第71号(15.9.1発行 - 京極町生涯学習センター湧学館

京極読書新聞
<第71号>
発行日 平成27年 9月1日(火)
京極町生涯学習センター湧学館
京中生に
2015
インタビュー
第4回
楽しかった夏休みも終わり。
さあ、読書の秋!スポーツの秋!
<編集部>
兼松 日向子さん(1年) 「猫のたま駅長」
木村 凜媛さん(1年)
「犬と私の10の約束」
―――犬と猫の、定番中の定番みたいな本の読
書感想文が出てきましたので、今日はお
二人にインタビューです。
兼松 私自身も猫を飼っているのでこの本に興
味を持ちました。ローカル線の駅長を
やっている猫の話は以前より聞いていま
した。
木村 私も、家で犬を飼っていて、犬との約束
を考えたりしたのですけどなかなか思い
つかなくて… それで、この本を見つけ
て、参考にしようと思いました。
―――動物の本はいいですね。心が和みます。
この2冊を読みかえしていて、私の家に
もいた犬や猫を思い出しました。どちら
も数年前に死んでしまって、今、家の中
はガラーンとしているので、余計に犬も
猫も子どもたちもいて賑やかだった昔を
懐かしく思い出したりします。
兼松 「たま」がすごいのは、人にさわられて
も、いやがったり、逃げたりしないこと
です。うちで飼っている猫は、お客さん
が来るとすぐに逃げてしまいます。
―――普通、猫はそうですよね。犬なら、遊ん
であげると、体中から「うれしい!うれ
しい!」って気持ちが飛び散ってくるよ
うな感じになるけど、猫はちがいますよ
ね。「しょうがないなぁ…少しつきあっ
てやるか」みたいな、変な余裕がありま
すね。
兼松 ペットの歳にもよります。うちの猫は2
歳の遊びたい盛りだから、自分でおも
ちゃを口にくわえて「遊ぼ!」って来た
りします。
―――10歳になると、もう人間でいえば60歳
とか70歳っていう歳なんだもんねえ。
木村 「犬と私の10の約束」を読んで、いちば
ん感動するところは10個目の約束です。
「私がこの世を去るときは、そばにいて
見送ってください」という。
―――ああ、ありましたね。「あなたがそばに
いるだけで、私は幸せに天国へ旅立てる
から」という。
木村 どんなに贅沢に育てても、この最後の約
束ができないと犬は幸せになれないんだ
と思います。なぜ、犬と人間の間に約束
が必要なのか考えたのですが、それは、
約束がなければ、犬も人間も楽しく暮ら
せないからだと思いました。
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京極読書新聞は
毎月1日発行です。
(2)
京極読書新聞 <第71号>
兼松 日向子さん
「猫のたま駅長」
西松宏/著
(ハート出版,2009)
木村 凜媛さん
「犬と私の10の約束」
川口晴/著
(文芸春秋,2007)
森口 翔太くん
「君ならできる」
小出義雄/著
(幻冬舎,2000)
熊谷 那月さん
「蒼い炎」
羽生結弦/著
(扶桑社,2012)
【訃報】 2015年6月22日、和歌山電鉄貴志川線の貴志駅(和歌山県
紀の川市)で、ネコの駅長として人気を集めた三毛猫「たま」が入院中
の動物病院で亡くなりました。雌の16歳。人間だと80歳程度に相当
するといいます。同電鉄は24日、たまを「名誉永久駅長」とすること
を発表。28日午後から貴志駅で社葬が行われました。たま、今までた
くさんの喜びをありがとう。天国でも幸せに。
京極読書新聞 <第71号>
(3)
―――木村さんちの犬は、どういうところがい
いですか?
木村 毛が「ふわふわ」なところがかわいいで
す。この本の犬「ソックス」よりもふわ
ふわです。函館の防波堤で、ソックスと
お父さんとあかりが静かに海を見ている
場面が、私のいちばん好きな場面です。
―――兼松さんちの猫は?
兼松 猫は「しっぽ」がかわいいと思います。
あと、この本に出てくる、猫の「たま」
を「駅長」にすることを思いついた小島
社長もすごいアイディアマンだと思いま
した。このアイディアが、廃線の危機に
あったローカル鉄道を救うことになるの
ですから、世の中わからないものです。
森口 翔太くん(2年) 「君ならできる」
熊谷 那月さん(3年) 「蒼い炎」
―――「君ならできる」。森口くんの読書感想
文を読むまで、マラソンの高橋尚子選手
の本だと思ってました。(表紙が高橋選
手の写真だったもので…)プロ野球みた
いな例を除けば、監督やコーチが自分で
本を書くのって、珍しいですね。
森口 そうですね。僕のやってるスポーツ、ク
ロスカントリースキーは、別名“雪上の
マラソン”と言われるくらいなので、何
かヒントになるものがあるかなぁと思っ
てこの本を選びました。
―――で、どうでした?
森口 いくつも 共通点がありました。 たとえ
ば、練習にも強弱をつけるというような
考え方。これは「人間の体に強弱のリズ
ムがあるように、練習にも強弱が必要
だ」という小出監督の考えから生み出さ
れたトレーニング法なのですが、クロス
カントリーでも同じような練習を行いま
す。単調にずっと厳しい練習を続けるよ
りも、時には体を休ませ、大会前になる
と再び厳しい練習メニューに入って行く
というようなトレーニングの方が良い結
果を出すことが多いのです。
―――なるほど。それから、熊谷さんが感想文
を書いた「蒼い炎」の方にも勘違いが
あって、私は、この本はソチオリンピッ
クで金メダルをとったから記念に出版さ
れた本だと思っていました。でも、ちが
うんですね。ソチの前年までの羽生選手
の日々をつづった本なんですね。
熊谷 そうです。4歳の頃、お姉さんの影響でス
ケートをはじめてから、19歳で全日本選
手権で初優勝するまでの歩みが描かれて
います。でも、それ以上にこの本が大事
なところは、羽生選手の人生に深い打撃
を落とした東日本大震災のことがきちん
と書かれていることです。
―――そうですね。羽生選手ほど直接的に東日
本大震災に向き合ったスポーツ選手って
いないんじゃないでしょうか。今、この
2015年に生きている私たちは、ソチオ
リンピックで羽生選手が金メダルをとっ
たことを知っていますから、逆に、この
本が出た2012年の頃の羽生結弦という
ひとりの青年の不安とか夢とかが想像し
にくくなっているかもしれませんね。な
んか、小さい時から天才だったんだろ
う…みたいな安易なイメージを抱きがち
です。
熊谷 そんなことはないのは、本を読むとすぐ
わかります。避難所で過ごしている中
で、「(被災者みんなが大変な中)僕は
このままスケートをつづけていていいの
か」「自分だけ好きなことをやっててい
いのか」と悩む姿も羽生選手の大事な一
面なんです。
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(4)
京極読書新聞 <第71号>
―――そこから考えぬいて、被災者の方々を元
気にするには、自分にはスケートしかな
い、オリンピックに出たいという夢が生
まれてくるわけですから。なにか、こう
いう羽生選手の姿を見て、森口くんの感
想文にあった“言霊(ことだま)”を思
い出しましたよ。
森口 「君ならできる」の中で、小出監督は高
橋尚子選手に、「おまえは一番になれ
る。絶対になれる。世界一になれる」と
毎日のように声をかけていきます。はじ
めはあまり信じていなかった高橋選手
も、毎日言われると、だんだんその言葉
を信じて練習を重ねて行くようになって
いきます。驚くのは、その年の名古屋国
際女子マラソンを日本最高記録で優勝し
たりと、本当に高橋選手に結果がついて
きだしたのです。
―――2012年の羽生選手の「オリンピックに
出たい!」という気持ちには、その“言
霊”を感じました。
熊谷 「練習する」ことの大切さを
この本から教えられたように
思います。
インタビューは今回が最終回です。
京極読書新聞バックナンバー&取り上げられた本は、湧学館で読むことができます。
平成27年10月10日(土) 9:00~16:30
今年の後志文学散歩は、幻の建築を求めて、
小樽の街を山から海から走りまわります。
受付開始:10月1日(木)午前10時
申込締切:10月4日(日)*定員になり次第終了
定
員:20名
参 加 費:2,500円
※参加費は当日の朝(午前8時50分頃)に集めます
※湧学館図書(電話 42-2700)へお申し込
み下さい。
◎湧学館 午前9時出発~小樽・毛無山展望台~旧坂牛邸(田上義也記念室)~地獄坂~旭展望台
(小林多喜二文学碑)~昼食/ニュー三光「おこばち山荘」店~ロープウエイ・天狗山山頂駅(天狗
の館・小樽スキー資料館・しまりす園)~ザ・グラススタジオ・イン小樽~千秋通り~オタモイ海岸(龍宮
閣跡)~十間坂~手宮市場~ニッカウヰスキー余市蒸留所~湧学館 午後4時半頃到着予定
発行
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