Vol.37-1(2014) - 名古屋大学 総合保健体育科学センター

ISSN-0289-5412
HEALTH, PHYSICAL FITNESS & SPORTS
VOL. 37 No. 1
総合保健体育科学
NAGOYA JOURNAL OF
《 目 次 》
CONTENTS
Toward an Understanding of the “Hating to Lose” Mentality and Sport Motivation
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Tamotsu NISHIDA, Banjou SASAKI, Katsuro KITAMURA
Hirohisa ISOGAI and Shigeru SAITO
The effect of a short-term resistive training on functional capacity
and morphology for elderly individuals.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Aya TOMITA, Akira SAITO, Ryosuke ANDO
Akito YOSHIKO, Maya HIOKI and Hiroshi AKIMA
1
13
第 三十七巻 一 号
The Generalization to Daily life of the Psychosocial Effects of Sport Activities
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Tamotsu NISHIDA, Banjou SASAKI, Katsuro KITAMURA
Hirohisa ISOGAI and Takayuki SHIBUKURA
第 37 巻 1 号
23
Master theses (abstract)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53
スポーツ活動における心理社会的効果の日常生活への般化
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 西田 保,佐々木万丈,北村勝朗
磯貝浩久,渋倉崇行
1
負けず嫌いとスポーツ動機づけの理解に向けて
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 西田 保,佐々木万丈,北村勝朗
磯貝浩久,齊藤 茂
13
在宅での短期間レジスタンストレーニングが・
高齢者の身体機能と形態に及ぼす影響
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 富田 彩,齋藤 輝,安藤良介
吉子彰人,日置麻也,秋間 広
23
修士論文の紹介・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53
二〇一四
2014
₂₀₁₄
The Research Center of Health, Physical Fitness and Sports
Nagoya University, Nagoya, JAPAN
名古屋大学総合保健体育科学センター
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
スポーツ活動における心理社会的効果の日常生活への般化
The Generalization to Daily life of the Psychosocial Effects of Sport Activities
西 田 保*
磯 貝 浩 久****
佐々木 万 丈**
渋 倉 崇 行*****
Tamotsu NISHIDA *
Hirohisa ISOGAI ****
Banjou SASAKI **
Katsuro KITAMURA ***
Takayuki SHIBUKURA *****
北 村 勝 朗***
A number of studies have been conducted on the psychosocial effects of sport and health activities. The research, however, has focused exclusively on the direct effects derived from doing sports, and it has not been clarified
whether the benefits extend beyond sports activities to everyday life and other situations. This paper summarized
one part of the authors’ project study on the generalization to daily life of the psychosocial effects of sport activities.
The specific questions to be examined were as follows: 1) What kind of psychosocial effects are derived from sports
activities? 2) What factors influence these effects? 3) Are the effects of sports activities generalized to everyday life
situations? 4) What factors promote generalization? 5) Is it possible for sports activities to generate benefits and
generalization simultaneously? Data was collected on various subjects (elementary, junior high, and high school
students, and middle-aged and older adults), and quantitative, qualitative, and longitudinal methods were employed
for the analysis. In general, the results showed that the psychosocial effects of sport and health activities were generalized to daily life situations. The research findings for each study will be published as a research paper by the
authors in the future.
緒 言
スポーツ活動を実践することによってどのような効
果が認められるのかについては、国内外を問わず、これ
までにかなり多くの研究が行われてきた。それらの研究
は、心理的、生理的、体力的、社会的など様々な領域に
関連している(日本体育学会、2006;日本スポーツ心理
学会、2004,2008)
。スポーツ傷害やバーンアウトなどの
例外があるものの、総じて言えば、健康の保持増進、体
力強化、スポーツ技能の向上、メンタルヘルスの改善、
ライフスキルの獲得など、スポーツ活動のいわゆる正の
効果が認められていると言えよう。
しかしながら、これらの効果は、例えばスポーツ活動
の心理的効果を検討した研究の多くが、その活動に参加
することによって得られる直接的な効果(気分、不安、
自己概念、メンタルヘルスなど)を検討しているよう
に(ビドル・ムツリ、2005;Morgan, 1997; 西田・橋本、
2001;西田・小林、2009)
、当該スポーツ活動の範囲内に
限られたものであり、スポーツ活動以外の他の場面(日
常生活など)にどのような影響を及ぼすのかについては
明らかにされていない。スポーツ活動には、そのスポー
ツを行うことによって得られる直接的な効果と、それら
* * * * * 名古屋大学総合保健体育科学センター
* * * * * 日本女子体育大学体育学部
* * * * * 東北大学大学院教育情報学研究部
* * * * * 九州工業大学大学院情報工学研究院
* * * * * 新潟県立大学人間生活学部
* * * * * Research Center of Health, Physical Fitness and Sports, Nagoya University
* * * * * Faculty of Sports and Health Sciences, Japan Women’s College of Physical Education
* * * * * Tohoku University Graduate School of Educational Informatics Research Division
* * * * * Faculty of Computer Science and Systems Engineering, Kyushu Institute of Technology
* * * * * Faculty of Human Life Studies, University of Niigata Prefecture
―  1  ―
西田、佐々木、北村、磯貝、渋倉
の活動を通して得られる派生的な効果があると考えら
れるが、従来行われてきた多くの研究は前者によるもの
であると言える。これまで多くの研究で支持されてきた
スポーツ活動の効果が、後者のように他の場面にも適用
されるのであれば、スポーツの持つ意義や価値はさらに
高まることになる。
以上のことを踏まえた上で、本稿では、スポーツ活動
の心理社会的効果が当該スポーツ活動だけでなく、日常
生活へも般化されるのかどうかを検討した著者らのプ
ロジェクト研究の一部を要約して紹介する。般化とは、
ある特定の環境で学習したことが、他の色々な場所や環
境でも適用できることを意味する。スポーツ活動のいわ
ば派生的な効果を実証的に検討したこのような試みは、
過去に見あたらない。
プロジェクト研究を進めるにあたり、研究目的および
研究内容を明確にするため、スポーツ活動の効果と般化
に関する SG モデル(Sport Generalization Model)を作成
した(図1)
。そして、様々な対象者(小学生、中学生、
高校生、中高年者)を用いた検討が、このモデルに基づ
いて行われた。簡潔に言えば、以下の問題を明らかにす
ることが目的であった。
①スポーツ活動によって、どのような心理社会的効果が
生まれるのか
②それらの効果は、何によって影響/促進されるのか
③日常生活にも般化されるのか
④それらの般化は、何によって影響/促進されるのか
①③スポーツ活動の心理社会的効果と般化は、同時に
生じることもあるのか
また、これらの問題解明にあたり、研究方法論として
量的および質的分析手法を採用し、横断的・縦断的に研
究を進めた。
本稿では、SG モデルに依拠してこれまでに得られた
研究結果の一部を要約する。その構成(執筆者)は、緒
言(西田)
、小中学生を対象としたスポーツ活動(佐々
木)
、高校生の運動部活動(渋倉)
、中高年者の健康運
動(磯貝)
、質的な分析を中心としたアプローチ(北村)
、
それらを踏まえた上での本稿のまとめと今後の展望(西
田)である。各論の研究成果は、今後、論文化していく
ことが予定されている。各研究内容の詳細は、それらを
影響/促進
要因
①
スポーツ活動の心理社会的効果の般化(小中学生)
目的
子どもを持つ母親を対象とする縦断的な調査の結果
(ベネッセ教育総合研究所、2013)では、
「人に対する
礼儀やマナーを覚える」
「仲間と協力する姿勢を身につ
ける」など、いわゆる心理社会的な効果をスポーツ活動
に期待する割合が、一定して9割を超えている。このよ
うなことからすると、心理社会的効果をスポーツ活動に
求めることは、一般的な傾向であると考えられる。しか
し、小学生や中学生が行うスポーツ活動によってどのよ
うな心理社会的効果が得られるのか、それらは日常生活
へと般化するのか、また般化には何が影響するのかなど
は実証的に検討されていない。
そこで、本研究では質問紙調査により横断的および縦
断的データ(パネル調査:高比良ほか、2006)を収集
し、小中学生におけるスポーツ活動の心理社会的効果と
その般化について検討する。
影響/促進
要因
②
スポーツ
活動
ご覧頂きたい。
④
効 果
③
般 化
方法
1 .調査内容と方法の概要
調査は、SG モデルの①から④を実証的に検証するた
めに、以下の4つの内容を段階的に検討しながら行われ
た。調査①:スポーツ活動の心理社会的効果とその般
化、またそれらに関わる要因を、児童生徒、保護者、指
導者に対する自由記述調査により把握する。調査②:
調査①で収集されたデータをもとに、スポーツ活動の内
容、スポーツ活動による心理社会的効果、その般化、般
化に影響あるいは促進すると考えられる要因を測定で
きる尺度項目を作成し、2回の横断的調査
(第1次調査、
第2次調査)でそれぞれの下位尺度の構成概念と内的整
合性を検討する。調査③:調査②の第1次調査結果に基
づき暫定的に作成された尺度項目を用いて、小学生を対
象に予備的なパネル調査を実施し、スポーツ活動の心理
社会的効果とその般化の実態を探る。調査④:調査②お
よび③を経て最終的に作成された尺度を使用し、小中学
生を対象に本パネル調査を実施する。そして、スポーツ
活動の効果は日常生活場面に般化するのか、また般化に
はどのような要因が影響するのかを明らかにする。
2 .調査対象者および調査期間
各調査対象者と調査期間は、表1の通りであった。
結果および考察
1.スポーツ活動の効果と般化の実態調査(調査①)
自由記述調査の結果(佐々木ほか、2011,2013)
、
「他
図 1 スポーツ活動の効果と般化モデル(SG モデル)
―  2  ―
スポーツ活動における心理社会的効果の般化
表 1 各調査の対象者と調査期間
調査
小学生
中学生 調査期間(年 . 月)
5・6年男女 1―3年男女
調査①
62
111
2010.8―9
調査② 第1次
546
621
2011.3―6
第2次
713
410
2012.3―4
調査③: 5波
62
2011.4,7,10,12,2012.3
調査④: 3波
291
684
2012.5,9,2013.2
注)児童生徒の保護者、指導者にも適宜調査を実施した。
者との良好な関係をつくること」や「苦しいことにも我
慢強く取り組むこと」などが、スポーツ活動の効果とし
て児童生徒、保護者および指導者から共通に指摘され
た。また、これらは日常生活にも活かされているという
認識も共通に示された。このことから、スポーツ活動に
は心理社会的な効果を生み出す働きがあり、それらは日
常生活にも般化していると考えられる。また、このよう
な効果には、一生懸命活動に取り組むことができること
や活動場面での競い合いや励まし合いが関連している
ことが指摘された。したがって、スポーツ活動の内容の
充実や、仲間や指導者との社会的なつながりの深さなど
が、スポーツ活動による心理社会的効果と般化に影響し
ていることが示唆される。
2 .本調査で使用する尺度の作成(調査②)
スポーツ活動の効果と般化や、その影響・促進要因を
実証的に検討するためには、これらを把握するための尺
度が必要である。そこで、調査①により得られたスポー
ツ活動の効果に影響すると考えられる要因を参考に「ス
ポーツ活動尺度(活動尺度)
」を、スポーツ活動の効果
として指摘された記述内容をもとに「スポーツ活動の効
果尺度(効果尺度)
」を、また効果尺度と同様の項目で
教示文を日常生活に対応させた尺度として「スポーツ活
動効果の般化尺度(般化尺度)
」を、さらに効果の般化
に影響したり促進したりすると指摘された心理的要因
を参考に「般化促進尺度」を作成した(各尺度の下位尺
度は、表2参照)
。
次に、第1次および第2次調査を通じて、各尺度の
構成概念の妥当性と信頼性が検討された。分析の結果、
各尺度の構成概念は児童生徒のデータに対して高い適
合度を示し、内的整合性も全下位尺度で満足できる水
表 2 各尺度の下位尺度構成
尺度
活動尺度
下位尺度名と項目数
充実感(3)
、コミットメント
(4)
、困難の克服(2)
、
仲間(4)
、指導者(5)
効果尺度
忍耐力(2)
、協調性(2)
、集中力(2)
、
コミュニケーション(2)
、挨拶・礼儀(2)
、
般化尺度
ストレスマネジメント(2)
、問題解決(2)
、
感謝の気持ち(2)
、自己効力感(2)
般化促進尺度 同定(2)
、随伴性の認知(2)
、内在化(2)
準(α =.70以上)にあることが確認された(佐々木ほか、
2012a,2013b)
。回答は全尺度共通で、
「あてはまらない」
(1)から「非常によくあてはまる」
(2)の5件法である。
3 .‌予備的パネル調査(調査③:SG モデルの①、②、
③、④の検証)
暫定的に構成された4尺度を用いて実施された。地
域のスポーツクラブに所属する5、6年生児童に対する
調査・分析(交差遅れ効果モデル:7月から3月までの
4波のデータを使用)の結果、
「集中力」と「自己効力
感」において、スポーツ活動場面と日常生活場面との間
の循環的な因果関係が示された(佐々木ほか、2012b)
。
すなわち、スポーツ活動で得られた「集中力」と「自己
効力感」の心理的効果は般化して普段の生活に活かされ
るようになり、さらに日常生活で高まった「集中力」と
「自己効力感」はスポーツ活動に再び般化して、一層の
集中力の発揮と「やればできる」という自覚の向上に繋
がっていったと考えられる
(SG モデルの①と③)
。一方、
スポーツ活動での指導は、子どもひとり一人の体力や技
能のレベルに応じて行われ(課題目標)
、練習強度は全
体として中程度であることが指導者によって指摘され
た。心理社会的効果が得られ、さらにその般化へとつな
がる因果関係がみられたことの原因の一つには、スポー
ツ活動に関わるこのような環境的要素が関係していた
ことが示唆される(SG モデルの②と④)
。
4 .‌本パネル調査(調査④:SG モデルの①、③、④
および①③の検証)
最終的に作成された4尺度を用いて行われた。まず、
SG モデルの①を検証するために、スポーツ活動の内容
と効果との因果関係を重回帰分析により検討した。分
析の結果、小中学生ともに、
「コミットメント」の評価
が高いほど、
「忍耐力」
「集中力」
「コミュニケーション」
「問題解決」および「自己効力感」が高くなっていた。こ
のことから、意欲を喚起するチャレンジングな活動内容
であることが、スポーツ場面の多くの心理社会的効果に
関係していると考えられる。また、
「困難を克服する経
験」や「仲間との励まし合い」なども「忍耐力」や「協
調性」の向上に関連することが認められた。
次に、スポーツ活動効果の日常生活への般化
(SG モデ
ルの③)を検証するために、効果、般化両尺度の3波の
データを用いた共分散構造分析(交差遅れ効果モデル)
を実施した。その結果、小中学生ともに「忍耐力」や
「協調性」などの般化が認められた。また、小学生男子
では「協調性」
「挨拶・礼儀」および「自己効力感」が、
女子では「忍耐力」
「協調性」
「集中力」
「ストレスマネ
ジメント」および「自己効力感」において般化がみられ
た。一方、中学生男子では「忍耐力」
「協調性」および
「感謝の気持ち」で、女子では「忍耐力」で般化が示さ
―  3  ―
西田、佐々木、北村、磯貝、渋倉
れた。以上のことからすると、スポーツ活動の心理社会
的効果は日常生活にも般化すると考えられる。しかし、
小学生では女子の方が、中学生では男子の方がより多く
の効果に関して般化が生じていた。したがって、学校段
階や性別によってその様相が異なることが示唆される。
さらに、般化促進要因に関する分析では(SG モデル
の④の検証)
、スポーツ活動で学習したことの意義を自
覚し、そのことが日常生活でも信念として位置づいてい
ること(内在化)や、スポーツ場面での成功経験が日常
生活での出来事を解決することと同じであると気づけ
ること(同定)などをより深めている児童生徒ほど、ス
ポーツ活動による心理社会的効果の般化が多岐に及ん
でいることが示された。このことから、内在化、随伴性
および同定などの認知は、スポーツ活動効果の般化を促
す心理的要素であると考えられる。
また、小中学生それぞれにおいて、スポーツ活動その
ものが日常生活への直接的な般化に影響しているかど
うかが検討された(SG モデルの①③の検証)
。重回帰分
析により5月の活動から9月の般化、9月の活動から3
月の般化に対する β 係数を求めた結果、小学生では「コ
ミットメント」がすべての効果において日常生活への直
接的な般化に影響していた。また、
「困難の克服」や「仲
間」といったスポーツ活動も「忍耐力」
「集中力」
「問題
解決」などに直接影響していると考えられた。一方、中
学生では「コミットメント」の影響が小学生よりも少な
かったのに対して、
「困難の克服」の影響がより多岐に
わたって認められた。また、中学生では「指導者」の影
響による「自己効力感」などの直接的な般化が認められ
た。
以上により、ある特定のスポーツ活動は、その場面の
心理社会的効果と同時に日常生活への般化に対しても
直接的に作用していることが考えられる。また、これら
の影響の仕方は、学校段階で異なると考えられる。
まとめ
本研究は、小中学生におけるスポーツ活動の心理
社会的効果とその般化について検討することが目的で
あった。具体的には、SG モデルの①から④、および①③
を実証的に明らかにするための調査と分析が行われた。
検討の結果、第1に、スポーツ活動によって、
「忍耐力」
「協調性」
「集中力」
「自己効力感」などが心理社会的効
果として生じることが示された。第2に、このような効
果には、活動に対して意欲的に取り組むことができるこ
とや、困難に立ち向かいそれをやり遂げることができた
経験、さらには仲間との励まし合いなどが関連し、また
環境的要素として指導目標や練習強度などが関係して
いると考えられた。第3に、スポーツ活動の効果は、日
常生活にも活かされることが実証的に示された。また、
心理社会的な効果の般化は、循環的にスポーツ場面へ
と回帰することも示唆された。第4に、このような般化
は、心理社会的効果の汎用性についての理解が深まり、
より強く自覚されることで促されると考えられた。
本研究により、小中学生のスポーツ活動による心理社
会的効果およびその般化の様相が、SG モデルに基づき
設定された心理的要素によって実証的に明らかにされ
た。これにより、小中学生のスポーツ活動の意義とより
効果的な活動を実践させるための要点を示すことがで
きたと考えられる。今後は、効果と般化に関わる影響・
促進要因などをさらに吟味し、SG モデルの実用性を一
層高めていくことが課題である。
運動部活動の心理社会的効果の般化(高校生)
目的
図1に示されたスポーツ活動の効果と般化に関する
モデルに基づいて5つの解明すべき課題が提示された。
そこで、高校生の運動部活動に焦点を当て、運動部活動
の経験内容、運動部活動の心理社会的効果、心理社会
的効果の般化、般化を促進する要因を想定し、それら変
数間の関連性などを検討することによって、上記の課
題を解明することを目的とした。
方法
1 .対象者
公立高等学校3校の1、2年生運動部員を対象とし
て、5回の質問紙調査を実施した。変数間の関連性の検
討では、2回目から4回目までの全ての調査に有効回答
した286名(1年生男子73名、女子64名;2年生男子83
名、女子66名、有効回答率59.0%)
を分析対象者とした。
また、年間推移の検討では、1回目から5回目までの全
ての調査に有効回答した241名(1年生男子56名、女子
54名;2年生男子68名、女子63名、有効回答率49.7%)
を分析対象者とした。
2 .調査内容
以下の4尺度を調査に用いた。いずれの尺度も本研
究プロジェクトにおいて、予備調査(渋倉ほか、2011)
の結果に基づいて作成されたものであり、尺度の信頼性
と妥当性が確認されている。
(1)運動部活動の経験内容:渋倉ほか(2013)が高校運
動部員用に作成したスポーツ活動尺度(活動尺度)を調
査に用いた。この尺度は、
「楽しさ」
(3項目、α = .84)
、
「コミットメント」
(4項目、α = .79)
、
「困難の克服」
(2
項目、α = .86)
、
「仲間」
(4項目、α = .83)
、
「指導者」
(5項目、α = .88)で構成されている。回答は、
「現在の
―  4  ―
スポーツ活動における心理社会的効果の般化
運動部活動」で各項目が示す内容が自分の考えや気持ち
にどれだけ近いと思うかを「全くあてはまらない(1)
」
から「よくあてはまる(5)
」までの5件法で求めた。
(2)運動部活動の心理社会的効果:渋倉ほか(2012)が
高校運動部員用に作成したスポーツ活動の効果尺度(効
果尺度)を調査に用いた。この尺度は、
「忍耐力」
(3
項目、α = .82)
、
「集中力」
(2項目、α = .67)
、
「思考
力」
(3項目、α = .77)
、
「ストレスマネジメント」
(2項
目、α = .55)
、
「協調性」
(3項目、α = .79)
、
「コミュニ
ケーション」
(2項目、α = .52)
、
「挨拶礼儀」
(3項目、
α = .77)
、
「感謝の気持ち」
(3項目、α = .79)
、
「自己効
力感」
(2項目、α = .60)の9下位尺度、23項目で構成
されている。回答は、各項目が示す内容を「現在の運動
部活動」の中でどの程度できると思うかを「全くあては
まらない(1)
」から「よくあてはまる(5)
」までの5件
法で求めた。
(3)運動部活動の心理社会的効果の般化: 渋倉ほか
(2012)が高校運動部員用に作成したスポーツ活動効果
の般化尺度(般化尺度)を調査に用いた。この尺度は、
効果尺度と同様の9下位尺度、23項目で構成されている
(忍耐力:α = .82;集中力:α = .67;思考力:α = .82;
ストレスマネジメント:α = .65;協調性:α = .82;コ
ミュニケーション:α = .53;挨拶礼儀:α = .81;感謝
の気持ち:α = .82;自己効力感:α = .73)
。回答は、各
項目が示す内容を「現在の日常生活」の中でどの程度で
きると思うかを「全くあてはまらない(1)
」から「よく
あてはまる(5)
」までの5件法で求めた。
(4)心理社会的効果の般化促進尺度:高校運動部員用
に作成したスポーツ活動効果の般化促進尺度
(般化促進
尺度)を調査に用いた。この尺度は、
「同定」
(3項目、
α = .83)
、
「随伴性認知」
(2項目、α = .72)で構成され
ている。回答は、
「現在の運動部活動」で各項目が示す
内容が自分の考えにどれだけ近いと思うかを「全くあて
はまらない(1)
」から「よくあてはまる(5)
」までの5
件法で求めた。
3 .調査期間および方法
2011年5月から翌年3月の期間に5回の質問紙調査
を実施した。1回目の調査は2011年5月に、2回目の調
査は同年7月に、3回目の調査は同年10月に、4回目の
調査は同年12月に、5回目の調査は翌年3月に実施し
た。質問紙は学校長に送付し、学級担任を介して調査対
象者に配布した。調査はホームルームの時間を利用して
一斉に実施し、回答後の質問紙は学校長にとりまとめを
依頼して回収した。
結果および考察
1.‌運動部活動の経験内容、心理社会的効果、心理社
会的効果の般化の因果関係の検討1
SG モデルの①と③を解明するために、学年別
(1、2
年生)
、および心理社会的効果毎(9下位尺度)に構造
方程式モデリング(SEM)による分析を行った。効果尺
度と般化尺度は同一内容の下位尺度を対応させた。な
お、時間的先行性の観点から、活動尺度のデータを7月
の調査から、効果尺度のデータを10月の調査から、般化
尺度のデータを12月の調査からそれぞれ得た。
検討の結果、各学年、心理社会的効果毎(9下位尺
度)の分析において、全てのモデルの適合度指標は良好
であった。この結果は、運動部活動の経験は運動部活動
の心理社会的効果を導き、その心理社会的効果は日常
生活に般化するという因果モデルの妥当性を示すもの
と考えられた。つづいて、活動尺度と効果尺度との関連
性をみたところ、以下のような結果が得られた。①「楽
しさ」からは、1、2年生とも有意なパスが引かれた効
果はなかった。②「コミットメント」からは、1年生で
は「挨拶礼儀」を除く全ての効果へ、2年生では「スト
レスマネジメント」と「協調性」を除く全ての効果へ有
意なパスが引かれた。③「困難の克服」からは、1年生
では有意なパスが引かれた効果はなかったが、2年生で
は「忍耐力」
「集中力」
「ストレスマネジメント」などの
効果へ有意なパスが引かれた。④「仲間」からは、1年
生では
「協調性」
「コミュニケーション」
「感謝の気持ち」
などの効果へ、2年生では全ての効果へ有意なパスが
引かれた。⑤「指導者」からは、1年生では「集中力」
「ストレスマネジメント」
「挨拶礼儀」の効果へ、2年生
では全ての効果へ有意なパスが引かれた。また、同一内
容で対応させた効果尺度と般化尺度との関連性をみた
ところ、1、2年生とも全ての下位尺度においてパス係
数は有意であった。
以上の結果から、スポーツ活動は様々な心理社会的
効果を生じさせるが、これには学年差があることが考え
られた。また、スポーツ活動によって得られる全ての心
理社会的効果は日常生活に般化することが考えられた。
運動部員が心理社会的効果を得るうえでは、次のよう
な運動部活動経験の重要性が指摘できると考えられた。
すなわち、練習に意欲的に取り組んだり、新しいことに
挑戦したりする経験(
「コミットメント」
)や、信頼できる
仲間や指導者との相互作用を経験すること(
「仲間」
「指
導者」
)は重要であること。辛く苦しい練習に最後まで
我慢強く取り組むという経験(
「困難の克服」
)は1年生
でその重要性は低いが、2年生になると高くなることで
ある。その一方で、運動部活動で充実感や満足感を持つ
経験(
「楽しさ」
)は、心理社会的効果を得るうえでは、
それほど重要ではないことも示唆された。
―  5  ―
西田、佐々木、北村、磯貝、渋倉
2 .‌運動部活動の経験内容、心理社会的効果、心理社
会的効果の般化の因果関係の検討2
SG モデルの①③を明らかにするために、上記の1と
同様の分析を行った。ただし、般化尺度のデータは効果
尺度のデータと同じ10月の調査から得た。すなわち、ス
ポーツ活動の心理社会的効果とその般化が同時的に生
じることの検討を試みた。
検討の結果、各学年、心理社会的効果毎(9下位尺
度)の分析において、全てのモデルの適合度指標は良好
であった。このことから、スポーツ活動の心理社会的効
果と般化は、同時に生じることもあるということが考え
られた。
3 .‌般化促進要因が心理社会的効果の般化に及ぼす影
響の検討(SG モデルの④の解明)
般化促進尺度(12月調査データ)の各下位尺度得点
の平均値を基準として調査対象者を高群と低群の2群
に分類した。そして、それら2群による多母集団の同時
分析を行い、効果尺度(10月調査データ)から般化尺度
(12月調査データ)へのパス係数を比較した。検討の結
果、1年生では「忍耐力」
「集中力」
「ストレスマネジメ
ント」で「同定」高低群による差が認められた。このう
ち、
「忍耐力」
「集中力」については高群の方が低群より
も高得点を示した。
「ストレスマネジメント」
については
その逆であった。2年生では、
「忍耐力」
「集中力」
「思
考力」で「同定」高低群による差が認められた。また、
「忍耐力」で「随伴性認知」高低群による差が認められ
た。いずれも、高群の方が低群よりも高得点を示した。
以上の結果から、心理社会的効果の般化は、
「同定」
や「随伴性認知」によって影響されたり、促進されたり
するが、これには学年差があることが考えられた。すな
わち、
「同定」の影響は1年生では「忍耐力」と「集中
力」にあると考え、2年生では「忍耐力」
「集中力」
「思
考力」にあると考えられた。また、
「随伴性認知」の影
響は1年生ではなく、2年生では「忍耐力」にあると考
えられた。今後は、このような学年差が生じた原因を検
討することが課題である。また、上記2における分析で
は、スポーツ活動の心理社会的効果と般化は、同時に生
じることもあるという結果が導かれている。このことに
ついて、心理社会的効果が日常生活に般化するにはその
般化を促進する要因の介在が想定されるといえる。今
回、心理社会的効果と般化が同時に生じるという結果が
得られたことにより、
「同定」や「随伴性認知」という
要因が期間(本研究では2か月間)を空けずに、般化に
即座に影響するということも考えられる。今後は、その
ような観点からの検討も求められよう。
4 .‌効果尺度得点の年間推移に関する検討(SG モデ
ルの②の解明)
効果尺度の下位尺度得点の年間推移(5月、7月、10
月、12月、3月)を検討した。その結果、1年生では一
部の内容を除いて入部当初(5月)が最も高くそれ以降
は低下することが示された。一方、2年生では
「思考力」
「コミュニケーション」
「自己効力感」において5月から
10月にかけて得点の上昇がみられることが示された。
このことについて、効果尺度得点の上昇がみられる2
年生の5月から10月の期間は、3年生が引退を迎えて自
らの学年が最上級生となる時期である。そのような状況
下にある新チームの形成期では、下級生の模範となっ
て心理社会的スキルを使用する場面が増えたり、仲間と
の相互作用が活発になったりすることが予想される。こ
のような、心理社会的スキルの学習環境が 整うことに
よって、運動部活動の心理社会的効果は促進されたもの
と推測される。しかしながら、この点については、さら
なる実証的な検討が必要である。
まとめ
高校生の運動部活動に焦点を当てて調査を行ったと
ころ、学年による違いはいくつかあるものの、①練習に
意欲的にあるいは我慢強く取り組んだり、信頼できる仲
間や指導者との相互作用を経験したりすることなどに
よって、
「集中力」や「ストレスマネジメント」
、
「協調
性」などといった様々な心理社会的効果を生じさせる
こと(SG モデルの①)
、②それらスポーツ活動によって
得られる心理社会的効果は日常生活にも般化すること
(SG モデルの③)
、③スポーツ活動の心理社会的効果と
般化は、同時に生じることもあること(SG モデルの①
③)
、④心理社会的効果の般化は、部活動の経験と日常
生活の経験とは同じであるという「同定」や、こうすれ
ばうまくいくという「随伴性」の認知を持つことによっ
て促進されたりするケースがあること
(SG モデルの④)
、
⑤運動部活動の心理社会的効果は、心理社会的スキル
を実際に使用する機会や仲間との相互作用が活発であ
るといった、心理社会的スキルの学習環境が整うことに
よって促進されること(SG モデルの②)が示唆された。
―  6  ―
健康運動の心理社会的効果の般化(中高年者)
目的
スポーツ活動の効果と般化モデル(SG モデル)に基
づいて、中高年者を対象に健康運動の心理社会的効果
の般化について明らかにすることを目的とする。そのた
め、健康運動での経験内容、健康運動の心理社会的効
果、心理社会的効果の般化、般化を促進する要因を想定
スポーツ活動における心理社会的効果の般化
し、それらを評価する尺度を作成して、要因間の関連性
を検討することとした。
方法
1 .対象者
調査対象は、地方自治体主催のスポーツ・健康教室に
参加した143名(男性14名、女性129名;平均年齢、64.1
歳(SD=10.7歳)
)であった。7つのスポーツ・健康教
室(シルバーすこやか健康教室、シニアリフレッシュ教
室、のんびり健康教室、男女フィットネス教室、ソフト
シェイプアップ教室、中級者のレディースエアロビクス
教室、レディースソフトエアロビクス教室)を対象とし
た。
2 .調査内容
本研究プロジェクトにおいて作成した4つの尺度を
用いた。これらの尺度は、予備調査の結果に基づいて
作成されたものであり、信頼性と妥当性が確認されてい
る。
(1)健康運動の経験内容:中高年者の運動・スポーツ活
動を評価するために、スポーツ活動尺度を作成し、調査
に用いた(磯貝ほか、2013)
。この尺度は、
「楽しさ」
(3
項目、α = .83)
、
「コミットメント」
(4項目、α = .80)
、
「仲間」
(4項目、α = .83)
、
「指導者」
(5項目、α = .85)
の4つの下位尺度で構成されている。回答は、
「現在の
健康運動」で各項目が示す内容が自分の考えや気持ちに
どれだけ近いと思うかを「全くあてはまらない(1)
」か
ら「よくあてはまる(5)
」までの5件法で求めた。
(2)健康運動の心理社会的効果:中高年者の健康運動の
心理社会的効果を調べるために作成したスポーツ活動
の効果尺度を用いた。この尺度は、
「忍耐力」
(3項目、
α = .77)
、
「集中力」
(3項目、α = .82)
、
「思考力」
(3
項目、α = .75)
、
「ストレスマネジメント」
(3項目、α
= .77)
、
「コミュニケーション」
(3項目、α = .81)
、
「挨
拶礼儀」
(3項目、α = .82)
、
「感謝の気持ち」
(3項目、
α = .78)
、
「自己効力感」
(3項目、α = .86)の8下位尺
度、24項目で構成されている。回答は、各項目が示す
内容を「現在の健康運動」の中でどの程度できると思う
かを「全くあてはまらない(1)
」から「よくあてはまる
(5)
」までの5件法で求めた。
(3)健康運動の心理社会的効果の般化:中高年者の心
理社会的効果の般化を評価するために作成したスポー
ツ活動の般化尺度を用いた。この尺度は、効果尺度と同
様の8下位尺度、24項目で構成されている(忍耐力:α
= .86;集中力:α = .85;思考力:α = .84;ストレスマ
ネジメント:α = .82;コミュニケーション:α = .83;
挨拶礼儀:α = .87;感謝の気持ち:α = .86;自己効力
感:α = .83)
。回答は、各項目が示す内容を「現在の日
常生活」の中でどの程度できると思うかを「全くあては
まらない(1)
」から「よくあてはまる(5)
」までの5件
法で求めた。
(4)心理社会的効果の般化促進尺度:中高年用に作成
したスポーツ活動の般化促進尺度(般化促進尺度)を用
いた。この尺度は、
「同定」
(4項目、α = .79)
、
「随伴性
認知」
(4項目、α = .82)で構成されている。回答は、
「現在の健康運動」で各項目が示す内容が自分の考えに
どれだけ近いと思うかを「全くあてはまらない(1)
」か
ら「よくあてはまる(5)
」までの5件法で求めた。
3 .調査期間および方法
2012年9月と12月に調査を実施した。対象とした中高
年者のスポーツ・健康教室は、3か月間のプログラムで
あるため、教室開始時の9月と終了時の12月に2回の調
査を行った。主催団体の了承を得た後に、7つの健康教
室の対象者に調査の主旨を説明して、協力の承諾を得
た。回答は自宅にて行い、健康教室指導者がとりまとめ
た。
―  7  ―
結果および考察
1 .健康運動の心理社会的効果とその般化の因果関係
SG モデルの①と③を明らかにするために、心理社会
的効果毎(8下位尺度)に構造方程式モデリング(SEM)
による分析を行った。効果尺度と般化尺度は同一内容
の下位尺度を対応させた。
その結果、心理社会的効果毎の分析において、全て
のモデルの適合度指標が良好であることが確認された。
この結果から、中高年者の健康運動の経験は、健康運動
に伴う心理社会的効果を導き、その心理社会的効果は日
常生活に般化するという因果モデルの妥当性が示され
たといえる。小中学生、高校生のスポーツ活動において
も因果モデルの妥当性が示されていることから、幅広い
年代で運動・スポーツ活動の心理社会的効果とその般化
がみられるとみなすことができる。
健康運動の具体的な経験内容と心理社会的効果の関
係について検討した結果、以下のことが明らかになっ
た。
①楽しさ」からは、正の有意なパスが引かれた効果はな
く、
「自己効力感」では負の有意なパスが引かれた。
②「コミットメント」からは、全ての効果へ有意なパス
が引かれた。
③「仲間」からは、
「忍耐力」
「思考力」
「ストレスマネ
ジメント」
「コミュニケーション」
「自己効力感」の5
つの効果へ有意なパスが引かれた。
④「指導者」からは、
「感謝の気持ち」の効果へ有意な
パスが引かれた。
これらの結果から、中高年者が心理社会的効果を獲
西田、佐々木、北村、磯貝、渋倉
得するうえで、次のような経験内容が重要であると指摘
できる。まず、運動への意欲的な取り組みや集中した取
り組み、新しいことにチャレンジする経験が様々な心理
社会的効果に強く結びつくといえる。そして、健康教室
の仲間や指導者に恵まれ良い関係を築き、望ましい相互
作用を経験することを通して、心理社会的効果が獲得さ
れるとみなされる。一方で、健康運動の楽しさに関する
経験は、心理社会的効果に結びつきにくいことも示唆さ
れた。
続いて、心理社会的効果の日常生活への般化につい
て検討するために、各効果尺度から般化尺度へのパス
係数を調べたところ、全てのパス係数が有意であること
が確かめられた。これらことから、健康運動で得られた
心理社会的効果は、全て日常生活に般化することが明ら
かになったとみなすことができる。
2 .健康運動の日常生活の般化への直接的影響
SG モデルの①③を明らかにするために、時間的先行
性を考慮した重回帰分析を行なった。9月の活動尺度
から12月の般化尺度へのβ 係数を調べた結果、
「指導者」
が「感謝の気持ち」に有意に影響していることが示され
た。すなわち、健康運動教室の指導者とより良い関係性
を築くことは、日常生活の「感謝の気持ち」に直接的に
影響すると考えられる。一方で、その他の健康運動の経
験は日常生活に直接的に影響しにくいものと思われる。
3 .健康運動の心理社会的効果に影響する要因の検討
SG モデルの②について検討するために、スポーツ・健
康教室の指導者に質問紙調査とインタビューを行なっ
た。運動環境に関しては、施設や用具は充分確保されて
いるという認識が高かった。指導に関しては、運動を楽
しむことや他者との良い関係を築くことを重視して指
導していることが伺えた。このような環境条件や、指導
者の指導方針が、心理社会的効果に影響しているものと
推察される。
4 .‌心理社会的効果の般化に及ぼす般化促進要因の影
響(SG モデルの④の解明)
心理社会的効果の般化に影響を及ぼす要因を検討す
るために、
「同定」と「随伴性認知」からなる般化促進尺
度の平均値を基に対象者を高群と低群に分類した。そ
して、2群の効果尺度から般化尺度へのパス係数を比
較した。その結果、
「同定」では8つの心理社会的効果
すべてで、高群の方が低群よりも得点が高い傾向にあっ
た。また、
「随伴性認知」も同様に心理社会的効果すべ
てで、高群の方が低群よりも得点が高い傾向にあった。
これらの結果から、心理社会的効果の般化には「同
定」や「随伴性認知」が影響していると考えられる。す
なわち、健康運動場面で上手くできた経験は日常生活で
の問題を解決することと同じであると気づけること(同
定)や、どのようにすればどのような結果になるのかが
わかっていること(随伴性認知)は、般化を促進させる
重要な要因であるとみなすことができる。
まとめ
以上の結果をまとめると、中高年者が健康の維持・増
進を目的とした健康運動を行なうことで、様々な心理社
会的効果を得ることができるが、その効果には運動への
「コミットメント」といった内的な経験、
「仲間」や「指
導者」との良好な関係性の構築といった外的な経験、さ
らには施設、用具などの環境や指導者といった人的環境
が関わっている。また、運動経験は日常生活に直接的に
影響するものではなく、心理社会的効果を経て般化して
いくと思われる。そして、心理社会的効果を日常生活に
般化させるには、健康運動場面と日常生活場の捉え方に
関する認知が重要な役割を果たしているといえる。その
ため、今後の中高年者の運動の心理社会的効果に関す
る研究では、運動の時間や頻度といった量的側面だけで
なく、運動経験の内容といった質的側面により焦点をあ
てていく必要があるように思われる。
質的分析によるアプローチ
目的
心理社会的スキルの獲得に関する研究課題について、
新たな視点からより立ち入った考察を可能にする手段
として、質的な研究方法論の必要性が指摘されている
(Jones and Lavallee, 2009)
。すなわち、心理社会的スキ
ル獲得過程に関わる体験の詳細な研究である(Jones and
Lavallee, 2009;北村ほか,2011;Kitamura et al., 2011a,
―  8  ―
2011b)
。そこで本研究では、対象者のスポーツ活動体験
を遡及的にたどり質的に分析することを通して、スポー
ツ活動を通して対象者は何をどのように学ぶのか、そし
てそこでの学びはスポーツ活動以外の日常生活場面へ
適用されるかどうかについて明らかにすることを目的と
する。すなわち「スポーツの効果の般化」は認められる
か、それはどのような形でどのように生起するのかにつ
いて体験の詳細の視点から検討することが、質的分析に
よるアプローチのねらいである。
方法
1 .対象者
対象者の選定は、心理社会的効果やスキルの獲得に
関する体験についての調査協力が得られるという条件
に基づき、選択的抽出によって行われた。対象者はス
ポーツ活動歴をもつ小・中・高・大学生、指導者、保護
者、中高年の74名である(北村ほか,2011;Kitamura et
スポーツ活動における心理社会的効果の般化
al., 2011a)
。
2 .データ収集
深層的(in-depth)
、半構造的(semi-structured)
、自由
回答的(open-ended)インタビューを用いたデータ収集
が行われた。平成22年7月から平成23年7月の間にイン
タビューが行われた。対象者の承諾を得た上でインタ
ビュー内容は全て録音された
(北村ほか,2011;Kitamura
et al., 2011a, 2011b)
。
3 .データ分析
インタビュー終了後、直ちにテキスト化した発話デー
タから発話の意味の分析を行った。データ分析は Patton
(2002)および大谷(2007)による質的データ分析法に基
づいて行われた。まずテキスト化された文字データ(ト
ランスクライブ・データ)を読み込み、次に「データに
記述されている出来事に潜在する意義や意味」
(大谷、
2007)を解釈した上で、データにコードを付し、共同研
究者とのディスカッションを通して理論化を進めた(北
村ほか,2011;Kitamura et al., 2011a, 2011b)
。
結果および考察
帰納的分析の結果、352のセグメント化されたデータ
が本研究の分析対象として抽出された。それらは最終
的に4つのカテゴリー(働きかける場の存在、課題への
没入体験、ふり返り意味づける体験、自信につながる充
足体験)および11のサブカテゴリー(人との関わりを学
ぶ場の存在、人を育てる価値観をもつ他者、他者との協
調関係構築の体験、考えて変わる働きかけの必要性、目
の前の課題に没入する体験、悩み葛藤する、活動の価値
づけと自己評価、ふり返り見通して感じる学びの実感、
自覚する変化の意味の再確認、深い達成感を通して獲
得した自信、自律して自己充足を達成する自信の希求)
へと類別された(表3)
。
研究の結果から下記の3点が明らかとなった。第1
に、心理社会的スキルがスポーツ・健康活動を通して獲
得され、それらは日常生活へと場面を変えても適用され
表 3 階層的カテゴリー一覧
カテゴリー
働きかける 
場の存在
課題への 
没入体験
ふり返り 
意味づける体験
自信につながる 
充足体験
る、すなわち般化が認められる点である(SG モデル①
~③の体験の確認)
。例えば、人との関わり方、目標達
成に向かう専心性および自信、生活習慣への意識、自己
管理といった心理社会的効果は、スポーツ・健康活動
を通して意識化され、それらが日常生活場面においても
企図される体験が対象者によって語られている(北村ほ
か,2011;Kitamura et al., 2011a, 2011b)
。第2に、般化
は、当該スポーツ・健康活動にかかわる本人、指導者、
および支援者の価値観や期待感によって促進・阻害され
る点である(SG モデル④の確認)
。例えば、勝利や医学
的数値の改善のみを追求する結果志向の価値観を持つ
本人、指導者、支援者のもとでは、当該スポーツ・健康
活動を離れた場面での般化は認められにくく、逆に、当
該スポーツ・健康活動を通しての人間的成長や、より前
向きな人生観の確立といった価値観をもつ中では、般化
がより具体的かつ積極的に語られる傾向が認められた
(Kitamura et al., 2011a, 2011b)
。第3に、スポーツによる
効果と般化が同時に起こる場合もある点である(SG モ
デル①③が同時に生じる体験の確認)
。中高年の健康活
動では、当該活動は自身の生きる姿勢や健康観と直結
しているが故に、効果それ自体が日常生活そのものに影
響を与えている様子が、対象者の発話から解釈された
(Kitamura et al., 2011a)
。また、怪我等によって深く自身
のスポーツ活動を内省する経験をもつ対象者は、スポー
ツ活動は自身のアイデンティティや人生観と重ね合わ
せて捉えられており、効果それ自体がスポーツ場面を離
れた般化の意味を含んだ形で獲得されていると考えら
れる(Kitamura et al., 2011b)
。第4に、効果を促進する
要因として、①ロールモデルとしての先輩や交流といっ
た学びの空間の存在、②指導、教示、ルール、フィード
バックといったツールの存在、③心理社会的スキルの使
用を迫られる実践場面および④仲間の共同体、といった
学習環境の構成要素が推察される点が確認された(SG
モデル②の確認)
。第5に、般化を阻害する要因として、
①自ら考え省察する学びの場の不在、②管理、指示に
基づく反復練習に終始する手際のよい熟達化(routine
expertise)に偏った指導の場の存在、③心理社会的スキ
ルの使用を迫られる実践場面の不在および④仲間の共
同体の不在といった適応的熟達化(adaptive expertise)に
向けた学習環境の構成要素の欠如の問題が推察される
点も確認された(SG モデル④の確認)
。
以上の結果から、スポーツの効果の般化の在り様に関
し、次の2点が推察される。第1に、スポーツの効果の
般化は、どのような学びを通して心理社会的効果が得ら
れたかによって多様性が存在する点である。例えば指
導者に言われてやるといった、他律的に繰り返される反
復的な学びの中で得られた効果は、日常生活場面におい
サブカテゴリー
人との関わりを学ぶ場の存在
人を育てる価値観をもつ他者
他者との協調関係構築の体験
考えて変わる働きかけの必要性
目の前の課題に没入する体験
悩み葛藤する
活動の価値づけと自己評価
ふり返り見通して感じる学びの実感
自覚する変化の意味の再確認
深い達成感を通して獲得した自信
自律して自己充足を達成する自信の希求
―  9  ―
西田、佐々木、北村、磯貝、渋倉
ても機械的に生起する般化の在り様につながっている
点が推測される(北村ほか,2011)
。また自身の目的を
達成するための手段として捉えられる中で生起する心
理社会的効果は、般化においても手段的な意味を含む
形で生起している。例えば挨拶が指導者からのかかわ
りを強化し、その結果自身の記録向上につながるといっ
た方略的な自覚の中で般化が生起している点も推測さ
れた(Kitamura et al., 2011)
。さらに自身の体験や状況
をふり返る中で獲得された効果は、般化を取り込む形で
効果と同時に得られている(Kitamura et al., 2011)
。第
2に、スポーツの効果の般化は、こうした般化の多様性
と同時に階層性をもつ点である(北村ほか,2011)
。例
えば,
「働きかける場の存在」のカテゴリーによって示
されるスポーツ活動の意味づけが,他律的で反復的な
学びによってなされる場合は,反復的に生起する般化の
段階にとどまると考えられる。また,
「課題への没入体
験」のカテゴリーによって示されるスポーツ活動の意味
づけが,結果志向的な価値観によってなされる場合は,
方略的な般化の段階にあると捉えられる。さらに,
「ふ
り返り意味づける体験」および「自信につながる充足体
験」のカテゴリーによって示されるスポーツ活動の意味
づけが,省察的な学びによってなされる場合は,省察的
な般化の段階で展開されると考えられる。換言すれば、
スポーツ・健康活動を通して得られる心理社会的効果
は、自身が置かれている状況をどのように捉え、どのよ
うな相互作用が生じ、その結果どのような般化に至るか
といった、いわば省察の在り様に応じた階層性をもつ点
が推察される(北村ほか,2011)
。
3.スポーツ活動によって得られた心理社会的効果は、
日常生活においても認められること、すなわち般化
が確認された。そして、それらの般化は、その後の
スポーツ場面にも般化するという「循環」が示唆さ
れた。また、質的分析から、日常生活への般化は、
心理社会的効果が得られる背景となる学び方やス
ポーツ活動の意味づけによって「多様性」と「階層
性」を持つことが推察された。
4.スポーツ活動による心理社会的効果の日常生活への
般化は、スポーツ活動と日常生活での経験が同じで
あると気づけること
(同定)
、このようにすればうま
く解決できる(随伴性)といった認知によって促進
されると考えられた。また、本人や指導者の価値観
や期待感によって促進・阻害されることが指摘され
た。
5.スポーツ活動の心理社会的効果とそれらの日常生活
への般化が、同時に生じることもあり得ることが、
特に中高年者のインタビューデータによって指摘
された。
本研究プロジェクトにおいて、スポーツ活動や健康運
動による心理社会的効果が、日常生活にも般化すること
が実証的に示された。これにより、スポーツの持つ意義
と価値は、単にそれらの効果だけに留まらず、さらに高
いものになったと言える。今後は、SG モデルを精緻化す
るとともに、般化のプロセスや様相をさらに明らかにす
ることや、般化の規定因や促進要因を手がかりとした介
入実践の方法論を開発していくことなどが期待される。
付 記
本稿のまとめと今後の展望
本 稿 は、 科 学 研 究 費 補 助 金・基 盤 研 究(B)
(No.
22300207,研究代表者:西田 保)の助成を受けて行わ
れた研究の一部を要約したものである。また、資料の収
集にあたっては、岩手、宮城、新潟、静岡、長野、福岡
各県の児童・生徒、福岡県内の中高年者の皆さんに大変
お世話になりました。ここに深甚の謝意を表します。
本稿では、スポーツ活動の心理社会的効果とそれらの
日常生活への般化について、著者らのプロジェクト研究
の一部を要約して示した。それぞれの研究は、SG モデ
ルに依拠して行われた。小中学生のスポーツ活動、高校
生の運動部活動、中高年者の健康運動を対象とした横
断的・縦断的研究、それらを対象とした質的分析から得
られた結果は、概して言えば、以下のようにまとめるこ
とができる。
1.スポーツ活動によって様々な心理社会的効果が認め
られた。それらの効果は、
「忍耐力」
「協調性」
「集
中力」
「自己効力感」
「ストレスマネジメント」など
であった。
2.スポーツ活動の心理社会的効果は、スポーツ活動で
の「コミットメント」や「困難の克服」体験、
「仲
間」や「指導者」との良好な関係などによって促進
されることが示された。
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変化とその影響要因.総合保健体育科学,32, 1-10.
大谷 尚(2007)4ステップコーディングによる質的データ分
析手法 SCAT の提案.名古屋大学大学院教育発達科学研
究科紀要 教育科学,54, 27-44.
Patton, M. Q. (2002) Qualitative research and evaluation methods
―  11  ―
(3rd ed.). Thousand Oaks, CA: Sage.
佐々木万丈・西田 保・北村勝朗・磯貝浩久・渋倉崇行(2011)
スポーツ活動の心理社会的効果とそれらの日常生活への
般化:実態調査.日本教育心理学会第53回総会発表論文
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佐々木万丈・西田 保・北村勝朗・磯貝浩久・渋倉崇行(2012a)
小・中学生用スポーツ経験尺度の作成.日本体育学会第
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佐々木万丈・西田 保・北村勝朗・磯貝浩久・渋倉崇行(2012b)
スポーツ活動の心理社会的効果とそれらの日常生活への
般化:縦断的調査.日本教育心理学会第54回総会発表論
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佐々木万丈・西田 保・北村勝朗・磯貝浩久・渋倉崇行(2013a)
小学生および中学生のスポーツ活動による心理社会的効
果とその日常生活への般化の実態.日本女子体育大学紀
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佐々木万丈・西田 保・北村勝朗・磯貝浩久・渋倉崇行(2013b)
スポーツ活動の心理社会的効果とそれらの日常生活への
般化を測定する尺度の作成.日本スポーツ心理学会第40
回大会研究発表抄録集,178-179.
渋倉崇行・西田 保・佐々木万丈・北村勝朗・磯貝浩久(2011)
高校運動部活動の心理社会的効果とそれらの日常生活へ
の般化:実態調査.日本スポーツ心理学会第38回大会研
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渋倉崇行・西田 保・佐々木万丈・北村勝朗・磯貝浩久(2012)
高校運動部活動の心理社会的効果とそれらの日常生活へ
の般化:3時点での交差遅れ効果モデルによる検討.日本
スポーツ心理学会第39回大会研究発表抄録集.100-101.
渋倉崇行・西田 保・佐々木万丈・北村勝朗・磯貝浩久(2013)
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日本スポーツ心理学会第40回大会研究発表抄録集.104105.
高比良美詠子・安藤玲子・坂本 章(2006)縦断調査による
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パーソナリティ研究,15(1),87-102.
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
負けず嫌いとスポーツ動機づけの理解に向けて
Toward an Understanding of the “Hating to Lose” Mentality and Sport Motivation
西 田 保*
磯 貝 浩 久****
佐々木 万 丈**
齊 藤 茂*****
北 村 勝 朗***
Tamotsu NISHIDA *
Hirohisa ISOGAI ****
Banjou SASAKI **
Shigeru SAITO *****
Katsuro KITAMURA ***
Previous studies of motivation have assumed that in general, success breeds positive feelings and motivation
while failure generates negative feelings and dampens motivation. However, a closer look at comments made by
athletes in interviews reveals that in many cases, regret about losing a game can actually transform itself into a strong
desire to win the next competition. In order to promote an academic study of the link between the feeling of not
wanting to lose and motivation, this paper summarized the presentations and discussions that got underway at the
Round Table Discussion, which was organized as part of the 2013 Japan Annual Congress of Sport Psychology. The
authors described actual conditions and research perspectives of the “hating to lose” mentality based on the results
of questionnaires, the expertise of elite athletes, and mental training for athletes”. It is hoped that the Round Table
Discussion will generate further research in this area.
緒 言
スポーツ選手の試合後のインタビューを聞いている
と、
「この悔しさは忘れられない」
「なんとしても次は勝
つ」
「必ずリベンジする」
「悔しさをバネに戦う」
「今に見
ておれ、俺だって」
「人に負けたくないので、これまで
頑張って練習してこられた」
「悔しさが今の自分を成長
させている」といったコメントをよく耳にする。そこに
は、試合後の悔しい思いが強いエネルギーとなり、次の
行動へと駆り立てている様子が伺える。しかしながら、
これまでの動機づけ研究では、一般的に言えば、
「成功
(勝利)→ポジティブ感情(うれしさ、楽しさ)→高い動
機づけ」
、
「失敗(敗北)→ネガティブ感情(悲しさ、悔
しさ、不安)→低い動機づけ」という因果関係が想定さ
れていた。それでは、冒頭のインタビューで示した悔し
さを背景にした強い動機づけの存在は、どのように解釈
すればよいのであろうか。
「負けず嫌い」という日常語
が最も近い概念として考えられるが、この種の学術的な
研究はほとんど行われていない。負けず嫌いは、トップ
アスリートの心理的適性の1つとして位置づけることも
可能である。
さて、負けず嫌いは、
「他人に負けることを嫌う勝気
な性質であること。また、そのさま。まけぎらい。
」
と記
されている
(デジタル大辞泉、2013)
。しかしながら、ス
ポーツなどの現実場面では、負ける対象は他人だけでな
く、自分自身に対して向けられることもある。自分で決
めた目標やノルマが達成できなかったり、大事な場面で
感情のセルフコントロールがうまくできなかったり、い
わゆる自分自身との戦いに負けてしまうことなどがその
例である。また、性格的な要素が強く、
「勝ちたい、優
* * * * * 名古屋大学総合保健体育科学センター
* * * * * 日本女子体育大学体育学部
* * * * * 東北大学大学院教育情報学研究部
* * * * * 九州工業大学大学院情報工学研究院
* * * * * 松本大学人間健康学部
* * * * * Research Center of Health, Physical Fitness and Sports, Nagoya University
* * * * * Faculty of Sports and Health Sciences, Japan Women’s College of Physical Education
* * * * * Tohoku University Graduate School of Educational Informatics Research Division
* * * * * Faculty of Computer Science and Systems Engineering, Kyushu Institute of Technology
* * * * * Faculty of Human Health Science, Matsumoto University
―  13  ―
西田、佐々木、北村、磯貝、齊藤
れたい」という側面よりも「負けたくない、負けること
が嫌い」といった内容が強いように思われる。これに関
連する用語としては、競争心(competitiveness)
、競争欲
求、失敗回避動機、勝利志向性などがあげられるであ
ろう。また、負けず嫌いな人は、ネガティブ感情を強い
動機づけに変えていることも想定される。以上のことか
ら、本稿では暫定的ではあるが、負けず嫌いとは、
「性
格的な要素を背景として、他者あるいは自分に負けるこ
とを嫌う強い気持ち」と定義しておくことにする。
このような負けず嫌いの学術的な重要性に着目して、
2012年の日本スポーツ心理学会では、
「負けず嫌いの意
味を探る―負けず嫌いはトップアスリートの条件なの
か?―」と題するラウンドテーブルディスカッション
(RTD)が行われた(北村ほか、2012)
。そこでは、負け
ず嫌いの概念、外向きと内向きの負けず嫌い、生理的反
応からみた負けず嫌い、研究対象としての負けず嫌いな
どに関する話題が提供され、これらに関する意見交換や
議論も活発に展開された。また、翌年(2013)のスポー
ツ心理学会では、前年の流れを受けて、
「負けず嫌いと
スポーツ動機づけ:研究方法を探る!」と題する RTD
このようなことからすると、スポーツ選手の負けず嫌
いは、
「分かっているようで実はよく分かっていない」の
が実情といえる。以下では、スポーツ選手の負けず嫌い
を、筆者が予備的に検討した調査・分析結果を紹介する
と共に、今後の検討課題と質問紙調査を用いた分析の
視点を提案する。
2 .スポーツ選手の負けず嫌いに関する予備的検討
質問紙調査による実証的研究では、尺度の信頼性と
妥当性の高さが求められる。負けず嫌いに関していえ
ば、
「負けず嫌い」の概念を的確に把握でき、測定値も
一貫し安定している尺度が必要になる。しかし、既述
の通り、スポーツ選手の負けず嫌いはこれまでにほとん
ど検討されておらず、尺度も構成されていない。この点
は、今後、スポーツ選手の負けず嫌いを検討する場合の
第一の課題といえる。本稿では、このような実情を踏ま
え、負けず嫌いとの関連が示唆される構成概念として、
「多面的競争心」
(太田、2010)に着目し、その測定尺度
を引用して、負けず嫌いを規定する要因を検討する。多
面的競争心尺度の下位尺度と項目例は、表1の通りであ
る。
が行われた(西田ほか、2013)
。そして、①質問紙調査、
②エキスパート選手の熟達化、③メンタルトレーニング
といった3つの視点から、負けず嫌いの実態把握や研究
方法などに関する話題提供とそれを踏まえた議論が行
われた。
以上のことを踏まえた上で、本稿では、スポーツ動機
づけと関連の深い「負けず嫌い」の学術的な研究を推進
させていくために、2013年に開催された RTD の話題提
供や議論を中心として、今後の研究に結びつく研究情報
やコメントを掲載することとする。文献などは、当該箇
所を参照されたい。
(西田 保)
質問紙調査による負けず嫌いへのアプローチ
1 .負けず嫌いに関する研究の実態
負けず嫌いは、スポーツ場面でしばしば聞かれる言葉
であるが、心理学的にはその研究はほとんど行われてい
ない。例えば、国内では、
「負けず嫌い」をキーワード
に文献検索(CiNii)すると、全部で25件(2013年10月
22日現在)が該当する。しかし、雑誌記事以外の論文に
絞ると、太田(2010)や渡辺(2007)および渡辺・土井
(2007)の3件が該当するのみである。しかも、それら
の研究対象はスポーツ選手ではない。また、国外も同様
で、複数のデータベース(EBSCOHOST SPORTDiscus,
Science Direct など)で「hate losing」や「hate to lose」を
キーワードに検索しても(2013年10月22日現在)
、ほと
んどが雑誌記事で学術論文は検出されない。
―  14  ―
表 1 多面的競争心尺度(全21項目)
下位尺度名
手段型競争心
負けず嫌い
社会的承認
過競争心
競争回避 項目例
競争で相手と互いを高められる
競争相手に負けるのは悔しい
世に出て成功したいと強く思っている
人より勝るためには手段を選ばない
私は競争的な状況に不快感を感じる
項目作成は、競争心や動機づけなどの先行研究に基
づき検討されており、信頼性も確認されている。回答
は、5件法である。
予備的検討のための調査は、415名の女子体育大学
生(平均年齢18.8歳± .71)を対象に、2011年11月に集団
に対して一斉に行われた。また、
「スポーツにおける個
人・社会志向性尺度」
(磯貝ほか、2000)と「特性不安
尺度(新版 STAI の Trait Anxiety inventory)
」
(肥田野ほ
か、2000)も同時に実施された。
1 )負けず嫌いを規定する要因の競技レベル別比較
多面的競争心を説明する5つの構成概念のうち、負け
ず嫌いとそれ以外の4つの構成概念との間の関係を、競
技レベル高群(全国大会への出場経験が5回以上ある選
手:58名)と低群(全国大会への出場経験がない選手:
200名)に分けて、重回帰モデル(図1)による多母集
団同時分析によって検討した。
分析の結果、競技レベル高・低群それぞれに対して
モデルの適合度は良好であった(GFI=.996、CFI=.999、
RMSEA=.024)
。負けず嫌いに対する4つの構成概念の
関係を競技レベル別にみると、高群では手段型競争心か
負けず嫌いとスポーツ動機づけ
手段型競争心 社会的承認 負けず嫌い 過競争心 競争回避 図 1 重回帰モデル
らのパスのみが有意であった(.46:p<.01)
。一方、低群
では4つの構成概念からの全てのパスが有意であった
(手段型競争心:.32、社会的承認:.22、過競争心:.23、
競争回避:-.24, 全て p<.01)
。
以上を踏まえると、両群共通に手段型競争心からの影
響力が示された点では、選手全体としては、負けず嫌い
はより高い能力を自分の中に見出そうとする前向きな
認知や思考と関係していると考えられる。しかし、競技
レベル別にみた場合は、高群の選手では、競争相手と
共に相互に能力を向上させるという考え方(手段型競争
心)が負けず嫌いを強く規定していると考えられるのに
対し、競技レベルの低い群では、社会的評価を得ること
(社会的承認)や排他的な要素を含みながら勝つことを
求める考え方(過競争心)なども影響していると考えら
れる。このような選手の競技レベル別の違いからは、競
技水準が向上するのに従って、負けず嫌いの質は、競技
者としての成長の価値を相手と共有できるようになる
ことに見出そうとする方向に変容していくのではない
かということが示唆される。
2 )‌負けず嫌いとスポーツにおける個人・社会志向性
および特性不安との関係
全国大会の出場経験が1回以上ある174名と、全く経
験がない200名のそれぞれを対象に、スポーツにおける
個人志向性と社会志向性および特性不安が、負けず嫌
いの意識に対してどのように影響しているのかを重回
帰分析(ステップワイズ方式)によって検証した。
分析の結果、両群ともに、負けず嫌いに対しては社会
志向性のみから有意なβ係数がみられた(出場経験あ
り群:.25、p<.01;なし群:.35、p<.01)
。
磯貝ほか(2000)によるスポーツにおける社会志向
性は、その項目内容からすると、自らが所属するチーム
(集団)の規範遵守、役割遂行、あるいは人間関係の維
持などに関わるものである。すなわち、競争相手などの
他者との関わり方は含まれていない。したがって、有意
な影響がみられたことに関しては、いわばチームの一員
としての意識の強さと負けず嫌いとの間の関係が示さ
れたと解釈できる。すなわち、チームに対する所属意識
の強さが、そのチームの一員として競技に取り組む個人
―  15  ―
の負けず嫌いに影響を及ぼしているということを示し
ていると考えられる。
一方、個人志向性と特性不安から有意な関係性が示
されなかった点については、次のように考えられる。ま
ず、個人志向性については、尺度項目が、チーム内の人
間関係やそのチームでの競技への取り組みが、自分を中
心に位置づけられているかどうかを明らかにしようと
する内容である。したがって、この結果は、チーム内で
の自分のあり方が個人志向であることと競技に対する
負けず嫌いとの間には関連がないことを示していると
いえる。いわゆる成績志向性などとの関連は、改めて検
討される必要がある。
次に、特性不安との関係からは、負けず嫌いは不安
感情の影響を直接受けないことが示されたといえる。
Spielberger(1966)によれば、特性不安は認知的評価に
影響し、状況の変化で生じた状態不安を低減させるため
の心理行動的適応過程に作用するとされる。したがっ
て、負けず嫌いに対しては認知的評価がより強く関係す
ると考えられる。今後は、特性不安と同時に認知的評価
との関連を検討する必要がある。
3 .質問紙調査によるスポーツ選手の負けず嫌い研究
今後、質問紙を用いたスポーツ選手の負けず嫌いの
研究をどのように展開していくことが考えられるのか、
特に分析方法を中心にいくつかの提案を行いたい。
まず、基本的に取り組まなければならない課題は、負
けず嫌いを定義することである。予備的検討では、競争
心という視点から捉えることを試みたが、分析結果から
も示唆される通り、負けず嫌いは単に競争相手よりも優
位に立つことを志向する心理的要素ではないと考えら
れる。負けず嫌いの態度や行動、あるいはその時の感情
や認知的過程などをインタビューや事例研究を通じて
観察・抽出し、負けず嫌いの実態に迫る必要がある。そ
してその上で、探索的因子分析や確認的因子分析を用
いて負けず嫌いの構成概念を操作的に明らかにすると
ともに、信頼性と妥当性を備えた尺度を構成し、多母集
団同時分析などを用いて、男女、競技レベル、あるいは
異文化間の違いなどを検討することが考えられる。
次に考えられる検討課題は、負けず嫌いと様々な心理
的要因との関連を検討することである。特性的な要因と
しては、性格や自尊感情、あるいは perfectionism(完全
主義)などがあげられる。また、負けず嫌いが目標志向
性(成績志向性と課題志向性)を介して競技成績に与え
る影響や、競技成績に関わる帰属因の選択が負けず嫌
いの強い選手とそうではない選手とでどのように違う
のか、またその違いが次の段階の達成動機づけにどのよ
うな影響を与えるのかなどを検討することなども考え
られる。
西田、佐々木、北村、磯貝、齊藤
さらに、発達心理学において近年注目されている潜在
曲線モデルなどを用いて、繰り返し測定によって収集し
た負けず嫌いのデータについて、競技経験や成績の伸
び具合の違いによってその変化パターンを比較し、負け
ず嫌いがスポーツ選手の成長にとってどのような意味
を持つ心理的要素なのかを明らかにすることも興味深
い検討課題であると考えられる。
質問紙調査による研究アプローチは、負けず嫌いに
関する基礎的知見を得る上で有効であり、またそれに
よって負けず嫌い研究の基盤が構築されると考えられ
る。このことは、自己の向上に向けてねばり強く立ち向
かうことのできる選手の育成法や指導介入法を開発す
ることにも繋がると考えられるため、今後の研究の充実
が期待される。
(佐々木万丈)
(1)
当該スポーツ競技歴が10年以上
(2)
当該スポーツ競技において日本代表選手としての
競技歴をもつ
(3)
国内大会での優勝経験をもつ
〈指導者〉
(1)
当該スポーツ指導歴が10年以上
(2)
指導者として指導に当たった選手やチームの優れ
た競技成績を導いた実績をもつ
(3)
当該スポーツ競技連盟などの第三者的な専門家か
ら優れた指導者としての評価を得ている
調査協力を依頼した8名の選手および指導者全てから
承諾が得られた。
2 )方法
調査は、深層的、自由回答的、半構造的インタビュー
(in-depth , open-ended, semi-structured interview)により
行った。対象者には事前に質問内容の概要を郵送し、イ
ンタビュー当日は自身のこれまでのスポーツ体験およ
び指導体験の中で熟達に関わる体験に焦点を当て、60
分から90分にわたるインタビューが行われた。対象者
の承諾を得た上でインタビュー内容は全て録音された。
インタビュー終了後、直ちにその内容は全てテキスト化
された。データ分析は、Côté et al.(1993)および Patton
熟達化の視点からみる負けず嫌いと指導の研究法
1 .熟達化過程における負けず嫌いの体験
エキスパート選手の多くが「負けず嫌い」であること
を意識し、またエキスパート指導者の多くが「負けず嫌
い」は選手の熟達化に影響を及ぼすひとつの重要な要素
であると述べている(北村,2013)
。例えば、ある選手
は、
「強い選手がいるから絶対勝ってやろう」という思
いを常に持ち続けていた。またある指導者は、負けた悔
しさから「向こう向いた時に唇噛んでいたりとかしてい
る子もいる」と述べている。では、こうした「負けず嫌
い」はどのような体験として語られ、そこには指導の可
能性は見出せるのだろうか。ここでは、
「負けず嫌いを
指導に生かす」視点から研究の可能性を探っていく。
そのために、まず、①エキスパート選手の熟達化過程
において「負けず嫌い」がどのように体験されてきたの
か、その実体験に着目し、整理を行う。次に、②エキス
パート指導者が選手の「負けず嫌い」についてどのよう
な認識をもって指導にあたっているのかについて、イン
タビュー・データの分析を通して検討を行う。その上で、
③そうした熟達化過程にみられる「負けず嫌い」を研究
する方法論的な可能性と方向性についていくつかの提
案を行う。さらに選手の負けず嫌いをどのように実際の
指導に生かすか、その方向性も探っていく。
2 .‌エキスパート・スポーツ選手を対象としたインタ
ビュー調査研究
1 )対象者
エキスパート・スポーツ選手8名および指導者8名を
対象とした。対象者の選定に関しては下記の基準に従
い、3つ以上の基準を満たす選手を対象とした。
〈選手〉
(2002)による質的データ分析法に基づき、質的研究法
の経験を10年以上有する複数の研究者により全ての作
業が進められた。分析作業は、まずテキスト化された一
覧性のデータが、一つのまとまった意味をなす文章の単
位である意味内容要素(meaning units)に区切られ、そ
の一つひとつに標題(tag)がつけられた。次に全ての標
題から類似した標題をもつ意味内容要素がより広いサ
ブカテゴリーへと再編成され、再編成された各サブカテ
ゴリーに新たな標題がつけられた。再編成されたサブ
カテゴリーは、より抽象度の高いカテゴリーへと統合さ
れ、対象者の負けず嫌い体験に関する理解が飽和状態
になるまで検討が加えられた。
3 )結果
テキスト化されたインタビュー・データから212の意
味内容要素が得られ、その中から最終的に184の意味内
容要素が本研究における分析対象とされた。これらの
意味内容要素は、
「自分を許せない」
「できない悔しさ」
「結果への固執」
「あの人に負けたくない」
「競技結果へ
のこだわり」
「いずれ競う対象に」
「技術目標のイメージ」
「自己分析の手段」
「将来的な見通し」および「ふり返り
を通した目標確認」の10サブカテゴリーに分類された。
これらは最終的に、
「今できない歯がゆさ」
「結果を競う
他者意識」
「目標としての他者意識」および「自身の更
なる向上への希求」の4つのカテゴリーに分類された。
表2にカテゴリー毎のサブカテゴリーおよびその主
―  16  ―
負けず嫌いとスポーツ動機づけ
要な発話内容を示した。以下、対象者による発話データ
をたどりながら、各カテゴリーの主要な要素毎に整理し
ていくことにする。
(1)今できない自身への歯がゆさ
できない悔しさや思うようにできない自分自身への
歯がゆさといった、認知的(目の前の事実や体験)な事
象に対する内的な認知(自分に対する負けたくない気持
ち)を表すカテゴリーとして作成された。
(2)結果を競う他者意識
このカテゴリーは、目の前の他者や達成課題を競う心
的状態を表現している。レギュラーから外された悔しさ
といった、認知的(目の前の事実や体験)な事象に対す
る外的な認知(相手に対する負けたくない気持ち)を表
している。
(3)目標としての他者意識
自分よりも高いパフォーマンスを発揮する人に対し、
そこまで自身を引き上げたいといった、メタ認知的(省
察や目標への視点を伴う)な事象に対する外的な認知
(相手に対する負けたくない気持ち)を表すカテゴリー
として作成された。
(4)自身の更なる向上への希求
自分をより高めたいという、メタ認知的(省察や目標
への視点を伴う)な事象に対する内的な認知(自分に対
する負けたくない気持ち)を表すカテゴリーとして作成
された。
表 2 階層的カテゴリー一覧
カテゴリー
今できない自
身への歯がゆ
さ
結果を競う他
者意識
目標としての
他者意識
自身の更なる
向上への希求
主要な
発話内容
・自分を許せない
なんでできな
・できない悔しさ
いんだろうっ
・結果への固執
て悔しくて
この人に負け
・あの人に負けたくない
るのが大嫌い
・競争結果へのこだわり
で
・いずれ競う対象に
どうしたらあ
・技術目標のイメージ
そこまでいけ
・自己分析の手段
るのかって
もっとうまく
・将来的な見通し
なりたいって
・ふり返りを通した目標確認
強く思って
サブカテゴリー
ることができる(図2参照)
。
認知的(目の前の事実や体験)
メタ認知的(省察や目標への視点を伴う)
図 2 負けず嫌い体験の4象限モデル
また、エキスパート選手の体験の分析から、熟達化が
進むにつれ、負けず嫌いの体験は、認知的なもの(今で
きない悔しさ、負けた悔しさ)から、メタ認知的なもの
(どうやったらあそこまでいけるか)
に変化していく点が
推察された。
さらに、エキスパート指導者の発話の分析から、指導
においては、熟達化過程に応じて、内的・認知的な方向
(今できない自分への悔しさ、負けた悔しさ)を内的・
メタ認知的な方向(どうやってより自分を高めるか)に
視点を変えていくか、そのために外的な負けず嫌い体験
(相手に負けたくない)を踏まえつつ達成感や自信をい
かに体験させていくかが重要なポイントとなる点が示
唆された。
3 .‌熟達化および質的研究方法によるスポーツ領域の
負けず嫌い研究
今後の研究の方向性として、負けず嫌いを2つの軸に
よって構成される4つの象限で捉える視点を基軸とし、
負けず嫌いの状態を把握する量的・質的研究、負けず嫌
いの状態の変化を捉える量的・質的研究、および負けず
嫌いを指導に生かす実証的研究などが考えられる点も
示唆された。
(北村勝朗)
4 )考察
階層的カテゴリーの相互の関係を整理すると、エキス
パート選手を対象とした「負けず嫌い」の体験は〈内的
-外的〉および〈認知的-メタ認知的〉という2つの軸
で捉えることが可能である点が推察される。すなわち、
〈自分に負けたくない-相手に負けたくない〉
といった軸
と、
〈勝ち負けや結果という目の前の事実や体験への認
知的方向と、省察や目標への視点を伴うメタ認知的な方
向〉の2軸によって表される4つの象限によって整理す
―  17  ―
メンタルトレーニング指導の現場において、我々はア
スリートの「負けず嫌い」とどう向き合えばよいのか?
競技スポーツの世界では、否が応でも勝ち負けがはっ
きりする。故に、大多数のアスリートが勝利を目指し、
競技力向上のために日々限界まで自分を追い込む。そう
でもしなければ競技力向上は望めない
(鈴木、2012)
。そ
して、勝ち続けることが不可欠のトップ競技者は、勝つ
西田、佐々木、北村、磯貝、齊藤
ことへの執念=こだわりが最も重要な要件となり、いか
に技術的に優秀なアスリートであっても、この執念(こ
だわり)がないと勝負の場では勝ち残っていくことは困
難である(中島,2004)
。そうであるならば、
「負けず嫌
い」な性格は、競技スポーツの世界においては、しごく
当然かつ不可欠なものではないだろうか。筆者のこれま
での研究の中でも、負けず嫌いだから自己投資を行う、
負けず嫌いによる対抗意識から練習に専心する、といっ
たアスリートの姿を見てとることができる。
その一方で、杉原(2003)はメンタルトレーニングの
2つの方向性を示し、選手の人間的な成長を促すことに
よって欲や迷いそれ自体をなくそうとする、つまり自分
という人間に対する理解を深め、スポーツや勝敗に対す
る考え方を成熟させ、自分の生き方の質を高めることに
よってどのような状況でも自分らしく行動できるように
なることの重要性を述べている。そして、
「スポーツや
勝敗に対する考え方を成熟させる」とは、理論的には内
発的動機づけや課題志向性を高めるということであり、
内発的動機づけや課題志向性が強ければ、持てる力を
最大限に発揮してよいプレーができればよいという考
えになりやすいのではないか、としている。さらにはそ
う考えることにより、勝敗という結果は副次的で、人事
を尽くして天命を待つといった心境になりやすく、勝敗
を気にせず今ここに集中し、プレーを楽しむという心の
余裕が生まれやすくなるはずである、と述べている。
このように、これまでのメンタルトレーニングにおい
ては、杉原・工藤(1997)が指摘しているように、
「結
果」より「過程」
、つまりは自分の意のままにならない勝
ち負けといった「結果」より、自分の意思のコントロー
ル下に置かれており、結果を生む「過程」に注意を向け
るべきである、とされてきた。スポーツメンタルトレー
ニング教本(日本スポーツ心理学会編,2005)において
も、心理的トラブルとしての「集中力欠如」への心理的
対処として、
「勝敗にこだわるな」といった心や気持ちの
持ち方による解決策や、自信の高める方策として、
「試
合に勝つこと」より「自分のプレーをすること」
「ベスト
を尽くすこと」
「実力を出し切ること」
「思い切りプレー
をすること」が大切といった試合に対する認知を変える
ことなどが提言されている。
では、競技スポーツの世界に生きるアスリートには、
否が応でもつきまとう「勝ち負け」という「結果」を、メ
ンタルトレーニング指導の現場において我々はどのよ
うに捉えて支援すれば良いのだろうか。そして、実際の
現場において役に立つために、我々はアスリートの「負
けず嫌い」とどう向き合えばよいだろうか。
本報告では、あるオリンピアン(対象者 A、競技種目
B)へのインタビュー調査の事例を、
「負けず嫌い」に関
―  18  ―
連する発話へ焦点化し、時系列に沿って紹介することと
する。
対象者 A は10代でオリンピックに出場。その当時の心
境について以下のように述べている。
「
(オリンピック前の)世界選手権の時に、C さ
んに負けて、ボロ負けしてしまったんですね。全
然、足元にも及ばなくて。それがやっぱり悔しく
て、
(オリンピック出場の)内定貰っていたんですけ
ど、このままでは本当に非国民って思われるんじゃ
ないかというくらいの勢いで。やっぱり、それから
の2年間っていうのは、相当の執念、全てが B で
したね、生活が。寝るのも、食べるのも、何するに
でも。昼寝も、夜寝るのも B のため、体を回復させ
るため。朝の食事も、これが俺の血となり、肉とな
りって意識で食べて。
(中略)非常にストイックな
感じはしますけど、それくらい執念にも似たぐらい
の意識でやっていましたね」
。
「B を続けている中で一番何を求めていたかって
言うと、結局、そういう技術の完成度、B の質を高
めていくことだけを考えていたんですよね。
(中略)
世界記録出しても、まあそれはパフォーマンスとし
て凄い質が低かったりとか、金メダルをとっても、
それは結果だけ最高ですけど、でもまだつめられ
る部分っていうのが見えていたりとか、そこは大き
かったですね」
。
その後、20代で出場したオリンピックで金メダル、続
く大会でも銀メダルを獲得する。しかし、30代に近づい
てきた頃から、自らのモチベーションに変化が見え始め
たようである。
「もう1回、銀メダルだったものを、金を取り返
したいっていう意識もそこにありました。ただ、30
歳位になってくると、モチベーションがちょっと低
くなっていましたね、競技への。
『なにくそ』って、
負けて、反骨精神っていうのは、ちょっとずつ薄れ
ていっていた」
。
続けて、
「緊張感」の低下についても次のように述べ
ている。
「今までは、そういうハードな練習する時って、前
の日から凄く緊張していたりとかして、明日、辛い
練習だとか。それが全然、前の日とか普通に寝てい
るし、緊張感がなくなっていったし、一発の練習の
質の低さに繋がっているなって。質が高いもの、緊
張感がある練習をしていたのが、全然、何か緊張感
がないものになっていった」
。
「大会もそうでしたね。ほとんど緊張しなくなっ
ていった」
。
そして、最終的には闘争心が薄れ、
「負けず嫌い」で
負けず嫌いとスポーツ動機づけ
なくなってきた自分と出会い、競技からの引退を決意し
ていく。
「もう本当に A を楽しむ自分になってしまったっ
ていう。もちろん、狙いに、勝ちに、狙いにいって
いましたけど。ただ、なんだかんだ30前半から闘争
心はちょっとずつ薄れていってましたね」
。
「だんだんだんだん、やっぱり、その中で、勝て
なくなっていったのと、若手に負ける中で、若手に
負けて凄く悔しかったのが、悔しくなくなっていっ
た自分がいたんですよね。D や E がボンボン、ボ
ンボン出てきて。昔、C さんに負けたら、本当にも
う、物にあたるくらい悔しい自分がいたのに、
『あ
あ、負けちゃったなあ。まあ、いいや』みたいな感
じになっていったんですよね」
。
以上、対象者 A へのインタビュー調査の事例を示し
た。対象者 A の勝負へのこだわりと、その変容の様子
が発話の中にみることができる。
本報告では、筆者によるインタビュー調査の一事例の
提示であった。本分野における今後の研究の方向性を
考えるにあたり、中島(2008)による臨床心理学におけ
る事例についての見解は参考になる。中島(2008)によ
れば、
「事例は、自然科学的な領域で見られるような
『特
殊な一事例の報告』という位置づけとは異なり、語りそ
のものの中にも普遍性が見えなければならないうえに、
語られる『物語』を通じて、臨床学の目的の1つであ
る、人間存在の理解に到達しなくてはならない。事例に
よって物語は異なるが、それぞれの物語の中に普遍性が
あり、物語の1つひとつが独立した研究対象となるので
ある。当然ながら『普遍性』と言っても、自然科学的な
対象化されたモノの普遍性とは異なり、報告者も含めた
世界に共通する普遍性であることが前提に、
(事例)研
究は成り立つ。言い換えれば、事例を通じて(普遍性に
いたる)全体性を示す点で、
『報告』ではなく、
『研究』
となるのである」と述べている。本報告は、あくまで筆
者によるインタビュー調査の事例であり、到底「
(普遍
性にいたる)全体性」を示すには至っていない。また、
「昨今、質的アプローチを採用した報告や研究が増えて
いるが、それらの多くはいわゆる仮説検証型であり、研
究者側の関心を中心に対象者に語ってもらうもの」
(武
田,2013)という指摘もある。しかし、本報告における
対象者 A によって語られた「物語」の中には、トップ競
技者の勝つことへの執念=こだわりの変容を感じるこ
とができることから(ただし、
「普遍性」を示したとは言
えないが)
、このような事例も独立した研究対象となり
得る可能性があると考えられないだろうか。そして、実
際の現場において役に立つために、我々はアスリートの
勝負へのこだわり、つまり「負けず嫌い」とどう向き合
―  19  ―
えばよいのか、考える一助となるのではないだろうか。
(齊藤 茂)
負けず嫌いとスポーツ動機づけ研究へのコメント
動機づけは、人の行動がなぜ起こるのかを説明するた
めの概念であり、行動を特定の方向に向けて生じさせ、
持続させる潜在的な心理的エネルギーのことをいう。こ
れまでのスポーツの動機づけ研究では、達成動機、内発
的動機づけ、自己効力感などポジティブな心理的エネル
ギーに目を向けて研究が進められてきた。
今回取り上げられた負けず嫌いは、ネガティブな心理
的エネルギーとみなすことができるが、スポーツ選手の
原動力になっていることは、経験的に良く理解されてい
る。そのため、この負けず嫌いに着目して研究を進めて
いくことは、スポーツ選手の負けず嫌いの理解を深める
だけでなく、ネガティブなエネルギーの有用性という新
たな視点を示すという意味において、動機づけ研究に
とっても意義あることと思われる。
本稿では負けず嫌いについて、それを研究する意義
が示され、質問紙調査によるアプローチ、熟達化の視
点からみる指導方法、メンタルトレーニング指導との関
係、という3つの観点から興味深い研究成果が報告され
た。そして、これらの成果を踏まえた今後の研究の方向
性が指摘されているが、そのどれもが納得いくものであ
り、また示唆に富むものであると思われる。そのため繰
り返しの指摘になることも多いが、負けず嫌いの理解に
向けて今後どのような研究が必要になるのかについて
述べたい。
まず、負けず嫌いを定義して、負けず嫌いの概念を明
らかにすることが重要だと考える。佐々木氏は競争心と
いう視点から負けず嫌いを捉え、斉藤氏は勝つことへの
執念の重要性を指摘し、北村氏は発話分析から、
「今で
きない自分への歯がゆさ」
「結果を競う他者意識」
「目標
としての他者意識」
「自身の更なる向上への希求」の4
つの負けず嫌いの要素を指摘している。これらは、負け
ず嫌いを概念化していく際の重要な構成要素になると
思われる。また、北村氏が示した内的(自分に負けたく
ない)—外的(相手に負けたくない)
、認知的—メタ認
知的という軸は、負けず嫌いを明らかにする上で示唆に
富むものであるように感じる。
概念化についてさらに考えてみると、今回示された研
究知見は、スポーツ場面だけにみられるのか、勉強場面
や仕事場面などでも同様にみられるのかについて検討
していく必要があるように思われる。すなわち、スポー
ツでは負けず嫌いであるが、勉強ではそうでもないと
いった、状況・文脈との相互作用について調べることも
西田、佐々木、北村、磯貝、齊藤
の選手は、結果や他者を強く意識している可能性が高
く、矛盾や対立する関係にある両者をどのように捉えて
指導していくかについて検討する必要があるだろう。
最後に、負けず嫌いはスポーツ選手の身近な問題であ
るが、これまでは経験的に語られることにとどまり、研
究の対象にされてこなかった。しかし、本稿で示された
ように負けず嫌いは選手を動機づける重要な要因であ
るため、今後さらに研究が発展していくことが期待され
る。
(磯貝浩久)
大切だと考える。
また、
「幼い頃から負けず嫌いだった」とか「負けず
嫌いな性格なので」といった言い方をする選手が多い
が、このことは負けず嫌いが変化しにくい個人の特性や
性格であることを示唆しているように思われる。そのよ
うな点から考えると、負けず嫌いの定義としては、冒頭
に西田氏が示した、
「性格的な要素を背景として、他者
あるいは自分に負けることを嫌う強い気持ち」が妥当な
ように思われる。そして、概念化にあたっては、個人特
性と状況要因がどのようにスポーツでみられる負けず
嫌いに影響しているのかについて検討することも大切
になるだろう。これらの検討を行い負けず嫌いの概念を
明確にした後に、負けず嫌いについての研究を進める必
要があるだろう。
そして、その研究の方向性については、3つの方向
性を指摘したい。まずは、佐々木氏が指摘しているよう
に、負けず嫌いの概念に基づき負けず嫌いを評価する尺
度を作成することである。その際には、実態を適切に把
握するためにインタビューなどを行なって項目を収集
していくことが望まれる。
二番目の方向性は、負けず嫌いの関連要因についての
検討である。質問紙を用いた調査研究において、課題・
自我志向性や内発的動機づけなどの動機づけ要因との
関係をはじめとして様々な心理的要因との関係を明ら
かにすることや、トップアスリートの特徴について検討
することや、縦断的な調査によって選手の成長過程など
について調べていくことが重要となるだろう。
三番目の研究の方向性としては、負けず嫌いとスポー
ツ指導の関係を示していくことである。そのことに関係
して、北村氏は熟達化の過程のなかで、負けず嫌いの
体験は認知的なものからメタ認知的なものへ変化して
いくと指摘し、佐々木氏は負けず嫌いが競技レベルで異
なり、競技レベルの高い選手では競争相手と共に相互に
能力を向上させるという手段型競争心との関連が高ま
ることを報告している。これらは、トップアスリートに
なっていく上での望ましい負けず嫌いのあり方を示し
ている点で、今後の研究の参考になるだろう。また北村
氏のエキスパート指導者は熟達化に応じて、内的・認知
的な方向から内的・メタ認知的な方向へ視点をいかに変
えていくか、また外的な負けず嫌いを踏まえながら達成
感や自信をいかにつけさせるかが指導の重要な点とし
ているという報告は、指導のあり方の方向性を示してい
るという点で興味深い。
さらに、齊藤氏の負けず嫌いとメンタルトレーニング
との関係についての問題提起も重要だと考える。メンタ
ルトレーニングは、結果や他者でなく、自分自身に目を
向けさせることに主眼をおいている。一方、負けず嫌い
付 記
本稿は、日本スポーツ心理学会第40回大会(2013年11
月2日)において開催された「会員企画ラウンドテーブ
ルディスカッション(負けず嫌いとスポーツ動機づけ:
研究方法を探る!)
」の内容に基づき作成したものであ
る。
引用文献
Côté, J., Salmela, J. H., Abderrahim, B., and Russell, S. J. (1993)
Organizing and Interpreting Unstructured Qualitative Data,
The Sport Psychologist, 7, 127-137.
デジタル大辞泉(2013)負けず嫌い.小学館.http://kotobank.
jp/word/ 負けず嫌い(参照日2013年12月2日)
肥田野直・福原眞知子・岩脇三良・曽我祥子・Spielberger, C.
D(2000)新版 STAI.実務教育出版,東京.
磯貝浩久・徳永幹雄・橋本公雄(2000)スポーツにおける個
人・社会志向性尺度の作成.スポーツ心理学研究,27,
22-31.
北村勝朗(2013)プロフェッショナル・サッカー指導者を対
象としたコーチング・メンタルモデルの質的分析.東北
体育学研究,30(1),3-17.
北村勝朗・磯貝浩久・高畑好秀・菅生貴之・渋倉崇行(2012)
負けず嫌いの意味を探る―負けず嫌いはトップアスリー
トの条件なのか?―.日本スポーツ心理学会第39回大会
研究発表抄録集.14-15.
中島登代子(2004)スポーツカウンセリングの専門性.臨床
心理学,4(3),353-359.
中島登代子(2008)発病危機に陥った学生への危機介入の事
例研究.健康プロデュース雑誌,2(1),21-33.
日本スポーツ心理学会編(2005)スポーツメンタルトレーニ
ング教本(改訂増補版).大修館書店.
西田 保・磯貝浩久・佐々木万丈・北村勝朗・齊藤 茂(2013)
負けず嫌いとスポーツ動機づけ:研究方法を探る!.日
本スポーツ心理学会第40回大会研究発表抄録集.8-9.
太田伸幸(2010)多面的競争心尺度作成の試み.現代教育学
部紀要,2,57-65.
Patton, M. Q. (2002) Qualitative research and evaluation methods
(3rd ed.). Thousand Oaks, CA: Sage.
Spielberger, C. D. (1966) Theory and research on anxiety. In C.
D.Speilberger (Ed.), Anxiety and behavior(pp. 3-20). New
―  20  ―
負けず嫌いとスポーツ動機づけ
学.ミネルヴァ書房,pp126-127.
武田大輔(2013)臨床スポーツ心理学の現状と課題.スポー
ツ心理学研究,40(2),211-220.
渡辺弘純(2007)児童における「負けず嫌い」の積極的意味
を探求する.日本教育心理学会総会発表論文集,49,2.
渡辺弘純・土井直子(2007)小学校児童における負けず嫌い
の積極的意味を探求する.心理科学,28,96-111.
York: Academic Press.
杉原 隆(2003)運動指導の心理学.大修館書店.
杉原 隆・工藤孝幾(1997)第2章 注意・集中の技術.猪俣
公宏編,メンタルマネジメント・マニュアル.大修館書
店,pp17-36.
鈴木 壯(2012)競技スポーツ・アスリートの心性.中込四
郎・伊藤豊彦・山本裕二編著,よくわかるスポーツ心理
―  21  ―
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
在宅での短期間レジスタンストレーニングが高齢者の身体機能と形態に及ぼす影響
The effect of a short-term resistive training on functional capacity and morphology for elderly individuals.
富 田 彩*
吉 子 彰 人*
齋 藤 輝*
日 置 麻 也**
安 藤 良 介*
秋 間 広*,***
Aya TOMITA *
Akito YOSHIKO *
Akira SAITO *
Maya HIOKI **
Ryosuke ANDO *
Hiroshi AKIMA *,***
The purpose of this study was to investigate the effect of a short-term resistive training on functional capacity
and morphology for the elderly men and women. Twenty-three elderly volunteers (11 men and 12 women, mean
age: 72.4 ± 5.1 years) participated in this study. The subjects were requested to perform resistive training at least
three times a week for 6 weeks at their own home. The training program consists of five different types of resistive
exercises, i.e. rising from the chair, hip flexion, calf raise, hip abduction, and sit up. Four functional capacity tests,
i.e. rise from a chair ten reps (Chair Up), the time to walk 5 m (5 m Walk), the time to rise from the floor (Supine
Up), and the number of reps to sit up for 30-sec (Sit-Up) and a morphological test, i.e. thickness of muscle and subcutaneous fat at the anterior mid-thigh using ultrasonography were measured before and after the training. All four
functional tests were significantly improved after the training (8.8% to 59.6%). However, thickness of muscle and
subcutaneous fat in the thigh was unchanged. These results suggest that a short-term resistive training does not seem
to induce morphological change, but it may improve physical capacity of daily life activities for elderly individuals.
Ⅰ 緒言
近年、
“健康寿命”を延ばすための取り組みが推進さ
れている。
“健康寿命”とは、2000年に世界保健機構に
よって提唱された言葉で、
「健康上の問題で日常生活が
制限されることなく生活できる期間」と定義されてい
る(Murray et al., 2000)
。健康寿命は、平均寿命から介
護が必要な期間を除いたものを意味している。したがっ
て、高齢者が健康寿命を延ばすためには、できる限り
要介護期間を短縮させることや、長期間自立した日常生
活を送ることが必要と思われる。しかしながら、日常生
活における身体動作を担うヒト骨格筋の機能や形態は
25-30歳頃にピークに達した後、加齢に伴って低下をは
じめ、50歳以降著しく低下することが明らかにされてい
る(Young et al., 1985; Kallman et al., 1990; Frontera et al.,
1991; Hurley, 1995; Lindle et al., 1997)
。Akima ら(2001)
は、高齢者の膝伸展・屈曲の等速性最大トルクが若齢者
のそれと比較して顕著に低値であり、膝伸展トルクと大
腿四頭筋の筋横断面積の間に有意な相関があることを
示している。つまり、自立した生活を維持し、健康寿命
を伸長させるためには、積極的な運動トレーニングなど
により加齢に伴う筋機能低下や筋形態の低下を遅延さ
せることが必要と考えられる。
加齢による筋力低下を緩やかにし、高齢者が筋機能
を維持向上する効果的な運動処方として、レジスタンス
トレーニングが挙げられる。Frontera ら(1988)は60-72
歳の高齢者を対象に、週3回、12週間の膝伸展・屈曲
動作に関するレジスタンストレーニングの影響を検証
した。その結果、大腿部筋横断面積が約10% 増加する
ことや、膝伸展・屈曲動作による等尺性発揮筋力が約2
倍に向上したことを報告している。しかしながら、この
ようなレジスタンストレーニングによる筋機能や形態の
向上は、トレーニング条件によって異なることも示唆さ
* * * 名古屋大学大学院教育発達科学研究科
* * * 名古屋大学大学院医学系研究科
* * * 名古屋大学総合保健体育科学センター
* * * Graduate School of Education and Human Development, Nagoya University
* * * Graduate School of Medicine, Nagoya University
* * * Research Center of Health, Physical Fitness & Sports, Nagoya University
―  23  ―
富田、齋藤、安藤、吉子、日置、秋間
れている。Hudelmier ら(2010)は、高齢女性を対象に
12週間、大腿部の持久性トレーニング、レジスタンスト
レーニングを実施させた。その結果、持久性トレーニン
グを行った群においては、膝伸筋群と縫工筋の筋体積が
有意に増加したが、レジスタンストレーニングを行った
群においては膝伸筋群、膝屈筋群、内転筋群の筋体積が
有意に増加した。さらに、Watanabe ら(2013)は、低強
度(30% 1RM)のレジスタンストレーニングでも、大
腿四頭筋の横断面積および膝伸展力が有意に増加した
ことを明らかにした。つまり、低強度のレジスタンスト
レーニングを行うことで、高齢者であっても、筋機能の
改善や筋量の増加が期待できるのではないかと考えら
れる。
高齢者が筋に負荷を与えてトレーニングを行う実践
的な機会として、高齢者を対象に開催されている運動教
室がある。たとえば名古屋市では、県内の大学と連携
して、健康づくりや介護予防事業の一環としての運動教
室が開かれている。その中のひとつである「自宅ででき
る健康増進プログラム」は、高齢者に対して自宅で行う
ことのできるトレーニング方法を指導し、その効果を科
学的に証明することで、健康増進に取り組むきっかけを
つくるという目的がある。上述したように、レジスタン
ストレーニングの効果は複数の研究で明らかにされて
いる。しかしこれらの研究はいずれも比較的長期にわた
るトレーニングの成果である。これに対し、近年、我々
は名古屋市が主催するプロジェクトである“なごや健康
カレッジ”において、65歳以上の高齢者7名を対象に比
較的短期間のレジスタンストレーニングによる筋機能
と形態への影響を検討した(吉子ら , 2013)
。その結果、
筋機能と形態に改善がみられた。しかし、その講座では
十分な被検者数を確保することができなかった。十分
な被検者数において、短期間の運動プログラムでも効果
が表れることを実証することができれば、高齢者にとっ
て、短期間のレジスタンストレーニングを自宅で行う高
い動機づけになると考えられる。そこで本研究では、十
分な数の被検者を対象に、自宅で行う短期間のレジスタ
ンストレーニングが筋機能や筋形態に及ぼす影響を検
討することを目的とした。
判断した者であった。被検者には、実験の危険性(測定
と運動プログラム実施後に腰痛、筋肉痛、関節痛などが
生じる可能性)や実験の有用性(自己身体機能の把握、
運動プログラムで期待できる効果)について詳細に説明
し、参加の意思が示された場合にのみ被検者として採用
した。さらに、実験前に書面より同意を得た。また、体
力測定には、それに伴う危険を最小限にするため、声掛
けによる体調チェック、保護具(運動マット)の使用、
一斉測定の回避、検者数の確保(測定時5名以上)等に
配慮した。なお、本研究は、名古屋大学総合保健体育科
学センターの「ヒトを対象とする研究審査」の承認を得
て実施された。
B.在宅運動プログラム
今回開催された「なごや健康カレッジ」は、2013年10
月11日から12月13日にかけて行われ、測定や、講義など
全6回の短期講座(2時間 / 回)であった。定期的な運
動を全員で行うことは不可能であるため、参加者には、
提示した運動プログラムを自宅で行ってもらった。本研
究は、トレーニング期間の実施前後で筋機能と形態測
定を行い、それの変化を明らかにすることで、プログラ
ムの実施効果を検証する目的で行われた。今回実施し
た運動プログラムには、公益財団法人健康・体力づくり
事業財団が提唱する貯筋運動を採用した。立位で行う
貯筋運動は、椅子座り立ち、もも上げ、カーフレイズ 、
立位での横方向の脚上げ(下肢の外転・内転)
、仰臥位
での上体起こしの5種目から構成されている。貯筋運動
は、主に大腿四頭筋や腓腹筋などの下肢の筋と、腹筋の
トレーニングを目的とした運動プログラムであり、1種
目あたり8-16回の反復を約2分かけて実施する。被検
者には1日5種目、週3回以上の実施を目標として提示
し、講座の初回には実演による指導を行った。
C.筋機能測定
在宅運動プログラムの影響を検証するため、以下4種
類の身体機能測定を行った。測定はトレーニング期間
(6週間)の前後に実施した。
Ⅱ 方法
A.被検者
対象は、2013年に実施された「なごや健康カレッジ」
の参加者23名(男性11名:年齢70.2±5.2歳、身長165.7±
5.0cm、体重62.0±6.2kg、女性12名:年齢74.3±4.7歳、身
長150.6±4.9cm、体重47.2±5.8kg)であった。すべての
参加者は、自身が運動実施に問題ない健康状態であると
―  24  ―
1 .椅子座り立ち
被検者が、立位姿勢からいすに臀部が付くまで腰を
下ろし、立位姿勢に戻るまでの動作を1回とし、10回の
繰り返しに要した時間を計測した。被検者には、この反
復動作を可能な限り早く行うように指示した。測定前に
は2、3回ほどの練習を行い、いすの場所や立ち位置を
確認した後に測定を行った。なお、被検者の膝や腰部へ
の負担を考慮し、測定は1回のみ行った。
在宅での短期間レジスタンストレーニングが高齢者の身体機能と形態に及ぼす影響
2 .上体起こし
被検者は、マット上で仰臥姿勢両膝の角度を90°に
保った。両手を軽く握り、両腕を胸の前で交差させた。
補助者は、被検者の両膝を抱えるようにして固定した。
仰臥姿勢から、両肘と大腿部が接した場合を1回とカウ
ントし、30秒間に行うことのできる回数を測定した。測
定は1回のみ行った。
3 .5m 最大速度歩行
検者は、テープで記した7m の間隔を「できる限り速
く歩いてください」と被検者に指示した。検者は、被検
者に並走して、前後1m を除いた間の5m の歩行時間を
測定した。試行は2回行い、速い試行を記録として採用
した。
Figure 1 Representative ultrasound images of the thigh (A and B).
a: Subcutaneous fat thickness, b: Muscle thickness
4 .床立ち上がり
被検者は仰臥位となり、合図とともにできるだけ早く
立ち上がり、バランスを崩すことなく直立姿勢を保つま
でに要する時間を計測した。開始時の手足は側部に軽
く広げた状態とし、床から立ち上がる際の動作は自由と
した。
測定と形態計測の各項目について、運動プログラムの実
施前と実施後を対応のある t 検定を用いて分析した。有
意水準は5% 未満とした。統計処理には、SPSS Statistics
ソフトウェア(version 20.0 J, IBM 社製)を用いた。
Ⅲ 結果
D.形態計測
身長は被検者の自己申告によるものを記録した。体
重と体脂肪は、デュアル周波数体組成計(TANITA DC320)で測定した。大腿部前面の大腿直筋における筋厚
A.身体機能測定
椅子座り立ち、上体起こし、5m 最大速度歩行、床
立ち上がりの各項目の結果を図2に示す。椅子座り立
ち、5m 最大速度歩行、床立ち上がりに要する時間は
有意に減少し、上体起こしの回数は有意に増加した。ま
た、トレーニング期間前のすべての機能測定の結果と床
立ち上がり時間との間には有意な相関関係がみられた
(図3)
。
と、同部位での皮脂厚を立位で測定した。これらの測定
には、超音波断層装置
(Logiq e, GE Healthcare 社製)
を用
いて撮影された超音波横断画像を使用した。大腿部の
撮影箇所は、大腿部外側において膝蓋裂隙から近位方
向に、身長×0.11(cm)の位置をマークし、そこから大
腿部前面へプローブを水平移動させ、大腿直筋が画像
上の中心に確認できる部位とした。得られた画像の左
右中心から、画像分析ソフト(ImageJ, National Institutes
of Health, Bethesda, MD, USA)を用いて、筋厚と皮脂厚
を計測した(図1)
。検者は、プログラム実施前後の撮
影箇所が同一になるように留意した。
B.形態計測
体重、体脂肪、皮脂厚、筋厚の結果を図4に示す。各
項目ともに、トレーニング期間前後で有意な変化はみら
れなかった。
E.日常活動量・運動量
トレーニング期間中の運動量を把握するため、被検者
には、実施したトレーニングの種目と回数、貯筋運動以
外に行った運動を記録用紙に毎日記録してもらった。さ
らに被検者には、歩数計を配布し、トレーニング期間中、
就寝・入浴を除く可能な時間に装着してもらった。
C.日常活動量・運動量
記録用紙からトレーニング期間中の日常の活動量と
運動量を集計した。23名のうち、20名分を回収すること
ができた。その結果、被検者が平均6.1回 / 週のトレーニ
ングを行っていたことを確認した。歩数は、平均7146歩
/ 日であった。
F.統計分析
得られた値は、全て平均値と標準偏差で示した。機能
―  25  ―
富田、齋藤、安藤、吉子、日置、秋間
Ⅳ 考察
あった。その結果、身体機能に関する4つの項目は、ト
レーニング期間前に比べて有意に向上した。特に、上体
起こしでは、すべての被検者で記録の向上または維持
が観察された。また、形態測定では、体重、体脂肪、大
腿部の筋厚、皮脂厚に有意な変化はみられなかった。
トレーニングの効果が顕著にみられた上体起こしの
本研究の目的は、短期間のレジスタンストレーニング
が身体機能や身体組成に及ぼす影響を検討することで
Figure 2 Change of each muscular function test between
pre-training (Pre) and post-training (Post).
*, P < 0.05
Figure 4 Change of body composition and morphological test
between pre-training (Pre) and post-training (Post).
Figure 3 Correlation with each muscular function test and time to rise from the floor test.
―  26  ―
在宅での短期間レジスタンストレーニングが高齢者の身体機能と形態に及ぼす影響
回数は、トレーニング期間前の7.9回から、トレーニング
期間後には12.6回となった。上体起こしは腹部の筋機能
を評価するものである。腹部の筋の中で主要な筋である
腹直筋は体幹部の屈曲や回旋、側屈に関与する。さら
に、姿勢保持などに貢献することからも、日常生活動作
に重要な役割を果たしている筋である。沢井ら(2004)
は、姿勢保持動作7種類、姿勢変換動作2種類、体重
移動動作18種類において上肢、体幹、大腿、下腿の8種
類の筋から筋電図を計測し、各部の筋活動水準を示して
いる。その結果、大腿や下腿の筋活動水準は、最大で
20-30%MVC(随意最大筋力)程度であったが、腹直筋
はすべての動作において活動水準が低く、5%MVC 未
満であったことを示した。Abe ら(2011)は、1507人の
20-95歳の日本人男女を対象に、筋ごとの筋厚と年齢の
関係を検証するため、横断的な研究を行った。高齢者
の腹部の筋は、年齢とともに有意に筋厚の低下がみられ
た。そして、腹部の筋厚を身長で標準化した値と年齢と
の間には、有意な負の相関関係がみられた。これらのこ
とから、腹部の筋は、日常生活動作での相対的な発揮筋
力が低く、加齢による筋萎縮の程度が大きいことが示唆
される。したがって、上体起こしにおいて顕著にトレー
ニングの効果があらわれた理由として、本プログラムの
中での上体起こしのトレーニングは、腹部の筋への負荷
が大きいトレーニングであることが考えられる。これら
のことから、4つの機能測定の中で上体起こしにおいて
顕著にトレーニングの効果が現れたと考えられる。
本研究では、椅子座り立ち、5m 最大速度歩行、床
立ち上がりでのトレーニング期間後の結果は、トレーニ
ング期間前と比較して有意に向上した。これらのテスト
は、複数の筋が同時に活動した動作である。例えば、床
立ち上がりでは体の前屈、体の支持、立ち上がりの動
作が複合していることから、それぞれの活動に貢献す
る体幹の筋、上肢の筋、および下肢の筋において筋活
動が誘発され、その協調性が向上していたと考えられ
る。本研究で実施した筋機能テストと類似した動作に
おいて表面筋電図を測定して筋活動水準を評価した沢
井ら(2004)は、いずれの動作においても複数の筋が同
時に活動していることを示していた。本研究で実施した
トレーニングにより、筋機能が改善されたことで、椅子
座り立ち、5m 最大速度歩行および床立ち上がりに改善
がみられたと考えられる。また、床立ち上がりと他の3
つの筋機能テストとの結果に有意な相関関係がみられ
たことから、床立ち上がり時間は、その他の機能測定を
推測できるかもしれない。すなわち、床立ち上がり時間
は、身体機能を測る指標として有用なものである可能性
がある。
身体機能はすべての項目において有意に向上したが、
体重、体脂肪、筋厚、皮脂厚にはトレーニング期間前後
で有意な変化がみられなかった。これは、本研究におけ
るトレーニングが短期間であったことに起因していると
考えられる。Häkkinen ら(1998)は、若齢者(平均年
齢29 歳)と中高齢者(平均年齢61歳)に週3回のトレー
ニングを10週間実施させた。その結果、両者の筋横断
面積は、有意に増加したことが明らかとなった。さらに
Harridge ら(1991)は、後期高齢者(85-97歳)を対象に
12週間の膝伸展のレジスタンストレーニングを行わせ
たところ、筋力だけでなく、大腿四頭筋の筋横断面積に
も有意な増加がみられたことを報告している。これらは
いずれも10週間以上のトレーニング期間を設けている
ことから、高齢者にもトレーニングによる筋形態の変化
が生じるが、それには比較的長期間のトレーニングが必
要であると考えられる。一方、本研究で行ったトレーニ
ングは6週間であった。
本研究において身体組成に変化がみられなかったに
もかかわらず、身体機能が向上した理由には、それぞれ
の動作に関連する神経筋機能の改善が挙げられる。Sale
(1998)は、トレーニングによる筋力増加につながる神
経系の適応として、運動神経の興奮水準の増大や発火
頻度の増加を挙げている。また、Komi ら(1978)によ
ると、等尺性筋力トレーニングによる発揮筋力の増加
は、運動単位の動員の増加、最大下負荷での効率の向
上、また筋における酸化的代謝の増加に起因すると述べ
られている。さらに、Akima ら(1999)は、大腿四頭筋
において、2週間のレジスタンストレーニングを行った
結果、筋肥大をすることなく等速性の膝伸展筋力が増
加したことを示した。本研究の6週間のレジスタンスト
レーニングは、筋機能を向上させるが、皮脂厚や筋厚な
ど形態を変化させるまでには至らないことが示された。
本研究の運動プログラムで用いたレジスタンスト
レーニングは、すべて自重負荷によるものであった。短
期間のトレーニングで高齢者の筋機能や形態の向上を
させるためには、負荷や頻度を変化させるなどさらに検
討する余地があると考えられる。
本研究の限界として、コントロール群が設定されてい
ないことが挙げられる。コントロール群がないため、本
研究で得られた身体機能の向上が、学習効果の影響か
真の身体機能の向上によるものかを明らかにすること
ができない。その点を十分に考慮して結果を解釈する
ことが重要であることを最後に付記する。
―  27  ―
Ⅴ 結論
高齢者を対象とした6週間の自宅でのレジスタンス
トレーニングを行った結果、椅子座り立ち、5 m 最大
富田、齋藤、安藤、吉子、日置、秋間
速度歩行、上体起こし、床立ち上がりの改善がみられ
た。自重負荷の短期間におけるレジスタンストレーニン
グは、形態を変化させるまでには至らないが、筋機能を
改善する点で一定の効果を確認することができた。そし
て床立ち上がりと他の3項目との間には有意な相関関
係がみられた。つまり、床立ち上がりのテストは、筋機
能を測定するにあたって、他の機能も推定できるような
指標として有用であることが考えられる。
progressive strength training in young and older men. J
Gerontol A Biol Sci Med Sci., 53(6): 415-423.
Harridge, S. D., Kryger, A., and Stensgaard, A. (1999) Knee
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吉子彰人・齋藤輝・日置麻也・安藤良介・秋間広 (2013) 高齢
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1-6
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of the quadriceps muscles of old and young men. Clin Physiol.,
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Ⅵ 謝辞
本研究にご協力いただいた「なごや健康カレッジ」の
参加者の皆様、名古屋市健康推進課の皆様に感謝の意
を表します。
文 献
Abe, T., Sakamaki, M., Yasuda, T., Bemben, M. G., Kondo, M.,
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Häkkinen, K., Newton, R. U., Gordon, S. E., McCormick, M.,
Volek, J. S., Nindl, B. C., Gotshalk, L. A., Campbell, W. W.,
Evans, W. J., Häkkinen, A., Humphries, B. J., and Kraemer, W.
J. (1998) Changes in muscle morphology, electromyographic
activity, and force production characteristics during
―  28  ―
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
保健科学部
(2013年 1 月~2013年12月)
原著論文
著 者 名
表 題
掲載誌名
巻
頁
年号
H. Sugiura, S. Okita,
T. Kato, T. Nara,
S. Kawanishi, S. Ohnishi,
Y. Oshida and N. Ma
Protection by taurine against INOS-dependent DNA Adv. Exp. Med. Biol.
damage in heavily exercised skeletal muscle by inhibition of the NF-κ B signaling pathway
775
237- 2013
246
H. Sugiura, S. Sako and
Y. Oshida
Effect of expiratory muscle fatigue on the respiratory J Phys Ther Sci.
response during exercise
25
1491- 2013
1495
34
132- 2013
138
押田 芳治,秋間 広 加齢により蓄積される筋内脂肪量と筋量との関係
小池 晃彦,島岡 清
日置 麻也
デサントスポーツ科
学
E. Iwamoto, K.Katayama,
S Yamashita, Y. Oshida
and K. Ishida
Retrograde blood flow in the inactive limb is enhanced Eur J Appl Physiol
during constant-load leg cycling in hypoxia
113
2565- 2013
2275
T. Chen, M. Kusunoki,
D. Sato, H. Tsutsui,
T. Nakamura, T. Miyata,
and Y. Oshida
Clinical effect of addition of beraprost sodium to piogli- Exp Clin Endocrinol
tazone treatment on the blood glucose levels in patients Diabetes.
with type 2 diabetes mellitus
121
624- 2013
627
3
22-26 2013
15
G1103
-16
2013
2013
小
川
豊
昭 スキゾイドとコンテイニング
精神分析協会年報
Inflammation increases cells expressing ZSCAN4 and Am J Physiol Liver
S. B. H. Ko , S. Azuma,
progenitor cell markers in the adult pancreas.
Physiol
Y. Yokoyama,
A. Yamamoto, K. Kyokane,
S. Niida , H. Ishiguro and
M. S. H. Ko
津
田
均 「論理空間」の外,ラッセルのパラドックスの近傍 日本病跡学雑誌
―ヴィトテンシュタインの哲学と精神病理の交差
と離隔
84
5-15
津
田
均 青年期のパラノイア
臨床精神医学
42
49-55 2013
津
田
均 執着気質と内因性気分障害―原義の執着気質とそ 臨床精神病理
の意義を拡大する試み
24
60-68 2013
12
2-12
船津 静代,鈴木 健一 名古屋大学に入学してくる学生たちの姿―学生は 名古屋大学学生相談
総合センター紀要
山内 星子,津田 均 どうかわってきているのか―
古橋 忠晃,瀬戸今日子
大和田若葉,杉山 寛行
―  29  ―
2012
(2013
発刊)
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
掲載誌名
巻
頁
年号
48
1152- 2013
1159
62
510- 2013
518
Transplantation of Neural Crest Like Cells Derived from Cell Transplant
T Okawa, H Kamiya,
induced Pluripotent Stem Cells Improves Diabetic PolyT Himeno, J Kato,
neuropathy in Mice.
Y Seino, A Fujiya,
M Kondo, S Tsunekawa,
K Naruse, Y Hamada,
N Ozaki, Z Cheng, T Kito,
H Suzuki, S Ito, Y Oiso,
J Nakamura amd KI. Isobe
22
197- 2013
204
山本 明子,押田 芳治 アンケート調査による感染症の推定抗体保有率
小川 豊昭,石黒 洋
津田 均,小池 晃彦
尾崎 信暁,古橋 忠晃
50
328- 2013
329
État des lieux, points communs et différences entre des L'Évolution psychiT.Furuhashi, T.Hitoshi,
jeunes adultes retirants sociaux en France et au Japon atrique
T. Ogawa, K. Suzuki,
M. Shimizu, J. Teruyama, (Hikikomori)
S. Horiguchi, K. Shimizu,
A. Sedooka, C. Figueiredo,
N. Pionnié-Dax, N. Tajan,
M. Fansten, N. Vellut and
P.-H. Castel
78
249- 2013
266
船津 静代,鈴木 健一 名古屋大学に入学してくる学生たちの姿―学生は 名古屋大学学生相談
総合センター紀要
山内 星子,津田 均 どうかわってきているのか―
古橋 忠晃,瀬戸今日子
大和田若葉,杉山 寛行
12
2-12
Dipeptidyl peptidase-4 inhibitor anagliptin facilitates Scand J Gastroenterol
S Mimura, T Ando,
restoration of dextran sulfate sodium-induced colitis
K Ishiguro, O Maeda,
O Watanabe, Y Hirayama,
K Morise, K Maeda,
M Matsushita, M Nakamura,
R Miyahara, N Ozaki and
H Goto
A Fukami, Seino Yus,
N Ozaki, M Yamamoto,
C Sugiyama,
Sakamoto-E Miura,
T Himeno, Y Takagishi,
Tsunekawa S S Ali,
Drucker DJ Y Murata,
Seino Yut, Y Oiso and
Y Hayashi.
Ectopic expression of GIP in pancreatic β -cells main- Diabetes
tains enhanced insulin secretion in mice with complete
absence of proglucagon-derived peptides.
―  30  ―
CAMPUS HEALTH
2013
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
掲載誌名
古
橋
忠
晃 日仏の大学生のメンタルヘルスについて―フラン こころの科学
ステファニー・ヌヴィエール スにおける青年の自殺問題とその対策などを通し
ミ シ ェ ル・ パ ト リ ス て―
コ リ ヌ・ ク ラ ラ ッ ク
巻
頁
年号
172
2-7
2013
著 書
著 者 名
発行所
発行地
発行年
治 運動療法の効果と実際,注意点 糖尿病最新の治療2013 111-
―2015(河盛,岩本編) 117
南江堂
東京
2013
科学的根拠に基づく糖尿 41-51
病診療ガイドライン2013
(日本糖尿病学会編)
南江堂
東京
2013
糖 尿 病 療 養 指 導 ガ イ ド 47-53
ブック2013(日本糖尿病
療養指導士認定機構編)
メディ
カルレ
ビュー社
東京
2013
専門医のための消化器 665-
病学 第2版(小俣政 667
男,千葉 勉 監修)
医学書院
東京
2013
225
南江堂
東京
2013
古
橋
忠
晃 100語 で わ か る セ ク シ ュ ア リ 文庫クセジュ
守 谷 て る み( 共 訳 ) ティ(ジャック・アンドレ監修)
160
白水社
東京
2013
古
晃 「はずれる」自分であることの 発達心理学辞典
違和感「性同一性障害」
224
丸善出版
東京
2013
均 自分であることの違和感―ひき 発達心理学辞典
こもりの場合―
225
丸善出版
東京
2013
押
田
芳
表 題
押
田
芳
治 運動療法
編集協力者 小池 晃彦
押
田
芳
治 運動療法
石黒 洋,山本 明子 代謝異常による膵炎
津
田
橋
津
書名
頁
均 自分であることの違和感―ひき 科学的根拠に基づく糖尿
こもりの場合―
病診療ガイドライン2013
(日本糖尿病学会編)
忠
田
総説など
著 者 名
掲載誌名
巻
糖尿病の予防・管理
における運動
73
15-20 2013
押田 芳治,石黒 哲也 運動療法はどこまで科学的に指導できるか 異論 糖尿病診療マスター
/争論,私の意見
11
339- 2013
341
押
田
芳
表 題
治 糖尿病の予防・管理における運動
―  31  ―
頁
年号
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
津
田
表 題
掲載誌名
巻
均 不定愁訴(身体のあちこちに漠然とした不調が出 日本医師会雑誌 る)
小池 晃彦,押田 芳治 糖尿病
頁
年号
142巻・  134- 2013
特別号  135
(2)神経・ 
精神疾
患マニュ
アル
総合リハビリテー
ション
林 良敬,清野 祐介 膵島とグルカゴンシグナル―グルカゴン KO マウス Diabetes Frontier
尾崎 信暁
による解析―
41
231- 2013
235
24
550- 2013
554
研究資料など
著 者 名
表 題
掲載誌名
巻
頁
年号
小
川
豊
昭 患者の投影性同一視によって治療者に何が押し込 精神分析研究
まれているのか
57
303- 2013
305
小
川
豊
昭 The colourless canvas: Representation, therapeutic 精神療法
action and the creation of mind, Howard B. Levine, 
「白いキャンバス:表象,治療的行為そして心の創造」.
39
157- 2013
158
古
橋
忠
晃 海外文献抄録―女性の露出症:同一化,競争,友愛 精神療法
などの観点から
39
159- 2013
160
報告書 , 学会大会論文集
著 者 名
表 題
書名
頁
発行所
発行地
押田 芳治,秋間 広 加齢により蓄積される筋内脂肪 デサントスポーツ科学 第34巻, 公益財団法人  大阪
132- 石本記念デサ
小池 晃彦,島岡 清 量と筋量との関係
138 ントスポーツ
日置 麻也
科学振興財団  
事務局
成瀬 達,藤木 理代 慢 性 膵 炎 患 者 に お け る CFTR
北川 元二,石黒 洋 遺伝子の解析
中莖みゆき,近藤 志保
山本 明子,洪 繁
厚生労働科学研究費補 205- 研究代表者 
助金 難治性疾患等克 208 下瀬川 徹
服研究事業 難治性膵
疾患に関する調査研究 
平成24年度総括・分担
研究報告書
―  32  ―
仙台
発行年
2013
2013
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
書名
頁
発行所
発行地
発行年
石黒 洋,山本 明子 膵嚢胞線維症(嚢胞性線維症 厚生労働科学研究費補 225-
助金 難治性疾患等克 247
中莖みゆき,成瀬 達 CF)登録制度
服研究事業 難治性膵
吉村 邦彦,菊田 和宏
疾患に関する調査研究  
正宗 淳,下瀬川 徹
平成24年度総括・分担
新井 勝大,泉川 公一
研究報告書
今井 博則,影山さち子
加藤 忠明,漢人 直之
慶長 直人,洪 繁
小島 大英,坂本 修
佐藤 陽子,眞田 幸弘
清水 真樹,少路 誠一
相馬 義郎,東馬 智子
藤木 理代,柳元 孝介
研究代表者   仙台
下瀬川 徹
2013
成瀬 達,石黒 洋 膵嚢胞線維症の新規および未承 厚生労働科学研究費補 248-
助金 難治性疾患等克 252
山本 明子,吉村 邦彦 認薬の現況
服研究事業 難治性膵
正宗 淳,下瀬川 徹
疾患に関する調査研究  
平成24年度総括・分担
研究報告書
研究代表者   仙台
下瀬川 徹
2013
成瀬 達,星野三生子 便中エラスターゼによる乳幼児 厚生労働科学研究費補 259-
助金 難治性疾患等克 263
若月 準,伊藤 治 の膵外分泌不全の診断
服研究事業 難治性膵
中島 守男,木村 純
疾患に関する調査研究  
柴田 時宗,近藤 志保
平成24年度総括・分担
中莖みゆき,山本 明子
研究報告書
石黒 洋,藤木 理代
北川 元二
研究代表者   仙台
下瀬川 徹
2013
研究代表者
下瀬川 徹
仙台
2013
保 ヒト膵導管細胞発現系を用いた 日 本 膵 臓 病 研 究 財 団  95-
日本人特有の変異 CFTR の治療 第 20 回 研 究 報 告 書 100
(2012年度)
の研究
公益財団法人  
日本膵臓病研
究財団
東京
2013
小池 晃彦,押田 芳治 エイコサペンタエン酸による抗 研究助成研究結果報告 第17巻
葛谷 雅文,成憲 武 炎症作用とインスリン抵抗性改 書集
善作用は老化促進マウスの加齢
性筋肉減少症を改善するか?
公益財団法人  
三井住友海上
福祉財団
東京
2013
名古屋
2013
石黒 洋,中莖みゆき わ が 国 の Cystic fibrosis 患 者 に
山本 明子,近藤 志保 お け る CFTR 遺 伝 子 変 異 の 特
藤木 理代,北川 元二 徴
洪 繁,成瀬 達
近
古
藤
橋
志
忠
晃 自殺対策研究
厚生労働科学研究費補 264-
助金 難治性疾患等克 268
服研究事業 難治性膵
疾患に関する調査研究  
平成24年度総括・分担
研究報告書
(名古屋市若者向け自 1-19
殺対策事業補助金)
平成24年度報告書
―  33  ―
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
学会または研究会(主催 , 司会 , 座長など)
著 者 名
表 題
発表学会名
年・月
押 田 芳 治( 座 長 ) 運動療法1
第56回日本糖尿病学会学
術集会 (熊本)
2013・5
押 田 芳 治( 座 長 ) シンポジウム5
小児メタボリックシンドローム対策の現状
第24回日本臨床スポーツ
医学会学術集会(熊本)
2013・10
押 田 芳 治( 座 長 ) ランチョンセミナー1
生活習慣病の予防のために「食べる」を考える
第51回全国大学保健管理
研究集会(岐阜)
2013・11
小 川 豊 昭( 座 長 ) 引きこもりは人格の病理か
第36回日本精神病理・精
神療法学会
2013・10
石
黒
洋 代表者
生理研研究会「上皮膜輸
送の多層的コントロール
による生体の恒常性維持
機構」(岡崎)
2013・8
石
黒
洋 一般演題座長 膵炎3
第44回日本膵臓学会大会
(仙台)
2013・7
石
黒
洋 一般演題座長 健康教育2
第51回全国大学保健管理
研究集会(岐阜)
2013・11
津
田
均 一般演題司会
第60回日本病跡学会
2013・7
小 池 晃 彦( 座 長 ) 運動療法
第56回日本糖尿病学会大
会(熊本)
2013・5
古 橋 忠 晃( 主 催 ) Symposium à l’Université de Nagoya sur le Hikikomori
ひきこもり日仏シンポジ
ウム(名古屋大学)
2013・1
古橋忠晃(主催・司会) 現代の日本社会と青年の自殺問題について考えるセミ 総 合 保 健 体 育 科 学 セ ン
ナー
ター主催セミナー(名古
屋市共催)
2013・2
古橋忠晃(主催・司会)「大学生のメンタルヘルス:青年の自殺」
「大学生のメンタルヘル
スに関する日仏学術交流
会(名古屋大学)
2013・4
古 橋 忠 晃( 司 会 ) シンポジウムⅠ「精神療法にできること,できないこと」 第36回日本精神病理・精
神療法学会
2013・10
古 橋 忠 晃( 司 会 ) ブロック H4・メンタルヘルス4
第51回全国大学保健管理
研究集会
2013・11
古 橋 忠 晃( 主 催 ) 現代の日本社会と青年の自殺問題について考えるセミ 総 合 保 健 体 育 科 学 セ ン
ナー
ター主催セミナー(名古
屋市共催)
2013・11
―  34  ―
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
学会または研究会(発表 , 演者 , 指定等論者など)
著 者 名
押
田
芳
表 題
治 運動療法指導のポイント
発表学会名
第47回糖尿病学の進歩
年・月
2013・2
Non-contractile components in adductors correlate with The 60th ACSM Annual
H. Akima, A. Yoshiko,
Meeting and 4th World
N. Kanehira, K. Shimaoka, plasma triglyceride in the elderly but not the young.
Congress on Exercise is
T. Koike, H. Sakakibara
Medicine
and Y. Oshida
2013・5
Comparison of intramyocellular lipid contents between anti- The 60th ACSM Annual
M. Hioki, N. Kanehira,
gravity and non-antigravity human skeletal muscles.
Meeting and 4th World
K. Shimaoka, T. Koike,
Congress on Exercise is
A. Yoshiko, A. Saito,
Medicine
H. Sakakibara, H. Takahashi,
Y. Oshida and H. Akima
2013・5
Comparisons of non-contractile tissue in individual muscles
A. Yoshiko, M. Hioki,
N. Kanehira, K. Shimaoka, of quadriceps femoris between young and old subjects.
T. Koike, H. Sakakibara,
Y. Oshida and Akima H.
The 60th ACSM Annual
Meeting and 4th World
Congress on Exercise is
Medicine
2013・5
荒川 聡美,渡邊 智之 わが国における糖尿病運動療法の実施状況に関する研 第56回日本糖尿病学会大
曽根 博仁,小林 正 究(第 3 報)―糖尿病患者の運動療法実施に影響を与え 会
河盛 隆造,渥美 義仁 る因子について―
押田 芳治,田中 史朗
鈴木 進,牧田 茂
大澤 功,田村 好史
佐藤 祐造
2013・5
楠 正隆,陳 タナ 食後高血糖を合併した2型糖尿病患者の糖・脂質代謝に 第56回日本糖尿病学会大
押田 芳治,筒井 秀代 及ぼす黒豆種皮エキス末・フェノフィブラートの併用効 会
中村 孝夫,佐藤 大介 果
宮田 哲郎
2013・5
後藤 慎一,佐々木洋光 2 型糖尿病患者に対する DPP-4 阻害剤服用と脂質検査 第56回日本糖尿病学会大
会
渡邊 智香,服部 芳明 値の変化について
岡田由紀子,松田 淳一
渡邊 有三,大沢 功
尾﨑 信暁,小池 晃彦
押田 芳治
2013・5
夏目有紀枝,小池 晃彦 高果糖食負荷ラットにおける eicosapentaenoic acid(EPA) 第56回日本糖尿病学会大
姜 海英,王 忠華 のインスリン抵抗性抑制効果とインスリンシグナルの 会
尾﨑 信暁,押田 芳治 検討
2013・5
日置 麻也,兼平 奈奈 外側広筋および大腿二頭筋の筋細胞内脂質と HOMA-R 第56回日本糖尿病学会大
会
島岡 清,小池 晃彦 は高齢者において異なる関係にある
吉子 彰人,齋藤 輝
榊原 久孝,高橋 英幸
押田 芳治,秋間 広
2013・5
―  35  ―
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
発表学会名
年・月
Psychanalyse du retrait social ou Hikikomori : Narcis- Colloque Jeunes en retrait
sisme pathologique et agressivité passive dus à une dé- ou hikikomori - 20 / 21
mars 2013
faillance de contenant-¬-contenu subie durant l’enfance
2013・3
小 川 豊 昭( 指 定 討 論 ) パネルディスカッション「“新型うつ病”を精神分析的 日本精神分析的精神医学
精神医学の目で解き明かす」
会第11回大会
2013・3
小 川 豊 昭( 指 定 討 論 ) 教育研修セミナー「心的変化をもたらすもの:治療因子」 日本精神分析学会第59回
大会 2013・11
山口 誠,相馬 義郎 NH4+パルス負荷による膵導管細胞の Cl -チャネル制御 第90回日本生理学会大会
スチュワード マーチン
(東京)
山本 明子,石黒 洋
2013・3
成瀬 達,石黒 洋 パネルディスカッション 2 膵内外分泌相関の新しい 第44回日本膵臓学会大会
展開 膵内外分泌相関:111 years after the great afternoon (仙台)
(基調講演)
2013・7
成瀬 達,柴田 時宗 便中エラスターゼによる小児の膵外分泌不全の診断
近藤 志保,中莖みゆき
山本 明子,藤木 理代
北川 元二,石黒 洋
第44回日本膵臓学会大会
(仙台)
2013・7
近藤 志保,藤木 理代 CFTR 遺伝子多型 p.L1156F とアルコール性慢性膵炎の 第44回日本膵臓学会大会
(仙台)
中莖みゆき,山本 明子 関連について
洪 繁,北川 元二
成瀬 達,石黒 洋
2013・7
藤本 靖幸,中莖みゆき リアルタイム PCR を用いた ADH2 および ALDH2 の遺 第44回日本膵臓学会大会
(仙台)
山本 明子,藤木 理代 伝子型判定
山口 誠,近藤 志保
持丸 由香,成瀬 達
石黒 洋
2013・7
藤木 理代,石黒 洋 わが国の慢性膵炎患者の CFTR 遺伝子多型
中莖みゆき,近藤 志保
山本 明子,洪 繁
北川 元二,成瀬 達
第44回日本膵臓学会大会
(仙台)
2013・7
石黒真理子,山本 明子 トピックスセッション 1 「膵疾患の克服を目指した基礎研 第44回日本膵臓学会大会
長尾枝澄香,成瀬 達 究」 膵導管細胞管腔膜のカルシウム輸送とメカノセン (仙台)
サー機能
石黒 洋
2013・7
Basic Science Symposia: Frontier in Pancreatic Research: Integrated Approachs to
Session II Role of channel and transporters in pancreatic se- the Pancrease:Basic Science a nd C ut t i ng- e dge
cretion
Practice(IAP & K PBA)
(Seoul)
2013・9
T. Ogawa
H. Ishiguro and
A. Yamamoto
―  36  ―
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
発表学会名
年・月
山口 誠,山本 明子 膵 導 管 細 胞 上 皮 に お け る 重 炭 酸 イ オ ン 輸 送 の コ ン 第54回 日 本 消 化 器 病 学
S. Martin,相馬 義郎
ピュータシミュレーション
会 大 会 DDW-Japan2013
(東京)
洪 繁,石黒 洋
2013・10
H. Ishiguro, M. Nakakuki, Incidence, prognosis, and CFTR mutations of cystic fibrosis The 27th Annual North
in Japan
American Cystic Fibrosis
A. Yamamoto, K. Fujiki,
Conference (Salt Lake)
S. Naruse, K. Yoshimura,
and T. Shimosegawa.
2013・10
均 臨床哲学シンポジウム,木村 瓶,野家啓一発表への討 第13回河合臨床哲学シン
論
ポジウム
2013・12
K. Katayama, S. Yamashita, Effects of inspiratory resistive breathing in hypoxia on sym- The 60th ACSM Annual
pathetic outflow and blood pressure during exercise.
Meeting and 4th World
K. Ishida, E. Iwamoto,
Congress on Exercise is
T. Koike and Saito M.
Medicine
2013・5
夏目有紀枝,小池 晃彦 老化促進モデルマウスの筋肉減少および筋力低下に対 第36回日本基礎老化学会
大会
成憲 武,葛谷 雅文 する eicosapentaenoic acid(EPA)の効果
押田 芳治
2013・6
片山 敬章,山下 晋 低酸素環境における吸気抵抗の増加が循環応答へ及ぼ 第68回日本体力医学会大
会
石田 浩司,岩本えりか す影響
小池 晃彦,斎藤 満
2013・9
吉子 彰人,日置 麻也 高齢者と若齢者における外足広筋と半膜様筋の筋内脂 第68回日本体力医学会大
会
兼平 奈奈,島岡 清 肪の比較
小池 晃彦,榊原 久孝
押田 芳治,秋間 広
2013・9
日置 麻也,斎藤 輝 高齢者と若年者における大腿四頭筋の筋細胞内脂質と 第68回日本体力医学会大
会
兼平 奈奈,島岡 清 筋力の関係
小池 晃彦,吉子 彰人
榊原 久孝,高橋 英幸
押田 芳治,秋間 広
2013・9
秋間 広,吉子 彰人 高齢者の筋内脂肪量は筋組織量と密接に関係する
日置 麻也,兼平 奈奈
島岡 清,小池 晃彦
榊原 久孝,押田 芳治
第68回日本体力医学会大
会
2013・9
Eicosapentaenoic acid prevents insulin resistance in skeletal The 36th NAITO CONmuscle of high-fructose-diet-fed rats through regulation of FERENCE ON Molecular
Aspects of Energy Balance
insulin signaling
and Feeding Behavior
2013・9
高木 祐輔,尾崎 信暁 プログルカゴン由来ペプチド欠損マウスは,高脂肪食負 第25回分子糖尿病シンポ
ジウム
木下 佳大,清野 祐介 荷により耐糖能は悪化するが肥満抵抗性を示す
村田 善晴,押田 芳治
林良 敬
2013・12
津
田
T. Koike, Y. Natsume and
Y. Oshida,
―  37  ―
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
発表学会名
年・月
木下 佳大,高木 祐輔 褐色脂肪組織における甲状腺ホルモンとグルカゴンの 第56回日本甲状腺学会学
術集会
尾崎 信暁,押田 芳治 クロストーク
村田 善晴,林 良敬
2013・11
木下 佳大,尾崎 信暁 プログルカゴン由来ペプチドの欠損が高脂肪食による 第56回日本糖尿病学会年
次学術集会
高木 祐輔,清野 祐介 糖代謝異常に及ぼす影響
押田 芳治,林 良敬
2013・5
豊田 行康,尾崎 信暁 フルクトース及び異性化糖長期摂取ラットにおける肝 第56回日本糖尿病学会年
三輪 一智
グルコキナーゼの核外移行不全
次学術集会
2013・5
清野 祐介,尾崎 信暁 プログルカゴン遺伝子 GFP ノックインマウスにおける 第56回日本糖尿病学会年
深見亜也子,飯田 淳史 膵 β 細胞由来 GIP の分泌機構の解明
次学術集会
尾方 秀忠,藤谷 淳
泉本 貴子,石川 孝太
上西 栄太,恒川 新
三木 隆司,清野 進
林良 敬,大磯ユタカ
濱田 洋司
2013・5
筒井 秀代,尾崎 信暁 糖尿病腎症患者の身体的 ・ 心理社会的問題点の抽出― 第56回日本糖尿病学会年
次学術集会
楠正 隆,石黒 哲也 ICF Core Set for Diabetes Mellitus を用いた検討
押田 芳治
2013・5
Mice deficient in glucagon gene exhibit impaired glucose tol- The 49th Annual Meeting
erance and the resistance to obesity on high-fat diet feeding
of European Asociation
for the Study of Diabetes,
Barcerona, Spain, September 24-24, 2013
2013・9
山本 明子,中莖みゆき 腸内環境が脂肪酸のセンシングメカニズムに及ぼす影 生理研研究会「上皮膜輸
送の多層的コントロール
山口 誠,近藤 志保 響
による生体の恒常性維持
山本 明子,洪 繁
機構」(岡崎)
北川 元二,石黒 洋
2013・8
T. Furuhashi
Structure psychique des Hikikomori en France et au Japon
Symposium FrancoJaponais à l'Université de
Nagoya sur le Hikikomori
2013・1
T. Furuhashi
Structure psychique des Hikikomori en France et au Japon
Colloque20/21mars 2013
Jeunes en retrait ou hikikomori expériences croisées
France/Japon
2013・3
T. Furuhashi
Le suicide chez les étudiants au Japon et la fonction de Centre Réunion Scientifique FranGénéral de Conseil aux Étudiants à l'Université de Nagoya
co-Japonaise sur la Santé
Mentale des Étudia nts:
Suicide chez les Jeunes
2013・4
N. Ozaki, Y. Takagi,
K. Kinoshita, Y. Seino,
Y. Oshida, Y. Murata and
Y Hayashi
―  38  ―
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
発表学会名
年・月
古
橋
忠
晃 ひきこもりの人の立てた問い
公開シンポジウム ひき
こもりの現在・過去・未
来(京都大学)
2013・7
古
橋
忠
晃 ディオゲネス症候群とひきこもり
第36回日本精神病理・精
神療法学会
2013・10
古
橋
忠
晃 , フランスの大学生の抱えるメンタルヘルスの諸問題と 第51回全国大学保健管理
集会
ステファニー・ヌヴィエール その対策について
ミ シ ェ ル・ パ ト リ ス
コ リ ヌ・ ク ラ ラ ッ ク
2013・11
講演会 , セミナー , 講習会 , 研修会など
著 者 名
表 題
発表学会名
年・月
押
田
芳
治 内科的疾患予防改善のためのアクアフィットネスの適 平成25年度第2回メディ
応と禁忌
カルフィットネスインス
トラクター講習会(大阪)
2013・4
押
田
芳
治 メタボリックシンドローム
平成25年度健康運動指導
士養成講習会 B(大阪)
2013・6
押
田
芳
治 服薬者の運動プログラム作成上の注意
平成25年度健康運動指導
士養成講習会 B(大阪)
2013・6
押
田
芳
治 メタボリックシンドローム
平成25年度健康運動指導 2013・11
士養成講習会 B(大阪)
押
田
芳
治 服薬者の運動プログラム作成上の注意
平成25年度健康運動指導 2013・11
士養成講習会 B(大阪)
日本精神分析的精神医学
小川 豊昭,木村 宏之 教育研修セミナー
奥寺 崇
「医療に精神分析的理解をどう活かすか Part Ⅱ 医学 会第11回大会
教育,リエゾンの「場」から学ぶ」
2013・3
小
川
豊
昭 [フロイトの「終わりある分析と終わりなき分析」につ 日本精神分析協会アドバ
いて]
ンスセミナー 2013・4
小
川
豊
昭 精神分析ケース発表「スキゾイドの13年間の分析」
第31回日本精神分析協会
年次大会
2013・6
小
川
豊
昭 「フロイトの「夢分析」について」
「フロイトの[ヒステ 第19期広島精神分析セミ
リー研究]について」
ナー
2013・9
小
川
豊
昭 特別講演「精神分析の必要なうつ病」
2013・11
―  39  ―
2013年度名古屋精神分析
精神医学研究会
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
発表学会名
年・月
小
池
晃
彦 高齢者
名古屋市消防学校
2013・2
小
池
晃
彦 高齢者の救急疾患
名古屋市消防局救急救命
士養成所
2013・12
古
橋
忠
晃 若者向け自殺対策事業研究発表 「若者のこころの健康 こころの健康フェスタな
について考える」 ごや
2013・3
古
橋
忠
晃 「学生のメンタルヘルスの臨床について」メンタルヘル 名古屋大学医学部保健学
スからみえる看護の学生像 科看護学専攻 FD
2013・3
古
橋
忠
晃 法科大学院の学生のメンタルヘルスについて
名古屋大学法科大学院
FD
2013・5
Hikikomori en France et au Japon
Conférence à Wantznau
(Faculté de médecine, Université de Strasbourg)
2013・6
新宮研究室主催研究会
(京都大学)
2013・6
T. Furuhashi
古
橋
忠
晃 日仏の「ひきこもり」について
古
橋
忠
晃 大学生のメンタルヘルス―メンタルケアの実情と課題
全国大学生協連東海ブ
ロック 夏の教職員セミ
ナー
2013・7
古
橋
忠
晃 ひきこもる学生 ―名古屋大学の現状について―
平成25年度(第18回)1・
2年次生への適応援助の
ための連絡会(名古屋大
学)
2013・7
古
橋
忠
晃 The Current Situation and Challenges Facing the Mental DSW(ドイツ学生支援協
Health and Mental Care of University Students
会)セミナー
2013・10
―  40  ―
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
体育科学部
(2013年 1 月~2013年12月)
原著論文
著 者 名
表 題
掲載誌名
巻
頁
年号
佐々木万丈,西田 保 小学生および中学生のスポーツ活動による心理社 日本女子体育大学紀
要
北村 勝朗,磯貝 浩久 会的効果とその日常生活への般化の実態
渋倉 崇行
43
139- 2013
152
伊藤 豊彦,磯貝 浩久 小学生の体育学習における動機づけモデルの検討: 体育学研究
西田 保,佐々木万丈 動機づけ雰囲気の認知、学習動機、および方略使用
杉山 佳生,渋倉 崇行 の関連
58
567- 2013
583
Joint action syntax in Japanese martial arts
PLoS ONE
8
e72436 2013
スポーツ心理学研究
40
91-
2013
108
鈴木 啓央,山本 裕二 実データに対する GP 法を用いたフラクタル次元解 総合保健体育科学
析における推定領域の検討
36
7-19
永峰康一郎,原亜 珠沙 定常負荷運動時の運動種目による呼気中アセトン 安定同位体と生体ガ
ス
野津真知子,石田 浩司 濃度変動の比較
片山 敬章,近藤 孝晴
5
44-51 2013
9
94-99 2013
Y. Yamamoto,
K. Yokoyama,
M. Okumura, A. Kijima,
K. Kadota and K. Gohara
鈴木 啓央,山本 裕二 フラクタル次元からみた切替打球動作の巧みさ
K. Sasaki, T. Yamamoto,
J. Murakami and Y. Ueno
Defence performance analysis of rugby union in Rugby Performance
World Cup 2011: network analysis of the turnover con- Analysis of Sport
tributors
K. Sasaki, K. Komatsu,
T. Yamamoto, Y. Ueno,
T. Katsuta and I. Kono
Cognitive societal human values of sports: After the Social Sciences
2011 disaster of Japan
佐々木康,ハストルーニー 社会資本たる競技空間:孤独な群衆を同志集団へ
村上 純,下園 博信
宮尾 正彦,早坂 一成
中本 光行,渡邊 一郎
山本 巧,山下 修平
黒岩 純,上野 裕一
岩淵 健輔,中竹 竜二
薫田 真弘,古川 拓生
勝田 隆,河野 一郎
2
(1)
1-6,
2013,
DOI:
10.11648/
j.ss.2013 
0201.11.
2013
2013
ラグビー科学研究
24
37-48 2013
(1)
高津 浩彰,佐々木 康 試験的実施ルールにおけるスクラムコールとボー ラグビー科学研究
ルアウトとの関係
24
12-15 2013
(1)
―  41  ―
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
掲載誌名
巻
頁
年号
H. Akima and A. Saito
Activation of quadriceps femoris including vastus inder- Eur. J. Appl. Physiol.
medius during fatiguing dynamic knee extensions
113
2829- 2013
2840
H. Akima and A. Saito
Inverse activation between the deeper vastus intermedi- Muscle & Nerve
us and superficial muscles in quadriceps during dynamic
knee extensions
47
682- 2013
690
A. Saito and H. Akima
Knee joint angle affects EMG-force relationship in the J. Electromyogr. Kivastus intermedius muscle
nesiol.
23
1406- 2013
1412
A. Saito, K. Watanabe and
H. Akima
The highest antagonistic coactivation of the vastus inter- J. Electromyogr. Kimedius muscle among quadriceps femoris muscles dur- nesiol.
ing isometric knee flexion
23
831- 2013
837
高石 鉄雄,對馬 明 自転車による運動習慣のある中高齢者の自転車走 体力科学
児玉 泰,西井 匠 行中の運動強度および体力・健康レベル
小林 培男,渡邊 航平
秋間 広
62
331- 2013
341
大西 丈二,荒深 裕規 なごや健康カレッジのアウトプット・アウトカム指 総合保健体育科学
種田 行男,片山 直美 標の適合性および事務局が共通して持つべき機能
加藤智香子,島岡 清 についての検討
内藤 正和,秋間 広
榊原 久孝
36
21-23 2013
吉子 彰人,齋藤 輝 高齢者を対象とした自宅での短期間レジスタンス 総合保健体育科学
日置 麻也,安藤 良介 トレーニングが筋機能・携帯に及ぼす影響
秋間 広
36
H. Nunome, K. Inoue,
H. Shinkai, R. Kozakai,
H. Suito and Y. Ikegami
A novel comparison between standard and new testing Sports Engineering
procedures to assess shock absorbency of third generation artificial turfs
K. Katayama, O. Fujita,
M. Iemitsu, H. Kawano,
E. Iwamoto, M. Saito and
K. Ishida
The effect of acute exercise in hypoxia on flow-mediated Eur. J. Appl. Physiol
vasodilation
1-6
2013
(DOI)
2013
10.1007
/s12283013-0146-7
113
349- 2013
357
K. Katayama, S. Yamashita, Hypoxic effects on sympathetic vasomotor outflow and Am. J. Appl. Physiol.
blood pressure during exercise with inspiratory resis- Regul. Integr. Physiol.
K. Ishida, E. Iwamoto,
tance
T. Koike, and M. Saito
304
R374–
R382
E. Iwamoto, K. Katayama, Retrograde blood flow in the inactive limb is enhanced Eur. J. Appl. Physiol.
during constant-load leg cycling in hypoxia
S. Yamashita, Y. Oshida
and K. Ishida
113
2565- 2013
2575
―  42  ―
2013
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 書
著 者 名
表 題
書名
頁
発行所
発行地
発行年
西
田
保
スポーツモチベーショ 255
ン(西田 保 編著)
大修館書
店
東京
2013
西
田
保 コーチング
発達心理学事典(日本 150-
発達心理学会編)
151
丸善出版
東京
2013
島 岡 み ど り( 訳 ) 第6章 足関節と足
図説 ダンスの解剖・ 251-
運 動 学 大 事 典 ― テ ク 313
ニックの上達と損傷予
防のための基礎とエク
ササイズ(カレン・ク
リッピンガー 著,森
下はるみ 監訳)
西村書店
東京
2013
秋
間
広 スポーツと骨格筋・神経
スポーツ生理学(冨樫 1-12
健二 編)
化学同人
社
京都
2013
秋
間
広 スポーツと身体不活動
スポーツ生理学(冨樫 193-
健二 編)
204
化学同人
社
京都
2013
Routledge
Oxon/
NY
2013
Routledge
Oxon/
NY
2013
Science and Football
V I I ( H. Nu nom e, B.
Drust, and B. Dawson
eds)
H. Nunome, B. Drust and
B. Dawson
H. Shinkai, H. Nunome,
H. Suito, K. Inoue and
Y. Ikegami
Cross-sectional change of ball im- Science and Football 27-32
pact in instep kicks from junior to V I I ( H. Nu nom e, B.
Drust, and B. Dawson
professional footballers
eds)
片
山
敬
章 スポーツと呼吸
スポーツ生理学(冨樫 25-40
健二編集)
㈱化学同
人
京都
2013
片
山
敬
章 スポーツと高所・低酸素トレー スポーツ生理学(冨樫 180-
ニング
健二編集)
192
㈱化学同
人
京都
2013
総説など
著 者 名
表 題
掲載誌名
巻
頁
年号
4-8
2013
石
田
浩
司 運動生理学を応用した運動時の呼吸法―特集・呼吸 コ ー チ ン グ・ ク リ
の重要性を知る―
ニック
27
布
目
寛
幸 平均で失われるのは冗長性?それとも個性?:一流 体育の科学
選手にみられるデータの個別性を考える
63
―  43  ―
428- 2013
434
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
研究資料など
著 者 名
表 題
掲載誌名
健康への道
巻
頁
年号
112
2-3
2013
第25
号
6
2013
西
田
保 中日ドラゴンズのキャンプ
西
田
保 キーノートレクチャー1司会報告:ロンドンオリン 体育心理学専門領域
ピックに向けた JISS の心理サポートの取り組み
会報
西
田
保 「スポーツ心理学研究にみるわが国のスポーツ心理 日本スポーツ心理学
学研究のあゆみ」「スポーツ心理学の独自性を考え 会40周年記念誌
る」「スポーツ心理学研究者の養成について」
西
田
保 スポーツ心理学会40周年記念特集論文 巻頭言
スポーツ心理学研究
40
岡野 昇,内田めぐみ 体育の協同的学びにおける運動技能の発達過程
山本 裕二,加納 岳択
スポーツ健康科学研
究
35
石
田
浩
司 運動時の楽な呼吸法とは?
健康への道
113
佐
々
木
康 震災後のスポーツ経営観に関わる社会的価値の実 体育経営管理論集
証的研究
上野 裕一,佐々木 康 巻 頭 言 2016/2019 に む け て 成 す べ き こ と  ラグビー科学研究
JRFU‘s step toward the 2016/2019
35,87 2013
-88,
117-
118
5
173
2013
89-97 2013
2-3
2013
25-30 2013
24
(1)
2
2013
健康への道
114
1-2
2013
片山 敬章,荻田 太 低酸素トレーニングと生活習慣病 ―循環系への 体育の科学
影響―
63
151- 2013
155
片山 敬章,後藤 一成 低酸素トレーニングと生活習慣病 ―エネルギー 体育の科学
代謝・内分泌系への影響―
63
237- 2013
241
竹
之
内
隆
志 こころ豊かなスポーツ経験を
報告書,学会大会論文集
著 者 名
表 題
書名
頁
H. Nunome, H. Shinkai,
and Y. Ikegami
Ball impact dynamics during F o o t w e a r S c i e n c e S8-S9
soccer instep kicking
Special Issue: Proceedi ngs of t he Elevent h
Footwear Biomechanics
Symposium
G. Glynn, TS, Poon, BK.
Williams, MD. Pearson,
DA. Palazzi, PC. Bourdon,
K. Inoue, and H. Nunome
Kinematic differences between
‘one-footed’ and ‘two-footed’
young soccer players kicking
with the non-preferred leg
Proceedings of 31st International Conference
o n Bio m e c h a n i c s i n
Sports
―  44  ―
Available from:
https://ojs.ub.unikonstanz.de/
cpa /ar ticle/
view/5609/5103
発行所
発行地 発行年
Taylor &
Francis
Oxon
2013
Taiwan
Normal
University
Taipei
2013
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
書名
頁
発行所
発行地 発行年
N. Sato, H. Nunome, K.
Inoue, and Y. Ikegami
A comparison of basic rhythm
movement kinematics between
expert and non-expert hip hop
dancers
Proceedings of 31st International Conference
o n Bio m e c h a n i c s i n
Sports
Available from
https://ojs.ub.unikonstanz.de/
cpa/article/view/
5535/5029
Taiwan
Normal
University
Taipei
2013
K. Ball, C. Ingleton, J.
Peacock, and H. Nunome
Ball impact dynamics in the punt Proceedings of 31st Inkick
ternational Conference
o n Bio m e c h a n i c s i n
Sports
Available from:
https://ojs.ub.unikonstanz.de/
cpa/article/view/
5608/5102
Taiwan
Normal
University
Taipei
2013
K. Inoue, H. Nunome, T.
Sterzing, N. Sato, and Y.
Ikegami
Contribution of the support leg to Proceedings of 31st Inaccelerate kicking leg swing dur- ternational Conference
o n Bio m e c h a n i c s i n
ing soccer instep kicking
Sports
Available from:
https://ojs.ub.unikonstanz.de/
cpa/article/view/
5632/5125
Taiwan
Normal
University
Taipei
2013
T. Iga, H. Nunome, and Y.
Ikegami
Basic mechanical analysis of soc- Proceedings of 31st Incer ball impact
ternational Conference
o n Bio m e c h a n i c s i n
Sports
Available from:
https://ojs.ub.unikonstanz.de/
cpa/article/view/
5637/5130
Taiwan
Normal
University
Taipei
2013
学会または研究会(主催,司会,座長など)
著 者 名
表 題
発表学会名
年・月
西
田
保 主催
第11回スポーツ動機づけ
研究会
2013・8
西
田
保 動機づけの測定法を見直す!
(ラウンド・テーブル・ディスカッション2:司会)
第11回スポーツ動機づけ
研究会
2013・8
西
田
日本スポーツ心理学会第
保 負けず嫌いとスポーツ動機づけ:研究方法を探る!
(会員企画ラウンドテーブルディスカッション企画代表 40回大会
者)
2013・11
り 体育部会(指導助言者)
2013・8
島
山
岡
本
み
ど
裕
平成25年度全附連(全国
国立大学附属学校連盟)
東海地区研究協議会・実
践活動協議会
二 動きに潜む同期現象を探る
日本心理学会第77回大会
(公募シンポジウム・企
画・司会・演者)
―  45  ―
2013・9
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
発表学会名
年・月
日本スポーツ心理学会第
40回大会
(ラウンドテーブルディ
スカッション・司会)
2013・11
山
本
裕
二 暴力・体罰の心理的背景を考える
石
田
浩
司 事務局長
第27回呼吸研究会
2013・9
秋
間
広 筋活動とトレーニングセッションでの座長
第68回日本体力医学会大
会
2013・9
片
山
章 一般研究発表(座長)
東海体育学会 第61回大
会
2013・11
発表学会名
年・月
敬
学会または研究会(発表,演者 , 指定等論者など)
著 者 名
表 題
西
田
保 動機づけの測定法を見直す!
第11回スポーツ動機づけ
研究会
2013・8
西
田
保 チーム力の育成(シンポジウム指定討論者)
日本体育学会第64回大会
2013・8
磯貝 浩久,西田 保 高齢者のスポーツ活動尺度の作成とその主観的幸福感 日本スポーツ心理学会第
40回大会
佐々木万丈,北村 勝朗 への影響
渋倉 崇行
2013・11
渋倉 崇行,西田 保 高校運動部活動の心理社会的効果とそれらの日常生活 日本スポーツ心理学会第
40回大会
佐々木万丈,北村 勝朗 への般化:運動部活動経験と心理社会的効果との関連
磯貝 浩久
2013・11
佐々木万丈,西田 保 スポーツ活動の心理社会的効果とそれらの日常生活へ 日本スポーツ心理学会第
40回大会
北村 勝朗,磯貝 浩久 の般化を測定する尺度の作成
渋倉 崇行
2013・11
Y. Kuramastu,
Dynamic postural control under visual constraint in post- 2nd Joint World Congress
Y. Yamamoto and S. Izumi stroke hemiplegic patients
of ISPGR and Gait and
Mental Function
2013・6
K. Chidori and
Y. Yamamoto
2013・6
Effects of aging on relationship between standing balance 2nd Joint World Congress
and two-point discrimination sensation in the plantar area
of ISPGR and Gait and
Mental Function
Joint action syntax in Japanese martial arts
Y. Yamamoto,
K. Yokoyama, M. Okumura,
A. Kijima, K. Kadota,
and K. Gohara
―  46  ―
International Conference
for Perception and Action
17
2013・7
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
発表学会名
年・月
A. Kijima, M. Okumura,
R. C. Schmidt and
Y. Yamamoto
Anti-phase synchronization of tag-players evolved in distance International Conference
not to lose
for Perception and Action
17
2013・7
M. Okumura, A. Kijima
and Y. Yamamoto
Expertise differences in interpersonal distance maneuver in International Conference
kendo matches
for Perception and Action
17
2013・7
Progress in Motor Control
VIII
2013・7
Interpersonal distance emerges as an "not-to-lose" strategy in Progress in Motor Control
a play-tag sport game
VIII
2013・7
Intentional switching dynamics in Japanese martial arts
Y. Yamamoto,
K. Yokoyama, M. Okumura,
A. Kijima, K. Kadota and
K. Gohara
A. Kijima, M. Okumura,
R. C. Schmidt and
Y. Yamamoto
山本 裕二,木島 章文 2連結振動子モデルによる二者間競合の理解
横山 慶子,奥村 基生
S. Yamagiwa, N. Gotoda
and Y. Yamamoto
山
本
裕
日本体育学会第64回大会
2013・8
Space perception by acoustic cues influences auditory- International Congress on
induced body balance control
Sports Science Research
and Technology Support
2013・9
二 「動き」から「知の起源」を探る
第22回運動学習研究会
2013・9
平川 武仁,山本 裕二 選択追従課題における時間間隔と運動出力にみられる 日本スポーツ心理学会第
規則性
40回大会
2013・11
久保田真広,山本 裕二 心理的・身体的コンディショニングと競技結果
日本スポーツ心理学会第
40回大会
2013・11
山本 耕太,筒井清次郎 3 ボールジャグリングの学習過程で生じる周波数引き 日本スポーツ心理学会第
山本 裕二
込みによる協応パターンの獲得
40回大会
2013・11
鈴木 啓央,蛭田 秀一 時間圧が打球動作の切替に及ぼす影響
山本 裕二
日本卓球協会スポーツ
医・科学研究会研究成果
発表会
2013・3
Relationship between work situations and job satisfaction of The Eighth International
geriatric-care personnel
S c i e n t i f i c C o n fe r e n c e
on Prevention of WorkRelated Musculoskeletal
Disorders
2013・7
S. Hiruta, M. Shimaoka,
A. Tatsumi, Y. Ono,
T. Iida and F. Hori
蛭田 秀一,島岡みどり 垂直打面横打ちの和太鼓演奏時の3次元動作解析
山本 裕二,鈴木 啓央
三橋 良子
―  47  ―
日本体育学会第64回大会
2013・8
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
発表学会名
年・月
石田 浩司,片山 敬章 胸郭制限トレーニングによる運動時換気亢進の学習効 第68回日本体力医学会大
会
山下 晋,岩本えりか 果
堀田 典生
2013・9
堀田 典生,藤丸 郁代 4 週間の血流制限下自転車トレーニングにより筋力と 第68回日本体力医学会大
近藤 孝晴,石田 浩司 最高酸素摂取量は同時に高まる
会
2013・9
堀田 典生,石田 浩司
4 週 間 の 血 流 制 限 下 自 転 車 ト レ ー ニ ン グ が 動 脈 ス 東海体育学会第61回大会
ティッフネスに及ぼす影響
2013・11
康 ラグビーにおけるゲーム・スキル分析 ,『世界と闘うた 第11回日本フットボール
めの戦略とゲーム分析・シンポジウム』
学会
2013・12
Examination of the psycho-social factors which promote psy- 13th Asian Federation of
chological acceptance of athletic injuries
Sports Medicine Congress
2013・9
間
広 特別講演:身体活動量の増減や加齢が骨格筋量と筋内脂 第17回日本体力医学会東
肪に及ぼす影響
海地方会
2013・3
H. Akima
Symposium: Neuromuscular activation of quadriceps femoris The 90th Annual Meeting
during fatiguing contractions
of the Physiological Society of Japan
2013・3
H. Akima, A. Yoshiko,
M. Hioki, N. Kanehira,
K. Shimaoka, T. Koike,
H. Sakakibara and
Y. Oshida
Non-contractile components in adductors correlate with The 60th American Colplasma triglyceride in the elderly but not the young
lege of Sports Medicine
2013・6
Unique activation patterns of the vastus intermedius in the The 60th American ColM. Kawai, K. Taniguchi,
quadriceps femoris muscles during squat movement
lege of Sports Medicine
A. Saito, N. Aoki,
H. Akima and M. Katayose
2013・6
Comparison of non-contractile tissue in individual muscles of The 60th American ColA. Yoshiko, M. Hioki,
lege of Sports Medicine
N. Kanehira, K. Shimaoka, quadriceps between young and old subjects
T. Koike, H. Sakakibara,
Y. Oshida, H. Akima
2013・6
A. Saito and H. Akima
Is neuromuscular activation of vastus intermedius muscle in- The 60th American Colduced by hip flexion movement?
lege of Sports Medicine
2013・6
Comparison of intramyocellular lipid contents between anti- The 60th American ColM. Hioki, N. Kanehira,
gravity and non-antigravity human skeletal muscles
lege of Sports Medicine
K. Shimaoka, T. Koike,
A. Yoshiko, H. Sakakibara,
H. Takahashi, Y. Oshida
and H. Akima
2013・6
河合 誠,谷口 圭吾 等速性膝伸展運動における関節角度変化に伴う大腿四 第68回日本体力医学会大
会
齋藤 輝,秋間 広 頭筋の活動特性
片寄 正樹
2013・9
佐
々
木
T. Tatsumi and
T. Takenouchi
秋
―  48  ―
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
発表学会名
年・月
第68回日本体力医学会大
会
2013・9
日置 麻也,齋藤 輝 高齢者と若齢者における大腿四頭筋の筋細胞内脂質と 第68回日本体力医学会大
会
兼平 奈奈,島岡 清 最大随意筋力との関係
小池 晃彦,吉子 彰人
榊原 久孝,高橋 英幸
押田 芳治,秋間 広
2013・9
吉子 彰人,日置 麻也 高齢者と若齢者における外側広筋と半腱様筋の筋内脂 第68回日本体力医学会大
会
兼平 奈奈,島岡 清 肪の比較
小池 晃彦,榊原 久孝
押田 芳治,秋間 広
2013・9
齋藤 輝,渡邊 航平 深層筋を含む大腿筋群の自転車運動時の筋活動パター 第68回日本体力医学会大
秋間 広
ン
会
2013・9
秋間 広,吉子 彰人 高齢者の筋内脂肪と血液性状,身体活動量および身体組 第68回日本体力医学会大
会
日置 麻也,兼平 奈奈 成との関係
島岡 清,小池 晃彦
榊原 久孝,押田 芳治
2013・9
秋
2013・11
富田 彩,齋藤 輝 女性を対象とした中間広筋の表面筋電図記録の妥当性
安藤 良介,渡邊 航平
秋間 広
間
広 モーニングセッション:不活動および身体トレーニング 第59回日本宇宙航空環境
に対する身体適応—骨格筋の機能と形態—
医学会大会
The 11th Footwear Biomechanics Symposium
2013・8
Kinematic differences between ‘one-footed’ and ‘two-footed’ T he 31st I nt er nat iona l
G. Glynn, TS, Poon,
young soccer players kicking with the non-preferred leg
Conference on BiomechanBK. Williams,
ics in Sports
MD. Pearson, DA. Palazzi,
PC. Bourdon, K. Inoue,
and H. Nunome
2013・7
N. Sato, H. Nunome,
K. Inoue, and Y. Ikegami
A comparison of basic rhythm movement kinematics between T he 31st I nt er nat iona l
expert and non-expert hip hop dancers
Conference on Biomechanics in Sports
2013・7
K. Ball, C. Ingleton,
J. Peacock, and
H. Nunome
Ball impact dynamics in the punt kick
T he 31st I nt er nat iona l
Conference on Biomechanics in Sports
2013・7
K. Inoue, H. Nunome,
T. Sterzing, N. Sato, and
Y. Ikegami
Contribution of the support leg to accelerate kicking leg T he 31st I nt er nat iona l
swing during soccer instep kicking
Conference on Biomechanics in Sports
2013・7
T. Iga, H. Nunome, and
Y. Ikegami
Basic mechanical analysis of soccer ball impact
2013・7
H. Nunome, H. Shinkai,
and Y. Ikegami
Ball impact dynamics during soccer instep kicking
―  49  ―
T he 31st I nt er nat iona l
Conference on Biomechanics in Sports
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
発表学会名
年・月
第11回日本フットボール
学会
2013・12
福積 亨,布目 寛幸 サッカーインステップキック動作における左右差のキ 第11回日本フットボール
井上功一郎,池上 康男 ネマティクス
学会
2013・12
E. Iwamoto, K. Katayama, Oscillatory blood flow pattern in the brachial artery during 60th American College of
Sports Medicine
S. Yamashita, M. Katayose, hypoxic constant load leg cycling
Y. Oshida and K. Ishida
2013・6
K. Katayama, S. Yamashita, Effects of inspiratory resistive breathing in hypoxia on sym- 60th American College of
pathetic outflow and blood pressure during exercise
Sports Medicine
K. Ishida, E. Iwamoto,
T. Koike and M. Saito
2013・6
山下 晋,片山 敬章 低酸素環境における有酸素性運動が非活動肢の血管内 第17回 日本体力医学会
岩本えりか,石田 浩司 皮細胞に及ぼす影響
東海地方会学術集会
2013・3
佐藤 幸治,家光 素行 持久能鍛練者と非鍛練者の異なる運動負荷における性 日本体育学会第64回大会
片山 敬章,石田 浩司 ホルモン濃度変化の比較
金尾 洋治,齊藤 満
2013・8
伊賀 崇人,布目 寛幸 サッカーボールインパクトの力学解析
池上 康男,井上功一郎
松井 一洋,福積 亨
片
山
敬
 
章 低酸素環境での急性運動が循環応答に及ぼす影響. 日本体育学会第64回大会,
テーマ:新たな低酸素トレーニング —心血管・代謝性 シンポジウム
危険因子の予防改善を目指して—
2013・8
山下 晋,片山 敬章 低酸素環境における一過性の有酸素性運動が非活動肢 第68回 日本体力医学会
岩本えりか,石田 浩司 の血管機能に及ぼす影響
大会
2013・9
岩本えりか,片山 敬章 運動強度の違いが非活動肢の血流パターンへ及ぼす影 第68回 日本体力医学会
大会
山下 晋,押田 芳治 響
石田 浩司
2013・9
片山 敬章,山下 晋 低酸素環境における吸気抵抗の増加が循環応答へ及ぼ 第68回 日本体力医学会
大会,ワークショップ
石田 浩司,岩本えりか す影響
小池 晃彦,齊藤 満
2013・9
秋間 広,片山 敬章 不活動および運動トレーニングに対する身体適応
第59回日本宇宙航空環境
医学会大会,モーニング
セッション
2013・11
発表学会名
年・月
2013年度PGAティーチ
ングプロB級講習会
2013・3
講演会,セミナー,講習会,研修会など
著 者 名
西
田
表 題
保 ゴルフ心理学
―  50  ―
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
表 題
発表学会名
年・月
西
田
保 ゴルフ心理学
マクドナルド日本代表講
習会
2013・6
西
田
保 ゴルフ心理学
2013年度PGA入会セミ
ナー
2013・12
島
岡
み
ど
り 活発な身体生活・無理のない運動
岐阜大学と十六銀行産学
共同プロジェクト平成25
年度いきいき健康講座
「くるる」第 1 回
2013・2
島
岡
み
ど
り 活発な身体生活・無理のない運動
岐阜大学と十六銀行産学
共同プロジェクト平成25
年度「くるる」第 2 回
2013・5
島
岡
み
ど
り 活発な身体生活・無理のない運動
岐阜大学と十六銀行産学
共同プロジェクト平成25
年度「くるる」第 3 回
2013・7
島
岡
み
ど
り 活発な身体生活・無理のない運動
岐阜大学と十六銀行産学
共同プロジェクト平成25
年度「くるる」第 4 回
2013・10
島
岡
み
ど
り 保育士のためのストレッチ
こすもす保育園学習会
2013・12
山
本
裕
二 動きによって新たな世界が見えてくる
第9回レッツジュニアス
ポーツ体験交流イベント
2013・1
山
本
裕
二 第6回東アジア競技大会に向けて
日本ソフトテニス連盟女
子ナショナルチーム合宿
2013・4
山
本
裕
二 スポーツ指導再考:スポーツ心理学の立場から
平成25年度愛知県スポー
ツ指導者研修会
2013・7
山
本
裕
二 選手が試合で力を発揮するために
第15回ヨネックス熊田道
場Ⅱ
2013・12
蛭
田
秀
一 2012年健康調査アンケート結果
NPO 法人けんこうを支
える会学習会
2013・1
佐
々
木
康 代表戦略論
日本ラグビーフットボー
ル協会強化コーチ講習会
2013・8
佐
々
木
康 日本スポーツ文化論
日本オリンピック委員会
ナショナルコーチアカデ
ミー2013外国籍コーチ研
修会
2013・6
佐
々
木
康 競技力向上のための指導法:チームマネジメント
日本体育協会公認コーチ
養成講習会
2013・11
―  51  ―
Nagoya J. Health, Physical Fitness, Sports Vol.37, No.1 (April 2014)
著 者 名
発表学会名
年・月
名古屋市教育スポーツ協
会スポーツ実践セミナー
2013・2
A. Tomita, R. Ando,
A. Saito, K. Watanabe and
H. Akima
Effect of interelectrode distance on EMG-force relationship Seminar at Center for Exof vastus intermedius muscle in women
ercise and Sports Science
Research, Edith Cowan
University
2013・9
H. Akima
Neuromuscular activation of quadriceps femoris during iso- Seminar at Center for Exmetric and isotonic fatiguing knee extensions
ercise and Sports Science
Research, Edith Cowan
University
2013・9
秋
間
表 題
広 ジョギング・ウオーキングのすすめ
秋
間
広 健康への道
平成25年度なごや健康カ
レッジ
2013・10
秋
間
広 皮下脂肪や筋内脂肪と健康
名古屋市教育スポーツ協
会スポーツ実践セミナー
2013・11
片
山
敬
章 知ってトクするスポーツ科学
スポーツ実践セミナー,
名古屋市瑞穂運動場
2013・7
片
山
敬
章 呼吸系が運動時の循環調節に及ぼす影響
福岡大学スポーツ科学部 身体運動研究所セミナー
2013・11
片
山
敬
章 低酸素トレーニングによる生活習慣病予防・改善の可能 第63回日本体質医学会総
性
会,教育講演
片
山
敬
章 知ってトクするスポーツ科学
2013・11
スポーツ実践セミナー, 2013・12
名古屋市瑞穂運動場
―  52  ―
博士論文概要
低酸素環境が非運動肢における血流パターンに及ぼす影響
大学院医学系研究科
健康社会医学専攻 健康スポーツ医学
博士後期課程4年 岩本 えりか
指導教員 押田 芳治
1.緒言
運動時には,活動筋の酸素需要に応えるため運動肢
への血流量が増加する.近年,非運動肢においても,運
動時の血流量は増加することが報告されている.超音
波診断装置を用いて運動時に非運動肢の動脈の血流速
度を観察すると,プラス方向(順行性血流)だけでなく,
マイナス方向(逆流性血流)の流れも認められる.この
順行性と逆流性の血流の組み合わせのことを“血流パ
ターン”といい,血流パターンの変化は血管機能の改善
に関係する可能性が示唆されている.運動が非運動肢
の血流パターンに与える影響は,常酸素環境では報告さ
れているが,低酸素環境においては明らかではない.本
研究では,低酸素環境での自転車エルゴメータ運動時に
おける非運動肢(上肢)の血流パターンを明らかにする
ことを目的とした.
2.方法
成人男性8名を被検者とし,常酸素(酸素濃度21%)
および低酸素(酸素濃度12%)ガスを吸入しながら最大
運動テストを実施した.運動テストにはリカンベント式
の自転車エルゴメータを用い,初期負荷30Wより疲労困
憊にいたるまで2分ごとに30Wずつ増加させる連続的
多段階漸増負荷法を用いた.超音波診断装置を用いて
各ステージの最後の1分間の上腕動脈の血流速度と血
管径を測定し,後半30秒間の平均,順行性,逆流性の血
流量およびシェアレートを算出した.
3.結果
運動の全ステージの心拍数および収縮期血圧は,常
―  53  ―
酸素環境と比較して低酸素環境において有意に高い値
を示した.順行性および逆行性血流量は,両環境ともに
運動強度の増加に伴い増加を示した.しかし,低酸素環
境における,30,60,120W での順行性血流量,および
運動の全ステージの逆流性血流量は,常酸素環境より有
意な高値が認められた.
4.考察
低酸素環境は , 漸増負荷運動中の非運動肢におけ
る順行性および逆流性の血流量を増加させた . 血流パ
ターンが常酸素試行と低酸素試行において異なった原
因として,全身の灌流圧(upstream pressure)と末梢の
臨界閉鎖圧(downstream pressure)の圧勾配の違いが考
えられる.低酸素環境における運動時には,心拍数およ
び収縮期血圧の増加により,心臓の収縮期における灌流
圧が常酸素環境よりも増加していたと推測され,これに
より順行性血流量が増加したと考えられる.これに対し
て,拡張期血圧は試行間で有意な差を認めず,心臓の拡
張期における中枢側の圧は,試行間で有意差がなかった
と推測される.低酸素環境における運動は,筋交感神経
活動レベルを常酸素環境と比較して上昇させることが
報告されている.筋交感神経活動レベルの上昇は,非運
動肢の末梢血管抵抗を増加させるため,逆流性血流量
が増加したと考えられる.
5.結論
低酸素環境は,動的下肢運動時の非運動肢(上肢)の
動脈における順行性および逆行性血流量を増大させる
ことが明らかとなった.
博士論文概要
デジタルカメラと歩数計を利用した高齢者の活動および 
食事摂取の評価に関する検討
健康社会医学専攻 健康・スポーツ医学分野
博士後期課程4年 飯田 蓉子
指導教員 押田 芳治
【目的】
従来の食事調査には24時間思い出し法、食事記録
法、食物摂取頻度調査法等があり、それらの実施には、
対象者の記憶に依存することや負担が大きい面があ
る。デジタルカメラを用いた食事記録の評価法は、若
年層や糖尿病患者において手間がかからず信頼性・実
用性のあるデータを提供できると示されているが、高
齢者対象とした研究はまだ少ない。
本研究では、デジタルカメラおよび歩数計を用いた
高齢者の活動および食事摂取状況の評価方法について
検討した。
【方法】
糖尿病の外来患者12名(内女性3名、年齢:男性74±
6歳、女性74±7歳)と健康教室参加者15名(内女性
11名、年齢:男性70±11歳、女性68±5歳)を対象と
した。デジタルカメラで7日間の食事内容を記録し、
食事摂取状況を分析した。スズケン社「ライフコーダ
GS」を使用し、7日間の活動量を記録した。体組成計
で体重、BMI、体脂肪率を測定した。質問紙において、
全般的健康感、外出頻度、運動頻度、デジタルカメラ
の使用感を調査した。
【結果】
糖尿病の外来患者のエネルギー摂取量は男性
1,731.0±199.9kcal、女性1,777.0±187.2kcal であった。
健康教室参加者は男性1,961.0±82.8kcal、女性1,793.6±
254.4kcal であった。糖尿病の外来患者の歩数は男性
5,820±4,433歩、女性4,785±3,798歩であった。健康教
室参加者では男性9,120±2,789歩、女性7,597±2,780歩
であった。食事摂取量と運動量から、エネルギーバラ
ンスのよくない人を見つけることができた。その原因
として、食事の撮影し忘れや、旅行のためにたくさん
食べてしまったこと、日常的にあまり歩くことができ
なかったことがあげられた。全般的健康感において健
康状態が「よい」と回答している人、外出頻度、運動
頻度ともに糖尿病の外来患者よりも健康教室参加者の
方が多かった。75%の参加者がカメラの使い方がよく
わからなかったと回答した。
【結論】
デジタルカメラと歩数計を用いて食事量と運動量を
記録することによって、エネルギーバランスを評価す
ることができる。高齢者がデジタルカメラを使用する
ことに限界はあるが、今後高齢者を対象としたデバイ
スを用いた評価の可能が期待される。
―  54  ―
博士論文概要
呼気筋疲労が運動中の呼吸応答に及ぼす影響
大学院医学系研究科
健康社会医学専攻 健康スポーツ医学講座
博士後期課程4年 杉浦 弘通
指導教員 押田 芳治
1.緒言
呼吸筋の疲労は呼吸困難を引き起こす原因の一つと
され、慢性呼吸器疾患患者では呼吸筋の筋力低下が運
動耐容能に影響することが報告されている。運動によ
る換気の増大時には、呼吸筋が活発となり、安静時で
は活動しない呼気筋も活動するようになる。呼気筋は
呼気量を増加させるだけでなく、予備吸気量を増大さ
せる働きがあることから、呼気筋が運動時の呼吸応答
に関連していることが考えられる。本研究では呼気筋
の疲労が運動中の呼吸応答に与える影響を明らかにす
ることを目的とした。
負荷時の分時酸素摂取量、分時二酸化炭素産出量に差
を認めなかった。ボルグ・スケールでは、運動開始直
前、1分後、2分後に増加を認めたが、その後に差を
認めなかった。
4.考察
呼気筋疲労による運動中の呼吸応答は、中強度運動
では1回換気量の低下と呼吸数の増加によって、分時
換気量を増加させるが、高強度負荷になると呼吸数の
低下により、運動負荷に見合う換気量まで増加させる
ことができなかった。
運動中の呼気筋の働きは呼吸数を増加させるだけで
なく、肺の残気量を減少させ、横隔膜をさらに拡張さ
せることで吸気量を増加させる。呼気筋疲労は運動中
の換気の増加量を低下させることが考えられるが、本
研究では呼気筋疲労の中強度運動において、浅く速い
呼吸パターンに変更され、分時換気量は低下しなかっ
た。このことから、呼気筋疲労時には呼吸パターンに
よって代償し、分時換気量を低下させないように呼吸
調節機構が働いていることが考えられる。また、分時
換気量において、呼気筋疲労は中強度運動では換気量
を増加させることができるが、高強度になると対照条
件と同等の換気量まで増加させることができないこと
から、高強度運動のような多くの換気量を必要とされ
る場合に影響することが考えられる。
呼気筋疲労は運動中の呼吸応答に対して、中強度運
動では浅く速い呼吸パターンに変更させ、高強度運動
になると必要な換気量まで増加させることができな
かった。このことから、呼気筋疲労は運動中の呼吸応
答に影響することが示唆された。
2.方法
健常な成人男性9名を被検者とし、呼気筋疲労条件
と対照条件を設定した。呼気筋疲労条件は、測定前に
口腔内圧計を用いて、最大呼気口腔内圧の50%を目標
値に1分間に12回の呼気抵抗を20分間行い、呼気筋を
疲労させた。運動方法は自転車エルゴメータを用いて
運動負荷30W から疲労困憊となるまで、1分に20W ず
つ増加させる多段階負荷法にて行った。呼気ガス分析
装置を用いて、分時換気量、呼吸数、一回換気量、分
時酸素摂取量、分時二酸化炭素産出量を測定し、中等
度、高強度負荷運動時の呼吸応答を各条件間で比較し
た。呼吸困難感の評価には、主観的運動強度ボルグ・
スケールを用いた。
3.結果
呼気筋疲労条件と対照条件では、中等度負荷で分時
換気量に差を認めず、呼吸数の増加、1回換気量の減
少を認めた。高強度負荷では、分時換気量、呼吸数の
減少を認め、1回換気量に差を認めなかった。各運動
―  55  ―
博士論文概要
高果糖食負荷ラットにおける eicosapentaenoic acid(EPA)の 
インスリン抵抗性抑制効果
大学院医学系研究科
健康社会医学専攻 健康増進医学講座 健康 ・ スポーツ医学分野
博士課程4年 夏目 有紀枝
指導教員 押田 芳治
【目的】
EPA は魚油に多く含まれる n-3 系多価不飽和脂肪酸
で、血中脂質改善効果、抗炎症作用を有することで知ら
れているが、近年、糖尿病モデルや高脂肪食負荷モデル
などの動物においてインスリン抵抗性改善効果も報告
されている。果糖は甘味料としてジュースや菓子類など
の食品に多用されており、その過剰摂取が肥満やインス
リン抵抗性を誘発するとして近年問題視されている。こ
れまで高果糖食負荷モデルのインスリン抵抗性に対す
る EPA 単独の効果は検証されていないため、本研究で
は、高果糖食負荷ラットに生じるインスリン抵抗性およ
び代謝異常に対する EPA の効果を検討し、そのメカニ
ズムを明らかにすることを目的とした。
計算したインスリン感受性指数は、高果糖食群(70.06
±9.75)に比べ EPA 投与群(107.08±7.04)で有意な高
値が示された。ITT では、EPA 投与群で血糖値変化率
が増加した。インスリンクランプ試験から得られたグル
コース注入率(GIR)は、普通食群(低濃度8.73±0.44、
高濃度35.56±0.71)に対し、高果糖食群(低濃度4.65±
0.95、高濃度29.71±1.65)で有意に低下したが、EPA 投
与群(低濃度8.01±1.31、高濃度35.71±1.92)で有意な低
下抑制効果が認められた。
シグナル解析では、GLUT4のタンパク量はヒラメ筋・
腓腹筋ともに差はなかった。Akt のリン酸化は、腓腹筋
ではセリンおよびスレオニン残基のリン酸化が高果糖
食群に比べ EPA 投与群で有意に亢進したが、ヒラメ筋
では EPA の効果が示されなかった。腓腹筋では、MAPK
ファミリーである Erk と p38のタンパク当たりのリン酸
【方法】
Wistar/ST 系雄性ラットを与える餌により、1)普通
食、2)高果糖食、3)高果糖食+ EPA、の3群に分け
化が有意に低下した。
た。EPA は重量比で6%投与した。高果糖食には対照
として、EPA を含まないコーン油を6%添加した。EPA
のインスリン作用に対する影響は、経口ブドウ糖負荷試
験(OGTT、ブドウ糖2g/kg BW)
、インスリン負荷試験
(ITT、インスリン 0.5 IU/kg BW)
、低濃度
(3mU/kg/min)
および高濃度(30mU/kg/min)の正常血糖インスリンク
ランプ試験により評価した。解剖時に下大静脈よりイン
スリン(0.5 IU/kg BW)を注射し、3分後に採取したヒ
【考察】
インスリン感受性指数が高果糖食群に比べ EPA 投与
群で有意な高値を示したことから、EPA には全身のイン
スリン感受性改善作用があることが考えられる。クラン
プ試験に高濃度インスリンを用いた場合、肝臓での糖新
生が抑制されるため、GIR は骨格筋のインスリン抵抗性
の指標とすることができる。本研究により、全身ならび
に骨格筋の高果糖食誘発インスリン抵抗性に対し EPA
ラメ筋および腓腹筋を用いて、ウエスタンブロッティン
グ法によりシグナル分子を解析した。
が抑制効果を発揮することが明らかとなった。インスリ
ンシグナルの下流にある Akt は、腓腹筋において EPA に
よるリン酸化亢進が認められた。MAPK ファミリーのリ
ン酸化は、IRS-1 のセリン残基をリン酸化することでイ
ンスリンシグナルを抑制することが報告されている。腓
腹筋において、Erk と p38 MAPK のタンパク当たりのリ
ン酸化が低下した。EPA による骨格筋の糖取込み増加
には、これらのシグナル分子の活性が関与している可能
性がある。
【結果】
餌の摂取カロリーと体重に差は見られなかったが、体
重あたりの精巣上体周囲脂肪量は、高果糖食群で有意
に増加し、EPA 投与群では普通食群と同等レベル以下に
抑制された。OGTT の血糖値とインスリン値は、EPA 投
与群が低値傾向を示し、松田とデフロンゾの式を用いて
―  56  ―
博士論文概要
Clinical Effect of Addition of Beraprost Sodium to Pioglitazone Treatment  
on the Blood Glucose Levels in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus
大学院医学系研究科
健康増進医学 健康社会医学専攻 健康スポーツ医学分野
博士課程4年 塔娜
指導教員 押田 芳治
【Objective】
In recent years, the number of patients with type 2
diabetes mellitus caused by insulin resistance has continued
to increase in Japan. Insulin resistance is considered to be
closely related to the risk of cardiovascular diseases and
atherosclerotic diseases, represented by arteriosclerosis
obliterans (ASO). Therefore, improvement of insulin resistance is one of the important strategies in the treatment of
type 2 diabetes mellitus.
【Methods】
In this study, the effect of beraprost sodium, a prostaglandin I2 derivative, in the treatment of type 2 diabetes
mellitus was investigated.
【Results】
In type 2 diabetic patients with ASO who were under
treatment with pioglitazone, additional treatment with
beraprost sodium exerted a significant synergistic effect in
reducing the serum HbA1c levels as compared to treatment
with pioglitazone alone.
【Conclusion】
This result indicates that concomitant administration of
pioglitazone and beraprost sodium may be useful in the
treatment of diabetes mellitus.
―  57  ―
博士論文概要
エイコサペンタエン酸が骨格筋萎縮と肥大に及ぼす効果 
― C2C12筋管細胞での検討 ―
大学院医学系研究科
健康増進医学 健康社会医学専攻 健康スポーツ医学分野
博士課程4年 木 蘭
指導教員 押田 芳治
背景:魚油に含まれるオメガ3系脂肪酸であるエイコサ
ペンタエン酸(EPA)は、慢性炎症抑制作用やインスリ
ン抵抗性改善作用を有し、血管疾患や糖脂質代謝異常
の予防や治療に使われている。一方で、魚を多く摂取す
る高齢者では筋力が強いといった疫学研究があり、骨格
筋の維持に有用である可能性が示唆されている。骨格
筋の蛋白合成と分解の制御には、インスリンおよびイン
スリン様成長因子シグナルが重要な役割を果たしてい
る。
化レベルは各群間で有意差が認められなかったが、4EBP1 リン酸化レベルは IGF-1 存在下では EPA 添加により
さらにリン酸化レベルが増加した。一方で、インスリン
に関しては、このような効果は認められなかった。タン
パク合成やタンパク分解、両系に関与する転写因子であ
る FoxO-3a については、IGF-1 単独群ではコントロール
群と比較すると有意に FoxO-3a の発現を増加したが、こ
の効果は EPA に処置によっても変化が見られなかった。
MAFbx には各群の間に、有意差を認めなかった。
PBS による実験では、筋萎縮マーカーである MAFbx
や FoxO-3a に対 する EPA の影 響は見られなかった。
Dexamethasone による筋萎縮モデルでも、EPA 処置によ
目的:インスリンおよびインスリン様成長因子シグナル
による蛋白合成および分解シグナルが、EPA の投与によ
り骨格筋細胞で、どのような影響を受けるかを明らかに
する。
る影響は受けなかった。
方法:筋芽細胞である C2C12 細胞を分化導入培地で6
日間培養することで得られた筋管細胞を、蛋白合成ま
たは分解を誘導する条件下でさらに培養し実験に用い
た。蛋白合成系は、インスリン様成長因子1(IGF-1)
50ng/ml 存在下に5日間培養した。また、蛋白分解系
は、細胞を PBS(+2mM Ca)で1, 3, 6時間培養し、ま
た、Dexamethasone による筋萎縮モデルでは筋管細胞を
Dexamethasone 50μ M 存在下に48時間培養した。各々の
培養条件下で EPA(200μ M)の影響を検討した。シグナ
ルの解析は、ウエスタンブロット法により、蛋白合成系
(AKT, p70-S6k, 4E-BP1)
、分解系(MAFbx, MuRF-1)と
両系の調整に関わる分子(FoxO-3a)に関して解析した。
結果:蛋白合成系シグナルにおいて、p70-S6k のリン酸
―  58  ―
考察: EPA は、IGF-1 による筋蛋白合成系のシグナルを
亢進する。EPA には、抗炎症作用、インスリン感受性亢
進作用がある。また、EPA を含むオメガ3脂肪酸や飽和
脂肪酸は、膜の受容体を介して、細胞内シグナルに影響
を与えることが近年注目されている。今回観察されたシ
グナル改善作用には、EPA 投与後、日単位の時間を要す
ることから、EPA が細胞の遺伝子発現や膜の性状に影響
を与えた可能性もある。
結論:EPA は、骨格筋培養細胞で、IGF-1 によるタンパ
ク合成シグナルを促進する。
修士論文概要
褐色脂肪組織の熱産生におけるグルカゴンの役割の解明 
―グルカゴン遺伝子欠損マウスの解析―
大学院医学系研究科
医科学専攻修士課程 健康・スポーツ医学分野
修士課程2年 木下 佳大
指導教員 押田 芳治
【背景及び目的】
褐色脂肪組織
(BAT)
は熱産生を主な役割とし、体温の
維持に機能する。近年、18F-fluorodeoxyglucose positron
emission tomography を用いた画像診断法によって成人
にも活性をもつ BAT の存在が確認され、肥満治療の新
験では1日1回2週間の投与を行い、その後寒冷暴露時
の深部体温および CL 投与時の VO2を測定した。
たな標的として注目を集めている。BAT のミトコンドリ
ア内膜には脱共役タンパク質1(UCP1)が多く発現し、
酸化的リン酸化を脱共役することでエネルギーを熱と
して散逸する。寒冷時および摂食時には交感神経が活
性化し、BAT の β アドレナリン受容体(AR)を介して
UCP1が活性化し熱産生が生じる。膵α 細胞より分泌さ
れるグルカゴンは、肝臓におけるグリコーゲン分解と糖
産生を促進してブドウ糖放出を増加させることにより
血糖維持に重要な役割を果たす。これまで、急性寒冷暴
露時にヒトおよびラットでグルカゴン分泌の上昇がみ
られることや、外因性グルカゴンがラットの BAT 熱産生
を亢進することなどが報告されているが、内因性グルカ
ゴンにおける BAT 機能調節への寄与は明らかとなって
いない。そこで、我々はグルカゴン遺伝子ノックアウト
マウス(GCGKO)を用いて、エネルギー代謝及び BAT
【結果】
急性寒冷暴露により、深部体温は GCGKO 群におい
て顕著に低下し、また寒冷に伴う体重減少も有意に減
弱していた。寒冷時における VO2は、対照群と比較して
GCGKO 群は有意に低値を示した。活動量は両群間で差
をみとめなかった。CL 投与により両群で VO2が増大し
たが、対照群と比較して GCGKO 群は VO2増加が有意
に低かった。GCGKO 群は通常温度下において BAT の
UCP1 遺伝子発現が有意に低下していた。急性寒冷暴露
により、両群において UCP1 およびその発現を調節する
DIO2、PGC1α 遺伝子発現の上昇がみられたが、GCGKO
群はこれらの熱産生関連遺伝子の発現が対照群と比較
して有意に低値を示した。GCGKO 群において、グルカ
ゴンの短期投与により UCP1 遺伝子発現が有意に上昇
した。また、長期グルカゴン投与により GCGKO 群にお
いて寒冷時の深部体温が維持される傾向を示した。さ
らに、CL 投与時の VO2がグルカゴン投与により有意に
上昇した。
機能の解析を行った。
【方法】
GCGKO 群および対照群に急性寒冷暴露(4℃)を行
い、深部体温および体重変化を測定した。寒冷時および
β 3-AR アゴニスト CL-316,243(CL)投与時の酸素消費
量(VO2)と活動量を小動物総合モニタリングシステム
(CLAMS)を用いて測定した。通常温度下および寒冷暴
露後の BAT より RNA を抽出し、RT-qPCR 法により熱産
生関連遺伝子発現を解析した。グルカゴン投与実験で
は、グルカゴン(1mg/kg)およびその対照として生理食
塩水の投与を行った。短期投与実験では 12 時間毎に計
3回投与し、BAT 遺伝子発現を解析した。長期投与実
【考察】
本 研 究 により、グ ル カゴ ン 作 用 欠 損 動 物 で ある
GCGKO は寒冷不耐性を示し、BAT 熱産生能が低下して
いることが明らかになった。GCGKO にグルカゴン投与
を行うとこれらに改善がみられたことから、グルカゴン
は BAT 機能調節において重要な役割を果たすことが示
された。
【結語】
内因性グルカゴンは褐色脂肪組織における熱産生を
調節する。
―  59  ―
修士論文概要
運動によって誘発される骨格筋細胞内シグナル伝達に対する 
高果糖食負荷とエイコサペンタエン酸投与の影響
大学院医学系研究科
医科学専攻 健康スポーツ医学講座
修士課程2年 野崎 陽寛
指導教授 押田 芳治
1.諸言
有酸素運動では、AMPK(adenosine mon-ophosphate
activated kinase)が骨格筋で活性化された結果、長期的
にはミトコンドリア生合成や糖輸送担体発現が起こり、
インスリン感受性の亢進などの適応が生じる。一方果
糖負荷ではインスリン抵抗性が生じるが、魚油に含まれ
る ω 3脂肪酸エイコサペンタエン酸(EPA)の投与は、抵
抗性の増加を抑制することを私達の研究室は明らかに
している。本研究では、急性の有酸素運動負荷時におこ
る骨格筋細胞内シグナル活性化が、果糖食負荷でどの
ような影響を受けるか、そして EPA 投与がその影響に
変化を与えるかどうか検討する。
2.方法
C5BL67/SJ の雄性マウスを以下の6群にわけた。1)
普通食群(n= 3)
、2)高果糖食群(n= 3)
、3)高果
糖食 +EPA 群(n= 3)
、4)普通食 + 運動群(n= 5)
、
5)高果糖食 + 運動群(n= 5)
、6)高果糖食 +EPA+
運動群(n= 5)
。高果糖食群においてはコーン油を EPA
と同様、餌量の6%加えた。投与開始から4週間後に、
トレッドミル運動を最大90分(最大20m/ 分)行い、直
後に麻酔下にて、副睾丸周囲脂肪、ヒラメ筋、大腿四頭
筋等を採取した。解析は主にヒラメ筋で用い、ウエスタ
ンブロッティング法で、AMPK 経路や筋蛋白の合成系
のシグナルである翻訳抑制因子(4E-BP1)やオートファ
ジー関連分子 LC3A 等に関して行った。
―  60  ―
3.結果
運動誘発性の AMPK のリン酸化は果糖食負荷で低
下した。一方 EPA 投与においても、果糖食負荷による
AMPK のリン酸化の低下は、変化しなかった。AMPK の
下流のシグナル分子であり、脂肪酸合成に関与するアセ
チル CoA カルボキシラーゼ(ACC)のリン酸化も同様な
変化を示した。4E-BP1 のリン酸化は、運動群では、非
運動群と比較し、全群で低下したが果糖食や EPA の投
与では影響を受けなかった。また、LC3A-II は、AMPK、
ACC と同様のプロファイルを示した。
4.考察
AMPK 及びその下流シグナルである ACC は、共に同
様のプロファイルを示したことから、果糖食では骨格
筋において急性有酸素運動による AMPK の活性化を抑
え、β 酸化を阻害させる方向に働くことが示唆された。
このことは、EPA を投与しても回復はみられなかった。
また、LC3A-II が、AMPK、ACC と同様のプロファイル
を示したことは、オートファジーが関わっている可能性
を示している。
4E-BP1 は、非運動群と比べ運動群全てのリン酸化の
抑制を示した。果糖食及び果糖 +EPA で 4E-BP1 のリン
酸化が抑制されたのは、AMPK による抑制とは独立した
メカニズムによる可能性もある。
修士論文概要
プログルカゴン由来ペプチドの欠損が高脂肪食下における糖代謝に及ぼす影響
大学院医学系研究科
医科学専攻 健康スポーツ医学
修士課程2年 高木 祐輔
指導教授 押田 芳治
【背景と目的】
肥満を伴う糖尿病の病態にはインスリン抵抗性が大
きく関与し、この病態には脂肪組織における慢性炎症が
寄与することが明らかとなった。インスリン抵抗性によ
りインスリンの需要が増加するが、これは膵β細胞の
肥大により代償される。病態が進展し、この代償機構が
破綻すると糖尿病が発症する。
プログルカゴン由来ペプチドは、グルカゴンや Glucagon-Like Peptide-1(GLP-1)などグルカゴン遺伝子から
産生されるホルモンの総称である。グルカゴンは膵 α 細
胞から分泌され、主に肝臓に作用し、糖産生を亢進する
ことにより血糖上昇に寄与する。一方、GLP-1 は腸管内
分泌 L 細胞から分泌され、食後のインスリン分泌を刺
激し、血糖上昇の抑制に働く。しかし、これらの相反す
る作用を持つホルモンが同一遺伝子から産生されると
いう複雑性によって、糖尿病状態におけるプログルカゴ
ン由来ペプチドの役割は十分解明されていない。我々
は新たなモデルとして、プログルカゴン由来ペプチドを
すべて欠損するグルカゴン遺伝子ノックアウトマウス
(GCGKO)を作製し、その解析を行ってきた。本研究
は、糖尿病状態におけるプログルカゴン由来ペプチドの
役割を明らかにすることを目的とした。
【方法】
GCGKO および Control に4週齢から通常食または高
脂肪食を15週間負荷した後、以下の実験を行った。イン
スリン負荷試験、腹腔内糖負荷試験を行った。内臓脂
肪組織および皮下脂肪組織における炎症関連遺伝子の
発現を解析した。コラゲナーゼ灌流法により膵島を単離
し、グルコース応答性インスリン分泌および遺伝子発現
の解析を行った。免疫染色を用いて膵島の形態学的解
析を行った。また、15週間の高脂肪食負荷の後、GLP-1
アナログであるリラグルチド(200 μ g/kg/ 日)を1日1
回2週間皮下投与し、種々の解析を行った。
【結果】
まず、インスリン抵抗性を評価するためにインスリン
負荷試験を行った。Control は高脂肪食負荷によりイン
スリン抵抗性の悪化を認めたが、GCGKO は高脂肪食下
においても良好なインスリン感受性を示した。この原因
を検証するために、脂肪組織における炎症関連遺伝子
の発現を解析した。GCGKO は高脂肪食下においても皮
下脂肪組織の炎症関連遺伝子の発現増加を認めず、脂
肪組織における慢性炎症が抑制されていた。
次に、耐糖能を評価するために腹腔内糖負荷試験を
行った。高脂肪食を負荷した GCGKO は耐糖能異常を
示した。高脂肪食を負荷した GCGKO は糖負荷後のイ
ンスリン分泌が低下していた。インスリン分泌低下の原
因を検証するために、単離膵島を用いてグルコース応答
性インスリン分泌の評価を行った。高脂肪食を負荷した
GCGKO の単離膵島は、Control に比べてグルコース応答
性インスリン分泌が減弱していた。免疫染色を用いて β
細胞面積を定量したところ、GCGKO は高脂肪食負荷に
よる膵 β 細胞の代償性肥大を認めないことが確認でき
た。
GCGKO におけるβ 細胞の機能異常の原因が GLP-1 の
欠損によるものかを明らかにするため、GLP-1 の補充実
験を行った。GCGKO において、高脂肪食負荷により障
害された耐糖能、インスリン分泌は GLP-1 の補充により
改善を認めた。
【結語】
プログルカゴン由来ペプチドの欠損は高脂肪食下に
おいて脂肪組織における慢性炎症を抑制し、インスリン
抵抗性の惹起を抑制することが示された。また、高脂肪
食下における膵 β 細胞の機能維持には GLP-1 が重要な
役割を果たすことが示唆された。
―  61  ―
博士論文概要
高齢者と若年者における筋細胞内脂質と動脈硬化症に関連のある 
血液成分との関係
大学院医学系研究科
健康社会医学専攻 健康スポーツ医学分野
博士後期課程3年 日置 麻也
指導教員 押田 芳治
【目的】
WHO の報告では、先進国の高齢者は肥満や糖尿病の
FFA)
、中性脂肪(triglyceride: TG)
、総コレステロール、
HDL(high-density lipoprotein)および LDL(low-density
lipoprotein)コレステロール、ヘモグロビン A1c、アディ
ポネクチン、高感度 C- 反応性蛋白、血糖、インスリン
有病率が増加しているという。このような生活習慣病の
基礎疾患としてインスリン抵抗性があり、インスリン抵
抗性は脂肪組織、肝臓、骨格筋が関与する。骨格筋内の
異所性脂質である筋細胞内脂質(intramyocellular lipid:
IMCL)の蓄積は、骨格筋インスリン抵抗性を引き起こ
す要因の一つである(Szendroedi and Roden Curr Opin
Lipidol 2009)
。したがって、IMCL 含有量を簡易的に調
を定量した。IMCL と血液成分(10因子)の関係の分析
には、ステップワイズ法による重回帰分析を行い、従属
変数は IMCL、独立変数は血液成分(10因子)とした。
本実験は名古屋大学医学系研究科、生命倫理委員会
の承認を得て実施された。
べることができれば、骨格筋インスリン抵抗性のスク
リーニングに有益な情報になる。
本研究では、高齢者と若年者を対象に動脈硬化症に
関連のある血液成分(10因子)を測定し、IMCL 含有量
を予測できる因子を見つけることを目的とした。我々
は、IMCL 含有量を測定する方法として非侵襲的手法で
あるプロトン磁気共鳴分光法(proton magnetic resonance
spectroscopy: 1H-MRS)を用いた。
【結果】
高齢群(13.4±9.7mmol/kg wet weight)の IMCL は若
年群(7.7±4.0mmol/kg wet weight)と比較して高値で
【方法】
身体機能が正常な高齢(平均年齢71歳、BMI22.4±
2.1kg/m2)および若年(平均年齢21歳、BMI22.2± 2.7kg/
m2)男女29名を対象に、安静絶食下にて大腿部中央に
おける、大腿二頭筋の1H-MRS スペクトルを得た。水抑
制、水非抑制スペクトルから、分析ソフト(LCModel)
を用いて IMCL 含有量を算出した。また、絶食下で採
血した血液サンプルより、遊離脂肪酸(free fatty acid:
あったが有意性を認めなかった(p = 0.06)
。ステップワ
イズ重回帰分析の結果、若年群において FFA と TG が
選択され、この2変数を独立変数とする有意な回帰式
が得られた(IMCL = -0.8581+0.016X1+0.133X2, X1: FFA,
。その寄与率は、61%(R = 0.78)であ
X2: TG; p < 0.01)
り、FFA と TG で IMCL の61% を説明できることが示さ
れた。一方、高齢群においては、有意な回帰式は得られ
なかった。
【結論】
若年者では、IMCL の予測因子として FFA と TG が有
―  62  ―
用であるが、高齢者では血液生化学検査より予測できな
いことが示された。
修士論文概要
高齢者と若齢者における筋内脂肪の比較とその方法論的検討
大学院教育発達科学研究科
教育科学専攻 生涯スポーツ科学講座 スポーツ生理学領域
博士前期課程2年 吉子 彰人
指導教員 秋間 広
1.緒言
骨格筋内には脂肪の蓄積が確認される。これは筋内
脂肪として、内分泌系の疾患に関連することが明らかに
されている(Goodpaster et al. 1997, Albu et al. 2005, Ryan
et al. 2011)
。さらに筋内脂肪は、加齢とともに増加する
(Delmonico et al. 2009)
。高齢者における筋内脂肪は、身
体機能と負の相関関係を示すことからも(Marcus et al.
2012)
、高齢者が可能な限り自立した生活を維持するた
めには、筋内脂肪が重要な因子となり得ると推測され
る。本研究では、筋内脂肪の代表的な2つの指標(横断
面積と体積)を用いて、高齢者で筋内脂肪が蓄積する部
位を詳細に特定し、さらにそれら異なる指標の関係性に
ついて検討した。
2.方法
対象は、健常高齢男女15名(平均年齢70歳)と、健
常若齢男女 15 名(平均年齢 21 歳)であった。 MR 装
置を用いて、仰臥位における右脚大腿部の T1 強調横断
画像をスピンエコー法で撮影した。信号強度の違いをも
とに画像処理を行い、脂肪組織と筋組織を横断面積お
よび体積にて測定した。その後、筋に占める筋内脂肪の
割合を算出した。測定部位は、大腿部における3つの筋
群
(大腿四頭筋、ハムストリングス、内転筋)
、あるいは
個々の筋(外側広筋、大腿直筋、内側広筋、中間広筋、
大腿二頭筋・短頭、大腿二頭筋・長頭、半腱様筋、半膜
様筋、縫工筋、長内転筋、大内転筋、薄筋)とした。
―  63  ―
3.結果
横断面積から測定された、高齢者の筋内脂肪は、 3
つの筋群において、若齢者のそれよりも一貫して高値を
示した(大腿四頭筋:4.9vs.2.3%,ハムストリングス:
19.6vs.11.9%,内転筋:9.5vs.5.3%)
。しかしながら、個々
の筋において、横断面積あるいは体積から算出された筋
内脂肪の割合を高齢者と若齢者で比較した結果、有意
な差がみられない筋があった。
外側広筋(VL)および半膜様筋(SM)において、筋
長の 10 % ごとに平均した筋内脂肪の割合を高齢者と若
齢者で比較したところ、筋によって有意な差がみられる
部位が異なること(VL:10-80%,SM: 0-90%)が明らか
となった。
さらに、筋内脂肪体積と筋組織体積から算出された筋
内脂肪の割合は、筋長の中央部付近の各横断面積から
算出された筋内脂肪の割合で十分に説明できること(r2
= 0.79-0.94)が明らかとなった。
4.結論
以上の結果から、1)高齢者と若齢者における筋内脂
肪の割合の差は筋間で一様でないこと、2)筋長に対す
る筋内脂肪の分布は均一でないこと、3 )筋長の中央部
から測定された筋内脂肪の割合は、筋全体から測定され
た筋内脂肪の割合を推定するものとして適当であるこ
とが示唆された。さらに今後は、大腿部の各筋で活動特
性や生化学的パラメータを測定し、筋内脂肪と合わせて
検討することで、筋内脂肪が蓄積する要因を解明するこ
とができるのではないかと考えられる.
修士論文概要
低酸素環境における運動が血管機能に及ぼす影響
大学院教育発達科学研究科
教育科学専攻 生涯スポーツ科学講座 スポーツ生理学領域
博士前期課程2年 山下 晋
指導教員 片山 敬章
【緒言】
加齢や運動不足などによる動脈の柔軟性低下(動脈
硬化)は、高血圧など心血管疾患の危険因子となる。ま
た、動脈硬化の前段階として、血管径の調節に関する伝
達物質を血管内皮細胞が分泌する機能(血管内皮機能)
が低下する。有酸素性の運動トレーニングは血管内皮
機能を改善させ、心血管疾患のリスクを軽減させる。こ
の改善は、実際に運動を行っている活動肢の血管のみな
らず、運動を直接行わない非活動肢の血管にも認められ
る。近年、低酸素環境での有酸素性運動が、活動肢の血
管内皮機能の改善に対して有効であることが報告され
ている。しかしながら、非活動肢の血管内皮機能に及ぼ
す影響は不明である。
【方法】
被験者は男性7名とした。常酸素(21%O 2)および
低酸素(12%O 2)環境にて最高酸素摂取量を測定し
た。その後、常酸素および低酸素の両環境で、30分間
の自転車エルゴメータ運動を最高酸素摂取量の60% 強
度で行った。それぞれの運動前および運動5分後、30分
後、60分後に上腕動脈において血管内皮機能の指標で
ある血流依存性血管拡張反応(flow-mediated dilation:
FMD)を測定した。そして血管の拡張率で示される
%FMD と、血流による血管内皮細胞への刺激で標準化
した Normalized-FMD を算出した。
【結果】
運 動 前 の %FMD と Normalized-FMD は、常 酸 素、
低酸素試行の両試行間に有意な差が認められなかった
(%FMD:常酸素試行6.4±0.7%、低酸素試行6.2±0.7%、
Normalized-FMD:常酸素試行2.7±0.3%・SRAUC-1・
10-4、低酸素試行3.0±0.6%・SRAUC -1・10-4)
。%FMD
は運動5分後に、常酸素試行においてのみ有意に低下
した(常酸素試行2.9±0.8%、低酸素試行3.8±0.8%)
。
Normalized-FMD は運動終了5分後に常酸素試行、低
酸素試行ともに有意に低下した(常酸素試行0.7±0.3%・
SRAUC-1・10-4、低 酸 素 試 行0.9±0.2%・SRAUC-1・
10-4)
。%FMD お よ び Normalized-FMD は、 そ の 後
徐々に運動前の値へ戻った。運動後の %FMD および
Normalized-FMD に両試行間で有意な差は認められな
かった。
【結論】
これらの結果から、一過性の有酸素性運動による非活
動肢の血管内皮機能の変化に、低酸素の影響はないこ
とが示唆される。
―  64  ―
平成25年度 共同研究者一覧
安
飯
家
石
石
磯
伊
伊
伊
伊
今
今
大
大
大
奥
小
鍵
桂
川
北
楠
久
越
齊
坂
佐
佐
藤 詳
田 忠
光 素
黒 哲
黒 真 理
貝 浩
藤 智
藤 政
藤 健
藤 雅
井 あ い
枝 敏
澤
西 丈
畑 美 喜
田 愛
野 雄 一
小 野 美
和
田 裕
村 勝
正
保 田 正
中 敬
藤
崎 貴
々 木 万
藤 寿
子
行
行
也
子
久
式
展
司
史
子
彦
功
二
子
子
郎
和
仁
樹
朗
隆
和
一
満
彦
丈
一
名 古 屋 大 学 医 学 部 保 健 学 科
藤 田 保 健 衛 生 大 学 医 学 部
立
命
館
大
学
石 黒 内 科 ク リ ニ ッ ク
新潟県立大学人間生活学部
九
愛
東
州
知
工
学
海
業
泉
短
学
大
期
園
大
大
学
学
東 京 都 老 人 総 合 研 究 所
金
城
城
大
学
院
学
大
学
愛 知 学 院 大 学 心 身 科 学 部
三
重
岐
び
大
阜
わ
学
大
こ
学
院
学
大
学
藤 田 保 健 衛 生 大 学 医 学 部
川
武
帝
崎
蔵
医
丘
京
東
療
福
短
平
祉
期
成
北
大
大
大
大
学
学
学
学
愛知医科大学 メディカルクリニック
京
新
愛
都
潟
医
知
大
療
学
福
祉
院
学
大
大
藤
倉
石
あ
中
中
耕
崇
鉄
さ
雅
平
行
雄
み
嗣
勤
日
郎
子
大
達
兒
仁
之
代
妙
生
子
子
文
二
子
男
薫
平
人
平
愛
学
淀 屋 橋 健 康 増 進 セ ン タ ー
星
佐
渋
高
巽
田
田
学
学
鈴
鹿
医
療
科
学
大
学
日
本
女
子
体
育
大
学
筒 井 清 次
永 井 美 奈
長 崎
成 瀬
服 部 洋
平 川 武
福
典
藤 木 理
古 川
堀 田 典
堀
文
三 橋 良
安 田 好
柳 本 有
山 田 節
山 之 内 国
山 本
楊
衛
吉 田 和
渡 邊 航
本
新
女
子
潟
名
古
浜
松
体
県
屋
育
立
市
医
大
立
科
大
学
大
大
学
学
学 東 京 都 老 人 総 合 研 究 所
名 古 屋 市 立 大 学 大 学 院 
システム自然科学研究科生体情
報 専 攻 健 康・ 栄 養 政 策 学 分 野
名
知
古
愛
み
教
屋
知
文
学
よ
愛
育
し
知
理
市
大
民
学
学
病
業
山
学
大
院
工
南
大
大
院
学
大
学
東 京 都 老 人 総 合 研 究 所
名古屋学芸大学 管理栄養学部
ミ キ ハ ウ ス 歯 科 医 院
中
部
大
学
中
部
大
学
国
豊
際
橋
基
技
督
術
教
科
大
学
大
学
学
兵 庫 大 学 健 康 科 学 部
山
田
外
科
内
科
山 之 内 糖 尿 病 予 防 研 究 所
名
桜
愛
静
中
知
岡
大
京
大
淑
徳
学 教
学
大
育
大
学
学
部
学
名古屋大学医学部附属病院総合診療部
(五十音順)
―  65  ―
平成25年度 非常勤講師一覧
氏名
本務先
現職
担当科目
担当時間数
張
成
忠
有
限
会
社
桜
華
取 締 役
健康・スポーツ科学
90
湯
海
鵬
愛
知
県
立
大
学
教 授
〃
30
下
村
典
子
自
宅
研
修
〃
90
柴
田
優
子
自
宅
研
修
〃
150
野
中
壽
子
名
冨
樫
健
二
三
吉
澤
洋
二
名
内
田
博
昭
株 式 会 社 フ ァ ミ リ
桶
野
留
美
自
水
藤
弘
吏
愛
古
屋
市
重
古
屋
宅
知
学
立
大
大
経
済
大
研
院
学
教 授
〃
60
学
教
授
〃
120
学
教
授
〃
90
代表取締役
〃
120
〃
120
師
〃
120
修
大
学
講
秦
真
人
愛 知 学 泉 短 期 大 学
准 教 授
〃
120
島
典
広
東
学
准 教 授
〃
120
司
NPO 法 人 卓 球 交 流 会
理 事 長
〃
150
樹
特 殊 ス ポ ー ツ 研 究 所
代
〃
30
山
金
田
耕
謙
海
学
園
大
―  66  ―
表
平成25年度 大学院生名簿
大学院医学系研究科(健康社会医学専攻・総合医学専攻・医科学専攻)
学年
専門分野
氏名
指導教員
学年
専門分野
氏名
指導教員
D4
健康スポーツ医学
杉浦弘道
押田
D3
健康スポーツ医学
日置麻也
押田
D4
健康スポーツ医学
陳
ナ
押田
D3
健 康 栄 養 医 学
近藤志保
石黒
D4
健康スポーツ医学
木
蘭
押田
D2
健 康 栄 養 医 学
持丸由香
石黒
D4
健康スポーツ医学
夏目有紀枝
押田
D1
健康スポーツ医学
斯日古楞
押田
D4
健康スポーツ医学
飯田蓉子
押田
D1
健 康 栄 養 医 学
谷口いつか
石黒
D4
健康スポーツ医学
岩本えりか
押田
M2
健康スポーツ医学
木下佳大
押田
D4
精 神 健 康 医 学
和田尚子
小川
M2
健康スポーツ医学
高木祐輔
押田
D4
精 神 健 康 医 学
鵜生嘉也
小川
M2
健康スポーツ医学
野崎陽寛
押田
D4
精 神 健 康 医 学
吉岡眞吾
小川
タ
大学院教育発達科学研究科(教育科学専攻・心理発達科学専攻)
学年
専門分野
氏名
指導教員
学年
専門分野
氏名
指導教員
D4
スポーツ行動科学
鈴木啓央
山本
D1
生涯スポーツ科学
安藤良介
秋間
D4
スポーツ行動科学
千鳥司浩
山本
D1
生涯スポーツ科学
張琬じん
島岡
D4
生涯スポーツ科学
満
倉
蛭田
D1
スポーツ行動科学
辰巳智則
竹之内
D2
生涯スポーツ科学
辻本典央
布目
M2
スポーツ行動科学
竹中裕人
山本
D2
生涯スポーツ科学
伊賀崇人
布目
M2
スポーツ行動科学
村瀬大希
山本
D2
生涯スポーツ科学
松井一洋
布目
M2
生涯スポーツ科学
吉子彰人
秋間
D2
スポーツ行動科学
岡
昇
山本
M2
生涯スポーツ科学
山下
晋
片山
D2
生涯スポーツ科学
王
旭
島岡
M1
生涯スポーツ科学
福積
亨
布目
D2
生涯スポーツ科学
齋藤
輝
秋間
M1
生涯スポーツ科学
富田
彩
秋間
野
―  67  ―
平成25年度 研  究  生  名  簿
氏 名
1
2
3
811263003
ふく
だ
ひろ
み
福 田 博 美
811263004
ご
とう
後藤ひとみ
811363001
やま
もと
こう
た
山 本 耕 太
指導教員
研 究 事 項
押田芳治 健康と子どもに関する研究
押田芳治
子どもの健康に影響を及ぼす生活
条件について
山本裕二
新規運動課題学習過程におけるダ
イナミクス分析
―  68  ―
所 属
愛知教育大学 教育学部
准教授
愛知教育大学 教育学部
教授
研究期間
平成25年4月1日
~
継続
平成26年3月31日
平成25年4月1日
~
継続
平成26年3月31日
平成25年4月1日
~
平成26年3月31日
新規
投稿規定
1 .原著、資料、総説、短報、その他の未掲載の論文で、健康・スポーツ科学の研究に寄与するものを掲載する。
2 .論文の筆頭著者は、本センターの専任教員、大学院生、研究生、非常勤講師、共同研究者および名誉教授とする。
なお、専任教員以外の者が筆頭著者の場合は、専任教員との共同執筆とすることが望ましい。
3 .論文は、原則として予備登録の手続きを経て、編集委員会に定められた期日までに提出されたものとする。
4 .論文の採否は、編集委員会で最終決定する。
5 .原稿、図表、写真の枚数制限は原則としてもうけないが、編集の都合上必要があれば投稿者と協議のうえ制限す
る場合がある。
6 .原稿はワードプロセッサーで作成し、ファイル(Word、Excel、Powerpoint などで作成したほとんどのファイルで
対応可能)で本センター事務室に提出する。
7 .論文の構成は、表題、英文表題、著者名、ローマ字著者名、英文抄録(400語以内)、本文、文献とする。英論文
では表題、著者名、抄録、本文、文献の順番とする。
8 .図表および写真は、できるだけ英文で簡潔な説明をつける。
9 .文献は、原則として和文英文とも著者姓のアルファベット順に記載し,表記形式は「体育学研究」に準ずること
が望ましい。(http://wwwsoc.nii.ac.jp/jspe3/ から「学会誌」を参照)
10.別刷は希望者による注文購入とし、筆頭著者には PDF 版を配布する。
11.掲載論文の著作権は、掲載決定日を起点に総合保健体育科学センターに帰属する。
編  集  委  員  会
山本 明子(委員長)
尾崎 信暁
島岡みどり
蛭田 秀一
Editorial Board
A. Yamamoto (Chief Editor)
N. Ozaki
M. Shimaoka
S. Hiruta
※著者の所属は、平成26年 3 月 1 日現在のものである
総 合 保 健 体 育 科 学
平成 26 年 4 月 30 日 印 刷
平成 26 年 4 月 30 日 発 行
発 行 名古屋大学総合保健体育科学センター
〒464-8601 名古屋市千種区不老町 E-5-2(130)
電話(052)789­-3946(ダイヤルイン)
印刷 株式会社 荒 川 印 刷
ISSN-0289-5412
HEALTH, PHYSICAL FITNESS & SPORTS
VOL. 37 No. 1
総合保健体育科学
NAGOYA JOURNAL OF
《 目 次 》
CONTENTS
Toward an Understanding of the “Hating to Lose” Mentality and Sport Motivation
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Tamotsu NISHIDA, Banjou SASAKI, Katsuro KITAMURA
Hirohisa ISOGAI and Shigeru SAITO
The effect of a short-term resistive training on functional capacity
and morphology for elderly individuals.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Aya TOMITA, Akira SAITO, Ryosuke ANDO
Akito YOSHIKO, Maya HIOKI and Hiroshi AKIMA
1
13
第 三十七巻 一 号
The Generalization to Daily life of the Psychosocial Effects of Sport Activities
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Tamotsu NISHIDA, Banjou SASAKI, Katsuro KITAMURA
Hirohisa ISOGAI and Takayuki SHIBUKURA
第 37 巻 1 号
23
Master theses (abstract)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53
スポーツ活動における心理社会的効果の日常生活への般化
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 西田 保,佐々木万丈,北村勝朗
磯貝浩久,渋倉崇行
1
負けず嫌いとスポーツ動機づけの理解に向けて
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 西田 保,佐々木万丈,北村勝朗
磯貝浩久,齊藤 茂
13
在宅での短期間レジスタンストレーニングが・
高齢者の身体機能と形態に及ぼす影響
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 富田 彩,齋藤 輝,安藤良介
吉子彰人,日置麻也,秋間 広
23
修士論文の紹介・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53
二〇一四
2014
₂₀₁₄
The Research Center of Health, Physical Fitness and Sports
Nagoya University, Nagoya, JAPAN
名古屋大学総合保健体育科学センター