケース)からどのような性被害・セクハラが起きうるのかを学ぶことです。他教派で 起きたことですが、聖職者から性的虐待・性暴力を受け苦しんだ被害者、そして被害者を支えている支援者たち、 ご自分達が所属している教会が荒れていく様を目の当たりにしてきた数多くの信徒達の苦しみを決して無駄に してはいけません。 ~まず実際に起きた事件から学ぶ~ 日本聖公会京都教区における牧師による性的虐待事件(1983 年~88 年と 90 年に被害を受け、提訴したのが 2001 年。被害者が勝訴したのが 2005 年です)があります。詳しくは『日本聖公会の原田文雄牧師の複数少女 性虐待事件を糾弾する 京都教区の事件対応を糾す会 公式ホームページ』をご覧ください。私はカトリックに 入信後しばらくしてから知ったのですが、最初こちらのHPを読んだときはとても衝撃を受けました。教会の性的 虐待は日本ではごく一部の、あまり知られていないような教会でしか起こらないと思いこんでいたからです。この とき既にアメリカやドイツなどのカトリックの性的虐待は知っていたにも関わらず、私はまだ「日本のメジャーな教 派の教会は大丈夫だ」と思いたかったのでしょう。多くの学校・幼稚園を経営しているような教派でこんな事が起 きると知ってびっくりしました。どれだけ教会の性被害者の裁判が難しいか、とても勉強になりました。また、性的 虐待とは一体どういうものか知らない方が被害内容をお読みになれば面食らってしまうでしょう。是非読んでいた だきたいと思う記事を以下にご紹介します。 2.新聞記事 3.事件の経過・時系列表(重要) 4.事件総括(重要) 村岡裁判記録閲覧報告1.2.(大阪聖ヨハネ教会) 裁判記録閲覧報告1.~7.(東京教区司祭) 【Blog「隣人は誰ですか」http://maria123123.blog.fc2.com/】 page1 ※カトリックでもセクハラ事件が起きました(不起訴) ・2009年2月4日~2月26日の各社の新聞 (過去の新聞記事の調べ方として一番簡単なのが、@nifty の「新聞・雑誌記事横断検索」です。) ・同年10月18日の産経新聞(東京朝刊・社会面) ・山内継祐(2009).総括・司祭セクハラ疑惑--大阪教区の不祥事対応 福音と社会,246,48-55 何が起こったのか、そしてどんな対処が行われたのかを知ることは、私たちカトリック信徒にとってとても重要なこ とだと思います。カトリック教会はセクハラや性的虐待に取り組み始めたばかりであり、こちらの前例を学ぶことは 欠かせないでしょう。 ~教会における性被害を生み出さないために活動している方の冊子を購読する~ プロテスタントの教会で起きた牧師による性暴力被害(被害者は 1997 年から被害を受け始め、その後裁判で勝 訴しましたが、2002 年に自死されました)に関する冊子『宮本の発信 “性暴力被害者の家族として”(第 2 刷)』 があります。こちらの冊子は1冊 400 円で購入できます。冊子を購読し、教会で生じる性暴力をなくすための活 動に興味・関心をもつことはすでに被害に遭った方々や支援者の心の支えにもなります。冊子(第1刷)の内容 は HP『日本聖公会の原田文雄牧師の複数少女性虐待事件を糾弾する 京都教区の事件対応を糾す会 公式 ホームページ』で紹介されています。著者である宮本晴美様は「一番大事なことはいかに加害者を出さないか、 そのためにはどうしたらよいか…」と悩みながら活動していらっしゃいます。購入申し込みは電話もしくは FAX で。 問い合わせ先は第 1 刷の内容が書かれてあるウェブページに記載してあります。なお、こちらの事件について は教団によるK元牧師性加害事件検証報告もあります。 ~聖職者による性被害者の支援団体へ寄付する~ 【SNAP に寄付するには】 SNAP はアメリカのシカゴに本拠地がある「聖職者による虐待被害者支援団体」です。教会当局とは一切関係が ないNPO団体です。私はこちらのHPの3つの記事の翻訳許可をいただきました。1988年にカトリックの聖職者 による被害者を支援するために作られた団体ですが、今は他の教派、他宗教の聖職者による性被害者支援団 体の中心にもなっています(HP 最下部の About にある”History of SNAP”や英語の wikipedia をご参照くださ い)。2012 年 10 月時点で日本に SNAP はありませんが、私は日本の被害者に何か役に立つ情報を提供したい と思ってこちらの団体に接触しました。SNAP を支援してくださることで、聖職者による日本の性被害者を間接的 にサポートすることができると思います。寄付ページももちろん英文ですので、以下に日本語による簡単な案内 文を作りました。ご参考までにどうぞ。 ①この団体の HP の上部のメニューに”Donate(寄付)”とありますので、それをクリックしてください。 ②”To make a donation to SNAP click here”というボタンがでてきますので、指示通りクリックしてください。そうす ると、”Online Donations(インターネットによる寄付)”というページが出てきます。記入欄は大きく分けて”Contact Information(問い合わせ先) ””Gift Information(寄付の内容) ” ”Payment Information(支払いに関する情報) ” の3つがあります。 ③”Contact Information(問い合わせ先) ”について 「問い合わせ先」となっていますが、私が寄付した後は「感謝メール」が届いただけで、その後寄付を催促する メールなどが送られてきたことは一度もありません。何らかのトラブルが起きたときの連絡先として記入してくださ い。 Title(~さん):Mr.男性 Mrs.既婚の女性 Ms.未婚・既婚区別をつけない女性 Dr.博士 Firstname/Lastname: 名/姓 Address:区町村名以降を順序は逆にして記入 例えば、「釜田町5丁目3番地1号こあらアパート101号室」であれば、 ”5-3-1-101Kamata-cho”でも良いし、”#101Koara-apartment 5-3-1 Kamata-cho”でも良い 詳しくは英文による住所の書き方をインターネットなどで検索 City:市名 【Blog「隣人は誰ですか」http://maria123123.blog.fc2.com/】 page2 State:州名はアメリカ用ですから、”Please Select”のまま次へ進む Postal Code:郵便番号はハイフンなしで記入 Country:”Japan”を選択 Email:E メールアドレス Phone:電話番号(私は国際電話用の番号をつけずに、そのまま記入した) ④”Gift Information(寄付の内容) ”について One Time Gift:一回の寄付 Sustained Giver Program:継続的な寄付 Tributes:感謝のしるし Conference Registration:会議への参加費 最初のうちは One Time Gift でいいでしょう。どれか選択したら、寄付したい額を選択してください。円・ドル換算 は http://info.finance.yahoo.co.jp/exchange/などを参照してください。 Frequency per year:1年に数回寄付をしたい方は年に何回寄付するかを選択するようになっている。()内の数 字がその回数を表しいる。先に記入した「寄付したい額」を年に何回寄付するかということになるので、継続して 寄付する方は注意して記入すること。※分割額を問われているではありません。One Time Gift の方は”Select” のままでOK。 ⑤”Payment Information(支払いに関する情報) ”について Total Amount:1年に合計で何ドル支払うことになるかを計算して記入する。 Card Type: Visa、Master Card 、AmEX 、Discover のいずれかを選択する。 Card Number:クレジットカードの番号 CVV2:カード裏にある署名欄の上部の数字で、最後の3桁もしくは4桁の数字。 AmEX はカード表のクレジットカード番号の右上部に書かれてある数字。 Exp.Date:カードの有効期限を記入。月:年の順で入力 Comments:コメント欄。何かメッセージがあれば英語でどうぞ。 ⑥記入を終えたら”Submit”をクリックする。 ※寄付額の変更、寄付の停止はメールで伝えるようになっています。寄付をした後に SNAP から感謝メール が送られてきます。そのメールに問い合わせ先のアドレスが記載されています。 ~性被害関連書籍を復刊させる~ 非常に簡単な支援方法であり、教会とは関係のない性被害者をも救済することに繋がるのですが、性被害者向 けの癒やしの本には信仰書と同様に「絶版になっているが、どうしてもこの本でなければならない」という場合が あります。また、私のサイトには性被害予防の絵本を紹介したページがありますが、出版社の HP で確認したとこ ろ絵本もいくつか絶版・品切れになっています。楽しく読み聞かせる絵本ではないためか、このようなことが起き るのかもしれません。そこで復刊ドットコムで投票し、性被害者向けの本や性被害から子どもを守るための絵本を 復刊させましょう。たとえば、「いいタッチわるいタッチ (だいじょうぶの絵本)」は投票受付中です。 【Blog「隣人は誰ですか」http://maria123123.blog.fc2.com/】 page3 ~自分のブログや HP を利用する~ これはクリスチャンにしてみれば随分勇気ある行動に含まれるでしょう。クリスチャンであることを公表しているウェ ブサイトでは同じクリスチャンばかりが集う傾向が強く、そこで「教会での性被害をなくすためには…」などと本腰 を入れた発言をしようものなら、その人はウェブサイト上で言葉による暴力を受けるかもしれません。一般の方々 の常識的な「だって、聖職者が行ったとしても、それは性犯罪でしょう」などの発言はおそらく出てこないことで しょう。ネット上とはいえ、各自の所属教会と同様、教会の性被害について話しづらい雰囲気があります。結局 各々の信仰論が展開され、被害者のことなど置き去りにされるのが目に浮かびます。これがきっかけで、信仰者 同士で慰め励まし合ってきた関係にひびが入るかもしれません。ですから、ネット上の信仰者同士のコミュニティ を優先するか、被害者支援を優先するか、よく考えてリンクを貼ってください。私のサイトでも良いですし、私のサ イトのリンク集にある HP を紹介しても良いと思います。 また、このような方法もあるでしょう。突然「教会で起きる性被害」を話題にすれば、皆さんはご自分のウェブサイト の読者から警戒心をもたれてしまうでしょうから、日本で起きている様々な性犯罪事件について話をしてみても 良いのではないでしょうか。元々日本自体が性犯罪被害者に優しい国とは言えませんので、この手の問題の意 識を高めていくのも一つの手だと思います。 【Blog「隣人は誰ですか」http://maria123123.blog.fc2.com/】 page4
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