中期経営計画 - 横浜市消費生活総合センター

中期経営計画
(平成23年度~平成27年度)
はまのタスケ
財団法人
横浜市消費者協会
平成24年2月
はじめに
〔中期経営計画策定の趣旨・背景〕
財団法人横浜市消費者協会では、これまで団体としての主要業務である横浜市消費生
活総合センターの指定管理者業務については指定管理期間の計画を策定し運営を行っ
てきましたが、協会全体として、中長期的視点からの団体経営に関わる計画は策定して
いませんでした。
しかし、近年、消費者問題をめぐる社会経済環境は、関係法令の整備の進展や消費者
庁の発足など著しく変化してきています。
そこで、当協会としても、このような環境の変化を踏まえて、業務全体を改めて見直
し、協会の中期的な経営課題を明らかにし、その検討の視点・方向性、対応策等を整理
し、今後の問題解決に繋げるため、「中期経営計画」を策定しました。【協約事項1】
1
目
次
はじめに
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
第1章
1-1
1-2
1-3
1-4
現状分析とあるべき姿を考える
・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
社会的背景:消費者問題の推移と消費者行政
・・・・・・・・・・ 3
協会の取り組み・役割
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
組織の現状分析(SWOT分析、アンケート調査)・・・・・・・・・・ 4
経営理念と経営ビジョン
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
第2章
2-1
2-1
2-1
2-1
2-1
2-1
2-1
2-1
中期経営計画目標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7 つの「強み」のシェイプアップ・・・・・・・・・・・・・・・・
課題① 【公益財団法人の認定取得】・・・・・・・・・・・・・
課題② 【消費生活相談サービス力の向上】・・・・・・・・・・
課題③ 【啓発情報提供・広報の充実】・・・・・・・・・・・・
課題④ 【消費者教育・啓発活動の強化】・・・・・・・・・・・
課題⑤ 【展示・情報資料室の活用促進】 ・・・・・・・・・・
課題⑥ 【商品テストにおける関係機関との連携強化】 ・・・・
課題⑦ 【消費者団体等との継続的な支援・連携関係の構築】・・
7
8
8
8
11
12
13
13
14
2-2
2-2
2-2
2-2
2-2
2-2
5 つの「弱み」のサプリメント
・・・・・・・・・・・・・・・
改善課題① 【職員行動基準の策定と人材育成】 ・・・・・・・
改善課題② 【組織運営体制の効率化】 ・・・・・・・・・・・
改善課題③ 【計量定期検査業務の方向性】 ・・・・・・・・・
改善課題④ 【管理施設の有効活用】 ・・・・・・・・・・・・
改善課題⑤ 【経費節減と財源確保】 ・・・・・・・・・・・・
15
15
17
18
18
19
第3章
3-1
3-2
中期経営計画の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
進捗状況の管理(PDCAマネジメントサイクルによる管理)
・・・ 20
中期経営計画目標について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
2
第1章章
現状分析と「あるべき姿」を考える
1-1 社会的背景: 消費者問題の推移と消費者行政
経済社会情勢の変化に伴い、消費者問題もその内容が大きく変化してきています。
昭和30年代後半には、高度経済成長の中で、欠陥商品による消費者危害や不当表示事件
が発生、昭和40年代後半には、マルチ商法などが大きな社会問題となりました。昭和50
年代後半は、情報化社会が進展する中、クレジットカードの普及などによる多重債務問題が
増加するなど、消費者問題の内容が変化し複雑化しました。
平成の時代となり、消費者と事業者との間の民事ルールの整備が進み、製造物責任法(平成
6年)、などが制定されました。さらに、平成12年には、消費者契約法が制定されましたが、
インターネットなど情報通信技術の急速な進展に伴い、新たな消費者問題が発生し、そのた
め、電子消費者契約法(平成13年)、個人情報保護法(平成15年)が制定されました。
平成16年には、消費者基本法が制定されましたが、食の安全に関する消費者問題や、高
齢者の資産を狙った悪質商法など問題が生じ、平成20年には、消費者契約法、特定商取引法
などが改正され、訪問販売等に対する規制が強化されました。
そして、平成21年には、消費者安全法が制定され、また、消費者庁・消費者委員会が創
設されるなど、消費者行政は新たな段階を迎えました。
しかし、平成 23年 3 月 11 日に東日本大震災、また、それに伴い福島原子力発電所事故
による放射能漏れ事故が発生し、放射能汚染や便乗商法などに関する新たな消費者問題も生
じてきています。
1-2 協会の取り組み・役割
財団法人横浜市消費者協会は、昭和54年の設立以来「横浜市消費者センター」及び「横
浜市消費生活総合センター」
(以下、
「センター」という。)の運営を行い、平成18年の指定
管理者制度の導入後も指定管理者として指定を受け、今日まで30年以上一貫して、横浜市
民の消費者利益の擁護・増進と安全で快適な消費生活の実現に取り組んできました。
平成21年9月、消費者庁と消費者委員会が設置され、消費者施策の一元化や消費者行政
の充実が進められるとともに、新たに地方消費者行政活性化基金が創設され、消費生活セン
ターの充実強化が進められています。こうした動向の中で、市民に身近な消費生活総合セン
ターを管理運営する当協会の役割はますます重要になってきています。
3
1-3
組織の現状分析 (SWOT分析・アンケート調査)
「中期経営計画」の策定にあたって、出来る限り多くの職員から意見を聞きたいと考え、平
成 23 年7月に開催した職員会議で、SWOT 分析の手法を用いて、グループワークを行いまし
た。
それぞれの職員が、わが協会の組織の内的要因としての「強み(S)
、弱み(W)
」
、外的要因
として「機会(O)、脅威(T)」をどう捉えているか、参加した各自が自由に記入してもらい、
それを、表に掲載して整理した結果は、次ページの図-1のとおりです。
1 SWOT 分析の結果から見えること
(1)
「強み」(S)
SWOT 分析の結果を見てみると、協会の相談員の専門性に関する評価が高いことが分かり
ます。また、出前講座等啓発事業が充実していることや HP 情報が充実していること、展示
資料室があり市民に公開されていることなどが評価されています。
(2)「弱み」
(W)
SWOT 分析の中で弱点として提起された問題点としては、
「協会の事業方針が確立されて
いない」、
「組織運営・団体経営の意識が弱い」などマネジメントに関する指摘がありました。
また「嘱託員は協会所属意識が薄い」
「ホスピタリティの気持ちが薄い」など職員の働くう
えでの意識に関する指摘されていました。さらに、「事務の効率化が進んでいない」
「書類整
理やマニュアル整備が弱い」
「IT に弱い」など執務環境や事務管理に関する指摘もされていま
した。
2
アンケート調査の実施
次に、SWOT 分析の中で弱みとして指摘された問題点について、3つのポイントに絞って、
さらに詳しく職員の意見・意向を把握するために、昨年 9 月に、全職員を対象にアンケート調
査を実施しました。
(1)調査結果について
このアンケートの記述式回答欄では、多くの職員が極めてまじめに考えて回答していました。
この回答に記述された事項の中に、今後の協会の運営をより良くするためのヒントが多く含ま
れていると感じました。
このような、職員から寄せられた意見をも参考としつつ、次に、この弱点を体質改善するた
めの栄養補給(サプリメント)を考えていきます。
なお、マネジメントに関する指摘については、今回の「中期経営計画」を策定する中での見
直しなど、今後改善を図っていきます。
4
組織の現状分析(SWOT分析)
S
W
グループ制のため、相談員の専門性を高め
協会の事業方針が確立していない。
やすい
組織運営・団体経営の意識が弱い
相談員は長年の蓄積があり専門性が高い
嘱託員が多く、職員が少なすぎる
相談員が多く複数体制による処理可能
嘱託員は協会所属意識が薄い
相談方法が多様(電話、FAX、メール)
職員の年齢構成に偏りがある
職員研修に意欲的(弁護士相談など)
専門性の高い仕事に専門家がいない
専門分野の人材とのつながりがある
ホスピタリティの気持ちが薄い
相談員の若返り
柱になる人材に固有職員がなれない
給料制になり質の高い相談員が確保できる
指定管理制度のため、報告業務等が多く
職員と相談員が同じフロアで連絡容易
効率的でない。
職員が継続して消費者行政に携われる
事務の効率化が進んでいない
出前講座等啓発事業が充実
書類整理やマニュアル整備が弱い
HP 情報が充実している
IT に弱い
展示資料室があり市民に公開されている
消費者庁の創設
東日本大震災・福島原発放射能漏れ
地方消費者行政活性化基金の創設
日本経済の低迷
市民の安全・安心への関心の高まり
市民生活の先行き不安感
消費者保護に関する法整備の進展
消費者団体数の減少
国民生活センターのあり方検討
消費生活推進員選出方法の見直し
消費者問題の多様化・複雑化
市経済局の方針が見えにくい
指定管理者制度の導入
経営努力が一層求められる
若者と高齢者が被害に逢いやすい
インターネット、携帯電話など多様な
情報機器を利用した犯罪の増加
高齢化に伴う被害の増加
法テラスなど他の相談窓口の新設
O
T
5
1―4
経営理念と経営ビジョン
われわれのミッション(使命)は何か
経営理念(あるべき姿)
消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差に鑑
み、消費者の権利を尊重し、消費者教育及び啓発活動を推進するととも
に、消費者被害救済を支援することによって、消費者の利益の擁護及び
増進を図り、もって横浜市民の安全で快適な消費生活の実現に寄与しま
す。
1
経営理念の具体化
私たちは上記の経営理念に基づき、より具体的に、実施事業を通じて、市民の安全で安心で
きる消費生活の実現に寄与していきます。相談や啓発業務を通じて消費者被害の救済・未然防
止を実現するとともに、他の消費者団体等との連携によって消費者ニーズを的確につかみ、よ
りよいサービスを目指していきます。
また、事業や組織の見直し・改善に取り組むことによって、効率的な運営を行い、市民の消
費生活の向上に寄与する最適な団体として存在意義を高めていきます。
2
経営ビジョン(計画期間に目指す基本的方向性)
① 複雑・高度化する消費生活相談に対応するため、組織として相談員の専門
性を高めるとともに、高齢者対応の充実など公益的使命に応えます。
② 消費者被害の未然防止対策を推進するため、幅広く関係機関・団体との連
携により、効率的で効果的な消費者教育・啓発活動を行います。
③ 事業の見直しや職員の育成を通して、効率的な組織運営に努め、市民ニー
ズに対応した事業の展開を進めます。
6
第2章
中期経営計画目標
「SWOT分析」、職員へのアンケート調査、ヒアリングなどによって、組織の現状
分析を行い、組織としての「強み」をより強化するとともに、「弱み」の体質改善を図
るため、中期的な経営課題を整理し、中期経営計画目標として、「7つの強みのシェイ
プアップ(課題)」と「5つの弱みのサプリメント(改善課題)」として位置づけました。
以下、各課題ごとに、問題解決のための検討の方向性等や具体的対応策等を整理し、
より質の高い市民サービスの提供や今後の経営改善等に繋げていきます。
中期経営計画目標 [平成23年~27年度]
7 つの「強み」のシェイプアップ
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
公益財団法人の認定取得
消費生活相談サービス力の向上
啓発情報提供・広報の充実
消費者教育・啓発活動の強化
展示・情報資料室の活用促進
関係機関等との連携による商品テストの実施
消費者団体等との継続的な支援・連携体制の構築
5つの「弱み」のサプリメント
①
②
③
④
⑤
職員行動基準の策定と人材育成
組織運営体制の効率化
計量検査業務の方向性
管理施設の有効活用
経費節減と財源確保
7
7 つの「強み」のシェイプアップ
2-1
課題① 行動計画 【公益財団法人の認定取得】
・公益法人制度改革への対応として、平成24年秋を目途に、公益財団法人の認定
を受けるため、機関設計、定款(案)の作成など準備を着実に進めます。
財務関連書類 作成など必要な準備手続きを着実に進めます
〔スケジュール等〕
年
月
事 項
内 容 等
23年 3月
評議員会・理事会
最初の評議員の選任方法議決
23年 6月
評議員会・理事会
評議員選定委員会メンバー決定
23年10月
評議員選定委員会
23年11月
評議員会・理事会
24年 3月
評議員会・理事会
最初の評議員の選任
最初の評議員の選任報告・
(承認)
定款・規程案等の説明
評議員会で、公益財団法人における理事・監事選任
(理事会で、代表理事選任)
公益財団法人の定款・規程・役員・財務等の議決
24年 3月
県審議会に申請
県審議会認定予定
24年 秋頃
新法人登記
新理事会・評議員会
課題② 【消費生活相談サービス力の向上】
・ 当協会のコア・コンピタンス(★)である消費生活相談サービス力にさらに
磨きをかけるため、弁護士相談の充実や研修の充実を図り、相談員の専門性を
向上させるとともに、主任相談員制度の見直しなど相談体制を整備します。
・ 消費者被害の早期解決と未然防止に努め、消費者トラブルのあっせん解決件
数を年間 1,700 件以上達成します。
【協約事項2】
★ コア・コンピタンスとは、顧客に対して、価値提供する企業内部の一連のスキルや技術の
中で、他社がまねのできない、その企業ならではの競争力を持った中核的な力のこと
8
1 主任相談員制度の見直し
主任相談員制度は、平成14年度に相談嘱託員という形態でスタートした経緯があるため、
主任相談員の役割について、主任相談員の間でも、齟齬が生じ、統一された認識がされてい
ません。また、業務についても、これまで、さまざまな要望や疑問が寄せられていました。
そこで、改めて、各主任相談員に個別ヒアリング(面談)を行ったところ、次のような意
見が出されました。
主任相談員からの個別ヒアリング結果(主な意見)
● 相談員は、電話相談等を受けることを通して鍛えられるものであるが、カード決裁など事務処理
や管理業務に追われると、現場感覚がなくなり、他の相談員に対して適正な指導ができにくくな
る。
● 同一の専門研修グループ内の相談員の相談役としては機能しているが、日常の職場のグループ
(専門部会を兼ねる)を運営及び統括をするという意味では、期待されている役割が十分には果
たされていない。
● 主任相談員も相談業務に特化したほうが良い。カードチェックは、相談担当の事務職員が行った
ほうが良い。
(相談担当事務職員は、専門相談員などの資格を持った者や研修を受けた者が多い)
● 相談を受けてこそ相談員。カード決裁が一番問題である。
そこで、以上のような意見を踏まえつつ、今後、次の方向で、現行の「主任相談員制
度」の見直しを行います。
【ポイント】
①
主任相談員は、職場のグループ内の相談員の勤務状況及び業務の執行状況を把握する
とともに、電話応対を含めて指導・助言を行うこととします。
②
主任相談員も、電話相談を受けることとします。
③
相談カードのチェックについて、主任相談員は、件名、相談概要、処理概要を中心に、
職場のグループ内の相談員のカードをチェックのうえ第1決裁をします。
④
主任相談員は、専門研修の運営にあたって、リーダーとして、相談員をリードします。
9
2 専門性の向上(専門グループ制の見直し検討)
消費生活相談は、衣食住など市民の日常生活に関わる幅広い領域が対象となっています。
そのため、相談員個人としては、幅広い知識や経験が求められています。しかし、近年は消
費者として事業者との取引・契約関係の関わる問題が比重を増し、その内容も、情報技術の
進展なども加わり、商品もサービスも、契約内容も複雑化しており、新しい被害の発生する
スピードも速まってきています。また、それらに対応するための法制度の整備など消費者問
題を取り巻く環境も著しい変化を示しています。これらの環境の変化を踏まえ、市民からの
相談に的確に対応するためには、消費生活相談員の専門性を高め、準備していく必要があり
ます。
しかし、これらの問題に一人ですべての消費者問題領域に専門的に対応することは大変困
難なことではないかと考えます。
当協会では、これらの課題に対応するため、現在、「情報・通信」「特定商取引法」「住宅」
「金融」
「保険」の5つのグループに分けた「相談処理専門部制」を敷いて取り組んでいます
が、今後、この体制について、見直し検討していきます。
今後の検討の視点
①
専門的相談を専門研修チームに繋げる工夫
②
専門研修チームの研修成果を他のチームの相談員に伝え、情報を共有化するし
くみの工夫
③
専門研修チームの研修テーマの見直し
④
相談業務職場グループと専門研修チームとの関係整理
3 経営改善行動計画
消費者トラブルのあっせん解決件数を年間 1,700 件以上達成します。
年度
20 年度 21 年度 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度
件数
1,597
1,624
1,747 1,700
1,700
1,700
1,700
1,700
相談内容が複雑・高度化する中で、弁護士など関係機関との連携を強化し、また、相談員の
専門性や交渉力を高め、相談者の状況・ニーズに応じた適切な対応を図るとともに、より丁寧
な対応を図ることなどによって、交渉力が乏しく自主解決が困難な案件を解決に繋げ、目標水
準の達成を目指します。
10
課題③ 【啓発情報提供・広報の充実】
・
見やすく、分かりやすい情報提供のため、横浜市消費生活総合センターのホー
ムページを全面的に刷新します。
・ 多様な手法を活用して、アップ・ツー・デイトでタイムリーな情報を消費者に
提供して、消費者被害の未然防止を図ります。
・ ラッピングバスなど市内公共交通機関等を利用して、横浜市消費生活総合セン
ターの広報を実施します。
・ 街頭キャンペーンによる大規模広報事業を実施します。
各種の取り組み
○ ホームページの刷新による情報提供の充実
・センター事業や相談事例等のきめ細かな情報発信
○
「くらしの情報」と「消費生活相談月報」とを統合し、新情報紙「よこはま
くらしナビ」
を発行。(平成23年10月から)
○ 「ハマのタスケメール」によって、若者を主な対象者として、木目の細かい最新の悪質商法
の手口など消費生活情報を提供します。
○
ラッピングバスなど市内公共交通機関等を利用して、横浜市消費生活総合センターの広報を
実施します。
○
主要ターミナル駅前等での街頭キャンペーンによる大規模広報事業を実施します。
【横浜市消費生活総合センターの存在の広報】
横浜市が実施した調査によると、横浜市消費生活総合センターの存在が、市民に十分には周
知されていません。そこで、まず、消費者問題に関して、市民が困ったときには、
「ああ、そう
いえば、こんなときには、横浜市消費生活総合センターがあったなあ」と思い出されるよう、
センターの存在を周知させるための広報を強化します。
消費生活実態調査
質問 横浜市消費者センターを知っていますか。利用したことがありますか。
回答
聞いたことがない
名前はきいたことがあるが、場所、役割は知らない
名前、場所は知っているが、役割は知らない
名前、役割は知っているが、場所は知らない
場所、役割まで知っている
無回答
11
32.1%
34.1%
2.7%
19.0%
3.6%
8.6%
課題④ 【消費者教育・啓発活動の強化】
・
・
対象別に消費者教育・啓発活動又はその支援を行います
市内大学等との連携を強化するなど消費者教育・啓発の取組を多様化します。
【協約事項4】
・ 地域における多様な啓発活動を展開するため、新たにセンター・サポーター
制度(仮称)を創設します。
消費者基本法の制定に伴い、それまでの「消費者保護」から「消費者の自主的かつ合理的な
選択」が重視されるようになり、そのため、従来以上に、消費者に対する啓発活動の推進と消
費者教育の充実が求められることとなりました。
そのため、国の「消費者基本計画」においても、消費者に対する啓発活動の推進と消費生活
に関する教育の充実のため、学校や地域における消費者教育を推進・支援することとしていま
す。
当協会としても、横浜市経済局との役割分担を明確にするなかで、主に地域における消費者
教育を、地域の貴重な教育資産でもある市内大学(法学部、経済学部、商学部、経営学部、教
育人間科学部など)等と連携した取り組みを一層進めていく必要があります。
〔大学等との連携数〕
年度
23年度
24年度
25年度
26年度
27年度
レベル
1※
学校数
1校
2校
3校
4校
5校
レベル
2※
学校数
1校
1校
2校
2校
2校
※ レベル
1
※ レベル
2
啓発グッズや資料の配布など入門段階のアプローチができている。
消費者教育、啓発についての調査、効果的な資料の作成、情報発信についての
協働プロジェクトに取り組み、具体的な成果や事業に繋がる。
〔その他の課題〕
電話等相談内容の傾向と講座のテーマを連動させるなど、相談業務から上がってくる情報
を啓発活動に機動的に連動させ、フィードバックしていく必要がある。
12
課題⑤ 【展示・情報資料室の活用促進】
・ 図書資料の郵送返却サービスを実施します。
展示・情報資料室は市内唯一の消費者情報資料館です。展示・情報資料室には、センター
ならではの消費生活関連情報が集積されており、他では入手しにくい貴重な報告書、DVD
などの映像も数多く備えており、正に市民の貴重な財産となっています。
展示・情報資料室の開館は、平日、午前9時から午後7時までとなっていますが、5年間
の平均年間利用者数は約2,000名です。
センターが横浜市南部に位置するため、往復時間、交通費などの負担が大きく、遠隔地の
市民の利用は限られています。
そこで、まず、より利便性を高めるために、貸出しした図書・視聴覚教材を郵送によって
協会に返却をできるしくみを創設します。
(平成 23 年度実施)
また、今後、この制度の利用状況等を見極め、センターのホームページに掲載する蔵書リ
ストを整理するなかで、希望図書を申し込めば、郵送により配送及び返却が安心してできる
仕組みを検討します。
(送料は利用者負担)。
課題⑥ 【商品テストにおける関係機関との連携強化】
商品テストは、高度な検査機器や専門職員を配置する関係機関との連携を強化し、
協会職員はコーディネーター役としての機能を果たしながら、効率的かつ効果的に実
施します。
センターに寄せられる苦情品について、原因究明テストのうち重大で深刻な被害が発生して
いる場合や精度の高い検査が必要な事案等は、独立行政法人国民生活センターや独立行政法人
製品評価技術基盤機構(NITE)等の公的機関や専門のテスト機関にテストを依頼し、セン
ターでは、テスト担当職員が、相談とテスト機関をつなぐコーディネーターの役割を担い、結
果やその後の対応を行います。
センター商品テスト室既設の機器で行えるテストつついては、神奈川県技術士会の技術士等
の協力による原因究明や再現テストを行うことによって、相談の解決を図ります。
○ 共同商品テスト
共同商品テストは、消費者の感覚と目線で商品の使用テストを行い、評価することを目
的とし実施しています。テストの結果については「情報紙」などにおいて、報告、発表し
ます。また、必要に応じて関連省庁へ情報提供を行います。
13
課題⑦ 【消費者団体等との継続的な支援・連携関係の構築】
消費者団体等連携推進会議を充実し、消費者団体等との連携・支援を強化するとと
もに、消費生活推進員やボランティアとの連携を強化し、多様な事業を展開します。
1 消費者団体等連携・支援事業
消費者団体等との連携により、消費者目線に立った事業展開と消費者啓発の充実・拡大を
図るため、
「消費者団体等連携推進会議」を開催し、消費生活教室、街頭キャンペーン、共同
商品テストについて、企画、検討の上実施します。
また、快適でより使いやすい会議室をめざして、消費者団体等の代表者と「会議室利用者
懇談会」を開催し、意見・情報交換するとともに事業に活かします。
消費者団体等への支援の一環として、活動作業室、資料保管庫、コピー機の無料提供を行
います。
○ 会議室の無料提供を拡充します
毎月1回(第3金曜日)実施している会議室の無料開放デーの利用に際し、新たに3か月
前からの予約申請の受付を行い、消費者団体等の利便性をさらに図ります。
さらに会議室の1か月先の空き室については、無料開放デーと同様の取り扱いとし、新た
に消費者団体等の活動の場として会議室を無料提供します。
(平成23年10月から)
14
2-21
5 つの「弱み」のサプリメント
改善課題① 【職員行動基準の策定と人材育成】
・ 固有職員、相談員、嘱託員など多種多様な雇用・勤務形態の職員が、共通目標・
認識を持って、仕事に意欲的に取り組むことが出来るよう「職員行動基準」を策
定します。
・ 消費生活相談サービス向上部会(仮称)を設置し、市民に分かりやすく親切な
対応(顧客満足度の向上)を図ります。
・ 人材育成計画に基づく研修等を行い、職員のマネジメント能力や相談対応能力
を強化します。【協約事項6】
1
「職員行動基準」の策定
職員行動基準
1 私たちは、歴史ある横浜市消費者協会に働く者として、誇りを
もち、消費者問題の解決に仕事として取り組むことによって、消
費者の利益を擁護し、消費者の権利の確立に貢献します。
2 経済社会が大きく変化し、情報技術も著しく進歩するなかで、
消費者問題も複雑・多様化していますが、私たちは自ら学び、互
いに情報を共有するなかで、仕事の技術を高めあい、市民からの
期待に応えられるよう努めます。
3 私たちは、それぞれ仕事の役割、働き方は違っても、横浜市民
が安全に安心して消費生活できることを喜びとし、親切ていねい
な対応を心がけ、チームワークを良くして、仕事に取り組みます。
15
2
消費生活相談サービス向上部会(仮称)の設置
〔電話相談におけるホスピタリティの向上対策〕
電話相談サービスの向上のため、リーダー会議のメンバーである啓発相談課長、主任相談員、
職員等で構成される消費生活相談サービス向上部会(仮称)を設置し、利用者からの具体的な
クレームについて検討し、その検討結果を踏まえて、定期的に、朝礼で事例紹介し、情報を共
有化するとともに、サービス向上のための改善点を共有化します。
この際、クレームだけではなく、お礼状も紹介し、良い点を皆で学び、共有化していくこと
も大切であると考えます。また、その後の研修内容への反映を考えます。
既存のリーダー会議と区別できる名称を設定し、目標意識を明確にすることも必要と考えま
す。
クレームから、逆に、サービス向上を考える仕組みづくり
消費生活相談サービス
向上部会(仮称)
①クレーム等への対応
①
対応策等の検討
②礼状から学ぶ
②
③
3
トラブル発生原因
礼状の分析
研修内容等の検討
・朝礼でのフィードバック
・情報の共有化
・研修内容への反映
人材育成
今後の検討の視点①
〔固有職員の業務執行能力の最大限発揮〕
固有職員の業務執行能力を最大限に発揮させるために、固有職員と嘱託員との役割を明確に
し、グループ・リーダーとして、課長を補佐し、グループ業務の円滑な進行管理に協力するな
ど位置づけを明確にします。
① 固有職員と嘱託員との役割分担を明確にする。
② 固有職員を、グループ・リーダーとして、他団体における主任クラスの役割分担と責任
を持たせた位置づけとする。
③ グループ・リーダー(固有職員)は、グループ内の職員の業務をサポートする。
④ グループ・リーダー(固有職員)は、課長を補佐し、グループ業務の円滑な進行管理に
協力する。
16
今後の検討の視点②
〔職員の努力や成果をより適切に評価し、モチベーションを高める工夫〕
職員のアンケート調査結果から
・ 嘱託員という身分にも関わらず、職員と同じレベルの業務をこなしている方が多い。
・ 長く勤めていても、いい仕事をしても、しなくても、同じ評価だから・・・。
・ 目標設定⇒自己評価、大切だと思います。管理職との面接は必要だとは思いますが、一方
的な要望・意見聴取だけでなく、管理職から期待していることをきちんと伝えるべき。それ
ぞれの業務目標、目的を年度初めに上長と話し合って、明確にする必要があると思う。
・ 給与のベースアップが難しいとしても、何かしらの評価があった方が、協会所属感は高ま
ると思う。
【検討課題】
①
目標管理(MBO)をしっかり行うなかで、職員の働きを客観的かつ公正に評価
する。
② 嘱託員について、勤務実績を評価し、年度末又はボーナス時期に、一定程度報酬に
反映させ、職員のモチベーションを向上させる仕組みを検討することができない
か。
改善課題② 【組織運営体制の効率化】
・ 役員数の見直しを図り、法人運営を効率化します。 【協約事項7】
・ 組織の見直しを検討実施します。
・ 適材適所の人員配置及び適正配置を実現します。
1
役員数の見直しを図り、法人運営を効率化します。
24 年度中の公益財団法人認定を目指して移行準備を進める中で、団体の効率化、スリ
ム化を図るため、役員数に関しても見直しを行います。
2
組織の見直しの検討
相談体制の運営強化や組織の効率的運営のために、平成 25 年度を目途に、組織再編成
を検討します。
17
改善課題③ 【計量定期検査業務の方向性】
協会における計量検査業務の位置づけと将来的に必要となる経費の財源確保等に
ついて、関係機関等も含めて協議します。
計量定期検査業務については、平成15年度から当協会で実施してきました。平成 23 年度は、
横浜市の指定定期検査機関の指定についての公募が予定されていますので、協会として応募しま
す。しかし、指定定期検査機関として業務を実施していくには、組織として「計量士」という専
門的技術を持った担当職員を複数雇用しなければならないというリスクを負っています。
今後、その職員についての人件費や退職給付引当金等の備えが、独自財源を持たない当協会に
とって、大きな負担となってくることが予想されます。
そのため、これらの課題に対応できるよう、横浜市をはじめとする関係機関との今後の調整が
課題となっています。
そこで、人件費、退職給付引当金の必要額のシミュレーションなどをベースに、今後の方向性
を探っていきます。
改善課題④ 【管理施設の有効活用】
会議室の貸出し方法を見直し、管理施設のより効率的な利用を促進し、稼働率を
向上させるとともに、市民サービスの向上を図ります。 【協約事項3】
5階の会議室は消費者団体や消費者グループの活動の場を提供することを目的としています。
その利用実態を見ると、午前中と午後5時までの利用に集中しています。これは、1時間単位
での貸出のため、虫食い状態での利用分布となり、効率の悪い利用状況となっていました。
そこで、平成23年10月から、利用実態に合わせて3時間枠に変更し、同時に、利用者へ
のサービスとして利用料金の引下げを行いました。今後も、会議室利用の効率化により稼働率
の向上に努め、利用者の増加と利用料金収入の確保を図ります。
18
改善課題⑤ 【経費節減と財源確保】
・
自主財源がなく、事業費の大半を市からの委託費、補助金に依存している協会
としては、横浜市の財政が厳しい中、固定経費等の削減に努めます。
【協約事項5】
・ 地方消費者行政活性化基金が廃止されて以降の財源確保について、市と協議し、
これまでの市民サービス水準を落とさない工夫等を検討します。
1
固定経費等の削減
厳しい財政状況の中、当協会は財務改善のための経営努力を求められており、事業全体
の経費の見直しを図り、コスト意識を念頭に置いた効率的な運営を行う必要があります。
そこで、平成 25 年度末までに、事務事業の見直しと効率化を図ることで、縮減が難しい
固定経費等(光熱水料費、通信運搬費、人件費等)を、22 年度比で 3%削減します。
2
地方消費者行政活性化基金廃止後の予算対応
平成21年 9 月、消費者庁と消費者委員会が設置され、消費者施策の一元化、消費者行
政の充実をはかるとともに、地方消費者行政活性化基金が創設され、地方における消費者
センターの充実強化が図られました。
協会では、横浜市と連携しながら基金を活用し、相談窓口の整備、相談員のレベルアッ
プのための研修の充実、相談員の待遇改善、啓発活動の強化による消費者被害の未然防止
策の充実など、センターの機能強化を図ってきました。
基金が廃止される平成 25 年度以降については、
啓発事業や研修の充実などについては、
事業全体の中で見直すとともに、財源の確保に努めます。
19
第3章章
中期経営計画の推進
3-1 進捗状況の管理(PDCAマネジメントサイクルによる管理)
この中期経営計画については、基本的に、計画(P)-実行(D)-検証(C)-行動(A)
のマネジメント・サイクルによって、進捗管理していきます。
PLAN
DO
CHECK
ACTION
(計画)
(実行)
(検証)
(行動)
SEE
(よく見聞きし、分かる)
THINK
(考える)
3-2 中期経営計画目標について
中期経営計画目標のなかで、市との協約事項と重なる事項については、協約期間である平
成25年度末までの達成を目指します。
また、今後の検討の方向性や視点が示されている事項については、今後さらに検討を重ね、
実現できるものから着実に実施していきます。
なお、消費者問題や消費者行政をめぐる環境は、今後も著しく変化することも想定されま
すので、その環境の変化に柔軟に対応した計画の見直しが必要となる場合もあります。
【協約事項】
1
団体として中長期的な業務運営能力の維持向上のため、中期経営計画を策定し、実行していきます。
2
消費者トラブルのあっせん解決件数を年間1,700件以上達成します。
3
貸会議室の運用方法見直しにより、稼働率を向上させます。
4
大学等との連携を強化するなど消費者教育・啓発の取組を多様化します。
5
固定経費等の見直しを図り、コストの削減を目指します。
6
人材育成計画に基づく研修等を行い、職員のマネジメント能力や相談対応能力を強化します。
7
役員数の見直しを図り、法人運営を効率化します。
20