1.目的 本試験は、締め固めた試料および乱さない試料を対象に、飽和状態における透水係数を求める事 を目的とし、合わせて、この土中を流れる水の流れやすさ(透水性)を示す指標である透水係数を求 める事により、ダムや堤防、道路、埋立地といった人口造成地盤の透水性や浸透水量を推定出来る ことを理解する。 2.実験方法・条件 ア)透水試験 プリントと手引書の方法に沿って、B 班、B’班の2班で実施。B’班はフィルター材(粒径大) のみ、B 班は試料(豊浦砂:粒径小 Gs=2.65)とフィルター材にて試験を行い、結果を共有。 イ)クイックサンド実験 左側の水位を徐々に上げていき、ある水位差に達すると、右側の低い水位の方へ水と砂が噴き 上げる現象をクイックサンドと呼ぶ。実験の様子を観察する。なお砂は透水試験で使用した豊浦 砂(Gs=2.65)を使用する。 写真1 透水試験(左)とクイックサンド実験(右)の設備 3.試験結果の整理と考察 ア)透水試験 供試体とスタンドパイプ寸法を次表2に示す。 表2 供試体およびスタンドパイプの寸法 供試体 B班 B’班 9.983 10.000 6.317 12.000 78.273 78.540 1.980 1.950 5.050 4.990 細管の断面積 a1[cm ] 3.079 2.986 太管の断面積 a2[cm2] 20.030 19.556 直径 D[cm] 長さ L[cm] 2 断面積 A[cm ] パイプ 細管の直径 d1[cm2] 2 太管の直径 d2[cm ] 2 1 変水位試験の結果を下表3に示す。この試験結果より、透水係数は、B 班は 3.22×103[cm/s]、 フィルター材だけの B’班は 1.376×102 [cm/s]となり、B 班は「微細砂」、B’班は「清浄な礫」 という分類上から正しい結果となった。 表3 変水位試験の結果 B班 スタンドパイプの直径 d[cm] 細 太 1.98 5.05 変水位試験 時刻 t1 における水位差 h1[cm] 173.0 153.0 133.0 173.0 153.0 133.0 時刻 t2 における水位差 h2[cm] 153.0 133.0 113.0 153.0 133.0 113.0 測定時間 t[s] 6.90 11.10 13.20 46.80 74.40 88.60 T℃の透水係数 kt[cm/s] 0.00443 0.00314 0.00307 0.00424 0.00304 0.00297 測定時の水温 T[℃] 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 温度補正係数 0.925 0.925 0.925 0.925 0.925 0.925 ηt/η15 15℃に対する透水係数 k15[cm] 0.00409 0.00290 0.00284 0.00393 0.00282 0.00275 平均値 k15[cm] 0.003221 B'班 スタンドパイプの直径 d[cm] 細 太 1.95 4.99 変水位試験 時刻 t1 における水位差 h1[cm] 169.0 149.0 129.0 169.0 149.0 129.0 時刻 t2 における水位差 h2[cm] 149.0 129.0 109.0 149.0 129.0 109.0 測定時間 t[s] 3.69 4.02 4.59 29.64 32.97 34.09 T℃の透水係数 kt[cm/s] 0.01558 0.01636 0.01675 0.01270 0.01306 0.01477 測定時の水温 T[℃] 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 温度補正係数 0.925 0.925 0.925 0.925 0.925 0.925 ηt/η15 15℃に対する透水係数 k15[cm] 0.01441 0.01514 0.01549 0.01175 0.01209 0.01366 平均値 k15[cm] 0.013755 間隙比 e の計算結果を表4に示す。B 班は 0.5394、B’班は 0.1942 という結果になった。 表4 間隙比算出 B班 土粒子比重 水の単位体積質量 Gs 2.65 2.65 1 1 851.27 2091.36 V=A×L 494.5 942.5 3 γw[g/cm ] 土粒子質量 ms[g] 試料全体積 V[cm3] 3 B’班 土粒子体積 Vs[cm ] Vs=ms/(Gs・γw) 321.2 789.2 間隙体積 VV[cm3] Vv=V-Vs 173.3 153.3 e e=Vv/Vs 0.5394 0.1942 間隙比 2 また、これらの試験結果より流速を求めると、表5のようになる。この流速と水頭差の関係を 表したグラフが図6である。 表5 B 水位(水頭)と流速 細 太 開始水位 173.0 153.0 133.0 173.0 153.0 133.0 通過時間 6.9 11.1 13.2 46.8 74.4 88.6 2.899 1.802 1.515 0.427 0.269 0.226 流速 B’ 細 太 開始水位 169.0 149.0 129.0 169.0 149.0 129.0 通過時間 3.7 4.0 4.6 29.6 33.0 34.1 5.420 4.975 4.357 0.675 0.607 0.587 流速 細管 B[粒径小/細管] B’[粒径大/細管] 太管 B[粒径小/太管] 8.0 0.8 7.0 0.7 0.6 5.0 見かけの流速 見かけの流速 6.0 4.0 3.0 0.5 0.4 0.3 2.0 0.2 1.0 0.0 100.0 B’[粒径大/太管] 120.0 140.0 160.0 0.1 100.0 180.0 水位 120.0 140.0 160.0 180.0 水位 図6 水位と見かけの流速の関係 このグラフから、 「管が細い程、かつ、粒径が大きい程、流速が早い(透水性が高い)」という 事が言える。 3 イ)クイックサンド実験 この現象は、動水勾配が最も大きくて危険な矢板先端での力のつり合いにおいて、(全重量)≦ (間隙水圧)あるいは(有効重量)≦(透水力)のときに生じる。 矢板先端部で動水勾配が最大になり、透水力も最大になる。砂の Gs、間隙比 e、土中の矢板 の長さから、限界動水勾配 ic とΔH の関係は、 ic = Gs − 1 1+ e = 2.56 − 1 1 + 0.5394 = 1.013 = ΔH ΔH = (5 + 1 + 5) 11 と考えられ、安全圏内の水位ΔH は、11.143cm となる。実際には、17~18cm 程あったように 思うが、抵抗等、その他の条件が考えられ、実際の値が理論値 11.143cm より大きいので、概ね 理論通りの動きであったと言える。 5.設問(P.102) 1)ダルシーの法則は、動水勾配iと土中を流れる流速vとの間に比例が成り立つ関係を言い、次 式で表される。 v = ki この法則は、層流状態の浸透流に適用される。 2)定水位透水試験は、透水係数 k が 10-3~10-1cm/s の砂や砂質度を対象とした試験であり、変水 位透水試験は、透水係数 k が 10-7~10-3cm/s のシルトや細粒分を含む土を対象とした試験である。 3)不透水は粘土性を示す、透水係数 k=10-9~10-7 の範囲のものである。 4)透水係数に影響を与える 4 大要素は「土粒子径、間隙比、飽和度、浸透水の粘性係数(水温)」で ある。 5)十分に飽和させるのは、気泡が残ることで、異なる試験結果となったりしないようにするため である(流速や間隙比等、正確な数値を得るため)。 6)水温が上がると、透水係数も大きく(粘性係数は小さく)なる。 7)粒径からヘーゼンの式より推定出来る。また、土の種類から経験的に推定も可能である。 8)土中を浸透する浸透水は、実際には土粒子間の間隙を流れることから、間隙および土粒子部を 含めた全断面積を流れる流速よりも速くなる。ダルシー則の流速は、土の全断面を流量断面とし て考えており、これを「見かけの流速」と言う。本レポート内で求めた流速もこれである。 それに対し、「真の流速」とは、土中の間隙部の流れる流速のことであり、「見かけの流速」を 間隙率または有効間隙率(透水に有効な断面部分)で除した流速が「真の流速」に近いと考えられ ている。 以 4 上
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